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特許7347433結露及び/又は腐食の進行を測定するための改善されたデバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】結露及び/又は腐食の進行を測定するための改善されたデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/22 20060101AFI20230912BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20230912BHJP
   G01N 27/26 20060101ALI20230912BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20230912BHJP
   G01N 17/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G01N27/22 C
G01N27/00 L
G01N27/26 351J
G01N27/416 302M
G01N17/00
【請求項の数】 51
(21)【出願番号】P 2020544121
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2018080466
(87)【国際公開番号】W WO2019092015
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】20175805
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】523295512
【氏名又は名称】アイセンスプロ エヌヴィー
【氏名又は名称原語表記】iSensPro NV
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100154656
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 英彦
(72)【発明者】
【氏名】デスメット, イブス マリー―ルイス ガブリエル
【審査官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/184514(WO,A1)
【文献】特開2005-083977(JP,A)
【文献】特開2000-131256(JP,A)
【文献】特開昭60-249043(JP,A)
【文献】特開2017-037062(JP,A)
【文献】特開2009-072256(JP,A)
【文献】特開2005-241354(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158830(WO,A1)
【文献】特表平10-511766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 - G01N 27/92
G01N 17/00 - G01N 17/04
G01N 33/00 - G01N 33/46
G01R 27/00 - G01N 27/32
G01R 31/00 - G01R 31/74
G01R 35/00 - G01R 35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管(1)の結露及び/又は腐食の進行を測定するためのデバイスであって、
前記導管の周りに延在する絶縁体(2)と、
第1の導体(3A)及び第2の導体(3B)であって、前記絶縁体の少なくとも一部分が前記導管と前記第1の導体及び前記第2の導体との間にあるように前記第1の導体(3A)及び前記第2の導体(3B)は配置され、前記第1の導体がコンデンサ(4C)の第1の極を形成し、前記第2の導体が前記コンデンサの第2の極を形成し、それらの間の部分が、前記第1の極と前記第2の極との間の静電容量結合を含む、第1の導体(3A)及び第2の導体(3B)と、
前記静電容量結合を表す値を決定するように構成される少なくとも1つの測定器具(6)と、を備え、
前記導管の長手方向に見ると、前記第1及び第2の導体が、互いに離れて配置される、又は、前記第1及び第2の導体が、それらの外端において部分的にのみ重複する、デバイス。
【請求項2】
前記第1の導体及び前記第2の導体が、各々、前記絶縁体のための導電性コーティング又はクラッディングとして統合される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の導体及び前記第2の導体が、各々、前記絶縁体の少なくとも一部分を収容するように構成される導電性スリーブの少なくとも一部分として成形される、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの測定器具が、前記静電容量結合を表す周波数値を決定するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの測定器具が、前記静電容量結合を通る可変周波数交流電圧又は電流を駆動するように、及びそれらの振幅及び位相変化を測定するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの測定器具が、少なくとも1つの発振器を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
導管(1)上の表面層の劣化を測定するためのデバイスであって、
前記導管上の前記表面層の周りに延在する絶縁体(2)と、
第1の導体(3A)、及び前記第1の導体と離れた第2の導体(3B)であって、前記第1及び第2の導体が、前記絶縁体の少なくとも一部分が前記導管と前記第1の導体との間及び前記導管と前記第2の導体との間にあるように配置される、第1の導体(3A)、及び前記第1の導体と離れた第2の導体(3B)と、
前記絶縁体の前記一部分の下の前記表面層のインピーダンスを表す値を決定するように構成される少なくとも1つの測定器具(6)と、を備え、
前記導管の長手方向に見ると、前記第1及び第2の導体が、互いに離れて配置される、又は、前記第1及び第2の導体が、それらの外端において部分的にのみ重複する、デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの測定器具が、電気化学インピーダンス分光測定器具を備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの測定器具が、DC測定装置を備える、請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの測定器具によって決定される前記値又は複数の値に基づいて前記表面層の劣化を分析するように構成される監視制御装置を備える、請求項7~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記表面層が、以下:コーティング、カバー層、酸化層、のうちのいずれか1つである、請求項7~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの測定器具の第1の測定器具が、前記絶縁体上若しくは中に、又は前記絶縁体の外層(3I)上に固定される、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
第3の導体(3C)であって、前記絶縁体(2)の少なくともさらなる一部分が前記導管と前記第2の導体(3B)との間、及び前記導管と前記第3の導体(3C)との間にあるように配置される第3の導体(3C)を備え、前記少なくとも1つの測定器具が、前記第2の導体と前記第3の導体との間で測定を実施するように構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1の導体が、前記長手方向に見ると第1の長さにわたって延在し、前記第1の導体の表面積が、前記第1の長さに沿った前記導管の表面積の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%である、請求項1~13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの測定器具が、前記絶縁体に組み込まれる、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの測定器具が、以下の電力供給:ワイヤ供給、エネルギー生成供給、及びバッテリ供給、のうちの少なくとも1つを備える、請求項1~15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの測定器具が、好ましくは低出力及び遠方到達を用いた通信技術(低出力広域ネットワーク)を用いて、監視制御装置のワイヤレス受信器に決定した前記値をワイヤレスで伝送するように構成される、請求項1~16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1の導体及び前記第2の導体が、前記導管の長手方向に見ると、前記絶縁体に沿って互いからピッチ間隔で配置される、請求項1~17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記測定器具又は各測定器具によって決定される値又は複数の値に基づいて前記導管の結露及び/又は腐食の進行を分析するように構成される監視制御装置を備える、請求項2~6及び11~18のいずれか一項と任意選択的に組み合わせた、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記導管が導電性である、請求項1~19