(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20230912BHJP
H02K 1/20 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K1/20
(21)【出願番号】P 2022528849
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 JP2021020887
(87)【国際公開番号】W WO2021246411
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2020096922
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坂本 博信
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-30098(JP,A)
【文献】特開2008-178225(JP,A)
【文献】特開2019-9967(JP,A)
【文献】特開2019-129587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
H02K 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸とともに回転するロータと、
前記ロータの周りに配置されたステータコアであって、前記回転軸の軸線方向において両端面を有するステータコアと、
前記ステータコアの内周部に設けられたステータコイルと、
前記ステータコアの上方に設けられ、液体の冷媒を前記ステータコアの外周面の上部に供給するシャワーパイプと
を備えるモータであって、
前記ステータコアの外周面の上部には、周方向溝と複数の軸方向溝とが設けられ、
前記周方向溝は、前記ステータコアの周方向に延び、
前記軸方向溝は、互いに前記周方向に離間した複数箇所において、前記周方向溝に対し交差する方向へ延び、
前記軸方向溝の各々は、前記ステータコアの前記両端面で開口し、
前記軸方向溝の各々は、前記軸線方向において両端部を有し、前記両端部の溝幅が、前記周方向溝から遠ざかるに従い狭くなるモータ。
【請求項2】
回転軸と、
前記回転軸とともに回転するロータと、
前記ロータの周りに配置されたステータコアと、
前記ステータコアの内周部に設けられたステータコイルと、
前記ステータコアの上方に設けられ、液体の冷媒を前記ステータコアの外周面の上部に供給するシャワーパイプと
を備えるモータであって、
前記ステータコアは、前記回転軸の軸線方向における両側に第1の端面及び第2の端面を有し、
前記ステータコアの外周面の上部には、前記冷媒の流れる軸方向溝が設けられ、
前記軸方向溝は、前記冷媒の流れ方向における下流端を有し、前記下流端は、前記第1の端面及び前記第2の端面の少なくとも一方で開口し、
前記軸方向溝は、その一部に、前記軸方向溝の他の箇所よりも小さな断面積を有する小断面積部分を含むモータ。
【請求項3】
前記軸方向溝の溝幅は、前記小断面積部分において、前記軸方向溝の他の箇所よりも狭い請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記小断面積部分は、前記下流端を含む前記軸方向溝の端部領域に設けられており、前記溝幅が前記下流端に近づくに従い狭くされている請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記軸方向溝の深さは、前記小断面積部分において、前記軸方向溝の他の箇所よりも浅い請求項2~4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
前記小断面積部分は、前記下流端を含む前記軸方向溝の端部領域に設けられており、前記深さが前記下流端に近づくに従い浅くされている請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記軸方向溝は、第1の溝部と第2の溝部とを含み、
前記第1の溝部は、前記ステータコアの前記第1の端面で開口する第1の下流端を有し、かつ前記第1の下流端から前記第2の端面に向けて延びており、
前記第2の溝部は、前記ステータコアの前記第2の端面で開口する第2の下流端を有し、かつ前記第2の下流端から前記第1の端面に向けて延びている請求項2~6のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項8】
前記ステータコアの外周面の上部には、前記ステータコアの周方向に延び、かつ前記冷媒が流れる周方向溝が設けられ、
前記第1の溝部は、前記周方向溝に接続される第1の上流端を有し、
