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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】電池および車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20230912BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230912BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230912BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20230912BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20230912BHJP
   B60K 11/02 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6555
H01M10/6557
B60K11/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021032804
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133875
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東福寺 智子
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-212440(JP,A)
【文献】特開2014-191916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6568
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6555
H01M 10/6557
H01M 50/20
B60K 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルを有する電池モジュールと、
外部から冷媒が流入するインレット部と、前記冷媒を外部へ流出するアウトレット部と、を有し、内部で前記冷媒が循環することによって前記電池モジュールを冷却する冷却器と、
を備え、
前記電池モジュールは、
活物質が塗工された塗工領域と、
前記塗工領域を囲むように設けられ、前記活物質が未塗工の未塗工領域と、
前記電池セルの外周側を覆うよう設けられたシール部と、
発熱領域と、
非発熱領域と、
を有し、
前記発熱領域は、
前記塗工領域であり、
前記非発熱領域は、
前記未塗工領域および前記シール部であり、
前記冷却器は、
前記インレット部と連通し、前記発熱領域と重なる位置に設けられたインレット側流路と、
前記インレット側流路と前記アウトレット部とに連通し、前記電池セルの外周側における前記非発熱領域と重なる位置に設けられたアウトレット側流路と、
を有し、
前記インレット側流路は、
前記発熱領域から前記非発熱領域に向けて形成されてなる複数の流路を有し、前記アウトレット側流路と連通する
電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池であって、
前記電池モジュールは、
前記電池セルが複数積層され、
前記インレット側流路は、
複数の前記電池セルが積層された積層方向における前記発熱領域と重なる位置に設けられている、
電池。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電池であって、
前記冷媒は、
前記インレット側流路から前記アウトレット側流路に向けて移動する、
電池。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一つに記載の電池であって、
前記冷媒は、
液体である、
電池。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一つに記載の電池を備える、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、少なくとも1つのバッテリーセルを含むバッテリーセルアセンブリを収容し、バッテリーセルを冷却する冷媒が流入する流入部および冷媒が流出する流出部を一側に設けられパックケースの内部に冷却供給循環ユニットを設け、バッテリーセルを冷却する技術が記載されている。