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記導管が、接地されるか、又はフロート状態である、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第1の導体と前記第2の導体との間の遷移領域が、耐湿性帯状片、好ましくはブチルテープ又はゴムを備える、請求項1~21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記第1の導体及び前記第2の導体の少なくとも一方が、アルミニウム又はステンレス鋼から少なくとも部分的に製造される、請求項1~22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第1の導体及び前記第2の導体の少なくとも一方が、複数の相互接続された導電層要素(3A`、3B`)を備える、請求項1~23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記複数の導電層要素が、帯状片様である、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記第1の導体及び前記第2の導体が、前記絶縁体に埋め込まれる、請求項1~25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記少なくとも1つの測定器具の第1の測定器具と前記第1の導体及び前記第2の導体との間に接続手段をさらに備え、前記接続手段が、前記第1の導体及び前記第2の導体から前記絶縁体を通って前記第1の測定器具まで延在する、請求項1~26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記第1の導体が、第1の端部及び第2の端部を有し、前記デバイスが、前記第1の端部から前記絶縁体を通って延在する第1のコネクタ要素と、前記第2の端部から前記絶縁体を通って延在する第2のコネクタ要素とをさらに備える、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
請求項1~28のいずれか一項に記載の1つ又は複数のデバイスとの使用のための監視制御装置であって、少なくとも1つの測定器具によって決定される1つ又は複数の値を受信するように、受信した前記値又は複数の値に基づいて導管の結露及び/若しくは腐食の進行を分析するように、並びに/又は受信した前記値又は複数の値に基づいて前記導管上の表面層の劣化を分析するように構成される、監視制御装置。
【請求項30】
前記少なくとも1つの測定器具によって決定される前記値又は複数の値を受信するように構成されるワイヤレス受信器を備える、請求項29に記載の監視制御装置。
【請求項31】
導管の結露及び/又は腐食の進行を測定するための方法であって、
前記導管の周りに絶縁体を配置するステップと、
第1の導体及び第2の導体を、前記絶縁体の少なくとも一部分が前記導管と前記第1の導体及び前記第2の導体との間にあるように配置するステップであって、前記第1の導体がコンデンサの第1の極を形成し、前記第2の導体が前記コンデンサの第2の極を形成し、それらの間の部分が、前記第1の極と前記第2の極との間の静電容量結合を含む、ステップと、
前記静電容量結合を表す値を決定するステップと、を含み、
前記第1の導体及び前記第2の導体を配置する前記ステップが、前記導管の長手方向に見ると、前記第1の導体及び前記第2の導体を互いに離して、又は、前記導管の長手方向に見ると、前記第1の導体及び前記第2の導体が、それらの外端において部分的にのみ重複するように、配置することを含む、方法。
【請求項32】
前記第1の導体及び前記第2の導体の各々を、前記絶縁体のための導電性コーティング又はクラッディングとして用意するステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の導体及び前記第2の導体の各々を、前記絶縁体の少なくとも一部分を収容するように構成される導電性スリーブの少なくとも一部分として用意するステップを含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記値を決定する前記ステップが、前記静電容量結合を表す周波数値を決定することを含む、請求項3133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記静電容量結合を通る可変周波数交流電圧又は電流を駆動するステップと、それらの振幅及び位相変化を測定するステップとを含む、請求項3134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
決定された前記値又は複数の値に基づいて前記導管の結露及び/又は腐食の進行を分析するステップを含む、請求項3135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
導管(1)上の表面層の劣化を測定するための方法であって、
前記導管上の前記表面層の周りに絶縁体(2)を配置するステップと、
第1の導体(3A)、及び前記第1の導体と離れた第2の導体(3B)を、前記絶縁体の少なくとも一部分が前記導管と前記第1の導体との間及び前記導管と前記第2の導体との間にあるように、配置するステップと、
前記絶縁体の前記一部分の下の前記表面層のインピーダンスを表す値を決定するステップと、を含み、
前記第1の導体及び前記第2の導体を配置する前記ステップが、前記導管の長手方向に見ると、前記第1の導体及び前記第2の導体を互いに離して、又は、前記導管の長手方向に見ると、前記第1の導体及び前記第2の導体が、それらの外端において部分的にのみ重複するように、配置することを含む、方法。
【請求項38】
決定する前記ステップが、電気化学インピーダンス分光法を使用して行われる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
決定する前記ステップが、例えば、ポテンショスタット又はガルバノスタットを使用して、DC測定を実施することを含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
定された前記値又は複数の値に基づいて前記表面層の劣化を分析するステップを含む、請求項3739のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
好ましくは低出力及び遠方到達を用いた通信技術(低出力広域ネットワーク)を用いて、監視制御装置のワイヤレス受信器に決定した前記値をワイヤレスで伝送するステップを含む、請求項3140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の導体及び前記第2の導体を、前記絶縁体に沿って互いからピッチ距離に配置するステップを含む、請求項3141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
好ましくは前記絶縁体の位置において、温度を測定するステップ、及び/又は水分率を測定するステップ、並びに測定された前記温度及び/又は測定された前記水分率を考慮しながら前記結露及び/又は腐食の進行を分析するステップを含む、請求項3142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記導管が導電性である、請求項3143のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記導管を接地するステップ、又は前記導管をフロート状態にさせるステップを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
耐湿性帯状片、好ましくはブチルテープ又はゴムを、前記第1の導体と前記第2の導体との間の遷移領域に配置するステップを含む、請求項3145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の導体及び前記第2の導体を前記絶縁体に埋め込むステップを含む、請求項3146のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の導体を配置する前記ステップが、前記導管の周りに複数の相互接続された導電性の細長い要素(3A`、3B`)を配置することを含む、請求項3147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
値を決定する前記ステップが、前記第1の導体及び前記第2の導体から前記絶縁体を通って延在する接続手段を使用して測定器具を接続することを含む、請求項3148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
導管の結露及び/若しくは腐食の進行、並びに/又は前記導管上の表面層の劣化を分析するための方法であって、
請求項3149のいずれか一項に記載の方法に従って決定される1つ又は複数の値を受信するステップと、
受信した前記値又は複数の値に基づいて、前記導管の前記結露及び/若しくは前記腐食の進行、並びに/又は前記導管の前記表面層の前記劣化を分析するステップと、を含む方法。
【請求項51】
前記1つ又は複数の決定された値をワイヤレスで受信するステップを含む、請求項50に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導管の結露及び/又は腐食の進行を測定するためのデバイス及び方法に関する。加えて、本発明は、1つ又は複数のそのようなデバイスとの使用のための監視制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の流体の輸送には、流体が受ける熱損失ができる限り小さいことが重要である。したがって、露点温度よりも低い、そのような流体を輸送するための導管は、通常、熱的に絶縁される。これは、例えば、任意選択的に防湿材を備えた絶縁シェルでパイプラインを囲むことによって行われる。
