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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】落下防止器具および落下防止方法
(51)【国際特許分類】
   F21V 21/02 20060101AFI20230912BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230912BHJP
   F21V 21/14 20060101ALI20230912BHJP
   E21F 17/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
F21V21/02
F21S2/00 630
F21V21/14
E21F17/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019145568
(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公開番号】P2021026950
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501111142
【氏名又は名称】株式会社タチバナ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】和田 宏生
(72)【発明者】
【氏名】浮田 和彦
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-091936(JP,A)
【文献】特開昭63-190281(JP,A)
【文献】特表2019-516486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/02
F21S 2/00
F21V 21/14
E21F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの壁面に固定された照明器具の落下を防止する落下防止器具であって、
前記壁面に固定可能な被固定部、および、前記被固定部に連設され、前記壁面から離間する方向に突出する照明器具支持部、を備える壁面側部材と、
前記照明器具に固定可能な照明器具側部材と、
前記壁面側部材と前記照明器具側部材とを接続可能な接続部材と、
前記壁面側部材に対する前記照明器具側部材の相対運動を規制する拘束部材と、を備え、
前記照明器具支持部は、当該照明器具支持部の長手方向に沿って、前記接続部材を受容可能な第一長穴を有し、
前記照明器具側部材は、前記接続部材を受容可能な第二長穴を有し、
前記接続部材は、前記第一長穴および前記第二長穴を貫通して、前記壁面側部材および前記照明器具側部材を接続する落下防止器具。
【請求項2】
前記第一長穴の長手方向の長さは、前記第二長穴の長手方向の長さより長い請求項1に記載の落下防止器具。
【請求項3】
前記相対運動は、前記照明器具側部材が前記接続部材を軸心として回転する回転運動であり、
前記拘束部材は、前記回転運動の回転角が所定の値に至ったときに前記壁面側部材および前記照明器具側部材に当接する当接部を有する請求項に記載の落下防止器具。
【請求項4】
前記回転角の所定の値は、5~15°である請求項に記載の落下防止器具。
【請求項5】
トンネルの壁面に固定された照明器具の落下を防止する落下防止方法であって、
前記壁面に固定可能な被固定部、および、前記被固定部に連設され、前記壁面から離間する方向に突出する照明器具支持部、を備える壁面側部材を前記壁面に固定する工程と、
前記照明器具に固定可能な照明器具側部材を前記照明器具に固定する工程と、
前記壁面側部材に対する前記照明器具側部材の相対運動を規制する拘束部材を前記壁面側部材と前記照明器具側部材との間に挿入する工程と、
前記壁面側部材と前記照明器具側部材とを接続部材により接続する工程と、を備え、
前記接続部材を、前記照明器具支持部の長手方向に沿って設けられた第一長穴と、前記照明器具側部材に設けられた第二長穴と、を貫通する態様で設置する落下防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの壁面に固定された照明器具の落下を防止する落下防止器具に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル内において、一般的に、照明器具は高所に設置される。トンネル内は車両や歩行者が通行するため、照明器具の落下を確実に防止する必要がある。この目的において、トンネルの壁面に照明器具を固定する固定具に加えて、固定具の破損などにより不慮に照明器具が落下しうる状態になった場合に、その落下を防止するための落下防止具を、固定具と別個に設置する方法が汎用される。
