(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】無停電電源装置システム
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20230912BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230912BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20230912BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H02J9/06 120
H02J3/38 110
H02J3/46
H02J7/34 G
(21)【出願番号】P 2019122776
(22)【出願日】2019-07-01
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康司
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 良介
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 寿勝
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/033820(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/169046(WO,A1)
【文献】特開2018-153076(JP,A)
【文献】特開2010-166654(JP,A)
【文献】特開2013-223402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
H02J 3/38
H02J 3/46
H02J 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に並列に接続され、前記負荷に電力を供給し、常用器N台及び予備器M台で構成される複数の無停電電源装置と、
前記複数の無停電電源装置の運転・停止を制御する制御部と、
前記複数の無停電電源装置に接続される蓄電池と
を備え、
前記無停電電源装置は、
交流電源の交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータで変換された直流電力又は前記蓄電池からの直流電力を交流電力に変換して前記負荷に供給するインバータ
を備え、
前記無停電電源装置は、前記負荷が必要とする電力を実際に稼働する前記常用器と前記予備器の合計である稼働台数で供給し、且つ実際に稼働する常用器の台数を少なくとも1台以上で
総損失電力に基づいて可変し、最も少ない総損失電力となる稼働台数で運転
する
無停電電源装置システム。
【請求項2】
前記制御部は、
負荷率に対する効率を表す変換効率に基づき、前記複数の無停電電源装置が稼働予定台数L台で前記負荷に給電した場合のシステムの総損失電力を算出する総損失電力算出部と、
前記総損失電力算出部で算出された稼働予定台数L台での給電時の第1の総損失電力と、稼働予定台数L台を1台停止し稼働予定台数をL-1台とした時の給電時の第2の総損失電力とを比較する総損失電力比較部と、
第1の総損失電力が第2の総損失電力より高い時は稼働予定台数を1台減じて前記総損失電力算出部で総損失電力を算出し、第1の総損失電力が第2の総損失電力より低い時の台数を稼働台数Kに決定し、決定された稼働台数Kとなるように前記複数の無停電電源装置を運転又は停止させる運転台数制御部と
を備
える
請求項1記載の無停電電源装置システム。
【請求項3】
負荷に並列に接続され、前記負荷に電力を供給し、常用器N台及び予備器M台で構成される複数の無停電電源装置と、
前記複数の無停電電源装置の運転・停止を制御する制御部と、
前記複数の無停電電源装置に接続される蓄電池と
を備え、
前記無停電電源装置は、
交流電源の交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータで変換された直流電力又は前記蓄電池からの直流電力を交流電力に変換して前記負荷に供給するインバータと
を備え、
前記無停電電源装置は、前記負荷が必要とする電力を実際に稼働する前記常用器と前記予備器の合計である稼働台数で供給し、且つ実際に稼働する常用器の台数を少なくとも1台以上で可変し、最も少ない総損失電力となる稼働台数で運転し、
前記制御部は、
負荷率に対する効率を表す変換効率に基づき、前記複数の無停電電源装置が稼働予定台数L台で前記負荷に給電した場合のシステムの総損失電力を算出する総損失電力算出部と、
前記総損失電力算出部で算出された稼働予定台数L台での給電時の第1の総損失電力と、稼働予定台数L台を1台停止し稼働予定台数をL-1台とした時の給電時の第2の総損失電力とを比較する総損失電力比較部と、
