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特許7347587取得方法、算出方法、糖尿病評価装置、算出装置、糖尿病評価プログラム、算出プログラム、糖尿病評価システム、および端末装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】取得方法、算出方法、糖尿病評価装置、算出装置、糖尿病評価プログラム、算出プログラム、糖尿病評価システム、および端末装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
G01N33/68
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022089146
(22)【出願日】2022-05-31
(62)【分割の表示】P 2019196574の分割
【原出願日】2014-04-07
(65)【公開番号】P2022118027
(43)【公開日】2022-08-12
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2013081568
(32)【優先日】2013-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】長尾 健児
(72)【発明者】
【氏名】今泉 明
(72)【発明者】
【氏名】山門 實
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/002381(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/001862(WO,A1)
【文献】特表2015-524917(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0136241(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0124022(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0187420(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0117578(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象の血液中のGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値と、前記6つのアミノ酸の濃度値が個別に代入される6個の変数からなる重回帰式である、「a ×Asn+b ×Gly+c ×Ala+d ×Val+e ×Tyr+f ×Trp+g 」で定義される指標式1(ただし、a ,b ,c ,d ,e ,f はゼロではない実数であり、g は実数である。)を用いて算出された前記指標式1の値を用いて、前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価するための情報を取得する取得ステップ
を含むことを特徴とする取得方法。
【請求項2】
前記取得ステップは、制御部を備えた情報処理装置の前記制御部において実行されること、
を特徴とする請求項1に記載の取得方法。
【請求項3】
評価対象の血液中のGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値と、前記6つのアミノ酸の濃度値が個別に代入される6個の変数からなる糖尿病の将来の発症リスクを評価するための重回帰式である、「a ×Asn+b ×Gly+c ×Ala+d ×Val+e ×Tyr+f ×Trp+g 」で定義される指標式1(ただし、a ,b ,c ,d ,e ,f はゼロではない実数であり、g は実数である。)と、を用いて、前記指標式1の値を算出する算出ステップ
を含むことを特徴とする算出方法。
【請求項4】
前記算出ステップは、制御部を備えた情報処理装置の前記制御部において実行されること、
を特徴とする請求項3に記載の算出方法。
【請求項5】
制御部を備えた糖尿病評価装置であって、
前記制御部は、
評価対象の血液中のGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値と、前記6つのアミノ酸の濃度値が個別に代入される6個の変数からなる重回帰式である、「a ×Asn+b ×Gly+c ×Ala+d ×Val+e ×Tyr+f ×Trp+g 」で定義される指標式1(ただし、a ,b ,c ,d ,e ,f はゼロではない実数であり、g は実数である。)と、を用いて算出された前記指標式1の値を用いて、前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価する評価手段
を備えたこと、
を特徴とする糖尿病評価装置。
【請求項6】
前記濃度値に関するアミノ酸濃度データまたは前記指標式1の値を提供する端末装置とネットワークを介して通信可能に接続され、
前記制御部は、
前記端末装置から送信された前記評価対象の前記アミノ酸濃度データまたは前記指標式1の値を受信するデータ受信手段と、
前記評価手段で得られた評価結果を前記端末装置へ送信する結果送信手段と、
をさらに備え、
前記評価手段は、前記データ受信手段で受信した前記アミノ酸濃度データに含まれる前記濃度値を用いて前記指標式1の値を算出し、算出した前記指標式1の値を用いて前記評価を行う、または、前記データ受信手段で受信した前記指標式1の値を用いて前記評価を行うこと、
を特徴とする請求項5に記載の糖尿病評価装置。
【請求項7】
制御部を備えた算出装置であって、
前記制御部は、
評価対象の血液中のGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値と、前記6つのアミノ酸の濃度値が個別に代入される6個の変数からなる糖尿病の将来の発症リスクを評価するための重回帰式である、「a ×Asn+b ×Gly+c ×Ala+d ×Val+e ×Tyr+f ×Trp+g 」で定義される指標式1(ただし、a ,b ,c ,d ,e ,f はゼロではない実数であり、g は実数である。)と、を用いて、前記指標式1の値を算出する算出手段
を備えたこと、
を特徴とする算出装置。
【請求項8】
制御部を備えた情報処理装置において実行させるための糖尿病評価プログラムであって、
前記制御部において実行させるための、
評価対象の血液中のGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値と、前記6つのアミノ酸の濃度値が個別に代入される6個の変数からなる重回帰式である、「a ×Asn+b ×Gly+c ×Ala+d ×Val+e ×Tyr+f ×Trp+g 」で定義される指標式1(ただし、a ,b ,c ,d ,e ,f はゼロではない実数であり、g は実数である。)と、を用いて算出された前記指標式1の値を用いて、前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価する評価ステップ
を含むこと、
を特徴とする糖尿病評価プログラム。
【請求項9】
制御部を備えた情報処理装置において実行させるための算出プログラムであって、
前記制御部において実行させるための、
評価対象の血液中のGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値と、前記6つのアミノ酸の濃度値が個別に代入される6個の変数からなる糖尿病の将来の発症リスクを評価するための重回帰式である、「a ×Asn+b ×Gly+c ×Ala+d ×Val+e ×Tyr+f ×Trp+g 」で定義される指標式1(ただし、a ,b ,c ,d ,e ,f はゼロではない実数であり、g は実数である。)と、を用いて、前記指標式1の値を算出する算出ステップ
を含むこと、
を特徴とする算出プログラム。
【請求項10】
制御部を備えた糖尿病評価装置と、制御部を備えた端末装置とを、ネットワークを介して通信可能に接続して構成された糖尿病評価システムであって、
前記端末装置の前記制御部は、
評価対象の血液中のGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データ、または、前記6つのアミノ酸の濃度値と、前記6つのアミノ酸の濃度値が個別に代入される6個の変数からなる重回帰式である、「a ×Asn+b ×Gly+c ×Ala+d ×Val+e ×Tyr+f ×Trp+g 」で定義される指標式1(ただし、a ,b ,c ,d ,e ,f はゼロではない実数であり、g は実数である。)と、を用いて算出された前記指標式1の値を、前記糖尿病評価装置へ送信するデータ送信手段と、
前記糖尿病評価装置から送信された、前記評価対象についての糖尿病の将来の発症リスクに関する評価結果を受信する結果受信手段と
を備え、
前記糖尿病評価装置の前記制御部は、
前記端末装置から送信された前記評価対象の前記アミノ酸濃度データまたは前記指標式1の値を受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段で受信した前記評価対象の前記アミノ酸濃度データに含まれる前記濃度値を用いて前記指標式1の値を算出し、算出した前記指標式1の値を用いて、前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価する、または、前記データ受信手段で受信した前記評価対象の前記指標式1の値を用いて、前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価する評価手段と、
前記評価手段で得られた前記評価結果を前記端末装置へ送信する結果送信手段と、
を備えたこと、
を特徴とする糖尿病評価システム。
【請求項11】
制御部を備えた端末装置であって、
前記制御部は、評価対象についての糖尿病の将来の発症リスクに関する評価結果を取得する結果取得手段を備え、
前記評価結果は、前記評価対象の血液中のGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値と、前記6つのアミノ酸の濃度値が個別に代入される6個の変数からなる重回帰式である、「a ×Asn+b ×Gly+c ×Ala+d ×Val+e ×Tyr+f ×Trp+g 」で定義される指標式1(ただし、a ,b ,c ,d ,e ,f はゼロではない実数であり、g は実数である。)と、を用いて算出された前記指標式1の値を用いて、前記評価対象についての糖尿病の将来の発症リスクを評価した結果であること、
を特徴とする端末装置。
【請求項12】
前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価する糖尿病評価装置とネットワークを介して通信可能に接続して構成されており、
前記制御部は、前記評価対象の前記6つのアミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データまたは前記指標式1の値を前記糖尿病評価装置へ送信するデータ送信手段をさらに備え、
前記結果取得手段は、前記糖尿病評価装置から送信された前記評価結果を受信し、
前記評価結果の基となった前記指標式1の値は、前記糖尿病評価装置が前記データ送信手段で送信された前記アミノ酸濃度データに含まれる前記濃度値を用いて算出したもの、または、前記データ送信手段で送信されたものであること、
を特徴とする請求項11に記載の端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活習慣病指標の評価方法、生活習慣病指標評価装置、生活習慣病指標評価方法、生活習慣病指標評価プログラム、生活習慣病指標評価システム、および情報通信端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バイオマーカーの試験は、近年のゲノム解析やポストゲノム試験の発展によって急速に進展し、疾病の予防・診断・予後推定などにおいて広く活用されつつある。試験が盛んに行われているバイオマーカーとしては、遺伝子情報に基づいたゲノミクス及びトランスクリプトミクス、タンパク質情報に基づいたプロテオミクス、並びに、代謝物情報に基づいたメタボロミクスがある。
【0003】
しかし、ゲノミクス及びトランスクリプトミクスについては、遺伝的な要因は反映されるが環境要因は反映されないという問題がある。また、プロテオミクスについては、数多くの種類のタンパク質を解析する必要があるので、分析手法や網羅的な解析法において未だ多くの課題が残されているという問題がある。また、メタボロミクスについては、遺伝的要因の他にも環境要因も反映されたバイオマーカーであるという点でその期待は大きいが、代謝物の数が多いが故に、網羅的な解析法において未だ多くの課題が残されているという問題がある。
【0004】
そこで、新規のバイオマーカーとして、生体内の代謝物の中でも代謝経路の中心的存在であるアミノ酸が着目されている。
【0005】
ここで、肝不全や腎不全などの疾患においてアミノ酸濃度が変動することが報告されている(非特許文献1-2)。
【0006】
また、先行特許として、アミノ酸濃度と生体状態とを関連付ける方法に関する特許文献1-3が公開されている。また、先行特許として、アミノ酸濃度を用いてメタボリックシンドロームの状態を評価する方法に関する特許文献4や、アミノ酸濃度を用いて内臓脂肪蓄積の状態を評価する方法に関する特許文献5、アミノ酸濃度を用いて耐糖能異常の状態を評価する方法に関する特許文献6、アミノ酸濃度を用いてBMI(Body Mass Index)およびVFA(Visceral Fat Area)で定義される見掛け肥満、隠れ肥満および肥満のうち少なくとも1つの状態を評価する方法に関する特許文献7、及び、アミノ酸濃度を用いて脂肪肝、NAFLD(non-alcoholic fatty liver disease)、およびNASH(non-alcoholic steatohepatitis)のうち少なくとも1つを含む脂肪性肝疾患の状態を評価する方法に関する特許文献8が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2004/052191号
【文献】国際公開第2006/098192号
【文献】国際公開第2009/054351号
【文献】国際公開第2008/015929号
【文献】国際公開第2009/001862号
【文献】国際公開第2009/054350号
【文献】国際公開第2010/095682号
【文献】国際公開第2013/002381号
【非特許文献】
【0008】
【文献】Rosen HM, Yoshimura N, Hodgman JM, et al.,“Plasma amino acid patterns in hepatic encephalopathy of differing etiology”, Gastroenterology, 1977, 72, 483-487
【文献】Suliman ME, Qureshi AR, Stenvinkel P, et al.,“Inflammation contributes to low plasma amino acid concentrations in patients with chronic kidney disease”, Am. J. Clin. Nutr., 2005, 82, 342-349
【文献】Despres JP, Lemieux I,“Abdominal obesity and metabolic syndrome”, Nature, 2006, 444, 881-887
【文献】Van Gaal LF, Mertens IL, De Block CE,“Mechanisms linking obesity with cardiovascular disease”, Nature, 2006, 444, 875-880
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、予防医学の観点から、生活習慣病の指標(例えば、メタボリックシンドロームを主な原因として発生し得る生活習慣病のリスク要因(例えば、内臓脂肪蓄積、インスリン抵抗性、及び脂肪肝など)など)の状態の評価に有用な臨床的意義の高いアミノ酸を探索することは行われておらず、故に、生活習慣病の指標の状態を、アミノ酸濃度を用いて高精度且つ体系的に評価する方法の開発は行われていない、という問題点があった。例えば、メタボリックシンドロームの進行が将来的に心血管イベントや脳血管イベントといった重篤な疾患をもたらすことは知られているが、血中アミノ酸プロファイルを用いたこれらのイベントの予防法の探索は行われていない(非特許文献3,4参照)。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる生活習慣病指標の評価方法、生活習慣病指標評価装置、生活習慣病指標評価方法、生活習慣病指標評価プログラム、生活習慣病指標評価システムおよび情報通信端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法は、評価対象から採取した血液中のアミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した前記評価対象の前記アミノ酸濃度データに含まれているGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値を用いて、前記評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価する評価ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
ここで、本明細書では各種アミノ酸を主に略称で表記するが、それらの正式名称は以下の通りである。
(略称) (正式名称)
Ala Alanine
Arg Arginine
Asn Asparagine
Cit Citrulline
Gln Glutamine
Gly Glycine
His Histidine
Ile Isoleucine
Leu Leucine
Lys Lysine
Met Methionine
Orn Ornithine
Phe Phenylalanine
Pro Proline
Ser Serine
Thr Threonine
Trp Tryptophan
Tyr Tyrosine
Val Valine
【0013】
また、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法は、前記の生活習慣病指標の評価方法において、前記評価ステップでは、Gly、Tyr、およびAsnのアミノ酸の濃度値、Gly、Tyr、およびAlaのアミノ酸の濃度値、Gly、Tyr、およびValのアミノ酸の濃度値、または、Gly、Tyr、およびTrpのアミノ酸の濃度値を用いること、を特徴とする。また、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法は、前記の生活習慣病指標の評価方法において、前記評価ステップでは、Gly、Tyr、Asn、およびAlaのアミノ酸の濃度値を用いること、を特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法は、前記の生活習慣病指標の評価方法において、前記評価ステップでは、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンのうちの少なくとも1つの状態を評価すること、を特徴とする。また、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法は、前記の生活習慣病指標の評価方法において、前記評価ステップでは、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンのうちの少なくとも2つの状態を評価すること、を特徴とする。また、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法は、前記の生活習慣病指標の評価方法において、前記評価ステップでは、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンの状態を評価すること、を特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法は、前記の生活習慣病指標の評価方法において、前記評価ステップでは、(i)GlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、(ii)Gly、Tyr、およびAsnのアミノ酸の濃度値、(iii)Gly、Tyr、およびAlaのアミノ酸の濃度値、(iv)Gly、Tyr、およびValのアミノ酸の濃度値、(v)Gly、Tyr、およびTrpのアミノ酸の濃度値、または、(vi)Gly、Tyr、Asn、およびAlaのアミノ酸の濃度値、を用いて、生活習慣病を発症する可能性の程度(生活習慣病を発症するリスク)を評価すること、を特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法は、前記の生活習慣病指標の評価方法において、前記評価ステップでは、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式(以下では、評価式と記す場合がある。)を用いて、前記式の値(以下では、評価式の値又は評価値と記す場合がある。)を算出することで、インスリンの状態を評価すること、を特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法は、前記の生活習慣病指標の評価方法において、前記評価ステップでは、(i)Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、または、(ii)Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、予め取得した前記評価対象のBMI(Body Mass Index)値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および前記評価対象のBMI値が代入される変数を含む式を用いて、前記式の値を算出することで、内臓脂肪の状態を評価すること、を特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法は、前記の生活習慣病指標の評価方法において、前記評価ステップでは、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、前記式の値を算出することで、脂肪肝の状態を評価すること、を特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法は、前記の生活習慣病指標の評価方法において、前記評価ステップでは、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、前記式の値を算出することで、インスリンおよび内臓脂肪の状態を評価すること、を特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法は、前記の生活習慣病指標の評価方法において、前記評価ステップでは、(i)Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、前記式の値を算出することで、インスリンの状態を評価し、(ii)Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、または、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、予め取得した前記評価対象のBMI値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および前記評価対象のBMI値が代入される変数を含む式を用いて、前記式の値を算出することで、内臓脂肪の状態を評価し、(iii)Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、前記式の値を算出することで、脂肪肝の状態を評価すること、を特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法は、前記の生活習慣病指標の評価方法において、前記評価ステップでは、(i)Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、(ii)Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、予め取得した前記評価対象のBMI(Body Mass Index)値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および前記評価対象のBMI値が代入される変数を含む式、または、(iii)Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、を用いて、前記式の値を算出することで、生活習慣病を発症する可能性の程度(生活習慣病を発症するリスク)を評価すること、を特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる生活習慣病指標評価装置は、制御部と記憶部とを備え、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価する生活習慣病指標評価装置であって、前記制御部は、アミノ酸の濃度値に関する予め取得された前記評価対象のアミノ酸濃度データに含まれているGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、および、GlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む予め前記記憶部に記憶された式を用いて、前記式の値を算出することで、前記評価対象について前記生活習慣病の指標の状態を評価する評価手段を備えたこと、を特徴とする。
【0023】
また、本発明にかかる生活習慣病指標評価方法は、制御部と記憶部とを備えた情報処理装置において実行される、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価する生活習慣病指標評価方法であって、前記制御部において実行される、アミノ酸の濃度値に関する予め取得された前記評価対象のアミノ酸濃度データに含まれているGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、および、GlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む予め前記記憶部に記憶された式を用いて、前記式の値を算出することで、前記評価対象について前記生活習慣病の指標の状態を評価する評価ステップを含むこと、を特徴とする。
【0024】
また、本発明にかかる生活習慣病指標評価プログラムは、制御部と記憶部とを備えた情報処理装置において実行させるための、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価する生活習慣病指標評価プログラムであって、前記制御部において実行させるための、アミノ酸の濃度値に関する予め取得された前記評価対象のアミノ酸濃度データに含まれているGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、および、GlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む予め前記記憶部に記憶された式を用いて、前記式の値を算出することで、前記評価対象について前記生活習慣病の指標の状態を評価する評価ステップを含むこと、を特徴とする。
【0025】
また、本発明にかかる記録媒体は、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、情報処理装置に前記生活習慣病指標評価方法を実行させるためのプログラム化された命令を含むこと、を特徴とする。
【0026】
