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  • 特許-走行ルート案内装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】走行ルート案内装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20230912BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20230912BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/10 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020096334
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021189090
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮里 佳明
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 雄二
(72)【発明者】
【氏名】田畑 満弘
(72)【発明者】
【氏名】太田 篤治
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-240435(JP,A)
【文献】特開2012-101755(JP,A)
【文献】特開2019-083671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/0969
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定されたジオフェンシングゾーン内で車両が目的地に向かってEV走行している場合において、現在の車両の状態で前記目的地に到達できるか否かを判定するルート判定部と、
前記ルート判定部によって前記目的地に到達できないと判定された場合、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを検索するルート検索部と、
前記車両の運転者に各種情報を表示する表示する表示部と、
前記表示部の表示を制御する表示制御部と、
を備え
前記ルート検索部によって、現在設定されているルートよりも電費のよいルートが発見されなかった場合、前記表示制御部は、予め設定されたペナルティありで前記車両のエンジンを始動する旨の情報を前記表示部に表示させることを特徴とする走行ルート案内装置。
【請求項2】
前記ルート検索部は、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを発見した場合、前記ルートを設定することを特徴とする請求項1に記載の走行ルート案内装置。
【請求項3】
記ルート検索部によって、現在設定されているルートよりも電費のよいルートが発見された場合、前記表示制御部は、前記ルートを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の走行ルート案内装置。
【請求項4】
予め設定されたジオフェンシングゾーン内で車両が目的地に向かってEV走行している場合において、現在の車両の状態で前記目的地に到達できるか否かを判定するルート判定部と、
前記ルート判定部によって前記目的地に到達できないと判定された場合、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを検索するルート検索部と、
前記車両の運転者に各種情報を表示する表示する表示部と、
前記表示部の表示を制御する表示制御部と、
を備え、
前記ルート検索部によって、現在設定されているルートよりも電費のよいルートが発見されなかった場合、前記表示制御部は、予め設定されたペナルティありで前記ジオフェンシングゾーン外に出る旨の情報を前記表示部に表示させることを特徴とする走行ルート案内装置。
【請求項5】
前記ルート判定部は、前記車両のSOCまたはバッテリ温度が、予め設定された閾値よりも低い場合に、現在の車両の状態で前記目的地に到達できないと判定することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の走行ルート案内装置。
【請求項6】
前記ルート判定部は、前記ジオフェンシングゾーン内で車両が目的地に向かってEV走行をしている場合に、現在の車両の状態で前記目的地に到達できるか否かを所定の判定タイミングごとに判定し、
前記判定タイミングは、前記車両のSOCまたはバッテリ温度が低いほど、短く設定されることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の走行ルート案内装置。
【請求項7】
前記車両は、プラグインハイブリッド車両であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の走行ルート案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行ルート案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、車両の現在位置に基づいて、当該現在位置に対応した制御プログラムを適用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-015651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、予め特定のエリアの周囲に仮想的な柵(ジオフェンス)を設定し、そのエリア(以下、「ジオフェンシングゾーン」)内において、車両をEV走行させる試みがなされている。例えば特許文献1で開示された技術では、ジオフェンシングゾーン内に対応した制御プログラムを適用することができるものの、車両のSOC(State Of Charge)の状況によっては、車両が目的地に到達できない可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ジオフェンシングゾーン内で車両が目的地に到達できる可能性を向上させることができる走行ルート案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る走行ルート案内装置は、予め設定されたジオフェンシングゾーン内で車両が目的地に向かってEV走行している場合において、現在の車両の状態で前記目的地に到達できるか否かを判定するルート判定部と、前記ルート判定部によって前記目的地に到達できないと判定された場合、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを検索するルート検索部と、を備える。