この技術では、バッテリーセルアセンブリが収容される収容空間を形成する複数の横区画隔壁および縦区画隔壁のそれぞれに1つの冷媒循環孔を設け、流入部と流出部とを連通してパックケースの内部に冷媒を供給および循環させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-538662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッテリーセルアセンブリ等の発熱するモジュールを複数備え、特許文献1のような技術で冷媒を循環させて冷却する場合において、冷媒が流れこむ流入部等のインレット側の冷媒の温度と、冷媒が流出する流出部等のアウトレット側の冷媒の温度と、を比較したとき、インレット側の冷媒の温度が小さくなりやすい。このため、特許文献1では、インレット側に位置するバッテリーセルアセンブリの温度と、アウトレット側に位置するバッテリーセルアセンブリの温度と、の差が大きくなり、温度差で変化する抵抗値の影響で電流密度の偏りが生じ、部分的に発熱量が増加することで、電池セルの劣化が促進されてしまうという問題点があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、電池セル内の温度分布拡大を抑制することで、電池セルの経年劣化を抑制することができる電池および車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電池は、電池セルを有する電池モジュールと、外部から冷媒が流入するインレット部と、前記冷媒を外部へ流出するアウトレット部と、を有し、内部で前記冷媒が循環することによって前記電池モジュールを冷却する冷却器と、を備え、前記電池モジュールは、発熱領域と、非発熱領域と、を有し、前記冷却器は、前記インレット部と連通し、前記発熱領域と重なる位置に設けられたインレット側流路と、前記インレット側流路と前記アウトレット部とに連通し、前記非発熱領域と重なる位置に設けられたアウトレット側流路と、を有する。
【0007】
また、前記電池モジュールは、前記電池セルが複数積層され、前記インレット側流路は、複数の前記電池セルが積層された積層方向における前記発熱領域と重なる位置に設けられている。
【0008】
これによれば、インレット側流路が複数の電池セルが積層された積層方向における発熱領域と重なる位置に設けられているので、積層方向の電池モジュールの温度分布を極力抑制することができる。
【0009】
また、前記電池モジュールは、活物質が塗工された塗工領域と、前記活物質が未塗工の未塗工領域と、前記電池セルの外周側を覆うよう設けられたシール部と、を有し、前記発熱領域は、前記塗工領域であり、前記非発熱領域は、前記未塗工領域および前記シール部である。
【0010】
これによれば、インレット側流路が発熱領域の塗工領域に設けられているので、積層方向の電池モジュールの温度分布を極力抑制することができる。
【0011】
また、前記冷媒は、前記インレット側流路から前記アウトレット側流路に向けて移動する。
【0012】
これによれば、冷媒がインレット側流路からアウトレット側流路に向けて移動するため、電池モジュールを効率的に冷却することができる。
【0013】
また、前記冷媒は、液体である。
【0014】
これによれば、冷媒が液体であるため、空冷に比して電池モジュールをより冷却することができる。
【0015】
また、本開示に係る車両は、電池セルを有する電池モジュールと、外部から冷媒が流入するインレット部と、前記冷媒を外部へ流出するアウトレット部と、を有し、内部で前記冷媒が循環することによって前記電池モジュールを冷却する冷却器と、を備え、前記電池モジュールは、発熱領域と、非発熱領域と、を有し、前記冷却器は、前記インレット部と連通し、前記発熱領域と重なる位置に設けられたインレット側流路と、前記インレット側流路と前記アウトレット部とに連通し、前記非発熱領域と重なる位置に設けられたアウトレット側流路と、を有する、電池を備える。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、インレット側流路を電池モジュールの発熱領域と重なる位置に設け、アウトレット側流路を電池モジュールの非発熱領域と重なる位置に設けることで、電池セル内の温度分布拡大を抑制することができるため、電池セルの経年劣化を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、一実施の形態に係る電池が搭載される車両の概略構成を示す模式図である。
図2図2は、電池の概略構成を示す斜視図である。
図3図3は、図2の矢視Zから見た側面図である。
図4図4は、電池モジュールの電池セルの上面図である。
図5図5は、電池モジュールの電池セルにバイポーラ構造を採用した場合における図4のA-A線断面図である。
図6図6は、電池モジュールの電池セルにモノポーラ構造を採用した場合における図4のA-A線断面図である。
図7図7は、冷却器が備える流路と電池モジュールとの位置関係を模式的に説明する斜視図である。
図8図8は、冷却器が備える流路を模式的に説明する平面図である。
図9図9は、従来の冷却器の流路形状を透視した状態と電池モジュールとの位置関係を示す模式図である。
