(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】コンクリートポンプのディストリビュータブームのための先端ホースホルダ、先端ホースホルダを備えたコンクリートポンプ、および先端ホースホルダを取り付けるための方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/04 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
E04G21/04
(21)【出願番号】P 2020545357
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2019056756
(87)【国際公開番号】W WO2019179970
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】102018106758.5
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519044656
【氏名又は名称】プツマイスター エンジニアリング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】PUTZMEISTER ENGINEERING GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー, マーティン
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-039468(JP,A)
【文献】実開昭61-022853(JP,U)
【文献】特開2000-282686(JP,A)
【文献】実開昭57-167991(JP,U)
【文献】特開昭60-253660(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014005100(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011077346(DE,A1)
【文献】中国実用新案第203213615(CN,U)
【文献】中国実用新案第204729772(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0361681(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/04
B65G 53/00-53/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端ホース(6’)の取付箇所を選択的に提供するための、コンクリートポンプ(1)のディストリビュータブーム(2)のための先端ホースホルダ(20)であって、
自身の脚部(23)により支持要素(24)に締結される、2つのコンクリートラインセグメントの回転式パイプ接続のための脚部付きシェル継手(21)を備え、
前記支持要素(24)がコンクリートラインセグメントへの継手接続のために構成されたフランジ(26)を有し、前記脚部付きシェル継手(21)に対する前記フランジ(26)の相対位置が所定のコンクリートラインセグメントに対応している、先端ホースホルダ(20)。
【請求項2】
前記所定のコンクリートラインセグメントが、90°の曲げ角度を有するコンクリートラインパイプベンド(14)であることを特徴とする、請求項1に記載の先端ホースホルダ(20)。
【請求項3】
前記脚部付きシェル継手(21)および前記フランジ(26)が、呼び径(DN)100または125のコンクリートラインセグメントに適合されることを特徴とする、請求項1または2に記載の先端ホースホルダ(20)。
【請求項4】
前記フランジ(26)が、溶接環(25)によって形成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の先端ホースホルダ(20)。
【請求項5】
前記支持要素(24)が、前記溶接環(25)および前記脚部付きシェル継手(21)が直接締結される支持板であることを特徴とする、請求項4に記載の先端ホースホルダ(20)。
【請求項6】
互いに対してそれぞれ旋回させることができ、コンクリート輸送ライン(10)を自身に沿って案内する複数のブームアーム(5)を備えたディストリビュータブーム(2)を備えるコンクリートポンプ(1)であって、
前記コンクリート輸送ライン(10)が、関節領域(5’)において、コンクリートラインセグメントを接続するそれぞれのシェル継手(12)の回転軸線が前記ブームアーム(5)の長手方向軸線に対して垂直に向けられるように前記コンクリートラインセグメントによって形成されている、コンクリートポンプ(1)において、