【0003】
たとえば、実用新案登録第321353号公報(特許文献1)および特開2018-88325号公報(特許文献2)には、かかる落下防止具としてワイヤを用いた例が開示されている。これらの技術では、ワイヤの長さを、壁面と照明器具とを連設するために必要最低限の長さより長くしてあり、すなわちワイヤに遊びを持たせているので、設置場所の壁面の形状や照明の照射角度などの設置環境に係る種々の条件に応じて、ワイヤの長さを適宜調整できる。そのため、施工性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第321353号公報
【文献】特開2018-88325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1および2のような技術では、照明器具が実際に落下しそうになった際に、ワイヤに大きな衝撃荷重が加わるおそれがあった。
【0006】
そこで、施工性に優れ、かつ、照明器具が落下しそうになった場合であっても衝撃荷重を受けにくい落下防止具の実現が求められる。また、かかる落下防止具は、様々な態様の照明器具に汎用的に使用可能であることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る落下防止器具は、トンネルの壁面に固定された照明器具の落下を防止する落下防止器具であって、前記壁面に固定可能な被固定部、および、前記被固定部に連設され、前記壁面から離間する方向に突出する照明器具支持部、を備える壁面側部材と、前記照明器具に固定可能な照明器具側部材と、前記壁面側部材と前記照明器具側部材とを接続可能な接続部材と、前記壁面側部材に対する前記照明器具側部材の相対運動を規制する拘束部材と、を備え、前記照明器具支持部は、当該照明器具支持部の長手方向に沿って、前記接続部材を受容可能な第一長穴を有し、前記照明器具側部材は、前記接続部材を受容可能な第二長穴を有し、前記接続部材は、前記第一長穴および前記第二長穴を貫通して、前記壁面側部材および前記照明器具側部材を接続することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る落下防止方法は、トンネルの壁面に固定された照明器具の落下を防止する落下防止方法であって、前記壁面に固定可能な被固定部、および、前記被固定部に連設され、前記壁面から離間する方向に突出する照明器具支持部、を備える壁面側部材を前記壁面に固定する工程と、前記照明器具に固定可能な照明器具側部材を前記照明器具に固定する工程と、前記壁面側部材に対する前記照明器具側部材の相対運動を規制する拘束部材を前記壁面側部材と前記照明器具側部材との間に挿入する工程と、前記壁面側部材と前記照明器具側部材とを接続部材により接続する工程と、を備え、前記接続部材を、前記照明器具支持部の長手方向に沿って設けられた第一長穴と、前記照明器具側部材に設けられた第二長穴と、を貫通する態様で設置することを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、トンネルの壁面と照明器具とを接続した状態において、落下防止具が有する遊びが最小限になるので、照明器具が落下しそうになった場合であっても、落下防止具に加わる衝撃荷重を極めて小さくできる。また、施工性に優れる。さらに、第一長穴と第二長穴とを接続部材が貫通する態様で壁面側部材と照明器具側部材とを接続するので、照明器具の支持形態に関わらず落下防止具を設置しやすい。
本発明に係る落下防止器具は、前記壁面側部材に対する前記照明器具側部材の相対運動を規制する拘束部材を備える
この構成によれば、落下防止器具の落下防止機能が発現した場合であっても、照明器具の設置状態が大きく変化することを規制できるので、照明器具の固定状態を復旧する前であっても、照明器具の照明機能が損なわれにくい。
【0010】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0011】
本発明に係る落下防止器具は、一態様として、前記第一長穴の長手方向の長さは、前記第二長穴の長手方向の長さより長いことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、支持される照明器具の可動範囲が拡大しやすい。
【0015】
本発明に係る落下防止器具は、一態様として、前記相対運動は、前記照明器具側部材が前記接続部材を軸心として回転する回転運動であり、前記拘束部材は、前記回転運動の回転角が所定の値に至ったときに前記壁面側部材および前記照明器具側部材に当接する当接部を有することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、特に、落下防止器具の落下防止機能が発現した場合であっても、照明器具による照射範囲が大きく変化することを規制できる。
