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特許7347372ルート決定システム、ルート決定方法及びルート決定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】ルート決定システム、ルート決定方法及びルート決定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20230912BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230912BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/00 X
B65G61/00 544
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020142464
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038137
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-090152(JP,A)
【文献】特開2019-096126(JP,A)
【文献】特開2019-151149(JP,A)
【文献】特開2019-119586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
B65G 57/00-57/32
60/00-61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の搬送ルートを、複数の候補から決定するルート決定システムであって、
前記搬送ルートは、第1の自律移動体によって前記物品を搬送する第1の搬送区間と、前記第1の自律移動体よりも小型の第2の自律移動体によって前記物品を搬送する第2の搬送区間とを含み、
前記第2の自律移動体は、前記第1の搬送区間において前記第1の自律移動体に搭載されており、
前記搬送ルート上における天候情報に基づいて、前記第2の自律移動体の走行に適した天候か否かを判定する判定部と、
前記第2の自律移動体の走行に適した天候でないと判定された場合、前記第2の搬送区間の長さが短くなるように、前記複数の候補から前記搬送ルートを決定する決定部と、
を備え
前記第1の搬送区間は、出発地点から中間地点までの区間であり、
前記第2の搬送区間は、前記中間地点から目的地点までの区間であり、
前記複数の候補の各々は、前記第1の搬送区間と前記第2の搬送区間の両方を含み、
前記出発地点は前記複数の候補の間で共通であり、
前記中間地点は前記複数の候補の間で互いに異なり、
前記目的地点は前記複数の候補の間で共通であり、
前記第1の自律移動体は前記複数の候補の間で共通である
ルート決定システム。
【請求項2】
前記搬送ルートは、複数の配送先のそれぞれに対して、当該配送先に対応する物品を配送するルートであり、
前記第2の搬送区間は、前記第1の自律移動体の停止位置から前記複数の配送先のいずれかまでの経路と、前記複数の配送先のいずれかから前記停止位置までの経路とを含む、
請求項1に記載のルート決定システム。
【請求項3】
前記判定部は、
雨量、積雪量、又は風速のうち少なくとも1つに基づいて、前記第2の自律移動体の走行に適した天候か否かを判定する、
請求項1又は2に記載のルート決定システム。
【請求項4】
前記判定部は、
各地における天候情報の中から、前記搬送ルートにおける前記天候情報を取得する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のルート決定システム。
【請求項5】
物品の搬送ルートを、複数の候補から決定するルート決定方法であって、
前記搬送ルートは、第1の自律移動体によって前記物品を搬送する第1の搬送区間と、前記第1の自律移動体よりも小型の第2の自律移動体によって前記物品を搬送する第2の搬送区間とを含み、
前記第2の自律移動体は、前記第1の搬送区間において前記第1の自律移動体に搭載されており、
コンピュータが、前記搬送ルート上における天候情報に基づいて、前記第2の自律移動体の走行に適した天候か否かを判定する判定ステップと、
前記コンピュータが、前記搬送ルート上における天候情報に基づいて、前記第2の自律移動体の走行に適した天候でないと判定された場合、前記第2の搬送区間の長さが短くなるように、前記複数の候補から搬送ルートを決定する決定ステップと、
を備え
