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特許7347683電力変換装置の制御装置および電力変換システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】電力変換装置の制御装置および電力変換システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230912BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H02M7/48 R
H02J3/38 110
H02M7/48 N
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022544947
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(86)【国際出願番号】 JP2020032071
(87)【国際公開番号】W WO2022044135
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2022-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴間 義徳
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-278700(JP,A)
【文献】特開2013-078231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
H02M7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源からの直流電力を交流電力に変換する複数の電力変換器が負荷に対して並列で接続された際に前記複数の電力変換器の連系点の電圧を検出する電圧認識部と、
前記複数の電力変換器が並列で接続された状態において電圧源として制御対象の電力変換器を自立運転させる場合は、当該制御対象の電力変換器が出力する有効電力と無効電力とに基づいて当該制御対象が出力する電圧の振幅と周波数とを制御し、前記複数の電力変換器が並列で接続された状態において電流源として当該制御対象の電力変換器を連系運転させる場合は、前記電圧認識部により検出された電圧の振幅と周波数とに基づいて前記連系点での有効電力および無効電力の過不足を補うように当該制御対象の電力変換器が出力する有効電力および無効電力を制御する制御部と、
を電力変換装置の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の電力変換器が並列で接続された状態において電圧源として制御対象の電力変換器を自立運転させる場合は、当該制御対象の電力変換器が出力する有効電力に基づいて当該制御対象が出力する電圧の振幅を制御し、当該制御対象の電力変換器が出力する無効電力に基づいて当該制御対象が出力する電圧の周波数を制御し、前記複数の電力変換器が並列で接続された状態において電流源として当該制御対象の電力変換器を連系運転させる場合は、前記電圧認識部により検出された電圧の振幅に基づいて当該制御対象の電力変換器が出力する有効電力を制御し、前記電圧認識部により検出された電圧の周波数に基づいて当該制御対象の電力変換器が出力する無効電力を制御する請求項1に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の電力変換器が並列で接続された状態において電圧源として制御対象の電力変換器を自立運転させる場合は、当該制御対象の電力変換器が出力する無効電力に基づいて当該制御対象が出力する電圧の振幅を制御し、当該制御対象の電力変換器が出力する有効電力に基づいて当該制御対象が出力する電圧の周波数を制御し、前記複数の電力変換器が並列で接続された状態において電流源として当該制御対象の電力変換器を連系運転させる場合は、前記電圧認識部により検出された電圧の周波数に基づいて当該制御対象の電力変換器が出力する有効電力を制御し、前記電圧認識部により検出された電圧の振幅に基づいて当該制御対象の電力変換器が出力する無効電力を制御する請求項1に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の電力変換器が並列で接続された状態において電流源として当該制御対象の電力変換器を連系運転させる場合は、前記電圧認識部により検出された電圧の振幅と周波数とに基づいて当該制御対象の電力変換器が出力する有効電力および無効電力を制御する際の応答時間を調整し得るように設けられた請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項5】
負荷に対して並列に接続され、直流電源からの直流電力を交流電力に変換する複数の電力変換器と、
前記複数の電力変換器の連系点の電圧を検出する電圧検出器と、
を備え、
前記複数の電力変換器の一部は、電圧源として自立運転し、自らが出力する有効電力と無効電力とに基づいて自らが出力する電圧の振幅と周波数とを制御され、
前記複数の電力変換器の他部は、電流源として連系運転し、前記電圧検出器により検出された電圧の振幅と周波数とに基づいて前記連系点での有効電力および無効電力の過不足を補うように自らが出力する有効電力および無効電力を制御される電力変換システム。
【請求項6】
前記複数の電力変換器の一部は、自らが出力する有効電力に基づいて自らが出力する電圧の振幅を制御され、自らが出力する無効電力に基づいて自らが出力する電圧の周波数を制御され、
前記複数の電力変換器の他部は、前記電圧検出器により検出された電圧の振幅に基づいて自らが出力する有効電力を制御され、前記電圧検出器により検出された電圧の周波数に基づいて自らが出力する無効電力を制御する請求項5に記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記複数の電力変換器の一部は、自らが出力する無効電力に基づいて自らが出力する電圧の振幅を制御され、自らが出力する有効電力に基づいて自らが出力する電圧の周波数を制御され、
前記複数の電力変換器の他部は、前記電圧検出器により検出された電圧の周波数に基づいて自らが出力する有効電力を制御され、前記電圧検出器により検出された電圧の振幅に基づいて自らが出力する無効電力を制御する請求項5に記載の電力変換システム。
【請求項8】
前記複数の電力変換器の他部は、前記電圧検出器により検出された電圧の振幅と周波数とに基づいてそれぞれの電力変換器が出力する有効電力および無効電力を制御する際の応答時間を調整し得るように設けられた請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の電力変換システム。
【請求項9】
前記複数の電力変換器の他部は、前記電圧検出器により検出された電圧の振幅と周波数とに基づいてそれぞれの電力変換器が出力する有効電力および無効電力を制御する際の応答時間の差が等しくなるように設定される請求項8に記載の電力変換システム。
