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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】給電制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/20 20060101AFI20230912BHJP
   G01R 19/32 20060101ALI20230912BHJP
   H02H 3/08 20060101ALI20230912BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20230912BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20230912BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H02H7/20 D
G01R19/32
H02H3/08 T
H02H3/087
H03K17/08 C
H03K17/687 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020074813
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021175213
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】村田 隼基
(72)【発明者】
【氏名】榊原 弘紀
(72)【発明者】
【氏名】澤田 凌兵
(72)【発明者】
【氏名】澤野 峻一
(72)【発明者】
【氏名】小田 康太
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-85470(JP,A)
【文献】特開2017-229138(JP,A)
【文献】特開2012-54804(JP,A)
【文献】特開2004-48498(JP,A)
【文献】特開2010-93434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/20
G01R 19/32
H02H 3/08
H02H 3/087
H03K 17/08
H03K 17/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流が流れる半導体スイッチをオン又はオフに切替えることによって給電を制御する給電制御装置であって、
前記半導体スイッチの上流側の一端に一端が接続されている抵抗回路と、
前記抵抗回路を介して流れる電流を、前記半導体スイッチの両端間の電圧を前記抵抗回路の抵抗値で除算した値に調整する電流調整回路と、
前記抵抗回路を介して流れる電流の電流経路に配置される抵抗と、
前記抵抗の両端間の電圧が所定電圧を超えた場合に前記半導体スイッチをオフに切替える切替え回路と
を備え、
前記半導体スイッチのオン抵抗値は、前記半導体スイッチの周囲温度に応じて変動し、
前記抵抗回路の抵抗値は、前記周囲温度に応じて前記オン抵抗値と同じ方向に変動する
給電制御装置。
【請求項2】
前記抵抗回路は第2の半導体スイッチを有し、
前記切替え部は、前記半導体スイッチをオンに切替えた場合、前記第2の半導体スイッチをオンに切替え、
前記第2の半導体スイッチのオン抵抗値は、前記半導体スイッチの前記周囲温度に応じて、前記半導体スイッチのオン抵抗値と同じ方向に変動する
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項3】
前記抵抗回路は、前記第2の半導体スイッチに直列に接続される直列抵抗を有する
請求項2に記載の給電制御装置。
【請求項4】
前記抵抗回路は、前記第2の半導体スイッチ及び直列抵抗の直列回路に並列に接続される並列抵抗を有する
請求項2に記載の給電制御装置。
【請求項5】
前記抵抗回路は、前記第2の半導体スイッチに並列に接続される並列抵抗を有する
請求項2又は請求項3に記載の給電制御装置。
【請求項6】
前記電流調整回路は、
可変抵抗器と、
前記半導体スイッチ及び抵抗回路の下流側の一端の電圧が一致するように前記可変抵抗器の抵抗値を調整する抵抗調整部と
を有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は給電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、半導体スイッチとして機能するMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をオン又はオフに切替えることによって、電源から負荷への給電を制御する給電制御装置(例えば、特許文献1を参照)が搭載されている。特許文献1に記載の給電制御装置では、電源から負荷への電流の第1電流経路にMOSFETのドレイン及びソースが配置されている。特許文献1に記載の給電制御装置では、更に、電源から抵抗に流れる電流の第2電流経路が設けられている。第2電流経路を流れる電流は、MOSFETのドレイン及びソース間の電圧に比例する電流に調整される。
【0003】
MOSFETのドレイン及びソース間の電圧は、第1電流経路を介して流れる電流と、MOSFETのオン抵抗値との積で表される。オン抵抗値は、MOSFETがオンである場合におけるMOSFETのドレイン及びソースの抵抗値である。MOSFETのオン抵抗値は、MOSFETの温度に応じて変動する。
【0004】
特許文献1に記載の給電制御装置では、抵抗の両端間の電圧についてアナログ値をデジタル値に変換する。演算素子は、デジタル値で表される抵抗の両端間の電圧と、MOSFETの温度と同様に変動するMOSFETの周囲温度とに基づいて、MOSFETを介して流れる電流を算出する。演算素子が算出した電流が大きい場合、MOSFETをオフに切替える。これにより、MOSFETを介して過電流が流れることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-85470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、MOSFETを介して流れる電流の算出にかかる時間は長い。このため、特許文献1に記載の給電制御装置には、MOSFETを介して流れる電流が大きい場合に即時にMOSFETをオフにすることができないという問題がある。
【0007】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、半導体スイッチを介して流れる電流を算出することなく、半導体スイッチを適切なタイミングでオフに切替えることができる給電制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る給電制御装置は、電流が流れる半導体スイッチをオン又はオフに切替えることによって給電を制御する給電制御装置であって、前記半導体スイッチの上流側の一端に一端が接続されている抵抗回路と、前記抵抗回路を介して流れる電流を、前記半導体スイッチの両端間の電圧を前記抵抗回路の抵抗値で除算した値に調整する電流調整回路と、前記抵抗回路を介して流れる電流の電流経路に配置される抵抗と、前記抵抗の両端間の電圧が所定電圧を超えた場合に前記半導体スイッチをオフに切替える切替え回路とを備え、前記半導体スイッチのオン抵抗値は、前記半導体スイッチの周囲温度に応じて変動し、前記抵抗回路の抵抗値は、前記周囲温度に応じて前記オン抵抗値と同じ方向に変動する。
【発明の効果】
【0009】