前記第1の搬送区間は、出発地点から中間地点までの区間であり、
前記第2の搬送区間は、前記中間地点から目的地点までの区間であり、
前記複数の候補の各々は、前記第1の搬送区間と前記第2の搬送区間の両方を含み、
前記出発地点は前記複数の候補の間で共通であり、
前記中間地点は前記複数の候補の間で互いに異なり、
前記目的地点は前記複数の候補の間で共通であり、
前記第1の自律移動体は前記複数の候補の間で共通である
ルート決定方法。
【請求項6】
物品の搬送ルートを、複数の候補から決定するルート決定プログラムであって、
前記搬送ルートは、第1の自律移動体によって前記物品を搬送する第1の搬送区間と、前記第1の自律移動体よりも小型の第2の自律移動体によって前記物品を搬送する第2の搬送区間とを含み、
前記第2の自律移動体は、前記第1の搬送区間において前記第1の自律移動体に搭載されており、
コンピュータに、
前記搬送ルート上における天候情報に基づいて、前記第2の自律移動体の走行に適した天候か否かを判定する判定ステップと、
前記第2の自律移動体の走行に適した天候でないと判定された場合、前記第2の搬送区間の長さが短くなるように、前記複数の候補から前記搬送ルートを決定する決定ステップと、
を実行させ
前記第1の搬送区間は、出発地点から中間地点までの区間であり、
前記第2の搬送区間は、前記中間地点から目的地点までの区間であり、
前記複数の候補の各々は、前記第1の搬送区間と前記第2の搬送区間の両方を含み、
前記出発地点は前記複数の候補の間で共通であり、
前記中間地点は前記複数の候補の間で互いに異なり、
前記目的地点は前記複数の候補の間で共通であり、
前記第1の自律移動体は前記複数の候補の間で共通である
ルート決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルート決定システム、ルート決定方法及びルート決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の内部に複数の配送ロボットを搭載し、物品の配送を行うシステムを開示している。特許文献1に記載された車両は、複数の配送ロボットを用いて、複数の配送先に物品を配送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102016009572号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、配送ロボットの走行に適さない天候の場合、配送ロボット、又は当該配送ロボットが搬送する物品に対して物理的なダメージが加わるおそれがあった。
【0005】
本発明は、配送ロボットの走行に適さない天候下において、当該配送ロボットの走行距離を低減可能な搬送ルートの決定方法を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるルート決定システムは、
物品の搬送ルートを、複数の候補から決定するルート決定システムであって、
前記搬送ルートは、第1の自律移動体によって前記物品を搬送する第1の搬送区間と、前記第1の自律移動体よりも小型の第2の自律移動体によって前記物品を搬送する第2の搬送区間とを含み、
前記第2の自律移動体は、前記第1の搬送区間において前記第1の自律移動体に搭載されており、
前記搬送ルート上における天候情報に基づいて、前記第2の自律移動体の走行に適した天候か否かを判定する判定部と、
前記第2の自律移動体の走行に適した天候でないと判定された場合、前記第2の搬送区間の長さが短くなるように、前記複数の候補から前記搬送ルートを決定する決定部と、
を備える。
【0007】
本発明にかかるルート決定方法は、
物品の搬送ルートを、複数の候補から決定するルート決定方法であって、
前記搬送ルートは、第1の自律移動体によって前記物品を搬送する第1の搬送区間と、前記第1の自律移動体よりも小型の第2の自律移動体によって前記物品を搬送する第2の搬送区間とを含み、
前記第2の自律移動体は、前記第1の搬送区間において前記第1の自律移動体に搭載されており、
前記搬送ルート上における天候情報に基づいて、前記第2の自律移動体の走行に適した天候か否かを判定する判定ステップと、
前記第2の自律移動体の走行に適した天候でないと判定された場合、前記第2の搬送区間の長さが短くなるように、前記複数の候補から搬送ルートを決定する決定ステップと、
を備える。
【0008】
本発明にかかるルート決定プログラムは、
物品の搬送ルートを、複数の候補から決定するルート決定プログラムであって、