請求項1~5のいずれか一項に記載の先端ホースホルダ(20)が前記関節領域(5’)に配置され、前記先端ホースホルダ(20)の前記脚部付きシェル継手(21)が、前記ブームアーム(5)の前記長手方向軸線に対して垂直に向けられた回転軸線を有する前記シェル継手(12)を形成し、前記先端ホースホルダ(20)の前記フランジ(26)が、前記ディストリビュータブーム(2)の先端に近く、前記関節領域(5’)を付随して形成する前記ブームアーム(5)上のコンクリートラインセグメントに接続されることを特徴とする、コンクリートポンプ(1)。
【請求項7】
前記先端ホースホルダ(20)で一時的に置き換えられたコンクリートラインセグメントが、その一端で、前記先端ホースホルダ(20)の前記脚部付きシェル継手(21)に締結され、他端で、先端ホース(6’)に接続されることを特徴とする、請求項6に記載のコンクリートポンプ(1)。
【請求項8】
前記先端ホースホルダ(20)が、前記ディストリビュータブーム(2)の前記先端も形成する前記ブームアーム(5)によって付随して形成される前記関節領域(5’)に配置されることを特徴とする、請求項6または7に記載のコンクリートポンプ(1)。
【請求項9】
互いに対してそれぞれ旋回させることができ、シェル継手(12)を介して互いに接続された複数のコンクリートラインセグメントから形成されたコンクリート輸送ライン(10)を自身に沿って案内する複数のブームアーム(5)を備えたディストリビュータブーム(2)を備えるコンクリートポンプ(1)上に請求項1~5のいずれか一項に記載の先端ホースホルダ(20)を組み付けるための方法であって、
前記先端ホースホルダ(20)で一時的に置き換える前記コンクリートラインセグメントの両側の前記シェル継手(12)を緩め、前記コンクリートラインセグメントおよび前記2つのシェル継手(12)のうちの一方を取り外すステップと、
前記先端ホースホルダ(20)を挿入し、前記先端ホースホルダ(20)の前記脚部付きシェル継手(21)を介して、前記取り外されたコンクリートラインセグメントに元々隣接していた一方のコンクリートラインセグメントと、前記先端ホースホルダ(20)の前記フランジ(26)および残りのシェル継手(12)を介して、前記取り外されたコンクリートラインセグメントに元々隣接していた他方のコンクリートラインセグメントとの両方に前記先端ホースホルダ(20)を接続するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
先に取り外されたコンクリートラインセグメントが、前記先端ホースホルダ(20)の前記脚部付きシェル継手(21)に締結され、前記コンクリートラインセグメントの他端で、先端ホース(6’)が締結されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記先端ホースホルダ(20)が、前記ディストリビュータブーム(2)の先端も形成する前記ブームアーム(5)によって付随して形成される関節領域(5’)に配置されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートポンプのディストリビュータブーム(配送ブーム)のための先端ホースホルダ、対応する先端ホースホルダを備えたコンクリートポンプ、およびその組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートポンプは、通常、移動式または定置式の下部構造上に回転可能に配置され、輸送ラインを自身に沿って案内するブームを有し、輸送ラインを通して流動性コンクリートを圧送することができる。この場合、ブームは複数のブームアームを備え、複数のブームアームは、ブームアームの長手方向に対してそれぞれ直交する旋回軸線を中心として互いに対して旋回させることができる。ブームの先端において、輸送ラインは、通常、輸送ラインを通して運ばれたコンクリートを用意された型枠に送り込むための先端ホースに開口する。
【0003】
コンクリートを移送している状態では、輸送ラインおよび先端ホースの正味の重量はかなり大きく、ブームを設計するときにはこのことを考慮する必要がある。逆に言えば、先端ホースの最大長は制限されるため、先端ホースの重量は、コンクリートを内部に抱えた状態で設計に由来する最大値を超えない。従来、先端ホースの最大重量は200kgである。したがって、典型的な直径では、先端ホースの長さは通常4mに制限され、これは、先端ホースを手動で案内できることを意味する。
【0004】