上記の態様によれば、半導体スイッチを介して流れる電流を算出することなく、半導体スイッチを適切なタイミングでオフに切替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図2】給電制御装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図3】給電FETのオン抵抗値及び周囲温度の関係を示すグラフである。
図4】抵抗回路の回路図である。
図5】直列抵抗の抵抗値を決定する方法の説明図である。
図6】実施形態2における抵抗回路の回路図である。
図7】給電制御装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図8】並列抵抗の効果の説明図である。
図9】実施形態3における抵抗回路の回路図である。
図10】実施形態4における抵抗回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1)本開示の一態様に係る給電制御装置は、電流が流れる半導体スイッチをオン又はオフに切替えることによって給電を制御する給電制御装置であって、前記半導体スイッチの上流側の一端に一端が接続されている抵抗回路と、前記抵抗回路を介して流れる電流を、前記半導体スイッチの両端間の電圧を前記抵抗回路の抵抗値で除算した値に調整する電流調整回路と、前記抵抗回路を介して流れる電流の電流経路に配置される抵抗と、前記抵抗の両端間の電圧が所定電圧を超えた場合に前記半導体スイッチをオフに切替える切替え回路とを備え、前記半導体スイッチのオン抵抗値は、前記半導体スイッチの周囲温度に応じて変動し、前記抵抗回路の抵抗値は、前記周囲温度に応じて前記オン抵抗値と同じ方向に変動する。
【0013】
上記の態様にあっては、抵抗回路を介して流れる電流は、(半導体スイッチの両端間の電圧)/(抵抗回路の抵抗値)で表される。半導体スイッチの両端間の電圧は、半導体スイッチを介して流れる電流と、半導体スイッチのオン抵抗値との積で表される。半導体スイッチの周囲温度に応じて、半導体スイッチのオン抵抗値と、抵抗回路の抵抗値とが同じ方向に変動する。このため、半導体スイッチの周囲温度が変動した場合であっても、抵抗を介して流れる電流は殆ど変動することはない。抵抗の両端間の電圧は、半導体スイッチの周囲温度に応じて殆ど変動せず、半導体スイッチを介して流れる電流に比例する。抵抗の両端間の電圧が所定電圧を超えた場合、半導体スイッチを介して流れる電流が大きいとして、半導体スイッチをオフに切替える。このように、半導体スイッチを介して流れる電流を算出することなく、半導体スイッチを適切なタイミングでオフに切替えることができる。
【0014】
(2)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記抵抗回路は第2の半導体スイッチを有し、前記切替え部は、前記半導体スイッチをオンに切替えた場合、前記第2の半導体スイッチをオンに切替え、前記第2の半導体スイッチのオン抵抗値は、前記半導体スイッチの前記周囲温度に応じて、前記半導体スイッチのオン抵抗値と同じ方向に変動する。
【0015】
上記の態様にあっては、抵抗回路には、第2の半導体スイッチが配置されており、第2の半導体スイッチのオン抵抗値は、半導体スイッチの周囲温度に応じて、半導体スイッチのオン抵抗値と同じ方向に変動する。このため、抵抗回路の抵抗値は、半導体スイッチの周囲温度に応じて、半導体スイッチのオン抵抗値と同じ方向に変動する。
【0016】
第2の半導体スイッチとして、例えば、構造が半導体スイッチの構造と同じスイッチを用いる。具体的には、半導体スイッチがMOSFETである場合、第2の半導体スイッチとしてMOSFETを用いる。この場合、半導体スイッチの周囲温度に応じて、抵抗値が半導体スイッチのオン抵抗値と同様に変動する抵抗回路を容易に実現することができる。
【0017】
(3)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記抵抗回路は、前記第2の半導体スイッチに直列に接続される直列抵抗を有する。
【0018】
上記の態様にあっては、半導体スイッチのオン抵抗値と抵抗回路の抵抗値との比が半導体スイッチの周囲温度に無関係に一定である場合においては、半導体スイッチを介して流れる電流に関する電流閾値は半導体スイッチの周囲温度に無関係に一定である。この場合、半導体スイッチを適切なタイミングでオフに切替えることができる。半導体スイッチのオン抵抗値と第2の半導体スイッチのオン抵抗値との比が周囲温度に無関係に一定ではないと仮定する。この場合であっても、第2の半導体スイッチに直列抵抗を直列に接続することによって、半導体スイッチのオン抵抗値と抵抗回路の抵抗値との比が半導体スイッチの周囲温度に無関係に一定である構成を実現することができる。
【0019】
(4)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記抵抗回路は、前記第2の半導体スイッチ及び直列抵抗の直列回路に並列に接続される並列抵抗を有する。
【0020】
上記の態様にあっては、半導体スイッチのオン抵抗値と第2の半導体スイッチのオン抵抗値との比が周囲温度に無関係に一定ではないと仮定する。この場合であっても、第2の半導体スイッチに直列抵抗を直列に接続し、かつ、直列回路に並列抵抗を並列に接続することによって、半導体スイッチのオン抵抗値と抵抗回路の抵抗値との比が半導体スイッチの周囲温度に無関係に一定である構成を実現することができる。
【0021】
(5)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記抵抗回路は、前記第2の半導体スイッチに並列に接続される並列抵抗を有する。
【0022】
上記の態様にあっては、第2の半導体スイッチに並列抵抗が並列に接続されている。これにより、抵抗値が、第2の半導体スイッチのオン抵抗値から、第2の半導体スイッチ及び並列抵抗の並列回路の抵抗値に低下する。
【0023】
(6)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記電流調整回路は、可変抵抗器と、前記半導体スイッチ及び抵抗回路の下流側の一端の電圧が一致するように前記可変抵抗器の抵抗値を調整する抵抗調整部とを有する。
【0024】
上記の態様にあっては、半導体スイッチ及び抵抗回路の下流側の一端の電圧が一致するように可変抵抗器の抵抗値を調整する。これにより、抵抗回路を介して流れる電流は、半導体スイッチの両端間の電圧を抵抗回路の抵抗値で除算した値に調整される。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
(実施形態1)
<電源システムの構成>
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は、車両に好適に搭載されており、給電制御装置10、直流電源11及び負荷12を備える。直流電源11は、例えばバッテリである。負荷12は、車両に搭載されている電気機器である。
【0027】
給電制御装置10は、直流電源11から負荷12への給電を制御するための給電FET20を有する。給電FET20は、Nチャネル型のMOSFETであり、半導体スイッチとして機能する。給電FET20のドレイン及びソースそれぞれは、直流電源11の正極及び負荷12の一端に接続されている。直流電源11の負極と、負荷12の他端とは接地されている。
【0028】
