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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】ヒータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/02 20060101AFI20230912BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
B60S1/02 400Z
H05B3/00 310D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020131859
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028453
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】中島 達芳
(72)【発明者】
【氏名】宮堂 隆弘
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-082837(JP,A)
【文献】特開2017-213981(JP,A)
【文献】特開2019-142325(JP,A)
【文献】特開2019-155931(JP,A)
【文献】特開2009-196400(JP,A)
【文献】特開平08-011654(JP,A)
【文献】特開2017-114154(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0299886(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015222004(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/02
B60S 1/08
B60S 1/56
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウィンドウガラスの一部の領域である撮影透過領域を通して前記車両の内部から前記車両の外部を撮影することにより画像データを生成するカメラセンサと、
通電が行われることによって熱を発生し且つ前記熱によって前記撮影透過領域を加熱するカメラヒータと、
通電が行われることによって熱を発生し、且つ、前記ウィンドウガラス又は前記ウィンドウガラスと異なる他ウィンドウガラスを払拭するためのワイパブレードの払拭作動が終了したときの位置に対応する前記ウィンドウガラス又は前記他ウィンドウガラスの一部の領域である特定領域を前記熱によって加熱するガラスヒータと、
前記画像データに基いて前記車両の運転者の運転を支援するための前記車両の制御である運転支援制御を実行するとともに、前記カメラヒータ及び前記ガラスヒータのそれぞれへの通電を制御する制御ユニットと、
を備え、
前記制御ユニットは、
前記運転者の操作により操作スイッチがオフ状態からオン状態へと変更された開始時点から前記操作スイッチが前記オン状態から前記オフ状態へと変更される終了時点までの操作時間において、前記特定領域を加熱するために前記ガラスヒータに通電する加熱制御を実行し、
前記開始時点にて成立し始め且つ前記終了時点以降の時点にて成立が終了する解氷実行条件が成立している期間において、前記撮影透過領域を解氷するために前記カメラヒータに通電する解氷制御を実行する、
ように構成された、
ヒータ制御装置。
【請求項2】
車両のウィンドウガラスの一部の領域である撮影透過領域を通して前記車両の内部から前記車両の外部を撮影することにより画像データを生成するカメラセンサと、
通電が行われることによって熱を発生し且つ前記熱によって前記撮影透過領域を加熱するカメラヒータと、
通電が行われることによって熱を発生し且つ前記熱によって前記ウィンドウガラスと異なる他ウィンドウガラスの全面である特定領域を加熱するガラスヒータと、
前記画像データに基いて前記車両の運転者の運転を支援するための前記車両の制御である運転支援制御を実行するとともに、前記カメラヒータ及び前記ガラスヒータのそれぞれへの通電を制御する制御ユニットと、
を備え、
前記制御ユニットは、
前記運転者の操作により操作スイッチがオフ状態からオン状態へと変更された開始時点から前記操作スイッチが前記オン状態から前記オフ状態へと変更される終了時点までの操作時間において、前記特定領域を加熱するために前記ガラスヒータに通電する加熱制御を実行し、
前記開始時点にて成立し始め且つ前記終了時点以降の時点にて成立が終了する解氷実行条件が成立している期間において、前記撮影透過領域を解氷するために前記カメラヒータに通電する解氷制御を実行する、
ように構成された、
ヒータ制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のヒータ制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記解氷制御が開始してから前記解氷制御において前記カメラヒータが消費する合計電力量を前記撮影透過領域の面積で除算することにより得られる第1単位面積電力量が前記操作時間において前記ガラスヒータが消費した合計電力量を前記特定領域の面積で除算することにより得られる第2単位面積電力量以上となる時点である解氷完了時点にて前記解氷実行条件の成立が終了したと判定し、前記解氷制御を終了する、
ように構成された、
ヒータ制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のヒータ制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記解氷制御における前記カメラヒータの消費電力及び前記撮影透過領域の面積と前記加熱制御における前記ガラスヒータの消費電力及び前記特定領域の面積との関係から前記解氷完了時点が前記終了時点の後になる場合、前記終了時点以降も前記解氷制御を実行し、
前記解氷完了時点にて前記解氷実行条件の成立が終了したと判定し、前記解氷制御を終了する、
ように構成された、
ヒータ制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載のヒータ制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記解氷制御において、所定の単位時間を前記カメラヒータに通電を行わない非通電時間と前記カメラヒータに所定の電圧を付与することにより前記カメラヒータに通電を行う通電時間とに割り当て、
前記解氷制御を開始してから前記単位時間が経過すると、新たな前記単位時間を開始し、
前記単位時間の総ての時間が前記通電時間に割り当てられたと仮定した場合の前記カメラヒータの消費電力及び前記撮影透過領域の面積と前記加熱制御における前記ガラスヒータの消費電力及び前記特定領域の面積との関係から前記解氷完了時点が前記終了時点より前になる場合、前記解氷完了時点が前記終了時点と一致するように前記非通電時間及び前記通電時間を決定する、
ように構成された、
ヒータ制御装置。
【請求項6】
