(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】洗浄機用洗浄剤組成物、カートリッジ洗浄剤、及び、洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 3/37 20060101AFI20230912BHJP
C11D 7/22 20060101ALI20230912BHJP
C11D 7/14 20060101ALI20230912BHJP
C11D 7/06 20060101ALI20230912BHJP
C11D 3/08 20060101ALI20230912BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20230912BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20230912BHJP
C11D 7/54 20060101ALI20230912BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20230912BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20230912BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20230912BHJP
B08B 9/093 20060101ALI20230912BHJP
B08B 3/08 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
C11D3/37
C11D7/22
C11D7/14
C11D7/06
C11D3/08
C11D3/04
C11D3/395
C11D7/54
C11D17/06
C11D17/08
C11D17/04
B08B9/093
B08B3/08 A
(21)【出願番号】P 2019084598
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】福島 隆平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 紗菜
(72)【発明者】
【氏名】朝日 薫
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-154716(JP,A)
【文献】特開2018-115270(JP,A)
【文献】特開2007-009024(JP,A)
【文献】特開2011-219527(JP,A)
【文献】特開2008-050410(JP,A)
【文献】特開2012-214536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体、及び、マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体を含
み、
更に、ケイ酸塩及びアルカリ金属の水酸化物を合計15~60質量%含むことを特徴とする洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記ポリアクリル酸(塩)を1~8質量%含み、前記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体を0.1~5質量%含み、前記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体を0.01~4質量%含む請求項1に記載の洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記ポリアクリル酸(塩)の質量平均分子量が1000~100000であり、前記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体の質量平均分子量が5000~100000であり、前記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体の質量平均分子量が5000~100000である請求項1又は2に記載の洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に、キレート剤を含む請求項1~
3のいずれかに記載の洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に、界面活性剤を含む請求項1~
4のいずれかに記載の洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項6】
更に、塩素系漂白剤を含む請求項1~
5のいずれかに記載の洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項7】
20℃では固体又は粉体である請求項1~
6のいずれかに記載の洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項8】
20℃では液体である請求項1~
6のいずれかに記載の洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項9】
内容物の供給口部を有する水不溶性の容器を、前記供給口部を下向きに設置し、前記供給口部へ水が噴射されて内容物を溶かしながら供給する方式の自動洗浄機用のカートリッジ洗浄剤であって、
前記内容物は、請求項
7に記載の洗浄機用洗浄剤組成物であることを特徴とするカートリッジ洗浄剤。
【請求項10】
請求項1~
8のいずれかに記載の洗浄機用洗浄剤組成物を使用する洗浄方法であって、
前記洗浄機用洗浄剤組成物を水で希釈又は溶解して得られる洗浄液により洗浄を行うことによって、洗浄対象物に付着又は蓄積した汚れを除去又は低減することを特徴とする洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄機用洗浄剤組成物、カートリッジ洗浄剤、及び、洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテル、レストラン等においては、作業の効率化、衛生管理などの観点から、使用後の食器又は調理器具の洗浄に自動食器洗浄機等の洗浄機が用いられている。一般家庭においても、近年急速に自動洗浄機が普及している。
また近年では、耐衝撃性に優れ、落下や衝突等により強い衝撃を受けたとしても割れにくい樹脂製容器が使用されるようになっている。このような状況下、洗浄機に用いられる洗浄剤組成物には、硝子製容器や陶器の他、樹脂製容器も含めた種々の洗浄対象物における、油汚れ、タンパク質汚れ、デンプン汚れ等の毎回発生する汚れの除去だけでなく、食品由来の頑固な蓄積汚れがある。蓄積汚れには、通常の自動食器洗浄機による洗浄では取り切れないくすみ汚れ、渋汚れ、ヌル付きなどがあり、漂白剤やアルカリ洗浄剤による浸漬洗浄などが必要で対応、手間がかかっていた。従って、自動洗浄機用洗浄剤組成物による蓄積汚れの除去または低減が求められている。
【0003】
特許文献1には、少なくとも1つのポリカルボン酸ポリマー、コポリマー、又はターポリマーを含むポリマー系と、アルカリ金属炭酸塩を含むアルカリ源と、非イオン性界面活性剤と、水と、を含む、濃縮洗剤であって、前記洗剤はアルカリ性のpHを有する、濃縮洗剤が開示されている。
【0004】
また特許文献2には、(A)成分としてアルカリ剤3~25質量%、(B)成分としてエチレンジアミン四酢酸及びそのアルカリ金属塩、ニトリロ三酢酸及びそのアルカリ金属塩、メチルグリシン二酢酸及びそのアルカリ金属塩、グルタミン酸二酢酸及びそのアルカリ金属塩より選ばれた少なくとも1種の金属イオン封鎖剤10~35質量%、(C)成分としてポリカルボン酸型ポリマー又はその塩0.1~10質量%、(D)成分として水、を含有し、(A)成分と(B)成分の合計の割合、(A)+(B)=33~60質量%であり、かつ、(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)/(B)=1~1.25であることを特徴とする自動食器洗浄機用濃縮液体洗浄剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2016-538412号公報
【文献】特開2019-35099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の洗剤や、特許文献2に記載の洗浄剤組成物は、硝子製容器、陶器、樹脂製容器といった種々の洗浄対象物において、蓄積汚れをより充分に除去または低減するための改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、硝子製容器、陶器、樹脂製容器といった種々の洗浄対象物において、蓄積汚れをより充分に除去又は低減することができる洗浄機用洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、ポリアクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体、及び、マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、ポリアクリル酸(塩)と、マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体と、マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体とを併用することで、種々の洗浄対象物に対して蓄積汚れを除去又は低減する効果が顕著なものとなる。