【請求項10】
前記複数の電力変換器の他部は、前記電圧検出器により検出された電圧の振幅と周波数とに基づいてそれぞれの電力変換器が出力する有効電力および無効電力を制御する際の応答時間の比が等しくなるように設定される請求項8に記載の電力変換システム。
【請求項11】
前記複数の電力変換器の他部は、前記電圧検出器により検出された電圧の振幅と周波数とに基づいてそれぞれの電力変換器が出力する有効電力および無効電力を制御する際の応答時間が乱数により設定される請求項8に記載の電力変換システム。
【請求項12】
前記複数の電力変換器の他部は、前記電圧検出器により検出された電圧の振幅と周波数とに基づいてそれぞれの電力変換器が出力する有効電力および無効電力を制御する際の応答時間を予め設定した条件により変化させる請求項8に記載の電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置の制御装置および電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電力変換システムを開示する。当該電力変換システムによれば、並列で接続された複数の電力変換器を共通の制御装置で運転する際に、専用の信号線を敷設することなく、運転制御情報を伝送し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開平10-201105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の電力変換システムにおいては、複数の電力変換器に対して共通の制御装置が必要となる。このため、電力変換システムが複雑となる。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、複数の電力変換装器が並列で接続された状態において、複数の電力変換器に対する共通の制御装置を要することなく、複数の電力変換器から負荷に対して適切に電力を供給することができる電力変換装置の制御装置および電力変換システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電力変換装置の制御装置は、直流電源からの直流電力を交流電力に変換する複数の電力変換器が負荷に対して並列で接続された際に前記複数の電力変換器の連系点の電圧を検出する電圧認識部と、前記複数の電力変換器が並列で接続された状態において電圧源として制御対象の電力変換器を自立運転させる場合は、当該制御対象の電力変換器が出力する有効電力と無効電力とに基づいて当該制御対象が出力する電圧の振幅と周波数とを制御し、前記複数の電力変換器が並列で接続された状態において電流源として当該制御対象の電力変換器を連系運転させる場合は、前記電圧認識部により検出された電圧の振幅と周波数とに基づいて前記連系点での有効電力および無効電力の過不足を補うように当該制御対象の電力変換器が出力する有効電力および無効電力を制御する制御部と、を備えた。
【0007】
本開示に係る電力変換システムは、負荷に対して並列に接続され、直流電源からの直流電力を交流電力に変換する複数の電力変換器と、前記複数の電力変換器の連系点の電圧を検出する電圧検出器と、を備え、前記複数の電力変換器の一部は、電圧源として自立運転し、自らが出力する有効電力と無効電力とに基づいて自らが出力する電圧の振幅と周波数とを制御され、前記複数の電力変換器の他部は、電流源として連系運転し、前記電圧検出器により検出された電圧の振幅と周波数とに基づいて前記連系点での有効電力および無効電力の過不足を補うように自らが出力する有効電力および無効電力を制御される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数の電力変換装器が並列で接続された状態において、複数の電力変換器に対する共通の制御装置を要することなく、複数の電力変換器から負荷に対して適切に電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1における電力変換システムの構成図である。
図2】実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電圧源としての自立運転制御ブロックである。
図3】実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電流源としての連系運転制御ブロックである。
図4】実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電圧源としての出力電圧の振幅の決定方法を説明するためのフローチャートである。
図5】実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電圧源としての運転周波数の決定方法を説明するためのフローチャートである。
図6】実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電流源としての出力有効電力の決定方法を説明するためのフローチャートである。
図7】実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電流源としての出力無効電力の決定方法を説明するためのフローチャートである。
図8】実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置のハードウェア構成図である。
図9】実施の形態2における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電圧源としての自立運転制御ブロックである。
図10】実施の形態2における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電流源としての連系運転制御ブロックである。
図11】実施の形態2における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電圧源としての出力電圧の振幅の決定方法を説明するためのフローチャートである。
図12】実施の形態2における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電圧源としての運転周波数の決定方法を説明するためのフローチャートである。
図13】実施の形態2における電力変換システムの電力変換装置6の制御装置14による電流源としての出力有効電力の決定方法を説明するためのフローチャートである。
図14】実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電流源としての出力無効電力の決定方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における電力変換システムの構成図である。
【0012】