給電FET20について、状態がオンである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は小さく、ドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。給電FET20のオン抵抗値は、給電FET20がオンである場合における給電FET20のドレイン及びソース間の抵抗値である。給電FET20がオンである場合、直流電源11の正極から、電流が、給電FET20、負荷12及び直流電源11の負極の順に流れ、負荷12に電力が供給される。負荷12に電力が供給された場合、負荷12は作動する。
【0029】
給電FET20について、状態がオフである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に大きく、ドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。給電FET20がオフである場合、負荷12に電力が供給されることはない。給電FET20がオフに切替わった場合、負荷12への給電は停止し、負荷12は動作を停止する。
給電制御装置10は、給電FET20をオン又はオフに切替えることによって、直流電源11から負荷12への給電を制御する。
【0030】
<給電制御装置10の構成>
給電制御装置10は、給電FET20に加えて、駆動回路21、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)22、コンパレータ23、抵抗回路24、電流調整回路25及び検出抵抗26を有する。抵抗回路24は、電流が入力される入力端、電流が出力される出力端及び制御端を有する。電流調整回路25は、電流を調整するための調整FET30及び差動増幅器31を有する。コンパレータ23及び差動増幅器31それぞれは、プラス端、マイナス端及び出力端を有する。調整FET30は、Pチャネル型のFET(Field Effect Transistor)である。
【0031】
給電FET20のゲートには、駆動回路21が接続されている。駆動回路21は、更に、マイコン22と、コンパレータ23の出力端とが接続されている。給電FET20のドレイン及びゲートそれぞれは、抵抗回路24の入力端及び制御端に接続されている。抵抗回路24の出力端は、電流調整回路25の調整FET30のソースに接続されている。調整FET30のドレインは検出抵抗26の一端に接続されている。検出抵抗26の他端は接地されている。電流調整回路25内において、調整FET30のソース及びゲートそれぞれは、差動増幅器31のマイナス端及び出力端に接続されている。差動増幅器31のプラス端は、給電FET20のソースに接続されている。検出抵抗26の一端は、更に、コンパレータ23のマイナス端に接続されている。
【0032】
駆動回路21は電圧を出力する。駆動回路21の出力電圧は、給電FET20のゲートと抵抗回路24の制御端とに印加される。駆動回路21の出力電圧の基準電位は接地電位である。駆動回路21の出力電圧が第1オン電圧以上の電圧である場合、給電FET20はオンである。抵抗回路24の状態として、抵抗回路24を介して電流が流れることが可能なオン状態と、抵抗回路24を介して電流が流れないオフ状態とがある。駆動回路21の出力電圧が第2オン電圧以上の電圧である場合、抵抗回路24はオンである。
【0033】
駆動回路21の出力電圧が第1オフ電圧未満の電圧である場合、給電FET20はオフである。駆動回路21の出力電圧が第2オフ電圧未満の電圧である場合、抵抗回路24はオフである。第1オン電圧は第1オフ電圧を超えている。第1オフ電圧は正の電圧である。同様に、第2オン電圧が第2オフ電圧を超えている。第2オフ電圧は正の電圧である。
【0034】
駆動回路21は、出力電圧を第1オン電圧及び第2オン電圧よりも高い電圧に調整することによって、給電FET20及び抵抗回路24をオンに切替える。駆動回路21は、出力電圧を第1オフ電圧及び第2オフ電圧よりも低い電圧に調整することによって、給電FET20及び抵抗回路24をオフに切替える。給電FET20がオンである場合、前述したように、給電FET20を介して電流が流れ、直流電源11から負荷12に電力が供給される。このとき、給電FET20では、電流は給電FET20のドレイン及びソースの順に流れる。従って、給電FET20を介して流れる電流経路において、給電FET20のドレイン及びソースそれぞれは、上流側及び下流側の一端である。給電FET20がオフである場合、前述したように、負荷12への給電が停止する。以下では、給電FET20を介して流れる電流をスイッチ電流と記載する。
【0035】
抵抗回路24がオンである場合、直流電源11の正極から、電流が、抵抗回路24、電流調整回路25の調整FET30及び検出抵抗26の順に流れる。抵抗回路24では、電流は入力端及び出力端の順に流れる。従って、抵抗回路24を介して流れる電流の電流経路において、入力端及び出力端それぞれは上流側及び下流側の一端である。以下では、抵抗回路24を介して流れる電流を抵抗電流と記載する。抵抗電流の電流経路において、電流調整回路25の調整FET30は抵抗回路24の下流側に配置され、検出抵抗26は電流調整回路25の調整FET30の下流側に配置されている。抵抗回路24がオフである場合、抵抗回路24を介した電流の通流が停止する。
【0036】
マイコン22及びコンパレータ23それぞれは、ハイレベル電圧及びローレベル電圧を駆動回路21に出力する。ハイレベル電圧及びローレベル電圧の基準電位は接地電位である。ハイレベル電圧はローレベル電圧よりも高い。駆動回路21は、マイコン22及びコンパレータ23の出力電圧に基づいて、給電FET20及び抵抗回路24をオン又はオフに切替える。
【0037】
マイコン22は、負荷12を作動させる場合に出力電圧をハイレベル電圧に切替え、負荷12の動作を停止させる場合に出力電圧をローレベル電圧に切替える。コンパレータ23のプラス端には、一定の所定電圧が印加されている。所定電圧は、正の電圧であり、例えば、レギュレータが直流電源11の出力電圧を降圧することによって生成される。所定電圧の基準電位は接地電位である。コンパレータ23のマイナス端には、基準電位が接地電位である検出抵抗26の一端の電圧、即ち、検出抵抗26の両端間の電圧が印加されている。以下では、検出抵抗26の両端間の電圧を検出電圧と記載する。コンパレータ23は、検出電圧が所定電圧以下の電圧となった場合、出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。コンパレータ23は、検出電圧が所定電圧を超えた場合、出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。
【0038】
電流調整回路25内において、差動増幅器31は、基準電位が接地電位である電圧を出力する。差動増幅器31の出力電圧は調整FET30のゲートに印加される。差動増幅器31の出力電圧が高い程、調整FET30のドレイン及びソース間の抵抗値は大きい。差動増幅器31の出力電圧が低い程、調整FET30のドレイン及びソース間の抵抗値は小さい。差動増幅器31は、出力電圧を調整することによって、調整FET30のドレイン及びソース間の抵抗値を調整する。調整FET30及び差動増幅器31それぞれは可変抵抗器及び抵抗調整部として機能する。
【0039】
以下では、給電FET20のソースの電圧をスイッチ電圧と記載する。抵抗回路24の出力端の電圧を抵抗電圧と記載する。スイッチ電圧及び抵抗電圧の基準電位は接地電位である。差動増幅器31は、スイッチ電圧から抵抗電圧を減算することによって算出される差分電圧が高い程、出力電圧を高い電圧に調整する。
【0040】