また、本発明にかかる生活習慣病指標評価システムは、制御部と記憶部とを備え、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価する生活習慣病指標評価装置と、制御部を備え、アミノ酸の濃度値に関する前記評価対象のアミノ酸濃度データを提供する情報通信端末装置とを、ネットワークを介して通信可能に接続して構成された生活習慣病指標評価システムであって、前記情報通信端末装置の前記制御部は、前記評価対象の前記アミノ酸濃度データを前記生活習慣病指標評価装置へ送信するアミノ酸濃度データ送信手段と、前記生活習慣病指標評価装置から送信された、前記評価対象についての前記生活習慣病の指標の状態に関する評価結果を受信する結果受信手段とを備え、前記生活習慣病指標評価装置の前記制御部は、前記情報通信端末装置から送信された前記評価対象の前記アミノ酸濃度データを受信するアミノ酸濃度データ受信手段と、前記アミノ酸濃度データ受信手段で受信した前記評価対象の前記アミノ酸濃度データに含まれているGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、および、GlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む予め前記記憶部に記憶された式を用いて、前記式の値を算出することで、前記評価対象について前記生活習慣病の指標の状態を評価する評価手段と、前記評価手段で得られた前記評価結果を前記情報通信端末装置へ送信する結果送信手段と、を備えたこと、を特徴とする。
【0027】
また、本発明にかかる情報通信端末装置は、制御部を備え、アミノ酸の濃度値に関する評価対象のアミノ酸濃度データを提供する情報通信端末装置であって、前記制御部は、前記評価対象についての生活習慣病の指標の状態に関する評価結果を取得する結果取得手段を備え、前記評価結果は、前記評価対象の前記アミノ酸濃度データに含まれているGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、および、GlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、前記式の値を算出することで、前記評価対象についての前記生活習慣病の指標の状態を評価した結果であること、を特徴とする。
【0028】
また、本発明にかかる情報通信端末装置は、前記の情報通信端末装置において、前記評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価する生活習慣病指標評価装置とネットワークを介して通信可能に接続して構成されており、前記制御部は、前記評価対象の前記アミノ酸濃度データを前記生活習慣病指標評価装置へ送信するアミノ酸濃度データ送信手段をさらに備え、前記結果取得手段は、前記生活習慣病指標評価装置から送信された前記評価結果を受信すること、を特徴とする。
【0029】
また、本発明にかかる生活習慣病指標評価装置は、アミノ酸の濃度値に関する評価対象のアミノ酸濃度データを提供する情報通信端末装置とネットワークを介して通信可能に接続された、制御部と記憶部とを備え、前記評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価する生活習慣病指標評価装置であって、前記制御部は、前記情報通信端末装置から送信された前記評価対象の前記アミノ酸濃度データを受信するアミノ酸濃度データ受信手段と、前記アミノ酸濃度データ受信手段で受信した前記評価対象の前記アミノ酸濃度データに含まれているGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、および、GlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む予め前記記憶部に記憶された式を用いて、前記式の値を算出することで、前記評価対象について前記生活習慣病の指標を評価する評価手段と、前記評価手段で得られた評価結果を前記情報通信端末装置へ送信する結果送信手段と、を備えたこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、評価対象から採取した血液中のアミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを取得し、取得した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれているGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値を用いて、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価するので、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができるという効果を奏する。
なお、本発明によれば、GlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、および、GlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価してもよい。
【0031】
本発明によれば、「Gly、Tyr、およびAsnのアミノ酸の濃度値」、「Gly、Tyr、およびAlaのアミノ酸の濃度値」、「Gly、Tyr、およびValのアミノ酸の濃度値」、または「Gly、Tyr、およびTrpのアミノ酸の濃度値」を用いるので、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となり得る情報の更なる信頼性向上を実現することができるという効果を奏する。
なお、本発明によれば、「Gly、Tyr、およびAsnのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、およびAsnのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」、「Gly、Tyr、およびAlaのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、およびAlaのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」、「Gly、Tyr、およびValのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、およびValのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」、または「Gly、Tyr、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」を用いて、式の値を算出することで、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価してもよい。
【0032】
本発明によれば、Gly、Tyr、Asn、およびAlaのアミノ酸の濃度値を用いるので、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となり得る情報の更なる信頼性向上を実現することができるという効果を奏する。
なお、本発明によれば、Gly、Tyr、Asn、およびAlaのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、およびAlaのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価してもよい。
【0033】
本発明によれば、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンのうちの少なくとも1つの状態を評価するので、生活習慣病の指標である「脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリン」のうちの少なくとも1つの状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができるという効果を奏する。
【0034】
本発明によれば、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンのうちの少なくとも2つの状態を評価するので、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンのうちの少なくとも2つの状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができるという効果を奏する。
【0035】
本発明によれば、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンの状態を評価するので、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンの3つの状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができるという効果を奏する。
【0036】
本発明によれば、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、インスリンの状態を評価するので、インスリンの状態を知る上で参考となり得る情報の更なる信頼性向上を実現することができるという効果を奏する。
なお、本発明によれば、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値を用いて、インスリンの状態を評価してもよい。
【0037】
本発明によれば、「Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」または「Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、予め取得した評価対象のBMI値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および評価対象のBMI値が代入される変数を含む式」を用いて、式の値を算出することで、内臓脂肪の状態を評価するので、内臓脂肪の状態を知る上で参考となり得る情報の更なる信頼性向上を実現することができるという効果を奏する。
なお、本発明によれば、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、または、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および予め取得した評価対象のBMI値を用いて、内臓脂肪の状態を評価してもよい。
【0038】
本発明によれば、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、脂肪肝の状態を評価するので、脂肪肝の状態を知る上で参考となり得る情報の更なる信頼性向上を実現することができるという効果を奏する。
なお、本発明によれば、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値を用いて、脂肪肝の状態を評価してもよい。
【0039】
本発明によれば、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、インスリンおよび内臓脂肪の状態を評価するので、インスリンおよび内臓脂肪の2つの状態を知る上で参考となり得る情報の更なる信頼性向上を実現することができるという効果を奏する。
なお、本発明によれば、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値を用いて、インスリンおよび内臓脂肪の状態を評価してもよい。
【0040】
本発明によれば、(i)Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、インスリンの状態を評価し、(ii)「Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」または「Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、予め取得した評価対象のBMI値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および評価対象のBMI値が代入される変数を含む式」を用いて、式の値を算出することで、内臓脂肪の状態を評価し、(iii)Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、脂肪肝の状態を評価するので、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンの3つの状態を知る上で参考となり得る情報の更なる信頼性向上を実現することができるという効果を奏する。
なお、本発明によれば、(i)Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値を用いて、インスリンの状態を評価し、(ii)Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、または、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および予め取得した評価対象のBMI値を用いて、内臓脂肪の状態を評価し、(iii)Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値を用いて、脂肪肝の状態を評価してもよい。
【0041】
ここで、本発明によれば、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価するとは、評価対象における生活習慣病の指標の状態の程度を定性的または定量的に評価すること、でもよい。これにより、生活習慣病の指標の状態の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。
また、本発明によれば、評価対象における生活習慣病の指標の状態の程度を定性的に評価するとは、「アミノ酸の濃度値および予め設定された1つまたは複数の閾値」または「アミノ酸の濃度値、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、および予め設定された1つまたは複数の閾値」を用いて、評価対象を、生活習慣病の指標の状態の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類すること、でもよい。これにより、生活習慣病の指標の状態の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を、理解し易い形で提供することができる。
また、本発明によれば、評価対象における生活習慣病の指標の状態の程度を定量的に評価するとは、生活習慣病の指標が連続的な数値で計測可能なものである場合に、アミノ酸の濃度値、および、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、評価対象における生活習慣病の指標の値を推定すること、でもよい。これにより、生活習慣病の指標の値を知る上で参考となり得る信頼性の高い数値情報を提供することができる。
また、本発明によれば、式の値を所定の手法で変換し、変換後の値を用いて評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類したり、評価対象における生活習慣病の指標の値を推定したりしてもよい。これにより、生活習慣病の指標の状態の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を、更に理解し易い形で提供することができたり、生活習慣病の指標の値を知る上で参考となり得る数値情報の更なる信頼性向上を実現できたりする。
【0042】
また、本発明によれば、評価対象についてインスリンの状態を評価するとは、評価対象におけるインスリンの量(例えば、評価対象の血液中に存在するインスリンの量、など)の程度を定性的または定量的に評価すること、でもよい。これにより、インスリンの量の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。
また、本発明によれば、評価対象におけるインスリンの量の程度を定性的に評価するとは、「アミノ酸の濃度値および予め設定された1つまたは複数の閾値」または「アミノ酸の濃度値、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、および予め設定した1つまたは複数の閾値」を用いて、評価対象を、インスリンの量の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類すること、でもよい。これにより、インスリンの量の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を、理解し易い形で提供することができる。なお、複数の区分には、インスリンの量(例えばOGTT(経口糖負荷試験)の120分時のインスリン値(OGTT後のインスリン値)など)が大である対象を属させるための区分、インスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が小である対象を属させるための区分、およびインスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が中である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、インスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が基準値(例えば40μU/mlなど)以上である対象を属させるための区分およびインスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が基準値(例えば40μU/mlなど)以下である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、OGTTの120分時のインスリン値が40μU/ml以上である可能性が高い対象を属させるための区分、前記可能性が低い対象を属させるための区分、および前記可能性が中程度である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、OGTTの120分時のインスリン値が40μU/ml以上である可能性が高い対象を属させるための区分、および、前記可能性が低い対象を属させるための区分が含まれていてもよい。
また、本発明によれば、評価対象におけるインスリンの量の程度を定量的に評価するとは、アミノ酸の濃度値、および、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、評価対象におけるインスリンの量を推定すること、でもよい。これにより、インスリンの量を知る上で参考となり得る信頼性の高い数値情報を提供することができる。
また、本発明によれば、式の値を所定の手法で変換し、変換後の値を用いて、評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類したり、評価対象におけるインスリンの量を推定したりしてもよい。これにより、インスリンの量の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を、更に理解し易い形で提供することができたり、インスリンの量を知る上で参考となり得る数値情報の更なる信頼性向上を実現できたりする。
【0043】
また、本発明によれば、評価対象について内臓脂肪の状態を評価するとは、評価対象における内臓脂肪の量(例えば、腹部の体軸断面における脂肪の面積値、など)の程度を定性的または定量的に評価すること、でもよい。これにより、内臓脂肪の量の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。
また、本発明によれば、評価対象における内臓脂肪の量の程度を定性的に評価するとは、「アミノ酸の濃度値および予め設定された1つまたは複数の閾値」または「アミノ酸の濃度値、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、および予め設定した1つまたは複数の閾値」を用いて、評価対象を、内臓脂肪の量の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類すること、でもよい。これにより、内臓脂肪の量の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を、理解し易い形で提供することができる。なお、複数の区分には、内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が大である対象を属させるための区分、内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が小である対象を属させるための区分、および内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が中である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が基準値(例えば100cmなど)以上である対象を属させるための区分および内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が基準値(例えば100cmなど)以下である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、内臓脂肪面積値が100cm以上である可能性が高い対象を属させるための区分、前記可能性が低い対象を属させるための区分、および前記可能性が中程度である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、内臓脂肪面積値が100cm以上である可能性が高い対象を属させるための区分、および、前記可能性が低い対象を属させるための区分が含まれていてもよい。
また、本発明によれば、評価対象における内臓脂肪の量の程度を定量的に評価するとは、アミノ酸の濃度値、および、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、評価対象における内臓脂肪の量を推定すること、でもよい。これにより、内臓脂肪の量を知る上で参考となり得る信頼性の高い数値情報を提供することができる。
また、本発明によれば、式の値を所定の手法で変換し、変換後の値を用いて、評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類したり、評価対象における内臓脂肪の量を推定したりしてもよい。これにより、内臓脂肪の量の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を、更に理解し易い形で提供することができたり、内臓脂肪の量を知る上で参考となり得る数値情報の更なる信頼性向上を実現できたりする。
また、本発明によれば、内臓脂肪の量を評価する際、評価対象のBMI値や、BMI値が代入される変数をさらに含む式をさらに用いてもよい。これにより、内臓脂肪の量の程度を知る上で参考となり得る情報の更なる信頼性向上を実現することができる。
【0044】
また、本発明によれば、評価対象について脂肪肝の状態を評価するとは、脂肪肝である可能性の程度、つまり、評価対象の肝臓が一定量以上の脂肪(例えば、肝臓の重量の5%を超える程度の量の脂肪、肝細胞の30%以上に相当する程度の量の脂肪、または、医師に脂肪肝と判断される程度の量の脂肪、など)を有した状態となっている可能性の程度を評価すること、でもよい。これにより、脂肪肝である可能性の程度、つまり肝臓が一定量以上の脂肪を有した状態となっている可能性の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。
また、本発明によれば、評価対象の肝臓が一定量以上の脂肪を有した状態となっている可能性の程度を評価するとは、「アミノ酸の濃度値および予め設定した1つまたは複数の閾値」または「アミノ酸の濃度値、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、および予め設定した1つまたは複数の閾値」を用いて、評価対象を、肝臓が前記状態となっている可能性の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類すること、でもよい。これにより、肝臓が一定量以上の脂肪を有した状態となっている可能性の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を、理解し易い形で提供することができる。なお、複数の区分には、肝臓が前記状態となっている可能性が高い対象を属させるための区分、肝臓が前記状態となっている可能性が低い対象を属させるための区分、および肝臓が前記状態となっている可能性が中程度である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、肝臓が前記状態となっている可能性が高い対象を属させるための区分、および、肝臓が前記状態となっている可能性が低い対象を属させるための区分が含まれていてもよい。
また、本発明によれば、式の値を所定の手法で変換し、変換後の値を用いて評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよい。これにより、肝臓が一定量以上の脂肪を有した状態となっている可能性の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を、更に理解し易い形で提供することができる。
【0045】
また、本発明によれば、式は、ロジスティック回帰式、分数式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、および決定木で作成された式のうちのいずれか1つでもよい。これにより、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となり得る情報の更なる信頼性向上を実現することができる。
【0046】
また、本発明によれば、インスリンの状態を評価する場合に用いる式は式1でもよく、内臓脂肪の状態を評価する場合に用いる式は式2でもよく、脂肪肝の状態を評価する場合に用いる式は式3でもよい。これにより、インスリン、内臓脂肪、および脂肪肝のそれぞれの状態を知る上で参考となり得る情報の更なる信頼性向上を実現することができる。
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Val+e×Tyr+f×Trp+g ・・・(式1)
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Val+e×Tyr+f×Trp+g×BMI+h・・・(式2)
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Cit+e×Leu+f×Tyr+g・・・(式3)
式1において、a,b,c,d,e,fはゼロではない任意の実数であり、gは任意の実数である。
式2において、a,b,c,d,e,f,gはゼロではない任意の実数であり、hは任意の実数である。
式3において、a,b,c,d,e,fはゼロではない任意の実数であり、gは任意の実数である。
【0047】
また、本発明によれば、アミノ酸の濃度値、および、式1、式2、および式3のうちのいずれか1つを用いて、メタボリックシンドロームの診断基準項目として定義された複数の項目の中で評価対象が該当している項目の数を評価してもよい。これにより、メタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。
【0048】
また、本発明によれば、アミノ酸の濃度値、および、式1、式2、および式3のうちのいずれか1つを用いて、評価対象が保有している生活習慣病の数を評価してもよい。これにより、生活習慣病の保有数を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。
【0049】
また、本発明によれば、アミノ酸の濃度値、および、式1、式2、および式3のうちのいずれか1つを用いて、評価対象が生活習慣病に罹患している可能性の程度を評価してもよい。これにより、生活習慣病に罹患している可能性の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。
【0050】
また、本発明によれば、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価するとは、式の値が、評価対象についての生活習慣病の指標の状態を反映したものであると決定すること、でもよい。これにより、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。
【0051】
また、本発明によれば、式の値を所定の手法で変換し、変換後の値が、評価対象についての生活習慣病の指標の状態を反映したものであると決定してもよい。これにより、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。
【0052】