【0003】
しかしながら、そのような設備には結露の危険がある。こうした設備は通常、外気に露出されるため、及び、包んでいる防湿材内に水漏れがある場合、外気中の水分は、断熱材の内側との接触面において、導管上に結露し得る。断熱材下腐食(CUI)という用語は通常、これを説明するために使用される。長い時間をかけて、そのような結露した水分は、導管の腐食を結果としてもたらし得、これにより、導管は損傷を受ける(金属が腐食し、導管は、その流れ効率、有効性、強度、及び水密性を次第に失う)。そのような結露した水分を取り除くことは難しく、そのうえ、完全な設備を交換することは非常に高価である。したがって、より安価である断熱材の部分交換が可能であるように、結露は、実際の腐食が発生する前に検出されるか、いずれにせよ、できる限り早期に検出されることが最良である。
【0004】
導管における結露、及び結露の結果としての腐食の進行を測定するための知られているシステムは、逸脱する熱パターンを有する場所を検出するための熱カメラを利用する。しかしながら、このソリューションは、高価で扱いにくいこと、及び、例えば、死角における熱損失及び/又は冷状態損失の検出ができないことから、効率的ではない。さらには、そのような熱検出の解釈は難しく、熱損失又は冷状態損失が、局所的に薄くなった断熱材を原因とし得るのか、又は防湿材水漏れを原因とし得るのかが明白ではなく、光沢のある表面上の熱反射に起因して変動の可能性がある。
【0005】
さらに知られている測定システムは、反射された波形を観察することによって電線の特徴を決定する時間領域反射率測定技術を含む。この技術は、結露及び/又は水漏れが線に沿って異なる場所に発生するときには特に、結露及び/又は水漏れの場所を正確に検出することができないという欠点を有する。これらのシステムは依然として、ユーザが熱カメラを利用して導管における水漏れ及び結露を探すことを必要とする。
【0006】
これらの問題を解決するために、本特許出願と同じ出願者の名において、現在はベルギー特許BE1022693 B9として付与されている、ベルギー特許出願BE2014/0429は、導電性の導管のためのデバイスであって、絶縁体が、導管の周りに延在し、少なくとも1つの導電体が、絶縁体の一部分が導管と導体又は各導体の間にあるように、及び、導管がコンデンサの第1の極を形成し、導体又は各導体がこのコンデンサの第2の極を形成し、それらの間の部分が誘電体の部分を形成するように、絶縁体を覆って、絶縁体の上に、又は絶縁体内に配置され、少なくとも1つの測定器具が、導体又は各導体について、対応するコンデンサの静電容量動作を表す値を決定するように構成される、デバイスを提供する。
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、そのようなデバイスにおいては、導管が導電性でなければならないという問題がある。その結果、そのようなデバイスは、例えばプラスチック導管には問題なく使用することができない。そのようなデバイスにおいては、さらには、導管と少なくとも1つの導電体との間、例えば、導管バルブ又は他の突起物の位置において、電気的短絡が発生するリスクがあり、その結果として、上記静電容量動作が妨げられ、その結果、測定はもはや価値のないものになる。
【0008】
本発明の目的は、これらの問題を解決することである。
【0009】
本発明は、この目的のため、導管の結露及び/又は腐食の進行を測定するためのデバイスであって、導管の周りに延在する絶縁体、並びに、第1の導体及び第2の導体であり、絶縁体の少なくとも一部分が導管と第1の導体及び第2の導体との間にあるように、第1の導体がコンデンサの第1の極を形成し、第2の導体がコンデンサの第2の極を形成し、それらの間の部分が第1の極と第2の極との間の静電容量結合を含むように、配置される、第1の導体及び第2の導体、を備える、デバイスを提供する。本デバイスはまた、静電容量結合を表す値を決定するように構成される少なくとも1つの測定器具を備える。
【0010】
このソリューションは、結露及び/又は腐食の進行があらゆる種類の導管で測定されることを可能にし、コンデンサの第2の極として使用されるのが導管自体ではなく、この目的のために導体が別個に用意されるため、導管は必ずしも導電性である必要はない。さらには、同じ理由から、2つの導体のうちの一方が導管と意図せず電気的に接触することになったとしても、2つの導体のうちの他方がコンデンサの逆の極として機能し続けるために、導管と2つの導体のうちの一方との間の電気的短絡の結果としての無用の測定のリスクが低減され得る。このソリューションの発明性は、特に、第1の導体と第2の導体との間の静電容量動作が、導体の位置と導管の位置との間での既知のデバイスよりも正確に測定され得るという発明者の革新的な洞察に基づく。水漏れの場合、決定された値(この場合は静電容量自体)は、およそ100又は1000の倍率で変化し得る一方、周辺領域における温度及び湿度変動の場合、非常にわずかな(およそ数パーセントの)変化しか起こらないことが試験により分かっており、このことが結露及び/又は腐食の進行が測定されることを可能にする。
【0011】
本デバイスの実施形態の追加の利点は、第1及び第2の導体並びに測定器具が、測定器具と導管との間に電気接続が依然としてなされる必要なしに、既に設置された絶縁体上に配置され得ることである。
【0012】
一実施形態によると、導管の長手方向に見ると、第1及び第2の導体は、互いに離れて配置されるか、又は、第1及び第2の導体は、それらの外端において部分的にのみ重複する。この方式では、静電容量結合は、絶縁体のかなりの長さに沿って延在することができ、この長さに沿ったいかなる結露又は水漏れも検出することを可能にする。
【0013】
上記少なくとも1つの測定器具の第1の測定器具は、絶縁体上、又は絶縁体の外層上に、第1の導体と第2の導体の間に配置され、通常は固定され得る。例えば、第1のインダクタと第2のインダクタとの間の絶縁体の上に外層が配置され得、第1の測定器具は、外層に固定され得る。外層は、導電性外層であってもよく、この導電性外層は、接地され得るか、又はフロート状態にあり得る。
【0014】
一実施形態によると、本デバイスは、第3の導体であって、絶縁体の少なくともさらなる一部分が導管と第2及び第3の導体との間にあるように、第2の導体がさらなるコンデンサの第1の極を形成し、第3の導体がさらなるコンデンサの第2の極を形成し、それらの間のさらなる部分が、第1の極と第2の極との間のさらなる静電容量結合を含むように配置される、第3の導体を備え、少なくとも1つの測定器具が、さらなる静電容量結合を表す値を決定するように構成される。この方式では、絶縁体のより広い部分が、少なくとも1つの測定器具により監視され得る。
【0015】
一実施形態によると、導管の長手方向に見ると、第2及び第3の導体は、互いに離れて配置されるか、又は、第2及び第3の導体は、それらの外端において部分的にのみ重複する。
【0016】
一実施形態によると、第1の導体は、導管の長手方向に見ると第1の長さにわたって延在し、第1の導体の表面積は、第1の長さに沿った導管の表面積の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%である。表面積はまた、第1の長さに沿った導管の表面積に等しくてもよく、又は第1の長さに沿った導管の表面積よりも大きくてもよい。第1及び第2の導体の表面積を増大させることにより、第1の導体と第2の導体との間の静電容量結合が増大される。それ故、測定の正確性が増大されることになる。
【0017】
一実施形態によると、第1の導体及び第2の導体は、各々、絶縁体のための導電性コーティング又はクラッディングとして統合される。この方式では、デバイスは、全体として(少なくとも1つの測定器具あり又はなしで)より簡易に設置され得る。
【0018】
一実施形態によると、第1の導体及び第2の導体は、各々、絶縁体の少なくとも一部分を収容するように構成される導電性スリーブの少なくとも一部分として成形される。この方式では、コンデンサのそれぞれの極は、大きい表面積をカバーし、したがってより大きい容量を有する。
【0019】
一実施形態によると、少なくとも1つの測定器具は、静電容量結合を表す周波数値を決定するように構成され得る。この方式では、静電容量結合を表す値を決定するための簡便に決定可能なパラメータを利用することができる。
【0020】
一実施形態によると、少なくとも1つの測定器具は、静電容量結合を通る可変周波数交流電圧又は電流を駆動するように、並びにそれらの振幅及び位相変化を測定するように構成され得る。この方式では、接続を表すインピーダンス値を決定する目的のために、簡便に決定可能なパラメータ(交流電圧又は電流の振幅及び位相又は実部及び虚部)を利用することができる。このインピーダンスは、周波数依存であり、結露及び腐食の進行の指標を与える。
【0021】
一実施形態によると、少なくとも1つの測定器具は、少なくとも1つの発振器を備え得る。
【0022】
一実施形態によると、少なくとも1つの測定器具は、絶縁体に組み込まれ得る。この方式では、少なくとも1つの測定器具は、外部影響からより良好に保護される。
【0023】
一実施形態によると、少なくとも1つの測定器具は、以下の電力供給:ワイヤ供給、エネルギー生成供給、及びバッテリ供給、のうちの少なくとも1つを備え得る。測定の非常に長い寿命が、ワイヤ供給により得られる一方、バッテリ供給は、安価で、設置が簡便であり得る。エネルギー生成供給は、非常にエネルギー効率が高く、自律的であり得、このことは、到達するのが難しい導管(長距離導管など)の場合には有利であり得る。