差動増幅器31は、スイッチ電圧が抵抗電圧よりも高い電圧に上昇した場合、出力電圧を上昇させる。このとき、スイッチ電圧及び抵抗電圧の差分電圧が大きい程、差動増幅器31の出力電圧の上昇幅は大きい。これにより、調整FET30のドレイン及びソース間の抵抗値が上昇し、抵抗回路24を介して流れる電流が低下する。結果、抵抗回路24において発生する電圧降下の幅が低下し、抵抗電圧は上昇する。
【0041】
差動増幅器31は、スイッチ電圧が抵抗電圧よりも低い電圧に低下した場合、出力電圧を低下させる。このとき、スイッチ電圧及び抵抗電圧の差分電圧の絶対値が大きい程、差動増幅器31の出力電圧の低下幅は大きい。これにより、調整FET30のドレイン及びソース間の抵抗値が低下し、抵抗回路24を介して流れる電流が上昇する。結果、抵抗回路24において発生する電圧降下の幅が上昇し、抵抗電圧は低下する。
【0042】
以上のように、差動増幅器31は、スイッチ電圧及び抵抗電圧が一致するように、調整FET30のドレイン及びソース間の抵抗値を調整する。直流電源11の両端間の電圧をVbと記載する。給電FET20のオン抵抗値をRaと記載する。給電FET20を介して流れるスイッチ電流をIaと記載する。抵抗回路24がオンである場合における抵抗回路24の抵抗値をRtと記載する。抵抗回路24を介して流れる抵抗電流をIsと記載する。給電FET20がオンである場合、スイッチ電圧は(Vb-Ra・Ia)で表される。「・」は積を示す。抵抗回路24がオンである場合、抵抗電圧は(Vb-Rt・Is)で表される。
【0043】
スイッチ電圧は抵抗電圧に一致するので、給電FET20及び抵抗回路24がオンである場合、下記式が成り立つ。
Vb-Ra・Ia=Vb-Rt・Is
この式を展開することによって下記式が得られる。
Is=Ra・Ia/Rt
従って、差動増幅器31は、抵抗回路24がオンである場合、抵抗電流Isを(Ra・Ia/Rt)に調整する。Ra・Iaは、給電FET20がオンである場合における給電FET20の両端間の電圧である。
【0044】
検出抵抗26の抵抗値及び検出電圧それぞれをRs及びVdで表す。検出電圧VdはRs・Isで表され、抵抗電流Isは(Ra・Ia/Rt)で表されるので、下記式が成り立つ。
Vd=Rs・Ra・Ia/Rt
【0045】
コンパレータ23のプラス端に印加されている所定電圧をVrと記載する。コンパレータ23の出力電圧は、Vr≧Vdを満たす場合、ハイレベル電圧である。Vr≧Vdにおいて、Vdに(Rs・Ra・Ia/Rt)を代入することによって下記式が得られる。
Vr≧Rs・Ra・Ia/Rt
この式を展開することによって下記式が得られる。
Ia≦(Rt・Vr)/(Rs・Ra)
【0046】
コンパレータ23の出力電圧は、Vr<Vdを満たす場合、ローレベル電圧である。Vr<Vdにおいて、Vdに(Rs・Ra・Ia/Rt)を代入し、式を展開する。これにより、下記式が得られる。
Ia>(Rt・Vr)/(Rs・Ra)
【0047】
電流閾値Ithを下記式のように定義する。
Ith=(Rt・Vr)/(Rs・Ra)
コンパレータ23は、スイッチ電流Iaが電流閾値Ith以下の電流となった場合に出力電圧をハイレベル電圧に切替え、スイッチ電流Iaが電流閾値Ithを超えた場合に出力電圧をローレベル電圧に切替える。
【0048】
給電FET20及び抵抗回路24がオフである場合、負荷12を介して電流が流れず、検出抵抗26を介して電流が流れない。このため、スイッチ電圧及び抵抗電圧はゼロVであるため、差動増幅器31は出力電圧の調整を停止している。抵抗回路24がオフである場合、検出抵抗26を介して電流が流れないので、検出電圧はゼロVである。所定電圧は正の電圧であるので、ゼロVは所定電圧Vr以下の電圧である。従って、給電FET20及び抵抗回路24がオフである場合、コンパレータ23はハイレベル電圧に出力する。
【0049】
<給電制御装置10の動作>
図2は、給電制御装置10の動作を説明するためのタイミングチャートである。図2では、マイコン22の出力電圧、給電FET20の状態、コンパレータ23の出力電圧及びスイッチ電流の推移が示されている。これらの推移の横軸には時間が示されている。図2では、ハイレベル電圧及びローレベル電圧それぞれはH及びLで示されている。マイコン22の出力電圧がローレベル電圧である場合、駆動回路21は給電FET20をオフに維持しているため、スイッチ電流はゼロAである。給電FET20がオフである場合、抵抗回路24もオフであるので、コンパレータ23の出力電圧はハイレベル電圧である。
【0050】
マイコン22が出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えた場合、駆動回路21は、コンパレータ23の出力電圧に無関係に給電FET20をオンに切替える。これにより、給電FET20を介してスイッチ電流が流れ、スイッチ電流がゼロAから上昇する。電源システム1が正常である場合においては、給電FET20がオンであるとき、スイッチ電流は電流閾値Ith以下の電流である。
【0051】
前述したように、駆動回路21は、給電FET20をオンに切替える場合、抵抗回路24もオンに切替える。従って、給電FET20がオンである場合、スイッチ電流に比例する検出電圧がコンパレータ23に印加される。ここで、スイッチ電流は電流閾値Ith以下の電流であるため、コンパレータ23はハイレベル電圧を出力し続ける。
【0052】
マイコン22が出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、駆動回路21は、コンパレータ23の出力電圧に無関係に給電FET20をオフに切替える。これにより、スイッチ電流はゼロAに低下する。前述したように、駆動回路21は、給電FET20をオフに切替えた場合、抵抗回路24もオフに切替える。このため、検出電圧がゼロVに低下する。コンパレータ23はハイレベル電圧を出力し続ける。
【0053】
前述したように、マイコン22が出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えた場合、駆動回路21は給電FET20をオンに切替え、給電FET20を介して、スイッチ電流が流れる。給電FET20がオンである場合において、スイッチ電流が電流閾値Ith以下の電流であるとき、コンパレータ23はハイレベル電圧を出力している。電源システム1において故障が発生し、スイッチ電流が上昇したと仮定する。故障は、例えば、負荷12の両端の短絡である。
【0054】
スイッチ電流が電流閾値Ithを超えた場合、コンパレータ23は出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。マイコン22の出力電圧がハイレベル電圧である状態でコンパレータ23の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、駆動回路21は給電FET20をオフに切替える。これにより、スイッチ電流はゼロAに低下する。駆動回路21は、給電FET20をオフに切替えた場合、抵抗回路24もオフに切替えるので、検出電圧はゼロVに低下する。結果、コンパレータ23は、出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。駆動回路21は、マイコン22の出力電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わるまで、給電FET20をオフに維持する。駆動回路21は切替え回路として機能する。
【0055】