また、本発明によれば、モニタ等の表示装置又は紙等の物理媒体に視認可能に示される、生活習慣病の指標の状態を評価するための所定の物差し(例えば、目盛りが示された物差しであって、式の値又は変換後の値の取り得る範囲又は当該範囲の一部分における上限値と下限値に対応する目盛りが少なくとも示されたもの、など)上における、式の値又は変換後の値に対応する所定の目印(例えば、丸印又は星印など)の位置に関する位置情報を、式の値又は変換後の値を用いて生成し、生成した位置情報が、評価対象についての生活習慣病の指標の状態を反映したものであると決定してもよい。これにより、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。
【0053】
また、本発明によれば、アミノ酸濃度データと生活習慣病の指標(リスク要因)の状態に関する生活習慣病指標データとを含む予め記憶部に記憶された指標状態情報に基づいて、記憶部で記憶する評価式を作成してもよい。具体的には、(i)指標状態情報から所定の式作成手法に基づいて、評価式の候補である候補式を作成し、(ii)作成した候補式を所定の検証手法に基づいて検証し、(iii)所定の変数選択手法に基づいて候補式の変数を選択することで、候補式を作成する際に用いる指標状態情報に含まれるアミノ酸濃度データの組み合わせを選択し、(iv)(i)、(ii)、および(iii)を繰り返し実行して蓄積した検証結果に基づいて、複数の候補式の中から評価式として採用する候補式を選出することで、評価式を作成してもよい。これにより、生活習慣病の指標の状態を評価するのに最適な評価式を作成することができる。
【0054】
また、本発明によれば、1つ又は複数の物質から成る所望の物質群が投与された評価対象から採取した血液中のアミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを取得し、取得した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれているGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値を用いて、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価し、得られた評価結果を用いて、所望の物質群が生活習慣病の指標の状態を改善させるものであるか否かを判定してもよい。これにより、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる生活習慣病指標の評価方法を応用して、生活習慣病の指標の状態を改善させる物質に関する信頼性の高い情報を提供することができる。
【0055】
なお、本発明では、生活習慣病の指標の状態を評価する際、前記19種のアミノ酸以外のアミノ酸の濃度値をさらに用いても構わない。また、本発明では、生活習慣病の指標の状態を評価する際、アミノ酸の濃度値以外に、他の生体情報に関する値(例えば、以下の1.から4.に挙げられた値など)をさらに用いても構わない。また、本発明では、前記の式には、前記19種のアミノ酸以外のアミノ酸の濃度値が代入される1つ又は複数の変数がさらに含まれていてもよい。また、本発明では、前記の式には、アミノ酸の濃度値が代入される変数以外に、他の生体情報に関する値(例えば、以下の1.から4.に挙げられた値など)が代入される1つ又は複数の変数がさらに含まれていてもよい。
1.アミノ酸以外の他の血中の代謝物(アミノ酸代謝物・糖類・脂質等)、タンパク質、ペプチド、ミネラル、ホルモン等の濃度値
2.アルブミン、総蛋白、トリグリセリド、HbA1c、糖化アルブミン、インスリン抵抗性指数、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、アミラーゼ、総ビリルビン、クレアチニン、推算糸球体濾過量(eGFR)、尿酸等の血液検査値
3.超音波エコー、X線、CT、MRI等の画像情報から得られる値
4.年齢、身長、体重、BMI、腹囲、収縮期血圧、拡張期血圧、性別、喫煙情報、食事情報、飲酒情報、運動情報、ストレス情報、睡眠情報、家族の既往歴情報、疾患歴情報(糖尿病等)等の生体指標に関する値
【0056】
また、本発明において、生活習慣病とは、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群のことであり、例えば、メタボリックシンドローム、糖代謝異常症(糖尿病、境界型糖尿病、耐糖能異常など)、脳血管障害(脳卒中、細小動脈硬化症など)、心臓病(心筋梗塞など)、脂質異常症、高血圧症、肥満症、腎症(慢性腎症など)、肝疾患、高尿酸血症などが挙げられる。
また、本発明を利用することにより、生活習慣病の指標を把握することが可能となり、生活習慣病を発症する前段階または生活習慣病の初期段階でリスクを把握することができる。よって、本発明は、生活習慣病を発症するリスク(生活習慣病を発症する可能性の程度)または生活習慣病が今後進行するリスク(生活習慣病が今後進行する可能性の程度)を評価することができ、生活習慣病の予防に繋がる。
また、式1~3で、メタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数を評価でき、また、生活習慣病を保有している数を評価できることより、式1~3の値を用いて、生活習慣病の重篤度(生活習慣病の進行度合い(生活習慣病が進行している可能性の程度))を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、第1実施形態の基本原理を示す原理構成図である。
図2図2は、第1実施形態にかかる生活習慣病指標の評価方法の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、第2実施形態の基本原理を示す原理構成図である。
図4図4は、本システムの全体構成の一例を示す図である。
図5図5は、本システムの全体構成の他の一例を示す図である。
図6図6は、本システムの生活習慣病指標評価装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、利用者情報ファイル106aに格納される情報の一例を示す図である。
図8図8は、アミノ酸濃度データファイル106bに格納される情報の一例を示す図である。
図9図9は、指標状態情報ファイル106cに格納される情報の一例を示す図である。
図10図10は、指定指標状態情報ファイル106dに格納される情報の一例を示す図である。
図11図11は、候補式ファイル106e1に格納される情報の一例を示す図である。
図12図12は、検証結果ファイル106e2に格納される情報の一例を示す図である。
図13図13は、選択指標状態情報ファイル106e3に格納される情報の一例を示す図である。
図14図14は、評価式ファイル106e4に格納される情報の一例を示す図である。
図15図15は、評価結果ファイル106fに格納される情報の一例を示す図である。
図16図16は、評価式作成部102hの構成を示すブロック図である。
図17図17は、評価部102iの構成を示すブロック図である。
図18図18は、本システムのクライアント装置200の構成の一例を示すブロック図である。
図19図19は、本システムのデータベース装置400の構成の一例を示すブロック図である。
図20図20は、本システムで行う生活習慣病指標評価サービス処理の一例を示すフローチャートである。
図21図21は、本システムの生活習慣病指標評価装置100で行う評価式作成処理の一例を示すフローチャートである。
図22図22は、各アミノ酸の相関係数及びROC_AUCを示す図である。
図23図23は、インスリン抵抗性指数、OGTTの120分時の血糖値、及びOGTTの120分時のインスリン値に対する各アミノ酸の相関係数を示す図である。
図24図24は、各アミノ酸のROC_AUCを示す図である。
図25図25は、式における上記19個のアミノ酸の出現回数を示す図である。
図26図26は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図27図27は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図28図28は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図29図29は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図30図30は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図31図31は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図32図32は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図33図33は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図34図34は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図35図35は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図36図36は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図37図37は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図38図38は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図39図39は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図40図40は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図41図41は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図42図42は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図43図43は、式の相関係数の範囲を示す図である。
図44図44は、式のROC_AUCの範囲を示す図である。
図45図45は、式のROC_AUCの範囲を示す図である。
図46図46は、式のROC_AUCの範囲を示す図である。
図47図47は、式のROC_AUCの範囲を示す図である。
図48図48は、式のROC_AUCの範囲を示す図である。
図49図49は、式のROC_AUCの範囲を示す図である。
図50図50は、内臓脂肪面積値、インスリン抵抗性指数、OGTTの120分時の血糖値、及びOGTTの120分時のインスリン値に対する指標式1,2,3の相関係数を示す図である。
図51図51は、内臓脂肪面積値、OGTTの120分時のインスリン値、及び脂肪肝に対する指標式1,2,3のROC_AUCを示す図である。
図52図52は、メタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数に対する指標式1,2,3の相関係数を示す図である。
図53図53は、メタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数と指標式1の値との関係を表す箱ひげ図である。
図54図54は、メタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数と指標式2の値との関係を表す箱ひげ図である。
図55図55は、メタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数と指標式3の値との関係を表す箱ひげ図である。
図56図56は、生活習慣病の重積数と指標式1の値との関係を表す箱ひげ図である。
図57図57は、生活習慣病の重積数と指標式2の値との関係を表す箱ひげ図である。
図58図58は、生活習慣病の重積数と指標式3の値との関係を表す箱ひげ図である。
図59図59は、糖尿病、境界型糖尿病、慢性腎症、細小動脈硬化症、脳卒中、及び心筋梗塞のそれぞれの判別に対する指標式1,2,3のROC_AUCを示す図である。
図60図60は、疾患イベントが「インスリン抵抗性あり」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図61図61は、疾患イベントが「高血圧」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図62図62は、疾患イベントが「高血圧症」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図63図63は、疾患イベントが「脂肪肝」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図64図64は、疾患イベントが「高リスク脂肪肝」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図65図65は、疾患イベントが「糖尿病」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図66図66は、疾患イベントが「耐糖能異常」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図67図67は、疾患イベントが「肥満」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図68図68は、疾患イベントが「高度肥満」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図69図69は、疾患イベントが「脂質異常症」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図70図70は、疾患イベントが「慢性腎症」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図71図71は、疾患イベントが「動脈硬化症」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図72図72は、疾患イベントが「脳梗塞」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図73図73は、疾患イベントが「心疾患リスクあり」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
図74図74は、疾患イベントが「メタボリックシンドローム」の場合における、人数、人年、イベント数、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、および、相対リスクの95%信頼区間の下限を、指標式ごと及び分位ごとに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下に、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法の実施形態(第1実施形態)、及び、本発明に係る生活習慣病指標評価装置、生活習慣病指標評価方法、生活習慣病指標評価プログラム、記録媒体、生活習慣病指標評価システム及び情報通信端末装置の実施形態(第2実施形態)を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施形態により限定されるものではない。
【0059】
[第1実施形態]
[1-1.第1実施形態の概要]
ここでは、第1実施形態の概要について図1を参照して説明する。図1は第1実施形態の基本原理を示す原理構成図である。
【0060】
まず、評価対象(例えば動物やヒトなどの個体)から採取した血液(例えば血漿、血清などを含む)中のアミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを取得する(ステップS11)。
【0061】
なお、ステップS11では、例えば、アミノ酸濃度値測定を行う企業等が測定したアミノ酸濃度データを取得してもよく、また、評価対象から採取した血液から、例えば以下の(A)または(B)などの測定方法でアミノ酸の濃度値を測定することでアミノ酸濃度データを取得してもよい。ここで、アミノ酸の濃度値の単位は、例えばモル濃度や重量濃度、これらの濃度に任意の定数を加減乗除することで得られるものでもよい。
(A)採取した血液サンプルを遠心することにより血液から血漿を分離した。全ての血漿サンプルは、アミノ酸濃度値の測定時まで-80℃で凍結保存した。アミノ酸濃度値測定時には、アセトニトリルを添加し除蛋白処理を行った後、標識試薬(3-アミノピリジル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート)を用いてプレカラム誘導体化を行い、そして、液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)によりアミノ酸濃度値を分析した(国際公開第2003/069328号、国際公開第2005/116629号を参照)。
(B)採取した血液サンプルを遠心することにより血液から血漿を分離した。全ての血漿サンプルは、アミノ酸濃度値の測定時まで-80℃で凍結保存した。アミノ酸濃度値測定時には、スルホサリチル酸を添加し除蛋白処理を行った後、ニンヒドリン試薬を用いたポストカラム誘導体化法を原理としたアミノ酸分析計によりアミノ酸濃度値を分析した。
【0062】
つぎに、ステップS11で取得したアミノ酸濃度データに含まれているGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値を、生活習慣病の指標の状態を評価するための評価値として用いて、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価する(ステップS12)。なお、ステップS12を実行する前に、ステップS11で取得したアミノ酸濃度データから欠損値や外れ値などのデータを除去してもよい。
【0063】
以上、第1実施形態によれば、ステップS11では評価対象のアミノ酸濃度データを取得し、ステップS12では、ステップS11で取得した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれているGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値を評価値として用いて、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価する。これにより、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。
【0064】
ここで、ステップS12では、「Gly、Tyr、およびAsnのアミノ酸の濃度値」、「Gly、Tyr、およびAlaのアミノ酸の濃度値」、「Gly、Tyr、およびValのアミノ酸の濃度値」、または「Gly、Tyr、およびTrpのアミノ酸の濃度値」を用いて、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価してもよい。
【0065】
また、ステップS12では、Gly、Tyr、Asn、およびAlaのアミノ酸の濃度値を用いて、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価してもよい。
【0066】
また、ステップS12では、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンのうちの少なくとも1つの状態を評価してもよい。例えば、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値を用いて、インスリンの状態を評価してもよい。また、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、または、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および予め取得した評価対象のBMI値を用いて、内臓脂肪の状態を評価してもよい。また、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値を用いて、脂肪肝の状態を評価してもよい。
【0067】
また、ステップS12では、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンのうちの少なくとも2つの状態を評価してもよい。例えば、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値を用いて、インスリンおよび内臓脂肪の状態を評価してもよい。
【0068】
また、ステップS12では、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンの状態を評価してもよい。例えば、(i)Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値を用いて、インスリンの状態を評価し、(ii)Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、または、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および予め取得した評価対象のBMI値を用いて、内臓脂肪の状態を評価し、(iii)Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値を用いて、脂肪肝の状態を評価してもよい。
【0069】
また、ステップS12では、少なくともGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値が評価対象についての生活習慣病の指標の状態を反映したものであると決定してもよく、さらに、濃度値を例えば以下に挙げた手法などで変換し、変換後の値が評価対象についての生活習慣病の指標の状態を反映したものであると決定してもよい。換言すると、ステップS12では、濃度値又は変換後の値そのものを、評価対象についての生活習慣病の指標の状態に関する評価結果として扱ってもよい。
濃度値の取り得る範囲が所定範囲(例えば0.0から1.0までの範囲、0.0から10.0までの範囲、0.0から100.0までの範囲、又は-10.0から10.0までの範囲、など)に収まるように、例えば、濃度値に対して任意の値を加減乗除したり、また、濃度値を所定の変換手法(例えば、指数変換、対数変換、角変換、平方根変換、プロビット変換、又は逆数変換など)で変換したり、また、濃度値に対してこれらの計算を組み合わせて行ったりすることで、濃度値を変換してもよい。例えば、濃度値を指数としネイピア数を底とする指数関数の値(具体的には、生活習慣病の指標が所定の状態(例えば、基準値を超えた状態、など)である確率pを定義したときの自然対数ln(p/(1-p))が濃度値と等しいとした場合におけるp/(1-p)の値)をさらに算出してもよく、また、算出した指数関数の値を1と当該値との和で割った値(具体的には、確率pの値)をさらに算出してもよい。
また、特定の条件のときの変換後の値が特定の値となるように、濃度値を変換してもよい。例えば、感度が80%のときの変換後の値が4.0となり且つ感度が60%のときの変換後の値が8.0となるように濃度値を変換してもよい。
【0070】
また、ステップS12では、モニタ等の表示装置又は紙等の物理媒体に視認可能に示される、生活習慣病の指標の状態を評価するための所定の物差し(例えば、目盛りが示された物差しであって、濃度値又は変換後の値の取り得る範囲又は当該範囲の一部分における上限値と下限値に対応する目盛りが少なくとも示されたもの、など)上における、濃度値又は変換後の値に対応する所定の目印(例えば、丸印又は星印など)の位置に関する位置情報を、少なくともGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値又は当該濃度値を変換した場合にはその変換後の値を用いて生成し、生成した位置情報が評価対象についての生活習慣病の指標の状態を反映したものであると決定してもよい。
【0071】
また、ステップS12では、GlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、および、GlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価してもよい。
【0072】
また、ステップS12では、「Gly、Tyr、およびAsnのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、およびAsnのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」、「Gly、Tyr、およびAlaのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、およびAlaのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」、「Gly、Tyr、およびValのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、およびValのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」、または「Gly、Tyr、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」を用いて、式の値を算出することで、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価してもよい。
【0073】
また、ステップS12では、Gly、Tyr、Asn、およびAlaのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、およびAlaのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価してもよい。
【0074】
また、ステップS12では、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンのうちの少なくとも1つの状態を評価してもよい。例えば、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、インスリンの状態を評価してもよい。また、「Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」または「Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、予め取得した評価対象のBMI値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および評価対象のBMI値が代入される変数を含む式」を用いて、式の値を算出することで、内臓脂肪の状態を評価してもよい。また、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、脂肪肝の状態を評価してもよい。
【0075】
また、ステップS12では、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンのうちの少なくとも2つの状態を評価してもよい。例えば、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、インスリンおよび内臓脂肪の状態を評価してもよい。
【0076】
また、ステップS12では、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンの状態を評価してもよい。例えば、(i)Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、インスリンの状態を評価し、(ii)「Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」または「Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、予め取得した評価対象のBMI値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および評価対象のBMI値が代入される変数を含む式」を用いて、式の値を算出することで、内臓脂肪の状態を評価し、(iii)Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、脂肪肝の状態を評価してもよい。
【0077】
また、ステップS12では、算出した式の値が評価対象についての生活習慣病の指標の状態を反映したものであると決定してもよく、さらに、式の値を例えば以下に挙げた手法などで変換し、変換後の値が評価対象についての生活習慣病の指標の状態を反映したものであると決定してもよい。換言すると、ステップS12では、式の値又は変換後の値そのものを、評価対象についての生活習慣病の指標の状態に関する評価結果として扱ってもよい。
