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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】2自由度制御システムの制御器設定方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 13/02 20060101AFI20230912BHJP
   G05B 11/32 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G05B13/02 A
G05B11/32 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020056399
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021157429
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】矢作 修一
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-219792(JP,A)
【文献】特開2012-118785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 13/02
G05B 11/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィードバック制御器及びフィードフォワード制御器によって制御対象を制御する2自由度制御システムの制御器設定方法であって、
前記制御対象を擬似した閉ループ系の伝達特性を、前記閉ループ系の制御パラメータを求めるデータ駆動制御に基づいて設定する特性設定ステップと、
設定した前記閉ループ系の伝達特性の逆特性に基づいて、前記フィードフォワード制御器を設定する制御器設定ステップと、
前記制御器設定ステップ後に、前記データ駆動制御に基づいて前記閉ループ系の前記制御パラメータを逐次調整するパラメータ調整ステップと、
を有し、
前記制御器設定ステップにおいて、前記フィードフォワード制御器と同じ入力信号が入力される、目標値と制御対象応答の伝達関数を示す参照モデルのモデル特性と、前記閉ループ系の伝達特性の逆特性とを乗算して、前記フィードフォワード制御器を設定する、2自由度制御システムの制御器設定方法。
【請求項2】
前記パラメータ調整ステップは、
前記閉ループ系の出力である第1出力データを取得するステップと、
前記閉ループ系への入力信号を、目標値と参照応答の伝達関数である参照モデルに入力した場合の前記参照モデルの出力である第2出力データを取得するステップと、
前記第1出力データと前記第2出力データの誤差である評価関数に基づいて、前記閉ループ系の前記制御パラメータを調整するステップと、を有する、
請求項1に記載の2自由度制御システムの制御器設定方法。
【請求項3】
前記パラメータ調整ステップにおいて、前記2自由度制御システムの応答が所定値よりも低下した場合に、前記閉ループ系の前記制御パラメータを逐次調整する、
請求項1又は2に記載の2自由度制御システムの制御器設定方法。
【請求項4】
前記パラメータ調整ステップにおいて、検出装置が前記制御対象の変更を検出した場合に、前記閉ループ系の前記制御パラメータを逐次調整する、
請求項1又は3に記載の2自由度制御システムの制御器設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2自由度制御システムの制御器設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フィードバッグ制御及びフィードフォワード制御の両方を用いて、制御対象を制御する2自由度制御システムが提案されている。2自由度制御システムで制御対象を制御することで、フィードバック制御のみで制御する場合に比べて、速い応答性を実現可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-310651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の2自由度制御システムでは、フィードフォワード制御器を構成するために、制御対象のモデルの同定が必要となる。制御対象のモデルは、例えば関数で規定されるが、関数の係数等を正確に規定するのに工数がかかってしまう。
また、2自由度制御システムにおいては、経年変化により制御対象の変動が発生しうる。この場合、2自由度制御システムの安定性が劣化するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、迅速に設計した2自由度制御システムの制御の安定性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、フィードバック制御器及びフィードフォワード制御器によって制御対象を制御する2自由度制御システムの制御器設定方法であって、前記制御対象を擬似した閉ループ系の伝達特性を、前記閉ループ系の制御パラメータを求めるデータ駆動制御に基づいて設定する特性設定ステップと、設定した前記閉ループ系の伝達特性の逆特性に基づいて、前記フィードフォワード制御器を設定する制御器設定ステップと、前記制御器設定ステップ後に、前記データ駆動制御に基づいて前記閉ループ系の前記制御パラメータを逐次調整するパラメータ調整ステップと、を有する、2自由度制御システムの制御器設定方法を提供する。