以上のように、駆動回路21は、スイッチ電流が電流閾値Ithを超えた場合に給電FET20をオフに切替えるため、給電FET20を介して過電流が流れることが防止される。給電FET20を介して過電流が流れた場合、給電FET20の温度が異常な温度に上昇する可能性がある。このとき、給電FET20において故障が発生する可能性がある。
【0056】
<給電FET20のオン抵抗値の温度依存性>
図3は、給電FET20のオン抵抗値Ra及び周囲温度の関係を示すグラフである。給電FET20を介してスイッチ電流が流れた場合、給電FET20は発熱し、給電FET20の温度が上昇する。給電FET20の周囲温度は、給電FET20の温度と同様に変動する。給電FET20のオン抵抗値Raは、給電FET20の温度、即ち、給電FET20の周囲温度に応じて変動する。図3に示すように、給電FET20のオン抵抗値Raは、給電FET20の周囲温度が高い程、高い。
【0057】
前述したように、電流閾値Ithは(Rt・Vr)/(Rs・Ra)で表される。ここで、Rt、Vr及びRsそれぞれは、抵抗回路24の抵抗値、所定電圧及び検出抵抗26の抵抗値である。電流閾値Ithは、給電FET20の温度、即ち、給電FET20の周囲温度に無関係に、一定であることが好ましい。しかしながら、給電FET20のオン抵抗値Raは、給電FET20の周囲温度に応じて変動する。
【0058】
抵抗回路24の抵抗値Rtは、給電FET20の周囲温度に応じて、給電FET20のオン抵抗値と同じ方向に変動する。給電FET20の周囲温度が上昇したことによって、給電FET20のオン抵抗値が上昇前のオン抵抗値の2倍に上昇したと仮定する。この場合において、抵抗回路24の抵抗値Rtが上昇前の抵抗値の2倍に上昇すれば、電流閾値Ithは変動することはない。
【0059】
電流閾値Ithが一定の目標電流Igに維持するためには、下記式を満たす必要がある。
Rt/Ra=Rs・Ig/Vr
ここで、検出抵抗26の抵抗値Rsは、給電FET20の周囲温度に無関係に一定であるので、(Rs・Ig/Vr)は定数である。抵抗回路24として、給電FET20の周囲温度が変動した場合であっても、抵抗回路24の抵抗値Rt及び給電FET20のオン抵抗値Raの比が一定値に維持される回路を設計すればよい。これにより、電流閾値Ithは、給電FET20の周囲温度に無関係に一定の目標電流Igに維持される。
【0060】
<抵抗回路24の構成>
図4は抵抗回路24の回路図である。抵抗回路24は、回路FET40及び直列抵抗41を有する。回路FET40は、Nチャネル型のMOSFETであり、第2の半導体スイッチとして機能する。回路FET40のドレイン及びゲートそれぞれは、給電FET20のドレイン及びゲートに接続されている。回路FET40のソースに直列抵抗41の一端が接続されている。直列抵抗41の他端は、電流調整回路25の調整FET30のソースに接続されている。回路FET40のドレイン及びゲートそれぞれは、抵抗回路24の入力端及び制御端である。直列抵抗41の他端は抵抗回路24の出力端である。
以上のように、直列抵抗41は回路FET40に直列に接続されている。
【0061】
駆動回路21の出力電圧が第2オン電圧以上である場合、回路FET40はオンである。回路FET40について、状態がオンである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は小さく、ドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。回路FET40のオンは、抵抗回路24のオンを意味する。回路FET40のオン抵抗値は、回路FET40がオンである場合における回路FET40のドレイン及びソース間の抵抗値である。回路FET40がオンである場合、直流電源11の正極から、電流が、回路FET40、直列抵抗41、調整FET30及び検出抵抗26の順に流れる。
【0062】
駆動回路21の出力電圧が第2オフ電圧未満である場合、回路FET40はオフである。回路FET40について、状態がオフである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に大きく、ドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。回路FET40のオフは、抵抗回路24のオフを意味する。回路FET40がオフである場合、抵抗回路24を介して電流が流れることはない。
駆動回路21は、給電FET20をオンに切替える場合、回路FET40もオンに切替え、給電FET20をオフに切替える場合、回路FET40もオフに切替える。
【0063】
回路FET40は、例えば、給電FET20の近傍に配置されている。このため、回路FET40のオン抵抗値は、給電FET20の周囲温度に応じて変動する。前述したように、給電FET20及び回路FET40の両方はNチャネル型のMOSFETであり、給電FET20及び回路FET40の構造は同じである。このため、回路FET40のオン抵抗値は、給電FET20の周囲温度に応じて、給電FET20のオン抵抗値と同じ方向に変動する。従って、給電FET20の周囲温度が変化したことによって、給電FET20のオン抵抗値が上昇した場合、回路FET40のオン抵抗値も上昇する。
【0064】
抵抗回路24は回路FET40を有しているので、抵抗回路24の抵抗値は、給電FET20の周囲温度に応じて給電FET20のオン抵抗値と同じ方向に変動する。回路FET40として、構造が給電FET20と同じFETを用いることによって、抵抗回路24を容易に実現することができる。
【0065】
回路FET40に直列抵抗41を直列に接続することによって、回路FET40がオンである場合における抵抗回路24の抵抗値と給電FET20のオン抵抗値との比が一定値となるように調整することができる。
回路FET40のオン抵抗値及び直列抵抗41の抵抗値それぞれをRr及びRcと記載する。回路FET40がオンである場合における抵抗回路24の抵抗値Rtは(Rr+Rc)で表される。直列抵抗41の抵抗値Rcは、給電FET20の周囲温度に無関係に一定である。
【0066】
<パラメータの設計>
図5は、直列抵抗41の抵抗値Rcを決定する方法の説明図である。ここでは、パラメータの設計の一例を述べる。図5には、給電FET20のオン抵抗値Ra、回路FET40のオン抵抗値Rr及び抵抗回路24の抵抗値Rtそれぞれについて、給電FET20の周囲温度との関係が示されている。前述したように、Rtは、回路FET40がオンである場合における抵抗回路24の抵抗値である。
【0067】
予め設定されている周囲温度の範囲内において、オン抵抗値が直線的に変化するFETが給電FET20及び回路FET40として用いられる。従って、給電FET20のオン抵抗値Ra及び周囲温度の関係を示す式と、回路FET40のオン抵抗値Rr及び周囲温度の関係を示す式とは直線の式で表すことができる。
【0068】
給電FET20の周囲温度をTと記載する。給電FET20のオン抵抗値Ra及び周囲温度Tの関係は下記の近似式で表される。
Ra=Ca・T+Ba
Caは正の定数である。Baは定数である。給電FET20のオン抵抗値Raは、給電FET20の周囲温度Tの一次関数で表される。
【0069】
回路FET40のオン抵抗値Rr及び周囲温度Tの関係は下記の近似式で表される。
Rr=Cr・T+Br
Crは正の定数である。Brは定数である。回路FET40のオン抵抗値Rrは、給電FET20の周囲温度Tの一次関数で表される。
【0070】
直列抵抗41の抵抗値をRcと記載する。抵抗回路24の抵抗値Rtは下記式で表される。
Rt=Rr+Rc
この式に、Rr=Cr・T+Brを代入することによって、下記の近似式が得られる。