評価式の値の取り得る範囲が所定範囲(例えば0.0から1.0までの範囲、0.0から10.0までの範囲、0.0から100.0までの範囲、又は-10.0から10.0までの範囲、など)に収まるように、例えば、評価式の値に対して任意の値を加減乗除したり、また、評価式の値を所定の変換手法(例えば、指数変換、対数変換、角変換、平方根変換、プロビット変換、又は逆数変換など)で変換したり、また、評価式の値に対してこれらの計算を組み合わせて行ったりすることで、評価式の値を変換してもよい。例えば、評価式の値を指数としネイピア数を底とする指数関数の値(具体的には、生活習慣病の指標が所定の状態(例えば、基準値を超えた状態、など)である確率pを定義したときの自然対数ln(p/(1-p))が評価式の値と等しいとした場合におけるp/(1-p)の値)をさらに算出してもよく、また、算出した指数関数の値を1と当該値との和で割った値(具体的には、確率pの値)をさらに算出してもよい。
また、特定の条件のときの変換後の値が特定の値となるように、評価式の値を変換してもよい。例えば、感度が80%のときの変換後の値が4.0となり且つ感度が60%のときの変換後の値が8.0となるように評価式の値を変換してもよい。
なお、本明細書における評価値は、評価式の値そのものであってもよく、評価式の値を変換した後の値であってもよい。
【0078】
また、ステップS12では、モニタ等の表示装置又は紙等の物理媒体に視認可能に示される、生活習慣病の指標の状態を評価するための所定の物差し(例えば、目盛りが示された物差しであって、式の値又は変換後の値の取り得る範囲又は当該範囲の一部分における上限値と下限値に対応する目盛りが少なくとも示されたもの、など)上における、式の値又は変換後の値に対応する所定の目印(例えば、丸印又は星印など)の位置に関する位置情報を、式の値又は当該式の値を変換した場合にはその変換後の値を用いて生成し、生成した位置情報が評価対象についての生活習慣病の指標の状態を反映したものであると決定してもよい。
【0079】
また、ステップS12では、評価対象における生活習慣病の指標の状態の程度を定性的または定量的に評価してもよい。
また、ステップS12では、「アミノ酸の濃度値および予め設定された1つまたは複数の閾値」または「アミノ酸の濃度値、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、および予め設定された1つまたは複数の閾値」を用いて、評価対象を、生活習慣病の指標の状態の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよい。
また、ステップS12では、生活習慣病の指標が連続的な数値で計測可能なものである場合に、アミノ酸の濃度値、および、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、評価対象における生活習慣病の指標の値を推定してもよい。
また、ステップS12では、濃度値又は式の値を所定の手法で変換し、変換後の値を用いて評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類したり、評価対象における生活習慣病の指標の値を推定したりしてもよい。
【0080】
また、ステップS12では、評価対象におけるインスリンの量(例えば、評価対象の血液中に存在するインスリンの量、など)の程度を定性的または定量的に評価してもよい。
また、ステップS12では、「アミノ酸の濃度値および予め設定された1つまたは複数の閾値」または「アミノ酸の濃度値、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、および予め設定した1つまたは複数の閾値」を用いて、評価対象を、インスリンの量の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよい。なお、複数の区分には、インスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が大である対象を属させるための区分、インスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が小である対象を属させるための区分、およびインスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が中である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、インスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が基準値(例えば40μU/mlなど)以上である対象を属させるための区分およびインスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が基準値(例えば40μU/mlなど)以下である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、OGTTの120分時のインスリン値が40μU/ml以上である可能性が高い対象を属させるための区分、前記可能性が低い対象を属させるための区分、および前記可能性が中程度である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、OGTTの120分時のインスリン値が40μU/ml以上である可能性が高い対象を属させるための区分、および、前記可能性が低い対象を属させるための区分が含まれていてもよい。
また、ステップS12では、アミノ酸の濃度値、および、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、評価対象におけるインスリンの量を推定してもよい。
また、ステップS12では、濃度値又は式の値を所定の手法で変換し、変換後の値を用いて、評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類したり、評価対象におけるインスリンの量を推定したりしてもよい。
【0081】
また、ステップS12では、評価対象における内臓脂肪の量(例えば、腹部の体軸断面における脂肪の面積値、など)の程度を評価してもよい。
また、ステップS12では、「アミノ酸の濃度値および予め設定された1つまたは複数の閾値」または「アミノ酸の濃度値、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、および予め設定した1つまたは複数の閾値」を用いて、評価対象を、内臓脂肪の量の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよい。なお、複数の区分には、内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が大である対象を属させるための区分、内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が小である対象を属させるための区分、および内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が中である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が基準値(例えば100cmなど)以上である対象を属させるための区分および内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が基準値(例えば100cmなど)以下である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、内臓脂肪面積値が100cm以上である可能性が高い対象を属させるための区分、前記可能性が低い対象を属させるための区分、および前記可能性が中程度である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、内臓脂肪面積値が100cm以上である可能性が高い対象を属させるための区分、および、前記可能性が低い対象を属させるための区分が含まれていてもよい。
また、ステップS12では、アミノ酸の濃度値、および、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、評価対象における内臓脂肪の量を推定してもよい。
また、ステップS12では、濃度値又は式の値を所定の手法で変換し、変換後の値を用いて、評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類したり、評価対象における内臓脂肪の量を推定したりしてもよい。
なお、分類又は推定を行う際には、評価対象のBMI値や、BMI値が代入される変数をさらに含む式をさらに用いてもよい。
【0082】
また、ステップS12では、脂肪肝である可能性の程度、つまり、評価対象の肝臓が一定量以上の脂肪(例えば、肝臓の重量の5%を超える程度の量の脂肪、肝細胞の30%以上に相当する程度の量の脂肪、または、医師に脂肪肝と判断される程度の量の脂肪、など)を有した状態となっている可能性の程度を評価してもよい。
また、ステップS12では、「アミノ酸の濃度値および予め設定した1つまたは複数の閾値」または「アミノ酸の濃度値、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、および予め設定した1つまたは複数の閾値」を用いて、評価対象を、肝臓が前記状態となっている可能性の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよい。なお、複数の区分には、肝臓が前記状態となっている可能性が高い対象を属させるための区分、肝臓が前記状態となっている可能性が低い対象を属させるための区分、および肝臓が前記状態となっている可能性が中程度である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、肝臓が前記状態となっている可能性が高い対象を属させるための区分、および、肝臓が前記状態となっている可能性が低い対象を属させるための区分が含まれていてもよい。
また、ステップS12では、濃度値又は式の値を所定の手法で変換し、変換後の値を用いて評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよい。
【0083】
また、式は、ロジスティック回帰式、分数式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、および決定木で作成された式のうちのいずれか1つでもよい。
【0084】
また、インスリンの状態を評価する場合に用いる式は式1でもよく、内臓脂肪の状態を評価する場合に用いる式は式2でもよく、脂肪肝の状態を評価する場合に用いる式は式3でもよい。
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Val+e×Tyr+f×Trp+g・・・(式1)
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Val+e×Tyr+f×Trp+g×BMI+h・・・(式2)
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Cit+e×Leu+f×Tyr+g・・・(式3)
式1において、a,b,c,d,e,fはゼロではない任意の実数であり、gは任意の実数である。
式2において、a,b,c,d,e,f,gはゼロではない任意の実数であり、hは任意の実数である。
式3において、a,b,c,d,e,fはゼロではない任意の実数であり、gは任意の実数である。
【0085】
また、ステップS12では、アミノ酸の濃度値、および、式1、式2、および式3のうちのいずれか1つを用いて、メタボリックシンドロームの診断基準項目として定義された複数の項目の中で評価対象が該当している項目の数を評価してもよい。
【0086】
また、ステップS12では、アミノ酸の濃度値、および、式1、式2、および式3のうちのいずれか1つを用いて、評価対象が保有している生活習慣病の数を評価してもよい。
【0087】
また、ステップS12では、アミノ酸の濃度値、および、式1、式2、および式3のうちのいずれか1つを用いて、評価対象が生活習慣病に罹患している可能性の程度を評価してもよい。
【0088】
なお、本明細書に記載の式の他に、本出願人による国際出願である国際公開第2008/016111号、国際公開第2008/075662号、国際公開第2008/075663号、国際公開第2009/099005号、国際公開第2009/154296号、国際公開第2009/154297号に記載の式も評価式としてさらに採用して、生活習慣病の指標の状態を評価することも可能である。
【0089】
ここで、評価式として採用する式を、例えば、本出願人による国際出願である国際公開第2004/052191号に記載の方法又は本出願人による国際出願である国際公開第2006/098192号に記載の方法で作成してもよい。なお、これらの方法で得られた式であれば、入力データとしてのアミノ酸濃度データにおけるアミノ酸濃度値の単位に因らず、当該式を生活習慣病の指標の状態を評価するのに好適に用いることができる。
【0090】
また、評価式として採用する式は、一般に多変量解析で用いられる式の形式を意味するものであり、評価式として採用する式としては、例えば、分数式、重回帰式、多重ロジスティック回帰式、線形判別式、マハラノビス距離、正準判別関数、サポートベクターマシン、決定木、異なる形式の式の和で示されるような式、などが挙げられる。ここで、重回帰式、多重ロジスティック回帰式、正準判別関数などにおいては各変数に係数及び定数項が付加されるが、この係数及び定数項は、好ましくは実数であれば構わず、より好ましくは、データから前記の各種分類を行うために得られた係数及び定数項の99%信頼区間の範囲に属する値であれば構わず、さらに好ましくは、データから前記の各種分類を行うために得られた係数及び定数項の95%信頼区間の範囲に属する値であれば構わない。また、各係数の値、及びその信頼区間は、それを実数倍したものでもよく、定数項の値、及びその信頼区間は、それに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。ロジスティック回帰式、線形判別式、重回帰式などを評価式として用いる場合、線形変換(定数の加算、定数倍)及び単調増加(減少)の変換(例えばlogit変換など)は評価性能を変えるものではなく変換前と同等であるので、これらの変換が行われた後のものを用いてもよい。
【0091】
なお、分数式とは、当該分数式の分子がアミノ酸A,B,C,・・・の和で表わされ及び/又は当該分数式の分母がアミノ酸a,b,c,・・・の和で表わされるものである。また、分数式には、このような構成の分数式α,β,γ,・・・の和(例えばα+βのようなもの)も含まれる。また、分数式には、分割された分数式も含まれる。なお、分子や分母に用いられるアミノ酸にはそれぞれ適当な係数がついても構わない。また、分子や分母に用いられるアミノ酸は重複しても構わない。また、各分数式に適当な係数がついても構わない。また、各変数の係数の値や定数項の値は、実数であれば構わない。ある分数式と、当該分数式において分子の変数と分母の変数が入れ替えられたものとでは、目的変数との相関の正負の符号が概して逆転するものの、それらの相関性は保たれるが故に、評価性能も同等と見做せるので、分数式には、分子の変数と分母の変数が入れ替えられたものも含まれる。
【0092】
そして、第1実施形態では、生活習慣病の指標の状態を評価する際、前記19種のアミノ酸以外のアミノ酸の濃度値をさらに用いても構わない。また、第1実施形態では、生活習慣病の指標の状態を評価する際、アミノ酸の濃度値以外に、他の生体情報に関する値(例えば、以下の1.から4.に挙げられた値など)をさらに用いても構わない。また、第1実施形態では、評価式として採用する式には、前記19種のアミノ酸以外のアミノ酸の濃度値が代入される1つ又は複数の変数がさらに含まれていてもよい。また、第1実施形態では、評価式として採用する式には、アミノ酸の濃度値が代入される変数以外に、他の生体情報に関する値(例えば、以下の1.から4.に挙げられた値など)が代入される1つ又は複数の変数がさらに含まれていてもよい。
1.アミノ酸以外の他の血中の代謝物(アミノ酸代謝物・糖類・脂質等)、タンパク質、ペプチド、ミネラル、ホルモン等の濃度値
2.アルブミン、総蛋白、トリグリセリド、HbA1c、糖化アルブミン、インスリン抵抗性指数、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、アミラーゼ、総ビリルビン、クレアチニン、推算糸球体濾過量(eGFR)、尿酸等の血液検査値
3.超音波エコー、X線、CT、MRI等の画像情報から得られる値
4.年齢、身長、体重、BMI、腹囲、収縮期血圧、拡張期血圧、性別、喫煙情報、食事情報、飲酒情報、運動情報、ストレス情報、睡眠情報、家族の既往歴情報、疾患歴情報(糖尿病等)等の生体指標に関する値
【0093】
また、ステップS11を実行する前に、評価対象に1つ又は複数の物質から成る所望の物質群を投与し、この評価対象から血液を採取しておき、ステップS11で、この評価対象のアミノ酸濃度データを取得する場合、ステップS12で得られた評価結果を用いて、投与した物質群が生活習慣病の指標の状態を改善させるものであるか否かを判定することで、生活習慣病の指標の状態を改善させる物質を探索してもよい。
なお、ステップS11を実行する前に、例えば、ヒトに投与可能な既存の薬物・アミノ酸・食品・サプリメントを適宜組み合わせたもの(例えば、生活習慣病の指標の改善に効果があること知られている薬物(例えば、ゲムシタビン、エルロチニブ、TS-1など)などを適宜組み合わせたもの)を、所定の期間(例えば1日から12ヶ月の範囲)にわたり、所定量ずつ所定の頻度・タイミング(例えば1日3回・食後)で、所定の投与方法(例えば経口投与)により投与してもよい。ここで、投与方法や用量、剤形は、病状に応じて適宜組み合わせてもよい。なお、剤形は、公知の技術に基づいて決めてもよい。また、用量は、特に定めは無いが、例えば有効成分として1ugから100gを含有した形態で与えてもよい。
また、投与した物質群が生活習慣病の指標の状態を改善させるものであるという判定結果が得られた場合には、投与した物質群が生活習慣病の指標の状態を改善させる物質として探索されてもよい。なお、この探索方法によって探索された物質群として、例えば、前記19種のアミノ酸のうちの少なくともGlyおよびTyrのアミノ酸を含むアミノ酸群が挙げられる。
また、前記19種類のアミノ酸のうちの少なくともGlyおよびTyrのアミノ酸を含むアミノ酸群の濃度値や評価式の値を正常化させる物質を、第1実施形態の生活習慣病指標の評価方法や第2実施形態の生活習慣病指標評価装置を用いて選択することができる。
また、生活習慣病の指標の状態を改善させる物質を探索するとは、生活習慣病の指標の改善に有効な新規物質を見出すことのみならず、公知物質の生活習慣病の指標の改善用途を新規に見出すことや、生活習慣病の指標の改善に有効性を期待できる既存の薬剤・サプリメント等を組み合わせた新規組成物を見出すことや、上記した適切な用法・用量・組み合わせを見出し、それをキットとすることや、食事・運動等も含めた予防・治療メニューを提示することや、当該予防・治療メニューの効果をモニタリングし、必要に応じて個人ごとにメニューの変更を提示すること等が含まれる。
【0094】
[1-2.第1実施形態の具体例]
ここでは、第1実施形態の具体例について図2を参照して説明する。図2は、第1実施形態の具体例を説明するためのフローチャートである。
【0095】
まず、動物やヒトなどの個体から採取した血液中のアミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを取得する(ステップSA11)。なお、ステップSA11では、例えば、アミノ酸濃度値測定を行う企業等が測定したアミノ酸濃度データを取得してもよく、また、個体から採取した血液から例えば上述した(A)または(B)などの測定方法でアミノ酸の濃度値を測定することでアミノ酸濃度データを取得してもよい。
【0096】
つぎに、ステップSA11で取得した個体のアミノ酸濃度データから欠損値や外れ値などのデータを除去する(ステップSA12)。
【0097】
つぎに、ステップSA12で欠損値や外れ値などのデータが除去された個体のアミノ酸濃度データを用いて、個体について、OGTTの120分時のインスリン値、内臓脂肪面積値、および、肝臓が一定量以上の脂肪を有する状態となっている可能性の程度を評価する(ステップSA13)。
【0098】
具体的には、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、または、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および式1を用いて、個体のOGTTの120分時のインスリン値を推定する。
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Val+e×Tyr+f×Trp+g・・・(式1)
式1において、a,b,c,d,e,fはゼロではない任意の実数であり、gは任意の実数である。
【0099】
また、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および予め取得した個体のBMI値、または、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、予め取得した個体のBMI値、および式2を用いて、個体の内臓脂肪面積値を推定する。
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Val+e×Tyr+f×Trp+g×BMI+h・・・(式2)
式2において、a,b,c,d,e,f,gはゼロではない任意の実数であり、hは任意の実数である。
【0100】
また、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値、または、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値および式3を用いて、個体を、肝臓が一定量以上の脂肪を有した状態となっている可能性の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類する。なお、複数の区分には、肝臓が前記状態となっている可能性が高い対象を属させるための区分、肝臓が前記状態となっている可能性が低い対象を属させるための区分、および肝臓が前記状態となっている可能性が中程度である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、肝臓が前記状態となっている可能性が高い対象を属させるための区分、および、肝臓が前記状態となっている可能性が低い対象を属させるための区分が含まれていてもよい。
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Cit+e×Leu+f×Tyr+g ・・・(式3)
式3において、a,b,c,d,e,fはゼロではない任意の実数であり、gは任意の実数である。
【0101】
[第2実施形態]
[2-1.第2実施形態の概要]
ここでは、第2実施形態の概要について図3を参照して説明する。図3は第2実施形態の基本原理を示す原理構成図である。
【0102】
制御部は、アミノ酸の濃度値に関する予め取得した評価対象(例えば動物やヒトなどの個体)のアミノ酸濃度データに含まれているGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、および、GlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む予め記憶部に記憶された式を用いて、式の値を算出することで、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価する(ステップS21)。
【0103】
以上、第2実施形態によれば、ステップS21では、評価対象のアミノ酸濃度データに含まれているGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、および、評価式として記憶部に記憶された、GlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、評価式の値を算出することで、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価する。これにより、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。
【0104】
また、ステップS21では、「Gly、Tyr、およびAsnのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、およびAsnのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」、「Gly、Tyr、およびAlaのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、およびAlaのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」、「Gly、Tyr、およびValのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、およびValのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」、または「Gly、Tyr、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」を用いて、式の値を算出することで、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価してもよい。
【0105】
また、ステップS21では、Gly、Tyr、Asn、およびAlaのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、およびAlaのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、評価対象について生活習慣病の指標の状態を評価してもよい。
【0106】
また、ステップS21では、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンのうちの少なくとも1つの状態を評価してもよい。例えば、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、インスリンの状態を評価してもよい。また、「Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」または「Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、予め取得した評価対象のBMI値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および評価対象のBMI値が代入される変数を含む式」を用いて、式の値を算出することで、内臓脂肪の状態を評価してもよい。また、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、脂肪肝の状態を評価してもよい。
【0107】
また、ステップS21では、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンのうちの少なくとも2つの状態を評価してもよい。例えば、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、インスリンおよび内臓脂肪の状態を評価してもよい。
【0108】
また、ステップS21では、脂肪肝、内臓脂肪、およびインスリンの状態を評価してもよい。例えば、(i)Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、インスリンの状態を評価し、(ii)「Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式」または「Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、予め取得した評価対象のBMI値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および評価対象のBMI値が代入される変数を含む式」を用いて、式の値を算出することで、内臓脂肪の状態を評価し、(iii)Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値、および、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、式の値を算出することで、脂肪肝の状態を評価してもよい。