【0024】
一実施形態によると、少なくとも1つの測定器具は、好ましくは低出力及び遠方到達を用いた通信技術(低出力広域ネットワーク)を用いて、監視制御装置のワイヤレス受信器に決定した値をワイヤレスで伝送するように構成され得る。この方式では、使用の利便性が増大され得る。加えて、中央制御を行うことが可能であり得る。
【0025】
一実施形態によると、第1の導体及び第2の導体は、絶縁体に沿って互いからピッチ間隔で配置され得る。この方式では、より広大な導管がカバーされ得、測定の正確性が増大され得る。
【0026】
一実施形態によると、本デバイスは、測定器具又は各測定器具によって決定される値又は複数の値に基づいて導管の結露及び/又は腐食の進行を分析するように構成される監視制御装置を備え得る。
【0027】
一実施形態によると、本デバイスは、好ましくは絶縁体の位置で温度を測定するように構成される少なくとも1つの温度センサ、及び/又は水分率を測定するように構成される少なくとも1つの湿度センサを備え得、監視制御装置が、結露及び/又は腐食の進行の分析中に、測定された温度及び/又は測定された水分率を考慮するように構成される。温度センサ及び/又は湿度センサは、より高い精度で分析が実施されることを可能にする。
【0028】
一実施形態によると、導管は導電性であり得、少なくとも1つの測定器具は、値の決定中、第1の導体及び導管によって形成される極を有する第1の追加のコンデンサの静電容量動作、並びに第2の導体及び導管によって形成される極を有する第2の追加のコンデンサの静電容量動作を考慮するように構成され得る。
【0029】
この方式では、本発明に従うデバイスは、非導電性の導管でも効率的に使用され得るだけでなく、導電性である導管でも同様に使用され得る。後者の場合、静電容量結合は、有利には、絶縁体内のより深い(即ち、導管により近い)位置まで測定され得るが、これは、このとき導管が、一方の第1の導体及び導管によって形成される第1の追加のコンデンサと、他方の導管及び第2のコンデンサによって形成される第2の追加のコンデンサとの間に電気接点を形成し、絶縁体がその都度それぞれの誘電体としての役割を果たすためである。そのような測定は、結露の形成が導管の位置に広がることができるため、絶縁体が蒸気漏れなしのときにはさらにより効果的であり得る。
【0030】
一実施形態によると、導管は接地され得る。代替的に、導管は、フロート状態の導管であり得る。
【0031】
一実施形態によると、第1の導体と第2の導体との間の遷移領域は、耐湿性帯状片、好ましくはブチルテープ又はゴムを備え得る。この方式では、絶縁体は、外から浸透する水分に対してより良好に保護され得る。
【0032】
一実施形態によると、第1の導体及び第2の導体の少なくとも一方は、アルミニウム又はステンレス鋼から少なくとも部分的に製造され得る。この方式では、デバイスは、より耐候性であり得る。
【0033】
一実施形態によると、第1及び第2の導体の少なくとも一方は、複数の相互接続された導電層要素を備える。例えば、導電層要素は、導管の長手方向に延在し、導管の周りに、長手方向に対して垂直の断面で見ると互いに離れて配置される、細長い要素であり得る。この方式では、導体のかなり大きい表面積が達成される一方で、材料費を低減し、デバイスの取り付けがより容易になるようにデバイスをより軽量にする。この方式では、導体の表面積は、厚さよりもかなり大きく、以て、第1の導体と第2の導体との間の静電容量結合を増大させる。例えば、複数の導電性の細長い要素は、帯状片様であってもよい。他の例示的な実施形態において、導電層は、長手方向に見ると互いに離れて配置される筒状要素であってもよい。
【0034】
例示的な実施形態において、複数の相互接続された導電層要素は、第1の絶縁層と第2の絶縁層との間に挿入され、第1及び第2の絶縁層が一緒に絶縁体を形成する。完全なスリーブの代わりに複数の相互接続された導電層要素を使用することにより、第1の絶縁層と第2の絶縁層との接着が向上され得る。
【0035】
一実施形態によると、第1及び第2の導体は、絶縁体に埋め込まれる。例えば、絶縁体は、導管の周りに延在する第1の絶縁体層、及び第1の絶縁体の周りに延在する第2の絶縁体層を備え得、第1及び第2の導体は、第2の絶縁体層に少なくとも部分的に埋め込まれる。この方式では、第1及び第2の導体は、絶縁体に容易に組み込まれ得、環境からの外的影響に対して保護され得る。
【0036】
一実施形態によると、本デバイスは、測定器具と第1及び第2の導体との間の接続手段をさらに備え、上記接続手段は、第1及び第2の導体から絶縁体を通って測定器具まで延在する。この方式では、測定器具は、導体に容易に接続され、以て、測定器具を取り付けるために必要な時間を低減する。
【0037】
一実施形態によると、第1の導体は、第1の端部及び第2の端部を有し、本デバイスは、上記第1の端部から絶縁体を通って延在する第1のコネクタ要素と、第2の端部から絶縁体を通って延在する第2のコネクタ要素とをさらに備える。
【0038】
本発明は、上に説明されるような1つ又は複数のデバイスとの使用のための監視制御装置をさらに提供し、この監視制御装置は、少なくとも1つの測定器具によって決定される1つ又は複数の値を受信するように、並びに受信した値又は複数の値に基づいて導管の結露及び/又は腐食の進行を分析するように構成される。
【0039】
当業者は、本デバイスのためのものに類似する利点及び目的が、対応する監視制御装置に、必要な変更を加えて、当てはまることを理解するものとする。
【0040】
一実施形態によると、監視制御装置は、少なくとも1つの測定器具によって決定される値又は複数の値を受信するように構成されるワイヤレス受信器を備え得る。
【0041】
本発明は、導管の結露及び/又は腐食の進行を測定するための方法をさらに提供する。本方法は、導管の周りに絶縁体を配置するステップを含む。本方法はまた、第1の導体及び第2の導体を、絶縁体の一部分が導管と第1の導体及び第2の導体との間にあるように、第1の導体がコンデンサの第1の極を形成し、第2の導体がコンデンサの第2の極を形成し、それらの間の部分が、第1の極と第2の極との間の静電容量結合を含むように、配置するステップを含む。本方法はまた、静電容量結合を表す値を決定するステップを含む。
【0042】
当業者は、本デバイスのためのものに類似する利点及び目的が、対応する方法に、必要な変更を加えて、当てはまることを理解するものとする。
【0043】
好ましい実施形態によると、第1及び第2の導体は、導管の長手方向に見ると互いに離れて、又は第1及び第2の導管がそれらの外端において部分的にのみ重複するように、配置される。
【0044】
好ましい実施形態によると、第3の導体は、絶縁体の少なくともさらなる一部分が導管と第2及び第3の導体との間にあるように、また第2の導体がさらなるコンデンサの第1の極を形成し、第3の導体がさらなるコンデンサの第2の極を形成し、それらの間のさらなる部分が、第1の極と第2の極との間のさらなる静電容量結合を含むように、配置され、さらなる静電容量結合を表す値が決定される。第2及び第3の導体は、互いに離れて、又は、導管の長手方向に見ると、第2及び第3の導体がそれらの外端において部分的にのみ重複するように、配置されることが好ましい。
【0045】
好ましい実施形態によると、各導体は、第1の長さに沿った導管の表面積の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは50%である表面積で、第1の長さに沿って提供される。表面積はまた、第1の長さに沿った導管の表面積に大体等しくてもよく、又は第1の長さに沿った導管の表面積よりも大きくてもよい。
【0046】
導体の長さは、絶縁される導管の種類に応じて、例えば0.5m~10mであり得る。絶縁体の直径は、5mm~1200mm、好ましくは10mm~500mmであり得る。第1の導体と第2の導体との間の距離は、例えば1cm~200cm、好ましくは2cm~150cmであり得る。
【0047】
好ましい実施形態によると、本方法は、第1の導体及び第2の導体の各々を、絶縁体のための導電性コーティング又はクラッディングとして用意するステップを含む。
【0048】
好ましい実施形態によると、本方法は、第1の導体及び第2の導体の各々を、絶縁体の少なくとも一部分を収容するように構成される導電性スリーブの少なくとも一部分として用意するステップを含む。
【0049】
好ましい実施形態によると、値を決定する方法は、静電容量結合を表す周波数値を決定することを含む。
【0050】
好ましい実施形態によると、本方法は、静電容量結合を通る可変周波数交流電圧又は電流を駆動するステップと、それらの振幅及び位相変化を測定するステップとを含む。
【0051】
好ましい実施形態によると、本方法は、少なくとも1つの測定器具を絶縁体に統合するステップを含む。
【0052】
好ましい実施形態によると、本方法は、好ましくは低出力及び遠方到達を用いた通信技術(低出力広域ネットワーク)を用いて、監視制御装置のワイヤレス受信器に決定した値をワイヤレスで伝送するステップを含む。
【0053】
好ましい実施形態によると、本方法は、第1の導体及び第2の導体を、絶縁体に沿って互いからピッチ距離に配置するステップを含む。
【0054】
好ましい実施形態によると、本方法は、決定された値又は複数の値に基づいて導管の結露及び/又は腐食の進行を分析するステップを含む。
【0055】
好ましい実施形態によると、本方法は、好ましくは絶縁体の位置において、温度を測定するステップ、及び/又は水分率を測定するステップ、並びに測定された温度及び/又は測定された水分率を考慮しつつ結露及び/又は腐食の進行を分析するステップを含む。
【0056】