【0007】
また、前記パラメータ調整ステップは、前記閉ループ系の出力である第1出力データを取得するステップと、前記閉ループ系への入力信号を、目標値と参照応答の伝達関数である参照モデルに入力した場合の前記参照モデルの出力である第2出力データを取得するステップと、前記第1出力データと前記第2出力データの誤差である評価関数に基づいて、前記閉ループ系の前記制御パラメータを調整するステップと、を有することとしてもよい。
【0008】
また、前記パラメータ調整ステップにおいて、前記2自由度制御システムの応答が所定値よりも低下した場合に、前記閉ループ系の前記制御パラメータを逐次調整することとしてもよい。
【0009】
また、前記パラメータ調整ステップにおいて、検出装置が前記制御対象の変更を検出した場合に、前記閉ループ系の前記制御パラメータを逐次調整することとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、迅速に設計した2自由度制御システムの制御の安定性を確保できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】比較例に係る2自由度制御システム100の概要を説明するための模式図である。
図2】本発明の一の実施形態に係る2自由度制御システム1の構成を説明するための模式図である。
図3】FRITを適用した制御システム200を説明するための模式図である。
図4】フィードフォワード制御器30の設定の流れを説明するためのフローチャートである。
図5】閉ループ系50の制御パラメータの自動調整の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<2自由度制御システムの構成>
2自由度制御システムは、フィードバック制御とフィードフォワード制御の両方を用いて制御対象を制御するための制御システムであり、通常のフィードバック制御にフィードフォワード制御を組み合わせることで、安定性と速応性の両立を実現している。
【0013】
以下では、本発明に係る2自由度制御システムの構成を説明する前に、比較例に係る2自由度制御システムの構成について、図1を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、比較例に係る2自由度制御システム100の概要を説明するための模式図である。比較例に係る2自由度制御システム100においては、フィードバック制御器120のフィードバック指令と、フィードフォワード制御器130のフィードフォワード指令とが、加算器140で加算されて、制御対象150への指令となる。
【0015】
ここで、制御対象150の伝達関数がPであり、フィードバック制御器120の伝達関数がKであるものとする。一方で、フィードフォワード制御器130の伝達関数は、制御対象150のモデルの伝達関数P-1を用いて設定できる。この際、伝達関数P-1のみでは微分が発生してしまうので、参照モデル110の伝達関数Mを組み合わせて設定される。すなわち、フィードフォワード制御器130の伝達関数は、P-1Mとなる。なお、参照モデル110の伝達関数Mは、例えば目標値と制御対象応答の伝達関数である。
【0016】
ところで、比較例の2自由度制御システム100においては、フィードフォワード制御器130を構成するために、制御対象150のモデルの同定が必要となる。制御対象150のモデルは、例えば関数で規定されるが、関数の係数等を正確に規定するのに工数がかかってしまう。また、必ずしも制御対象150のモデルを正確に規定できない。
【0017】
これに対して、以下に説明する本発明に係る2自由度制御システムにおいては、フィードフォワード制御器130を構成するための制御対象150のモデルが不要であり、フィードフォワード制御器130を直ぐに設計することが可能となる。
【0018】
図2は、本発明の一の実施形態に係る2自由度制御システム1の構成を説明するための模式図である。2自由度制御システム1は、例えば制御対象として、トラック等の車両に搭載された構成要素を制御するシステムである。制御対象としては、例えば車両のトランスミッションの回転制御であるが、これに限定されず、エンジンの回転制御やモータの回転制御であってもよい。以下では、制御対象が、関数等で同定されていないものとする。
【0019】
2自由度制御システム1は、比較例と同様に、参照モデル10、フィードバック制御器20及びフィードフォワード制御器30を有する。参照モデル10、フィードバック制御器20及びフィードフォワード制御器30は、図1の参照モデル110、フィードバック制御器120及びフィードフォワード制御器130と同様の機能を有するので、詳細な説明は省略する。一方で、2自由度制御システム1は、制御対象を擬似した仮想制御対象である閉ループ系50を有する。
【0020】