前記第2の溝部は、前記周方向溝に接続される第2の上流端を有する請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記軸方向溝は、互いに前記ステータコアの周方向に離間した複数箇所に設けられている請求項2~8のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項10】
複数の前記軸方向溝は、少なくとも、第1の軸方向溝と、前記第1の軸方向溝よりも前記シャワーパイプの近くに配置された第2の軸方向溝と、を含み、
前記第1の軸方向溝の前記小断面積部分の断面積は、前記第2の軸方向溝の前記小断面積部分の断面積よりも大きい請求項9に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シャワーパイプから供給される液体の冷媒により冷却されるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車、電気自動車等の電動車両に搭載されたモータは、使用時に高温になるため、冷却機構により冷却される。この冷却機構の一態様として、モータのステータの上方にシャワーパイプを配置し、このシャワーパイプから液体の冷媒、例えば冷却オイルを、ステータコアの外周面の上部に供給するものがある。このモータでは、冷媒が流下してステータコイルを冷却する。
【0003】
上記冷却機構を有するモータとして、例えば、特許文献1に記載されたものでは、モータの回転軸の軸線に沿う方向(軸線方向)におけるステータコアの端面にステータカフサが設置されている。ステータカフサの軸線方向における端面からは、複数のリブが同ステータカフサの径方向における外方へ向けて突出している。各リブの先端部分は、ステータコアの外周面上を軸線方向に延びている。そのため、ステータコアの外周面上を流れる冷媒は、上記リブによりステータコイルのコイルエンドへ導かれる。この冷媒により、ステータコイルが良好に冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された上記従来のモータでは、ステータコアの外周面上に供給された冷媒の全てが同外周面から流れ落ちる可能性がある。そのため、例えば、車両が停止される等してシャワーパイプからの冷媒の供給が停止された場合に、上記のように、冷媒の全てが外周面から流れ落ちると、冷却性能が低下する。
【0006】
本開示の課題は、シャワーパイプからの冷媒の供給が停止された場合の冷却性能の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るモータは、回転軸と、前記回転軸とともに回転するロータと、前記ロータの周りに配置されたステータコアであって、前記回転軸の軸線方向において両端面を有するステータコアと、前記ステータコアの内周部に設けられたステータコイルと、前記ステータコアの上方に設けられ、液体の冷媒を前記ステータコアの外周面の上部に供給するシャワーパイプとを備えるモータであって、前記ステータコアの外周面の上部には、周方向溝と複数の軸方向溝とが設けられ、前記周方向溝は、前記ステータコアの周方向に延び、前記軸方向溝は、互いに前記周方向に離間した複数箇所において、前記周方向溝に対し交差する方向へ延び、前記軸方向溝の各々は、前記ステータコアの前記両端面で開口し、前記軸方向溝の各々は、前記軸線方向において両端部を有し、前記両端部の溝幅が、前記周方向溝から遠ざかるに従い狭くなる。
【0008】
また、本開示のもう一つの態様に係るモータは、回転軸と、前記回転軸とともに回転するロータと、前記ロータの周りに配置されたステータコアと、前記ステータコアの内周部に設けられたステータコイルと、前記ステータコアの上方に設けられ、液体の冷媒を前記ステータコアの外周面の上部に供給するシャワーパイプとを備えるモータであって、前記ステータコアは、前記回転軸の軸線方向における両側に第1の端面及び第2の端面を有し、前記ステータコアの外周面の上部には、前記冷媒の流れる軸方向溝が設けられ、前記軸方向溝は、前記冷媒の流れ方向における下流端を有し、前記下流端は、前記第1の端面及び前記第2の端面の少なくとも一方で開口し、前記軸方向溝は、その一部に、前記軸方向溝の他の箇所よりも小さな断面積を有する小断面積部分を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、モータの一実施形態を示す図であり、ステータ及び冷却機構の概略側面図。
【
図2】
図2は、一実施形態におけるステータ及び冷却機構の概略平面図。
【
図3A】
図3Aは、一実施形態における軸方向溝及びその周辺部分を示す部分側面図。
【
図3B】
図3Bは、比較例における軸方向溝及びその周辺部分を示す部分側面図。
【
図4】
図4は、変形例の軸方向溝及びその周辺部分を示す部分側面図。
【
図5】
図5は、軸方向溝の端部の深さが周方向溝から遠ざかるに従い浅くなる変形例を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、ハイブリッド自動車、電気自動車等の電動車両に搭載されるモータに具体化した一実施形態について、