好ましい実施形態によると、導管は導電性であり、値を決定するステップは、第1の導体及び導管によって形成される極を有する第1の追加のコンデンサの静電容量動作、並びに第2の導体及び導管によって形成される極を有する第2の追加のコンデンサの静電容量動作を考慮することを含む。
【0057】
好ましい実施形態によると、本方法は、導管を接地するステップを含む。代替的に、本方法は、導管をフロート状態にさせるステップを含む。
【0058】
好ましい実施形態によると、本方法は、耐湿性帯状片、好ましくはブチルテープ又はゴムを、第1の導体と第2の導体との間の遷移領域に配置するステップを含む。
【0059】
例示的な実施形態によると、本方法は、第1及び第2の導体を絶縁内に埋め込むステップを含む。例えば、第1の絶縁体層は、導管の周りに配置され得、第2の絶縁体層は、第1の絶縁体層の周りに配置され得、第1及び第2の導体が、第2の絶縁体層に少なくとも部分的に埋め込まれ得るか、又は第1の絶縁体層と第2の絶縁体層との間に挿入され得る。
【0060】
例示的な実施形態によると、第1及び/又は第2の導体を配置するステップは、導管の周りに複数の相互接続された導電性の細長い要素を配置することを含み、例えば、複数の相互接続された導電性の細長い要素は、導管の長手方向に延在し、長手方向に対して垂直の断面で見ると互いに離れて、導管の周りに配置される。
【0061】
例示的な実施形態によると、値を決定するステップは、第1及び第2の導体から絶縁体を通って測定器具まで延在する接続手段を使用して測定器具を接続することを含む。例えば、本方法は、第1のコネクタ要素を、絶縁体を通って第1の導体まで配置するステップと、第2のコネクタ要素を、絶縁体を通って第2の導体まで配置するステップとを含み得る。
【0062】
本発明は、導管の結露及び/又は腐食の進行を分析するための方法であって、上記方法のうちの1つに従って決定される1つ又は複数の値を受信するステップと、受信した値又は複数の値に基づいて導管の結露及び/又は腐食の進行を分析するステップとを含む、方法をさらに提供する。
【0063】
一実施形態によると、本方法は、1つ又は複数の決定された値をワイヤレスで受信するステップを含む。
【0064】
本発明の別の態様によると、導管上の表面層の劣化を測定するためのデバイスであって、導管上の表面層の周りに延在する絶縁体と、第1の導体及び第1の導体と離れた第2の導体であって、上記第1及び第2の導体が、絶縁体の少なくとも一部分が導管と第1の導体との間及び導管と第2の導体との間にあるように配置される、第1の導体及び第1の導体と離れた第2の導体と、絶縁体の上記部分の下の表面層のインピーダンスを表す値を決定するように構成される少なくとも1つの測定器具とを備えるデバイスが提供される。
【0065】
先行技術ソリューションによると、表面層の劣化は通常、電気化学インピーダンス分光測定を使用して、表面層の上で直接測定される。表面層が直接アクセス可能でない隔離された導管の場合、1つの可能性は、導管と絶縁体の周りに配置される導体との間で測定を実施することである。しかしながら、そのような測定は外部ノイズに起因して正確な結果をもたらさないことが分かっている。上で指定されるような第1の及び第2の導体を使用することにより、任意の外部ノイズは、第1及び第2の導体の両方に存在し、測定が第1の導体と第2の導体との間で実施される差動測定であるために相殺される。
【0066】
少なくとも1つの測定器具は、ACインピーダンス測定装置、例えば、電気化学インピーダンス分光測定器具を備え得る。そのような測定を使用すると、インピーダンスの位相及び振幅は、周波数の関数として得られる。表面層が劣化すると、表面層のインピーダンスが変化し、これが、位相測定における変化及び振幅測定における変化を引き起こす。
【0067】
加えて、又は代替的に、少なくとも1つの測定器具は、ポテンショスタット又はガルバノスタットなどのDC測定装置を備え得る。例えば、ポテンショスタット測定は、絶縁体が既に湿潤しており、その結果として、絶縁体を通じて及び表面層を通じてイオン輸送が起こり得るときに機能し、表面層のインピーダンスを表す測定値を結果としてもたらす。絶縁体の上記部分の下の表面層の劣化を表す値を決定することが可能である限りは、他の測定器具もまた可能である。本デバイスは、少なくとも1つの測定器具によって決定される値又は複数の値に基づいて表面層の劣化を分析するように構成される監視制御装置をさらに備え得る。
【0068】
表面層は、例えば、以下:コーティング、カバー層、酸化層、のうちのいずれか1つであり得る。例えば、表面層は、耐腐食性層、保護層などであり得る。
【0069】
表面層は、導管に接着される層であり得るか、又は、導管に接着されない層、例えば、別個のホイルであり得る。
【0070】
表面層の厚さは通常、導管の壁厚よりも小さい。例えば、表面層は、10mmより小さい、好ましくは9mmより小さい、より好ましくは8mmより小さい厚さを有し得る。
【0071】
本発明の別の態様によると、導管上の表面層の劣化を測定するための方法であって、導管上の表面層の周りに絶縁体を配置するステップと、第1の導体及び第1の導体と離れた第2の導体を、絶縁体の少なくとも一部分が導管と第1の導体との間及び導管と第2の導体との間にあるように、配置するステップと、絶縁体の上記部分の下の表面層のインピーダンスを表す値を決定するステップとを含む方法が提供される。本方法は、決定された値又は複数の値に基づいて表面層の劣化を分析するステップをさらに含み得る。
【0072】
決定するステップは、電気化学インピーダンス分光法などのACインピーダンス測定、又はポテンショスタット及びガルバノスタットを用いた測定などのDC測定を使用して行われ得る。
【0073】
導管の結露及び/又は腐食の進行を測定するためのデバイス及び方法について上に開示される好ましい特徴及び例示的な特徴は、導管上の表面層の劣化を測定するためのデバイス及び方法にも存在し得る。また、本デバイス/方法は組み合わされてもよく、即ち、同じデバイスに、静電容量結合を表す値を決定するための第1の測定器具、及び絶縁体の上記部分の下の表面層のインピーダンスを表す値を決定するための第2の測定器具が設けられ得る。実際、同じ絶縁体並びに第1及び第2の導体が、両方の測定を実施するために使用され得る。本デバイス/方法が組み合わされるとき、静電容量結合を表す値を決定するように構成される第1の測定器具は、第1の周波数で定期的に測定を実施し得る。表面層のインピーダンスを表す値を決定するように構成される第2の測定器具は、通常、静電容量結合を表す値の第1の測定の期間と比較して実施するのにより長い時間がかかるより複雑な測定を要する。可能な実施形態において、表面層のインピーダンスを表す値を決定するための第2の測定器具による測定は、定期的ではあるが、通常、第1の周波数よりも低い第2の周波数で実施され得るか、又は、不定期に、例えば、第1の測定器具による第1の測定が水漏れ若しくは水侵入若しくは結露を示すときにのみ実施され得るか、のいずれかである。
【0074】
本発明の別の態様によると、好ましくは上の実施形態のいずれかに従うデバイス又は方法における使用のための絶縁要素であって、導管の周りに延在し、外表面を有するように構成される絶縁体スリーブと、絶縁体スリーブに埋め込まれる導体と、導体から絶縁体スリーブを通って絶縁体スリーブの外表面まで延在する少なくとも1つの接続要素と、を備える、絶縁要素が提供される。そのような絶縁要素は、導管の周りに、導管の長手方向に見ると互いに隣り合って配置され得る。接続要素は、導体を、測定器具に、又は隣り合う絶縁要素の別の導体に接続することを可能にする。
【0075】
例示的な実施形態によると、導体は、絶縁体スリーブの長さより小さく、絶縁体スリーブに完全に埋め込まれる長さを有する導体スリーブとして成形される。別の実施形態によると、導体は、複数の相互接続された導電層要素、例えば、絶縁体スリーブの長手方向に延在し、絶縁体スリーブの周りに、長手方向に対して垂直の断面で見ると互いに離れて配置される、細長い要素を備える。
【0076】
例示的な実施形態によると、絶縁体スリーブは、第1の絶縁体層及び第2の絶縁体層を備える。導体は、第1の絶縁体層と第2の絶縁体層との間に配置され得るか、又は第2の絶縁体層に埋め込まれ得る。
【0077】
例示的な実施形態によると、絶縁要素は、絶縁体スリーブの上又は中に配置される測定器具をさらに備える。測定器具は、好ましくは低出力及び遠方到達を用いた通信技術(低出力広域ネットワーク)を用いて、監視制御装置のワイヤレス受信器に決定した値をワイヤレスで伝送するように構成され得る。
【0078】
例示的な実施形態によると、導体の表面積は、絶縁体スリーブの外表面の表面積の10%よりも大きく、好ましくは25%より大きく、より好ましくは50%より大きい。
【0079】
例示的な実施形態によると、導体は、導電性コーティング又はクラッディングとして形成される。
【0080】
例示的な実施形態によると、絶縁要素は、温度を測定するように構成される少なくとも1つの温度センサ、及び/又は水分率を測定するように構成される少なくとも1つの湿度センサを備える。
【0081】
例示的な実施形態によると、導体は、アルミニウム、又は鋼、例えば、ステンレス鋼若しくは亜鉛めっき鋼から少なくとも部分的に製造される。
【0082】
絶縁要素の例示的な実施形態によると、少なくとも1つのコネクタ要素は、絶縁体スリーブの長手方向に見ると導体の第1の端部において配置される第1のコネクタ要素、及び導体の他方の端部に配置される第2のコネクタ要素を備える。
【0083】
導体の長さは、絶縁される導管の種類に応じて、例えば0.5m~10mであり得る。絶縁体の直径は、例えば、5mm~1200mm、好ましくは10mm~500mmであり得る。
【0084】
本発明は、上に説明されるような絶縁要素の組立体に関する。導管の周りに絶縁要素を配置するとき、第1の絶縁要素の導体は、1つ又は2つの隣り合う絶縁要素の導体に電気接続され得る。導体は、測定器具にも接続され得る。これにより上に説明されるようなデバイスを簡便な様式で形成することが可能になる。