Rt=Cr・T+Br+Rc
【0071】
従って、抵抗回路24の抵抗値Rtと給電FET20のオン抵抗値Raとの比は下記の近似式で表される。
Rt/Ra=(Cr・T+Br+Rc)/(Ca・T+Ba)
この式を展開することによって、下記式が得られる。
Rt/Ra=(Cr/Ca)・(Ca・T+(Ca・(Br+Rc)/Cr)
/((Ca・T)+Ba)
【0072】
前述したように、抵抗回路24の抵抗値Rtと給電FET20のオン抵抗値Raとの比が一定である場合、電流閾値は、給電FET20の周囲温度Tに無関係に一定である(図3参照)。従って、下記式が満たされた場合、抵抗回路24の抵抗値Rtと給電FET20のオン抵抗値Raとの比は一定である。
Ca・(Br+Rc)/Cr=Ba
この式を展開することによって下記式が得られる。
Rc=(Cr・Ba/Ca)-Br
【0073】
従って、直列抵抗41として、抵抗値が((Cr・Ba/Ca)-Br)である抵抗を用いた場合、電流閾値が給電FET20の周囲温度Tに無関係に一定である構成が実現される。この場合、下記式が成り立つ。
Rt/Ra=Cr/Ca
【0074】
前述したように、抵抗回路24の抵抗値Rtと給電FET20のオン抵抗値Raとの比は下記式でも表される。
Rt/Ra=Rs・Ig/Vr
前述したように、Rs、Ig及びVrそれぞれは、検出抵抗26の抵抗値、目標電流及び所定電圧である。
【0075】
従って、直列抵抗41の抵抗値Rcを決定した後、下記式が満たされるように、検出抵抗26の抵抗値Rs、目標電流Ig及び所定電圧Vrを決定すればよい。
Rs・Ig/Vr=Cr/Ca
【0076】
<給電制御装置10の効果>
給電FET20の周囲温度に応じて、給電FET20のオン抵抗値と、抵抗回路24の抵抗値とが同じ方向に変動する。このため、給電FET20の周囲温度が変動した場合であっても、検出抵抗26を介して流れる電流は殆ど変更することはない。検出抵抗26の両端間の電圧は、給電FET20の周囲温度に応じて殆ど変動せず、給電FET20を介して流れるスイッチ電流に比例する。検出抵抗26の両端間の電圧が所定電圧を超えた場合、スイッチ電流が電流閾値を超えたとして、駆動回路21は給電FET20をオフに切替える。このように、検出抵抗26の両端間の電圧に基づいてスイッチ電流を算出することなく、駆動回路21は給電FET20を適切なタイミングでオフに切替えることができる。
【0077】
給電FET20のオン抵抗値と回路FET40のオン抵抗値との比が周囲温度に無関係に一定ではないと仮定する。この場合であっても、給電制御装置10のように、回路FET40に直列抵抗41を直列に接続することによって、給電FET20のオン抵抗値と抵抗回路24の抵抗値との比が給電FET20の周囲温度に無関係に一定である構成を実現することができる。
【0078】
(実施形態2)
実施形態1における給電制御装置10の抵抗回路24では、回路FET40に直列抵抗41が直列に接続されている。しかしながら、抵抗回路24の構成はこの構成に限定されない。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には、実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0079】
<抵抗回路24の構成>
図6は実施形態2における抵抗回路24の回路図である。実施形態2における抵抗回路24は、回路FET40及び直列抵抗41に加えて、並列抵抗42を有する。回路FET40のドレイン及びソース間に並列抵抗42が接続されている。このように、回路FET40に並列抵抗42が並列に接続されている。
【0080】
従って、実施形態2では、回路FET40がオンである場合だけではなく、回路FET40がオフである場合も抵抗回路24を介して抵抗電流が流れる。並列抵抗42の抵抗値をRpと記載する。並列抵抗42の抵抗値Rpは、給電FET20の周囲温度に無関係に一定である。抵抗回路24の抵抗値Rtは、(Rr・Rp/(Rr+Rp))+Rcである。実施形態1の説明で述べたように、Rr及びRcそれぞれは、回路FET40のオン抵抗値及び直列抵抗41の抵抗値である。Rtは、回路FET40がオンである場合における抵抗回路24の抵抗値である。回路FET40がオフである場合における抵抗回路24の抵抗値は(Rp+Rc)である。
【0081】
<給電制御装置10の動作>
給電FET20がオフである場合、スイッチ電圧がゼロVであるため、差動増幅器31は、抵抗電圧を低下させるために、調整FET30のゲートの電圧を低下させる。結果、給電FET20がオフである場合、調整FET30のドレイン及びソース間の抵抗値は十分に小さな値に調整される。給電FET20がオフである場合、回路FET40はオフであり、直流電源11の両端間の電圧は、抵抗回路24及び検出抵抗26によって分圧される。直流電源11の両端間の電圧を分圧することによって得られた分圧電圧がコンパレータ23のマイナス端に印加される。回路FET40がオフである場合における分圧電圧は所定電圧Vrを超えている。
【0082】
図7は、給電制御装置10の動作を説明するためのタイミングチャートである。図7図2に対応する。図7では、図2と同様に、マイコン22の出力電圧、給電FET20の状態、コンパレータ23の出力電圧及びスイッチ電流の推移が示されている。これらの推移の横軸には時間が示されている。図7でも、ハイレベル電圧及びローレベル電圧それぞれはH及びLで示されている。
【0083】
実施形態2では、給電FET20がオフである場合、回路FET40もオフである。回路FET40がオフである場合、抵抗回路24及び検出抵抗26が分圧した分圧電圧は、前述したように、所定電圧Vrを超えている。従って、コンパレータ23の出力電圧はローレベル電圧である。給電FET20がオンである場合、コンパレータ23の出力電圧の推移は、実施形態1の推移と同様である。マイコン22の出力電圧の推移及び給電FET20の状態の推移それぞれは、実施形態1の推移と同様である。従って、マイコン22の出力電圧がハイレベル電圧である状態で給電FET20を介して流れるスイッチ電流が電流閾値を超えた場合、コンパレータ23の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わり、駆動回路21は給電FET20をオフに切替える。
【0084】
<並列抵抗42の効果>
図8は並列抵抗42の効果の説明図である。図8には、回路FET40のオン抵抗値Rrと給電FET20の周囲温度との関係が示されている。更に、図8には、回路FET40及び並列抵抗42の並列回路の抵抗値と給電FET20の周囲温度との関係が示されている。ここで、並列回路の抵抗値は、回路FET40がオンである場合における抵抗値である。
【0085】
回路FET40及び並列抵抗42の並列回路の抵抗値は、(Rr・Rp/(Rr+Rp))であり、回路FET40のオン抵抗値Rrよりも低い。従って、回路FET40に並列抵抗42を並列に接続することによって、抵抗値がRrから(Rr・Rp/(Rr+Rp))に低下する。給電FET20の周囲温度が第1温度T1である場合における回路FET40のオン抵抗値をRr1と記載する。給電FET20の周囲温度が第2温度T2である場合における回路FET40のオン抵抗値をRr2と記載する。回路FET40のオン抵抗値Rrは、実施形態1と同様に、給電FET20の周囲温度が高い程、大きい。第2温度T2は第1温度T1よりも高いので、オン抵抗値Rr2はオン抵抗値Rr1よりも大きい。
【0086】