図1~
図3Bを参照して説明する。
図1に示すように、モータ10は、ロータ12及びステータ13を備えている。モータ10の図示しないケーシングには、回転軸11が回転可能に支持されており、ロータ12は、この回転軸11に一体回転可能に取付けられている。ロータ12は、略円環状の板体を複数積層してなるロータコアに複数の永久磁石を埋め込むことによって構成されている。ロータコアにおける上記板体は、鉄等の磁性材である電磁鋼板を打ち抜き加工することにより、略円環の板状に形成されている。
【0011】
ステータ13は、ステータコア14と、そのステータコア14の内周部に設けられたステータコイル15とを備えている。ステータコア14は円筒形をなし、ロータ12の周りに配置されている。ステータコア14は、複数の電磁鋼板をそれぞれ所定の形状に打ち抜き、これらを積層することにより形成されている。
【0012】
ステータコア14は、溝幅の狭い複数の溝(スロット16)を有している。各スロット16は、ステータコア14の内周面から径方向における外方へ延びている。また、隣り合うスロット16は、ステータコア14の周方向に互いに離間している。各スロット16は、回転軸11の軸線L1に沿う方向(以下「軸線方向」という)に延びている。
【0013】
スロット16には、図示しない導線が巻回されて、1つ以上のステータコイル15が形成されている。導線としては、平角線、丸線、撚り線等、様々なものを用いることができる。また、ステータコイル15は、長い導線を順次スロット16に巻回して形成されてもよいし、短い導線(セグメントコイル)を繋ぎ合わせて形成されてもよい。
【0014】
図2は、モータ10を上方から見た状態を示している。
図1及び
図2に示すように、ステータコア14は、上記軸線方向における両側に第1の端面14A及び第2の端面14Bを有している。
【0015】
ステータコア14の第1の端面14A及び第2の端面14Bからは、ステータコイル15の一部がそれぞれ突出している。これらのステータコイル15の突出部分により、上記軸線方向におけるステータコイル15の両側にコイルエンド15aが形成されている。
【0016】
ステータコア14の外周面14bであって、上記周方向に互いに離間した複数箇所(本実施形態では3箇所)には、それぞれボルト孔19を有する突起部17,18が形成されている。これらの突起部17,18は、電磁鋼板を打ち抜く過程で形成されたものであり、モータ10を車両に取付ける際に、取付部分として用いられる。
【0017】
上記3つの突起部17,18のうちの1つの突起部18は、回転軸11の下方に形成されている。また、残りの2つの突起部17は、ステータコア14の上半部のうち、同ステータコア14の周方向における両端部分に形成されている。
【0018】
上記2つの突起部17のそれぞれの上部には、上記軸線方向に延びる台座部21が形成されている。各台座部21の上面21aは、平坦に形成されている。本実施形態では、各上面21aは水平に形成されている。
【0019】
なお、ステータコア14は、磁性粉末を成形型で圧縮成形した圧粉磁性体によって形成されてもよい。また、ステータコア14は、例えば上記周方向に分割された複数の分割コア片を組合わせることによって形成されてもよい。
【0020】
モータ10は、回転軸11が水平又は略水平になるように車両に搭載されている。モータ10は、液体の冷媒R1を循環させて、ステータコイル15及びステータコア14をはじめとするモータ10の各部を冷却する冷却機構25を備えている。液体の冷媒R1としては、例えば、冷却オイルを用いることができる。
【0021】
冷却機構25は、冷媒R1をステータコア14の外周面14bの上部に供給するシャワーパイプ26を備えている。シャワーパイプ26は、上記軸線方向に延びた状態で、上記外周面14bの頂部の上方に配置されており、モータ10の上記ケーシングに取付けられている。本実施形態では、シャワーパイプ26は回転軸11の軸線L1に対し平行に配置されているが、同軸線L1に対し傾斜した状態で配置されてもよい。
【0022】
シャワーパイプ26には、冷媒供給路を介してポンプ(いずれも図示略)が接続されており、ポンプによって吸い上げられた冷媒R1が冷媒供給路を介してシャワーパイプ26に供給される。シャワーパイプ26は、冷媒R1を下方や斜め下方へ向けて噴出する噴出孔(図示略)を有している。
【0023】
冷却機構25は、冷媒R1が流れる冷媒通路30をさらに備えている。冷媒通路30は、1つの周方向溝31と、複数の軸方向溝32と、一対の拡張周方向溝41と、一対の拡張軸方向溝42とを備えている。周方向溝31は、ステータコア14の外周面14bの上部であって、上記軸線方向における中央部に形成されているが、中央部から軸線方向にずれた箇所に形成されてもよい。周方向溝31は、ステータコア14の上部であって、上記外周面14bに沿って上記周方向に延びている。