【0109】
また、ステップS21では、算出した式の値が評価対象についての生活習慣病の指標の状態を反映したものであると決定してもよく、さらに、式の値を例えば以下に挙げた手法などで変換し、変換後の値が評価対象についての生活習慣病の指標の状態を反映したものであると決定してもよい。換言すると、ステップS21では、式の値又は変換後の値そのものを、評価対象についての生活習慣病の指標の状態に関する評価結果として扱ってもよい。
評価式の値の取り得る範囲が所定範囲(例えば0.0から1.0までの範囲、0.0から10.0までの範囲、0.0から100.0までの範囲、又は-10.0から10.0までの範囲、など)に収まるように、例えば、評価式の値に対して任意の値を加減乗除したり、また、評価式の値を所定の変換手法(例えば、指数変換、対数変換、角変換、平方根変換、プロビット変換、又は逆数変換など)で変換したり、また、評価式の値に対してこれらの計算を組み合わせて行ったりすることで、評価式の値を変換してもよい。例えば、評価式の値を指数としネイピア数を底とする指数関数の値(具体的には、生活習慣病の指標が所定の状態(例えば、基準値を超えた状態、など)である確率pを定義したときの自然対数ln(p/(1-p))が評価式の値と等しいとした場合におけるp/(1-p)の値)をさらに算出してもよく、また、算出した指数関数の値を1と当該値との和で割った値(具体的には、確率pの値)をさらに算出してもよい。
また、特定の条件のときの変換後の値が特定の値となるように、評価式の値を変換してもよい。例えば、感度が80%のときの変換後の値が4.0となり且つ感度が60%のときの変換後の値が8.0となるように評価式の値を変換してもよい。
なお、本明細書における評価値は、評価式の値そのものであってもよく、評価式の値を変換した後の値であってもよい。
【0110】
また、ステップS21では、モニタ等の表示装置又は紙等の物理媒体に視認可能に示される、生活習慣病の指標の状態を評価するための所定の物差し(例えば、目盛りが示された物差しであって、式の値又は変換後の値の取り得る範囲又は当該範囲の一部分における上限値と下限値に対応する目盛りが少なくとも示されたもの、など)上における、式の値又は変換後の値に対応する所定の目印(例えば、丸印又は星印など)の位置に関する位置情報を、式の値又は当該式の値を変換した場合にはその変換後の値を用いて生成し、生成した位置情報が評価対象についての生活習慣病の指標の状態を反映したものであると決定してもよい。
【0111】
また、ステップS21では、評価対象における生活習慣病の指標の状態の程度を定性的または定量的に評価してもよい。
また、ステップS21では、アミノ酸の濃度値、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、および予め設定された1つまたは複数の閾値を用いて、評価対象を、生活習慣病の指標の状態の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよい。
また、ステップS21では、生活習慣病の指標が連続的な数値で計測可能なものである場合に、アミノ酸の濃度値、および、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、評価対象における生活習慣病の指標の値を推定してもよい。
また、ステップS21では、式の値を所定の手法で変換し、変換後の値を用いて評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類したり、評価対象における生活習慣病の指標の値を推定したりしてもよい。
【0112】
また、ステップS21では、評価対象におけるインスリンの量(例えば、評価対象の血液中に存在するインスリンの量、など)の程度を定性的または定量的に評価してもよい。
また、ステップS21では、アミノ酸の濃度値、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、および予め設定した1つまたは複数の閾値を用いて、評価対象を、インスリンの量の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよい。なお、複数の区分には、インスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が大である対象を属させるための区分、インスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が小である対象を属させるための区分、およびインスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が中である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、インスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が基準値(例えば40μU/mlなど)以上である対象を属させるための区分およびインスリンの量(例えばOGTTの120分時のインスリン値など)が基準値(例えば40μU/mlなど)以下である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、OGTTの120分時のインスリン値が40μU/ml以上である可能性が高い対象を属させるための区分、前記可能性が低い対象を属させるための区分、および前記可能性が中程度である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、OGTTの120分時のインスリン値が40μU/ml以上である可能性が高い対象を属させるための区分、および、前記可能性が低い対象を属させるための区分が含まれていてもよい。
また、ステップS21では、アミノ酸の濃度値、および、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、評価対象におけるインスリンの量を推定してもよい。
また、ステップS21では、式の値を所定の手法で変換し、変換後の値を用いて、評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類したり、評価対象におけるインスリンの量を推定したりしてもよい。
【0113】
また、ステップS21では、評価対象における内臓脂肪の量(例えば、腹部の体軸断面における脂肪の面積値、など)の程度を評価してもよい。
また、ステップS21では、アミノ酸の濃度値、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、および予め設定した1つまたは複数の閾値を用いて、評価対象を、内臓脂肪の量の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよい。なお、複数の区分には、内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が大である対象を属させるための区分、内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が小である対象を属させるための区分、および内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が中である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が基準値(例えば100cmなど)以上である対象を属させるための区分および内臓脂肪の量(例えば内臓脂肪面積値など)が基準値(例えば100cmなど)以下である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、内臓脂肪面積値が100cm以上である可能性が高い対象を属させるための区分、前記可能性が低い対象を属させるための区分、および前記可能性が中程度である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、内臓脂肪面積値が100cm以上である可能性が高い対象を属させるための区分、および、前記可能性が低い対象を属させるための区分が含まれていてもよい。
また、ステップS21では、アミノ酸の濃度値、および、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式を用いて、評価対象における内臓脂肪の量を推定してもよい。
また、ステップS21では、式の値を所定の手法で変換し、変換後の値を用いて、評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類したり、評価対象における内臓脂肪の量を推定したりしてもよい。
なお、分類又は推定を行う際には、評価対象のBMI値や、BMI値が代入される変数をさらに含む式をさらに用いてもよい。
【0114】
また、ステップS21では、脂肪肝である可能性の程度、つまり、評価対象の肝臓が一定量以上の脂肪(例えば、肝臓の重量の5%を超える程度の量の脂肪、肝細胞の30%以上に相当する程度の量の脂肪、または、医師に脂肪肝と判断される程度の量の脂肪、など)を有した状態となっている可能性の程度を評価してもよい。
また、ステップS21では、アミノ酸の濃度値、アミノ酸の濃度値が代入される変数を含む式、および予め設定した1つまたは複数の閾値を用いて、評価対象を、肝臓が前記状態となっている可能性の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよい。なお、複数の区分には、肝臓が前記状態となっている可能性が高い対象を属させるための区分、肝臓が前記状態となっている可能性が低い対象を属させるための区分、および肝臓が前記状態となっている可能性が中程度である対象を属させるための区分が含まれていてもよい。また、複数の区分には、肝臓が前記状態となっている可能性が高い対象を属させるための区分、および、肝臓が前記状態となっている可能性が低い対象を属させるための区分が含まれていてもよい。
また、ステップS21では、式の値を所定の手法で変換し、変換後の値を用いて評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよい。
【0115】
また、式は、ロジスティック回帰式、分数式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、および決定木で作成された式のうちのいずれか1つでもよい。
【0116】
また、インスリンの状態を評価する場合に用いる式は式1でもよく、内臓脂肪の状態を評価する場合に用いる式は式2でもよく、脂肪肝の状態を評価する場合に用いる式は式3でもよい。
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Val+e×Tyr+f×Trp+g・・・(式1)
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Val+e×Tyr+f×Trp+g×BMI+h・・・(式2)
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Cit+e×Leu+f×Tyr+g・・・(式3)
式1において、a,b,c,d,e,fはゼロではない任意の実数であり、gは任意の実数である。
式2において、a,b,c,d,e,f,gはゼロではない任意の実数であり、hは任意の実数である。
式3において、a,b,c,d,e,fはゼロではない任意の実数であり、gは任意の実数である。
【0117】
また、ステップS21では、アミノ酸の濃度値、および、式1、式2、および式3のうちのいずれか1つを用いて、メタボリックシンドロームの診断基準項目として定義された複数の項目の中で評価対象が該当している項目の数を評価してもよい。
【0118】
また、ステップS21では、アミノ酸の濃度値、および、式1、式2、および式3のうちのいずれか1つを用いて、評価対象が保有している生活習慣病の数を評価してもよい。
【0119】
また、ステップS21では、アミノ酸の濃度値、および、式1、式2、および式3のうちのいずれか1つを用いて、評価対象が生活習慣病に罹患している可能性の程度を評価してもよい。
【0120】
なお、本明細書に記載の式の他に、本出願人による国際出願である国際公開第2008/016111号、国際公開第2008/075662号、国際公開第2008/075663号、国際公開第2009/099005号、国際公開第2009/154296号、国際公開第2009/154297号に記載の式も評価式としてさらに採用して、生活習慣病の指標の状態を評価することも可能である。
【0121】
ここで、評価式として採用する式を、例えば、本出願人による国際出願である国際公開第2004/052191号に記載の方法又は本出願人による国際出願である国際公開第2006/098192号に記載の方法で作成してもよい。なお、これらの方法で得られた式であれば、入力データとしてのアミノ酸濃度データにおけるアミノ酸濃度値の単位に因らず、当該式を生活習慣病の指標の状態を評価するのに好適に用いることができる。
【0122】
また、評価式として採用する式は、一般に多変量解析で用いられる式の形式を意味するものであり、評価式として採用する式としては、例えば、分数式、重回帰式、多重ロジスティック回帰式、線形判別式、マハラノビス距離、正準判別関数、サポートベクターマシン、決定木、異なる形式の式の和で示されるような式、などが挙げられる。ここで、重回帰式、多重ロジスティック回帰式、正準判別関数などにおいては各変数に係数及び定数項が付加されるが、この係数及び定数項は、好ましくは実数であれば構わず、より好ましくは、データから前記の各種分類を行うために得られた係数及び定数項の99%信頼区間の範囲に属する値であれば構わず、さらに好ましくは、データから前記の各種分類を行うために得られた係数及び定数項の95%信頼区間の範囲に属する値であれば構わない。また、各係数の値、及びその信頼区間は、それを実数倍したものでもよく、定数項の値、及びその信頼区間は、それに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。ロジスティック回帰式、線形判別式、重回帰式などを評価式として用いる場合、線形変換(定数の加算、定数倍)及び単調増加(減少)の変換(例えばlogit変換など)は評価性能を変えるものではなく変換前と同等であるので、これらの変換が行われた後のものを用いてもよい。
【0123】
なお、分数式とは、当該分数式の分子がアミノ酸A,B,C,・・・の和で表わされ及び/又は当該分数式の分母がアミノ酸a,b,c,・・・の和で表わされるものである。また、分数式には、このような構成の分数式α,β,γ,・・・の和(例えばα+βのようなもの)も含まれる。また、分数式には、分割された分数式も含まれる。なお、分子や分母に用いられるアミノ酸にはそれぞれ適当な係数がついても構わない。また、分子や分母に用いられるアミノ酸は重複しても構わない。また、各分数式に適当な係数がついても構わない。また、各変数の係数の値や定数項の値は、実数であれば構わない。ある分数式と、当該分数式において分子の変数と分母の変数が入れ替えられたものとでは、目的変数との相関の正負の符号が概して逆転するものの、それらの相関性は保たれるが故に、評価性能も同等と見做せるので、分数式には、分子の変数と分母の変数が入れ替えられたものも含まれる。
【0124】
そして、第2実施形態では、生活習慣病の指標の状態を評価する際、前記19種のアミノ酸以外のアミノ酸の濃度値をさらに用いても構わない。また、第2実施形態では、生活習慣病の指標の状態を評価する際、アミノ酸の濃度値以外に、他の生体情報に関する値(例えば、以下の1.から4.に挙げられた値など)をさらに用いても構わない。また、第2実施形態では、評価式として採用する式には、前記19種のアミノ酸以外のアミノ酸の濃度値が代入される1つ又は複数の変数がさらに含まれていてもよい。また、第2実施形態では、評価式として採用する式には、アミノ酸の濃度値が代入される変数以外に、他の生体情報に関する値(例えば、以下の1.から4.に挙げられた値など)が代入される1つ又は複数の変数がさらに含まれていてもよい。
1.アミノ酸以外の他の血中の代謝物(アミノ酸代謝物・糖類・脂質等)、タンパク質、ペプチド、ミネラル、ホルモン等の濃度値
2.アルブミン、総蛋白、トリグリセリド、HbA1c、糖化アルブミン、インスリン抵抗性指数、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、アミラーゼ、総ビリルビン、クレアチニン、推算糸球体濾過量(eGFR)、尿酸等の血液検査値
3.超音波エコー、X線、CT、MRI等の画像情報から得られる値
4.年齢、身長、体重、BMI、腹囲、収縮期血圧、拡張期血圧、性別、喫煙情報、食事情報、飲酒情報、運動情報、ストレス情報、睡眠情報、家族の既往歴情報、疾患歴情報(糖尿病等)等の生体指標に関する値
【0125】
ここで、評価式作成処理(工程1~工程4)の概要について詳細に説明する。なお、ここで説明する処理はあくまでも一例であり、評価式の作成方法はこれに限定されない。
【0126】
まず、制御部は、アミノ酸濃度データと生活習慣病の指標の状態に関する生活習慣病指標データとを含む予め記憶部に記憶された指標状態情報から所定の式作成手法に基づいて、評価式の候補である候補式(例えば、y=a+a+・・・+a、y:生活習慣病指標データ、x:アミノ酸濃度データ、a:定数、i=1,2,・・・,n)を作成する(工程1)。なお、事前に、指標状態情報から欠損値や外れ値などを持つデータを除去してもよい。
【0127】
なお、工程1において、指標状態情報から、複数の異なる式作成手法(主成分分析や判別分析、サポートベクターマシン、重回帰分析、ロジスティック回帰分析、k-means法、クラスター解析、決定木などの多変量解析に関するものを含む。)を併用して複数の候補式を作成してもよい。具体的には、多数の健常群および生活習慣病の指標が所定の状態(例えば、基準値を超えた状態、など)である群から得た血液を分析して得たアミノ酸濃度データおよび生活習慣病指標データから構成される多変量データである指標状態情報に対して、複数の異なるアルゴリズムを利用して複数群の候補式を同時並行的に作成してもよい。例えば、異なるアルゴリズムを利用して判別分析およびロジスティック回帰分析を同時に行い、2つの異なる候補式を作成してもよい。また、主成分分析を行って作成した候補式を利用して指標状態情報を変換し、変換した指標状態情報に対して判別分析を行うことで候補式を作成してもよい。これにより、最終的に、最適な評価式を作成することができる。
【0128】
ここで、主成分分析を用いて作成した候補式は、全てのアミノ酸濃度データの分散を最大にするような各アミノ酸変数を含む一次式である。また、判別分析を用いて作成した候補式は、各群内の分散の和の全てのアミノ酸濃度データの分散に対する比を最小にするような各アミノ酸変数を含む高次式(指数や対数を含む)である。また、サポートベクターマシンを用いて作成した候補式は、群間の境界を最大にするような各アミノ酸変数を含む高次式(カーネル関数を含む)である。また、重回帰分析を用いて作成した候補式は、全てのアミノ酸濃度データからの距離の和を最小にするような各アミノ酸変数を含む高次式である。ロジスティック回帰分析を用いて作成した候補式は、確率の対数オッズを表す線形モデルであり、その確率の尤度を最大にするような各アミノ酸変数を含む一次式である。また、k-means法とは、各アミノ酸濃度データのk個近傍を探索し、近傍点の属する群の中で一番多いものをそのデータの所属群と定義し、入力されたアミノ酸濃度データの属する群と定義された群とが最も合致するようなアミノ酸変数を選択する手法である。また、クラスター解析とは、全てのアミノ酸濃度データの中で最も近い距離にある点同士をクラスタリング(群化)する手法である。また、決定木とは、アミノ酸変数に序列をつけて、序列が上位であるアミノ酸変数の取りうるパターンからアミノ酸濃度データの群を予測する手法である。
【0129】
評価式作成処理の説明に戻り、制御部は、工程1で作成した候補式を、所定の検証手法に基づいて検証(相互検証)する(工程2)。候補式の検証は、工程1で作成した各候補式に対して行う。
【0130】
なお、工程2において、ブートストラップ法やホールドアウト法、N-フォールド法、リーブワンアウト法などのうち少なくとも1つに基づいて候補式の判別率や感度、特異度、情報量基準、ROC_AUC(受信者特性曲線の曲線下面積)などのうち少なくとも1つに関して検証してもよい。これにより、指標状態情報や評価条件を考慮した予測性または頑健性の高い候補式を作成することができる。
【0131】
ここで、判別率とは、本実施形態で評価した生活習慣病の指標の状態が真の状態(例えば、確定診断の結果など)として陰性のものを正しく陰性と評価し、真の状態として陽性 のものを正しく陽性と評価している割合である。また、感度とは、本実施形態で評価した生活習慣病の指標の状態が真の状態として陽性のものを正しく陽性と評価している割合である。また、特異度とは、本実施形態で評価した生活習慣病の指標の状態が真の状態として陰性のものを正しく陰性と評価している割合である。また、赤池情報量規準とは、回帰分析などの場合に,観測データが統計モデルにどの程度一致するかを表す基準であり、「-2×(統計モデルの最大対数尤度)+2×(統計モデルの自由パラメータ数)」で定義される値が最小となるモデルを最もよいと判断する。また、ROC_AUC(受信者特性曲線の曲線下面積)は、2次元座標上に(x,y)=(1-特異度,感度)をプロットして作成される曲線である受信者特性曲線(ROC)の曲線下面積として定義され、ROC_AUCの値は完全な判別では1となり、この値が1に近いほど判別性が高いことを示す。また、予測性とは、候補式の検証を繰り返すことで得られた判別率や感度、特異性を平均したものである。また、頑健性とは、候補式の検証を繰り返すことで得られた判別率や感度、特異性の分散である。
【0132】
評価式作成処理の説明に戻り、制御部は、所定の変数選択手法に基づいて候補式の変数を選択することで、候補式を作成する際に用いる指標状態情報に含まれるアミノ酸濃度データの組み合わせを選択する(工程3)。アミノ酸変数の選択は、工程1で作成した各候補式に対して行ってもよい。これにより、候補式のアミノ酸変数を適切に選択することができる。そして、工程3で選択したアミノ酸濃度データを含む指標状態情報を用いて再び工程1を実行する。
【0133】
なお、工程3において、工程2での検証結果からステップワイズ法、ベストパス法、近傍探索法、遺伝的アルゴリズムのうち少なくとも1つに基づいて候補式のアミノ酸変数を選択してもよい。
【0134】
ここで、ベストパス法とは、候補式に含まれるアミノ酸変数を1つずつ順次減らしていき、候補式が与える評価指標を最適化することでアミノ酸変数を選択する方法である。
【0135】
評価式作成処理の説明に戻り、制御部は、上述した工程1、工程2および工程3を繰り返し実行し、これにより蓄積した検証結果に基づいて、複数の候補式の中から評価式として採用する候補式を選出することで、評価式を作成する(工程4)。なお、候補式の選出には、例えば、同じ式作成手法で作成した候補式の中から最適なものを選出する場合と、すべての候補式の中から最適なものを選出する場合とがある。
【0136】
以上、説明したように、評価式作成処理では、指標状態情報に基づいて、候補式の作成、候補式の検証および候補式の変数の選択に関する処理を一連の流れで体系化(システム化)して実行することにより、生活習慣病の指標の状態の評価に最適な評価式を作成することができる。換言すると、評価式作成処理では、アミノ酸濃度を多変量の統計解析に用い、最適でロバストな変数の組を選択するために変数選択法とクロスバリデーションとを組み合わせて、評価性能の高い評価式を抽出する。評価式としては、ロジスティック回帰、線形判別、サポートベクターマシン、マハラノビス距離法、重回帰分析、クラスター解析、Cox比例ハザードモデルなどを用いることができる。
【0137】
[2-2.第2実施形態の構成]
ここでは、第2実施形態にかかる生活習慣病指標評価システム(以下では本システムと記す場合がある。)の構成について、図4から図19を参照して説明する。なお、本システムはあくまでも一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0138】
まず、本システムの全体構成について図4および図5を参照して説明する。図4は本システムの全体構成の一例を示す図である。また、図5は本システムの全体構成の他の一例を示す図である。本システムは、図4に示すように、評価対象である個体における生活習慣病の指標の状態を評価する生活習慣病指標評価装置100と、アミノ酸の濃度値に関する個体のアミノ酸濃度データを提供するクライアント装置200(本発明の情報通信端末装置に相当)とを、ネットワーク300を介して通信可能に接続して構成されている。
【0139】
なお、本システムは、図5に示すように、生活習慣病指標評価装置100やクライアント装置200の他に、生活習慣病指標評価装置100で評価式を作成する際に用いる指標状態情報や、生活習慣病の指標の状態を評価する際に用いる評価式などを格納したデータベース装置400を、ネットワーク300を介して通信可能に接続して構成されてもよい。これにより、ネットワーク300を介して、生活習慣病指標評価装置100からクライアント装置200やデータベース装置400へ、あるいはクライアント装置200やデータベース装置400から生活習慣病指標評価装置100へ、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となる情報などが提供される。ここで、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となる情報とは、例えば、ヒトを含む生物の生活習慣病の指標の状態に関する特定の項目について測定した値に関する情報などである。また、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となる情報は、生活習慣病指標評価装置100やクライアント装置200や他の装置(例えば各種の計測装置等)で生成され、主にデータベース装置400に蓄積される。
【0140】
つぎに、本システムの生活習慣病指標評価装置100の構成について図6から図17を参照して説明する。図6は、本システムの生活習慣病指標評価装置100の構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。
【0141】
生活習慣病指標評価装置100は、当該生活習慣病指標評価装置を統括的に制御するCPU等の制御部102と、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して当該生活習慣病指標評価装置をネットワーク300に通信可能に接続する通信インターフェース部104と、各種のデータベースやテーブルやファイルなどを格納する記憶部106と、入力装置112や出力装置114に接続する入出力インターフェース部108と、で構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。ここで、生活習慣病指標評価装置100は、各種の分析装置(例えばアミノ酸アナライザー等)と同一筐体で構成されてもよい。
【0142】
記憶部106は、ストレージ手段であり、例えば、RAM・ROM等のメモリ装置や、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等を用いることができる。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。記憶部106は、図示の如く、利用者情報ファイル106aと、アミノ酸濃度データファイル106bと、指標状態情報ファイル106cと、指定指標状態情報ファイル106dと、評価式関連情報データベース106eと、評価結果ファイル106fと、を格納する。
【0143】
利用者情報ファイル106aは、利用者に関する利用者情報を格納する。図7は、利用者情報ファイル106aに格納される情報の一例を示す図である。利用者情報ファイル106aに格納される情報は、図7に示すように、利用者を一意に識別するための利用者IDと、利用者が正当な者であるか否かの認証を行うための利用者パスワードと、利用者の氏名と、利用者の所属する所属先を一意に識別するための所属先IDと、利用者の所属する所属先の部門を一意に識別するための部門IDと、部門名と、利用者の電子メールアドレスと、を相互に関連付けて構成されている。
【0144】