図1において、複数の直流電源1の各々は、直流電力を出力し得るように設けられる。例えば、複数の直流電源1の各々は、風力発電装置である。例えば、複数の直流電源1の各々は、太陽光発電装置である。例えば、複数の直流電源1の各々は、蓄電装置である。系統2は、電力会社等に運用される。系統2は、交流電力を出力し得るように設けられる。変圧装置3は、直流電源1と系統2との間に接続される。負荷4は、系統2と変圧装置3との間に設けられる。開閉装置5は、系統2と負荷4との間に接続される。
【0013】
複数の電力変換装置6は、複数の直流電源1にそれぞれ対応して設けられる。複数の電力変換装置6の各々は、対応した直流電源1と変圧装置3との間に接続される。複数の電力変換装置6は、負荷4に対して並列に接続される。例えば、電力変換装置6は、電力変換器7と高調波フィルタ8と開閉器9と第1電流検出器10と第2電流検出器11と第1電圧検出器12と第2電圧検出器13と制御装置14とを備える。
【0014】
電力変換器7は、直流電源1からの直流電力を交流電力に変換し得るように設けられる。例えば、電力変換器7は、直流電力を三相の交流電力に変換し得るように設けられる。高調波フィルタ8は、電力変換器7からの交流電力の高調波を吸収し得るように設けられる。開閉器9は、変圧器と高調波フィルタ8との間の配線を開いたり閉じたりし得るように設けられる。
【0015】
第1電流検出器10は、電力変換器7と高調波フィルタ8との間に流れる電流をインバータ出力電流として検出し得るように設けられる。第2電流検出器11は、高調波フィルタ8と開閉器9との間に流れる電流を系統2電流として検出し得るように設けられる。第1電圧検出器12は、高調波フィルタ8と開閉器9との間の電圧をインバータ電圧として検出し得るように設けられる。第2電圧検出器13は、変圧器と開閉器9との間の電圧を連系点における系統電圧として検出し得るように設けられる。
【0016】
制御装置14は、第1電流検出器10と第2電流検出器11と第1電圧検出器12と第2電圧検出器13とに基づいて電力変換器7の動作を制御する。制御装置14は、ゲートパルス情報を出力することで電力変換器7の動作を制御する。例えば、制御装置14は、電圧認識部15と制御部16とを備える。
【0017】
電圧認識部15は、第2電圧検出器13により検出された電圧の値を認識する。制御部16は、電圧認識部15により認識された電圧に基づいて電力変換器7を制御する。
【0018】
例えば、系統2の停電時において開閉装置5が開くと、複数の電力変換器7の一部は、電圧源として機能する。複数の電力変換器7の他部は、電流源として機能する。
【0019】
この際、制御装置14において、制御部16は、電圧源として制御対象の電力変換器7を自立運転させる場合は、当該制御対象の電力変換器7が出力する有効電力と無効電力とに基づいて当該制御対象が出力する電圧の振幅と周波数とを制御する。例えば、制御部16は、電流源として当該制御対象の電力変換器7を連系運転させる場合は、電圧認識部15により検出された電圧の振幅と周波数とに基づいて連系点での有効電力および無効電力の過不足を補うように当該制御対象の電力変換器7が出力する有効電力および無効電力を制御する。
【0020】
次に、図2を用いて、電力変換器7を電圧源として制御する際の方法を説明する。
図2は実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電圧源としての自立運転制御ブロックである。
【0021】
図2に示されるように、制御装置14は、第1増幅器17と第2増幅器18と第1加算器19と第1積分器20と第1UVW/dq変換器21と第1減算器22と第2減算器23と第1d軸電圧制御器24と第3減算器25と第1q軸電圧制御器26と第1dq/UVW変換器27とを備える。
【0022】
第1増幅器17は、有効電力フィードバックの値の情報の入力を受け付ける。第1増幅器17は、有効電力フィードバックにゲインk1を乗じた値の情報を出力する。
【0023】
第2増幅器18は、無効電力フィードバックの値の情報の入力を受け付ける。第2増幅器18は、無効電力フィードバックにゲインk2を乗じた値の情報を出力する。
【0024】
第1加算器19は、定格周波数f0の値(固定値)の情報の入力を受け付ける。第1加算器19は、第2増幅器18の出力値の情報との入力を受け付ける。第1加算器19は、定格周波数f0の値と第2増幅器18の出力値とを加算した値の情報を出力する。
【0025】
第1積分器20は、第1加算器19の出力値の情報の入力を受け付ける。第1積分器20は、第1加算器19の出力値に基づいた位相情報を出力する。
【0026】
第1UVW/dq変換器21は、インバータ出力電圧の値の情報の入力を受け付ける。第1UVW/dq変換器21は、第1積分器20からの位相情報の入力を受け付ける。第1UVW/dq変換器21は、インバータ出力電圧の値の情報と位相情報とに基づいたd軸電流フィードバックの値とq軸電圧フィードバックの値との情報を出力する。
【0027】
第1減算器22は、出力電圧基準Vの値(定格電圧・固定値)の情報の入力を受け付ける。第1減算器22は、第1増幅器17の出力値の情報の入力を受け付ける。第1減算値は、出力電圧基準Vの値から第1増幅器17の出力値を減じた値の情報を出力する。
【0028】
第2減算器23は、第1UVW/dq変換器21からのd軸電圧フィードバックの値の情報の入力を受け付ける。第2減算器23は、第1減算器22の出力値の情報の入力を受け付ける。第2減算器23は、第1減算器22の出力値からd軸電圧フィードバックの値を減じた値の情報を出力する。
【0029】
第1d軸電圧制御器24は、第2減算器23の出力値の情報の入力を受け付ける。第1d軸電圧制御器24は、第2減算器23の出力値に基づいたd軸電圧指令値の情報を出力する。
【0030】
第3減算器25は、値0の情報の入力を受け付ける。第3減算器25は、第1UVW/dq変換器21からのq軸電圧フィードバックの値の情報の入力を受け付ける。第3減算器25は、値0からq軸電圧フィードバックの値を減じた値の情報を出力する。
【0031】
第1q軸電圧制御器26は、第3減算器25の出力値の情報の入力を受け付ける。第1q軸電圧制御器26は、第3減算器25の出力値に基づいたq軸電圧指令値の情報を出力する。
【0032】
第1dq/UVW変換器27は、第1d軸電圧制御器24からのd軸電圧指令値の情報の入力を受け付ける。第1dq/UVW変換器27は、第1q軸電圧制御器26からのq軸電圧指令値の情報の入力を受け付ける。第1dq/UVW変換器27は、第1積分器20からの位相情報の入力を受け付ける。第1dq/UVW変換器27は、d軸電圧指令値とq軸電圧指令値と位相情報とに基づいた3相電圧指令値を生成し、これらはゲートパルス発生回路に伝達される。
【0033】
次に、図3を用いて、電力変換器7を電流源として制御する際の方法を説明する。