第1の総損失電力が第2の総損失電力より高い時は稼働予定台数を1台減じて前記総損失電力算出部で総損失電力を算出し、第1の総損失電力が第2の総損失電力より低い時の台数を稼働台数Kに決定し、決定された稼働台数Kとなるように前記複数の無停電電源装置を運転又は停止させる運転台数制御部と
を備える
無停電電源装置システム。
【請求項4】
前記総損失電力算出部は、前記無停電電源装置1台当たりの給電電力と1台当たりの消費電力と前記変換効率とに基づき、稼働予定台数Lで前記負荷に給電した場合のシステムの総損失電力を算出
する請求項2または3記載の無停電電源装置システム。
【請求項5】
前記制御部は、
稼働台数K台が決定すると、時間をカウントするカウンタと、
前記カウンタでカウントされた時間が指定時間を超えたかどうかを判定し、カウントされた時間が指定時間を超えた場合には、前記総損失電力算出部に対して総損失を算出させる時間判定部と、
を備
える
請求項2乃至4のいずれか1項記載の無停電電源装置システム。
【請求項6】
前記制御部は、現在時刻の第1負荷電力と前記現在時刻よりも所定時間前の第2負荷電力とを比較し、前記第1負荷電力と前記第2負荷電力とが同一値である場合には、前記カウンタに対して時間をカウント
させる請求項5記載の無停電電源装置システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数の無停電電源装置を停止させる場合に、前記インバータのみを停止
させる請求項1乃至6のいずれか1項記載の無停電電源装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無停電電源装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無停電電源装置システムにおいて、システムの信頼性を向上させるために、複数の無停電電源装置を並列に接続して冗長運転させる方式が知られている(特許文献1)。
【0003】
図6は、特許文献1に記載された無停電電源装置システムの概略構成図である。
図6において、複数の無停電電源装置(UPS)1-1~1-3は、並列に接続され、入力側には交流電源2が接続され、出力側には負荷3が接続されている。
【0004】
複数の無停電電源装置1-1~1-3は、交流電源2の交流を直流に変換するコンバータ11-1~11-3と、コンバータ11-1~11-3で変換された直流を交流に変換し変換された交流を負荷3に供給するインバータ12-1~12-3とで構成されている。
【0005】
特許文献1では、
図7に示すフローチャートに示すように、電力量合計が第1定格電力量合計よりも大きい場合に(ステップS52のYES)、インバータを起動する(ステップS53)。電力量合計が第1定格電力量合計よりも小さい場合に(ステップS52のNO)、第2定格電力量合計が電力量合計よりも大きいかどうかを判定する(ステップS54)。
【0006】
第2定格電力量合計が電力量合計よりも大きい場合に(ステップS54のYES)、インバータを停止する(ステップS55)。このように、
図7に示すフローチャートによって、無停電電源装置の運転制御を行い、システム全体の省エネを図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、無停電電源装置の負荷率に対する効率を効率カーブによっては、負荷の条件次第で、無停電電源装置が2台で運転するよりも、無停電電源装置が3台で運転した方がシステムとしての効率が上がる条件がある。
【0009】
効率カーブには、
図8(a)に示すように、負荷率が大きくなるに従って効率が大きくなる効率カーブや
図8(b)に示すように、所定の負荷率で効率が最大となる効率カーブがある。
図8(b)に示す効率カーブの場合には、無停電電源装置が2台で運転するよりも、無停電電源装置が3台で運転した方がシステム効率が上がる。
【0010】
本発明の課題は、システムの総損失電力が最小となる台数の無停電電源装置で運転することできる無停電電源装置システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る無停電電源装置システムは、負荷に並列に接続され、前記負荷に電力を供給し、常用器N台及び予備器M台で構成される複数の無停電電源装置と、前記複数の無停電電源装置の運転・停止を制御する制御部と、前記複数の無停電電源装置に接続される蓄電池とを備え、前記無停電電源装置は、交流電源の交流電力を直流電力に変換するコンバータと、前記コンバータで変換された直流電力又は前記蓄電池からの直流電力を交流電力に変換して前記負荷に供給するインバータを備え、負荷が必要とする電力を実際に稼働する前記常用器と前記予備器の合計である稼働台数で供給し、且つ実際に稼働する常用器の台数を少なくとも1台以上で可変し、最も少ない総損失電力となる稼働台数で運転することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、常用器と予備器の合計である稼働台数で供給し、且つ実際に稼働する常用器の台数を少なくとも1台以上で可変し、最も少ない総損失電力となる稼働台数で運転する。