建設現場では、型枠内に輸送ラインを深く差し入れなければならない作業を実行することが頻繁に必要になり、これには、従来の先端ホースでは足りない。しかしながら、同時に、これらの作業にはブームアームの全長を必要としないことも多い。
【0005】
したがって、従来技術では、そのような状況においては、原則として、ブームの先端に第1の先端ホースを締結する代わりに、最後尾のブームアームと最後尾から2番目のブームアームとの間の関節領域にある取付箇所に第2の先端ホースを選択的に締結し、これにより、前記第2の先端ホースが、コンクリートで満たされた状態でその正味重量のためにブームに過負荷をかけることなく、より長い長さを有し得ることが知られている。
【0006】
上述のように第2の先端ホースを取り付けるためには、最後尾のブームアームと最後尾から2番目のブームアームとの間の関節領域において、輸送ラインの90°のパイプベンドの一端を緩めて下向きに旋回させて、その自由端に先端ホースを固定できるようにしている。またブームの基本的な動きをさらに容易にするために、この場合、パイプベンドの旋回軸線が、負荷がかかっていても最後の2つのブームアームの長手方向に対して直交する向きを維持するように、パイプベンドの他端を固定して取り付ける必要がある。当該パイプベンドに対応する取付具は、特定のコンクリートポンプのみに提供される。
【0007】
コンクリートポンプの他の構造では、例えば、輸送上の理由からブームを可能な限りコンパクトに折りたたむことができるように、パイプベンドは、先端ホースの接続のためのパイプベンドの上述の旋回を可能にするようには2つのブームアーム間の関節領域に十分に固定して取り付けられていない。そのため、従来技術によれば、このようなコンクリートポンプの場合、ブームの先端以外の位置に先端ホースを取り付けることができない。
【0008】
独国特許発明第102013107780号明細書は、パイプのための継手を開示しており、その継手では、パイプがそれぞれ継手に対して固定され、したがって互いに対して旋回できない。国際公開第2014/108055号パンフレットは、コンクリートポンプの輸送ラインのための移送パイプを開示しており、その移送パイプでは、2つのパイプ部分に選択的に接続されるようにS字形のパイプ部分が旋回可能に取り付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、2つのブームアーム間の関節領域において輸送ラインのパイプベンドが固定して取り付けられていないコンクリートポンプの場合でも先端ホースを選択的に締結できる可能性をもたらすことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、請求項1に記載の先端ホースホルダ、独立請求項6に記載のコンクリートポンプ、および請求項9に記載の方法によって達成される。
【0011】
したがって、本発明は、先端ホースの取付箇所を選択的に提供するための、コンクリートポンプのディストリビュータブームのための先端ホースホルダに関し、この先端ホースホルダは、自身の脚部により支持体に締結される、2つのコンクリートラインセグメント(コンクリートラインの一部分)の回転式パイプ接続のための脚部付きシェル継手(Fuβschalenkupplung)を備え、支持体はコンクリートラインセグメントへの継手接続のために構成されたフランジを有し、シェル継手に対するフランジの相対位置が所定のコンクリートラインパイプベンドに対応する、脚部付きシェル継手を備える。
【0012】
本発明は、互いに対してそれぞれ旋回させることができ、コンクリート輸送ラインを自身に沿って案内する複数のブームアームを備えたディストリビュータブームを備えるコンクリートポンプであって、コンクリート輸送ラインが、関節領域において、コンクリートラインセグメントを接続するシェル継手の回転軸線がブームアームの長手方向軸線に対して垂直に向けられるようにコンクリートラインセグメントによって形成され、本発明による先端ホースホルダが関節領域に配置され、先端ホースホルダの脚部付きシェル継手が、ブームアームの長手方向軸線に対して垂直に向けられた回転軸線を有するシェル継手を形成し、先端ホースホルダのフランジが、ディストリビュータブームの先端に近く、関節領域を形成するブームアーム上のコンクリートラインセグメントに接続される、コンクリートポンプにさらに関する。
【0013】
本発明はまた、互いに対してそれぞれ旋回させることができ、シェル継手を介して互いに接続された複数のコンクリートラインセグメントから形成されたコンクリート輸送ラインを自身に沿って案内する複数のブームアームを備えたディストリビュータブームを備えるコンクリートポンプ上に本発明による先端ホースホルダを組み付けるための方法であって、
