(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】水素供給システム
(51)【国際特許分類】
F17C 5/06 20060101AFI20230912BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20230912BHJP
F17C 13/02 20060101ALI20230912BHJP
B60L 50/70 20190101ALI20230912BHJP
B60S 5/02 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
F17C5/06
H01M8/00 Z
F17C13/02 301Z
B60L50/70
B60S5/02
(21)【出願番号】P 2022125242
(22)【出願日】2022-08-05
(62)【分割の表示】P 2018158167の分割
【原出願日】2018-08-27
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高岩 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山川 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】水谷 英司
(72)【発明者】
【氏名】馬屋原 健司
(72)【発明者】
【氏名】小澤 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂幸
【審査官】岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-095020(JP,A)
【文献】特開2016-183768(JP,A)
【文献】特表2007-512479(JP,A)
【文献】特開2017-45309(JP,A)
【文献】特開2010-32053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 5/06
H01M 8/00
F17C 13/02
B60L 50/70
B60S 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素供給システムであって、
線路の近傍に設置され、燃料電池を電力源として駆動される移動体に水素の供給が行われる水素ステーションと、
水素タンクを有し、前記線路を走行して前記水素ステーションに水素を運搬する列車と、
移動体に水素の充填を行う水素ステーションおよび時間を表す予約情報の入力を受け付ける入力装置を備える端末装置と、
前記端末装置と通信可能であり前記端末装置から前記予約情報を受信する受信部、および、受信した前記予約情報を予約データベースに記録する記録部、を有する予約サーバと、
前記予約データベースに記録された前記予約情報を表示する表示装置と、
を備え
、
前記列車は、前記水素ステーションにおいて前記移動体に水素を供給するディスペンサを備え、
前記予約サーバの前記記録部は、前記列車が前記水素ステーションに停車する時間帯に対応する予約情報を前記予約データベースに記録する、水素供給システム。
【請求項2】
水素供給システムであって、
線路の近傍に設置され、燃料電池を電力源として駆動される移動体に水素の供給が行われる水素ステーションと、
水素タンクを有し、前記線路を走行して前記水素ステーションに水素を運搬する列車と、
移動体に水素の充填を行う水素ステーションおよび時間を表す予約情報の入力を受け付ける入力装置を備える端末装置と、
前記端末装置と通信可能であり前記端末装置から前記予約情報を受信する受信部、および、受信した前記予約情報を予約データベースに記録する記録部、を有する予約サーバと、
前記予約データベースに記録された前記予約情報を表示する表示装置と、
を備え、
前記列車に備えられた前記水素タンクには、前記水素ステーションにおいて、前記移動体に水素を供給するディスペンサが接続され、
前記予約サーバの前記記録部は、前記列車が前記水素ステーションに停車する時間帯に対応する予約情報を前記予約データベースに記録する、水素供給システム。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の水素供給システムであって、
前記予約サーバは、前記予約データベースにおいて、前記予約情報と同じ水素ステーションおよび同じ時間に既に他の予約情報が登録されている場合、他の水素ステーションまたは他の時間を選択するように、前記端末装置に通知を行う、水素供給システム。
【請求項4】
請求項1
又は2に記載の水素供給システムであって、