【0024】
軸方向溝32は、ステータコア14の外周面14bの上部に設けられている。各軸方向溝32は、第1の溝部32A及び第2の溝部32Bを備えている。冷媒R1の流れ方向における第1の溝部32Aの下流端は、第1の端面14Aで開口している。第1の溝部32Aは、下流端から第2の端面14Bに向けて延びており、上記流れ方向における上流端で周方向溝31に接続されている。第1の溝部32Aの下流端は第1の下流端であり、第1の溝部32Aの上流端は第1の上流端である。
【0025】
冷媒R1の流れ方向における第2の溝部32Bの下流端は、第2の端面14Bで開口している。第2の溝部32Bは、下流端から第1の端面14Aに向けて延びており、上記流れ方向における上流端で周方向溝31に接続されている。第2の溝部32Bの下流端は第2の下流端であり、第2の溝部32Bの上流端は第2の上流端である。
【0026】
上記のように第1の溝部32A及び第2の溝部32Bを備える軸方向溝32は、上記外周面14bの上記周方向に互いに離間した複数箇所(本実施形態では3箇所)に設けられている。各軸方向溝32は、周方向溝31に対し交差する方向へ延びている。本実施形態では、各軸方向溝32は、周方向溝31に対し直交する方向(軸線方向)へ延びていて、互いに平行の関係にある。
【0027】
図3Aに示すように、各軸方向溝32は、底壁部34と、ステータコア14の周方向に相対向して軸線方向に延びる一対の対向壁部35とを備えている。各軸方向溝32は、溝幅W1が深さD1に比べて広くなるように形成されている。また、各軸方向溝32において、底壁部34と各対向壁部35との境界部分36は湾曲しているが、角張っていてもよい。
【0028】
図2に示すように、複数の軸方向溝32のうちの1つは、ステータコア14の頂部に位置している。残りの2つの軸方向溝32は、上記頂部の軸方向溝32よりも低い箇所に位置している。各軸方向溝32の一部には、断面積が、軸方向溝32の他の箇所よりも小さな部分である小断面積部分Xが設けられている。本実施形態では、小断面積部分Xは、各軸方向溝32の下流側の端部32aに設けられている。
【0029】
小断面積部分Xでは、軸方向溝32の他の箇所よりも溝幅W1が狭くされている。本実施形態では、溝幅W1が、周方向溝31から遠ざかるに従い、表現を変えると下流端に近づくに従い、徐々に狭くされている。各軸方向溝32の下流側の端部32aは、各軸方向溝32の下流端を含む領域である。端部32aは端部領域ともいう。
【0030】
そのために、各軸方向溝32における両対向壁部35が、上記端部32aでは、周方向溝31から遠ざかるに従い互いに近づくように、上記軸線L1に対し傾斜している。両対向壁部35は軸線L1に対し、互いに反対方向に傾斜しているが、同軸線L1に対し傾斜する角度(絶対値)は互いに同一である。各軸方向溝32の深さD1(
図3A参照)は、軸線方向におけるどの箇所でも、すなわち、端部32aであっても、両端部32a間の部分(以下「中間部32b」という)であっても同一である。
【0031】
図1及び
図2に示すように、一対の拡張周方向溝41は、ステータコア14の周方向における周方向溝31の両端部から最寄りの台座部21の上面21aまで延びている。各拡張軸方向溝42は、上記台座部21の平坦な上面21aに形成されている。各拡張軸方向溝42は、拡張周方向溝41に対し交差する方向、本実施形態では直交する方向へ延びていて、上記拡張周方向溝41に繋がっている。各拡張軸方向溝42は、上記軸線方向における台座部21の両端面21bで開口している。各拡張軸方向溝42は、底壁部44と、上記周方向に相対向して軸線方向に延びる一対の対向壁部45とを備えている。各拡張軸方向溝42は、上記軸方向溝32と同様に、溝幅が深さに比べて広い断面形状を有しているが、軸方向溝32とは異なる断面形状を有していてもよい。
【0032】
各拡張軸方向溝42の軸線方向における両端部42aでは、溝幅W2が、拡張周方向溝41から軸線方向へ遠ざかるに従い徐々に広くなっている。そのために、各拡張軸方向溝42における両対向壁部45が、上記端部42aでは、拡張周方向溝41から軸線方向へ遠ざかるに従い互いに遠ざかるように、軸線L1に対し傾斜している。両対向壁部45は軸線L1に対し、互いに反対方向に傾斜しているが、同軸線L1に対し傾斜する角度(絶対値)は互いに同一である。各拡張軸方向溝42の深さは、上記軸方向溝32と同様、軸線方向におけるどの箇所でも、すなわち、端部42aであっても、両端部42a間の部分(以下「中間部42b」という)であっても同一である。
【0033】
上記のようにして本実施形態のモータ10が構成されている。次に、本実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