先端ホースホルダで一時的に置き換えるためのコンクリートラインセグメントの両側のシェル継手を緩め、コンクリートラインセグメントおよび2つのシェル継手のうちの一方を取り外すステップと、
先端ホースホルダを挿入し、先端ホースホルダの脚部付きシェル継手を介して、取り外されたコンクリートラインセグメントに元々隣接していた一方のコンクリートラインセグメントと、先端ホースホルダのフランジおよび残りのシェル継手を介して、取り外されたコンクリートラインセグメントに元々隣接していた他方のコンクリートラインセグメントとの両方に先端ホースホルダを接続するステップと
を含む、方法に関する。
【0014】
まず、本発明に関連して使用されるいくつかの用語について説明する。
【0015】
「関節領域」とは、コンクリートポンプのディストリビュータブームの2つの隣接するブームアーム間の領域であって、2つのブームアームが互いに旋回可能に接続されている領域を指す。前記領域を超えて延びるディストリビュータブームのすべてのコンポーネントおよびライン、特にコンクリート輸送ラインも、関節領域に意図されている旋回運動を妨げないように適切に構成されなければならない。
【0016】
「シェル継手(Schalenkupplung)」は、回転式パイプ接続の目的でコンクリート輸送ラインに一般的に使用される要素であり、接続されるコンクリートラインセグメント上に配置され、互いにぴったり重なるパイプフランジの場合、パイプフランジの共通軸線を中心とした2つのコンクリートラインセグメントの回転運動のみが可能であるように係合される。
【0017】
そのようなシェル継手が、この継手を別のコンポーネントに締結するように構成された脚部を有する場合、それは「脚部付きシェル継手」である。この目的のために、脚部付きシェル継手は、例えば、継手に固定して接続され、ねじ込み用の貫通穴または雌ねじ型の止まり穴を有する取付板を継手のハウジングに有し得る。
【0018】
脚部のある場合とない場合の両方のシェル継手の例は、独国特許出願公開第102011077346号明細書に示されている。
【0019】
「コンクリートラインパイプベンド」は、流動性コンクリートを導くためのコンクリートラインセグメントとして適しており、使用中に、両端をコンクリートラインの隣接するセグメントに接続されるパイプベンドを指す。対応するコンクリートラインパイプベンドは、例えば、90°の曲げ角度を有し得る。
【0020】
本発明は、コンクリート輸送ラインがブームアームの関節領域に固定して取り付けられていない構造の場合でさえ、シェル継手を介して前記領域おいて互いに接続されている2つのコンクリートラインセグメント、一般的にはコンクリートラインパイプベンドが、ディストリビュータブームの展開状態に関係なく、ブームアームの長手方向に対して直交して永続的に延びる共通の継手軸線を通常それぞれ有するという発見に基づいている。この場合、継手軸線の位置は、前記領域に配置され、2つの当該コンクリートラインセグメント間に固定された支承を必要とすることなく、回転式継手によって互いに接続されたコンクリートラインセグメントの幾何学的配置によってのみ得られる。
【0021】
この発見に基づいて、本発明は、関節領域に設けられた第1のシェル継手を選択的に置き換えるための脚部付きシェル継手を一方の側に有し、また関節領域に設けられた第2のシェル継手に締結するためのフランジを他方の側に有する先端ホースホルダであって、これにより、先端ホースホルダが、別のコンクリートラインセグメントを介して本来であれば接続される2つのコンクリートラインセグメント間に構造的接続を提供する、先端ホースホルダを提供する。これにより、先端ホースホルダが、隣接するコンクリートラインセグメントを別の実際のコンクリートラインセグメントのように互いに接続するため、残りのコンクリートラインセグメントの関節領域における運動学的構成を変更せずに維持できる。
【0022】
同時に、先端ホースホルダまたは別のコンクリートラインセグメントによって「置き換えられた」コンクリートラインセグメントは、その一端を、先端ホースホルダの脚部付きシェル継手にあるようにすることにより、輸送ラインに接続され得る。脚部付きシェル継手の位置は、説明したように、完全に先端ホースホルダによって画定されるが、コンクリートラインセグメントは、脚部付きシェル継手に対して旋回され得る。このようにして接続されたコンクリートラインセグメントの他端に先端ホースを設けることができ、前記先端ホースの正味の重量による先端ホースホルダの望ましくない動きが生じることはない。そうではなく、重量による力は、先端ホースホルダ、それに接続されたコンクリートラインセグメント、およびそれらのパイプホルダを介して、関節領域の両側のブームアームに導かれる。
【0023】