前記搬送ルートは、第1の自律移動体によって前記物品を搬送する第1の搬送区間と、前記第1の自律移動体よりも小型の第2の自律移動体によって前記物品を搬送する第2の搬送区間とを含み、
前記第2の自律移動体は、前記第1の搬送区間において前記第1の自律移動体に搭載されており、
コンピュータに、
前記搬送ルート上における天候情報に基づいて、前記第2の自律移動体の走行に適した天候か否かを判定する判定ステップと、
前記第2の自律移動体の走行に適した天候でないと判定された場合、前記第2の搬送区間の長さが短くなるように、前記複数の候補から前記搬送ルートを決定する決定ステップと、
を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、配送ロボットの走行に適さない天候下において、当該配送ロボットの走行距離を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかるルート決定システムの概要を示す概略図である。
図2】実施の形態1にかかるルート決定システムの構成を示す構成図である。
図3】実施の形態1にかかるサーバの構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態1にかかるルート決定システムの動作を示すフローチャートである。
図5】配送エリアを例示する概略図である。
図6】実施の形態1にかかるルート決定システムが特定する搬送ルートの候補を例示する図である。
図7】実施の形態2にかかるルート決定システムの概要を示す概略図である。
図8】実施の形態2にかかるサーバの構成を示す構成図である。
図9】実施形態2にかかるルート決定システムが特定する搬送ルートの候補を示す概略図である。
図10】実施形態2にかかるルート決定システムが特定する搬送ルートの候補を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態1にかかるルート決定システム500の概要を示す概略図である。ルート決定システム500は、出発地点Xから目的地点Zまで物品を搬送する搬送ルートを決定する。
【0012】
ここで、搬送ルートは、第1の自律移動体100によって物品を搬送する第1の搬送区間P1と、第2の自律移動体200によって物品を搬送する第2の搬送区間P2とを含むものとする。第1の搬送区間P1は、出発地点Xから中間地点Yまでの区間である。第2の搬送区間P2は、中間地点Yから目的地点Zまでの区間である。中間地点Yにおいて、第1の自律移動体100から第2の自律移動体200への物品の積み替えが行われる。中間地点は、第1の自律移動体100が停車可能な駐車場等であってもよい。
【0013】
図1には、区間P1a及び区間P2aを含む搬送ルートの候補R1と、区間P1b及び区間P2bを含む搬送ルートの候補R2とが示されている。候補R1における中間地点は中間地点Y1であり、候補R2における中間地点は中間地点Y2である。図において、第1の搬送区間を実線で示し、第2の搬送区間を点線で示している。
【0014】
また、第2の自律移動体200は、第1の自律移動体100よりも小型の自律移動体であり、第1の搬送区間P1において第1の自律移動体100に搭載されている。例えば、第2の自律移動体200は配送ロボットであり、第1の自律移動体100は配送ロボットを搭載して走行可能な自動運転車両である。第2の自律移動体200は、第1の自律移動体100の停止位置(中間地点)から物品の搬送を開始することとなる。
【0015】
ここで、搬送ルート上における天候が雨の場合、第2の自律移動体200が搬送する物品が濡れてしまうおそれがある。また、搬送ルート上における天候が雪の場合、第2の自律移動体200が搬送する物品に雪が積もってしまうおそれがある。
【0016】
また、第2の自律移動体200は、より大型の第1の自律移動体100と比べてセンサ等の機能が劣っている場合がある。このような場合、第2の自律移動体200は、雨、雪等の天候下において自装置の現在位置を認識できなくなり、自律移動が出来なくなるおそれがある。ルート決定システム500は、第2の自律移動体200の走行に適さない雨、雪等の天候下における第2の自律移動体の走行距離が短くなるように搬送ルートを決定する。
【0017】
次に、図2を用いてルート決定システム500の構成について説明する。ルート決定システム500は、第1の自律移動体100と、第2の自律移動体200と、サーバ300とを備える。第1の自律移動体100と、第2の自律移動体200と、サーバ300とは、ネットワーク400を介して接続されている。ここで、ネットワーク400は、インターネット、イントラネット、携帯電話網、LAN(Local Area Network)等の通信回線網である。