図3は実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電流源としての連系運転制御ブロックである。
【0034】
図3に示されるように、制御装置14は、第4減算器28と第1ローパスフィルタ器29と第5減算器30と第1有効電力制御器31と第2d軸電流制御器32と第6減算器33と第2ローパスフィルタ器34と第7減算器35と第1無効電力制御器36と第2q軸電流制御器37と第2dq/UVW変換器38とを備える。
【0035】
第4減算器28は、定格電圧Vの値(固定値)の情報の入力を受け付ける。第4減算器28は、系統電圧Vの値の情報の入力を受け付ける。第4減算器28は、定格電圧Vの値から系統電圧Vの値を減じた値の情報を出力する。
【0036】
第1ローパスフィルタ器29は、第4減算器28の出力値の情報の入力を受け付ける。第1ローパスフィルタ器29は、第4減算器28の出力値のうちの低域周波数の領域に対応した値にゲインk3を乗じた値の情報を出力する。
【0037】
第5減算器30は、第1ローパスフィルタ器29の出力値の情報の入力を受け付ける。第5減算器30は、有効電力フィードバックの値の情報の入力を受け付ける。第5減算器30は、第1ローパスフィルタ器29の出力値から有効電力フィードバックの値を減じた値の情報を出力する。
【0038】
第1有効電力制御器31は、第5減算器30の出力値の情報の入力を受け付ける。第1有効電力制御器31は、第5減算器30の出力値に基づいた有効電流基準の情報を出力する。
【0039】
第2d軸電流制御器32は、第1有効電力制御器31からの有効電流基準の値から有効電力フィードバックの値を減じた値の情報の入力を受け付ける。第2d軸電流制御器32は、有効電流基準に基づいたd軸電圧指令値の情報を出力する。
【0040】
第6減算器33は、PLLにより検出された系統周波数fの値(固定値)の情報の入力を受け付ける。第6減算器33は、定格周波数fの値の情報の入力を受け付ける。第6減算器33は、系統周波数fの値から定格周波数fの値を減じた値の情報を出力する。
【0041】
第2ローパスフィルタ器34は、第6減算器33の出力値の情報の入力を受け付ける。第2ローパスフィルタ器34は、第6減算器33の出力値のうちの低域周波数の領域に対応した値にゲインk4を乗じた値の情報を出力する。
【0042】
第7減算器35は、第2ローパスフィルタ器34の出力値の情報の入力を受け付ける。第7減算器35は、無効電力フィードバックの値の情報の入力を受け付ける。第7減算器35は、第2ローパスフィルタ器34の出力値から無効電力フィードバックの値を減じた値の情報を出力する。
【0043】
第1無効電力制御器36は、第7減算器35の出力値の情報の入力を受け付ける。第1無効電力制御器36は、第7減算器35の出力値に基づいた無効電流基準の情報を出力する。
【0044】
第2q軸電流制御器37は、第1無効電力制御器36からの無効電力基準の値から無効電力フィードバックの値を減じた値の情報の入力を受け付ける。第2q軸電流制御器37は、無効電流基準に基づいたq軸電圧指令値の情報を出力する。
【0045】
第2dq/UVW変換器38は、第2d軸電流制御器32からのd軸電圧指令値の情報の入力を受け付ける。第2dq/UVW変換器38は、第2q軸電流制御器37からのq軸電圧指令値の情報の入力を受け付ける。第2dq/UVW変換器38は、PLLにより検出された位相情報の入力を受け付ける。第2dq/UVW変換器38は、d軸電圧指令値とq軸電圧指令値と位相情報とに基づいた3相電圧指令値を生成し、これらはゲートパルス発生回路に伝達される。
【0046】
次に、図4を用いて、電力変換器7を電圧源として制御する際の出力電圧の振幅の決定方法を説明する。この際の処理は、制御装置14の制御部16で行われる。
図4は実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電圧源としての出力電圧の振幅の決定方法を説明するためのフローチャートである。
【0047】
ステップS1では、制御装置14は、電圧基準Vで運転を開始する。その後、制御装置14は、ステップS2の動作を行う。ステップS2では、制御装置14は、有効電力Poutを検出する。その後、制御装置14は、ステップS3の動作を行う。ステップS3では、制御装置14は、有効電力Poutの値を判定する。
【0048】
ステップS3で有効電力Poutの値が0である場合、制御装置14は、ステップS4の動作を行う。ステップS4では、制御装置14は、Vを電圧基準として運転する。その後、制御装置14は、ステップS2の動作を行う。
【0049】
ステップS3で有効電力Poutの値が0でない場合、制御装置14は、ステップS5の動作を行う。ステップS5では、制御装置14は、有効電力Poutにゲインk1を乗じてVから減じる。その後、制御装置14は、ステップS6の動作を行う。ステップS6では、制御装置14は、V-k1×Poutを電圧基準として運転する。その後、制御装置14は、ステップS2の動作を行う。
【0050】
次に、図5を用いて、電力変換器7を電圧源として制御する際の運転周波数の決定方法を説明する。この際の処理は、制御装置14の制御部16で行われる。
図5は実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電圧源としての運転周波数の決定方法を説明するためのフローチャートである。
【0051】
ステップS11では、制御装置14は、運転周波数fで運転を開始する。その後、制御装置14は、ステップS12の動作を行う。ステップS12では、制御装置14は、無効電力Qoutを検出する。その後、制御装置14は、ステップS13の動作を行う。ステップS13では、制御装置14は、無効電力Qoutの値を判定する。
【0052】
ステップS13で無効電力Qoutの値が0である場合、制御装置14は、ステップS14の動作を行う。ステップS14では、制御装置14は、fを運転周波数として運転する。その後、制御装置14は、ステップS12の動作を行う。
【0053】
ステップS13で無効電力Qoutの値が0でない場合、制御装置14は、ステップS15の動作を行う。ステップS15では、制御装置14は、無効電力Qoutにゲインk2を乗じてfに加える。その後、制御装置14は、ステップS16の動作を行う。ステップS16では、f+k2×Qoutを運転周波数として運転する。その後、制御装置14は、ステップS12の動作を行う。
【0054】
次に、図6を用いて、電力変換器7を電流源として制御する際の出力有効電力の決定方法を説明する。この際の処理は、制御装置14の制御部16で行われる。
図6は実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電流源としての出力有効電力の決定方法を説明するためのフローチャートである。
【0055】