給電FET20の周囲温度が第1温度T1である場合、並列回路の抵抗値は、(Rr1・Rp/(Rr1+Rp))で表される。回路FET40に並列抵抗42を並列に接続することによって、抵抗値がRr1から(Rr1・Rp/(Rr1+Rp))に低下する。同様に、給電FET20の周囲温度が第2温度T2である場合、並列回路の抵抗値は、(Rr2・Rp/(Rr2+Rp))で表される。回路FET40に並列抵抗42を並列に接続することによって、抵抗値がRr2から(Rr2・Rp/(Rr2+Rp))に低下する。
【0087】
給電FET20の周囲温度が第2温度T2である場合における抵抗値の低下幅は、給電FET20の周囲温度が第1温度T1である場合における抵抗値の低下幅よりも大きい。例えば、オン抵抗値Rr1、オン抵抗値Rr2及び抵抗値Rpそれぞれが5オーム、10オーム及び5オームであると仮定する。給電FET20の周囲温度が第2温度T2である場合、抵抗値は10オームから3.33(=10/3)オームに低下し、低下幅は6.66(=20/3)オームである。給電FET20の周囲温度が第1温度T1である場合、抵抗値は5オームから2.5オームに低下し、低下幅は2.5オームである。
【0088】
実施形態2においては、並列回路の抵抗値を改めてRrと記載する。更に、予め設定されている周囲温度の範囲内において、並列回路の抵抗値と給電FET20の周囲温度との関係を下記の近似式で表す。
Rr=Cr・T+Br
ここで、Tは給電FET20の周囲温度である。Crは正の定数である。Brは定数である。
【0089】
直列抵抗41の抵抗値Rcについては、実施形態1と同様に、((Cr・Ba/Ca)-Br)に決定する。これにより、電流閾値が給電FET20の周囲温度Tに無関係に一定である構成が実現される。この場合、実施形態1と同様に下記式が成り立つ。
Rt/Ra=Cr/Ca
実施形態1の説明で述べたように、Ba及びCaそれぞれは、給電FET20のオン抵抗値Raの近似式で用いられる定数である。Rtは抵抗回路24の抵抗値である。
【0090】
実施形態2を実施形態1と比較した場合、回路FET40に並列抵抗42を並列に接続することによって、定数Crを低減することができる。結果、抵抗回路24の抵抗値Rtと給電FET20のオン抵抗値Raとの比を調整することができる。
【0091】
実施形態1の説明で述べたように、抵抗回路24の抵抗値Rtと給電FET20のオン抵抗値Raとの比は下記式でも表される。
Rt/Ra=Rs・Ig/Vr
実施形態1の説明で述べたように、Rs、Ig及びVrそれぞれは、検出抵抗26の抵抗値、目標電流及び所定電圧である。
【0092】
直列抵抗41の抵抗値Rcを決定した後、Rt/Ra=Rs・Ig/Vrが満たされるように、検出抵抗26の抵抗値Rs、目標電流Ig及び所定電圧Vrを決定する。実施形態2では、定数Crを調整することができるので、検出抵抗26の抵抗値Rs、目標電流Ig及び所定電圧Vrそれぞれを所望の値に容易に決定することができる。
【0093】
<給電制御装置10の効果>
実施形態2における給電制御装置10は、実施形態1における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0094】
(実施形態3)
実施形態2における抵抗回路24では、給電FET20の周囲温度に応じて抵抗値が変化する素子として、回路FET40、即ち、半導体スイッチが用いられている。しかしながら、給電FET20の周囲温度に応じて抵抗値が変化する素子は半導体スイッチに限定されない。
以下では、実施形態3について、実施形態2と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は実施形態2と共通している。このため、実施形態2と共通する構成部には、実施形態2と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0095】
図9は実施形態3における抵抗回路24の回路図である。実施形態3における抵抗回路24は、実施形態2と同様に、直列抵抗41及び並列抵抗42を有する。実施形態3における抵抗回路24は、回路FET40の代わりに、サーミスタ50を有する。サーミスタ50の抵抗値は、サーミスタ50の温度が上昇した場合に上昇する。サーミスタ50は、給電FET20の近傍に配置されている。このため、給電FET20の周囲温度が上昇した場合、サーミスタ50の温度が上昇する。結果、サーミスタ50の抵抗値が上昇する。
【0096】
サーミスタ50の一端は、給電FET20のドレインに接続されている。サーミスタ50の他端は直列抵抗41の一端に接続されている。並列抵抗42は、サーミスタ50に並列に接続されている。サーミスタ50の抵抗値は実施形態2における回路FET40のオン抵抗値に対応する。サーミスタ50の一端は抵抗回路24の入力端である。直列抵抗41の他端は、実施形態2と同様に、抵抗回路24の出力端である。実施形態3では、抵抗回路24は制御端を有していない。
【0097】
<給電制御装置10の動作>
実施形態3においては、駆動回路21は抵抗回路24に接続されておらず、駆動回路21の出力電圧に応じて抵抗回路24の抵抗値が変化することはない。サーミスタ50の抵抗値は、実施形態2における回路FET40のオン抵抗値Rrに対応する。予め設定されている周囲温度の範囲内において、抵抗値が直線的に変化するサーミスタがサーミスタ50として用いられる。抵抗回路24の抵抗値は実施形態2における抵抗値Rtに対応する。給電FET20がオフである場合、調整FET30のドレイン及びソース間の抵抗値が十分に小さいので、直流電源11の両端間の電圧は、抵抗回路24及び検出抵抗26によって分圧される。直流電源11の両端間の電圧を分圧することによって得られた分圧電圧がコンパレータ23のマイナス端に印加される。給電FET20がオフである場合における分圧電圧は所定電圧Vrを超えている。従って、給電制御装置10の動作は実施形態2と同様である。
【0098】
<給電制御装置10の効果>
実施形態3における給電制御装置10は、実施形態2における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0099】
(実施形態4)
実施形態2における給電制御装置10の抵抗回路24では、回路FET40に並列抵抗42が並列に接続されている。しかしながら、並列抵抗42が接続される場所は、回路FET40のドレイン及びソースに限定されない。
以下では、実施形態4について、実施形態2と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は実施形態2と共通している。このため、実施形態2と共通する構成部には、実施形態2と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0100】
図10は実施形態4における抵抗回路24の回路図である。図10に示すように、実施形態4における抵抗回路24では、回路FET40及び直列抵抗41の直列回路に並列抵抗42が並列に接続されている。
【0101】
実施形態4では、実施形態2と同様に、回路FET40がオンである場合だけではなく、回路FET40がオフである場合も抵抗回路24を介して抵抗電流が流れる。回路FET40がオンである場合における直列回路の抵抗値をRfと記載する。ここで、直列回路は、回路FET40に直列抵抗41が直列に接続されている回路である。抵抗値Rfは、(Rr+Rc)で表される。実施形態1の説明で述べたように、Rr及びRcそれぞれは、回路FET40のオン抵抗値及び直列抵抗41の抵抗値である。
【0102】