前記表示装置は、前記水素ステーションに配置されている、水素供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高速道路等の架構等を利用して水素製造所からガソリンスタンドまで水素供給用の配管を敷設することにより、ガソリンスタンドを定置式水素ステーションとして活用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された定置式水素ステーションを実現するには、水素製造所からガソリンスタンドまで配管を敷設する必要があり、大規模な工事が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、水素供給システムが提供される。この水素供給システムは、線路の近傍に設置され、燃料電池を電力源として駆動される移動体に水素を供給するための水素ステーションと、水素タンクを有し、前記線路を走行して前記水素ステーションに水素を運搬する列車と、を備える。
このような形態の水素供給システムであれば、列車によって水素ステーションまで水素を運搬できるので、配管を敷設するための大規模な工事を行う必要がない。
(2)上記形態の水素供給システムにおいて、前記列車は、前記水素ステーションにおいて、前記移動体に水素を供給するディスペンサを備えてもよい。このような形態であれば、水素ステーションにディスペンサを設置することなく列車から移動体に水素を供給できるので、水素ステーションの設備を簡素化できる。
(3)上記形態の水素供給システムにおいて、前記移動体は、予め定められた路線を走行する定期運行車両であり、前記列車の前記水素ステーションへの停車時間にあわせて、前記水素ステーションに到着するように運行予定が設定されてもよい。このような形態であれば、水素を効率的に移動体に供給できる。
(4)上記形態の水素供給システムにおいて、前記列車は、前記列車が前記線路を走行する電力源として燃料電池を備えてもよい。このような形態であれば、架空電車線が設けられていない地域の水素ステーションに対しても水素を運搬できる。
(5)本発明の他の形態によれば、列車が提供される。この列車は、水素タンクと、前記水素タンクから、燃料電池を電力源として駆動される移動体に水素を供給するディスペンサと、を備える。このような形態であれば、大規模な配管工事を行うことなく、移動体に水素を供給できる。
(6)上記形態の列車は、燃料電池と、前記燃料電池によって発電された電力によって駆動される線路走行用モータと、を備えてもよい。このような形態であれば、架空電車線が設けられていない地域に水素を運搬できる。
(7)上記形態の水素供給システムは、更に、前記移動体に水素の充填を行う水素ステーションおよび前記移動体に水素の充填を行う時間を表す予約情報の入力を受け付ける入力装置を備える端末装置と、前記端末装置と通信可能であり、前記端末装置から前記予約情報を受信する受信部と、受信した前記予約情報を予約データベースに記録する記録部と、を有する予約サーバと、前記予約データベースに記録された前記予約情報を表示する表示装置と、を備えてもよい。このような形態であれば、所望の水素ステーションにおいて所望の時間に水素の充填を行うことができる。
本発明は、上述した水素供給システムや列車としての形態以外にも、水素供給方法など、種々の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態における水素供給システムの説明図である。
【
図2】第1実施形態における水素供給方法を示す工程図である。
【
図3】第2実施形態における水素供給システムの説明図である。
【
図4】第2実施形態における水素供給方法を示す工程図である。
【
図5】第3実施形態における水素供給システムの説明図である。
【
図6】第3実施形態における水素供給方法を示す工程図である。
【
図7】第4実施形態における水素供給システムの説明図である。
【
図8】第5実施形態における水素供給システムの説明図である。
【
図9】予約システムにおける予約処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における水素供給システム100の説明図である。水素供給システム100は、水素ステーション10と列車20とを含む。
図1には、各部の概略的な配置を上面視で示している。
【0009】
水素ステーション10は、線路30の近傍に設置されている。本明細書において、水素ステーション10とは、燃料電池を電力源として駆動される移動体50に水素が供給される場所を意味する。燃料電池を電力源として駆動される移動体50としては、例えば、燃料電池バス、燃料電池タクシー、自家用の燃料電池自動車が挙げられる。本実施形態において、水素ステーション10は、駅40に併設されていることが好ましい。駅40には、上述した燃料電池バスや燃料電池タクシーなどが集まりやすく、効率的に水素を供給できるからである。