【0018】
サーバ300は、物品の搬送ルートを決定する。そして、サーバ300は、決定した搬送ルートのうち、第1の搬送区間P1に対応する部分を第1の自律移動体100に送信し、第2の搬送区間P2に対応する部分を第2の自律移動体200に送信する。
【0019】
第1の自律移動体100は、センサ110と、通信部120と、走行制御部130とを備える。センサ110は、第1の自律移動体100の周辺の環境データを収集し、走行制御部130に出力する。センサ110は、例えば、カメラ、レーダ、LIDAR等である。通信部120は、ネットワーク400と無線通信を行うための通信インターフェースである。通信部120は、ネットワーク400を介してサーバ300が決定した搬送ルートを受信する。
【0020】
走行制御部130は、センサ110が収集した環境データを用いて、第1の自律移動体100を搬送ルートに沿って自律移動させる。ここで、第1の自律移動体100は、自装置の位置をGPS(Global Positioning System)、センサ110等により取得しているものとする。
【0021】
第2の自律移動体は、センサ210と、通信部220と、走行制御部230とを備える。センサ210はセンサ110と同様の機能を有し、通信部220は通信部120と同様の機能を有し、走行制御部230は走行制御部130と同様の機能を有する。
【0022】
次に、図3を用いてサーバ300について詳細に説明する。サーバ300は、第1の自律移動体100及び第2の自律移動体200を用いて物品を搬送する搬送ルートを決定する。サーバ300は、記憶部310、判定部321、特定部322、決定部323、及び通信部330を備える。
【0023】
記憶部310は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置である。また、記憶部310は、一時的に情報を保持するための記憶領域であるRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置を含んでもよい。通信部330は、ネットワーク400との通信インターフェースである。
【0024】
記憶部310は、出発地点3111、目的地点3112と、地図情報312とを記憶する。記憶部310は、物品の搬送における出発地点3111と、目的地点3112とを対応付けて記憶する。
【0025】
地図情報312は、配送エリアを含む地図データである。後述する特定部322は、地図情報312を用いて、搬送ルートの複数の候補を特定する。地図情報312は、例えば、交差点等を表すノードと、通路を表すリンクとに番号付けした道路地図のデータであってもよい。また、地図情報312は、障害物となる建物の領域等を表した環境地図であってもよい。また、地図情報312は通路の幅に関する情報を含んでもよい。このような場合、後述する特定部322は、第1の自律移動体100及び第2の自律移動体のサイズに基づいて、適切な搬送ルートの候補を特定することができる。
【0026】
天候情報313は、搬送ルート上における天候を表す情報である。天候情報313は、晴れ、曇り、雨等の天気を示す情報であってもよく、雨量、積雪量、風速を示す情報であってもよい。また、天候情報313には、黄砂の濃度等が含まれてもよい。
【0027】
判定部321は、天候情報313に基づいて、第2の自律移動体200の走行に適した天候であるか否かを判定する。判定部321は、雨量、積雪量、又は風速の少なくとも1つに基づいて、第2の自律移動体200の走行に適した天候か否かを判定してもよい。例えば、判定部321は、雨量が所定の閾値を超えている場合に第2の自律移動体200の走行に適した天候でないと判定してもよい。なお、判定部321は、インターネット等を介して収集された各地における天候情報の中から、搬送ルート上における天候情報を取得し、第2の自律移動体200の走行に適した天候であるか否かを判定してもよい。
【0028】
特定部322は、地図情報312を用いて、出発地点3111から目的地点3112までの搬送ルートについて、複数の候補を特定する。特定部322は、例えば、目的地点3112の周囲において第1の自律移動体が停車可能な複数の中間地点Yを選択する。そして、特定部322は、複数の中間地点Yのそれぞれについて、出発地点3111から当該中間地点Yまでの第1の搬送区間を特定し、当該中間地点Yから目的地点3112までの第2の搬送区間を特定することによって、複数の候補を特定してもよい。なお、特定部322は、中間地点Yが共通しており、第2の搬送区間がそれぞれ異なる複数の候補を特定してもよい。