抵抗回路24の抵抗値Rtは(Rf・Rp/(Rf+Rp))である。実施形態2の説明で述べたように、Rpは並列抵抗42の抵抗値である。Rtは、回路FET40がオンである場合における抵抗回路24の抵抗値である。回路FET40がオフである場合における抵抗回路24の抵抗値はRpである。
【0103】
<給電制御装置10の動作>
実施形態2の説明で述べたように、給電FET20がオフである場合、調整FET30のドレイン及びソース間の抵抗値は十分に小さな値に調整される。給電FET20がオフである場合、回路FET40はオフであり、直流電源11の両端間の電圧は、抵抗回路24及び検出抵抗26によって分圧される。直流電源11の両端間の電圧を分圧することによって得られた分圧電圧がコンパレータ23のマイナス端に印加される。回路FET40がオフである場合における分圧電圧は所定電圧Vrを超えている。従って、給電制御装置10の動作は実施形態2と同様である(図7参照)。
【0104】
<直列抵抗41の効果>
図5に示すように、回路FET40がオンである場合における直列回路の抵抗値Rfは、(Rr+Rc)で表され、回路FET40のオン抵抗値Rrを超えている。ここで、直列回路は、回路FET40に直列抵抗41が直列に接続されている回路である。直列抵抗41の抵抗値Rcが大きい程、直列回路の抵抗値Rfは大きい。直列抵抗41の抵抗値Rcを調整することによって、予め設定されている周囲温度の範囲内における抵抗回路24の抵抗値Rtの最小値を調整することができる。
【0105】
<並列抵抗42の効果>
実施形態2における並列抵抗42の効果の説明(図8参照)において、回路FET40のオン抵抗値Rrを、回路FET40及び直列抵抗41の直列回路の抵抗値Rfに置き換えることによって、実施形態4における並列抵抗42の効果を説明することができる。並列抵抗42の抵抗値を調整することによって、給電FET20の周囲温度に応じて上昇する抵抗回路24の抵抗値Rtの傾きを調整することができる。抵抗値Rtは、実施形態1の説明で述べたように、回路FET40がオンである場合における抵抗回路24の抵抗値である。
【0106】
<パラメータの設計>
パラメータの設計の一例を述べる。抵抗回路24の抵抗値Rtが、給電FET20の周囲温度に無関係に、下記式を満たすように、直列抵抗41の抵抗値Rc及び並列抵抗42の抵抗値Rpを決定する。Dは正の定数である。
Rt/Ra=D
【0107】
実施形態1の説明で述べたように、Raは(Ca・T+Ba)で表される。実施形態1の説明で述べたように、Tは給電FET20の周囲温度である。Caは正の定数である。Baは定数である。抵抗回路24の抵抗値Rtが下記式を満たすように、直列抵抗41の抵抗値Rc及び並列抵抗42の抵抗値Rpを決定する。
Rt=D・(Ca・T+Ba)
【0108】
実施形態1の説明で述べたように、Rt/Raは(Rs・Ig/Vr)で表される。Rs、Ig及びVrそれぞれは、検出抵抗26の抵抗値、目標電流及び所定電圧である。下記式が満たされるように、検出抵抗26の抵抗値Rs、目標電流Ig及び所定電圧Vrを決定すればよい。
Rs・Ig/Vr=D
【0109】
<給電制御装置10の効果>
実施形態2と同様に、給電FET20の周囲温度に応じて、給電FET20のオン抵抗値と、抵抗回路24の抵抗値とが同じ方向に変動するので、駆動回路21は給電FET20を適切なタイミングでオフに切替えることができる。
【0110】
給電FET20のオン抵抗値と回路FET40のオン抵抗値との比が周囲温度に無関係に一定ではないと仮定する。この場合であっても、給電制御装置10のように、回路FET40に直列抵抗41を直列に接続し、直列回路に並列抵抗42を並列に接続することによって、給電FET20のオン抵抗値と抵抗回路24の抵抗値との比が給電FET20の周囲温度に無関係に一定である構成を実現することができる。
【0111】
<変形例>
実施形態2における抵抗回路24において、回路FET40と図示しない抵抗との直列回路に並列抵抗42が並列に接続されてもよい。この場合、直列回路に直列抵抗41が直列に接続される。同様に、実施形態3における抵抗回路24において、サーミスタ50と図示しない抵抗との直列回路に並列抵抗42が並列に接続されてもよい。この場合も、直列回路に直列抵抗41が直列に接続される。実施形態4において、実施形態3と同様に、回路FET40の代わりに、サーミスタ50を用いてもよい。
【0112】
実施形態1において、回路FET40のオン抵抗値と給電FET20のオン抵抗値との比が給電FET20の周囲温度に無関係に一定である場合、抵抗回路24は直列抵抗41を有していなくてもよい。この場合、回路FET40のソースは、抵抗回路24の出力端であり、電流調整回路25の調整FET30のソースに接続される。
実施形態1において、実施形態3と同様に、回路FET40の代わりにサーミスタ50を用いてもよい。
【0113】
実施形態2において、回路FET40及び並列抵抗42の並列回路の抵抗値と、給電FET20のオン抵抗値との比が給電FET20の周囲温度に無関係に一定である場合、抵抗回路24は直列抵抗41を有していなくてもよい。ここで、回路FET40及び並列抵抗42の並列回路の抵抗値は回路FET40がオンである場合における抵抗値である。抵抗回路24は直列抵抗41を有しない場合、回路FET40のソースは、抵抗回路24の出力端であり、電流調整回路25の調整FET30のソースに接続される。
【0114】
同様に、実施形態3において、サーミスタ50及び並列抵抗42の並列回路の抵抗値と、給電FET20のオン抵抗値との比が給電FET20の周囲温度に無関係に一定である場合、抵抗回路24は直列抵抗41を有していなくてもよい。この場合、サーミスタ50の他端は電流調整回路25の調整FET30のソースに接続される。
【0115】
実施形態1,2,4において、抵抗回路24が有するスイッチは、オン抵抗値が給電FET20の周囲温度に応じて給電FET20のオン抵抗値と同じ方向に変動する半導体スイッチであればよい。このため、実施形態1,2,4における抵抗回路24が有するスイッチは、回路FET40、即ち、Nチャネル型のMOSFETに限定されず、MOSFETとは異なるNチャネル型のFET、Pチャネル型のFET又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等であってもよい。
【0116】
実施形態1~4において、直流電源11及び負荷12間に接続されるスイッチは、半導体スイッチであればよいので、給電FET20、即ち、Nチャネル型のMOSFETに限定されない。直流電源11及び負荷12間に接続されるスイッチは、例えば、IGBTであってもよい。
実施形態1~4において、電流調整回路25が有する可変抵抗器は、調整FET30、即ち、Pチャネル型のFETに限定されない。可変抵抗器は、例えば、PNP型のバイポーラトランジスタであってもよい。この場合、バイポーラトランジスタのエミッタ、コレクタ及びベースそれぞれは、調整FET30のソース、ドレイン及びゲートに対応する。
【0117】
開示された実施形態1~4はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0118】
1 電源システム
10 給電制御装置
11 直流電源
12 負荷
20 給電FET(半導体スイッチ)
21 駆動回路(切替え回路)
22 マイコン
23 コンパレータ
24 抵抗回路
25 電流調整回路
26 検出抵抗
30 調整FET(可変抵抗器)
31 差動増幅器(抵抗調整部)
40 回路FET(第2の半導体スイッチ)
41 直列抵抗
42 並列抵抗
50 サーミスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10