請求項3に記載のヒータ制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記解氷制御において前記解氷完了時点が前記終了時点と一致するような電圧を前記カメラヒータに付与する、
ように構成された、
ヒータ制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一つに記載のヒータ制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記解氷実行条件が成立していない場合、前記撮影透過領域の曇りを除去又は防止するための防曇電力量を所定の単位時間当たりに前記カメラヒータに通電する防曇制御を実行し、
前記解氷制御では、前記防曇電力量よりも大きく且つ前記撮影透過領域を解氷するための解氷電力量を前記単位時間当たりに前記カメラヒータに通電する、
ように構成された、
ヒータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のウィンドウガラスの一部の撮影透過領域を通してウィンドウガラスの内部からウィンドウガラスの外部を撮影するカメラセンサと、通電が行われることにより撮影透過領域を加熱するカメラヒータと、を備え、カメラヒータへの通電を制御するヒータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のウィンドウガラスを加熱するヒータへの通電を制御するヒータ制御装置が知られている。このヒータは、通電が行われることにより熱を発生する。
【0003】
特許文献1に記載されたヒータ制御装置(以下、「従来装置」と称呼する。)は、ウィンドウガラス(フロントガラス)全面を加熱する全面ヒータへの通電を制御する。従来装置は、ウィンドウガラスに付着した氷を解氷するために全面ヒータに通電する解氷制御を実行する。より詳細には、従来装置は、「全面ヒータスイッチが操作された時点」から「ウィンドウガラスの温度(ガラス温度)が所定値よりも大きくなる時点」までの期間、解氷制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-114154号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、車両の内部には車両の外部を撮影するためのカメラセンサが搭載されている。このようなカメラセンサは、ウィンドウガラスの一部の領域である撮影透過領域を通して車両の内部から車両の外部を撮影する。カメラセンサが撮影した画像に基いて、車両の運転者の運転を支援するための運転支援制御が実行されるようになっている。撮影透過領域に雪又は氷が付着していると、カメラセンサは車両の外部を撮影できなくなるため、上記運転支援制御が実行できなくなる。従って、撮影透過領域を解氷するために撮影透過領域を加熱する必要があるが、従来装置のようにフロントガラス全面を加熱すると消費電力が大きくなってしまうので、フロントガラス全面ではなく撮影透過領域を加熱するカメラヒータが設けられることが望ましい。
【0006】
上述したように、従来装置においては、全面ヒータスイッチの操作に基いて解氷制御を実行している。フロントガラスの全面に雪又は氷が付着している場合、運転者は車両の前方を視認できず運転者の運転に直接的な影響を与える。このため、フロントガラスの全面に雪又は氷が付着している場合、運転者は、全面ヒータスイッチを操作する可能性が高い。上記カメラヒータ専用の操作スイッチを設けたとしても、撮影透過領域に雪又は氷が付着している場合には運転支援制御が実行できなくなるだけで運転者の運転に直接的な影響を与えないので、運転者がカメラヒータ専用のスイッチを操作し忘れてしまう可能性がある。更に、ヒータ制御装置が、カメラセンサが撮影した画像に基いて、撮影透過領域に雪又は氷が付着していることを判断することも困難である。
【0007】
本発明は前述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、撮影透過領域に雪又は氷が付着している可能性が高い場合に解氷制御を実行する可能性を高めるヒータ制御装置を提供することにある。
【0008】
本発明のヒータ制御装置(以下、「本発明装置」とも呼称する。)は、
車両(VA)のウィンドウガラス(101)の一部の領域である撮影透過領域(101a)を通して前記車両の内部から前記車両の外部を撮影することにより画像データを生成するカメラセンサ(22)と、
通電が行われることによって熱を発生し且つ前記熱によって前記撮影透過領域を加熱するカメラヒータ(24)と、
通電が行われることによって熱を発生し、且つ、前記ウィンドウガラス又は前記ウィンドウガラスと異なる他ウィンドウガラスを払拭するためのワイパブレード(103L、103R)の払拭作動が終了したときの位置に対応する前記ウィンドウガラス又は前記他ウィンドウガラスの一部の領域である特定領域を前記熱によって加熱するガラスヒータ(35)と、
前記画像データに基いて前記車両の運転者の運転を支援するための前記車両の制御である運転支援制御を実行するとともに、前記カメラヒータ及び前記ガラスヒータのそれぞれへの通電を制御する制御ユニット(20)と、
を備え、
前記制御ユニットは、
前記車両の運転者の操作により操作スイッチがオフ状態からオン状態へと変更された開始時点(t2)から前記操作スイッチが前記オン状態から前記オフ状態へと変更される終了時点(t3)までの操作時間(Top)において、前記特定領域を解氷するために前記ガラスヒータに通電する加熱制御を実行し、
前記開始時点に成立し始め且つ前記終了時点以降の時点(t5)にて成立が終了する解氷実行条件が成立している期間において(ステップ705「No」、ステップ710「No」)、前記撮影透過領域を解氷するために前記カメラヒータに通電する解氷制御を実行する(ステップ735、ステップ740、ステップ800乃至ステップ895、ステップ1005、ステップ1110)、
ように構成されている。
【0009】
特定領域が凍結しているとワイパブレードが作動できなくなるので、特定領域の凍結は運転者の運転に直接的な影響を与える。このため、運転者は、特定領域の凍結に気づくと操作スイッチをオフ状態からオン状態へと変更する可能性が極めて高い。特定領域が凍結している場合には、撮影透過領域も同様に凍結しているか撮影透過領域に雪又は氷が付着してカメラセンサが車両の外部を撮影できなくなっている可能性が高い。本発明装置によれば、操作スイッチがオフ状態からオン状態へと変更された開始時点にて解氷制御が開始されるので、撮影透過領域が凍っている可能性が高い場合に解氷制御を実行できる可能性を高めることができる。
【0010】
本発明装置において、
前記ガラスヒータは、前記ウィンドウガラスと異なる他ウィンドウガラスの全面である特定領域を加熱するガラスヒータであってもよい。
【0011】
他ウィンドウガラスの全面である特定領域に雪又は氷が付着していると、運転者の運転に直接的な影響を与えるため、運転者は、特定領域に雪又は氷が付着していると操作スイッチをオフ状態からオン状態へと変更する可能性が極めて高い。更に、この特定領域に雪又は氷が付着している場合には撮影透過領域も同様に雪又は氷が付着している可能性が高い。よって、本発明装置によれば、撮影透過領域が凍っている可能性が高い場合に解氷制御を実行できる可能性を高めることができる。