【0007】
これにより、ジオフェンシングゾーン内で目的地に到達できないことが予測される場合であっても、現在のルートよりも電費のよいルートを再検索することができる。
【0008】
また、本発明に係る走行ルート案内装置は、前記ルート検索部が、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを発見した場合、前記ルートを設定してもよい。
【0009】
これにより、発見したルートを自動的に設定することができるため、ユーザがルートを選択する手間を省くことができる。
【0010】
また、本発明に係る走行ルート案内装置は、前記車両の運転者に各種情報を表示する表示する表示部と、前記表示部の表示を制御する表示制御部と、を備え、前記ルート検索部によって、現在設定されているルートよりも電費のよいルートが発見された場合、前記表示制御部が、前記ルートを前記表示部に表示させてもよい。
【0011】
これにより、現在のルートよりも電費のよいルートを、ユーザが確認することができる。
【0012】
また、本発明に係る走行ルート案内装置は、前記車両の運転者に各種情報を表示する表示する表示部と、前記表示部の表示を制御する表示制御部と、を備え、前記ルート検索部によって、現在設定されているルートよりも電費のよいルートが発見されなかった場合、前記表示制御部が、予め設定されたペナルティありで前記車両のエンジンを始動する旨の情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0013】
これにより、現在のルートよりも電費のよいルートを発見できなかった際に、車両のエンジンを始動する旨をユーザに提示し、確認を求めることができる。
【0014】
また、本発明に係る走行ルート案内装置は、前記車両の運転者に各種情報を表示する表示する表示部と、前記表示部の表示を制御する表示制御部と、を備え、前記ルート検索部によって、現在設定されているルートよりも電費のよいルートが発見されなかった場合、前記表示制御部が、予め設定されたペナルティありで前記ジオフェンシングゾーン外に出る旨の情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0015】
これにより、現在のルートよりも電費のよいルートを発見できなかった際に、ジオフェンシングゾーン外に出る旨をユーザに提示し、確認を求めることができる。
【0016】
また、本発明に係る走行ルート案内装置は、前記ルート判定部が、前記車両のSOCまたはバッテリ温度が、予め設定された閾値よりも低い場合に、現在の車両の状態で前記目的地に到達できないと判定してもよい。
【0017】
これにより、車両のSOCまたはバッテリ温度に基づいて、目的地に到達できるか否かの予測を行うことができる。
【0018】
また、本発明に係る走行ルート案内装置は、前記ルート判定部が、前記ジオフェンシングゾーン内で車両が目的地に向かってEV走行をしている場合に、現在の車両の状態で前記目的地に到達できるか否かを所定の判定タイミングごとに判定し、前記判定タイミングが、前記車両のSOCまたはバッテリ温度が低いほど、短く設定されてもよい。
【0019】
これにより、目的地に到達できない可能性が高い場合ほど、より短い間隔で判定を行うため、車両が目的地に到達できる可能性をより向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係る走行ルート案内装置は、前記車両が、プラグインハイブリッド車両であってもよい。
【0021】
これにより、車両がプラグインハイブリッド車両である場合において、ジオフェンシングゾーン内で目的地に到達できないことが予測される場合であっても、現在のルートよりも電費のよいルートを再検索することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ジオフェンシングゾーン内で目的地に到達できないことが予測される場合であっても、現在のルートよりも電費のよいルートを再検索することができるため、目的地に到達できる可能性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施形態に係る走行ルート案内装置を含む走行ルート案内システムの各構成を概略的に示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る走行ルート案内装置において、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを発見できなかった際に、表示部に表示させる情報の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る走行ルート案内装置において、現在の車両の状態で目的地に到達できないことが予想される際に、表示部に表示させる情報の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る走行ルート案内装置が実行する走行ルート案内方法の概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る走行ルート案内装置について、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0025】