先端ホースホルダの簡単な組み付けおよびその最終的な機能を確保するために、脚部付きシェル継手とフランジとの間の相対位置が、所定のコンクリートラインセグメントに対応するようにされる。これにより分かることは、先端ホースホルダが、コンクリートラインセグメントおよび前記コンクリートラインセグメントを接続するためのシェル継手に一時的に置き換わるように構成され、一時的に置き換わるコンクリートラインセグメントに隣接するコンクリートラインセグメント間に容易に挿入され得るということである。
【0024】
したがって、「所定のコンクリートラインセグメント」は、本発明による先端ホースホルダによって一時的に置き換わることが意図されているコンクリートラインセグメントである。当該コンクリートラインセグメントは事前に決定され得る。さらに、コンクリートラインセグメントの寸法決めおよび他の構成は既知であり、それにより、先端ホースホルダをそれに応じて、特に脚部付きシェル継手とフランジとの間の相対位置に関して設計することができる。
【0025】
所定のコンクリートラインセグメントは、好ましくは、コンクリートラインパイプベンドであり、より好ましくは、90°の曲げ角度を有するコンクリートラインパイプベンドである。コンクリートポンプのディストリビュータブームの関節領域では、コンクリート輸送ラインは、通常、コンクリートラインパイプベンドで形成される。先端ホースホルダをそれに適合するように構成することにより、特に、所定のコンクリートラインセグメントが、様々なコンクリートポンプで使用される標準化された、または標準のコンポーネントである場合に、多様な用途が可能になる。
【0026】
脚部付きシェル継手およびフランジが、好ましくはDIN24118:2007-03に準拠して、呼び径(DN)100または125のコンクリートラインセグメントに適合されることが好ましい。対応する呼び径を有するコンクリートラインセグメントは、外径およびパイプフランジの直径の典型的な寸法を有するため、そこに脚部付きシェル継手および先端ホースホルダのフランジを適合させることにより、確実に問題なく使用できるようになる。
【0027】
フランジは、好ましくは標準化された部品である溶接環によって形成され得る。さらに、溶接環が支持要素、例えば、シェル継手もその脚部により直接締結される支持板に締結されると好ましい。対応する構成の場合、先端ホースホルダの簡素かつ安価な製造が可能である。
【0028】
本発明によるコンクリートポンプの場合、本発明による先端ホースホルダは、基本的に脚部によって、そのシェル継手の回転軸線がブームアームの長さに対して垂直に向けられるように配置される。これにより、先端ホースを容易に接続できるようになる。
【0029】
先端ホースホルダで一時的に置き換えられたコンクリートラインセグメントが、その一端で、先端ホースホルダの脚部を介してシェル継手に締結され、他端で、先端ホースに接続されることが好ましい。特に、当該コンクリートラインセグメントが90°の曲げ角度を有するコンクリートラインパイプベンドである場合、そこに締結された先端ホースがディストリビュータブームのほぼすべての位置で垂直に下を向くことが確保される。
【0030】
先端ホースホルダは、好ましくは、ディストリビュータブームの先端も形成するブームアームによって付随的に形成される関節領域に配置される。換言すれば、先端ホースホルダ、ひいては先端ホースも、ディストリビュータブームの最も外側の関節領域に配置されることが意図されている。
【0031】
コンクリートポンプは、好ましくは、移動式コンクリートポンプである。
【0032】
本発明による方法は、例えば、本発明によるコンクリートポンプを実現するための、本発明による先端ホースホルダの組み付けに関する。本方法の説明については、上記の説明を参照されたい。
【0033】
以下、添付の図面を参照しながら、例として好適な例示的な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2a】本発明による先端ホースホルダの概略平面図を示す。
【
図2b】本発明による先端ホースホルダの概略側面図を示す。
【
図3】
図1のコンクリートポンプでの
図2aおよび
図2bの先端ホースホルダの使用法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に示すディストリビュータブーム2を備えた移動式コンクリートポンプ1は、トラック搭載型コンクリートポンプであり、この場合、ディストリビュータブーム2は移動式下部構造3に締結される。ディストリビュータブーム2は、図示のように延ばすことができ、この目的のために、油圧シリンダ4によって互いに対して旋回させることができ、流動性コンクリートのための輸送ライン10を案内する複数のブームアーム5を備え、前記輸送ラインは、ディストリビュータブーム2の先端にて第1の先端ホース6に開口する。下部構造3上に配置されたコアポンプ7により、流動性コンクリートを供給ホッパ8から輸送ライン10を通して先端ホース6の自由開放端まで運ぶことができる。