【0029】
決定部323は、判定部321によって第2の自律移動体200の走行に適した天候でないと判定された場合、第2の搬送区間の長さが短くなるように、複数の候補から搬送ルートを決定する。決定部323は、例えば、複数の候補のうち第2の搬送区間が最も短い候補を搬送ルートに決定してもよい。また、決定部323は、複数の候補のうち、第2の搬送区間の長さが2番目又は3番目に短い候補を搬送ルートに決定してもよい。なお、第2の搬送区間の長さは決定部323が算出してもよく、特定部322が算出してもよい。
【0030】
なお、判定部321、特定部322、及び決定部323の各機能は、図示しないプロセッサが、プログラムをRAMへ読み込ませ、実行することにより実現されてもよい。
【0031】
図4は、実施の形態1にかかるルート決定システム500の動作を示すフローチャートである。判定部321が、第2の自律移動体200の走行に適した天候でないと判定しているものとする。
【0032】
まず、ルート決定システム500は、出発地点3111から目的地点3112までの搬送ルートの複数の候補を特定する(ステップS101)。ここで、ルート決定システム500は、搬送ルートが長くなり過ぎないように、適切な候補を特定していてもよい。なお、出発地点3111は、配送物を収容する倉庫であってもよい。目的地点3112は、物品の配送先を示す情報である。
【0033】
次に、決定部323は、第2の搬送区間の長さが短くなるように、ステップS101で特定された複数の候補から搬送ルートを決定する(ステップS102)。次に、サーバ300は、第1の自律移動体100及び第2の自律移動体200に、決定した搬送ルートを送信する。(ステップS103)。次に、第1の自律移動体100は、ステップS103で受信した搬送ルートに沿って、第1の搬送区間における自律移動を行う(ステップS104)。最後に、第2の自律移動体200は、ステップS103で受信した搬送ルートに沿って、第2の搬送区間における自律移動を行い、物品を目的地点3112まで搬送する(ステップS105)。
【0034】
次に、図5及び図6を用いて、搬送ルートの候補の具体例について説明する。図5は、配送エリアを示すマップである。ルート決定システム500は、地点Xから地点Zまでの搬送ルートを決定するものとする。
【0035】
ルート決定システム500は、搬送ルート上における天候が第2の自律移動体200の走行に適した天候でないと判定したものとする。配送エリアには、幅が異なる2種類の通路が含まれる。第1の自律移動体100は、通路20aを通過することができるが、通路20bを通過することはできない。第2の自律移動体200は、通路20a及び通路20bを通過することができる。
【0036】
特定部322は、搬送ルートの複数の候補を特定する。図6は、特定部322が特定する複数の候補R1及びR2を示す。中間地点Y1及びY2は、第1の自律移動体100が停止可能な位置である。ルート決定システム500は、出発地点Xから中間地点Y1までの第1の搬送区間と、中間地点Y1から目的地点Zまでの第2の搬送区間とを特定し、候補R1とする。また、ルート決定システム500は、出発地点Xから中間地点Y2までの第1の搬送区間と、中間地点Y2から目的地点Zまでの第2の搬送区間とを特定し、候補R2とする。図において、第1の搬送区間を実線で示し、第2の搬送区間を点線で示している。
【0037】
決定部323は、候補R1における第2の搬送区間の長さと、候補R2における第2の搬送区間の長さとを比較する。決定部323は、第2の搬送区間が候補R1よりも短い候補R2を搬送ルートに決定する。
【0038】
なお、搬送ルートにおける第2の搬送区間は、第1の自律移動体100の停止位置から物品の配送先までの経路と、配送先から当該停止位置までの経路とを含んでもよい。つまり、第2の自律移動体200が、物品の配送後に第1の自律移動体100の停止位置まで戻る場合、搬送ルートは目的地点Zから中間地点Yまでの移動経路を含んでもよい。
【0039】
また、特定部322は、第1の自律移動体100が配送先の前の通路に停車するような候補を特定してもよい。このような候補が存在する場合、ルート決定システム500は、当該候補を搬送ルートに決定することとなる。第2の自律移動体200は、配送先の敷地内における荷物の搬送を行うこととなる。