従って、システムの総損失電力が最小となる台数の無停電電源装置で運転できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る無停電電源装置システムの構成ブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る無停電電源装置システムの制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る無停電電源装置システムの構成ブロック図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る無停電電源装置システムの制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第3の実施形態に係る無停電電源装置システムの制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図6】従来の無停電電源装置システムの構成を示す図である。
【
図7】
図6に示す無停電電源装置システムの無停電電源装置の運転制御を示すフローチャートである。
【
図8】無停電電源装置の負荷率に対する効率カーブの2つの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る無停電電源装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無停電電源装置システムの構成ブロック図である。
図1に示す無停電電源装置システムは、複数の無停電電源装置1-1~1-3と、制御部15と、蓄電池4とを備えている。複数の無停電電源装置は、3つに限定されることなく、4つ以上であっても良い。
【0016】
複数の無停電電源装置1-1~1-3は、並列に接続され、負荷3に電力を供給する。制御部15は、複数の無停電電源装置1-1~1-3からの計測情報に基づき複数の無停電電源装置1-1~1-3の運転・停止を制御する。蓄電池4は、複数の無停電電源装置1-1~1-3に接続される。
【0017】
複数の無停電電源装置1-1~1-3は、交流電源2の交流電力を直流電力に変換するコンバータ11-1~11-3と、コンバータ11-1~11-3で変換された直流電力又は蓄電池4からの直流電力を交流電力に変換して負荷3に供給するインバータ12-1~12-3を備えている。
【0018】
複数の無停電電源装置1-1~1-3は、負荷が必要とする電力を実際に稼働する常用器Nと予備器Mとの合計である稼働台数で供給し、且つ実際に稼働する常用器の台数を少なくとも1台以上で可変し、最も少ない総損失電力となる稼働台数で運転する。但し一般的には、予備器Mは通常1台から2台の固定とすることが多い。
【0019】
制御部15は、無停電電源装置の効率カーブ(負荷率に対する効率を表す変換効率)をテーブル化したものを記憶し、変換効率と給電電力と消費電力に基づきシステムの総損失電力を算出し、総損失電力に基づき無停電電源装置の運転制御を行う。このため、制御部15は、メモリ21と、総損失電力算出部22と、総損失電力比較部23と、運転台数制御部24とを備えている。メモリ21は、
図8(b)に示すような負荷率に対する効率を表す変換効率を記憶する。
【0020】
総損失電力算出部22は、メモリ21に記憶された変換効率を読み出し、この変換効率と無停電電源装置1台当たりの給電電力と1台当たりの消費電力とに基づき、常用器Nと予備器Mとで構成される複数の無停電電源装置が稼働予定台数L台で負荷3に給電した場合のシステムの総損失電力を算出する。
【0021】
総損失電力比較部23は、総損失電力算出部22で算出された稼働予定台数L台給電時の第1の総損失電力と、稼働予定台数L台を1台停止し稼働予定台数をL-1台とした時の給電時の第2の総損失電力とを比較する。
【0022】
運転台数制御部24は、第1の総損失電力が第2の総損失電力より高い時は稼働予定台数を1台減じて総損失電力算出部22で総損失電力を算出し、第1の総損失電力が第2の総損失電力より低い時の台数を稼働台数Kに決定し、決定された稼働台数Kとなるように複数の無停電電源装置1-1~1-3を運転又は停止させる。
【0023】
次に、このように構成された第1の実施形態に係る無停電電源装置システムの制御部15の処理を
図2に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0024】