【0012】
本発明装置の一態様において、
前記制御ユニットは、
前記解氷制御が開始してから前記解氷制御において前記カメラヒータが消費する合計電力量を前記撮影透過領域の面積で除算することにより得られる第1単位面積電力量が前記操作時間において前記ガラスヒータが消費した合計電力量を前記特定領域の面積で除算することにより得られる第2単位面積電力量以上となる時点である解氷完了時点にて前記解氷実行条件の成立が終了したと判定し(ステップ635、ステップ750「Yes」、ステップ905「Yes」、ステップ1005、ステップ1110)、前記解氷制御を終了する、
ように構成されている。
【0013】
所定の大きさの面積に付着した氷を解氷するために必要な電力量は、撮影透過領域か特定領域かによらずに同じである。操作スイッチがオン状態からオン状態へと変更された場合には運転者が特定領域の解氷が完了したと判断したと考えられる。このため、第2単位面積電力量が解氷に要する単位面積当たりの電力量である。本態様によれば、第1単位面積電力量が第2単位面積電力量である解氷電力量と一致するまで解氷制御が実行されるので、解氷制御が終了したときには、撮影透過領域の解氷が完了している可能性が高い。このため、上記したようにカメラヒータ専用の操作スイッチを設けなくとも、撮影透過領域の解氷が完了したと考えられる時点にて解氷制御を終了させることができる。従って、本態様によれば、解氷制御が終了したにもかかわらず撮影透過領域に氷が残っていることを防止でき、撮影透過領域の解氷が完了しているにもかかわらず解氷制御が実行されて無駄な電力を消費してしまうことも防止できる。
【0014】
上記態様において、
前記制御ユニットは、
前記解氷制御における前記カメラヒータの消費電力及び前記撮影透過領域の面積と前記加熱制御における前記ガラスヒータの消費電力及び前記特定領域の面積との関係から前記解氷完了時点が前記終了時点の後になる場合、前記終了時点以降も前記解氷制御を実行し(ステップ750「No」、ステップ735、ステップ740)、
前記解氷完了時点にて前記解氷実行条件の成立が終了したと判定し、前記解氷制御を終了する(ステップ750「Yes」、ステップ755、ステップ715乃至ステップ725)、
ように構成された、
【0015】
上記態様によれば、操作時間が終了しても解氷完了時点まで解氷制御が継続されるため、解氷制御が終了したにもかかわらず撮影透過領域に氷が残っていることを防止できる。
【0016】
上記態様において、
前記制御ユニットは、
前記解氷制御において、所定の単位時間を前記カメラヒータに通電を行わない非通電時間(Toff)と前記カメラヒータに所定の電圧を付与することにより前記カメラヒータに通電を行う通電時間(Ton)とに割り当て(ステップ1005、図10に示したステップ725)、
前記解氷制御を開始してから前記単位時間が経過すると、新たな前記単位時間を開始し、
前記単位時間の総ての時間が前記通電時間に割り当てられたと仮定した場合の前記カメラヒータの消費電力及び前記撮影透過領域の面積と前記加熱制御における前記ガラスヒータの消費電力及び前記特定領域の面積との関係から前記解氷完了時点が前記終了時点より前になる場合、前記解氷完了時点が前記終了時点と一致するように前記非通電時間及び前記通電時間を決定する(ステップ1005)、
ように構成されている。
【0017】
上記態様によれば、解氷完了時点が操作終了時点よりも前になることはないので、撮影透過領域の解氷が完了しているにもかかわらず操作スイッチの操作が終了していないために解氷制御が実行されて無駄な電力を消費してしまうことを防止できる。
【0018】
上記態様において、
前記制御ユニットは、
前記解氷制御において前記解氷完了時点が前記終了時点と一致するような電圧を前記カメラヒータに付与する(ステップ1110)、
ように構成されている。
【0019】
上記態様によれば、解氷完了時点が操作終了時点と一致するようになるので、操作終了時点にて解氷制御が終了した場合に撮影透過領域に氷が残っていることを防止できる。更に、解氷完了時点が操作終了時点よりも前になることはないので、撮影透過領域の解氷が完了しているにもかかわらず操作スイッチの操作が終了していないために解氷制御が実行されて無駄な電力を消費してしまうことを防止できる。
【0020】
本発明装置の一態様であって、
前記制御ユニットは、
前記解氷実行条件が成立していない場合、前記撮影透過領域の曇りを除去又は防止するための防曇電力量を所定の単位時間当たりに前記カメラヒータに通電する防曇制御を実行し(ステップ715乃至ステップ725、ステップ800乃至ステップ895)、
前記解氷制御では、前記防曇電力量よりも大きく且つ前記撮影透過領域を解氷するための解氷電力量を前記単位時間当たりに前記カメラヒータに通電する、
ように構成されている。
【0021】
これによって、解氷実行条件が成立していない場合、防曇制御が実行されるので、撮影透過領域の曇りを除去又は防止することができる。
【0022】
なお、上記説明においては、発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は本発明の実施形態に係るヒータ制御装置の概略構成図である。
図2図2は車両の正面図である。
図3図3は車両のフロントガラスの側面図である。
図4図4は車両のフロントガラスの正面図である。
図5図5はヒータ制御装置の作動を説明するためのタイミングチャートである。
図6図6はECUのCPU(以下、単に「CPU」と称呼する。)が実行するデアイサスイッチ操作制御ルーチンを示したフローチャートである。
図7図7はCPUが実行するデューティ比決定ルーチンを示したフローチャートである。
図8図8はCPUが実行するヒータ通電制御ルーチンを示したフローチャートである。
図9図9は本発明の実施形態の第1変形例のCPUが実行するデアイサスイッチ操作制御ルーチンを示したフローチャートである。
図10図10は本発明の実施形態の第1変形例のCPUが実行するデューティ比決定ルーチンを示したフローチャートである。
図11図11は本発明の実施形態の第2変形例のCPUが実行する電圧決定ルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るヒータ制御装置(以下、「本制御装置」と称呼する。)10について説明する。本制御装置10は、図1に示した車両VAに適用される。本制御装置10はECU20を含む。
【0025】
ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称であり、CPU、ROM、RAM及びインターフェース等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。上記ECU20が実現する機能の幾つかは、他のECUによって実現されてもよい。
【0026】