本発明の実施形態に係る走行ルート案内装置について、図1および図2を参照しながら説明する。本実施形態に係る走行ルート案内装置を含む走行ルート案内システム1は、図1に示すように、サーバ装置10と、車載装置23を備える車両20と、を有している。本実施形態に係る走行ルート案内装置は、具体的には車載装置23によって実現される。また、同図では、車両20を一台のみ図示しているが、車両20は複数台であってもよい。
【0026】
サーバ装置10および車両20は、いずれも通信機能を備えており、ネットワークNWを通じて相互に通信可能に構成されている。このネットワークNWは、例えばインターネット回線網、携帯電話回線網等から構成される。
【0027】
(走行ルート案内装置)
サーバ装置10は、車両20の位置情報(以下、「車両位置情報」という)に基づいて、ジオフェンシングに関する処理を行うための装置である。サーバ装置10は、例えばワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータによって実現される。
【0028】
ここで、ジオフェンシングでは、都市の特定のエリアにジオフェンシングゾーンを設定し、当該ジオフェンシングゾーン内で各車両20に対して所定の処理を行う。以下では、予め設定されたジオフェンシングゾーン内で各車両20にEV走行を行わせることを前提に説明を行う。
【0029】
サーバ装置10は、図1に示すように、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、を備えている。制御部11は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等からなるプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等からなるメモリ(主記憶部)と、を備えている。
【0030】
制御部11は、記憶部13に格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等を制御することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。制御部11は、具体的には、前記したプログラムの実行を通じて、フェンス判定部111として機能する。
【0031】
フェンス判定部111は、車両20からネットワークNWを通じて収集した車両位置情報と、記憶部13に格納されたフェンス設定情報131とに基づいて、車両20がジオフェンシングゾーン内に入ったか否かを判定する。そして、フェンス判定部111は、車両20がジオフェンシングゾーン内に入ったか否かに関する情報(以下、「フェンス判定情報」という)を、ネットワークNWを通じて車両20に出力する。
【0032】
通信部12は、例えばLAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路等から構成される。通信部12は、公衆通信網であるインターネット等のネットワークNWに接続されている。そして、通信部12は、当該ネットワークNWに接続することにより、車両20との間で通信を行う。
【0033】
記憶部13は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)およびリムーバブルメディア等の記録媒体から構成される。リムーバブルメディアとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体が挙げられる。記憶部13には、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベース等が格納可能である。
【0034】
記憶部13には、例えばジオフェンシングゾーンの範囲等に関する情報を含むフェンス設定情報131が格納されている。また、記憶部13には、フェンス設定情報131の他に、ネットワークNWを通じて車両位置情報等が必要に応じて格納されてもよい。
【0035】
(車両)
車両20は、外部と通信可能な移動体であり、ハイブリッド車両やプラグインハイブリッド車両等により構成される。また、車両20は、手動運転車と自動運転車のいずれであってもよい。
【0036】
車両20は、図1に示すように、ECU(Electronic Control Unit)21と、通信部22と、車載装置23と、を備えている。ECU21は、車両20に搭載される各種構成要素の動作を統括的に制御する。通信部22は、例えばDCM(Data Communication Module)等から構成され、ネットワークNWを介した無線通信により、サーバ装置10との間で通信を行う。
【0037】
車載装置23は、制御部231と、記憶部232と、表示部233と、測位部234と、を備えている。制御部231は、記憶部232に格納されたプログラムの実行を通じて、ルート検索部231a、ルート判定部231bおよび表示制御部231cとして機能する。
【0038】
ルート検索部231aは、ユーザが設定した目的地までのルートを検索する。ルート検索部231aは、例えばタッチパネルディスプレイ等により構成された表示部233を通じてユーザが目的地を設定した際に、当該目的地までのルートを検索する。そして、後記する表示制御部211cは、例えば検索した複数のルートを表示部233に表示させ、ユーザが希望するルートを選択させる。なお、「ユーザ」とは、運転者を含む車両20の乗員のことを示している。また、ユーザが設定する目的地は、ジオフェンシングゾーンの内側および外側のいずれであってもよい。また、ユーザが目的地を設定するタイミングについても特に限定されず、ジオフェンシングゾーンの内側にいる時に目的地を設定してもよく、あるいはジオフェンシングゾーンの外側にいる時に目的地を設定してもよい。
【0039】
また、ルート検索部231aは、後記するルート判定部231bによって現在設定されたルートでは目的地に到達できないと判定された場合、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを再検索する。なお、「電費のよいルート」とは、例えば高速道路、上り坂、起伏やカーブの激しい道路等の、電費悪化を伴うルートを含まないルートのことを示している。これにより、ジオフェンシングゾーン内で目的地に到達できないことが予測される場合であっても、現在のルートよりも電費のよいルートを再検索することができるため、目的地に到達できる可能性を向上させることができる。