【0040】
ルート決定システム500は、第2の自律移動体200の走行に適した天候でないと判定された場合、第2の自律移動体が走行する距離が短くなるように搬送ルートを決定する。したがって、ルート決定システム500は、第2の自律移動体の走行に適さない天候下において、第2の自律移動体が走行する距離を低減することができる。
【0041】
なお、サーバ300が搬送ルートを決定する場合について説明したが、第1の自律移動体100が配送先の情報を取得し、現在地から配送先までの搬送ルートを決定してもよい。つまり、第1の自律移動体100側で、判定部321、特定部322、及び決定部323による処理が行われてもよい。第1の自律移動体100は、自装置が決定した搬送ルートに沿って、第1の搬送区間において自律移動を行い物品の配送を行う。そして、第1の自律移動体100は、搬送ルートのうち第2の搬送区間に対応する部分を第2の自律移動体200に送信する。このような場合、ルート決定システム500は、サーバ300を含まなくてもよい。つまり、処理が第1の自律移動体100及び第2の自律移動体200内で完結したシステムも、実施の形態1にかかるルート決定システム500には含まれ得る。
【0042】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2にかかるルート決定システム500aの概要を示す概略図である。ルート決定システム500aは、複数の配送先のそれぞれに対して、当該配送先に対応する物品を配送するルートを決定する。ルート決定システム500aは、例えば、出発地点Xから、目的地点Z1及び目的地点Z2に物品を搬送する搬送ルートを決定する。
【0043】
図7において、第1の搬送区間を1つ含む候補R3と、第1の搬送区間を2つ含む候補R4とが存在する。なお、候補R3と候補R4の出発地点Xは同じ位置であるが、分かり易くするために図面上では異なる位置としている。同様に、候補R3における区間P1cと、候補R4における区間P1cとは同一の経路であるが、分かり易くするために離れた位置に示している。中間地点Y3及び区間P2cについても同様である。
【0044】
候補R3は、第1の自律移動体100が出発地点Xから中間地点Y3まで移動する区間P1cと、第2の自律移動体200が中間地点Y3から目的地点Z1まで移動する区間P2cと、第2の自律移動体200が目的地点Z1から目的地点Z2まで移動する区間P2dと、第2の自律移動体200が目的地点Z2から中間地点Y3まで移動する区間P2eを含む。
【0045】
一方、候補R4は、第1の自律移動体100が出発地点Xから中間地点Y3まで移動する区間P1cと、第2の自律移動体200が中間地点Y3から目的地点Z1まで移動する区間P2cと、第2の自律移動体200が目的地点Z1から中間地点Y3に戻る区間P2fとを含む。そして、候補R4は、第1の自律移動体100が中間地点Y3から中間地点Y4まで移動する区間P1dと、第2の自律移動体200が中間地点Y4から目的地点Z2まで移動する区間P2gと、第2の自律移動体200が目的地点Z2から中間地点Y4まで移動する区間P2hとを含む。図において、第1の搬送区間を実線で示し、第2の搬送区間を点線で示している。
【0046】
このように、複数の配送先が存在する場合には、第1の自律移動体100の移動回数が異なる複数の搬送ルートの候補が存在し得る。ルート決定システム500aは、このような場合においても、走行に適さない天候下における第2の自律移動体200の走行距離が短くなるように搬送ルートを決定する。
【0047】
ルート決定システム500aの構成は、図2と同様であり、サーバ300aと、第1の自律移動体100と、第2の自律移動体200とを備える。第1の自律移動体100及び第2の自律移動体200の機能は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0048】
次に、図8を用いてサーバ300aについて詳細に説明する。以下では、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。サーバ300aの記憶部310は、複数の目的地点3112a及び3112bを記憶する。なお、記憶部310は、3箇所以上の目的地点を記憶していてもよい。
【0049】