ステップS21では、制御装置14は、0を有効電力基準Prefとして運転を開始する。その後、制御装置14は、ステップS22の動作を行う。ステップS22では、制御装置14は、系統電圧Vを検出する。その後、制御装置14は、ステップS23の動作を行う。ステップS23では、制御装置14は、系統電圧Vの値を判定する。
【0056】
ステップS23で系統電圧Vの値が定格電圧Vの値と同じである場合、制御装置14は、ステップS24の動作を行う。ステップS24では、制御装置14は、有効電力基準Prefを0として運転する。その後、制御装置14は、ステップS22の動作を行う。
【0057】
ステップS23で系統電圧Vの値が定格電圧Vの値と同じでない場合、制御装置14は、ステップS25の動作を行う。ステップS25では、制御装置14は、定格電圧Vから系統電圧Vを差し引いてゲインk3を乗じる。その後、制御装置14は、ステップS26の動作を行う。ステップS26では、(V-V)×k3を有効電力基準Prefとして運転する。その後、制御装置14は、ステップS22の動作を行う。
【0058】
次に、図7を用いて、電力変換器7を電流源として制御する際の出力無効電力の決定方法を説明する。この際の処理は、制御装置14の制御部16で行われる。
図7は実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電流源としての出力無効電力の決定方法を説明するためのフローチャートである。
【0059】
ステップS31では、制御装置14は、0を無効電力基準Qrefとして運転を開始する。その後、制御装置14は、ステップS32の動作を行う。ステップS32では、制御装置14は、系統周波数fを検出する。その後、制御装置14は、ステップS33の動作を行う。ステップS33では、制御装置14は、系統周波数fの値を判定する。
【0060】
ステップS33で系統周波数fの値が定格周波数fの値と同じである場合、制御装置14は、ステップS34の動作を行う。ステップS34では、制御装置14は、0を無効電力基準Qrefとして運転する。その後、制御装置14は、ステップS32の動作を行う。
【0061】
ステップS33で系統周波数fの値が定格周波数fの値と同じでない場合、制御装置14は、ステップS35の動作を行う。ステップS35では、制御装置14は、系統周波数fから定格周波数fを差し引いてゲインk4を乗じる。その後、制御装置14は、ステップS36の動作を行う。ステップS36では、(f-f)×k4を無効電力基準Qrefとして運転する。その後、制御装置14は、ステップS22の動作を行う。
【0062】
以上で説明した実施の形態1によれば、制御装置14は、複数の電力変換器7が並列で接続された状態において電圧源として制御対象の電力変換器7を自立運転させる場合は、当該制御対象の電力変換器7が出力する有効電力と無効電力とに基づいて当該制御対象が出力する電圧の振幅と周波数とを制御する。制御装置14は、複数の電力変換器7が並列で接続された状態において電流源として当該制御対象の電力変換器7を連系運転させる場合は、複数の電力変換器7の連系点の電圧の振幅と周波数とに基づいて連系点での有効電力および無効電力の過不足を補うように当該制御対象の電力変換器7が出力する有効電力および無効電力を制御する。このため、複数の電力変換装器が並列で接続された状態において、複数の電力変換器7に対する共通の制御装置、それぞれの制御装置14の間で情報のやり取り、負荷4の消費電力の検出を要することなく、複数の電力変換器7から負荷4に対して適切に電力を供給することができる。
【0063】
具体的には、制御装置14は、複数の電力変換器7が並列で接続された状態において電圧源として制御対象の電力変換器7を自立運転させる場合は、当該制御対象の電力変換器7が出力する有効電力に基づいて当該制御対象が出力する電圧の振幅を制御し、当該制御対象の電力変換器7が出力する無効電力に基づいて当該制御対象が出力する電圧の周波数を制御する。制御装置14は、複数の電力変換器7が並列で接続された状態において電流源として当該制御対象の電力変換器7を連系運転させる場合は、複数の電力変換器7の連系点の電圧の振幅に基づいて当該制御対象の電力変換器7が出力する有効電力を制御し、複数の電力変換器7の連系点の電圧の周波数に基づいて当該制御対象の電力変換器7が出力する無効電力を制御する。このため、複数の電力変換器に対する共通の制御装置を要することなく、複数の電力変換器7に対する共通の制御装置を要することなく、複数の電力変換器7から負荷4に対してより適切に電力を供給することができる。
【0064】
次に、図8を用いて、制御装置14の例を説明する。
図8は実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置のハードウェア構成図である。
【0065】
制御装置14の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える。
【0066】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える場合、制御装置14の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ100bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ100aは、少なくとも1つのメモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置14の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ100aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ100bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0067】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、制御装置14の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、制御装置14の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0068】
制御装置14の各機能について、一部を専用のハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、制御部16の機能については専用のハードウェア200としての処理回路で実現し、制御部16の機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ100aが少なくとも1つのメモリ100bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0069】
このように、処理回路は、ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで制御装置14の各機能を実現する。
【0070】
実施の形態2.