【0017】
本発明に係る落下防止器具は、一態様として、前記回転角の所定の値は、5~15°であることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、落下防止器具の落下防止機能が発現した場合に、照明器具による照射範囲が大きく変化することを規制しながらも、正常に設置されている照明器具と落下防止機能が発現した照明器具との外観上の差異が明確になるので、固定部材の修理が必要な照明器具を特定しやすい。
【0019】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第一の実施形態に係る落下防止器具の使用状態を表す図
図2】第一の実施形態に係る落下防止器具の使用状態を表す図
図3】第一の実施形態に係る落下防止器具の壁面側部材の正面図
図4】第一の実施形態に係る落下防止器具の壁面側部材の側面図
図5】第一の実施形態に係る落下防止器具の壁面側部材の上面図
図6】第一の実施形態に係る落下防止器具の照明器具側部材の正面図
図7】第一の実施形態に係る落下防止器具の照明器具側部材の側面図
図8】第一の実施形態に係る落下防止器具の照明器具側部材の上面図
図9】第一の実施形態に係る落下防止器具の拘束部材の正面図
図10】第一の実施形態に係る落下防止器具の拘束部材の側面図
図11】第一の実施形態に係る落下防止器具の機能発現状態を表す図
図12】第二の実施形態に係る落下防止器具の使用状態を表す図
図13実施形態に係る落下防止器具の使用状態を表す図
図14実施形態に係る落下防止器具の照明器具側部材の正面図
図15実施形態に係る落下防止器具の照明器具側部材の側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第一の実施形態〕
本発明に係る落下防止器具の第一の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る落下防止器具を、トンネルの壁面Tに固定された照明器具Lの落下を防止するための落下防止器具1に適用した例(図1図2)について説明する。なお、照明器具Lは、ブラケット状の固定部材Bを用いて壁面Tに固定されており、長手方向がトンネルの長手方向と平行になるように配置されている。
【0022】
《落下防止器具の構造》
まず、落下防止器具1の構造について説明する。落下防止器具1は、壁面側部材2(図3図5)、照明器具側部材3(図6図8)、拘束部材4(図9図10)、および接続部材5を備える。壁面Tに固定された壁面側部材2と、照明器具Lに固定された照明器具側部材3とを、接続部材5により接続することで、照明器具Lを壁面Tと接続する。本実施形態では、壁面側部材2、照明器具側部材3、および拘束部材4はいずれも、金属平板に対して曲げ加工および穴あけ加工を施したものである。
【0023】
図3図5に示すように、壁面側部材2は、壁面Tに固定可能な被固定部11、照明器具側部材3と接続される照明器具支持部12、および、被固定部11と照明器具支持部12とを連設する曲げ部13の各部を有する。被固定部11は、壁面Tに略平行な配置で、2つの貫通穴11aをそれぞれ貫通する2本のボルト部材によって、壁面Tに繋止される。照明器具支持部12は、壁面Tに略垂直に、壁面Tから離間する方向に延出する。また、照明器具支持部12は第一長穴12aを有する。曲げ部13は、被固定部11と照明器具支持部12とを連設する。すなわち曲げ部13は、壁面Tに略平行な被固定部11と、壁面Tに略垂直な照明器具支持部12の接続部をなす。
【0024】
図6図8に示すように、照明器具側部材3は、照明器具に固定可能な固定端14、壁面側部材と接続される延出部15、および固定端14と延出部15とを接続する曲げ部16、の各部を有する。固定端14は、照明器具Lの側面に略平行な配置で、2つの貫通穴14aをそれぞれ貫通するボルト部材によって、当該側面に固定される。延出部15は、照明器具Lの側面に略垂直に、当該側面から離間する方向に延出する。また、延出部15は第二長穴15aを有する。曲げ部16は、固定端14と延出部15とを連設する。すなわち曲げ部16は、照明器具Lの側面に略平行な固定端14と、当該側面に略垂直な延出部15との接続部をなす。なお、第一長穴12aの長手方向の長さは、第二長穴15aの長手方向の長さより長い。
【0025】
図9に示すように、拘束部材4は、略二等辺三角形状の形状を有する。拘束部材4は、三角形の中央部分に設けられた貫通穴17と、長さが等しい二辺部分に1つずつ設けられた一対の爪部18A、18B(当接部の例)と、を有する(図9図10)。図9に示すように、爪部18A、18Bは、三角形状の面の片側とその反対側に1つずつ設けられている。なお、略二等辺三角形状の頂角θは100°である。