閉ループ系50は、閉ループ系50の伝達特性が制御対象と擬制できるように、設けられている。閉ループ系50の伝達特性は、例えば2自由度制御システム1の設計者によって指定される。閉ループ系50の伝達特性は、本実施形態では、閉ループ系50の制御パラメータを求めるデータ駆動制御に基づいて設定される。データ駆動制御として、ここではFRIT(Fictitious Reference Iterative Tuning)が利用される。ただし、これに限定されず、データ駆動制御として、例えばVRFT(Virtual Reference Feedback Tuning)を利用してもよい。
【0021】
FRITは、通常、制御システムにおける制御器の制御パラメータを調整するのに利用される。具体的には、FRITは、一組の入出力データと参照モデルから、閉ループ系の制御器の制御パラメータを自動調整する。
【0022】
図3は、FRITを適用した制御システム200を説明するための模式図である。
制御システム200は、図3に示すように、制御器202と、制御対象204と、参照モデル206とを有する。
【0023】
制御器202は、ここでは、制御パラメータθを引数とする関数C(θ)で表現される。制御対象204には、制御器202の出力である入力uが入力される。また、制御対象204の出力は、ここでは出力yであり、制御器202への入力にフィードバックされる。参照モデル206は、目標値と参照応答の伝達関数であり、制御対象204に入力する入力信号が入力される。制御システム200においては、制御対象204の出力yと、参照モデル206の出力とを一致させることが目的である。
【0024】
ところで、制御システム200の応答(すなわち、制御対象204の出力y)と、参照モデル206及び入力信号から得られる目標応答(すなわち、参照モデル206の出力)との誤差が、評価関数として定義される。この場合、制御パラメータθは、評価関数において、制御対象204の出力yと参照モデル206の出力との2乗誤差を最小化するものを意味し、制御器202の最適なパラメータである。
【0025】
図2に戻り、2自由度制御システム1の説明を続ける。制御対象と擬制した閉ループ系50は、制御器52と、制御対象54とを含む。閉ループ系50は、図3のFRITが適用された制御システム200に対応したものである。具体的には、制御器52が制御器202に相当し、制御対象54が制御対象204に相当する。
【0026】
閉ループ系50の伝達特性は、参照モデル206の伝達関数に相当し、ここではMFRITである。本実施形態では、設計者が伝達関数MFRITを設定することで、制御対象のモデルを使用することなく、制御対象と擬制した閉ループ系50の伝達特性が定まる。これにより、制御器52の制御パラメータは、閉ループ系50の伝達特性がMFRITと同等になるような最適なパラメータに設定される。
【0027】
定まった閉ループ系50の伝達特性(MFRIT)の逆特性(MFRIT -1)を用いることで、フィードフォワード制御器30を設定できる。例えば、フィードフォワード制御器30と同じ入力信号が入力される、目標値と参照応答の伝達関数を示す参照モデル10のモデル特性(伝達関数M)と、閉ループ系50の伝達特性の逆特性(MFRIT -1)とを乗算することで、フィードフォワード制御器30の伝達関数が設定される。すなわち、制御対象のモデルを使用することなく、フィードフォワード制御器30を設定できる。
【0028】
ところで、2自由度制御システム1においては、経年変化により制御対象の変動が発生しうる。制御対象が変動すると、2自由度制御システム1の安定性が劣化するおそれがある。そこで、本実施形態の2自由度制御システム1は、システムの安定性を確保するために、制御対象の変動に合わせて制御パラメータを調整するパラメータ調整装置70(図2)を有する。
【0029】
パラメータ調整装置70は、閉ループ系50の制御パラメータを調整する。本実施形態では、パラメータ調整装置70は、フィードフォワード制御器30の設定後に、閉ループ系50の制御パラメータを調整する。具体的には、パラメータ調整装置70は、データ駆動制御(例えばFRIT)に基づいて、閉ループ系50の制御パラメータを取得し、取得した制御パラメータに更新する。これにより、閉ループ系50の制御パラメータを最適な値に自動で調整できる。
【0030】
また、パラメータ調整装置70は、予め設定した閉ループ系50の伝達関数MFRITを維持するように、閉ループ系50の制御パラメータを調整する。これにより、フィードフォワード制御器30の設定変更が必要無く、この結果、システムの目標値追従性も確保しやすくなる。
【0031】
パラメータ調整装置70は、例えば以下の手順(図3の説明を参照)で、閉ループ系50の制御パラメータを調整する。まず、パラメータ調整装置70は、閉ループ系50の出力データ(以下、第1出力データ)を取得する。また、パラメータ調整装置70は、閉ループ系50への入力信号を、目標値と参照応答の伝達関数である参照モデル(図3の参照モデル206を参照)に入力した場合の参照モデルの出力データ(以下、第2出力データ)を取得する。そして、パラメータ調整装置70は、第1出力データと第2出力データの誤差である評価関数に基づいて、閉ループ系50の制御パラメータを調整する。具体的には、パラメータ調整装置70は、閉ループ系50の出力と参照モデルの出力との2乗誤差を最小化する制御パラメータを求める。このように求めた制御パラメータは、閉ループ系50の最適なパラメータとなる。