車両VAは、カメラセンサ22及びカメラヒータ24を備える。カメラセンサ22は、周知のCCDカメラ又はCMOSカメラである。図2及び図3に示したように、カメラセンサ22は、車両VAの内部、即ち、車両VAの前方のウィンドウガラスの一つであるフロントガラス101の内側に配設されている。カメラセンサ22は、ブラケット(支持部材)23によって車両VAに支持されている。ブラケット23は、樹脂材料から構成される。カメラセンサ22は、フロントガラス101の一部の領域である撮影透過領域101a(図3を参照。)を通して車両VAの内部から車両VAの外部を撮影する。
【0027】
図1に示したように、カメラセンサ22は、ECU20に接続されている。ECU20は、ECU20に接続されている。ECU20は、カメラセンサ22が撮影した画像に関する画像データに基いて車両VAの運転者の運転を支援するための制御である運転支援制御を行う。運転支援制御の一例として衝突防止制御及びACC(Adaptive Cruise Control)がある。衝突防止制御では、ECU20は、画像データに基いて車両VAと衝突する可能性がある障害物を検出し、その障害物と衝突する前に車両VAの運転者に対して警告を行い、車両VAを減速させたりする。ACCでは、ECU20は、車速VAと「画像データに基いて先行車を検出した車両VAの前方に位置する先行車」との車間距離を一定に維持しながら、運転者のアクセルペダル(不図示)及びブレーキペダル(不図示)の操作を要することなく、先行車を追従する制御である。
【0028】
カメラヒータ24は、フロントガラス101の撮影透過領域101aに埋め込まれた電熱線である(図3を参照。)。図3に示したように、撮影透過領域101aは、カメラセンサ22を支持する断面L字型のブラケット23によって囲まれている。
【0029】
図1に示したように、カメラヒータ24は、ECU20に接続されており、ECU20によりその状態がオン(通電)状態及びオフ(非通電、遮断)状態の何れかに設定されるようになっている。
【0030】
カメラヒータ24が通電されると、カメラヒータ24が発生する熱によって撮影透過領域101a(図3を参照。)が加熱される。これにより、撮影透過領域101aが水分によって曇っている場合には、その曇りが除去され、撮影透過領域101aが曇っていない場合には、その撮影透過領域101aに曇りが生じることが防止される。撮影透過領域101aが凍っている場合には、撮影透過領域101aが解氷される。撮影透過領域101aの曇りを除去又は防止するためにECU20がカメラヒータ24に通電する制御を「防曇制御」と称呼し、撮影透過領域101aを解氷するためにECU20がカメラヒータ24に通電する制御を「解氷制御」と称呼する。防曇制御と解氷制御とでは単位時間当たりに通電する電力量(以下、「通電量」と称呼する。)が異なり、防曇制御の通電量(以下、「第1電力量」と称呼する場合もある。)は解氷制御の通電量(以下、「第2電力量」と称呼する場合もある。)よりも小さい。
【0031】
なお、カメラヒータ24は、ブラケット23によって囲まれている空間23a(図3を参照。)を加熱することにより、撮影透過領域101aを加熱可能であってもよい。この場合には、カメラヒータ24は、ブラケット23のカメラセンサ22に配設される。
【0032】
車両VAは、車輪速センサ31、外気温センサ32、イグニッションスイッチ(レディスイッチ)(以下、「IGスイッチ」と称呼する。)33、デアイサスイッチ34及びワイパデアイサ35を備える。これらは、ECU20に接続されている。なお、図1に示したデフォッガスイッチ41及びリアデフォッガ42は、後述の変形例で詳細を説明する。ワイパデアイサ35及びリアデフォッガ42は「ガラスヒータ」と称呼される場合もある。
【0033】
複数の車輪速センサ31は車両VAの車輪毎に設けられる。各車輪速センサ31は、対応する車輪が所定角度回転する毎に一つの車輪パルス信号を発生させる。ECU20は、各車輪速センサ31から送信されてくる車輪パルス信号の単位時間におけるパルス数をカウントし、そのパルス数に基いて各車輪の回転速度(車輪速度)を取得する。ECU20は、各車輪の車輪速度に基いて車両VAの速度を示す車速Vsを取得する。一例として、ECU20は、四つの車輪の車輪速度の平均値を車速Vsとして取得する。
【0034】
外気温センサ32は、車両VAの外部の気温を検出し、その温度(以下、「外気温」)Teを表す信号を出力する。ECU20は、外気温センサ32が出力する信号に基づいて外気温Teを取得する。
【0035】
運転者によりIGスイッチ33がオン位置に設定された場合、図示しない駆動源(例えば、内燃機関及び電動モータ等)が始動することにより駆動源の状態が作動状態へと変更する。運転者によりIGスイッチ33がオフ位置に設定された場合、駆動源の状態が作動状態から非作動状態へと変更される。作動状態にある駆動源は、図示しない加速操作子の操作量に応じて駆動力を車両VAに付与可能である。非作動状態にある駆動源は、加速操作子が操作されても駆動力を車両VAに付与不能である。IGスイッチ33がオン位置に設定された状態(即ち、駆動源が作動状態にある状態)を「イグニッションオン」と称呼し、IGスイッチ33がオフ位置に設定された状態(即ち、駆動源が非作動状態にある状態)を「イグニッションオフ」と称呼する場合がある。更に、IGスイッチ33がオン位置に設定された場合には、ECU20は、防曇制御の実行を開始する。
【0036】
デアイサスイッチ34は、車両VAの運転者の押圧操作により、オフ状態からオン状態へと変更される。一旦オン状態へと変更されたデアイサスイッチ34は、車両の運転者が再度押圧操作を行うまで、オン状態を維持する。運転者が再度押圧操作を行うと、デアイサスイッチ34はオン状態からオフ状態へと変更される。デアイサスイッチ34がオン状態である期間、ECU20は、ワイパデアイサ35への通電を行うことにより、以下に説明する停止位置領域SA(「特定領域」と称呼される場合もある。)を加熱する。このワイパデアイサ35への通電制御を「加熱制御」と称呼する場合もある。
【0037】
図4に示したように、ワイパデアイサ35は、左右のワイパブレード103L及び103Rの払拭領域104L及び104Rの下辺104La及び104Raの停止位置領域SAを加熱する。この停止位置領域SAは、払拭作動が終了したときにワイパブレード103L及び103Rが位置するようになっている停止位置の周辺領域である。ワイパデアイサ35は、フロントガラス101の停止位置領域SAに埋め込まれた電熱線である。ワイパデアイサ35が通電されると、ワイパデアイサ35が発生する熱によって停止位置領域SAが加熱される。運転者は、停止位置領域SAを解氷するために、デアイサスイッチ34を押圧操作する。そして、運転者は、停止位置領域SAの解氷が完了したと判断した場合、デアイサスイッチ34を再度押圧操作する。
【0038】
<作動の概要>
本制御装置10は、運転者の操作によりデアイサスイッチ34をオフ状態からオン状態へと変更された操作開始時点から少なくともデアイサスイッチ34をオン状態からオフ状態へと変更される操作終了時点までの操作時間Topにおいて、解氷実行条件が成立したと判定し、解氷制御を実行する。
【0039】