【0085】
当業者は、本デバイスのためのものに類似する利点及び目的が、絶縁要素及び絶縁要素の組立体に、必要な変更を加えて、当てはまることを理解するものとする。
【0086】
本発明は、これより、図面に示される例示的な実施形態を参照してさらに説明される。これらの例示的な実施形態は、本発明の上に説明される特徴、利点、及び目的のより良い理解を目的とし、これらは、本発明をいかようにも制限しない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1A】非導電性の導管の長手方向に沿った縦断面における、本発明に従うデバイスの実施形態の図式表現である。
図1B】導電性の導管の長手方向に沿った縦断面における、本発明に従うデバイスの別の実施形態の図式表現である。
図1C】本発明に従うデバイスの第1の代替の実施形態の一部分の図式表現である。
図1D】本発明に従うデバイスの第2の代替の実施形態の一部分の図式表現である。
図2】本発明に従う測定器具での使用のための電子回路の実施形態の図式表現である。
図3】本発明に従う測定器具での使用のための電子回路の代替の実施形態の図式表現である。
図4】本発明に従う測定器具での使用のための電子回路の別の実施形態の図式表現である。
図5】導管の長手方向に沿った縦断面におけるデバイスの実施形態の図式表現である。
図6図5の実施形態についての静電容量結合を示す概略図である。
図7】デバイスの代替の実施形態の概略斜視図である。
図8A】測定器具を接続する異なる方式を例証する、デバイスの代替の実施形態を概略的に表す図である。
図8B】測定器具を接続する異なる方式を例証する、デバイスの代替の実施形態を概略的に表す図である。
図8C】測定器具を接続する異なる方式を例証する、デバイスの代替の実施形態を概略的に表す図である。
図8D】測定器具を接続する異なる方式を例証する、デバイスの代替の実施形態を概略的に表す図である。
図9】絶縁要素の組立体の実施形態の概略縦断面を示す図である。
図10】絶縁要素の実施形態の概略縦断面を示す図である。
図11】導管上の表面層の劣化を決定するためのデバイスの実施形態を概略的に例証する図である。
図12A】損傷のない表面層を有する導管及び劣化した表面層を有する導管を備えたデバイスについて、周波数の関数における測定された振幅を例証する図である。
図12B】損傷のない表面層を有する導管及び劣化した表面層を有する導管を備えたデバイスについて、周波数の関数における測定された位相を例証する図である。 同じ又は同様の要素は、同じ参照番号を用いて図面で示される。
【発明を実施するための形態】
【0088】
図1Aは、非導電性の導管の長手方向に沿った縦断面における、本発明に従うデバイスの実施形態の図式表現を示す。本図は、導管1をその長手方向軸に沿った横断面において示すが、当業者は、本発明の他の実施形態が異なる形状の導管においても適用され得ることを理解するものとする。
【0089】
絶縁体2は、導管1の周りに延在する。絶縁体2は、断熱のために、しかし(代替的に、又は追加的に)音響絶縁のためにも、構成され得る。絶縁体2は、例えば、導管1の周りに締められる若しくは留められる予め形成されたシェルを備え得るか、又は、例えば、導管1の周りに巻き付けられるマットを備え得る。本発明の実施形態は、あらゆる種類及び形態の絶縁体に適用され得る。
【0090】
絶縁体2において、第1の導体3A及び第2の導体3Bは、絶縁体2の少なくとも一部分が導管1と第1の導体3A及び第2の導体3Bとの間にあるように、第1の導体3Aがコンデンサ4Cの第1の極を形成し、第2の導体3Bがコンデンサ4Cの第2の極を形成し、それらの間の部分が第1の極と第2の極との間の静電容量結合を含むように、配置される。言い換えると、コンデンサ4Cは、2つの極、即ち、第1の導体3A及び第2の導体3Bを有し、2つの極の間にある絶縁体2の部分は、コンデンサ4Cの誘電体(の部分)としての役割を果たし得る。このとき、静電容量結合全体は、例えば、図2図4に示されるように、Ceq(図示せず)と表され得る。
【0091】
図1Aは、静電容量結合を表す値を決定するように構成される測定器具6をさらに示す。測定器具6は、この目的のため、第1の接続6Aにより第1の導体3Aへ、及び第2の接続6Bにより第2の導体3Bへそれぞれ接続され得る。当業者は、測定器具6が図に示される実施形態では概略的に示されること、及び、実践的な実施形態のすべての様式は、実際の状況に応じて選ばれ得ることを理解するものとする。
【0092】
いくつかの実施形態において、測定器具6は、本発明に従う1つ又は複数のデバイスとの使用のための監視制御装置(図示せず)(のワイヤレス受信器)に決定された値を、好ましくはワイヤレスで、伝送することができる。監視制御装置は、測定器具6によって決定される1つ又は複数の値を受信するように、及び受信した値又は複数の値に基づいて導管1の結露及び/又は腐食の進行を分析するように構成され得る。ワイヤレス通信が使用される場合、これは、例えば、低出力及び遠方到達を用いた通信技術(低出力広域ネットワーク)を用いて行われ得る。その例が、LoRa/LoRaWAN、SigFox、Bluetooth(LE)である。代替的に、ワイヤレスローカルネットワーク技術(Wi-Fiなど、ワイヤレスローカルエリアネットワーク、WLAN、即ち、IEEE802.11)、又はモバイルセルラネットワーク技術(GSM並びに関連した基準及びプロトコルなど)などの、比較的より高い出力を用いた通信技術を利用することもできる。
【0093】
図1Aはまた、第1の導体3Aと第2の導体3Bとの間の遷移領域内にある絶縁体2の領域をカバーする任意選択の帯状片5を示す。この文脈では、遷移領域は、第1の導体3A及び第2の導体3Bの外端の縁及び/又は壁の間にある領域又は空間を含み得る。帯状片5は、有利には、外から侵入する水分を妨げるために耐湿性である。好ましい実施形態において、ブチルテープ又はゴムを選ぶことが可能である。帯状片5がまた、より良好な動作を得るために、第1の導体3A及び第2の導体3Bのそれぞれの外端の十分に広い部分(例えば、少なくとも1cm、好ましくは少なくとも5cm)をカバーすることが有利である。
【0094】
代替の実施形態によると、第1の導体3A及び第2の導体3Bは、絶縁体2のコーティング又はクラッディングに組み込まれ得る。これは、より少ない動作ステップを要する、デバイスが全体として設置され得るという利点を有する。
【0095】
特定の実施形態(ここに示されるような)において、第1の導体3A及び第2の導体3Bは、各々、絶縁体2の少なくとも一部分を収容するように構成される導電性スリーブの少なくとも一部分として成形される。これは、導体の各々が、いくつかの他の形態(コード又は細長いプレートなど)の場合よりも大きい表面積をカバーすることができ、その結果として、静電容量もより大きくなり得るという利点を有する。
【0096】
いくつかの実施形態において、測定器具6は、電位ワイヤ(図示せず)により電力供給され得る。これは、測定がより正確であり得るという利点を有する。他の実施形態において、測定器具6は、バッテリ(図示せず)により電力供給され得る。これは、バッテリがより安価であり、また設置がより容易であるという利点を有する。好ましい実施形態において、2つの選択肢は組み合わされてもよく、例えば、まず、結露及び/又は腐食の進行のリスクがあるかどうかの一般的な検出のために短期間、小区域に対してバッテリ供給を使用し、次いで、それらの検出後に、より正確に測定するためにより長い期間にわたってワイヤ供給を継続するということが可能である。
【0097】
図1Bは、導電性の導管の長手方向に沿った縦断面における、本発明に従うデバイスの別の実施形態の図式表現を示す。この図は、第1の追加のコンデンサ4A及び第2の追加のコンデンサ4Bを示す。これらの追加のコンデンサは、この図の場合のように、導管1が導電性であるときに、値の決定をこの追加のコンデンサに部分的に基づくのに有用であるという意味で任意選択的である。これは、導電性の導管1がそこでは静電容量的に活性であるため、水分及び/又は腐食が絶縁体2内のより深い(即ち、導管1により近い)位置までより正確に測定され得るという利点を有する。
【0098】
このような他の実施形態において、静電容量結合は、一方ではコンデンサ4Cの並列回路、並びに、他方では第1の追加のコンデンサ4A及び第2の追加のコンデンサ4Bの直列回路と考えられ得る。このとき、静電容量結合全体は、例えば、図2図4に示されるように、Ceq(図示せず)と表され得る。
【0099】
図1Cは、本発明に従うデバイスの第1の代替の実施形態の一部分の図式表現を示す。この図は、特に、第1の導体3A及び第2の導体3Bが互いの近くに位置付けられる、デバイスの部分の横断面を示す。デバイスのこのような第1の代替の実施形態において、第1の導体3A及び第2の導体3Bは、それらのそれぞれの外端において少なくとも部分的に重複して配置され、電気絶縁帯状片5が、第1の導体3Aと第2の導体3Bとの間の直接電気伝導を防ぐために、この重複と少なくとも同じサイズの領域にわたって第1の導体3Aと第2の導体3Bとの間の遷移領域内に延在する。帯状片5は、例えば、良好な電気絶縁特性を有し、さらには良好な耐湿性を有するゴムから製造され得る。
【0100】
図1Dは、本発明に従うデバイスの第2の代替の実施形態の一部分の図式表現を示す。このような第2の代替の実施形態は、第1の導体3A及び第2の導体3Bの外端が、それらの間にある帯状片5をより堅く保持するために、相補的な様式で(この例では、2つは互いに係合する鉤として)形成されるという点で、図1Cに示される第1の代替の実施形態とは異なる。
【0101】