図9は実施の形態2における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電圧源としての自立運転制御ブロックである。図10は実施の形態2における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電流源としての連系運転制御ブロックである。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0071】
図9は、電力変換器7を電圧源として制御する際の方法を説明するための図である。図9に示されるように、制御装置14は、第3増幅器39と第4増幅器40と第8減算器41と第2積分器42と第2UVW/dq変換器43と第2加算器44と第9減算器45と第5d軸電圧制御器46と第10減算器47と第5q軸電圧制御器48と第3dq/UVW変換器49とを備える。
【0072】
第3増幅器39は、無効電力フィードバックの値の情報の入力を受け付ける。第3増幅器39は、有効電力フィードバックにゲインk1を乗じた値の情報を出力する。
【0073】
第4増幅器40は、有効電力フィードバックの値の情報の入力を受け付ける。第4増幅器40は、有効電力フィードバックにゲインk2を乗じた値の情報を出力する。
【0074】
第8減算器41は、定格周波数f0の値(固定値)の情報の入力を受け付ける。第8減算器41は、第4増幅器40の出力値の情報の入力を受け付ける。第8減算器41は、定格周波数fの値から第4増幅器40の出力値を減じた値の情報を出力する。
【0075】
第2積分器42は、第8減算器41の出力値の情報の入力を受け付ける。第2積分器42は、第8減算器41の出力値に基づいた位相情報を出力する。
【0076】
第2UVW/dq変換器43は、インバータ出力電圧の値の情報の入力を受け付ける。第2UVW/dq変換器43は、第2積分器42からの位相情報の入力を受け付ける。第2UVW/dq変換器43は、インバータ出力電圧の値の情報と位相情報とに基づいたd軸電流フィードバックの値とq軸電圧フィードバックの値との情報を出力する。
【0077】
第2加算器44は、第3増幅器39の出力値の情報の入力を受け付ける。第2加算器44は、出力電圧基準Vの値(定格電圧・固定値)の情報の入力を受け付ける。第2加算器44は、第3増幅器39の出力値と出力電圧基準Vの値とを加えた値の情報を出力する。
【0078】
第9減算器45は、第2加算器44の出力値の情報の入力を受け付ける。第9減算器45は、第2UVW/dq変換器43からのd軸電圧フィードバックの値の情報の入力を受け付ける。第9減算器45は、第2加算器44の出力値からd軸電圧フィードバックの値を減じた値の情報を出力する。
【0079】
第5d軸電圧制御器46は、第9減算器45の出力値の情報の入力を受け付ける。第5d軸電圧制御器46は、第9減算器45の出力値に基づいたd軸電圧指令値の情報を出力する。
【0080】
第10減算器47は、値0の情報の入力を受け付ける。第10減算器47は、第2UVW/dq変換器43からのq軸電圧フィードバックの値の情報の入力を受け付ける。第10減算器47は、値0からq軸電圧フィードバックの値を減じた値の情報を出力する。
【0081】
第5q軸電圧制御器48は、第10減算器47の出力値の情報の入力を受け付ける。第5q軸電圧制御器48は、第10減算器47の出力値に基づいたq軸電圧指令値の情報を出力する。
【0082】
第3dq/UVW変換器49は、第5d軸電圧制御器46からのd軸電圧指令値の情報の入力を受け付ける。第3dq/UVW変換器49は、第5q軸電圧制御器48からのq軸電圧指令値の情報の入力を受け付ける。第3dq/UVW変換器49は、第2積分器42からの位相情報の入力を受け付ける。第3dq/UVW変換器49は、d軸電圧指令値とq軸電圧指令値と位相情報とに基づいた3相電圧指令値を生成し、これらはゲートパルス発生回路に伝達される。
【0083】
図10は、電力変換器7を電流源として制御する際の方法を説明するための図である。図10に示されるように、制御装置14は、第11減算器50と第3ローパスフィルタ器51と第12減算器52と第2有効電力制御器53と第6d軸電流制御器54と第13減算器55と第4ローパスフィルタ器56と第14減算器57と第2無効電力制御器58と第6q軸電流制御器59と第4dq/UVW変換器60とを備える。
【0084】
第11減算器50は、定格周波数 の値(固定値)の情報の入力を受け付ける。第11減算器50は、PLLにより検出された系統周波数fsの値の情報の入力を受け付ける。第11減算器50は、定格周波数f0の値から系統周波数fsの値を減じた値の情報を出力する。
【0085】
第3ローパスフィルタ器51は、第11減算器50の出力値の情報の入力を受け付ける。第3ローパスフィルタ器51は、第11減算器50の出力値のうちの低域周波数の領域に対応した値にゲインk3を乗じた値の情報を出力する。
【0086】
第12減算器52は、第3ローパスフィルタ器51の出力値の情報の入力を受け付ける。第12減算器52は、有効電力フィードバックの値の情報の入力を受け付ける。第12減算器52は、第3ローパスフィルタ器51の出力値から有効電力フィードバックの値を減じた値の情報を出力する。
【0087】
第2有効電力制御器は、第12減算器52の出力値の情報の入力を受け付ける。第2有効電力制御器は、第12減算器52の出力値に基づいた有効電流基準の情報を出力する。
【0088】
第6d軸電流制御器54は、第2有効電力制御器からの有効電流基準の値から有効電力フィードバックの値を減じた値の情報の入力を受け付ける。第6d軸電流制御器54は、有効電流基準に基づいたd軸電圧指令値の情報を出力する。
【0089】
第13減算器55は、系統電圧Vの値の情報の入力を受け付ける。第13減算器55は、定格電圧Vの値(固定値)の情報の入力を受け付ける。第13減算器55は、系統電圧Vの値から定格電圧Vの値を減じた値の情報を出力する。
【0090】
第4ローパスフィルタ器56は、第13減算器55の出力値の情報の入力を受け付ける。第4ローパスフィルタ器56は、第13減算器55の出力値のうちの低域周波数の領域に対応した値にゲインk4を乗じた値の情報を出力する。
【0091】
第14減算器57は、第4ローパスフィルタ器56の出力値の情報の入力を受け付ける。第14減算器57は、無効電力フィードバックの値の情報の入力を受け付ける。第14減算器57は、第4ローパスフィルタ器56の出力値から無効電力フィードバックの値を減じた値の情報を出力する。
【0092】