図6に戻り、アミノ酸濃度データファイル106bは、アミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを格納する。図8は、アミノ酸濃度データファイル106bに格納される情報の一例を示す図である。アミノ酸濃度データファイル106bに格納される情報は、図8に示すように、評価対象である個体(サンプル)を一意に識別するための個体番号と、アミノ酸濃度データとを相互に関連付けて構成されている。ここで、図8では、アミノ酸濃度データを数値、すなわち連続尺度として扱っているが、アミノ酸濃度データは名義尺度や順序尺度でもよい。なお、名義尺度や順序尺度の場合は、それぞれの状態に対して任意の数値を与えることで解析してもよい。また、アミノ酸濃度データに、前記19種のアミノ酸以外のアミノ酸の濃度値や、他の生体情報に関する値(例えば、以下の1.から4.に挙げられた値など)を組み合わせてもよい。
1.アミノ酸以外の他の血中の代謝物(アミノ酸代謝物・糖類・脂質等)、タンパク質、ペプチド、ミネラル、ホルモン等の濃度値
2.アルブミン、総蛋白、トリグリセリド、HbA1c、糖化アルブミン、インスリン抵抗性指数、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、アミラーゼ、総ビリルビン、クレアチニン、推算糸球体濾過量(eGFR)、尿酸等の血液検査値
3.超音波エコー、X線、CT、MRI等の画像情報から得られる値
4.年齢、身長、体重、BMI、腹囲、収縮期血圧、拡張期血圧、性別、喫煙情報、食事情報、飲酒情報、運動情報、ストレス情報、睡眠情報、家族の既往歴情報、疾患歴情報(糖尿病等)等の生体指標に関する値
【0145】
図6に戻り、指標状態情報ファイル106cは、評価式を作成する際に用いる指標状態情報を格納する。図9は、指標状態情報ファイル106cに格納される情報の一例を示す図である。指標状態情報ファイル106cに格納される情報は、図9に示すように、個体番号と、生活習慣病の指標(指標T、指標T、指標T・・・)の状態に関する生活習慣病指標データ(T)と、アミノ酸濃度データと、を相互に関連付けて構成されている。ここで、図9では、生活習慣病指標データおよびアミノ酸濃度データを数値(すなわち連続尺度)として扱っているが、生活習慣病指標データおよびアミノ酸濃度データは名義尺度や順序尺度でもよい。なお、名義尺度や順序尺度の場合は、それぞれの状態に対して任意の数値を与えることで解析してもよい。また、生活習慣病指標データは、生活習慣病の既知の指標などであり、数値データを用いてもよい。
【0146】
図6に戻り、指定指標状態情報ファイル106dは、後述する指標状態情報指定部102gで指定した指標状態情報を格納する。図10は、指定指標状態情報ファイル106dに格納される情報の一例を示す図である。指定指標状態情報ファイル106dに格納される情報は、図10に示すように、個体番号と、指定した生活習慣病指標データと、指定したアミノ酸濃度データと、を相互に関連付けて構成されている。
【0147】
図6に戻り、評価式関連情報データベース106eは、後述する候補式作成部102h1で作成した候補式を格納する候補式ファイル106e1と、後述する候補式検証部102h2での検証結果を格納する検証結果ファイル106e2と、後述する変数選択部102h3で選択したアミノ酸濃度データの組み合わせを含む指標状態情報を格納する選択指標状態情報ファイル106e3と、後述する評価式作成部102hで作成した評価式を格納する評価式ファイル106e4と、で構成される。
【0148】
候補式ファイル106e1は、後述する候補式作成部102h1で作成した候補式を格納する。図11は、候補式ファイル106e1に格納される情報の一例を示す図である。候補式ファイル106e1に格納される情報は、図11に示すように、ランクと、候補式(図11では、F(Gly,Leu,Phe,・・・)やF(Gly,Leu,Phe,・・・)、F(Gly,Leu,Phe,・・・)など)とを相互に関連付けて構成されている。
【0149】
図6に戻り、検証結果ファイル106e2は、後述する候補式検証部102h2での検証結果を格納する。図12は、検証結果ファイル106e2に格納される情報の一例を示す図である。検証結果ファイル106e2に格納される情報は、図12に示すように、ランクと、候補式(図12では、F(Gly,Leu,Phe,・・・)やF(Gly,Leu,Phe,・・・)、F(Gly,Leu,Phe,・・・)など)と、各候補式の検証結果(例えば各候補式の評価値)と、を相互に関連付けて構成されている。
【0150】
図6に戻り、選択指標状態情報ファイル106e3は、後述する変数選択部102h3で選択した変数に対応するアミノ酸濃度データの組み合わせを含む指標状態情報を格納する。図13は、選択指標状態情報ファイル106e3に格納される情報の一例を示す図である。選択指標状態情報ファイル106e3に格納される情報は、図13に示すように、個体番号と、後述する指標状態情報指定部102gで指定した生活習慣病指標データと、後述する変数選択部102h3で選択したアミノ酸濃度データと、を相互に関連付けて構成されている。
【0151】
図6に戻り、評価式ファイル106e4は、後述する評価式作成部102hで作成した評価式を格納する。図14は、評価式ファイル106e4に格納される情報の一例を示す図である。評価式ファイル106e4に格納される情報は、図14に示すように、ランクと、評価式(図14では、F(Phe,・・・)やF(Gly,Leu,Phe)、F(Gly,Leu,Phe,・・・)など)と、各式作成手法に対応する閾値と、各評価式の検証結果(例えば各評価式の評価値)と、を相互に関連付けて構成されている。
【0152】
図6に戻り、評価結果ファイル106fは、後述する評価部102iで得られた評価結果を格納する。図15は、評価結果ファイル106fに格納される情報の一例を示す図である。評価結果ファイル106fに格納される情報は、評価対象である個体(サンプル)を一意に識別するための個体番号と、予め取得した個体のアミノ酸濃度データと、生活習慣病の指標の状態に関する評価結果(例えば、後述する算出部102i1で算出した評価式の値、後述する変換部102i2で評価式の値を変換した後の値、後述する生成部102i3で生成した位置情報、又は、後述する分類部102i4で得られた分類結果、など)と、を相互に関連付けて構成されている。
【0153】
図6に戻り、記憶部106には、上述した情報以外にその他情報として、Webサイトをクライアント装置200に提供するための各種のWebデータや、CGIプログラム等が記録されている。Webデータとしては後述する各種のWebページを表示するためのデータ等があり、これらデータは例えばHTMLやXMLで記述されたテキストファイルとして形成されている。また、Webデータを作成するための部品用のファイルや作業用のファイルやその他一時的なファイル等も記憶部106に記憶される。記憶部106には、必要に応じて、クライアント装置200に送信するための音声をWAVE形式やAIFF形式の如き音声ファイルで格納したり、静止画や動画をJPEG形式やMPEG2形式の如き画像ファイルで格納したりすることができる。
【0154】
通信インターフェース部104は、生活習慣病指標評価装置100とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)との間における通信を媒介する。すなわち、通信インターフェース部104は、他の端末と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。
【0155】
入出力インターフェース部108は、入力装置112や出力装置114に接続する。ここで、出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる(なお、以下では、出力装置114をモニタ114として記載する場合がある。)。入力装置112には、キーボードやマウスやマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
【0156】
制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、図示の如く、大別して、要求解釈部102aと閲覧処理部102bと認証処理部102cと電子メール生成部102dとWebページ生成部102eと受信部102fと指標状態情報指定部102gと評価式作成部102hと評価部102iと結果出力部102jと送信部102kとを備えている。制御部102は、データベース装置400から送信された指標状態情報やクライアント装置200から送信されたアミノ酸濃度データに対して、欠損値のあるデータの除去・外れ値の多いデータの除去・欠損値のあるデータの多い変数の除去などのデータ処理も行う。
【0157】
要求解釈部102aは、クライアント装置200やデータベース装置400からの要求内容を解釈し、その解釈結果に応じて制御部102の各部に処理を受け渡す。閲覧処理部102bは、クライアント装置200からの各種画面の閲覧要求を受けて、これら画面のWebデータの生成や送信を行なう。認証処理部102cは、クライアント装置200やデータベース装置400からの認証要求を受けて、認証判断を行う。電子メール生成部102dは、各種の情報を含んだ電子メールを生成する。Webページ生成部102eは、利用者がクライアント装置200で閲覧するWebページを生成する。
【0158】
受信部102fは、クライアント装置200やデータベース装置400から送信された情報(具体的には、アミノ酸濃度データや指標状態情報、評価式など)を、ネットワーク300を介して受信する。指標状態情報指定部102gは、評価式を作成するにあたり、対象とする生活習慣病指標データおよびアミノ酸濃度データを指定する。
【0159】
評価式作成部102hは、受信部102fで受信した指標状態情報や指標状態情報指定部102gで指定した指標状態情報に基づいて評価式を作成する。具体的には、評価式作成部102hは、指標状態情報から、候補式作成部102h1、候補式検証部102h2および変数選択部102h3を繰り返し実行させることにより蓄積された検証結果に基づいて、複数の候補式の中から評価式として採用する候補式を選出することで、評価式を作成する。
【0160】
なお、評価式が予め記憶部106の所定の記憶領域に格納されている場合には、評価式作成部102hは、記憶部106から所望の評価式を選択することで、評価式を作成してもよい。また、評価式作成部102hは、評価式を予め格納した他のコンピュータ装置(例えばデータベース装置400)から所望の評価式を選択しダウンロードすることで、評価式を作成してもよい。
【0161】
ここで、評価式作成部102hの構成について図16を参照して説明する。図16は、評価式作成部102hの構成を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。評価式作成部102hは、候補式作成部102h1と、候補式検証部102h2と、変数選択部102h3と、をさらに備えている。候補式作成部102h1は、指標状態情報から所定の式作成手法に基づいて評価式の候補である候補式を作成する。なお、候補式作成部102h1は、指標状態情報から、複数の異なる式作成手法を併用して複数の候補式を作成してもよい。候補式検証部102h2は、候補式作成部102h1で作成した候補式を所定の検証手法に基づいて検証する。なお、候補式検証部102h2は、ブートストラップ法、ホールドアウト法、N-フォールド法、リーブワンアウト法のうち少なくとも1つに基づいて候補式の判別率、感度、特異度、情報量基準、ROC_AUC(受信者特性曲線の曲線下面積)のうち少なくとも1つに関して検証してもよい。変数選択部102h3は、所定の変数選択手法に基づいて候補式の変数を選択することで、候補式を作成する際に用いる指標状態情報に含まれるアミノ酸濃度データの組み合わせを選択する。なお、変数選択部102h3は、検証結果からステップワイズ法、ベストパス法、近傍探索法、遺伝的アルゴリズムのうち少なくとも1つに基づいて候補式の変数を選択してもよい。
【0162】
図6に戻り、評価部102iは、事前に得られた式(例えば、評価式作成部102hで作成した評価式、又は、受信部102fで受信した評価式など)、及び、受信部102fで受信した個体のアミノ酸濃度データを用いて、評価式の値を算出することで、個体について生活習慣病の指標の状態を評価する。
【0163】
ここで、評価部102iの構成について図17を参照して説明する。図17は、評価部102iの構成を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。評価部102iは、算出部102i1と、変換部102i2と、生成部102i3と、分類部102i4と、をさらに備えている。
【0164】
算出部102i1は、少なくともGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、および、少なくともGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む評価式を用いて、評価式の値を算出する。なお、評価部102iは、算出部102i1で算出した評価式の値を評価結果として評価結果ファイル106fの所定の記憶領域に格納してもよい。また、評価式は、ロジスティック回帰式、分数式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、および決定木で作成された式のうちのいずれか1つでもよい。また、生活習慣病の指標が連続的な数値で計測可能なものである場合、評価部102iは、算出部102i1で算出した評価式の値を、当該指標の推定値としてもよい。
【0165】
変換部102i2は、算出部102i1で算出した評価式の値を例えば上述した変換手法などで変換する。なお、評価部102iは、変換部102i2で変換した後の値を評価結果として評価結果ファイル106fの所定の記憶領域に格納してもよい。また、生活習慣病の指標が連続的な数値で計測可能なものである場合、評価部102iは、変換部102i2で変換した後の値を、当該指標の推定値としてもよい。
【0166】
生成部102i3は、モニタ等の表示装置又は紙等の物理媒体に視認可能に示される、生活習慣病の指標の状態を評価するための所定の物差し(例えば、目盛りが示された物差しであって、式の値又は変換後の値の取り得る範囲又は当該範囲の一部分における上限値と下限値に対応する目盛りが少なくとも示されたもの、など)上における、式の値又は変換後の値に対応する所定の目印(例えば、丸印又は星印など)の位置に関する位置情報を、算出部102i1で算出した式の値又は変換部102i2で変換した後の値を用いて生成する。なお、評価部102iは、生成部102i3で生成した位置情報を評価結果として評価結果ファイル106fの所定の記憶領域に格納してもよい。
【0167】
分類部102i4は、算出部102i1で算出した評価式の値又は変換部102i2で変換した後の値を用いて、個体を、生活習慣病の指標の状態の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類する。
【0168】
図6に戻り、結果出力部102jは、制御部102の各処理部での処理結果(評価部102iで得られた評価結果を含む)等を出力装置114に出力する。
【0169】
送信部102kは、個体のアミノ酸濃度データの送信元のクライアント装置200に対して評価結果を送信したり、データベース装置400に対して、生活習慣病指標評価装置100で作成した評価式や評価結果を送信したりする。
【0170】
つぎに、本システムのクライアント装置200の構成について図18を参照して説明する。図18は、本システムのクライアント装置200の構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。
【0171】
クライアント装置200は、制御部210とROM220とHD230とRAM240と入力装置250と出力装置260と入出力IF270と通信IF280とで構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0172】
制御部210は、Webブラウザ211、電子メーラ212、受信部213、送信部214を備えている。Webブラウザ211は、Webデータを解釈し、解釈したWebデータを後述するモニタ261に表示するブラウズ処理を行う。なお、Webブラウザ211には、ストリーム映像の受信・表示・フィードバック等を行う機能を備えたストリームプレイヤ等の各種のソフトウェアをプラグインしてもよい。電子メーラ212は、所定の通信規約(例えば、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)やPOP3(Post Office Protocol version 3)等)に従って電子メールの送受信を行う。受信部213は、通信IF280を介して、生活習慣病指標評価装置100から送信された評価結果などの各種情報を受信する。送信部214は、通信IF280を介して、個体のアミノ酸濃度データなどの各種情報を生活習慣病指標評価装置100へ送信する。
【0173】
入力装置250はキーボードやマウスやマイク等である。なお、後述するモニタ261もマウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。出力装置260は、通信IF280を介して受信した情報を出力する出力手段であり、モニタ(家庭用テレビを含む)261およびプリンタ262を含む。この他、出力装置260にスピーカ等を設けてもよい。入出力IF270は入力装置250や出力装置260に接続する。
【0174】
通信IF280は、クライアント装置200とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)とを通信可能に接続する。換言すると、クライアント装置200は、モデムやTAやルータなどの通信装置および電話回線を介して、または専用線を介してネットワーク300に接続される。これにより、クライアント装置200は、所定の通信規約に従って生活習慣病指標評価装置100にアクセスすることができる。
【0175】
ここで、プリンタ・モニタ・イメージスキャナ等の周辺装置を必要に応じて接続した情報処理装置(例えば、既知のパーソナルコンピュータ・ワークステーション・家庭用ゲーム装置・インターネットTV・PHS端末・携帯端末・移動体通信端末・PDA等の情報処理端末など)に、Webデータのブラウジング機能や電子メール機能を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより、クライアント装置200を実現してもよい。
【0176】
また、クライアント装置200の制御部210は、制御部210で行う処理の全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈して実行するプログラムで実現してもよい。ROM220またはHD230には、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。当該コンピュータプログラムは、RAM240にロードされることで実行され、CPUと協働して制御部210を構成する。また、当該コンピュータプログラムは、クライアント装置200と任意のネットワークを介して接続されるアプリケーションプログラムサーバに記録されてもよく、クライアント装置200は、必要に応じてその全部または一部をダウンロードしてもよい。また、制御部210で行う処理の全部または任意の一部を、ワイヤードロジック等によるハードウェアで実現してもよい。
【0177】
ここで、制御部210は、生活習慣病指標評価装置100の制御部102に備えられている評価部102iが有する機能と同様の機能を有する評価部210a(算出部210a1、変換部210a2、生成部210a3、及び分類部210a4を含む)を備えていてもよい。そして、制御部210に評価部210aが備えられている場合には、評価部210aは、生活習慣病指標癌評価装置100から送信された評価結果に含まれている情報に応じて、変換部210a2で式の値を変換したり、生成部210a3で式の値又は変換後の値に対応する位置情報を生成したり、分類部210a4で式の値又は変換後の値を用いて個体を複数の区分のうちのどれか1つに分類したりしてもよい。
【0178】
つぎに、本システムのネットワーク300について図4図5を参照して説明する。ネットワーク300は、生活習慣病指標評価装置100とクライアント装置200とデータベース装置400とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやイントラネットやLAN(有線/無線の双方を含む)等である。なお、ネットワーク300は、VANや、パソコン通信網や、公衆電話網(アナログ/デジタルの双方を含む)や、専用回線網(アナログ/デジタルの双方を含む)や、CATV網や、携帯回線交換網または携帯パケット交換網(IMT2000方式、GSM(登録商標)方式またはPDC/PDC-P方式等を含む)や、無線呼出網や、Bluetooth(登録商標)等の局所無線網や、PHS網や、衛星通信網(CS、BSまたはISDB等を含む)等でもよい。
【0179】
つぎに、本システムのデータベース装置400の構成について図19を参照して説明する。図19は、本システムのデータベース装置400の構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。
【0180】
データベース装置400は、生活習慣病指標評価装置100または当該データベース装置で評価式を作成する際に用いる指標状態情報や、生活習慣病指標評価装置100で作成した評価式、生活習慣病指標評価装置100での評価結果などを格納する機能を有する。図19に示すように、データベース装置400は、当該データベース装置を統括的に制御するCPU等の制御部402と、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回路を介して当該データベース装置をネットワーク300に通信可能に接続する通信インターフェース部404と、各種のデータベースやテーブルやファイル(例えばWebページ用ファイル)などを格納する記憶部406と、入力装置412や出力装置414に接続する入出力インターフェース部408と、で構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0181】
記憶部406は、ストレージ手段であり、例えば、RAM・ROM等のメモリ装置や、ハードディスクのような固定ディスク装置や、フレキシブルディスクや、光ディスク等を用いることができる。記憶部406には、各種処理に用いる各種プログラム等を格納する。通信インターフェース部404は、データベース装置400とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)との間における通信を媒介する。すなわち、通信インターフェース部404は、他の端末と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。入出力インターフェース部408は、入力装置412や出力装置414に接続する。ここで、出力装置414には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる(なお、以下で、出力装置414をモニタ414として記載する場合がある。)。また、入力装置412には、キーボードやマウスやマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
【0182】
制御部402は、OS(Operating System)等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部402は、図示の如く、大別して、要求解釈部402aと閲覧処理部402bと認証処理部402cと電子メール生成部402dとWebページ生成部402eと送信部402fとを備えている。
【0183】
要求解釈部402aは、生活習慣病指標評価装置100からの要求内容を解釈し、その解釈結果に応じて制御部402の各部に処理を受け渡す。閲覧処理部402bは、生活習慣病指標評価装置100からの各種画面の閲覧要求を受けて、これら画面のWebデータの生成や送信を行う。認証処理部402cは、生活習慣病指標評価装置100からの認証要求を受けて、認証判断を行う。電子メール生成部402dは、各種の情報を含んだ電子メールを生成する。Webページ生成部402eは、利用者がクライアント装置200で閲覧するWebページを生成する。送信部402fは、指標状態情報や評価式などの各種情報を、生活習慣病指標評価装置100へ送信する。
【0184】
[2-3.第2実施形態の具体例]
ここでは、第2実施形態の具体例について図20を参照して説明する。図20は、第2実施形態にかかる生活習慣病指標評価サービス処理の一例を示すフローチャートである。
【0185】
なお、本処理で用いるアミノ酸濃度データは、例えば動物やヒトなどの個体から予め採取した血液(例えば血漿、血清などを含む)を、以下の(A)または(B)などの測定方法で専門業者が分析又は独自に分析して得たアミノ酸の濃度値に関するものである。ここで、アミノ酸の濃度値の単位は、例えばモル濃度や重量濃度、これらの濃度に任意の定数を加減乗除することで得られるものでもよい。
(A)採取した血液サンプルを遠心することにより血液から血漿を分離した。全ての血漿サンプルは、アミノ酸濃度値の測定時まで-80℃で凍結保存した。アミノ酸濃度値測定時には、アセトニトリルを添加し除蛋白処理を行った後、標識試薬(3-アミノピリジル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート)を用いてプレカラム誘導体化を行い、そして、液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)によりアミノ酸の濃度値を分析した(国際公開第2003/069328号、国際公開第2005/116629号を参照)。
(B)採取した血液サンプルを遠心することにより血液から血漿を分離した。全ての血漿サンプルは、アミノ酸濃度値の測定時まで-80℃で凍結保存した。アミノ酸濃度値測定時には、スルホサリチル酸を添加し除蛋白処理を行った後、ニンヒドリン試薬を用いたポストカラム誘導体化法を原理としたアミノ酸分析計によりアミノ酸の濃度値を分析した。
【0186】
まず、Webブラウザ211を表示した画面上で利用者が入力装置250を介して生活習慣病指標評価装置100が提供するWebサイトのアドレス(URLなど)を指定すると、クライアント装置200は生活習慣病指標評価装置100へアクセスする。具体的には、利用者がクライアント装置200のWebブラウザ211の画面更新を指示すると、Webブラウザ211は、生活習慣病指標評価装置100が提供するWebサイトのアドレスを所定の通信規約で生活習慣病指標評価装置100へ送信することで、アミノ酸濃度データ送信画面(BMI値の送信を含む)に対応するWebページの送信要求を、当該アドレスに基づくルーティングで生活習慣病指標評価装置100へ行う。
【0187】
つぎに、生活習慣病指標評価装置100は、要求解釈部102aで、クライアント装置200からの送信を受け、当該送信の内容を解析し、解析結果に応じて制御部102の各部に処理を移す。具体的には、送信の内容がアミノ酸濃度データ送信画面に対応するWebページの送信要求であった場合、生活習慣病指標評価装置100は、主として閲覧処理部102bで、記憶部106の所定の記憶領域に格納されている当該Webページを表示するためのWebデータを取得し、取得したWebデータをクライアント装置200へ送信する。より具体的には、利用者からアミノ酸濃度データ送信画面に対応するWebページの送信要求があった場合、生活習慣病指標評価装置100は、まず、制御部102で、利用者IDや利用者パスワードの入力を利用者に対して求める。そして、利用者IDやパスワードが入力されると、生活習慣病指標評価装置100は、認証処理部102cで、入力された利用者IDやパスワードと利用者情報ファイル106aに格納されている利用者IDや利用者パスワードとの認証判断を行う。そして、生活習慣病指標評価装置100は、認証可の場合にのみ、閲覧処理部102bで、アミノ酸濃度データ送信画面に対応するWebページを表示するためのWebデータをクライアント装置200へ送信する。なお、クライアント装置200の特定は、クライアント装置200から送信要求と共に送信されたIPアドレスで行う。
【0188】
つぎに、クライアント装置200は、生活習慣病指標評価装置100から送信されたWebデータ(アミノ酸濃度データ送信画面に対応するWebページを表示するためのもの)を受信部213で受信し、受信したWebデータをWebブラウザ211で解釈し、モニタ261にアミノ酸濃度データ送信画面を表示する。
【0189】