図10図10は、図9のB-B線断面における電池モジュールの温度イメージの模式図である。
図11図11は、従来の冷却器による電池セル内温度と位置関係とを示すグラフである。
図12図12は、冷却器の流路形状を透視した状態と電池モジュールとの位置関係を示す模式図である。
図13図13は、図12のC-C線断面における電池モジュールの温度イメージの模式図である。
図14図14は、冷却器による電池セル内温度と位置関係とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本開示の一実施の形態における電池モジュールについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態により本開示が限定されるものでない。また、以下において、同一の部分には同一の符号を付して説明する。
【0019】
〔車両の概略構成〕
図1は、一実施の形態に係る電池が搭載される車両の概略構成を示す模式図である。図1に示す車両1は、モータ等を動力源とする電動車両(EV)またはプラグインハイブリッド車両(PHV)等が想定される。
【0020】
車両1は、モータ2と、パワーコントロールユニット3(以下、「PCU3」という)と、電池4と、冷却配管5と、電動ポンプ6と、熱交換器7と、ECU(Electronic Control Unit)8と、を備える。
【0021】
モータ2は、電池4の電力により走行用の動力を出力する。モータ2は、PCU3を介して電池4と電気的に接続されている。車両1では、モータ2から出力された動力が動力伝達装置を介して駆動輪へ伝達される。
【0022】
PCU3は、モータ2を駆動制御する。PCU3は、少なくとも、モータ2を駆動するインバータと、昇圧コンバータと、DC/DCコンバータと、を含んで構成されている。例えば、PCU3は、インバータが電池4の直流電力を交流電力に変換してモータ2に供給する。
【0023】
電池4は、モータ2に供給するための電力を蓄える。具体的には、電池4は、外部電源から供給された電力を充電可能な蓄電装置である。電池4モジュールは、車両1に設けられた充電口(図示せず)を介して外部の充電設備の充電プラグと電気的に接続され、充電設備から供給される電力を充電する。電池4は、複数の平面セル(電池セル)が鉛直方向に積層されたモジュールと、モジュールを冷却する冷却器と、を用いて構成される。なお、電池4の詳細な構成は、後述する。
【0024】
冷却配管5は、冷却配管5は、流路上に電池4、電動ポンプ6および熱交換器7が接続され、電池4を冷却する冷媒が循環する。ここで、冷媒には、空気、水、鉱物油、合成油、シリコンオイル、フッ素オイル、絶縁性冷媒(例えばR134a等の第替フロン系冷媒)および絶縁油のいずれかが用いられる。一実施の形態では、冷媒として水を用いた場合について説明する。また、冷却配管5は、非導電材料または導電材料等を用いて構成される。具体的には、冷却配管5は、ゴムまたは樹脂またはアルミニウム等を用いて構成される。
【0025】
電動ポンプ6は、ECU8の制御のもと、冷却配管5内の冷媒を循環させる。具体的には、電動ポンプ6は、リザーブタンク内に貯留された冷媒を吸入し、吐出口から冷媒を冷却配管5に向けて吐出する。電動ポンプ6によって吐出された冷媒は、電動ポンプ6の吐出圧によって冷却配管5、電池4および熱交換器7を介して循環する。
【0026】
熱交換器7は、ECU8の制御のもと、冷却配管5内を循環する冷媒との間で熱交換を行うことによって冷媒から放熱させる。熱交換器7は、例えばラジエータおよび電動ファン等を用いて構成される。
【0027】
ECU8は、電動ポンプ6および熱交換器7の駆動を制御する。ECU8は、メモリと、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアを有するプロセッサを用いて構成される。
【0028】
〔電池の詳細な構成〕
次に、電池4の詳細な構成について説明する。図2は、電池の概略構成を示す斜視図である。図3は、図2の矢視Zから見た側面図である。
【0029】
図2および図3に示すように、電池4は、複数の電池モジュール41と、複数の冷却器42と、を備える。具体的には、図2および図3に示すように、電池4は、冷却器42、電池モジュール41、冷却器42、電池モジュール41および冷却器42の順に積層されて構成されている。なお、図2および図3に示す電池4は、2の電池モジュール41が積層されているが、電池モジュール41を積層する数は、電池モジュールの41の上面および下面のいずれか一方が冷却器42と接触するように積層されていれば、適宜変更することができる。さらに、冷却器42の数は、適宜変更することができる。さらにまた、電池4における各層を積層する順番は、例えば下から電池モジュール41、冷却器42、電池モジュール41、電池モジュール41、冷却器42および電池モジュール41の順であってもよい。
【0030】