【0036】
輸送ライン10は、複数のコンクリートラインセグメント11から形成される。個々のコンクリートラインセグメント11は、シェル継手12を介して互いに回転可能に接続される。パイプホルダ13を介してそれぞれ隣接するブームアーム5に締結された細長い、直線状ながらわずかに曲がったコンクリートラインセグメント11に加えて、共通のシェル継手12(
図1に示さず)を介して接続され、90°の曲げ角度を有する2つのコンクリートラインパイプベンド14が、2つのブームアーム5間の関節領域5’に設けられ、前記シェル継手12の回転軸線が、2つのブームアーム5の共通の旋回軸線と一致する。
【0037】
いくつかの用途では、ディストリビュータブーム2の最も外側の端部に第1の先端ホース6を設ける代わりに、最も外側のブームアーム5によって付随的に形成される関節領域5’に、第1の先端ホース6よりも長い第2の先端ホース6’を設けることが望ましい。しかしながら、このことは、図示したコンクリートポンプのように関節領域のすべてのシェル継手12が脚部なしで設計されているコンクリートポンプ1の場合、従来技術では不可能である。
【0038】
それにもかかわらず、
図1による第2の先端ホース6’を組み付けることができる、本発明による先端ホースホルダ20を
図2に示す。ここで、
図2aは、先端ホースホルダ20の概略平面図を示し、
図2bは、先端ホースホルダ20の側面図を示す。
【0039】
先端ホースホルダ20は、2つのコンクリートラインセグメント11、特に2つのコンクリートラインパイプベンド14の回転式パイプ接続のための脚部付きシェル継手21を備える。脚部付きシェル継手21は、従来技術、例えば、独国特許出願公開第102011077346号明細書に従って設計され、脚部付きシェル継手21の容易な開閉のためのレバー22を有する。脚部付きシェル継手21は、その脚部23によって、支持板として構成された支持要素24上に締結される。自由端にフランジ26を有する溶接環25も支持要素24上に配置される。
【0040】
先端ホースホルダ20は、フランジ26に対する脚部付きシェル継手21の相対位置が、コンクリートポンプ10の輸送ライン11のコンクリートラインパイプベンド14に対応するように構成される。したがって、一端がフランジ26と一致する対応するコンクリートラインパイプベンド14’が概念的に想定される場合、概念的なコンクリートラインパイプベンド14’の他端は、この他端が脚部付きシェル継手21を介して別のコンクリートラインセグメント11に接続され得るように、脚部付きシェル継手21に置かれる。上記の概念的なコンクリートラインパイプベンド14’は、
図2aにおいて点線で示されている。
【0041】
脚部付きシェル継手21およびフランジ26の双方の寸法は、呼び径(DN)125のコンクリートラインセグメントに適合されている。その結果、
図1のコンクリートポンプ10の輸送ライン11のコンクリートラインパイプベンド14は、先端ホースホルダ20によって簡単に一時的に置き換えることができ、このとき、置き換えられるコンクリートラインパイプベンド14を保持していた2つのシェル継手12のうちの1つが、脚部付きシェル継手21によって置き換えられる。
【0042】
先端ホースホルダ20の対応する使用法を
図3に示す。
【0043】
ディストリビュータブーム2の先端の手前の最後の関節領域5’において、コンクリートの流れる方向の下流にあるコンクリートラインパイプベンド14が、シェル継手12を対応して開くことにより最初に除去され、先端ホースホルダ20に置き換えられる。この目的のために、先端ホースホルダ20は、先端ホースホルダ20のフランジ26を介して、先に開いたシェル継手12のうちの1つによってディストリビュータブーム2の最も外側のアーム5上のコンクリートラインセグメント11に接続され、先端ホースホルダ20の脚部付きシェル継手21によって残りのコンクリートラインパイプベンド14に接続される。
【0044】
先に取り外されたコンクリートラインパイプベンド14は、脚部付きシェル継手21に保持された第2の要素として提供され、前記パイプベンドは、2つのブームアーム5の旋回軸線と永続的に一致する軸線を中心として旋回され得る。第2の先端ホース6’は、例えば先端ホースホルダ20の脚部付きシェル継手21によって置き換えられたシェル継手12によって、前記コンクリートラインパイプベンド14の自由端に締結される。