つぎに、モニタ261に表示されたアミノ酸濃度データ送信画面に対し利用者が入力装置250を介して個体のアミノ酸濃度データおよびBMI値などを入力・選択すると、クライアント装置200は、送信部214で、入力情報や選択事項を特定するための識別子を生活習慣病指標評価装置100へ送信することで、個体のアミノ酸濃度データおよびBMI値を生活習慣病指標評価装置100へ送信する(ステップSA21)。なお、ステップSA21におけるアミノ酸濃度データの送信は、FTP等の既存のファイル転送技術等により実現してもよい。
【0190】
つぎに、生活習慣病指標評価装置100は、要求解釈部102aで、クライアント装置200から送信された識別子を解釈することによりクライアント装置200の要求内容を解釈し、評価式の送信要求をデータベース装置400へ行う。
【0191】
つぎに、データベース装置400は、要求解釈部402aで、生活習慣病指標評価装置100からの送信要求を解釈し、記憶部406の所定の記憶領域に格納した評価式(例えばアップデートされた最新のもの)を生活習慣病指標評価装置100へ送信する(ステップSA22)。具体的には、ステップSA22では、1つまたは複数の評価式(例えば、ロジスティック回帰式、分数式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、決定木で作成された式のいずれか1つ)を生活習慣病指標評価装置100へ送信する。なお、ステップSA22では、OGTTの120分時のインスリン値を推定するための式1、内臓脂肪面積値を推定するための式2、および肝臓が一定量以上の脂肪を有する状態となっている可能性の程度を評価するための式3を送信したものとする。
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Val+e×Tyr+f×Trp+g・・・(式1)
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Val+e×Tyr+f×Trp+g×BMI+h・・・(式2)
×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Cit+e×Leu+f×Tyr+g・・・(式3)
式1において、a,b,c,d,e,fはゼロではない任意の実数であり、gは任意の実数である。
式2において、a,b,c,d,e,f,gはゼロではない任意の実数であり、hは任意の実数である。
式3において、a,b,c,d,e,fはゼロではない任意の実数であり、gは任意の実数である。
【0192】
つぎに、生活習慣病指標評価装置100は、受信部102fで、クライアント装置200から送信された個体のアミノ酸濃度データおよびBMI値、および、データベース装置400から送信された評価式を受信し、受信したアミノ酸濃度データおよびBMI値をアミノ酸濃度データファイル106bの所定の記憶領域に格納すると共に、受信した評価式を評価式ファイル106e4の所定の記憶領域に格納する(ステップSA23)。
【0193】
つぎに、生活習慣病指標評価装置100は、制御部102で、ステップSA23で受信した個体のアミノ酸濃度データから欠損値や外れ値などのデータを除去する(ステップSA24)。
【0194】
つぎに、評価部102iは、算出部102i1で、ステップSA24で欠損値や外れ値などのデータが除去された個体のアミノ酸濃度データおよびBMI値、および、ステップSA23で受信した式1、式2、および式3を用いて、評価式の値を算出する(ステップSA25)。
【0195】
具体的には、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値および式1を用いて、式1の値を算出する。
また、Gly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値、個体のBMI値、および式2を用いて、式2の値を算出する。
また、Gly、Tyr、Asn、Ala、Cit、およびLeuのアミノ酸の濃度値および式3を用いて、式3の値を算出する。
【0196】
つぎに、評価部102iは、ステップSA25で算出した式1の値を用いて、個体のOGTTの120分時のインスリン値を推定したり、ステップSA25で算出した式2の値を用いて、個体の内臓脂肪面積値を推定したり、分類部102i4で、ステップSA25で算出した評価式の値(評価値)及び予め設定された閾値を用いて、個体を、肝臓が一定量以上の脂肪を有する状態となっている可能性の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分のうちのどれか1つに分類したりし、そして、得られた推定結果および分類結果を含む評価結果を評価結果ファイル106fの所定の記憶領域に格納する(ステップSA26)。
【0197】
図20の説明に戻り、生活習慣病指標評価装置100は、送信部102kで、ステップSA26で得た評価結果を、アミノ酸濃度データの送信元のクライアント装置200とデータベース装置400とへ送信する(ステップSA27)。具体的には、まず、生活習慣病指標評価装置100は、Webページ生成部102eで、評価結果を表示するためのWebページを作成し、作成したWebページに対応するWebデータを記憶部106の所定の記憶領域に格納する。ついで、利用者がクライアント装置200のWebブラウザ211に入力装置250を介して所定のURLを入力し上述した認証を経た後、クライアント装置200は、当該Webページの閲覧要求を生活習慣病指標評価装置100へ送信する。ついで、生活習慣病指標評価装置100は、閲覧処理部102bで、クライアント装置200から送信された閲覧要求を解釈し、評価結果を表示するためのWebページに対応するWebデータを記憶部106の所定の記憶領域から読み出す。そして、生活習慣病指標評価装置100は、送信部102kで、読み出したWebデータをクライアント装置200へ送信すると共に、当該Webデータ又は評価結果をデータベース装置400へ送信する。
【0198】
ここで、ステップSA27において、生活習慣病指標評価装置100は、制御部102で、評価結果を電子メールで利用者のクライアント装置200へ通知してもよい。具体的には、まず、生活習慣病指標評価装置100は、電子メール生成部102dで、利用者IDなどを基にして利用者情報ファイル106aに格納されている利用者情報を送信タイミングに従って参照し、利用者の電子メールアドレスを取得する。ついで、生活習慣病指標評価装置100は、電子メール生成部102dで、取得した電子メールアドレスを宛て先とし利用者の氏名および評価結果を含む電子メールに関するデータを生成する。ついで、生活習慣病指標評価装置100は、送信部102kで、生成した当該データを利用者のクライアント装置200へ送信する。
【0199】
また、ステップSA27において、生活習慣病指標評価装置100は、FTP等の既存のファイル転送技術等で、評価結果を利用者のクライアント装置200へ送信してもよい。
【0200】
図20の説明に戻り、データベース装置400は、制御部402で、生活習慣病指標評価装置100から送信された評価結果またはWebデータを受信し、受信した評価結果またはWebデータを記憶部406の所定の記憶領域に保存(蓄積)する(ステップSA28)。
【0201】
また、クライアント装置200は、受信部213で、生活習慣病指標評価装置100から送信されたWebデータを受信し、受信したWebデータをWebブラウザ211で解釈し、個体の評価結果が記されたWebページの画面をモニタ261に表示する(ステップSA29)。なお、評価結果が生活習慣病指標評価装置100から電子メールで送信された場合には、クライアント装置200は、電子メーラ212の公知の機能で、生活習慣病指標評価装置100から送信された電子メールを任意のタイミングで受信し、受信した電子メールをモニタ261に表示する。
【0202】
以上により、利用者は、モニタ261に表示されたWebページを閲覧することで、評価結果を確認することができる。なお、利用者は、モニタ261に表示されたWebページの表示内容をプリンタ262で印刷してもよい。
【0203】
また、評価結果が生活習慣病指標評価装置100から電子メールで送信された場合には、利用者は、モニタ261に表示された電子メールを閲覧することで、評価結果を確認することができる。利用者は、モニタ261に表示された電子メールの表示内容をプリンタ262で印刷してもよい。
【0204】
以上、詳細に説明したように、クライアント装置200は個体のアミノ酸濃度データ(BMI値を含む)を生活習慣病指標評価装置100へ送信し、データベース装置400は生活習慣病指標評価装置100からの要求を受けて、評価式(式1、式2、および式3)を生活習慣病指標評価装置100へ送信する。そして、生活習慣病指標評価装置100は、(i)クライアント装置200からアミノ酸濃度データを受信すると共にデータベース装置400から評価式を受信し、(ii)受信したアミノ酸濃度データ及び評価式を用いて評価値を算出し、(iii)算出した評価値を用いて、個体のOGTTの120分時のインスリン値および内臓脂肪面積値を推定したり、算出した評価値および閾値を用いて、個体を脂肪肝に関する複数の区分のうちのどれか1つに分類したり、(iv)得られた評価結果をクライアント装置200やデータベース装置400へ送信する。そして、クライアント装置200は生活習慣病指標評価装置100から送信された評価結果を受信して表示し、データベース装置400は生活習慣病指標評価装置100から送信された評価結果を受信して格納する。
【0205】
これにて、生活習慣病指標評価サービス処理の説明を終了する。
【0206】
なお、本説明では、生活習慣病指標評価装置100が、アミノ酸濃度データの受信から、評価式の値の算出、インスリン値および内臓脂肪面積値の推定、個体の区分への分類、そして評価結果の送信までを実行し、クライアント装置200が評価結果の受信を実行するケースを例として挙げたが、クライアント装置200に評価部210aが備えられている場合は、生活習慣病指標評価装置100は評価式の値の算出を実行すれば十分であり、例えば評価式の値の変換、位置情報の生成、インスリン値および内臓脂肪面積値の推定、及び、個体の区分への分類などは、生活習慣病指標評価装置100とクライアント装置200とで適宜分担して実行してもよい。
例えば、クライアント装置200は、生活習慣病指標評価装置100から式の値を受信した場合には、評価部210aは、変換部210a2で式の値を変換したり、式の値又は変換後の値を用いてインスリン値および内臓脂肪面積値を推定したり、生成部210a3で式の値又は変換後の値に対応する位置情報を生成したり、分類部210a4で式の値又は変換後の値を用いて個体を脂肪肝に関する複数の区分のうちのどれか1つに分類したりしてもよい。
また、クライアント装置200は、生活習慣病指標評価装置100から変換後の値を受信した場合には、評価部210aは、変換後の値を用いてインスリン値および内臓脂肪面積値を推定したり、生成部210a3で変換後の値に対応する位置情報を生成したり、分類部210a4で変換後の値を用いて個体を脂肪肝に関する複数の区分のうちのどれか1つに分類したりしてもよい。
また、クライアント装置200は、生活習慣病指標評価装置100から式の値又は変換後の値と位置情報とを受信した場合には、評価部210aは、式の値又は変換後の値を用いてインスリン値および内臓脂肪面積値を推定したり、分類部210a4で式の値又は変換後の値を用いて個体を脂肪肝に関する複数の区分のうちのどれか1つに分類したりしてもよい。
【0207】
[2-4.他の実施形態]
本発明にかかる生活習慣病指標評価装置、生活習慣病指標評価方法、生活習慣病指標評価プログラム、生活習慣病指標評価システム、および情報通信端末装置は、上述した第2実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0208】
また、第2実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0209】
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0210】
また、生活習慣病指標評価装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0211】
例えば、生活習慣病指標評価装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、情報処理装置に本発明にかかる生活習慣病指標評価方法を実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて生活習慣病指標評価装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDDなどの記憶部106などには、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0212】
また、このコンピュータプログラムは、生活習慣病指標評価装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0213】
また、本発明にかかる生活習慣病指標評価プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM(登録商標)、CD-ROM、MO、DVD、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0214】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0215】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0216】
また、生活習慣病指標評価装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、生活習慣病指標評価装置100は、当該情報処理装置に本発明の生活習慣病指標評価方法を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0217】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【0218】
最後に、生活習慣病指標評価装置100で行う評価式作成処理の一例について図21を参照して詳細に説明する。なお、ここで説明する処理はあくまでも一例であり、評価式の作成方法はこれに限定されない。図21は評価式作成処理の一例を示すフローチャートである。なお、当該評価式作成処理は、指標状態情報を管理するデータベース装置400で行ってもよい。
【0219】
なお、本説明では、生活習慣病指標評価装置100は、データベース装置400から事前に取得した指標状態情報を、指標状態情報ファイル106cの所定の記憶領域に格納しているものとする。また、生活習慣病指標評価装置100は、指標状態情報指定部102gで事前に指定した生活習慣病指標データおよびアミノ酸濃度データ(前記19種のアミノ酸の濃度値を含むもの)を含む指標状態情報を、指定指標状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納しているものとする。
【0220】
まず、評価式作成部102hは、候補式作成部102h1で、指定指標状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納されている指標状態情報から所定の式作成手法に基づいて候補式を作成し、作成した候補式を候補式ファイル106e1の所定の記憶領域に格納する(ステップSB21)。具体的には、まず、評価式作成部102hは、候補式作成部102h1で、複数の異なる式作成手法(主成分分析や判別分析、サポートベクターマシン、重回帰分析、ロジスティック回帰分析、k-means法、クラスター解析、決定木などの多変量解析に関するものを含む。)の中から所望のものを1つ選択し、選択した式作成手法に基づいて、作成する候補式の形(式の形)を決定する。つぎに、評価式作成部102hは、候補式作成部102h1で、指標状態情報に基づいて、選択した式選択手法に対応する種々(例えば平均や分散など)の計算を実行する。つぎに、評価式作成部102hは、候補式作成部102h1で、計算結果および決定した候補式のパラメータを決定する。これにより、選択した式作成手法に基づいて候補式が作成される。なお、複数の異なる式作成手法を併用して候補式を同時並行(並列)的に作成する場合は、選択した式作成手法ごとに上記の処理を並行して実行すればよい。また、複数の異なる式作成手法を併用して候補式を直列的に作成する場合は、例えば、主成分分析を行って作成した候補式を利用して指標状態情報を変換し、変換した指標状態情報に対して判別分析を行うことで候補式を作成してもよい。
【0221】
つぎに、評価式作成部102hは、候補式検証部102h2で、ステップSB21で作成した候補式を所定の検証手法に基づいて検証(相互検証)し、検証結果を検証結果ファイル106e2の所定の記憶領域に格納する(ステップSB22)。具体的には、評価式作成部102hは、候補式検証部102h2で、指定指標状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納されている指標状態情報に基づいて候補式を検証する際に用いる検証用データを作成し、作成した検証用データに基づいて候補式を検証する。なお、ステップSB21で複数の異なる式作成手法を併用して候補式を複数作成した場合には、評価式作成部102hは、候補式検証部102h2で、各式作成手法に対応する候補式ごとに所定の検証手法に基づいて検証する。ここで、ステップSB22において、ブートストラップ法やホールドアウト法、N-フォールド法、リーブワンアウト法などのうち少なくとも1つに基づいて候補式の判別率や感度、特異度、情報量基準、ROC_AUC(受信者特性曲線の曲線下面積)などのうち少なくとも1つに関して検証してもよい。これにより、指標状態情報や評価条件を考慮した予測性または頑健性の高い候補式を選択することができる。
【0222】
つぎに、評価式作成部102hは、変数選択部102h3で、所定の変数選択手法に基づいて、候補式の変数を選択することで、候補式を作成する際に用いる指標状態情報に含まれるアミノ酸濃度データの組み合わせを選択し、選択したアミノ酸濃度データの組み合わせを含む指標状態情報を選択指標状態情報ファイル106e3の所定の記憶領域に格納する(ステップSB23)。なお、ステップSB21で複数の異なる式作成手法を併用して候補式を複数作成し、ステップSB22で各式作成手法に対応する候補式ごとに所定の検証手法に基づいて検証した場合には、ステップSB23において、評価式作成部102hは、変数選択部102h3で、候補式ごとに所定の変数選択手法に基づいて候補式の変数を選択してもよい。ここで、ステップSB23において、検証結果からステップワイズ法、ベストパス法、近傍探索法、遺伝的アルゴリズムのうち少なくとも1つに基づいて候補式の変数を選択してもよい。なお、ベストパス法とは、候補式に含まれる変数を1つずつ順次減らしていき、候補式が与える評価指標を最適化することで変数を選択する方法である。また、ステップSB23において、評価式作成部102hは、変数選択部102h3で、指定指標状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納されている指標状態情報に基づいてアミノ酸濃度データの組み合わせを選択してもよい。
【0223】
つぎに、評価式作成部102hは、指定指標状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納されている指標状態情報に含まれるアミノ酸濃度データの全ての組み合わせが終了したか否かを判定し、判定結果が「終了」であった場合(ステップSB24:Yes)には次のステップ(ステップSB25)へ進み、判定結果が「終了」でなかった場合(ステップSB24:No)にはステップSB21へ戻る。なお、評価式作成部102hは、予め設定した回数が終了したか否かを判定し、判定結果が「終了」であった場合には(ステップSB24:Yes)次のステップ(ステップSB25)へ進み、判定結果が「終了」でなかった場合(ステップSB24:No)にはステップSB21へ戻ってもよい。また、評価式作成部102hは、ステップSB23で選択したアミノ酸濃度データの組み合わせが、指定指標状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納されている指標状態情報に含まれるアミノ酸濃度データの組み合わせまたは前回のステップSB23で選択したアミノ酸濃度データの組み合わせと同じであるか否かを判定し、判定結果が「同じ」であった場合(ステップSB24:Yes)には次のステップ(ステップSB25)へ進み、判定結果が「同じ」でなかった場合(ステップSB24:No)にはステップSB21へ戻ってもよい。また、評価式作成部102hは、検証結果が具体的には各候補式に関する評価値である場合には、当該評価値と各式作成手法に対応する所定の閾値との比較結果に基づいて、ステップSB25へ進むかステップSB21へ戻るかを判定してもよい。
【0224】
つぎに、評価式作成部102hは、検証結果に基づいて、複数の候補式の中から評価式として採用する候補式を選出することで評価式を決定し、決定した評価式(選出した候補式)を評価式ファイル106e4の所定の記憶領域に格納する(ステップSB25)。ここで、ステップSB25において、例えば、同じ式作成手法で作成した候補式の中から最適なものを選出する場合と、すべての候補式の中から最適なものを選出する場合とがある。
【0225】
これにて、評価式作成処理の説明を終了する。
【実施例1】
【0226】
人間ドックで採取された受診者の血液サンプルと、人間ドックで行われた腹部CT画像診断において計測された受診者の内臓脂肪面積値とを取得した(計865人)。血液サンプルから、前述のアミノ酸分析法を用いて、19種のアミノ酸(Ala,Arg,Asn,Cit,Gln,Gly,His,Ile,Leu,Lys,Met,Orn,Phe,Pro,Ser,Thr,Trp,Tyr,Val)の血中濃度値(nmol/ml)を測定した。
【0227】
図22には、内臓脂肪面積値と各アミノ酸の濃度値との相関係数、及び、内臓脂肪面積値が基準値(100cm)以上であるか否かの判別(分類)における各アミノ酸の判別能を評価する際の指標となるROC_AUC(受信者特性曲線(ROC)の曲線下面積値)が示されている。
【0228】
帰無仮説を「母相関係数=0」とした場合の検定で、相関係数が有意(p値が0.05未満)であったアミノ酸は、Thr,Ser,Pro,Gly,Ala,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lysであった。ノンパラメトリックの仮定の下で帰無仮説を「ROC_AUC=0.5」とした場合の検定でROC_AUCが有意(p値が0.05未満)であったアミノ酸は、Ser,Pro,Gly,Ala,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lysであった。
【0229】
人間ドックで採取された受診者の血液サンプルと、人間ドックで測定された受診者のインスリン抵抗性指数(HOMA-R。空腹時の血糖値(mg/dl)と血中インスリン濃度(μU/ml)を掛けて405で割った値)、OGTT(経口糖負荷試験)の120分時の血糖値、及びOGTTの120分時のインスリン値とを取得した(計1160人)。血液サンプルから、前述のアミノ酸分析法を用いて、上記19種のアミノ酸の血中濃度値(nmol/ml)を測定した。
【0230】
図23には、インスリン抵抗性指数、OGTTの120分時の血糖値、及びOGTTの120分時のインスリン値と、各アミノ酸の濃度値との相関係数が示されている。
【0231】
帰無仮説を「母相関係数=0」とした場合の検定で、インスリン抵抗性指数との相関係数が有意(p値が0.05未満)であったアミノ酸は、Ser,Asn,Pro,Gly,Ala,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Trp,Orn,Lysであった。帰無仮説を「母相関係数=0」とした場合の検定で、OGTTの120分時の血糖値との相関係数が有意(p値が0.05未満)であったアミノ酸は、Pro,Gly,Ala,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Trp,Orn,Lysであった。帰無仮説を「母相関係数=0」とした場合の検定で、OGTTの120分時のインスリン値との相関係数が有意(p値が0.05未満)であったアミノ酸は、Ser,Asn,Pro,Gly,Ala,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Trp,Orn,Lysであった。
【0232】
人間ドックで採取された受診者の血液サンプルと、人間ドックで行われた超音波検査による脂肪肝についての診断結果(脂肪肝である(964人)又は脂肪肝ではない(3196人)という診断結果)とを取得した(計4160人)。血液サンプルから、前述のアミノ酸分析法を用いて、上記19種のアミノ酸の血中濃度値(nmol/ml)を測定した。
【0233】
図24には、脂肪肝と診断された者であるか否かの判別における各アミノ酸の判別能を評価する際の指標となるROC_AUCが示されている。
【0234】
ノンパラメトリックの仮定の下で帰無仮説を「ROC_AUC=0.5」とした場合の検定でROC_AUCが有意(p値が0.05未満)であったアミノ酸は、Thr,Ser,Pro,Gly,Ala,Cit,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argであった。
【実施例2】
【0235】
人間ドックで採取された受診者の血液サンプルと、人間ドックで測定された受診者のOGTTの120分時の血糖値を取得した(計650人)。人間ドックで採取された受診者の血液サンプルと、人間ドックで行われた腹部CT画像診断において計測された受診者の内臓脂肪面積値とを取得した(計650人)。人間ドックで採取された受診者の血液サンプルと、人間ドックで行われた超音波検査による脂肪肝についての診断結果(脂肪肝である(465名)又は脂肪肝ではない(1535人)という診断結果)とを取得した(計2000人)。変数網羅法を用いて上記19種のアミノ酸から2個以上且つ6個以下のアミノ酸を選択し、そして、選択されたアミノ酸を変数として含む、「OGTTの120分時のインスリン値と相関する重回帰式」、「内臓脂肪面積値と相関する重回帰式」、及び「脂肪肝であるか否かを判別するためのロジスティック回帰式」を探索した。なお、内臓脂肪面積値と相関する重回帰式については、選択されたアミノ酸の他にBMIも変数として含めた。
【0236】
図25には、探索された式のうちのOGTTの120分時のインスリン値との適合度が高い上位1000個の式における上記19種のアミノ酸の出現回数と、探索された式のうちの内臓脂肪面積値との適合度が高い上位1000個の式における上記19種のアミノ酸の出現回数と、探索された式のうちの脂肪肝であるか否かとの適合度が高い上位1000個の式における上記19個のアミノ酸の出現回数と、が示されている。
【0237】
OGTTの120分時のインスリン値と相関する、相関係数が高い上位1000個の重回帰式において、Gly、Ala、Val、Tyrのアミノ酸が変数として500回以上出現した。内臓脂肪面積値と相関する、相関係数が高い上位1000個の重回帰式において、Gly、Val、Tyr、Trpのアミノ酸とBMIが変数として500回以上出現した。脂肪肝であるか否かを判別するための、ROC_AUCが上位1000個のロジスティック回帰式において、Asn、Gly、Ala、Tyrのアミノ酸が変数として500回以上出現した。特に、GlyとTyrのアミノ酸は、いずれの式においても、500回以上出現する変数であることが判明した。
【実施例3】
【0238】