モータ10が搭載された車両は、ステータコイル15に電流を流すことにより磁界を発生させてロータ12を回転させ、回転トルクを車両の駆動系に伝達することにより走行する。従って、ステータコイル15に電流が流れることによりジュール熱が発生し、同ステータコイル15が発熱する。ステータコイル15の熱がステータコア14に伝わり、ステータ13を含むモータ10の全体が昇温する。
【0034】
これに対し、冷却機構25が設けられた本実施形態では、モータ10が格納されているケーシングの下部に、冷却オイルからなる冷媒R1が溜められている。この冷媒R1は、ポンプによって汲み上げられて、冷媒供給路を介してシャワーパイプ26に送られる。そして、冷媒R1はシャワーパイプ26の噴出孔から下方や斜め下方へ噴出される。噴出された冷媒R1の一部は、各軸方向溝32内に直接入り込む。また、冷媒R1の他の一部は、外周面14bに沿って低所側へ向けて流れて各軸方向溝32内に入り込む。さらに、冷媒R1の他の一部は、周方向溝31内に入り込む。この冷媒R1は、周方向溝31に沿って低所に向けて流れる。この際、周方向溝31及び軸方向溝32は、冷媒R1の誘導路として機能する。
【0035】
仮に、
図3Bに示すように、各軸方向溝32の中間部32bにおける溝幅W1が深さD1と同程度であって狭いと、シャワーパイプ26から噴出された冷媒R1のうち、直接軸方向溝32に入り込む量が少ない。この点、本実施形態では、
図3Aに示すように、溝幅W1が深さD1よりも広くなるように軸方向溝32が形成されている。そのため、軸方向溝32内に直接入り込む冷媒R1の量を
図3Bよりも多くすることができる。
【0036】
但し、軸方向溝32の溝幅W1を過度に広くすると、冷媒R1の流速が低下する。そのため、冷媒R1の入り込みやすさと流速の確保とが両立するように溝幅W1を設定することが重要である。
【0037】
また、図示はしないが、仮に、各軸方向溝32において、底壁部34と対向壁部35との境界部分36が角張っていると、その部分に冷媒R1が淀み、異物等が堆積しやすくなる、古い冷媒R1が残りやすくなる等の懸念がある。この点、本実施形態では、
図3Aに示すように、各軸方向溝32において、上記境界部分36が湾曲している。そのため、境界部分36に異物が堆積しにくく、また、古い冷媒R1が残りにくくなる。
【0038】
また、図示はしないが、仮に、軸方向溝32の深さD1が過度に深いと、シャワーパイプ26から冷媒R1を多く噴出しなければならなくなる。また、軸方向溝32とステータコイル15との間に必要な間隔を確保することが難しくなる。この点、本実施形態では、各軸方向溝32の深さD1を溝幅W1に比べ浅くしている。そのため、冷媒R1の噴出量が少なくてすみ、また、軸方向溝32とステータコイル15との間隔の確保が容易となる。
【0039】
図2に示すように、周方向溝31を流れる冷媒R1の一部は、軸方向溝32に流入する。軸方向溝32内では冷媒R1は、軸線方向における両端部32aに向けて流れる。また、周方向溝31を流れることなく、軸方向溝32に供給された冷媒R1もまた、両端部32aに向けて流れる。これらの冷媒R1により、ステータコア14が冷却される。
【0040】
各軸方向溝32において、両端部32aの溝幅W1は、中間部32bの溝幅W1よりも狭くなっているものの、周方向溝31から遠ざかるに従い、表現を変えると、下流端に近づくに従い徐々に狭くなっている。そのため、端部32a及び中間部32bの境界部分で溝幅W1が急激に減少する場合に比べ、冷媒R1は上記両境界部分で淀みにくくスムーズに流れる。
【0041】
そして、両端部32aを通過した冷媒R1は、第1の端面14A及び第2の端面14Bにおける軸方向溝32の開口部分から出て流下し、コイルエンド15aを含むステータコイル15を冷却する。
【0042】
冷媒R1は、ステータコア14の周方向における複数箇所に設けられた軸方向溝32の端部32aから流下する。そのため、上記周方向におけるステータ13の広い領域に冷媒R1が行き渡り、同ステータ13、ひいてはモータ10の全体が冷媒R1によって満遍なく冷却される。
【0043】
また、各軸方向溝32では、第1の溝部32A及び第2の溝部32Bがともに周方向溝31に対し直交している。そのため、第1の溝部32A及び第2の溝部32Bのそれぞれの下流端から冷媒R1を流下させることで、両コイルエンド15aを均等に冷却することができる。
【0044】
上記コイルエンド15a等を流下した冷媒R1は、ケーシングの下部に溜められる。冷媒R1は、ポンプによって汲み上げられて、冷媒供給路を介して再びシャワーパイプ26に送られる。このようにして、冷媒R1が循環させられる。
【0045】