【0010】
本実施形態における水素ステーション10は、オフサイト型のステーションである。本実施形態では、水素ステーション10は、圧縮機11と、蓄圧器12と、ディスペンサ13とを備える。圧縮機11は、列車20によって水素製造所5から運搬された水素を圧縮する。蓄圧器12は、圧縮機11によって圧縮された水素を蓄える。ディスペンサ13は、蓄圧器12に蓄えられた水素を移動体50に充填するための装置である。ディスペンサ13には、移動体50に充填する水素を充填前に冷却するプレクーラが接続されてもよい。なお、圧縮機11や蓄圧器12、ディスペンサ13以外にも、水素ステーション10には、防火壁や障壁など、法規上、必要とされる構造体が設けられている。
【0011】
列車20は、水素タンク21を有しており、線路30を走行して水素ステーション10に水素を運搬する。水素タンク21としては、例えば、シリンダ、カードル、ローダなどの種々の形態のタンクを採用可能である。運搬する水素は、気体の状態であってもよいし、液化した状態であってもよい。また、有機ハイドライド方式等を用いて水素を他の物質に変換して運搬してもよい。本実施形態における列車20は、架空電車線方式の列車、あるいは、ディーゼルエンジン等の内燃機関を動力源とする列車である。
【0012】
水素タンク21は、列車20から水素ステーション10に荷下ろしされて圧縮機11に接続される。そして、水素ステーション10において空き状態となった水素タンク21は、荷下ろしされた水素タンク21に代えて列車20に積み込まれる。
【0013】
図2は、第1実施形態における水素供給方法を示す工程図である。まず、水素製造所5において列車20の水素タンク21に水素が充填され、列車20により水素が水素ステーション10まで運搬される(工程P10)。水素ステーション10では、圧縮機11により水素タンク21から蓄圧器12に水素が補充される(工程P20)。水素ステーション10では、移動体50に水素が供給される(工程P30)。
【0014】
以上で説明した第1実施形態の水素供給システム100によれば、列車20によって水素を水素ステーション10まで運搬することができるので、水素製造所5から水素ステーション10まで配管を敷設するための大規模な工事を行うことなく、水素ステーション10を設置できる。また、本実施形態では、移動体50が集まりやすい駅40の近傍に水素ステーション10が設置されているため、水素を効率的に移動体50に供給できる。更に、本実施形態では、列車20によって水素を運搬するため、トラック等の車両によって水素を運搬するよりも大量の水素を運搬できる。また、列車20によって水素を運搬するため、交通渋滞の影響を受けずに水素を計画的に水素ステーション10に運搬できる。
【0015】
なお、本実施形態では、水素タンク21が列車20から水素ステーション10に荷下ろしされるものとした。これに対して、水素タンク21が列車20に搭載された状態で、水素タンク21と圧縮機11とが配管によって接続されて、水素タンク21から蓄圧器12に水素が補給されてもよい。
【0016】
B.第2実施形態:
図3は、第2実施形態における水素供給システム100Bの説明図である。本実施形態においても、水素供給システム100Bは、水素ステーション10Bと列車20Bとを含む。
【0017】
本実施形態における水素ステーション10Bは、第1実施形態とは異なり、圧縮機11や蓄圧器12、ディスペンサ13を備えていない。本実施形態では、列車20Bにディスペンサ13Bが備えられ、列車20Bに搭載された蓄圧器としての水素タンク21から、列車20Bに設けられたディスペンサ13Bを通じて、直接的に移動体50に水素が供給される。ただし、水素ステーション10Bには、第1実施形態と同様に、防火壁や障壁など、法規上、必要とされる構造体は設けられている。
【0018】
図4は、第2実施形態における水素供給方法を示す工程図である。
図4の工程図には、
図2における工程と同じ内容の工程には同じ工程番号を付している。まず、水素製造所5において列車20Bの水素タンク21に水素が充填され、列車20Bにより水素が水素ステーション10Bまで運搬される(工程P10)。水素ステーション10では、列車20に備えられたディスペンサ13Bにより、水素タンク21から移動体50に水素が供給される(工程P30)。
【0019】