ここでは、3台以上の無停電電源装置で構成される無停電電源装置システムにおいて、負荷電力が1台停止させてもインバータ給電可能な条件が成立した場合、以下の処理を行う。以下の例では、複数の無停電電源装置で構成される無停電電源装置システムを例示する。
【0025】
まず、所定の台数の無停電電源装置を起動する(ステップS11)。この時負荷の容量が不明のときは最大台数を起動する。次に、制御部15は、以下の計算式(1)に従って、実システム容量を算出する。以下の説明では予備器はM台とする。
【0026】
実システム容量=システム容量×(稼働台数-予備器M)/(常用無停電電源装置台数)
システム容量=無停電電源装置容量×常用無停電電源装置台数 …(1)
即ち、制御部15は、実システム容量=無停電電源装置容量×(稼働台数-予備器M)を算出する(ステップS12)。
【0027】
制御部15は、実システム容量が実負荷容量よりも大きいかどうかを判定する(ステップS13)。実システム容量が実負荷容量よりも大きい場合には(ステップS13のYES)、総損失電力算出部22は、メモリ21から読み出した変換効率と無停電電源装置1台当たりの給電電力と1台当たりの消費電力とに基づき、常用器Nと予備器Mとで構成される複数の無停電電源装置が稼働予定台数L台で負荷3に給電した場合のシステムの総損失電力を算出する(ステップS14)。
【0028】
具体的には、総損失電力算出部22は、以下に示す計算式(2)により無停電電源装置1台当たりの給電電力を算出する。
【0029】
2台で給電した場合、1台当たりの給電電力Pout2=Pload/2
(L-1)台で給電した場合、1台当たりの給電電力
PoutL-1=Pload/(L-1)
L台で給電した場合、1台当たりの給電電力
Pout
L
=Pload/L …(2)
ここで、Ploadは負荷電力である。
【0030】
次に、総損失電力算出部22は、以下に示す計算式(3)により無停電電源装置1台当たりの消費電力を算出する。
【0031】
2台で給電した場合、1台当たりの消費電力
Ploss2=((1/η)-1)×Pout2
(L-1)台で給電した場合、1台当たりの消費電力
Ploss(L-1)=((1/η)-1)×Pout(L-1)
L台で給電した場合、1台当たりの消費電力
PlossL=((1/η)-1)×PoutL …(3)
ここで、ηは、予め測定された情報で、メモリ21に記憶されたPoutでの変換効率である。
【0032】
次に、総損失電力算出部22は、以下に示す計算式(4)によりシステムの総損失電力を算出する。
【0033】
2台で給電した場合のシステムの総損失電力
Plossall2=Ploss2×2
(L-1)台で給電した場合のシステムの総損失電力
Plossall(L-1)=Ploss (L-1) ×(L-1)
L台で給電した場合のシステムの総損失電力
PlossallL=PlossL ×L …(4)
【0034】
次に、総損失電力比較部23は、総損失電力算出部22で算出されたL台給電時の総損失電力と(L-1)台給電時の総損失電力とを比較する(ステップS15)。L台給電時の総損失電力が(L-1)台給電時の総損失電力よりも小さい場合には(ステップS15のYES)、複数の無停電電源装置を稼働台数Kに決定する(ステップS17)。
【0035】
一方、L台給電時の総損失電力が(L-1)台給電時の総損失電力よりも大きい場合には稼働台数を減らして総損失電力が小さくなる可能性が有る。そこで、ステップS15のNOの場合は、稼働予定台数L台を1台減らし(ステップS16)、再びステップS14及びステップS15にて、L台給電時の総損失電力とL-1)台給電時の総損失電力を比較する。L台給電時の総損失電力が(L-1)台給電時の総損失電力よりも小さくなるか、又は常用器が稼働する台数が1台になるまでステップS14、ステップS15、ステップS16を繰り返し、稼働台数Kを決定する。
【0036】
このように、運転台数制御部24は、L台給電時の総損失電力が(L-1)台給電時の総損失電力よりも小さくなったときのL台を稼働台数Kに決定し(ステップS17)、決定された稼働台数Kとなるように複数の無停電電源装置を運転又は停止させる(ステップS18)。
【0037】
従って、システムの総損失電力が最小となる台数の無停電電源装置で運転できる。このため、システムの効率を向上することができる。
【0038】
なお、ステップS13において、実システム容量が実負荷容量よりも小さい場合には、全ての無停電電源装置を運転する(ステップS19)。
【0039】
なお、上記第1の実施の形態では、制御部15は、複数の無停電電源装置1-1~1-3を停止させる場合、コンバータ11-1~11-3とインバータ12-1~12-3を停止させたが、例えば、インバータ12-1~12-3のみを停止させてよい。