各軸方向溝32の両端部32aにおける溝幅W1が、周方向溝31から遠ざかるに従い、表現を変えると、下流端に近づくに従い狭くなっていることから、両端部32aは冷媒R1の流れの抵抗となる。軸線方向における軸方向溝32のどの箇所でも上記溝幅W1が一定である場合に比べ、冷媒R1は冷媒通路30内に溜まりやすくなる。そのため、車両停止等に伴いシャワーパイプ26から冷媒R1の供給が停止されても、上記のように冷媒通路30に溜まった冷媒R1を引き続き流下させることができる。ステータコイル15及びステータコア14、ひいてはモータ10を十分に冷却し、冷却性能を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態のように、シャワーパイプ26から冷媒R1を噴出させてステータ13に供給するタイプの冷却機構25では、同シャワーパイプ26からステータコア14の周方向に遠ざかるに従い、冷媒R1の供給量が少なくなる。特に、上記周方向におけるステータ13の両端部分に対し、十分な量の冷媒R1を供給することが難しい。
【0047】
この点、本実施形態では、上記周方向におけるステータコア14の両端部分に、軸線方向に延びる台座部21を設け、その上面21aを平坦に形成している。そして、各台座部21の上面21aに拡張軸方向溝42を形成し、各拡張軸方向溝42と周方向溝31とを拡張周方向溝41によって繋いでいる。そのため、周方向溝31及び拡張周方向溝41に沿って台座部21に流れてきた冷媒R1や、回転する回転軸11に当たって飛散して台座部21に到達した冷媒R1は、上記上面21aによって受け止められ、拡張軸方向溝42内に入り込む。拡張軸方向溝42内では冷媒R1は、軸線方向における両端部42aに向けて流れる。この冷媒R1により、ステータコア14が冷却される。そして、両端部42aを通過した冷媒R1は、台座部21の端面21bにおける拡張軸方向溝42の開口部分から出て流下し、コイルエンド15aを含むステータコイル15を冷却する。
【0048】
各拡張軸方向溝42では、その両端部42aにおける溝幅W2が、中間部42bにおける溝幅W2よりも広くなっている。そのため、冷媒R1は、拡張軸方向溝42内を両端部42aに向けて流れやすい。
【0049】
しかも、本実施形態では、上記両端部42aの溝幅W2が拡張周方向溝41から遠ざかるに従い徐々に広くなっている。そのため、端部42a及び中間部42bの境界部分で溝幅W2が急激に増加する場合に比べ、冷媒R1は上記両境界部分で淀みにくくスムーズに流れやすい。
【0050】
このように、上記周方向におけるステータ13の両端部分に供給される冷媒R1の量が少なくても、同冷媒R1を回収してコイルエンド15aに流下させることで、ステータ13の上記両端部分も冷却することができる。モータ10をより一層広い領域にわたって冷却し、冷却性能を高めることができる。
【0051】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0052】
<台座部21について>
・各台座部21の上面21aは、拡張周方向溝41から遠ざかるに従い高くなるように傾斜させられてもよい。
【0053】
・両台座部21、両拡張周方向溝41及び両拡張軸方向溝42に代えて、堰が設けられてもよい。堰は、ステータコア14の外周面14bから径方向における外方へ突出し、かつ軸線方向へ延びる突条によって構成される。堰は冷媒R1を堰き止めることで、同冷媒R1をステータコア14の周方向における端部で回収することができる。また、堰は、上記のように回収した冷媒R1を、軸線方向におけるステータコア14の両端部に誘導し、同両端部から流下させてステータコイル15を冷却することができる。
【0054】
<シャワーパイプ26について>
・シャワーパイプ26は、ステータコア14の頂部から周方向へオフセットした箇所に配置されてもよい。
【0055】
<軸方向溝32について>
・軸方向溝32が、上記周方向における上記実施形態とは異なる箇所に設けられてもよい。
【0056】
・複数の軸方向溝32は、上記周方向に等間隔毎に設けられてもよいし、異なる間隔毎に設けられてもよい。
・軸方向溝32の断面積を、複数の軸方向溝32間で異ならせてもよい。この場合の断面積は、中間部32bの断面積、及び端部32aの断面積の少なくとも一方を指す。
【0057】
例えば、
図2において、軸方向溝32の溝幅W1を、複数の軸方向溝32間で異ならせてもよい。
例えば、シャワーパイプ26の直下等、同シャワーパイプ26に近い軸方向溝32では、上記溝幅W1を狭くし、シャワーパイプ26から遠い軸方向溝32では、上記溝幅W1を広くしてもよい。このようにすると、シャワーパイプ26から遠い軸方向溝32を流れる冷媒R1の量と、シャワーパイプ26に近い軸方向溝32を流れる冷媒R1の量との差を少なくすることができる。軸方向溝32の端部32aから流下する冷媒R1の量がシャワーパイプ26からの距離に応じてばらつくのを抑制することができる。
【0058】
また、モータ10のうち発熱量の多い箇所に近い軸方向溝32については、発熱量の多い箇所から遠い軸方向溝32に比べ、上記溝幅W1を広くしてもよい。この場合には、発熱量の多い箇所に対し、他の箇所よりも多くの冷媒R1を流下させて効率よく冷却することが可能となる。なお、発熱量が多い箇所としては、例えば、ステータコイル15が他の部品と結線される箇所が挙げられる。