停止位置領域SAの凍結は、ワイパブレード103L、103Rが払拭作動できなくなるため、運転者の運転に直接影響を与える。このため、運転者は、停止位置領域SAの凍結に気づくと、デアイサスイッチ34を操作してオフ状態からオン状態へと変更する可能性が高い。更に、停止位置領域SAが凍結していれば、撮影透過領域101aも凍結しているか雪又は氷が付着しており解氷が必要な状態になっている可能性が高い。このため、カメラヒータ24専用のスイッチを設けなくとも、撮影透過領域101aに解氷が必要である可能性が高い場合に解氷制御を実行することができる。
【0040】
<作動例>
本制御装置10の作動例について図5を用いて説明する。
上記したように、ECU20は、IGスイッチ33がオン位置となった時点t1にて防曇制御を開始する。防曇制御においては、ECU20は、単位時間Tcycをオフ時間(非通電時間)Toffとオン時間(通電時間)Tonとに分けて、現時点がオフ時間Toffである場合にはカメラヒータ24へ通電を行わず、現時点がオン時間Tonである場合にはカメラヒータ24へ所定の電圧Vcを付与する。オン時間Tonの長さは、単位時間Tcycに防曇に必要な電力量(以下、「防曇電力量」又は「第1電力量」とも称呼される。)がカメラヒータ24に通電するように、当該単位時間Tcycが開始する前に設定されている。ECU20は、現時点が単位時間Tcycの終了時点に達すると次の単位時間Tcycを開始する。
【0041】
時点t2が上記操作開始時点に相当し、時点t3が上記操作終了時点に相当する。ECU20は、時点t2から時点t3までの操作時間Topにおいて、ワイパデアイサ35へ所定の電圧Vwを付与し続ける。
【0042】
ECU20は、時点t2にて解氷実行条件が成立するため、時点t2にて既に開始している単位時間Tcycの次の単位時間Tcycから解氷制御を開始する(時点t4を参照。)。解氷制御においては、ECU20は、単位時間Tcycに「防曇電力量よりも大きな解氷電力量(以下、「第2電力量」と称呼する場合もある。)」をカメラヒータ24に通電させる。本例においては、防曇制御と解氷制御とでカメラヒータ24へ付与される電圧Vcは同じである。このため、解氷電力量は防曇電力量よりも大きいため、解氷制御におけるオン時間Tonの長さは、防曇制御におけるオン時間Tonの長さよりも長い。以下の例では、図5に示したように、解氷制御のオン時間Tonの長さは単位時間Tcycの全部に予め設定されている。
【0043】
ECU20は、以下の式1により得られる第1単位面積電力量Wscが以下の式2により得られる第2単位面積電力量Wswに達した解氷完了時点(t5)の次に単位時間Tcycが開始する時点(t6)にて、解氷制御を終了して防曇制御を再開する。
【0044】
Wsc=(Wc・Texe)/Sc・・・式1
Wcは、カメラヒータ24の1秒当たりの消費電力である。このWcは、オン時間Tonを単位時間Tcycの総ての時間に設定した場合の単位時間Tcycの電力量を単位時間Tcycで除算することにより取得される。
Texeは、解氷制御の実行時間である。
Scは、撮影透過領域101aの面積である。
【0045】
Wsw=(Ww・Top)/Sw・・・式2
Wwは、ワイパデアイサ35の1秒当たりの消費電力である。
Topは、ワイパデアイサ35がオン状態にある時間、即ち、ワイパデアイサ35の操作時間である。
Swは、停止位置領域SAの面積である。
【0046】
運転者は停止位置領域SAの解氷が完了したと判断した場合にはデアイサスイッチ34を再度押圧することにより、デアイサスイッチ34をオン状態からオフ状態へと変更する。デアイサスイッチ34がオン状態からオフ状態へと変更された時点で操作時間Topが終了する。ワイパデアイサ35が操作時間Topにおいて消費した合計電力量を停止位置領域SAの面積で除算した第2単位面積電力量Wswは、単位面積の氷を解氷するために必要な電力量である。撮影透過領域101aの単位面積当たりの電力量(第1単位面積電力量Wsc)が第2単位面積電力量Wsw以上になると、撮影透過領域101aの解氷が完了している可能性が高い。よって、ECU20は、第1単位面積電力量Wscが第2単位面積電力量Wsw以上となった解氷完了時点にて解氷実行条件の成立が終了したと判定し、解氷制御を終了するようにしている。これによって、撮影透過領域101aが未だ凍っているのに解氷制御が終了してしまうこと、及び、撮影透過領域101aの解氷が完了しているのに、解氷制御が継続してしまうことを防止できる。
【0047】
ここで、式1の「Wc/Sc」及び式2の「Ww/Sw」は、それぞれ、固定値であり、カメラ係数Kc及びワイパ係数Kwと称呼する。本例では、カメラ係数Kcがワイパ係数Kwよりも小さいと仮定する。この仮定下では、第1単位面積電力量Wscが第2単位面積電力量Wswと一致するためには、実行時間Texeを操作時間Topよりも長くする必要がある。即ち、解氷完了時点は、操作終了時点より後になる。このため、ECU20は、時点t3にて以下の式3を用いて実行終了時間Tendを計算する。
Tend=(Kw/Kc)・Top・・・式3
【0048】
ECU20は、解氷制御の開始時点t4から解氷制御の実行時間Texeをカウントしており、実行時間Texeが実行終了時間Tend以上となった時点t6にて、解氷制御を終了する。
【0049】
これにより、ECU20は、操作終了時点以降も第1単位面積電力量Wscが第2単位面積電力量Wsw以上となる解氷完了時点まで解氷制御を継続する。従って、撮影透過領域101aが未だ凍っているのに解氷制御が終了してしまうことを防止でき、撮影透過領域101aの解氷が完了しているのに解氷制御が継続して無駄な電力を消費してしまうことを防止できる。
【0050】
(具体的作動)
<デアイサスイッチ操作制御ルーチン>
ECU20のCPU(以下、「CPU」と表記した場合、特に断りがない限り、ECU20のCPUを指す。)は、図6にフローチャートにより示したデアイサスイッチ操作制御ルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。
【0051】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図6のステップ600から処理を開始しステップ605に進み、解氷フラグXdeiの値が「0」であるか否かを判定する。
【0052】
解氷フラグXdeiの値は、デアイサスイッチ34がオン状態である場合に「1」に設定され(後述するステップ615を参照。)、デアイサスイッチ34がオフ状態である場合に「0」に設定される(後述するステップ630を参照。)。
【0053】
解氷フラグXdeiの値が「0」である場合、CPUは、ステップ605にて「Yes」と判定してステップ610に進み、デアイサスイッチ34がオン状態であるか否かを判定する。
【0054】
デアイサスイッチ34がオフ状態である場合、CPUは、ステップ610にて「No」と判定し、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0055】
一方、CPUがステップ610に進んだときにデアイサスイッチ34がオン状態である場合、CPUは、そのステップ610にて「Yes」と判定し、ステップ615及びステップ620をこの順に実行する。その後、CPUは、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0056】