第2無効電力制御器58は、第14減算器57の出力値の情報の入力を受け付ける。第2無効電力制御器58は、第14減算器57の出力値に基づいた無効電流基準の情報を出力する。
【0093】
第6q軸電流制御器59は、第2無効電力制御器58からの無効電流基準の値から無効電力フィードバックの値を減じた値の情報の入力を受け付ける。第6q軸電流制御器59は、無効電流基準に基づいたq軸電圧指令値の情報を出力する。
【0094】
第4dq/UVW変換器60は、第6d軸電流制御器54からのd軸電圧指令値の情報の入力を受け付ける。第4dq/UVW変換器60は、第6q軸電流制御器59からのq軸電圧指令値の情報の入力を受け付ける。第4dq/UVW変換器60は、PLLにより検出された位相情報の入力を受け付ける。第4dq/UVW変換器60は、d軸電圧指令値とq軸電圧指令値と位相情報とに基づいた3相電圧指令値を生成し、これらはゲートパルス発生回路に伝達される。
【0095】
次に、図11を用いて、電力変換器7を電圧源として制御する際の出力電圧の振幅の決定方法を説明する。この際の処理は、制御装置14の制御部16で行われる。
図11は実施の形態2における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電圧源としての出力電圧の振幅の決定方法を説明するためのフローチャートである。
【0096】
ステップS41では、制御装置14は、電圧基準Vで運転を開始する。その後、制御装置14は、ステップS42の動作を行う。ステップS42では、制御装置14は、無効電力Qoutを検出する。その後、制御装置14は、ステップS43の動作を行う。ステップS43では、制御装置14は、無効電力Qoutの値を判定する。
【0097】
ステップS43で無効電力Qoutの値が0である場合、制御装置14は、ステップS44の動作を行う。ステップS44では、制御装置14は、Vを電圧基準として運転する。その後、制御装置14は、ステップS42の動作を行う。
【0098】
ステップS43で無効電力Qoutの値が0でない場合、制御装置14は、ステップS45の動作を行う。ステップS45では、制御装置14は、無効電力Qoutにゲインk1を乗じてVに加える。その後、制御装置14は、ステップS46の動作を行う。ステップS46では、V+k1×Qoutを電圧基準として運転する。その後、制御装置14は、ステップS42の動作を行う。
【0099】
次に、図12を用いて、電力変換器7を電圧源として制御する際の運転周波数の決定方法を説明する。この際の処理は、制御装置14の制御部16で行われる。
図12は実施の形態2における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電圧源としての運転周波数の決定方法を説明するためのフローチャートである。
【0100】
ステップS51では、制御装置14は、運転周波数fで運転を開始する。その後、制御装置14は、ステップS52の動作を行う。ステップS52では、制御装置14は、有効電力Poutを検出する。その後、制御装置14は、ステップS53の動作を行う。ステップS53では、制御装置14は、有効電力Poutの値を判定する。
【0101】
ステップS53で有効電力Poutの値が0である場合、制御装置14は、ステップS54の動作を行う。ステップS54では、制御装置14は、fを運転周波数として運転する。その後、制御装置14は、ステップS52の動作を行う。
【0102】
ステップS53で有効電力Poutの値が0でない場合、制御装置14は、ステップS55の動作を行う。ステップS55では、制御装置14は、有効電力Poutにゲインk2を乗じてfから減じる。その後、制御装置14は、ステップS56の動作を行う。ステップS56では、f-k2×Poutを運転周波数として運転する。その後、制御装置14は、ステップS52の動作を行う。
【0103】
次に、図13を用いて、電力変換器7を電流源として制御する際の出力有効電力の決定方法を説明する。この際の処理は、制御装置14の制御部16で行われる。
図13は実施の形態2における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電流源としての出力有効電力の決定方法を説明するためのフローチャートである。
【0104】
ステップS61では、制御装置14は、0を有効電力基準Prefとして運転を開始する。その後、制御装置14は、ステップS62の動作を行う。ステップS62では、制御装置14は、系統周波数fを検出する。その後、制御装置14は、ステップS63の動作を行う。ステップS63では、制御装置14は、系統周波数fの値を判定する。
【0105】
ステップS63で系統周波数fの値が定格周波数fの値と同じである場合、制御装置14は、ステップS64の動作を行う。ステップS64では、制御装置14は、有効電力基準Prefを0として運転する。その後、制御装置14は、ステップS62の動作を行う。
【0106】
ステップS63で系統周波数fの値が定格周波数fの値と同じでない場合、制御装置14は、ステップS65の動作を行う。ステップS65では、制御装置14は、定格周波数fから系統周波数fを差し引いてゲインk3を乗じる。その後、制御装置14は、ステップS66の動作を行う。ステップS66では、制御装置14は、(f-f)×k3を有効電力基準Prefとして運転する。その後、制御装置14は、ステップS62の動作を行う。
【0107】
次に、図14を用いて、電力変換器7を電流源として制御する際の出力無効電力の決定方法を説明する。この際の処理は、制御装置14の制御部16で行われる。
図14は実施の形態1における電力変換システムの電力変換装置の制御装置による電流源としての出力無効電力の決定方法を説明するためのフローチャートである。
【0108】
ステップS71では、制御装置14は、0を無効電力基準Qrefとして運転を開始する。その後、制御装置14は、ステップS72の動作を行う。ステップS72では、制御装置14は、系統電圧Vを検出する。その後、制御装置14は、ステップS73の動作を行う。ステップS73では、制御装置14は、系統電圧Vの値を判定する。
【0109】
ステップS73で系統電圧Vの値が定格電圧Vの値と同じである場合、制御装置14は、ステップS74の動作を行う。ステップS74では、制御装置14は、0を無効電力基準Qrefとして運転する。その後、制御装置14は、ステップS72の動作を行う。
【0110】