【0059】
・
図4に示すように、各軸方向溝32が、溝幅の狭い複数(
図4では2つ)の溝47によって構成されてもよい。このようにしても、上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0060】
・小断面積部分Xでは、軸方向溝32の他の箇所よりも同軸方向溝32の溝幅W1が狭くなることに代えて、軸方向溝32の他の箇所よりも同軸方向溝32の深さD1が浅くされてもよい。この小断面積部分Xは、冷媒R1の流れ方向における各軸方向溝32の下流側の端部32aに設けられてもよい。
【0061】
例えば、
図5に示すように、深さD1が周方向溝31から遠ざかるに従い、表現を変えると下流端に近づくに従い、徐々に浅くされてもよい。この場合、端部32aでは、周方向溝31から遠ざかるに従い、すなわち、下流端に近づくに従い、底壁部34が軸線L1から遠ざかるように傾斜させられる。
【0062】
この場合にも、溝幅W1が狭くなる上記実施形態と同様に、軸方向溝32の端部32aが冷媒R1の流れの抵抗となり、冷媒R1が軸方向溝32内及び周方向溝31内に溜まりやすくなる。そのため、シャワーパイプ26から冷媒R1の供給が停止されても、上記のように溜まった冷媒R1によりモータ10を冷却し、冷却性能の向上を図ることができる。
【0063】
車両が停止される等してシャワーパイプ26からの冷媒R1の供給が停止された後にも、軸方向溝32の端部32aには、冷媒R1が表面張力により少なからず残る。そのため、冷媒R1が残らない場合よりも、ステータコア14、ステータコイル15等を冷却する効果が期待できる。
【0064】
また、車両が運転される等してシャワーパイプ26からの冷媒R1の供給が開始されたときに、冷媒R1を冷媒通路30に早期に行き渡らせることができ、この点でも冷却効果が期待できる。
【0065】
また、次回、シャワーパイプ26から新たな冷媒R1が供給された場合、供給開始直後に軸方向溝32の端部32aでは、残っていた冷媒R1の表面張力により、新たな冷媒R1が端部32aを乗り越える側へ流れにくくなる。その分、冷媒R1が冷媒通路30の他の箇所に流れやすくなる。その結果、冷媒通路30での冷媒R1の貯留性がさらに高くなる。
【0066】
なお、上記のように残った冷媒R1は、その後にシャワーパイプ26から供給される新たな冷媒R1によって、冷媒通路30から押し出される。そのため、古い冷媒R1が冷媒通路30に残り続けることがなく、新しい冷媒R1に入れ替わる。
【0067】
・さらに、各軸方向溝32の下流側の両端部32aでは、溝幅W1が周方向溝31から遠ざかるに従い狭くなることに加え、
図5に示すように、深さD1が周方向溝31から遠ざかるに従い徐々に浅くされてもよい。
【0068】
上記のようにすると、溝幅W1及び深さD1の一方のみを小さくする場合に比べ、軸方向溝32の端部32aが冷媒R1の流れの抵抗となる度合いが強化される。端部32aの深さD1及び溝幅W1の一方が軸線方向に一定である場合に比べ、冷媒R1は冷媒通路30内により一層溜まりやすくなる。
【0069】
・ところで、モータ10における金属製の構成部品に比べ、冷媒R1は温度が上昇しにくい。そのため、少量の冷媒R1を循環させるだけで、冷媒通路30の全体が冷却されやすい。特に、モータ10では、ステータコイル15の温度が先に上昇し、その後にステータコア14の温度が上昇する。車両が、短時間でステータコイル15のみが熱くなるような走行パターンで走行された際、例えば、短時間でアクセルペダルが踏み込まれるとき等には、溜まっている冷媒R1は、一気には熱くならない。そのため、シャワーパイプ26からの冷媒R1の供給量が少なくても、軸方向溝32から冷媒R1が溢れてコイルエンド15aに流下する。しかも、軸方向溝32に溜まっている冷媒R1の温度もさほど高くない。従って、少量の冷媒R1を供給して循環させるだけでも十分な冷却効果が得られる。
【0070】
・ステータコア14の周方向における軸方向溝32の数が、上記実施形態とは異なる数に変更されてもよい。
・軸方向溝32の各端部32aにおいて、一方の対向壁部35が軸線L1に対しなす角度(絶対値)と、他方の対向壁部35が軸線L1に対しなす角度(絶対値)とが異なっていてもよい。極端な場合、一方の対向壁部35は軸線L1に対し平行となり、他方の対向壁部35が軸線L1に対し傾斜してもよい。
【0071】
上記いずれの場合でも、軸方向溝32の両端部32aでは、溝幅W1を、周方向溝31から遠ざかるに従い徐々に狭くし、上記実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0072】