【0032】
パラメータ調整装置70は、所定の調整タイミングになると、閉ループ系50の制御パラメータを調整する。例えば、パラメータ調整装置70は、2自由度制御システム1の応答が所定値よりも低下した場合に、閉ループ系50の制御パラメータを逐次調整する。また、パラメータ調整装置70は、検出装置が制御対象の変更を検出した場合に、閉ループ系50の制御パラメータを逐次調整する。これにより、制御対象に変動が生じた場合に、制御パラメータを迅速に調整できる。
【0033】
<フィードフォワード制御器の設定の流れ>
2自由度制御システム1のフィードフォワード制御器30の設定の流れについて、図4を参照しながら説明する。
【0034】
図4は、フィードフォワード制御器30の設定の流れを説明するためのフローチャートである。図4に示す一連の手順は、例えば2自由度制御システム1の設計者によって行われる。
【0035】
図4のフローチャートは、閉ループ系50を設定するところから開始される(ステップS102)。すなわち、2自由度制御システム1の制御対象を擬制した閉ループ系50が設定される。
【0036】
次に、閉ループ系50の伝達特性を、データ駆動制御(例えばFRIT)に基づいて設定する(ステップS104)。例えば、FRITの参照モデルの伝達関数MFRITを、閉ループ系50の伝達特性として設定する。
【0037】
次に、閉ループ系50の制御パラメータを求める(ステップS106)。例えば、FRITの評価関数を用いることで、閉ループ系50の制御器52の最適な制御パラメータが求まる。すなわち、閉ループ系50の特性がMFRITと等しくなる制御パラメータが求まる。
【0038】
次に、閉ループ系50の伝達特性を用いて、フィードフォワード制御器30を設定する(ステップS108)。具体的には、伝達関数MFRITの逆特性(MFRIT -1)と、参照モデルのモデル特性(伝達関数)とを乗算して、フィードフォワード制御器30を設定する。
【0039】
なお、上記では、ステップS106の手順の後にステップS108の手順を行うこととしたが、これに限定されない。例えば、ステップS108の手順の後に、ステップS106の手順を行ってもよい。
【0040】
<制御パラメータの自動調整の流れ>
フィードフォワード制御器30の設定後の閉ループ系50の制御パラメータの自動調整の流れについて、図5を参照しながら説明する。
【0041】
図5は、閉ループ系50の制御パラメータの自動調整の流れを説明するためのフローチャートである。図5に示す一連の処理は、パラメータ調整装置70によって行われる。
【0042】
まず、パラメータ調整装置70は、閉ループ系50の制御パラメータの調整タイミングになったか否かを判定する(ステップS120)。例えば、パラメータ調整装置70は、システムの応答が低下した場合に、調整タイミングになったと判定する。
【0043】
ステップS120で調整タイミングであると判定した場合には(Yes)、パラメータ調整装置70は、閉ループ系50の出力である第1出力データを取得する(ステップS122)。また、パラメータ調整装置70は、参照モデルの出力である第2出力データを取得する(ステップS124)。なお、ステップS122とS124の処理は、逆の順番で実施されてもよい。
【0044】
次に、パラメータ調整装置70は、第1出力データと第2出力データの誤差である評価関数を求める(ステップS126)。そして、パラメータ調整装置70は、評価関数に基づいて、閉ループ系50の制御パラメータを調整する(ステップS128)。例えば、パラメータ調整装置70は、評価関数において、第1出力データと第2出力データとの2乗誤差を最小化するように制御パラメータを調整する。
パラメータ調整装置70は、その後、上述したステップS120~S128の処理を繰り返す。これにより、制御対象の変動が生じるたびに、制御パラメータが自動で調整される。たとえば、逐次最小二乗法の適用等により評価関数が最小になるパラメータを逐次求めることができる。
【0045】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態においては、2自由度制御システム1の制御対象を擬似した閉ループ系50の伝達特性を、閉ループ系50の制御パラメータを求めるデータ駆動制御(例えばFRIT)に基づいて設定する。そして、設定した閉ループ系50の伝達特性の逆特性(MFRIT -1)に基づいて、フィードフォワード制御器30を設定する。さらに、フィードフォワード制御器30の設定後に、上述したデータ駆動制御を用いて、閉ループ系50の制御パラメータを逐次調整する。
これにより、フィードフォワード制御器30を精度良く設定した後に、制御対象の変動があっても、閉ループ系50の制御パラメータを逐次調整することで、システムの安定性を確保できる。また、設定後のフィードフォワード制御器30の伝達関数を維持するように制御パラメータを調整するので、システムの目標値追従性も確保しやすくなる。
【0046】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0047】
1 2自由度制御システム
20 フィードバック制御器
30 フィードフォワード制御器
50 閉ループ系

図1
図2
図3
図4
図5