【0026】
接続部材5は、具体的にはボルト部材およびナット部材である。本実施形態では、壁面側部材2と照明器具側部材3との間に拘束部材4を挿入した状態で、各部材に設けられた穴(第一長穴12a、貫通穴17、および第二長穴15a)を貫通する接続部材5により、3つの部材が接続される(図1図2)。
【0027】
《落下防止器具の使用状態》
次に、落下防止器具1の使用状態について説明する。図2に示すように、爪部18Aおよび18Bは、それぞれ、壁面側部材2(照明器具支持部12)および照明器具側部材3(延出部15)に沿うように配置される。なお、本実施形態では、照明器具支持部12が壁面Tから延出する方向と延出部15が照明器具Lの側面から延出する方向とがなす角が、およそ90°となる配置で照明器具Lが設置されている。
【0028】
図11は、本実施形態において、照明器具Lを壁面Tに固定する固定部材が脱落し、落下防止器具1の落下防止機能が発現した状態を表す。照明器具Lおよび照明器具側部材3は、自重により接続部材5を回転軸として図11紙面上で反時計回りに回転運動する(相対運動の例)。この回転運動により、延出部15が爪部18Bに当接すると、拘束部材4が照明器具Lおよび照明器具側部材3と一体となって回転運動するが、すぐに爪部18Aが照明器具支持部12に当接する。壁面側部材2は依然として壁面Tに固定されているので、爪部18Aが照明器具支持部12に当接したところで、一連の回転運動は停止する。このとき、照明器具支持部12が壁面Tから延出する方向と延出部15が照明器具Lの側面から延出する方向とがなす角がおよそ100°となる配置で停止する(回転運動の回転角が所定の値に至ったときの例)。この角度は、拘束部材4において頂角θが100°であることに対応する。
【0029】
すなわち、照明器具Lを壁面Tに固定する固定部材が脱落し、落下防止器具1による落下防止機能が発現した場合であっても、照明器具Lの設置角度は10°程度しか変化しない。そのため、照明器具Lにより照射される範囲は大きくは変化しないので、固定部材の修理が行われる前であっても、照明器具Lの照明機能は損なわれにくい。その反面、正常に設置されている状態とは設置角度が異なるので、固定部材の修理が必要な照明器具Lを目視により容易に識別できる。
【0030】
〔第二の実施形態〕
上記の落下防止器具1は、照明器具Lを壁面Tに固定する固定部材の態様によらずに使用可能である。たとえば、本発明の第二の実施形態(図12)では、照明器具Lは、フック状の固定部材Hによって壁面Tに固定されている。その結果、照明器具Lは、トンネルの長手方向に垂直な断面と平行に揺動可能に支持される。このように照明器具Lが揺動可能であることによって、照明器具Lにより照射されるトンネル内の地面の範囲を調整できる。
【0031】
照明器具側部材3は、照明器具Lの揺動に追随して移動する。そのため、照明器具側部材3の壁面側部材2に対する相対位置は、照明器具Lの揺動に追随して変更される。本実施形態では、壁面側部材2の第一長穴12aと、照明器具側部材3の第二長穴15aとが、ともに長穴として構成されているので、照明器具側部材3の壁面側部材2に対する相対位置が変化した場合であっても、第一長穴12aのいずれかの位置と、第二長穴15aのいずれかの位置とが重なる範囲であって、照明器具支持部12が壁面Tから延出する方向と延出部15が照明器具Lの側面から延出する方向とがなす角が100°を超えない範囲であれば、接続部材5によって壁面側部材2と照明器具側部材3とを接続可能である。この揺動機構によって、地面に対する照明の入射角を調整できる。
【0032】
実施形態〕
本実施形態(図13)に係る落下防止器具1´は、上記の落下防止器具1と比較して、以下の点で相違する。まず、落下防止器具1の照明器具側部材3がボルト部材によって照明器具Lに固定されていたのに対し、落下防止器具1´の照明器具側部材3´は固定具を用いずに照明器具Lに掛止されている。また、落下防止器具1´は拘束部材を備えない。
【0033】
図14および図15に示すように、照明器具側部材3´は、照明器具に固定可能な固定端14´、壁面側部材と接続される延出部15、および固定端14´と延出部15とを接続する曲げ部16´、の各部を有する。固定端14´は、照明器具側部材3´を構成する平板が略180°折り返された構造であり、照明器具Lに設けられた受容穴に掛止される。これに対応して、曲げ部16´は略180°の折り曲げ部である。なお、延出部15の構造は照明器具側部材3と同様であり、延出部15は第二長穴15aを有する。
【0034】