・上記実施形態における各軸方向溝32の全体、すなわち、同一線上に配置された第1の溝部32A及び第2の溝部32Bが、周方向溝31に対し、直交とは異なる角度で交差してもよい。
【0073】
・各軸方向溝32における第1の溝部32A及び第2の溝部32Bは同一直線上に配置されなくてもよい。
・第1の溝部32A及び第2の溝部32Bが同一直線上に配置されない構成の一例として、シャワーパイプ26の直下に位置する軸方向溝32を除き、各軸方向溝32における第1の溝部32A及び第2の溝部32Bは、上流端に近づくに従いシャワーパイプ26に近づくように、軸線L1に対し傾斜させられてもよい。言い換えれば、第1の溝部32A及び第2の溝部32Bは、周方向溝31に接続される上流端から下流端に向かって下降するように延びてもよい。このようにすると、冷媒R1が第1の溝部32A及び第2の溝部32Bに流入しやすくなる。
【0074】
この場合、第1の溝部32A及び第2の溝部32Bが、周方向において互いに同一又は略同一の箇所に位置していれば、両コイルエンド15aを均等に冷却することが可能である。
【0075】
・第1の溝部32A及び第2の溝部32Bが同一直線上に配置されない構成のもう一つの例として、シャワーパイプ26の直下に位置する軸方向溝32を除き、各軸方向溝32における第1の溝部32A及び第2の溝部32Bは、上流端に近づくに従いシャワーパイプ26から遠ざかるように、軸線L1に対し傾斜させられてもよい。言い換えれば、第1の溝部32A及び第2の溝部32Bは、周方向溝31に接続される上流端から下流端に向かって上昇するように延びてもよい。このようにすると、冷媒R1が第1の溝部32A及び第2の溝部32Bに貯留されやすくなる。
【0076】
この場合、第1の溝部32A及び第2の溝部32Bが、周方向において互いに同一又は略同一の箇所に位置していれば、両コイルエンド15aを均等に冷却することが可能である。
【0077】
・第1の溝部32Aと第2の溝部32Bとが周方向に離れていてもよい。
・小断面積部分Xは、軸方向溝32の下流側の端部32aとは異なる箇所に設けられてもよい。
【0078】
・小断面積部分Xは、下流側ほど断面積が段階的に小さくなるように形成されてもよい。
・小断面積部分Xでは、上記実施形態及び上記
図5のように、断面積が徐々に変化されてもよいが、特定の箇所で大きく変化されてもよい。
【0079】
<周方向溝31及び拡張周方向溝41について>
・周方向溝31及び両拡張周方向溝41の組合せが、軸線方向に複数設けられてもよい。
【0080】
・一対の拡張周方向溝41の一方又は両方が省略されてもよい。両方の拡張周方向溝41が省略される場合、周方向溝31も併せて省略されてもよい。
・周方向溝31は、ステータコア14の外周面14bにおける母線に対し、上記実施形態のように直交してもよいが、斜めに交差してもよい。拡張周方向溝41についても同様に、上記母線に対し斜めに交差してもよい。
【0081】
<拡張軸方向溝42について>
・突起部17,18が上部に台座部21を有しない場合にも、拡張軸方向溝42が形成されてもよい。この場合、拡張軸方向溝42は、ボルト孔19の上方となる箇所に形成される。
【0082】
また、突起部17,18の上面であって、ボルト孔19の上方となる箇所が平坦でない場合、例えば湾曲している場合にも、拡張軸方向溝42が形成されてもよい。
・各台座部21の上面21aの複数箇所に拡張軸方向溝42が設けられてもよい。
【0083】
・各拡張軸方向溝42が、上記軸方向溝32の変形例(
図4参照)と同様に、溝幅の狭い複数の溝によって構成されてもよい。
・各拡張軸方向溝42が拡張周方向溝41に対し、直交とは異なる角度で交差してもよい。
【0084】
・拡張軸方向溝42の各端部42aにおいて、一方の対向壁部45が軸線L1に対しなす角度(絶対値)と、他方の対向壁部45が軸線L1に対しなす角度(絶対値)とが異なっていてもよい。極端な場合、一方の対向壁部45は軸線L1に対し平行となり、他方の対向壁部45が軸線L1に対し傾斜してもよい。
【0085】
上記いずれの場合でも、拡張軸方向溝42の両端部42aでは、溝幅W2を、拡張周方向溝41から軸線方向へ遠ざかるに従い徐々に広くし、上記実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0086】
・拡張軸方向溝42の両端部42aでは、対向壁部45は、溝幅W2が下流側ほど断段階的に広くなるように形成されてもよい。
・拡張軸方向溝42の両端部42aでは、溝幅W2が上記実施形態及び上記
図5のように、徐々に変化されてもよいが、特定の箇所で大きく変化されてもよい。
【0087】
・上記軸方向溝32の変形例(
図5参照)と同様に、各拡張軸方向溝42における各端部42aの深さが拡張周方向溝41から遠ざかるに従い浅くなるように設定されてもよい。この場合、溝幅W2及び深さの両者を調整することで、各端部42aにおける冷媒R1の流れやすさを調整してもよい。