ステップS73で系統電圧Vの値が定格電圧Vの値と同じでない場合、制御装置14は、ステップS75の動作を行う。ステップS75では、制御装置14は、系統電圧Vから定格電圧Vを差し引いてゲインk4を乗じる。その後、制御装置14は、ステップS76の動作を行う。ステップS76では、(V-V)×k4を無効電力基準Qrefとして運転する。その後、制御装置14は、ステップS72の動作を行う。
【0111】
以上で説明した実施の形態2によれば、制御装置14は、複数の電力変換器7が並列で接続された状態において電圧源として制御対象の電力変換器7を自立運転させる場合は、当該制御対象の電力変換器7が出力する無効電力に基づいて当該制御対象が出力する電圧の振幅を制御し、当該制御対象の電力変換器7が出力する有効電力に基づいて当該制御対象が出力する電圧の周波数を制御する。制御装置14は、複数の電力変換器7が並列で接続された状態において電流源として当該制御対象の電力変換器7を連系運転させる場合は、複数の電力変換器7の連系点の電圧の周波数に基づいて当該制御対象の電力変換器7が出力する有効電力を制御し、複数の電力変換器7の連系点の電圧の振幅に基づいて当該制御対象の電力変換器7が出力する無効電力を制御する。このため、複数の電力変換器7に対する共通の制御装置を要することなく、複数の電力変換器7から負荷4に対してより適切に電力を供給することができる。
【0112】
なお、実施の形態1および実施の形態2の制御装置14の制御部16において、電流源として当該制御対象の電力変換器7を連系運転させる場合は、複数の電力変換器7の連系点の電圧の振幅と周波数とに基づいて当該制御対象の電力変換器7が出力する有効電力および無効電力を制御する際の応答時間を必要な応答範囲内で調整してもよい。この場合、検出器の微小な検出誤差、制御装置14の演算タイミングの微小なずれ等により、一部の電力変換器7が電力を過剰に供給して、他の電力変換器7が当該電力を吸収することを抑制できる。このため、電流源として機能する複数の電力変換器7の間で電力の授受が発生することを抑制できる。
【0113】
例えば、電流源として機能する複数の電力変換器7に対応した制御装置14の制御部16において、複数の電力変換器7の連系点の電圧の振幅と周波数とに基づいてそれぞれの電力変換器7が出力する有効電力および無効電力を制御する際の応答時間の差が等しくなるように設定してもよい。この場合、電流源として機能する複数の電力変換器7の間で電力の授受が発生することを抑制できる。
【0114】
例えば、電流源として機能する複数の電力変換器7に対応した制御装置14の制御部16において、複数の電力変換器7の連系点の電圧の振幅と周波数とに基づいてそれぞれの電力変換器7が出力する有効電力および無効電力を制御する際の応答時間の比が等しくなるように設定してもよい。この場合、電流源として機能する複数の電力変換器7の間で電力の授受が発生することを抑制できる。
【0115】
例えば、電流源として機能する複数の電力変換器7に対応した制御装置14の制御部16において、複数の電力変換器7の連系点の電圧の振幅と周波数とに基づいてそれぞれの電力変換器7が出力する有効電力および無効電力を制御する際の応答時間を乱数により設定してもよい。この場合、電流源として機能する複数の電力変換器7の間で電力の授受が発生することを抑制できる。
【0116】
例えば、電流源として機能する複数の電力変換器7に対応した制御装置14の制御部16において、複数の電力変換器7の連系点の電圧の振幅と周波数とに基づいてそれぞれの電力変換器7が出力する有効電力および無効電力を制御する際の応答時間を予め設定した条件により変化させてよい。例えば、一定時間ごとに応答時間を変化させてもよい。この場合、応答時間の早い電力変換器7が先に応答し、応答時間の遅い電力変換器7が後から応答することで、直流電源1の電力消費にばらつきが出ることを抑制できる。このため、複数の電力変換器7の稼働率をより均一にすることができる。その結果、電力変換システムを安定して運用することができる。
【0117】
なお、電力変換器7の方式は、限定されない。例えば、単相の電力変換器7でもよい。例えば、2レベルの電力変換器7でもよい。例えば、中性点クランプ式マルチレベルの変力変換器でもよい。例えば、中性点スイッチ方式マルチレベルの電力変換器7でもよい。例えば、並列多重の電力変換器7でもよい。例えば、直列多重の電力変換器7でもよい。これらの場合でも、複数の電力変換器7から負荷4に対して適切に電力を供給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上のように、本開示の電力変換装置6の制御装置14および電力変換システムは、電力を変換するシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0119】
1 直流電源、 2 系統、 3 変圧装置、 4 負荷、 5 開閉装置、6 電力変換装置、 7 電力変換器、 8 高調波フィルタ、9 開閉器、 10 第1電流検出器、 11 第2電流検出器、 12 第1電圧検出器、 13 第2電圧検出器、 14 制御装置、 15、電圧認識部、 16 制御部、 17 第1増幅器、 18 第2増幅器、 19 第1加算器、 20 第1積分器、 21 第1UVW/dq変換器、 22 第1減算器、 23 第2減算器、 24 第1d軸電圧制御器、 25 第3減算器、 26 第1q軸電圧制御器、 27 第1dq/UVW変換器、 28 第4減算器、 29 第1ローパスフィルタ器、 30 第5減算器、 31 第1有効電力制御器、 32 第2d軸電流制御器、 33 第6減算器、 34 第2ローパスフィルタ器、 35 第7減算器、 36 第1無効電力制御器、 37 第2q軸電流制御器、 38 第2dq/UVW変換器、 39 第3増幅器、 40 第4増幅器、 41 第8減算器、 42 第2積分器、 43 第2UVW/dq変換器、 44 第2加算器、 45 第9減算器、 46 第5d軸電圧制御器、 47 第10減算器、 48 第5q軸電圧制御器、 49 第3dq/UVW変換器、 50 第11減算器、 51 第3ローパスフィルタ器、 52 第12減算器、 53 第2有効電力制御器、 54 第6d軸電流制御器、 55 第13減算器、 56 第4ローパスフィルタ器、 57 第14減算器、 58 第2無効電力制御器、 59 第6q軸電流制御器、 60 第4dq/UVW変換器、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 ハードウェア
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