図2は、本発明に従う測定器具、例えば、図1Aの測定器具6での使用のための電子回路10の実施形態の図式表現を示す。
【0102】
回路10は、端子VCCを介して電力供給され、動作中、電圧レベルは、電力供給として供給され得、これもVCCで表され、この電圧レベルは、例えば、3~15ボルトの間にあり得る。回路10は、例えば、Signeticsによって開発されるような555ICに基づいた、ここでは時間間隔を決定するために使用される集積回路(IC)11(タイマー集積回路又はIC)を備える。当業者は、あらゆる様式の電子構成要素が代替的に使用され得ること、しかしながら本実施形態は、標準構成要素を利用することから実践的であることを理解するものとする。
【0103】
電力供給は、端子8内のIC11へ供給され(VCC)、負のリセット機能(-RESET)を有する端子4を制御するためにも使用される。端子4が接地される場合、IC11はリセットされる。
【0104】
電力供給は、抵抗R1を越えて流れ、オープンコレクタとして機能するIC11の端子7(DIS)へさらに接続される。そこから、残りの電圧は、抵抗R2を越えてさらに流れ、時間間隔の始まりと終わりを決定するために動作中に使用され得る、IC11の端子6(THR)及び端子2(TRIG)へさらに接続される。
【0105】
抵抗R2から、残りの電圧は、コンデンサCeqを越えて接地(GND)へ流れる。コンデンサCeqは、導管が非導電性である場合は、コンデンサ4Cのみとして、又は、導管が導電性である場合は、一方でのコンデンサ4Cと、他方での第1の追加のコンデンサ4A及び第2の追加のコンデンサ4Bの直列回路との並列回路と考えられ得る。
【0106】
接地はまた、IC11の端子1(GND)に、及び、好ましくは低静電容量、例えば10nFの、コンデンサ13を介して、IC11の端子5(CTRL)に接続される。端子1は、動作中、接地参照電圧(例えば、0ボルト)として機能するように使用され得る。端子5は、動作中、時間間隔の持続時間を(間接的に)制御するために、IC11の内部電圧分割器への制御アクセスを提供するために使用され得る。
【0107】
出力信号12(Out)は、IC11の端子3(OUT)を介して供給される。動作中、出力信号12は、方形電圧パルスの持続電流の形態をとり、この電流は特定の周波数(fOut)を有する。この周波数fOutは、以下のように決定される:fOut=(Ceq・(R1+2・R2)・ln(2))。
【0108】
この構成では、回路10は、図1Aについて論じられるようなデバイスの静電容量動作を表す周波数値fOutを生み出す、安定したマルチバイブレータとして、即ち、電子発振器として機能することができる。所望の場合、周波数値fOutは、任意選択的に、例えばマイクロコントローラ(図示せず)を使用して、ファラッドで表現される静電容量に変換され得るが、当業者は、この追加のステップは、コンデンサ(複数可)の静電容量動作を概算することができることにおいて必須ではないということを理解するものとする。当業者は、多くの他の構成の測定器具が可能であるということをさらに理解するものとする。例えば、測定器具は、正弦又は方形波形などの波形を生成するように、及び応答を測定するように構成され得る。
【0109】
図3は、本発明に従う測定器具、例えば、図1Aの測定器具6での使用のための電子回路20の代替の実施形態の図式表現を示す。
【0110】
回路20は、オペアンプ21及び比較器22を備える。オペアンプ21の出力端子は、図2に関して上でなされるものと同様の観察により、コンデンサCeqに直列接続される。コンデンサCeqは、オペアンプ21の負の入力端子に接続される。コンデンサCeqはまた、抵抗R1を介して比較器22の出力端子に接続される。加えて、コンデンサCeqは、抵抗R3を介して比較器22の正の入力端子に接続され、今度はこれが、抵抗R2を介して比較器22の出力端子に接続される。オペアンプ21の正の入力端子は、抵抗R4を介して比較器22の負の入力端子に接続される。比較器22の出力端子は、出力信号23(Out)を生み出す。この出力信号23は、図2の出力信号12と同様の様式で使用され得るが、それは、これらの信号が共にパルスであるためである。
【0111】
図4は、本発明に従う測定器具、例えば、図1Aの測定器具6での使用のための電子回路40の別の実施形態の図式表現を示す。
【0112】
回路40は、端子45、46、及び47を有する集積回路(IC)48を備える。コンデンサの第1の極41は、入力端子47に結合される。第1の極41は、静電容量結合44を越えてコンデンサの第2の極42に結合される。供給源43は、静電容量結合44を通る可変周波数交流電圧又は交流電流を駆動する。IC48は、振幅変化(例えば、出力端子45における)、及び/又は位相変化(例えば、出力端子46における)、特にそれらの位相シフトを測定する。
【0113】
図5は、導管1の結露及び/又は腐食の進行を測定するためのデバイスの別の実施形態の図式表現を示す。本デバイスは、導管の周りに延在する絶縁体2、第1の導体3A、第2の導体3B、及び第3の導体3Cを備える。第1及び第2の導体3A、3Bは、絶縁体2の少なくとも一部分が導管1と第1の導体3A及び第2の導体3Bとの間にあるように、第1の導体3Aがコンデンサ4の第1の極を形成し、第2の導体3Bがコンデンサ4の第2の極を形成するように、配置される。第3の導体3Cは、絶縁体2の少なくともさらなる一部分が導管と第2及び第3の導体3B、3Cとの間にあるように、また第2の導体3Bがさらなるコンデンサ4の第1の極を形成し、第3の導体3Cがさらなるコンデンサ4の第2の極を形成し、絶縁体2のさらなる部分がコンデンサ4の第1の極と第2の極との間のさらなる静電容量結合を含むように、配置される。導管の長手方向に見ると、第1、第2、及び第3の導体3A、3B、3Cは、互いに離れて配置される。
【0114】
本デバイスは、隣り合う導体3A、3B、3Cの間の静電容量結合を表す値を決定するように構成される複数の測定器具6をさらに備える。第1の測定器具6は、第1の導体3Aと第2の導体3Bとの間に接続され得、第2の測定器具6は、第2の導体3Bと第3の導体3Cとの間に接続され得る、等である。第1及び第2の導体3A、3Bの間には、中間外層3I、例えば、導電性中間層が、絶縁体2の周りに配置され得る。この導電性外層3Iは、接地され得るか、又はフロート状態にあり得る。同様の中間外層3Iは、他の隣り合う導体3B、3Cなどの間に配置され得る。中間導電層は、測定器具6の支持体としての役割を果たし得る。各導体3A、3B、3Cは、長手方向に見ると第1の長さL1にわたって延在することが好ましく、各導体の表面積は、第1の長さに沿った導管1の表面積の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%である。導体3A、3B、3Cはまた、異なる長さにわたって延在し得ることに留意されたい。導体3A、3B、3Cは、スリーブとして形成され得、その結果として、表面積は、長さL沿った導管の表面積よりもさらに大きくなる。しかしながら、材料を節約するために、導体3A、3B、3Cは、複数の相互接続された導電層要素として形成されてもよく、図6の例も参照されたい。図5には示されないが、絶縁体2の領域をカバーする帯状片5は、図1A及び図1Bに例証及び説明されているものと同様に、第1の導体3Aと中間層3Iとの間及び中間層3Iと第2の導体3Bとの間に配置され得る。そのようなデバイスは、比較的少量の簡便な測定器具6により、配管の大きい区域を監視することができるという利点を有する。図には示されないが、中間層3I及び導管1は接地され得る、若しくはフロート状態にあり得るか、又は、接地及びフロート状態の組み合わせが状況に応じて使用され得るということは、当業者には明白である。第1の導体3Aと第2の導体3Bとの間の静電容量結合は、等価静電容量Ceq図5のコンデンサ4と対応する)を結果としてもたらすように複数の「コンデンサ」4A~4Fの直列/並列接続を含み得るということに留意されたい。これは、中間層3I及び導管1が導電性材料製であることを前提とする図6に例証される。
【0115】
導体3A、3B、3Cの長さL1は、絶縁される導管の種類に応じて、例えば0.5m~10mであり得る。絶縁体の直径は、5mm~1200mm、好ましくは10mm~500mmであり得る。第1の導体3Aと第2の導体3Bとの間の距離dは、例えば1cm~200cm、好ましくは2cm~150cmであり得る。
【0116】
図7は、複数の絶縁体区域2A、2Bなどを備えるデバイスの実施形態を例証する。絶縁要素とも呼ばれる絶縁体区域2A、2Bは、一緒に、デバイスの絶縁体を形成する。絶縁体区域2A、2Bは、導管1の周りに延在する。複数の相互接続された導電層要素3A`からなる第1の導体、及び複数の相互接続された導電層要素3B`からなる第2の導体は、それぞれ第1の絶縁体区域2A及び第2の絶縁体区域2Bの上又は中に配置され得る。導電層要素3A’、3B’は、導管1の長手方向に延在し、導管1の周りに、長手方向に対して垂直の断面で見ると互いに離れて配置される、細長い帯状片様の要素であり得る。各導体は、長手方向に見ると第1の長さL1にわたって延在することが好ましく、各導体の(即ち、すべての帯状片3A’又は3B’の)総表面積は、第1の長さに沿った導管1の表面積の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%である。測定器具6は、第1の導体3A’と第2の導体3B’との間に接続され得る。絶縁体区域2A、2Bの間の空間は、絶縁接着剤又はペーストで充填され得る。さらに、他の実施形態について上に開示される任意の特徴は、図7の実施形態においても適用可能であり得る。
【0117】