まず、電池モジュール41の詳細な構成について説明する。電池モジュール41は、複数の平板状をなす電池セル410が積層されて構成されている(図3を参照)。電池モジュール41の電池セル410の構造には、バイポーラ構造およびモノポーラ構造のいずれかが用いられる。
【0031】
〔バイポーラ構造〕
まず、電池モジュール41の電池セル410にバイポーラ構造を採用した場合について説明する。図4は、電池モジュール41の電池セル410の上面図である。図5は、電池モジュール41の電池セル410にバイポーラ構造を採用した場合における図4のA-A線断面図である。
【0032】
図4および図5に示すように、バイポーラ構造の電池セル410は、表面側(片側)に正極活物質411が塗工された第1の電極箔412と、セパレータ413と、裏面側に負極活物質414が塗工され、表面側に正極活物質411が塗工された中間電極箔415と、セパレータ413と、裏面側に負極活物質414が塗工され、表面側に正極活物質411が塗工された中間電極箔415と、セパレータ413と、裏面側(片側)に負極活物質414が塗工された第2の電極箔416と、の順に積層されて構成される。なお、図5では、中間電極箔415の積層数が2層であったが、第1の電極箔412と第2の電極箔416との間に、セパレータ413および中間電極箔415を任意の数だけ積層することができる。また、第1の電極箔412、中間電極箔415および第2の電極箔416の各々は、アルミニウム等を用いて構成される。さらに、電池セル410は、外周側を保護する樹脂等で形成されたシール部417を有する。
【0033】
さらにまた、電池セル410は、第1の電極箔412、中間電極箔415および第2の電極箔416の各々において正極活物質411と負極活物質414とが対向して存在する範囲が発熱領域W1となる。さらに、電池セル410は、正極活物質411と負極活物質414とが塗工されていない活物質未塗工領域とシール部417とを含む範囲が非発熱領域W2となる。
【0034】
〔モノポーラ構造〕
次に、電池モジュール41の電池セル410にモノポーラ構造を採用した場合について説明する。図6は、電池モジュール41の電池セル410にモノポーラ構造を採用した場合における図4のA-A線断面図である。
【0035】
図4および図6に示すように、モノポーラ構造の電池セル410Aは、表面側(片側)に正極活物質411が塗工された第1の電極箔412と、セパレータ413と、裏面側に負極活物質414が塗工された第2の電極箔419と、を一組の層として複数積層されて構成される。第1の電極箔412は、アルミニウム等を用いて構成される。第2の電極箔419は、銅等を用いて構成される。さらに、電池モジュール41は、外周側を保護する樹脂等で形成されたシール部417を有する。
【0036】
さらにまた、電池セル410Aは、第1の電極箔412および第2の電極箔419の各々において正極活物質411と負極活物質414とが対向して存在する範囲が発熱領域W1となる。さらに、電池セル410Aは、正極活物質411と負極活物質414とが塗工されていない活物質未塗工領域とシール部417とを含む範囲が非発熱領域W2となる。
【0037】
〔冷却器の構造〕
次に、冷却器42の構造について詳細に説明する。図7は、冷却器42が備える流路と電池モジュール41との位置関係を模式的に説明する斜視図である。図8は、冷却器42が備える流路を模式的に説明する平面図である。なお、図7および図8では、冷媒の流れを矢印によって表現している。
【0038】
図7および図8に示すように、冷却器42は、冷却配管5を介して電動ポンプ6からの冷媒Waが供給されるインレット部421と、冷媒Waを冷却配管5へ流出するアウトレット部422と、を有する。さらに、冷却器42は、インレット部421と連通し、発熱領域W1と重なる位置に設けられたインレット側流路423と、インレット側流路423とアウトレット部422とに連通し、非発熱領域W2と重なる位置に設けられたアウトレット側流路424と、を有する。冷却器42は、導電性部材、例えばアルミニウム等を用いて構成される。
【0039】
このように構成された冷却器42は、インレット部421から流入した冷媒Waが内部の流路を循環することによって電池モジュール41を冷却する。さらに、最下層および最上層に位置する冷却器42は、各層と電気的に導通することによって電池4の電極として機能する。
【0040】
〔冷却器による電池モジュールの冷却効果〕
次に、冷却器42による電池モジュール41への冷却効果について説明する。以下においては、従来の冷却器によるも電池モジュール41への冷却効果について説明した後、一実施の形態に係る冷却器42による電池モジュール41への冷却効果について説明する。さらに、以下においては、温度をハッチングによって表現し、ハッチングが濃くなるほど、温度が高くなる。
【0041】