ステップ615:CPUは、解氷フラグの値を「1」に設定し、延長フラグXextの値を「0」に設定し、操作タイマTMopの値を「0」に設定し、実行タイマTMexeの値を「0」に設定する。
【0057】
延長フラグXextの値は、デアイサスイッチ34がオン状態からオフ状態に変更されたときに「1」に設定される(後述するステップ630を参照。)。更に、延長フラグXextの値は、デアイサスイッチ34がオフ状態からオン状態に変更されたとき及び解氷制御の実行時間Texeが実行終了時間Tendに達したときに「0」に設定される(ステップ615及び図7に示した後述するステップ755を参照。)。
【0058】
操作タイマTMopは、デアイサスイッチ34がオン状態となっている時間(即ち、操作時間Top)をカウントするためのタイマである。実行タイマTMexeは、解氷制御の実行時間Texeをカウントするためのタイマである。
【0059】
ステップ620:CPUは、操作タイマTMopに「1」を加算する。
【0060】
CPUは、解氷フラグXdeiの値が「1」に設定された後にステップ605に進んだとき、そのステップ605にて「No」と判定し、ステップ625に進む。ステップ625にて、CPUは、デアイサスイッチ34がオン状態であるか否かを判定する。
【0061】
デアイサスイッチ34がオン状態である場合、CPUは、ステップ625にて「Yes」と判定してステップ620に進み、操作タイマTMopに「1」を加算する。その後、CPUは、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0062】
一方、CPUがステップ625に進んだときにデアイサスイッチ34がオフ状態である場合、CPUは、そのステップ625にて「No」と判定し、ステップ630及びステップ635をこの順に実行する。その後、CPUは、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0063】
ステップ630:CPUは、解氷フラグXdeiの値を「0」に設定し、延長フラグXextの値を「1」に設定する。
【0064】
ステップ635:CPUは、上記式3を用いて実行終了時間Tendを計算する。
【0065】
<デューティ比決定ルーチン>
CPUは、図7にフローチャートにより示したデューティ比決定ルーチンを上記単位時間Tcycが経過する毎に実行する。
【0066】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図7のステップ700から処理を開始しステップ705に進み、解氷フラグXdeiの値が「0」であるか否かを判定する。
【0067】
解氷フラグXdeiの値が「0」である場合、CPUは、ステップ705にて「Yes」と判定し、ステップ710に進む。ステップ710にて、CPUは、延長フラグXextの値が「0」であるか否かを判定する。
【0068】
延長フラグXextの値が「0」である場合、CPUは、ステップ710にて「Yes」と判定し、ステップ715乃至ステップ725をこの順に実行する。その後、CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0069】
ステップ715:CPUは、車速Vs及び外気温Teを取得する。
ステップ720:CPUは、車速Vs及び外気温Teを図示しないデューティ比マップに適用することによりデューティ比Dを決定する。デューティ比Dは、単位時間Tcycに対するオン時間Tonの割合であり、0以上1以下の値である。
デューティ比マップには、撮影透過領域101aの曇りを除去又は防止するために必要な単位時間Tcyc当たりのカメラヒータ24の電力量が得られるように、車速Vs及び外気温Teとデューティ比Dとの関係が予め設定されている。より詳細には、デューティ比マップには、車速Vsが大きいほどデューティ比Dが大きくなるように、且つ、外気温Teが低いほどデューティ比Dが大きくなるように、上記関係が予め設定されている。
【0070】
ステップ725:以下の式4及び式5を用いて、オフ時間Toff及びオン時間Tonを計算する。
Toff=(1-D)・Tcyc・・・式4
Ton=D・Tcyc・・・式5
【0071】
CPUがステップ705に進んだときに解氷フラグXdeiの値が「1」である場合、CPUは、そのステップ705にて「No」と判定し、ステップ730乃至ステップ740をこの順に実行する。その後、CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0072】
ステップ730:CPUは、実行タイマTMexeに本ルーチンの実行間隔である単位時間Tcycを加算する。
ステップ735:CPUは、デューティ比Dを「1.0」に決定する。
上述したように、解氷制御では単位時間Tcycの総てをオン時間Tonとするためである。
ステップ740:CPUは、オフ時間Toffを「0」に設定するとともに、オン時間Tonを「Tcyc」に設定する。
【0073】
その後、デアイサスイッチ34がオフ状態となることにより解氷フラグXdeiの値が「0」に設定され、延長フラグXextの値が「1」に設定された場合、CPUは、ステップ705にて「Yes」と判定し、ステップ710にて「No」と判定し、ステップ745及びステップ750をこの順に実行する。その後、CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0074】
ステップ745:CPUは、実行タイマTMexeに単位時間Tcycを加算する。
ステップ750:CPUは、実行タイマTMexeが示す実行時間Texeが実行終了時間Tend以上であるか否かを判定する。
【0075】
実行タイマTMexeが実行終了時間Tend未満である場合、CPUは、ステップ750にて「No」と判定し、ステップ735及びステップ740をこの順に実行する(即ち、解氷制御が継続される)。その後、CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0076】
一方、実行タイマTMexeが実行終了時間Tend以上である場合、CPUは、解氷実行条件の成立が終了したと判定する。この場合、CPUは、ステップ750にて「Yes」と判定し、ステップ755に進む。ステップ755にて、CPUは、CPUは、延長フラグXextの値を「0」に設定し、実行タイマTMexeの値を「0」に設定する。その後、CPUは、防曇制御のオフ時間Toff及びオン時間Tonを設定すべく、ステップ715乃至ステップ725を実行し、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0077】
<カメラヒータ通電制御ルーチン>
CPUは、図8にフローチャートにより示したカメラヒータ通電制御ルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。
【0078】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図8のステップ800から処理を開始しステップ805及びステップ810をこの順に実行する。
【0079】
ステップ805:CPUは、タイマTの値に「1」を加算する。