実施例2で用いたサンプルデータを用いた。図26には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrを含む2個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含む重回帰式の、内臓脂肪面積値についての相関係数の範囲が示されている。図27には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとAsnを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含む重回帰式の、内臓脂肪面積値についての相関係数の範囲が示されている。図28には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとAlaを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含む重回帰式の、内臓脂肪面積値についての相関係数の範囲が示されている。図29には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとValを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含む重回帰式の、内臓脂肪面積値についての相関係数の範囲が示されている。図30には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとTrpを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含む重回帰式の、内臓脂肪面積値についての相関係数の範囲が示されている。図31には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとAsnとAlaを含む4個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含む重回帰式の、内臓脂肪面積値についての相関係数の範囲が示されている。
【0239】
1つのアミノ酸を変数として用いた場合よりも実施例2で出現回数が多いことが判明した複数のアミノ酸を変数として用いた重回帰式の方が、相関係数が高く、故に内臓脂肪面積値の状態の評価に有用であることが判明した。
【実施例4】
【0240】
実施例2で用いたサンプルデータを用いた。図32には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrを含む2個以上且つ6個以下のアミノ酸」とBMIを変数として含む重回帰式の、内臓脂肪面積値についての相関係数の範囲が示されている。図33には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとAsnを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」とBMIを変数として含む重回帰式の、内臓脂肪面積値についての相関係数の範囲が示されている。図34には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとAlaを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」とBMIを変数として含む重回帰式の、内臓脂肪面積値についての相関係数の範囲が示されている。図35には、上記19個のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとValを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」とBMIを変数として含む重回帰式の、内臓脂肪面積値についての相関係数の範囲が示されている。図36には、上記19個のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとTrpを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」とBMIを変数として含む重回帰式の、内臓脂肪面積値についての相関係数の範囲が示されている。図37には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとAsnとAlaを含む4個以上且つ6個以下のアミノ酸」とBMIを変数として含む重回帰式の、内臓脂肪面積値についての相関係数の範囲が示されている。
【0241】
1つのアミノ酸を変数として用いた場合よりも実施例2で出現回数が多いことが判明した複数のアミノ酸とBMIを変数として用いた重回帰式の方が、相関係数が高く、故に内臓脂肪面積値の状態の評価に有用であることが判明した。
【実施例5】
【0242】
実施例2で用いたサンプルデータを用いた。図38には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrを含む2個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含む重回帰式の、OGTTの120分時のインスリン値についての相関係数の範囲が示されている。図39には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとAsnを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含む重回帰式の、OGTTの120分時のインスリン値についての相関係数の範囲が示されている。図40には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとAlaを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含む重回帰式の、OGTTの120分時のインスリン値についての相関係数の範囲が示されている。図41には、上記19個のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとValを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含む重回帰式の、OGTTの120分時のインスリン値についての相関係数の範囲が示されている。図42には、上記19個のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとTrpを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含む重回帰式の、OGTTの120分時のインスリン値についての相関係数の範囲が示されている。図43には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとAsnとAlaを含む4個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含む重回帰式の、OGTTの120分時のインスリン値についての相関係数の範囲が示されている。
【0243】
1つのアミノ酸を変数として用いた場合よりも実施例2で出現回数が多いことが判明した複数のアミノ酸を変数として用いた重回帰式の方が、相関係数が高く、故にOGTTの120分時のインスリン値の状態の評価に有用であることが判明した。
【実施例6】
【0244】
実施例2で用いたサンプルデータを用いた。図44には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrを含む2個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含むロジスティック回帰式の、脂肪肝であるか否かの判別に関する判別能を評価する際の指標となるROC_AUCの範囲が示されている。図45には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとAsnを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含むロジスティック回帰式の、脂肪肝であるか否かの判別に関する判別能を評価する際の指標となるROC_AUCの範囲が示されている。図46には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとAlaを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含むロジスティック回帰式の、脂肪肝であるか否かの判別に関する判別能を評価する際の指標となるROC_AUCの範囲が示されている。図47には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとValを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含むロジスティック回帰式の、脂肪肝であるか否かの判別に関する判別能を評価する際の指標となるROC_AUCの範囲が示されている。図48には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとTrpを含む3個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含むロジスティック回帰式の、脂肪肝であるか否かの判別に関する判別能を評価する際の指標となるROC_AUCの範囲が示されている。図49には、上記19種のアミノ酸から変数網羅法を用いて選択された「GlyとTyrとAsnとAlaを含む4個以上且つ6個以下のアミノ酸」を変数として含むロジスティック回帰式の、脂肪肝であるか否かの判別に関する判別能を評価する際の指標となるROC_AUCの範囲が示されている。
【0245】
1つのアミノ酸を変数として用いた場合よりも実施例2で出現回数が多いことが判明した複数のアミノ酸を変数として用いたロジスティック回帰式の方が、相関係数が高く、故に脂肪肝であるか否かの判別に有用であることが判明した。
【実施例7】
【0246】
実施例2で用いたサンプルデータを用いた。「GlyとTyrとAsnとAlaの4つのアミノ酸」と、上記19種のアミノ酸から当該4つのアミノ酸を除いた15種のアミノ酸から、変数網羅法を用いて、OGTTの120分時のインスリン値についての相関の観点で選択された「2つのアミノ酸」とを変数として含み、且つ、共変量(年齢)の尤度比検定におけるp値が0.05より大きい複数の重回帰式から、自由度調整済み決定係数が最も高い重回帰式を選んだ結果、下記指標式1が選ばれた。「GlyとTyrとAsnとAlaの4つのアミノ酸」と、「BMI」と、上記15種のアミノ酸から、変数網羅法を用いて、内臓脂肪面積値についての相関の観点で選択された「2つのアミノ酸」とを変数として含み、且つ、共変量(年齢)の尤度比検定におけるp値が0.05より大きい複数の重回帰式から、自由度調整済み決定係数が最も高い重回帰式を選んだ結果、下記指標式2が選ばれた。「GlyとTyrとAsnとAlaの4つのアミノ酸」と、上記15種のアミノ酸から、変数網羅法を用いて、脂肪肝であるか否かを判別する観点で選択された「2つのアミノ酸」とを変数として含み、且つ、共変量(年齢)の尤度比検定におけるp値が0.05より大きい複数のロジスティック回帰式から、赤池情報量規準が最も低いロジスティック回帰式を選んだ結果、下記指標式3が選ばれた。
指標式1:「a×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Val+e×Tyr+f×Trp+g
指標式2:「a×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Val+e×Tyr+f×Trp+g×BMI+h
指標式3:「a×Asn+b×Gly+c×Ala+d×Cit+e×Leu+f×Tyr+g
※指標式1において、a,b,c,d,e,fはゼロではない実数であり、gは実数である。
※指標式2において、a,b,c,d,e,f,gはゼロではない実数であり、hは実数である。
※指標式3において、a,b,c,d,e,fはゼロではない実数であり、gは実数である。
【0247】
OGTTの120分時のインスリン値と指標式1との相関係数は0.46であり、内臓脂肪面積値と指標式2との相関係数は0.74であり、脂肪肝と非脂肪肝の判別における指標式3の判別能を評価する際の指標となるROC_AUCは0.84であった。これにより、指標式1,2,3が評価能の高い有用な指標であることが判明した。なお、指標式1,2,3における各係数の値は、それを実数倍したものでもよく、また、指標式1,2,3における定数項の値は、それに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。
【実施例8】
【0248】
実施例1で用いたサンプルデータを用いた。図50には、指標式1,2,3の値と、内臓脂肪面積値、インスリン抵抗性指数、OGTTの120分時の血糖値、及びOGTTの120分時のインスリン値との相関係数が示されている。各相関係数は、帰無仮説を「母相関係数=0」とした場合の検定で有意(p値が0.05未満)であった。図51には、内臓脂肪面積値が基準値(100cm)以上であるか否かの判別に関する指標式1,2,3の判別能を評価する際の指標となるROC_AUCと、OGTTの120分時のインスリン値が基準値(40μU/ml)以上であるか否かの判別に関する指標式1,2,3の判別能を評価する際の指標となるROC_AUCと、脂肪肝であるか否かの判別に関する指標式1,2,3の判別能を評価する際の指標となるROC_AUCと、が示されている。指標式1,2,3の各ROC_AUCは、ノンパラメトリックの仮定の下で帰無仮説を「ROC_AUC=0.5」とした場合の検定で有意(p値が0.05未満)であった。
【0249】
これより、指標式1,2,3で、生活習慣病の指標として挙げられる「内臓脂肪面積、インスリン、及び脂肪肝」のうちのいずれか1つの状態だけでなく、内臓脂肪面積、インスリン、及び脂肪肝のうちのいずれか2つ又は全ての状態も評価できることが判明した。
【実施例9】
【0250】
実施例1で用いたサンプルデータを用いた。インスリン抵抗性指数、OGTTの120分時の血糖値、及びOGTTの120分時のインスリン値を取得された受診者(メタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数が0個:361人、1個:335人、2個:272人、3個:158人、4個:34人。計1160人。)について、指標式1の値とメタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数との相関解析を実施した。内臓脂肪面積値を取得された受診者(メタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数が0個:255人、1個:244人、2個:220人、3個:119人、4個:27人。計865人。)について、指標式2の値とメタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数との相関解析を実施した。脂肪肝についての診断結果を取得された受診者(メタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数が0個:1617人、1個:1162人、2個:831人、3個:436人、4個:114人。計4160人。)について、指標式3の値とメタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数との相関解析を実施した。メタボリックシンドロームの診断基準項目は下記項目1から4であり、診断基準は「下記項目1に該当する場合において、さらに下記項目2から4のうちの少なくとも2つに該当するときに、メタボリックシンドロームと診断される」というものである。
項目1:「ウエストが、男性の場合で85cm以上、女性の場合で90cm以上である」(内臓脂肪面積値が100cm以上になっていることの目安)又は「BMIが25以上である」
項目2:「中性脂肪(トリグリセライド)が150mg/dl以上である」及び/又は「HDLコレステロールが40mg/dl未満である」
項目3:「収縮期血圧が130mmHg以上である」及び/又は「拡張期血圧が85mmHg以上である」
項目4:「空腹時血糖が110mg/dl以上である」
【0251】
図52には、指標式1,2,3の値とメタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数との相関係数が示されている。各相関係数は、帰無仮説を「母相関係数=0」とした場合の検定で有意(p値が0.05未満)であった。
【0252】
図53図54、及び図55に示されているように、メタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数が増加するにつれて指標式1,2,3の値も段階的に高くなり、しかも、各該当数での指標式1,2,3の値はKruskal-Wallis検定及びDunns検定で有意であった。
【0253】
これより、指標式1,2,3で、メタボリックシンドロームの診断基準項目の該当数を評価できることが判明した。
【実施例10】
【0254】
実施例1で用いたサンプルデータを用いた。インスリン抵抗性指数、OGTTの120分時の血糖値、及びOGTTの120分時のインスリン値を取得された受診者(生活習慣病の重積数が0個:368人、1個:430人、2個:263人、3個:77人、4個:22人。計1160人。)について、指標式1の値と生活習慣病の重積数(生活習慣病に該当する疾患を保有している数)との相関解析を実施した。内臓脂肪面積値を取得された受診者(生活習慣病の重積数が0個:266人、1個:318人、2個:205人、3個:58人、4個:18人。計865人。)について、指標式2の値と生活習慣病の重積数との相関解析を実施した。脂肪肝についての診断結果を取得された受診者(生活習慣病の重積数が0個:1527人、1個:1503人、2個:827人、3個:255人、4個:48人。計4160人。)について、指標式3の値と生活習慣病の重積数との相関解析を実施した。本実施例10では、生活習慣病に該当する疾患として、慢性腎症、高尿酸血症、高血圧症、脂質異常症、及び糖代謝異常症の5つを考慮した。ここで、慢性腎症の診断基準は、「推算糸球体濾過量(eGFR)が60未満である場合に、慢性腎症と診断される」というものである。高尿酸血症の診断基準は、「尿酸値が7mg/dL以上である場合に、高尿酸血症と診断される」というものである。高血圧症の診断基準は、「収縮期血圧が140mmHg以上である又は拡張期血圧が90mmHg以上である場合に、高血圧症と診断される」というものである。脂質異常症の診断基準は、「トリグリセライド(TG)が150mg/dL以上である、HDLコレステロールが40mg/dL未満である、又はLDLコレステロールが140mg/dL以上である場合に、脂質異常症と診断される」というものである。糖代謝異常症の診断基準は、「空腹時血糖が126mg/dL以上である又はHbA1c(JDS)が6.1%以上である場合に、糖代謝異常症と診断される」というものである。
【0255】
図56図57、及び図58に示されているように、生活習慣病の重積数が増加するにつれて指標式1,2,3の値も段階的に高くなり、しかも、各重積数での指標式1,2,3の値はKruskal-Wallis検定及びDunns検定で有意であった。
【0256】
これより、指標式1,2,3で、生活習慣病を保有している数を評価できることが判明した。
【実施例11】
【0257】
実施例1で用いたサンプルデータを用いた。インスリン抵抗性指数、OGTTの120分時の血糖値、及びOGTTの120分時のインスリン値を取得された受診者(糖尿病であるとの確定診断を受けた受診者の数は143人、境界型糖尿病:256人、慢性腎症:142人、細小動脈硬化症:68人、脳卒中:25人、心筋梗塞:8人)について、下記1.から6.に示す判別に関する指標式1の判別能を、ROC_AUCで評価した。
内臓脂肪面積値を取得された受診者(糖尿病であるとの確定診断を受けた受診者の数は135人、境界型糖尿病:187人、慢性腎症:126人、細小動脈硬化症:67人、脳卒中:23人、心筋梗塞:8人)について、下記1.から6.に示す判別に関する指標式2の判別能を、ROC_AUCで評価した。
脂肪肝についての診断結果を取得された受診者(糖尿病であるとの確定診断を受けた受診者の数は394人、境界型糖尿病:243人、慢性腎症:452人、細小動脈硬化症:201人、脳卒中:64人、心筋梗塞:16人)について、下記1.から6.に示す判別に関する指標式3の判別能を、ROC_AUCで評価した。
1.糖尿病であるとの確定診断を受けたか否かの判別
2.境界型糖尿病である(具体的には、耐糖能異常(75gOGTT120分時の血糖値が140mg/dl以上且つ199mg/dl以下である)及び/又は空腹時血糖異常(空腹時血糖値が110mg/dl以上且つ125mg/dl以下である)を有する)との確定診断を受けたか否かの判別
3.慢性腎症であるとの確定診断を受けたか否かの判別
4.細小動脈硬化症であるとの確定診断を受けたか否かの判別
5.脳卒中であるとの確定診断を受けたか否かの判別
6.心筋梗塞であるとの確定診断を受けたか否かの判別
【0258】
図59には、糖尿病、境界型糖尿病、慢性腎症、細小動脈硬化症、脳卒中、及び心筋梗塞のそれぞれの判別に関する指標式1,2,3の判別能を評価する際の指標となるROC_AUCが示されている。指標式1については、糖尿病、境界型糖尿病、慢性腎症、細小動脈硬化症、及び脳卒中の各判別でのROC_AUCが、ノンパラメトリックの仮定の下で帰無仮説を「ROC_AUC=0.5」とした場合の検定で有意(p値が0.05未満)であった。指標式2については、糖尿病、境界型糖尿病、及び慢性腎症の各判別でのROC_AUCが、ノンパラメトリックの仮定の下で帰無仮説を「ROC_AUC=0.5」とした場合の検定で有意(p値が0.05未満)であった。指標式3については、糖尿病及び境界型糖尿病の各判別でのROC_AUCが、ノンパラメトリックの仮定の下で帰無仮説を「ROC_AUC=0.5」とした場合の検定で有意(p値が0.05未満)であった。
【0259】
これより、指標式1,2,3で、内臓脂肪面積、インスリン、及び脂肪肝といった、生活習慣病の指標の状態だけでなく、糖尿病、境界型糖尿病、慢性腎症、細小動脈硬化症、脳卒中、及び心筋梗塞といった生活習慣病の状態も評価できることが判明した。
【実施例12】
【0260】
実施例1で用いたサンプルデータのうち人間ドックを5年連続で受診した者(2996人)を対象とした。対象となった受診者から、下記1.から15.に示す疾患イベントごとに、初年時点で疾患イベントを発生していない受診者を抽出した。疾患イベントごとに、抽出した受診者のサンプルデータを用いて指標式1,2,3の値を算出した。疾患イベントごと及び指標式1,2,3ごとに、算出された値の昇順に五分位(「1st Quintile」、「2nd Quintile」、「3rd Quintile」、「4th Quintile」、及び「5th Quintile」と5分割した階級)を定義した。疾患イベントごと、指標式1,2,3ごと、及び、分位ごとに、疾患イベント発生率(絶対リスク及び相対リスク)を人年法により計算し、計算された値を比較した。なお、疾患イベント発生の有無は、下記の診断基準に基づいて判断した。
疾患イベント発生率(「絶対リスク」)=疾患イベント発生総数/観察年数総和(「人年」)
相対リスク=「n-th Quintile」の疾患イベント発生率/「1st Quintile」の疾患イベント発生率
【0261】
1.インスリン抵抗性あり
※インスリン抵抗性指数であるHOMA-Rが2.5以上である場合、インスリン抵抗性ありと診断される。
2.高血圧
※収縮期血圧が130mmHg以上である及び/又は拡張期血圧が85mmHg以上である場合、高血圧と診断される。
3.高血圧症
※収縮期血圧が140mmHg以上である又は拡張期血圧が90mmHg以上である場合に、高血圧症と診断される。
4.脂肪肝
※腹部超音波検査にて肝腎コントラスト比より脂肪肝の所見が観察された場合に、脂肪肝と診断される。
5.高リスク脂肪肝
※脂肪肝と診断され且つAST(GOT)が38U/Lより高値である場合に、高リスク脂肪肝と診断される。
【0262】
6.糖尿病
※下記項目1~3のいずれかと項目4が確認された場合に、糖尿病と診断される。
項目1:早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上
項目2:75gOGTT120分時の血糖値が200mg/dL以上
項目3:随時血糖値が200mg/dL以上
項目4:HbA1C(JDS値)が6.1%以上[HbA1C(国際標準値)が6.5%以上]
7.耐糖能異常
※75gOGTT120分時の血糖値が140mg/dl以上且つ199mg/dl以下である場合に、耐糖能異常と診断される。
8.肥満
※「ウエストが、男性の場合で85cm以上、女性の場合で90cm以上である」(内臓脂肪面積値が100cm以上になっていることの目安)又は「BMIが25以上である」場合に、肥満と診断される。
9.高度肥満
※BMIが30以上である場合に、高度肥満と診断される。
10.脂質異常症
※「トリグリセライド(TG)が150mg/dL以上である、HDLコレステロールが40mg/dL未満である、又はLDLコレステロールが140mg/dL以上である」場合に、脂質異常症と診断される。
【0263】
11.慢性腎症
※推算糸球体濾過量(eGFR)が60未満である場合に、慢性腎症と診断される。
12.動脈硬化症
※動脈硬化ドックにて硬化の所見が観察された場合、動脈硬化症と診断される。
13.脳梗塞
※頭部MRI,MRA検査により脳梗塞の所見が観察された場合、脳梗塞と診断される。
14.心疾患リスクあり
※ミネソタコードが正常範囲外の場合、心疾患リスクありと診断される。
15.メタボリックシンドローム
※下記項目1に該当する場合において、さらに下記項目2から4のうちの少なくとも2つに該当するときに、メタボリックシンドロームと診断される。
項目1:「ウエストが、男性の場合で85cm以上、女性の場合で90cm以上である」(内臓脂肪面積値が100cm以上になっていることの目安)又は「BMIが25以上である」
項目2:「中性脂肪(トリグリセライド)が150mg/dl以上である」及び/又は「HDLコレステロールが40mg/dl未満である」
項目3:「収縮期血圧が130mmHg以上である」及び/又は「拡張期血圧が85mmHg以上である」
項目4:空腹時血糖が110mg/dl以上である。
【0264】
図60図74には、初年時点で疾患イベントを発生していない受診者数(「人数」)、観察年数総和(「人年」)、疾患イベント発生数(「イベント数」)、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、及び、相対リスクの95%信頼区間の下限が示されている。なお、図60図74において、「*」は、相対リスクの計算値が有意なものであることを示している。また、図68及び図74において、「-」は、「1st Quintile」のイベント数が0であるため相対リスクの計算値がないことを示している。ただし、図68では、指標式2の「1st Quintile」の絶対リスクに対して、指標式2の「5th Quintile」の絶対リスクが有意であった。また、図74では、指標式2の「1st Quintile」の絶対リスクに対して、指標式2の「2nd Quintile」、「3rd Quintile」、「4th Quintile」、及び「5th Quintile」の絶対リスクが有意であった。
【0265】
これより、指標式1,2,3で、上記1.から15.に示す疾患イベントの将来発症リスクを評価できることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0266】
以上のように、本発明にかかる生活習慣病指標の評価方法などは、産業上の多くの分野、特に医薬品や食品、医療などの分野で広く実施することができ、特に生活習慣病の指標の状態の評価などにおいて極めて有用である。
【符号の説明】
【0267】
100 生活習慣病指標評価装置
102 制御部
102a 要求解釈部
102b 閲覧処理部
102c 認証処理部
102d 電子メール生成部
102e Webページ生成部
102f 受信部
102g 指標状態情報指定部
102h 評価式作成部
102h1 候補式作成部
102h2 候補式検証部
102h3 変数選択部
102i 評価部
102i1 算出部
102i2 変換部
102i3 生成部
102i4 分類部
102j 結果出力部
102k 送信部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 利用者情報ファイル
106b アミノ酸濃度データファイル
106c 指標状態情報ファイル
106d 指定指標状態情報ファイル
106e 評価式関連情報データベース
106e1 候補式ファイル
106e2 検証結果ファイル
106e3 選択指標状態情報ファイル
106e4 評価式ファイル
106f 評価結果ファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 クライアント装置(情報通信端末装置)
300 ネットワーク
400 データベース装置
図1
図2
図3
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図6
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図56
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図60
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