【0040】
また、ルート検索部231aは、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを発見した場合、当該ルートを設定してもよい。これにより、発見したルートを自動的に設定することができるため、ユーザがルートを選択する手間を省くことができる。
【0041】
ルート判定部231bは、予め設定されたジオフェンシングゾーン内で車両20が目的地に向かってEV走行している場合において、現在の車両20の状態で目的地に到達できるか否かを判定する。この場合、ルート判定部231bは、車両20のSOCまたはバッテリ温度に基づいて、目的地に到達できるか否かを予測する。すなわち、ルート判定部231bは、車両20のSOCまたはバッテリ温度が、予め設定された閾値以上である場合に目的地に到達できると判定し、当該閾値よりも低い場合に目的地に到達できないと判定する。
【0042】
また、ルート判定部231bは、ジオフェンシングゾーン内で車両20が目的地に向かってEV走行をしている場合に、現在の車両20の状態で目的地に到達できるか否かを所定の判定タイミングごとに判定してもよい。この場合、ルート判定部231bは、車両20のSOCまたはバッテリ温度が低いほど、判定タイミングを短く設定する。これにより、目的地に到達できない可能性が高い場合ほど、より短い間隔で判定を行うため、車両20が目的地に到達できる可能性をより向上させることができる。
【0043】
表示制御部231cは、表示部233の表示を制御する。表示制御部231cは、ルート検索部231aによって、現在設定されているルートよりも電費のよいルートが発見された場合、当該ルートを表示部233に表示させる。これにより、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを、ユーザが確認することができる。
【0044】
また、表示制御部231cは、ルート検索部231aによって、現現在設定されているルートよりも電費のよいルートが発見されなかった場合、予め設定されたペナルティありで車両20のエンジンを始動する旨の情報を、表示部233に表示させてもよい。これにより、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを発見できなかった際に、車両20のエンジンを始動する旨をユーザに提示し、確認を求めることができる。またこの場合、車両20のECU21は、例えばタッチパネルディスプレイ等により構成された表示部233を通じてユーザが承諾した場合に、エンジンを始動してもよい。
【0045】
なお、「ペナルティ」とは、ジオフェンシングにおいて禁止されている行為に対する罰則のことであり、例えば地方自治体等の法規等によって定められる。このペナルティとしては、例えば税金や罰金の納付、あるいはジオフェンシングゾーン内における走行制限または走行禁止等が挙げられる。また、「ジオフェンシングにおいて禁止されている行為」とは、例えばジオフェンシングゾーン内でエンジン走行を行うことや、ジオフェンシングゾーン外に出ることなどが挙げられる。
【0046】
また、表示制御部231cは、ルート検索部231aによって、現在設定されているルートよりも電費のよいルートが発見されなかった場合、予め設定されたペナルティありでジオフェンシングゾーン外に出る旨の情報を、表示部233に表示させてもよい。これにより、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを発見できなかった際に、ジオフェンシングゾーン外に出る旨をユーザに提示し、確認を求めることができる。またこの場合、ルート検索部231aは、例えばタッチパネルディスプレイ等により構成された表示部233を通じてユーザが承諾した場合に、ジオフェンシングゾーン外へのルートを設定してもよい。
【0047】
表示部233は、例えばLCD(液晶ディスプレイ)、OLED(有機ELディスプレイ)等から構成され、表示制御部231cの制御に基づいて、ユーザに各種情報を表示する。表示部233は、例えばルート検索部231aによって検索された当初のルート、ルート検索部231aによって再検索された電費のよいルートを表示する。また、表示部233は、図2に示すように、ペナルティありで車両20のエンジンを始動する旨の情報を表示してもよい。また、表示部233は、ジオフェンシングゾーン外に出る旨の情報を表示してもよい。
【0048】
また、表示部233は、ルート判定部231bによって現在の車両20の状態で目的地に到達できないと判定された際に、例えば図3に示すように、電費悪化を招く急な運転操作の自制を求める旨の情報を表示してもよい。これにより、ユーザの急な運転操作を抑制することができるため、目的地に到達できる可能性をより向上させることができる。
【0049】
なお、表示部233は、ユーザの指やペン等による操作を受け付ける入力機能と、制御部231の制御に基づいて各種情報を表示する表示機能と、を有するタッチパネルディスプレイ等により構成されてもよい。
【0050】
測位部234は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して、車両位置情報を検出する。車両位置情報の検出方法は、GPS衛星を利用した方法に限定されず、例えばLiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)と3次元デジタル地図とを組み合わせた方法等を利用してもよい。測位部234は、検出した車両位置情報をサーバ装置10に対して出力する。
【0051】
(走行ルート案内方法)
本実施形態に係る走行ルート案内装置が実行する走行ルート案内方法の処理手順の一例について、図4を参照しながら説明する。
【0052】
まず、車両20のルート判定部231bは、車両20がジオフェンシングゾーン内に進入したか否かを判定する(ステップS1)。ルート判定部231bは、具体的には、サーバ装置10のフェンス判定部111から取得したフェンス判定情報に基づいて、車両20がジオフェンシングゾーン内に進入したか否かを判定する。