タイマTは、単位時間Tcycが開始した時点から経過した時間をカウントするためのタイマである。タイマTの値は、単位時間Tcycが経過したときに「0」に設定される(後述するステップ830を参照。)。更に、タイマTの値は、IGスイッチ33がオフ位置からオン位置となったときにCPUにより実行されるイニシャルルーチンにて、「0」に設定される。
【0080】
ステップ810:CPUは、タイマTが示す時間がオフ時間Toff未満であるか否かを判定する。
【0081】
タイマTが示す時間がオフ時間Toff未満である場合、CPUは、ステップ810にて「Yes」と判定してステップ815に進む。ステップ815にて、CPUは、カメラヒータ24への通電を停止し、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0082】
一方、タイマTが示す時間がオフ時間Toff以上である場合、CPUは、ステップ810にて「No」と判定してステップ820に進む。ステップ820にて、CPUは、タイマTが示す時間が単位時間Tcyc未満であるか否かを判定する。
【0083】
タイマTが単位時間Tcyc未満である場合、CPUは、ステップ820にて「Yes」と判定してステップ825に進む。ステップ825にて、CPUは、所定の電圧Vcをカメラヒータ24に付与することによりカメラヒータ24に通電を行う。その後、CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0084】
一方、タイマTが単位時間Tcyc以上である場合、CPUは、ステップ820にて「No」と判定してステップ830に進み、タイマTの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ825に進んでカメラヒータ24に通電を行い、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0085】
以上により、CPUは、操作開始時点から解氷完了時点までの期間において、解氷制御を実行するための解氷実行条件が成立したと判定し、解氷制御を実行する。これによって、撮影透過領域が凍っている可能性が高い場合に解氷制御を実行できる。更に、解氷制御が終了した場合に撮影透過領域101aが未だ凍っている可能性を低減でき、撮影透過領域101aの解氷が完了したにもかかわらず解氷制御が継続されることを防止できる。
【0086】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。
【0087】
(第1変形例)
本変形例では、カメラ係数Kcがワイパ係数Kw以上である場合について説明する。この場合、上記実施形態のように、解氷制御においてオン時間Tonが単位時間Tcycの総ての時間に設定されると、操作時間Topが終了する前に、第1単位面積電力量Wscが第2単位面積電力量Wswと一致してしまう。第1単位面積電力量Wscが第2単位面積電力量Wswと一致したときには撮影透過領域101aの解氷は完了していると推定されるので、第1単位面積電力量Wscが第2単位面積電力量Wswと一致した時点以降に解氷制御が実行されると、カメラヒータ24は無駄な電力を消費してしまう。
【0088】
そこで、本変形例に係るヒータ制御装置10は、操作時間Topが終了する時点で第1単位面積電力量Wscが第2単位面積電力量Wswと一致するようなオン時間Tonを用いて解氷制御を決定する。そして、ヒータ制御装置10は、操作時間Topに渡って解氷実行条件が成立していると判定し、解氷制御を実行する。
【0089】
本変形例では、デアイサスイッチ操作制御ルーチン及びデューティ比決定ルーチンが上記実施形態と異なり、カメラヒータ通電制御ルーチンは上記実施形態と同じである。
【0090】
<デアイサスイッチ操作制御ルーチン>
まず、図9を参照しながら、本変形例のデアイサスイッチ操作制御ルーチンを説明する。
所定のタイミングになると、CPUは、図9に示したステップ900から処理を開始し、ステップ905に進む。ステップ905にて、CPUは、デアイサスイッチ34がオン状態であるか否かを判定する。
【0091】
デアイサスイッチ34がオン状態である場合、CPUは、ステップ905にて「Yes」と判定してステップ910に進み、解氷フラグXdeiの値を「1」に設定する。その後、CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0092】
一方、デアイサスイッチ34がオフ状態である場合、CPUは、ステップ905にて「No」と判定してステップ915に進み、解氷フラグXdeiの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0093】
<デューティ比決定ルーチン>
次に、図10を参照しながら、本変形例のデューティ比決定ルーチンを説明する。図10では、図8に示したステップと同じ処理を行うステップには、図8にて使用した符号を同じ符号を付与し、その説明を省略する。
【0094】
所定のタイミングになると、CPUは、図10に示したステップ1000から処理を開始し、図10に示したステップ705に進む。解氷フラグXdeiの値が「0」である場合、CPUは、図10に示したステップ705にて「Yes」と判定し、図10に示したステップ715乃至ステップ725を実行し、防曇制御用のオフ時間Toff及びオン時間Tonを決定する。その後、CPUは、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0095】
一方、解氷フラグXdeiの値が「1」である場合、CPUは、ステップ705にて「No」と判定し、ステップ1005に進む。ステップ1005にて、CPUは、解氷制御用のデューティ比Dを以下の式6を用いて予め演算された値に設定する。その後、CPUは、図10に示したステップ725を実行し、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
D=Kw/Kc・・・式6
【0096】
上記式6を用いて演算された値に設定されたデューティ比Dを用いた解氷制御が操作時間Topに渡って実行されると、第1単位面積電力量Wscが第2単位面積電力量Wswと一致する。
【0097】
以上から理解されるように、本変形例によれば、カメラ係数Kcがワイパ係数Kw以上である場合において、撮影透過領域101aの解氷が完了しているにもかかわらず解氷制御が継続されてしまうことを防止できる。
【0098】
(第2変形例)
上記実施形態及び第1変形例では、カメラヒータ24に通電する際にECU20は一定の電圧Vcをカメラヒータ24に付与するものであった。本変形例では、ECU20がカメラヒータ24へ付与する電圧Vcが可変である。
【0099】
本変形例に係るヒータ制御装置10は、操作時間Topの操作終了時点にて第1単位面積電力量Wscが第2単位面積電力量Wswと一致するような電圧Vcをカメラヒータ24へ通電させる解氷制御を実行する。
【0100】
本変形例では、デアイサスイッチ操作制御は上記第1変形例と同じであり、デューティ比決定ルーチンの代わりに電圧Vcを決定するための電圧決定ルーチンが実行される。更に、本変形例のカメラヒータ通電制御では、オフ時間Toff及びオン時間Tonに従って通電制御を行わずに電圧決定ルーチンで決定された電圧Vcをカメラヒータ24に付与する点で上記第1変形例と異なる。