特定部322は、地図情報312を用いて、出発地点3111を出発し、目的地点3112a及び3112bを通る搬送ルートの候補を特定する。特定部322は、特定した複数の候補を決定部323に出力する。なお、実施の形態1と同様に、搬送ルートは、第2の自律移動体200が第1の自律移動体100の停止位置まで戻る経路を含んでもよい。つまり、第2の搬送区間は、第1の自律移動体100の停止位置から複数の配送先のいずれかまでの経路と、複数の配送先のいずれかから当該停止位置までの経路とを含んでもよい。
【0050】
特定部322は、例えば、目的地点3112a及び目的地点3112bの周辺において第1の自律移動体100が停車可能な中間地点Yを選択し、出発地点3111から中間地点Yまでの第1の搬送区間を特定する。そして、特定部322は、第2の自律移動体200が中間地点Yを出発して目的地点3112a及び3112bを訪れる第2の搬送区間を特定してもよい。また、特定部322は、第1の自律移動体100が目的地点3112aの周辺で停止し、さらに目的地点3112bの周辺で停止するような搬送ルートの候補を特定してもよい。
【0051】
決定部323は、実施の形態1と同様に、搬送ルート上における天候が第2の自律移動体200の走行に適さない場合、第2の搬送区間の長さが短くなるように、特定部322が特定した複数の候補から搬送ルートを決定する。決定部323は、通信部330を介して、第1の搬送区間に対応する部分を第1の自律移動体100に送信し、第2の搬送区間に対応する部分を第2の自律移動体200に送信する。なお、決定部323は、天候が第2の自律移動体200の走行に適する場合には、第1の自律移動体100の停止回数が小さい候補を搬送ルートに決定してもよく、搬送時間が短い候補を搬送ルートに決定してもよい。
【0052】
図9及び図10を用いて、搬送ルートの具体例について説明する。ルート決定システム500aは、出発地点Xから、目的地点Z1及びZ2に物品を搬送する搬送ルートを決定するものとする。図9は、第1の自律移動体100が、1つの中間地点Y3で停止する場合における搬送ルートの候補である。図10は、第1の自律移動体100が、2つの中間地点Y3及びY4で停止する場合における搬送ルートの候補である。なお、搬送ルートが、第2の自律移動体200が第1の自律移動体100の停止位置(中間地点)まで戻る部分を含む場合について説明する。
【0053】
図9に示す候補における第2の搬送区間は、中間地点Y3から目的地点Z1までの区間P2cと、目的地点Z1から目的地点Z2までの区間P2dと、目的地点Z2から中間地点Y3までの区間P2eとである。なお、区間P1cは、第1の搬送区間である。
【0054】
図10に示す候補における第2の搬送区間は、中間地点Y3から目的地点Z1までの区間P2cと、目的地点Z1から中間地点Y3までの区間P2fと、中間地点Y4から目的地点Z2までの区間P2gと、目的地点Z2から中間地点Y4までの区間P2hとである。なお、区間P1c及びP1dは、第1の搬送区間である。
【0055】
例えば、図9に示す候補における第2の搬送区間の長さが400mであり、図10に示す候補における第2の搬送区間の長さが300mの場合、決定部323は、図10に示す候補を搬送ルートに決定する。
【0056】
このように、搬送ルートが複数の配送先を含む場合であっても、実施の形態1と同様に、第2の自律移動体の走行に適さない天候下において、第2の自律移動体が走行する距離が短くなるように搬送ルートを決定することができる。
【0057】
尚、上述の実施形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではない。本開示は、任意の処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0058】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disc)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
20a、20b 通路
100 第1の自律移動体
200 第2の自律移動体
110、210 センサ
120、220 通信部
130、230 走行制御部
300、300a サーバ
310 記憶部
3111 出発地点
3112、3112a、3112b 目的地点
312 地図情報
313 天候情報
321 判定部
322 特定部
323 決定部
330 通信部
500、500a ルート決定システム
400 ネットワーク
R1、R2、R3、R4 候補
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10