以上で説明した第2実施形態の水素供給システム100Bによれば、列車20Bに水素タンク21とディスペンサ13Bとが備えられているので、大規模な配管工事を行うことなく、移動体50に水素を供給できる。また、水素ステーション10Bに圧縮機11や蓄圧器12、ディスペンサ13を配置する必要がないので、水素ステーション10Bの設備を大幅に簡略化することができる。また、列車20Bから水素ステーション10Bへの水素タンク21の荷下ろしを行う必要もなく、水素タンク21から蓄圧器12へ水素を補充する必要もない。従って、水素ステーション10Bの建設コストを大幅に削減することができるとともに、水素ステーション10Bを低コストに運営することができる。
【0020】
なお、本実施形態において、水素タンク21とディスペンサ13Bとは、
図3に示すように列車20Bの異なる車両に搭載されていてもよいし、同一の車両に搭載されていてもよい。列車20Bに複数のディスペンサ13Bが備えられていれば、複数の移動体50に対して同時に水素の供給を行うことができる。
【0021】
C.第3実施形態:
図5は、第3実施形態における水素供給システム100Cの説明図である。上記第1実施形態では、水素ステーション10は、圧縮機11と蓄圧器12とディスペンサ13とを備えている。これに対して、本実施形態では、水素ステーション10Cは、これらのうちディスペンサ13のみを備えている。本実施形態では、列車20Cが駅40に停車している間に、ディスペンサ13が、列車20Cの蓄圧器としての水素タンク21に接続される。
【0022】
図6は、第3実施形態における水素供給方法を示す工程図である。
図6の工程図には、
図2における工程と同じ内容の工程には同じ工程番号を付している。まず、水素製造所5において列車20Cの水素タンク21に水素が充填され、列車20Cにより水素が水素ステーション10Cまで運搬される(工程P10)。水素ステーション10Cでは、ディスペンサ13が列車20Cに備えられた水素タンク21に接続される(工程P21)。そして、ディスペンサ13により、水素タンク21から移動体50に水素が供給される(工程P30)。
【0023】
以上で説明した第3実施形態の水素供給システム100Cによっても、水素ステーション10Cに圧縮機11および蓄圧器12を配置する必要がないので、水素ステーション10Cの設備を簡略化することができる。また、第2実施形態と同様に、列車20Cから水素ステーション10Cへの水素タンク21の荷下ろしを行う必要もなく、水素タンク21から蓄圧器12へ水素を補充する必要もない。従って、水素ステーション10Cの建設コストを大幅に削減することができるとともに、水素ステーション10Cを低コストに運営することができる。
【0024】
なお、上記第2実施形態および第3実施形態では、移動体50は、予め定められた路線を走行する定期運行車両であることが好ましく、列車20B,20Cの水素ステーション10B,10Cへの停車時間にあわせて、水素ステーション10B,10Cに到着するように運行予定が設定されていることが好ましい。このような形態であれば、列車20B,20Cの水素ステーション10B,10Cへの停車時間にあわせて水素を効率的に移動体50に供給することができる。
【0025】
D.第4実施形態:
図7は、第4実施形態における水素供給システム100Dの説明図である。上記第1実施形態では、列車20は、架空電車線方式の列車、あるいは、ディーゼルエンジン等の内燃機関を動力源とする列車であるものとした。これに対して、本実施形態における列車20Dは、燃料電池22を電力源として駆動される列車である。列車20Dは、燃料電池22を備えており、燃料電池22は、水素タンク21あるいは発電用に別途搭載された水素タンクから水素の供給を受けるとともに空気の供給を受けて発電を行う。発電された電力は、線路走行用モータ23の駆動に用いられる。列車20Dは、発電された電力を蓄電するための二次電池を備えてもよい。
【0026】
以上で説明した第4実施形態の水素供給システム100Dによれば、架空電車線が設けられていない地域の水素ステーション10に対しても水素を運搬できる。特に、本実施形態では、列車20Dに搭載された水素タンク21に大量の水素が収容されているため、航続距離を格段に伸ばすことができる。また、燃料電池22によって列車20Dが駆動されるため、内燃機関によって列車が駆動されるよりも、二酸化炭素の排出が抑制され、格段に環境性能を向上させることができる。
【0027】
なお、本実施形態では、列車20Dが燃料電池22を備える点を除き、列車20Dの他の部分の構成および水素ステーション10の構成は、上述した第1~3実施形態のいずれの構成も適用可能である。例えば、列車20Dは、ディスペンサ13を備えないものであってもよいし、ディスペンサ13Bを備えるものであってもよい。
【0028】
E.第5実施形態:
図8は、第5実施形態における水素供給システム100Eの説明図である。本実施形態の水素供給システム100Eは、予約システム200を備えている。予約システム200は、インターネットを介して互いに接続された予約サーバ210と端末装置220と表示装置15とを含む。第5実施形態における水素ステーション10および列車20の構成は、上述した第1~4実施形態のいずれの構成も適用可能である。
【0029】
端末装置220は、例えば、移動体50の運転者が保持する携帯電話やコンピュータ、あるいは、移動体50に搭載された車載端末である。端末装置220は、水素の充填を行う水素ステーション10および水素の充填を行う時間を表す予約情報の入力を受け付ける入力装置222を備える。
【0030】
予約サーバ210は、コンピュータである。予約サーバ210は、端末装置220と通信可能であり、端末装置220から予約情報を受信する受信部211と、受信した予約情報を予約データベース212に記録する記録部214とを有する。予約データベース212は、予約サーバ210が備える記憶装置に記憶されていてもよいし、予約サーバ210がアクセス可能な他の装置に記憶されていてもよい。
【0031】
表示装置15は、コンピュータによって構成され、予約データベース212に記録された予約情報を表示する。
【0032】
図9は、予約システム200における予約処理を示すフローチャートである。まず、端末装置220は、タッチパネルなどの入力装置222を通じて移動体50の運転者から所定のログイン操作を受け付けて、予約サーバ210にアクセスする(ステップS100)。端末装置220は、更に、運転者から、入力装置222を通じて、水素を充填したい水素ステーション10と時間を表す予約情報の入力を受け付け、入力された予約情報を予約サーバ210に送信する(ステップS110)。予約サーバ210は、端末装置220から予約情報を受信して、予約データベース212に登録する(ステップS120)。このとき、予約サーバ210は、予約データベース212において、予約情報と同じ水素ステーション10および同じ時間に既に他の予約情報が登録されている場合、他の水素ステーション10または他の時間を選択するように、端末装置220に通知を行ってもよい。また、例えば、上記第2,3実施形態のように、水素タンク21が列車20B,20Cに搭載されたまま、水素タンク21から水素が移動体50に供給される場合には、予約サーバ210は、列車20が水素ステーション10B,10Cに停車している時間帯にだけ、予約を登録可能としてもよい。
【0033】
予約データベース212に予約情報が登録されると、各水素ステーション10に配置された表示装置15は、予約データベース212にアクセスして、予約情報を取得し、画面上に表示する(ステップS130)。水素ステーション10では、表示装置15に表示された予約情報に従い、移動体50への水素供給が行われる。
【0034】
以上で説明した第5実施形態の水素供給システム100Eによれば、移動体50の運転者は、予約システム200を用いることで、所望の水素ステーション10において所望の時間に水素の充填を行うことができる。
【0035】
F.他の実施形態:
(F-1)上記各実施形態において、水素タンク21が搭載された車両を複数、列車20に連結させておき、線路30に沿って配置された各水素ステーション10において、各車両の連結が解除されることにより、各水素ステーション10に水素タンク21が次々に配送されることとしてもよい。こうすることにより、複数の水素ステーション10に対して効率的に水素を運搬することができる。この場合、空状態となった水素タンク21を有する各車両は、動力車あるいは制御電動車を運行し、各水素ステーション10において、次々に車両を連結させていくことで、効率的に回収することができる。
【0036】
(F-2)上記各実施形態において、乗客を乗せる普通列車の一部に水素タンク21を搭載した車両を連結させておき、特急列車や急行列車との待ち合わせ時間において、その水素タンク21から、水素ステーション10あるいは移動体50に水素を供給してもよい。このように、列車同士の待ち合わせ時間に水素ステーション10あるいは移動体50へ水素の供給を行うこととすれば、水素ステーション10あるいは移動体50への水素供給のためにダイヤの変更を行う必要がない。
【0037】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
5…水素製造所、10…水素ステーション、11…圧縮機、12…蓄圧器、13…ディスペンサ、15…表示装置、20…列車、21…水素タンク、22…燃料電池、23…線路走行用モータ、30…線路、40…駅、50…移動体、100…水素供給システム、200…予約システム、210…予約サーバ、211…受信部、212…予約データベース、214…記録部、220…端末装置、222…入力装置