図8A図8Dは、測定を実施するための異なる可能な実施形態を例証する。図8Aの実施形態において、複数の導体3A~3Fは、軸線Aを有する導管1の周りに配置される絶縁体2の上又は中に、互いに隣り合って配置される。第1の測定器具6は、第1の導体3Aと第3の導体3Cとの間に接続され、第2の測定器具6は、第2の導体3Bと第4の導体3Dとの間に接続され、第3の測定器具6は、第3の導体3Cと第5の導体3Eとの間に接続されるなどである。そのような据え付けは、高い正確性をもたらし得る。実際、例えば、導体3Cの下の水漏れは、第1及び第3の測定器具6の両方によって検出され得る。図8Bの実施形態は、図6の実施形態に類似するが、中間導電層3Iは、導体3A、3B、3Cと同じ長さを有する。図8Cの実施形態において、中間非接続層は存在せず、隣り合う導体の各対3A、3B;3B、3C;3C、3D;などの各対が、測定器具6に接続される。図8Dの実施形態において、導体3A、3B、3Cなどは、導管1から異なる距離に配置される。例えば、導体3A、3C、3Eは、絶縁体2の第1の絶縁層と第2の絶縁層との間に配置され得る一方、導体3B及び3Dは、絶縁体の外表面に配置される。任意選択的に、測定器具6はまた、絶縁体2の外表面に配置され得る。代替の実施形態において、すべての導体3A~3Eは、絶縁体2の第1の絶縁層と第2の絶縁層との間に配置され得る。より一般的には、図8A図8Dの実施形態において、すべて又はいくつかの導体3A、3Bなどは、絶縁体2に埋め込まれ得る。
【0118】
図9は、絶縁要素100A、100B、100C、100D、100Eの組立体の実装形態を例証する。各絶縁要素100A~Eは、導管1の周りに延在するように構成される絶縁体スリーブ2A~2E、絶縁体スリーブ2A~2Eに埋め込まれる導体3A~3E、及び導体3A~3Eから絶縁体スリーブ2A~2Eを通ってその外表面まで延在する少なくとも1つの接続要素103、104を備える。導体3A~3Eは、絶縁体スリーブ2A~2Eの長さLiよりも小さい長さL1を有する導体スリーブとして成形され得、絶縁体スリーブ2A~2Eに完全に埋め込まれ得る。代替の実施形態において、導体3A~3Eは、例えば、図7に関連して開示されるような、複数の相互接続された導電層要素を備え得、複数の相互接続された導電層要素は、絶縁体スリーブ2A~2Eに埋め込まれる。絶縁体スリーブ2A~2Eは、第1の絶縁体層101及び第2の絶縁体層102を備え得、導体3A~3Eは、第1の絶縁体層101と第2の絶縁体層102との間に配置され得る。導体3A~3Eのために完全なスリーブの代わりに複数の相互接続された導電層要素を使用することにより、第1の絶縁層101と第2の絶縁層102との接着が向上され得る。
【0119】
測定器具6は、絶縁要素100Dについて示されるような、絶縁体スリーブ2Dの上に配置され得る。測定器具6は、示されるような隣り合う絶縁要素100C、100Eの導体3C、3Eに接続され得るが、測定器具6が含まれる絶縁要素の導体にも接続され得る(図9では示されない)。測定器具106は、監視制御装置のワイヤレス受信器に測定された値をワイヤレスで伝送するように構成され得る。容易な接続を可能にするため、各絶縁要素100A~Eについて、コネクタ要素103、104は、絶縁体2A~2Eの外表面から導体3A~3Eまで通る。例証された実施形態において、2つのコネクタ要素103、104が、導体3A~3Eの各端部に1つずつ設けられるが、1つのコネクタ要素のみを設けること、又は3つ以上のコネクタ要素を設けることも可能である。コネクタ要素103、104は、隣り合う導体を相互接続するために使用され得る。例えば、導体3Aは、絶縁要素100Aのコネクタ要素104、接続ワイヤ110、及び絶縁要素100Bのコネクタ要素103を通じて、導体3Bに電気的に接続される。
【0120】
図10は、絶縁要素100の別の実施形態を例証する。絶縁要素100は、導管1の周りに延在するように構成される絶縁体スリーブ2、共に同じ絶縁体スリーブ2に埋め込まれる第1の導体3A及び第2の導体3B、並びに第1及び第2の導体3A、3Bから絶縁体スリーブ2を通ってその外表面まで延在する複数の接続要素103、104、105、106を備える。導体3A、3Bは、軸方向に見ると、互いに離れて導体スリーブとして成形され、絶縁体スリーブ2に完全に埋め込まれ得る。代替の実施形態において、導体3A、3Bは、例えば図7に関連して開示されるような、複数の相互接続された導電層要素を備え得、複数の相互接続された導電層要素は、絶縁体スリーブ2に埋め込まれる。絶縁体スリーブ2は、第1の絶縁体層101及び第2の絶縁体層102を備え得、導体3A、3Bは、第1の絶縁体層101と第2の絶縁体層102との間に配置され得る。
【0121】
測定器具6は、絶縁体スリーブ2の上に配置され得る。測定器具6は、示されるように、第1の導体3Aと第2の導体3Bとの間に接続され得るが、隣り合う絶縁要素の導体にも接続され得る。測定器具106は、監視制御装置のワイヤレス受信器に測定された値をワイヤレスで伝送するように構成され得る。容易な接続を可能にするため、コネクタ要素103、104、105、106は、導体3A、3Bから第2の絶縁層102まで通る。例証された実施形態において、導体あたり、2つのコネクタ要素が、導体3A、3Bの各端部に1つずつ設けられるが、1つのコネクタ要素のみを設けること、又は導体3A、3Bあたり3つ以上のコネクタ要素を設けることも可能である。コネクタ要素105、106は、測定器具6に接続され得、他のコネクタ要素103、104は、隣り合う絶縁要素100を相互接続するために使用され得る。
【0122】
図11は、導管1上の表面層200の劣化を測定するためのデバイス及び方法の実施形態を例証する。表面層200は、コーティング、カバー層、酸化層などであり得る。通常、表面層は、導管1の壁の厚さtcよりも小さい厚さtsを有する。例えば、表面層200は、10mmよりも小さい、好ましくは9mmよりも小さい、より好ましくは8mmより小さい厚さtsを有し得る。表面層200の厚さtsはまた、およそミクロン、例えばおよそ100ミクロンであり得る。絶縁体の厚さtiは、5mm~500mm、好ましくは9mm~250mmであり得る。例えば、表面層は、耐腐食性の表面層、又は陰極保護などの別の保護性の表面層であり得る。本デバイスは、導管1上の表面層200の周りに延在する絶縁体2と、第1の導体3A及び第1の導体と離れた第2の導体3Bであって、上記第1及び第2の導体3A、3Bが、絶縁体の少なくとも一部分が導管と第1の導体との間及び導管と第2の導体との間にあるように、配置される、第1の導体3A及び第1の導体と離れた第2の導体3Bと、絶縁体2の上記部分の下の表面層のインピーダンス204Cを表す値を決定するように構成される少なくとも1つの測定器具6とを備える。上で指定されるような第1及び第2の導体3A、3Bを使用することにより、任意の外部ノイズは、第1の導体及び第2の導体の両方に存在し、測定が第1の導体3Aと第2の導体3Bとの間で実施される差動測定であることから、相殺される。
【0123】
測定器具6は、電気化学インピーダンス分光測定器具又は任意の他のACインピーダンス測定を備え得る。そのような測定を使用すると、インピーダンスの位相及び振幅は、周波数の関数として得られる。表面層200が劣化すると、表面層のインピーダンス204Cが変化し、これが、位相測定における変化及び振幅測定における変化を引き起こす。これは、図12A及び図12Bに例証される。図12Aは、劣化なしでの位相についての測定された曲線1203、及び、表面層200の劣化に起因する位相曲線の変化を例証する、劣化ありでの位相についての曲線1204を概略的に例証する。図12Bは、劣化なしでの振幅についての測定された曲線1201、及び、表面層200の劣化に起因する振幅の減少を例証する、劣化ありでの振幅についての曲線1202を概略的に例証する。絶縁体2の上記部分の下の表面層200のインピーダンス204Cを表す値を決定することが可能である限りは、他のAC又はDC測定器具も可能である。他のインピーダンス104A、104B、204A、204B、104C(図11の簡略化されたモデルに示される)も測定に影響を与えるが、値の測定値の変化は、表面層の劣化を表すことになる。本デバイスは、測定器具6によって決定される値又は複数の値に基づいて表面層の劣化を分析するように構成される監視制御装置をさらに備え得る。
【0124】
導管の結露及び/又は腐食の進行を測定するためのデバイス及び方法について上に開示される好ましい特徴及び例示的な特徴は、導管上の表面層の劣化を測定するためのデバイス及び方法にも存在し得る。より詳細には、図1図10のデバイスはまた、好適な測定器具6が選択されるときに導管上の表面層の劣化を測定するために使用され得る。また、本デバイス/方法は組み合わされてもよく、即ち、同じデバイスに、図1Aに例証される静電容量結合4Cを表す値を決定するための第1の測定器具6、及び絶縁体2の上記部分の下の表面層のインピーダンス204Cを表す値を決定するための第2の測定器具6が設けられ得る。実際、同じ絶縁体2並びに第1及び第2の導体3A、3Bが、両方の測定を実施するために使用され得る。
【0125】
図5及び図11の実施形態において、中間層3Iは、1つ若しくは複数の測定器具6、及び/又は1つ若しくは複数の測定器具6に送るための1つ若しくは複数の電力供給を取り付けるために使用され得る。さらにこの中間層3Iは、絶縁体2を有する導管1を壁に固定するための支持体を取り付けるために使用され得る。しかしながら、例えば、図1A図1B、及び図9に示されるように、中間層なしでの据え付けを使用することもまた可能である。
【0126】
当業者は、多くの修正形態及び変異形が、以下の特許請求の範囲によってのみ規定される本発明の範囲内で想起され得ることを理解するものとする。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12A
図12B