【0053】
車両20がジオフェンシングゾーン内に進入していないと判定した場合(ステップS1でNo)、ルート判定部231bは、本処理を終了する。一方、車両20がジオフェンシングゾーン内に進入したと判定した場合(ステップS1でYes)、ルート判定部231bは、車両20が目的地に向かってEV走行中であるか否かを判定する(ステップS2)。ルート判定部231bは、具体的には、ルート検索部231aによって目的地までのルートが設定され、当該ルートに従って車両20がEV走行を行っている場合に、車両20が目的地に向かってEV走行中であると判定する。
【0054】
車両20が目的地に向かってEV走行中ではないと判定した場合(ステップS2でNo)、ルート判定部231bは、本処理を終了する。一方、車両20が目的地に向かってEV走行中であると判定した場合(ステップS2でYes)、ルート判定部231bは、車両20が目的地に到着できない可能性があるか否かを判定する(ステップS3)。ルート判定部231bは、具体的には車両20のSOCまたはバッテリ温度に基づいて、当該車両20が目的地に到着できない可能性があるか否かを判定する。
【0055】
車両20が目的地に到着できない可能性がないと判定した場合(ステップS3でNo)、ルート判定部231bは、本処理を終了する。一方、車両20が目的地に到着できない可能性があると判定した場合(ステップS3でYes)、ルート検索部231aは、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを再検索する(ステップS4)。
【0056】
続いて、ルート検索部231aは、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを発見できたか否かを判定する(ステップS5)。現在設定されているルートよりも電費のよいルートを発見できたと判定した場合(ステップS5でYes)、ルート検索部231aは、発見したルートを設定する(ステップS6)。これにより、車両20は、再検索されたルートに従って目的地まで走行する。
【0057】
ステップS5において、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを発見できなかったと判定した場合(ステップS5でNo)、表示制御部231cは、ペナルティありで車両20のエンジンを始動する旨の情報、またはペナルティありでジオフェンシングゾーン外に出る旨の情報を表示部233に表示させることにより、これらをユーザに提案し(ステップS7)、本処理を終了する。
【0058】
以上説明した実施形態に係る走行ルート案内装置によれば、ジオフェンシングゾーン内で目的地に到達できないことが予測される場合であっても、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを再検索することができるため、目的地に到達できる可能性を向上させることができる。
【0059】
また、例えばジオフェンシング内において、ペナルティありでエンジンを始動させる際に、ユーザへの確認を行うことなく自動的にエンジンを始動させるとユーザが不満を感じる可能性がある。一方、実施形態に係る走行ルート案内装置によれば、事前にユーザに通知または許可を求めることができるため、ユーザの不満を和らげることができる。
【0060】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わしかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0061】
例えば、実施形態に係る走行ルート案内装置では、車両20がジオフェンシングゾーン内に入ったか否かの判定を、サーバ装置10のフェンス判定部111で行っていたが、車両20側で自車両がジオフェンシングゾーン内に入ったか否かの判定を行ってもよい。すなわち、車載装置23の制御部231を、フェンス判定部として機能させてもよい。
【0062】
また、図4に示した走行ルート案内方法では、ジオフェンシングゾーン内で車両20が走行する場合に限定して説明を行ったが、ジオフェンシング以外のシチュエーションで実施してもよい。この場合、走行ルート案内方法では、同図に示したステップS1~S7のうち、ステップS2~S7のみを実施し、かつステップS7では車両20のエンジンを始動する旨の情報のみを表示部233に表示させる。このように、本実施形態に係る走行ルート案内方法は、ジオフェンシング以外のシチュエーションにおいても、車両20が目的地に到達できる可能性を向上させることができる。
【0063】
また、実施形態に係る走行ルート案内装置では、ルート検索部231aによって、現在設定されているルートよりも電費のよいルートが発見されなかった場合、予め設定されたペナルティありで車両20のエンジンを始動、またはジオフェンシングゾーン外に出る旨の情報を表示部233に表示させていたが、表示を段階的に行ってもよい。この場合、例えばまずペナルティを許容するか否かを表示部233に表示させ、タッチパネルディスプレイ等により構成された表示部233を通じてユーザが承諾(ペナルティを許容)した場合に、「エンジンを始動」、「ジオフェンシングゾーン外に出る」等の選択肢を表示部233に表示させる。そして、表示部233を通じてユーザが選択した処理を行う。これにより、現在設定されているルートよりも電費のよいルートを発見できなかった際に、ユーザに選択肢を提示し、ユーザの選択に基づいた処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 走行ルート案内システム
10 サーバ装置
11 制御部
111 フェンス判定部
12 通信部
13 記憶部
131 フェンス設定情報
20 車両
21 ECU
22 通信部
23 車載装置
231 制御部
231a ルート検索部
231b ルート判定部
231c 表示制御部
232 記憶部
233 表示部
234 測位部
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4