【0101】
<電圧決定ルーチン>
図11を参照しながら、本変形例の電圧決定ルーチンを説明する。図11では、図10に示したステップと同じ処理を行うステップには、図10にて使用した符号を同じ符号を付与し、その説明を省略する。
【0102】
所定のタイミングになると、CPUは、図11に示したステップ1100から処理を開始し、図11に示したステップ705に進む。解氷フラグXdeiの値が「0」である場合、CPUは、図11に示したステップ705にて「Yes」と判定し、図11に示したステップ715に進む。CPUは、図11に示したステップ715にて車速Vs及び外気温Teを取得した後、ステップ1105に進む。ステップ1105にて、CPUは、車速Vs及び外気温Teを図示しない電圧マップに適用することにより防曇制御用の電圧Vcを決定する。なお、電圧マップには、撮影透過領域101aの曇りを除去又は防止するために必要な単位時間Tcyc当たりのカメラヒータ24の電力量が得られるように、車速Vs及び外気温Teと電圧Vcとの関係が予め設定されている。より詳細には、電圧マップには、車速Vsが大きいほど電圧Vcが大きくなるように、且つ、外気温Teが低いほど電圧Vcが大きくなるように、上記関係が予め設定されている。
【0103】
その後、CPUは、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0104】
一方、解氷フラグXdeiの値が「1」である場合、CPUは、図11に示したステップ705にて「No」と判定し、図11に示したステップ1110に進む。ステップ1110にて、CPUは、解氷制御用の電圧Vcを以下の式7及び式8を用いて予め演算された値に設定する。その後、CPUは、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0105】
Vc=K・Vw・・・式7
K={(Sc/Sw)・(Rc/Rw)}1/2・・・式8
Rcは、カメラヒータ24の抵抗値である。
Rwは、ワイパデアイサ35の抵抗値である。
【0106】
電圧Vcが上記式7及び式8を用いて演算された値に設定されると、解氷制御が操作時間Topに渡って実行されると第1単位面積電力量Wscが第2単位面積電力量Wswと一致する。
【0107】
以上から理解されるように、本変形例によれば、カメラ係数Kcがワイパ係数Kwより大きいか否かにかかわらず、操作時間Topと同じ時間だけ解氷制御を実行することによち第1単位面積電力量Wscを第2単位面積電力量Wswと一致させることができる。これにより、撮影透過領域101aが未だ凍っているのに解氷制御が終了してしまうことを防止でき、且つ、撮影透過領域101aの解氷が完了しているのに解氷制御が継続し、無駄な電力を消費してしまうことを防止できる。
【0108】
(第3変形例)
撮影透過領域101aと停止位置領域SAとが一枚のウィンドウガラスの領域である必要はなく、撮影透過領域101aを有するウィンドウガラスと停止位置領域SAを有するウィンドウガラスとが異なっていてもよい。フロントウィンドウ101の一部の領域に停止位置領域SAが設けられ、撮影透過領域101aはリアガラス102の一部の領域に設けられてもよい。即ち、カメラセンサ22は、当該撮影透過領域101aを通して車両VAの後方を撮影してもよい。この場合、ECU20は、カメラセンサ22が生成した画像データに基いて駐車支援制御を運転支援制御として実行する。駐車支援制御では、一例として、ECU20は、運転者が車両VAを駐車しようとするときに画像データに基いて車両VAの後方の画像を図示しないディスプレイに表示する。更に、ECU20は、上記画像データに基いて車両VAを目標駐車領域へ自動で車両VAを移動させてもよい。
【0109】
(第4変形例)
上記実施形態及び上記変形例では、デアイサスイッチ34の操作に基いて解氷制御が実行されたが、デアイサスイッチ34の操作の代わりにデフォッガスイッチ41の操作に基いて解氷制御が実行されてもよい。
【0110】
デフォッガスイッチ41は、運転者の押圧操作によりオフ状態からオン状態へと変更され、運転者の再度の押圧操作によりオン状態からオフ状態へと変更される。デフォッガスイッチ41がオン状態である期間、ECU20は、リアデフォッガ42への通電を行う。このリアデフォッガ42への通電制御を「加熱制御」と称呼する場合もある。
【0111】
リアデフォッガ42は、車両VAのリアガラス102の全面に設けられた電熱線である。リアデフォッガ42が通電されると、リアデフォッガ42が発生する熱によってリアガラス102が加熱される。
【0112】
運転者は、通常、リアガラス102の曇りを除去するためにデフォッガスイッチ41に対して押圧操作(以下、「防曇操作」と称呼する。)を行うが、リアガラス102を解氷するためにデフォッガスイッチ41に対して押圧操作(以下、「解氷操作」と称呼する。)を行う場合がある。
【0113】
IGスイッチ33がオン位置に設定されたIGオン時点の直後は図示しない空調装置が作動してから十分な時間が経過していないので、車両VAの室内の温度が外気温と同程度である可能性が高い。このため、リアガラス102に曇りが発生していない可能性が高い。IGオン時点直後にデフォッガスイッチ41が押圧操作された場合には、その操作は解氷操作である可能性が高い。
【0114】
従って、CPUは、デフォッガスイッチ41がオフ状態からオン状態となった時点(操作開始時点)が、IGオン時点から所定時間以内であれば、デフォッガスイッチ41に対して解氷操作が行われたと判定し、解氷フラグXdeiの値を「1」に設定する。一方、操作開始時点がIGオン時点から所定経過した時点以降である場合、CPUは、デフォッガスイッチ41に対して防曇操作が行われたと判定する。この場合には、CPUは、解氷フラグXdeiの値を「1」に設定せず、解氷フラグXdeiの値を「0」のままにする。
【0115】
(第5変形例)
デアイサスイッチ34がオフ状態からオン状態に変更されてから次の押圧操作が行われずに所定時間が経過した場合、CPUは、デアイサスイッチ34がオフ状態となったと判定してもよい。即ち、CPUは、図6に示したステップ625にて「No」と判定し、図9に示したステップ905にて「No」と判定する。更に、CPUは、ワイパデアイサ36への通電を停止する。なお、デフォッガスイッチ41についても同様である。
【0116】
(第6変形例)
デアイサスイッチ34は運転者がデアイサスイッチ34に対して押圧操作を行っている間だけオン位置に位置し(即ち、デアイサスイッチ34がオン状態となり)、その押圧操作を解除するとオフ位置する(即ち、デアイサスイッチ34がオフ状態となる)、ように構成されていてもよい。なお、デフォッガスイッチ41についても同様である。
【符号の説明】
【0117】
10…ヒータ制御装置、20…ECU、22…カメラセンサ、24…カメラヒータ、34…デアイサスイッチ、35…ワイパデアイサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11