まず、従来技術について説明する。図9は、従来の冷却器の流路形状を透視した状態と電池モジュール41との位置関係を示す模式図である。図10は、図9のB-B線断面における電池モジュール41の温度イメージの模式図である。図11は、従来の冷却器による電池セル410内温度と位置関係とを示すグラフである。図11において、直線L1が電池モジュール41の電池セルBの温度と位置関係を示し、直線L2が電池モジュール41の電池セルCの温度と位置関係を示す。
【0042】
図9図11に示すように、従来の冷却器100は、インレット側流路102が電池モジュール41の非発熱領域上に設けられ、アウトレット側流路103が電池モジュール41の非発熱領域に設けられている(図4を参照)。このため、従来の冷却器100は、電池セルCのセル内温度差D1が小さい(図11の直線L1を参照)が、電池セルBでインレット側とアウトレット側とで大きなセル内温度差D2が生じる(図11の直線L2を参照)。即ち、従来の冷却器100は、インレット側流路の受熱量が少ないため、電池セルBの端部側温度が十分上がらない状態となる。そのため、従来の冷却器100は、電池セルB内での温度差が拡大して、電流密度の偏りが生じ、部分的に発熱量が増加して劣化が促進される可能性がある。
【0043】
次に、冷却器42による電池モジュール41の冷却効果について説明する。図12は、冷却器42の流路形状を透視した状態と電池モジュール41との位置関係を示す模式図である。図13は、図12のC-C線断面における電池モジュール41の温度イメージの模式図である。図14は、電池セル410内温度と位置関係とを示すグラフである。図14において、直線L11が電池モジュール41の電池セルBの温度と位置関係を示し、直線L12が電池モジュール41の電池セルCの温度と位置関係を示す。
【0044】
図12図14に示すように、冷却器42は、インレット側流路423が発熱領域W1と重なる位置に設けられ、アウトレット側流路424が非発熱領域W2と重なる位置に設けられている。このため、冷却器42は、電池セルCのセル内温度差D11(直線L11)および電池セルBのセル内温度差D12(直線L12)をインレット側とアウトレット側で小さくすることができる。この結果、冷却器42は、積層方向の電池モジュール41の温度分布を極力抑制し、冷却器42から遠い電池セル410の低温部位温度を下げすぎないことができるので、電流密度の偏りを防止しつつ、電池モジュール41の劣化を防止することができる。
【0045】
以上説明した一実施形態によれば、インレット側流路423を電池モジュール41の発熱領域W1と重なる位置に設け、アウトレット側流路424を電池モジュール41の非発熱領域W2と重なる位置に設けることで、電池セル410内の温度分布拡大を抑制することができるため、電池セル410の経年劣化を抑制することができる。
【0046】
また、一実施の形態によれば、インレット側流路423が複数の電池セル410が積層された積層方向における発熱領域W1と重なる位置に設けられているので、冷却器42の直上に積層された電池セルC以外にも、積層方向の電池モジュール41の温度分布を極力抑制することができる。
【0047】
また、一実施の形態によれば、インレット側流路423が発熱領域W1の未塗工領域に設けられているので、電池セルBの温度分布拡大を極力抑制することができる。
【0048】
また、一実施の形態によれば、冷媒Waがインレット側流路423からアウトレット側流路424に向けて移動するため、電池モジュール41を効率的に冷却することができる。
【0049】
また、一実施の形態によれば、冷媒Waが液体であるため、空冷に比して電池モジュール41をより冷却することができる。
【0050】
(変形例)
なお、一実施の形態では、電池4に積層された複数の冷却器42のインレット側流路423およびアウトレット側流路424の各々が積層方向において平行に配置されていたが、これに限定されることなく、例えば、冷却器42の積層毎にインレット側流路423およびアウトレット側流路424が直交するように積層してもよい。
【0051】
(その他の実施の形態)
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施の形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 車両
2 モータ
3 PCU
4 電池
5 冷却配管
6 電動ポンプ
7 熱交換器
8 ECU
41 電池モジュール
42,100 冷却器
102,423 インレット側流路
103,424 アウトレット側流路
410,410A 電池セル
411 正極活物質
412 第1の電極箔
413 セパレータ
414 負極活物質
415 中間電極箔
416,418 第2の電極箔
417 シール部
421 インレット部
422 アウトレット部
W1 発熱領域
W2 非発熱領域
Wa 冷媒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14