なお、本実施形態に係る落下防止器具1のように、本発明に係る落下防止器具は拘束部材を備えない態様によっても構成されうる。第一および第二の実施形態では、拘束部材4を備えることによって、落下防止器具1による落下防止機能が発現した場合であっても、照明器具Lの設置角度があまり変化しないという効果が得られていたが、この効果は、たとえば接続部材5の締付けトルクを大きくすることによっても得られうる。また、この効果を必要としない設置場所においては、単に拘束部材を省略しうる。
【0035】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る落下防止器具のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0036】
上記の実施形態では、壁面側部材、照明器具側部材、および拘束部材が、いずれも加工された金属平板である構成を例として説明した。かかる構成は、製造の容易さと部材の強度とを両立しうる点で好ましい。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る壁面側部材、照明器具側部材、および拘束部材は、金属製であれば鋳造されたものであってもよいし、樹脂製など金属以外の材料製であってもよい。
【0037】
上記の実施形態では、図1に示すように、1基の照明器具Lに1つの落下防止器具1が備えられた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、1基の照明器具に備え付ける落下防止器具の個数は、照明器具の長手方向寸法に応じて適宜変更されうる。
【0038】
上記の実施形態では、照明器具Lを壁面Tに固定する固定部材がブラケット状である例(第一の実施形態)およびフック状である例(第二および実施形態)を例として説明した。しかし、本発明に係る落下防止器具は、照明器具をトンネルの壁面に固定する固定部材の態様によらずに使用可能である。なお、照明器具の固定態様は、照明器具の寸法、重量などに応じて、当該照明器具を確実に支持しうる範囲で適宜変更されうる。
【0039】
上記の実施形態では、壁面側部材2の被固定部11と照明器具支持部12とが、曲げ部13によって連設された構成を例にして説明した。しかし、本発明に係る壁面側部材において、被固定部と照明器具支持部との連設の形態は上記の形態に限定されず、たとえば、被固定部を形成する部材と照明器具支持部を形成する部材とを、溶接または任意の接続部材により接続した構造であってもよい。
【0040】
上記の第一および第二の実施形態では、拘束部材4が略二等辺三角形状の形状を有し、その頂角θが100°である構成を例として説明した。しかし、本発明に係る拘束部材の形状は、とくに限定されない。なお、上記の拘束部材4のように、略二等辺三角形状の形状を採用する場合、その頂角の大きさは、照明器具Lの設置状態に応じて適宜選択可能であり、たとえば、照明器具Lの設置状態において壁面側部材と照明器具側部材とが交わる角度より5~15°大きい角度でありうる。なお、この角度の値は、壁面側部材および照明器具側部材が拘束部材の当接部に当接するまでに生じる回転運動の回転角の所定の値に一致する。
【0041】
上記の実施形態では、壁面側部材2がボルト部材によって壁面Tに繋止される構成を例として説明した。しかし、本発明において壁面側部材をトンネルの壁面に繋止する方法は、特に限定されない。
【0042】
上記の実施形態では、照明器具側部材3がボルト部材によって照明器具Lの側面に固定される構成(第一および第二の実施形態)および照明器具側部材3´が照明器具Lに設けられた受容穴に掛止される構成(実施形態)を例として説明した。しかし、本発明において照明器具側部材を照明器具に固定する方法は特に限定されず、上記に例示した方法の他、たとえば、溶接、嵌合、螺合などの方法を採用しうる。
【0043】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、たとえば、トンネルの壁面に固定された照明器具の落下を防止する目的に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 :落下防止器具
2 :壁面側部材
11 :被固定部
11a :貫通穴
12 :照明器具支持部
12a :第一長穴
13 :曲げ部
3 :照明器具側部材
14 :固定端
14a :貫通穴
15 :延出部
15a :第二長穴
16 :曲げ部
4 :拘束部材
17 :貫通穴
18A :爪部
18B :爪部
5 :接続部材
L :照明器具
H :受容穴
B :固定部材
H :固定部材
T :壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15