【0040】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る無停電電源装置システムの構成ブロック図である。第2の実施形態に係る無停電電源装置システムにおいて、
図3に示す制御部15aが、
図1に示す制御部15の構成にさらに、カウンタ25と、時間判定部26とを備える点が異なる。
【0041】
カウンタ25は、稼働台数K台の無停電電源装置が決定されると、時間をカウントする。時間判定部26は、カウンタ25でカウントされた時間が指定時間を超えたかどうかを判定し、カウントされた時間が指定時間を超えた場合には、総損失電力算出部22に対して総損失を算出させる。
【0042】
次に、このように構成された第2の実施形態に係る無停電電源装置システムの制御部15aの処理を
図4に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0043】
ステップS12~S18の処理は、
図2に示すステップS12~S18の処理と同じであるので、ここでは、ステップS21~S24の処理のみを説明する。
【0044】
まず、所定の台数の無停電電源装置を起動する(ステップS21)。次に、制御部15aは、稼働台数K台の無停電電源装置の給電電力が現負荷に給電できるかどうかを判定する(ステップS22)。
【0045】
稼働台数K台の無停電電源装置の給電電力が現負荷に給電できる場合には(ステップS22のYES)、カウンタ25は、時間をカウントする(ステップS23)。
【0046】
次に、時間判定部26は、カウンタ25でカウントされた時間が指定時間を超えたかどうかを判定する(ステップS24)。カウントされた時間が指定時間を超えた場合には(ステップS24のYES)、ステップS12の処理に進む。即ち、総損失電力算出部22が総損失電力を算出する。
【0047】
カウントされた時間が指定時間を超えない場合には(ステップS24のNO)、ステップS21の処理に戻る。また、ステップS22において、稼働台数K台の無停電電源装置の給電電力で現負荷に給電できない場合には(ステップS22のNO)、全ての無停電電源装置を運転させる(ステップS25)。
【0048】
このように第2の実施形態に係る無停電電源装置システムによれば、指定時間毎に、ステップS12における実システム容量の算出、ステップS14におけるシステムの総損失電力を算出するので、現状の負荷の状態に応じて、システムの総損失電力が最小となる台数の無停電電源装置で運転できる。このため、システムの効率を向上することができる。
【0049】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係る無停電電源装置システムの制御部の処理を示すフローチャートである。第3の実施形態に係る無停電電源装置システムは、第2の実施形態に係る無停電電源装置システムの
図4に示すフローチャートに、さらに、ステップS22とステップS23との間に、ステップS26の処理を追加した点が異なる。
【0050】
ここでは、ステップS26の処理のみを説明する。現在時刻の負荷電力と現在時刻よりも所定時間前、例えば1秒前の負荷電力とを比較する(ステップS26)。現在時刻の負荷電力と現在時刻よりも1秒前の負荷電力とが同一値である場合には(ステップS26のYES)、ステップS23の処理に進む。
【0051】
一方、現在時刻の負荷電力と現在時刻よりも1秒前の負荷電力とが同一値でない場合には(ステップS26のNO)、ステップS21の処理に戻る。
【0052】
このように第3の実施形態に係る無停電電源装置システムによれば、現在時刻の負荷電力と現在時刻よりも1秒前の負荷電力とが同一値でない場合には、負荷の急変により、負荷電力が変化した場合に、無停電電源装置の稼働台数を適切に変更することができる。1秒前は、負荷電力が変化したことを検出できれば、使用条件に応じて時間を任意に変更しても良い。
【0053】
なお、本発明は、第1乃至第3の実施形態に係る無停電電源装置システムに限定されるものではない。第1乃至第3の実施形態に係る無停電電源装置システムにおいて、制御部15,15aは、各無停電電源装置の稼働時間を計算し、稼働時間が最も長い無停電電源装置を停止候補順位を第1順位とする。
図2、
図4、
図5において、無停電電源装置を停止する条件が成立した場合、稼働時間が最も長い無停電電源装置を停止させてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1-1~1-3 無停電電源装置(UPS)
2 交流電源
3 負荷
4 蓄電池
11-1~11-3 コンバータ
12-1~12-3 インバータ
21 メモリ
22 総損失電力算出部
23 総損失電力比較部
24 運転台数制御部
25 カウンタ
26 時間判定部