【0010】
上記ポリアクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体、マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体は、それぞれ、その中和率は特に限定されない。
例えば、ポリアクリル酸(塩)は、中和されていないポリアクリル酸であってもよく、ポリアクリル酸が有する酸基の一部又は全部が中和されたものであってもよく、これらの混合物であってもよい。また、マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体は、中和されていないマレイン酸-アクリル酸共重合体であってもよく、マレイン酸-アクリル酸共重合体の酸基の一部又は全部が中和されたものであってもよく、これらの混合物であってもよい。更に、マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体は、中和されていないマレイン酸-オレフィン共重合体であってもよく、マレイン酸-オレフィン共重合体の酸基の一部又は全部が中和されたものであってもよく、これらの混合物であってもよい。
【0011】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、上記ポリアクリル酸(塩)を1~8質量%含み、上記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体を0.1~5質量%含み、上記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体を0.01~4質量%含むことが好ましい。
これにより、蓄積汚れを除去又は低減する効果がより優れたものとなる。
本明細書中、洗浄剤組成物の各成分の含量(質量%)は、特に断らない場合には洗浄剤組成物に対する純分の含量である。
【0012】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物において、上記ポリアクリル酸(塩)の質量平均分子量が1000~100000であり、上記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体の質量平均分子量が5000~100000であり、上記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体の質量平均分子量が5000~100000であることが好ましい。
これにより、蓄積汚れを除去又は低減する効果がより優れたものとなる。
【0013】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、更に、ケイ酸塩及び/又はアルカリ金属の水酸化物を含むことが好ましい。
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、更に、キレート剤を含むことが好ましい。
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、更に、界面活性剤を含むことが好ましい。
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、更に、塩素系漂白剤を含むことが好ましい。
【0014】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、20℃では固体又は粉体であることが好ましい。
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、20℃では液体であることもまた好ましい。
【0015】
本発明は、内容物の供給口部を有する水不溶性の容器を、上記供給口部を下向きに設置し、上記供給口部へ水が噴射されて内容物を溶かしながら供給する方式の自動洗浄機用のカートリッジ洗浄剤であって、上記内容物は、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物であることを特徴とするカートリッジ洗浄剤でもある。
本発明のカートリッジ洗浄剤を用いて、種々の洗浄対象物を繰り返し洗浄することで、種々の洗浄対象物に蓄積した汚れを除去又は低減する効果を充分に発揮することができ、洗浄対象物を好適に洗浄することができる。
【0016】
本発明は更に、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物を使用する洗浄方法であって、上記洗浄機用洗浄剤組成物を水で希釈又は溶解して得られる洗浄液により洗浄を行うことによって、洗浄対象物に付着又は蓄積した汚れを除去又は低減することを特徴とする洗浄方法でもある。
上記方法であると、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物を水で希釈又は溶解して得られる洗浄液により洗浄を行うことによって、毎回発生する汚れの除去だけでなく、種々の洗浄対象物に蓄積した汚れを除去又は低減することができる。
なお、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物を希釈又は溶解するための水は、常温の水だけではなく、温水(湯)であってもよい。すなわち、該水の温度は特に限定されず、例えば常温~90℃とすることができる。
【0017】
なお、洗浄液とは、洗浄機用洗浄剤組成物を水で希釈又は溶解した洗浄剤水溶液を意味する。
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、特に自動食器洗浄機用の洗浄剤組成物として好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、硝子製容器、陶器、樹脂製容器といった種々の洗浄対象物に蓄積した汚れを充分に除去又は低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、カートリッジ洗浄剤の一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、カートリッジ洗浄剤の供給口部に水が噴射され、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物を水に溶かして洗浄液を得る様子を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るカートリッジ洗浄剤を構成する容器の一実施例を模式的に示す説明図である。
【
図4】
図4(a)、
図4(b)及び
図4(c)は、
図3に示すカートリッジ洗浄剤を構成する中蓋体及び外蓋体の一実施例を模式的に示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0021】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、ポリアクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体、及び、マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体を含むことを特徴とする。
【0022】
上記ポリアクリル酸(塩)は、アクリル酸(塩)由来の構成単位から構成される重合体である。
本明細書中、アクリル酸(塩)は、アクリル酸及び/又はアクリル酸塩である。
アクリル酸(塩)由来の構成単位から構成されるとは、アクリル酸(塩)由来の構成単位を90モル%以上含むものであればよく、アクリル酸(塩)以外のその他の共重合可能な単量体由来の構成単位を含んでいてもよいが、上記ポリアクリル酸(塩)がアクリル酸(塩)由来の構成単位を100モル%含むことが、好ましい。
【0023】
上記ポリアクリル酸(塩)は、中でも、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウムであることが好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムであることがより好ましい。
【0024】
上記ポリアクリル酸(塩)の質量平均分子量は、1000~100000であることが好ましい。該質量平均分子量は、30000以下であることがより好ましく、10000以下であることが更に好ましく、4700以下であることが特に好ましい。
また上記質量平均分子量は、2000以上であることがより好ましく、3000以上であることが更に好ましい。
上記質量平均分子量は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリエチレングリコール(PEG)を標準物質として求められる。
【0025】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、上記ポリアクリル酸(塩)を1~8質量%含むことが好ましい。
上記ポリアクリル酸(塩)の含有量は、5質量%以下であることがより好ましい。
上記ポリアクリル酸(塩)の含有量は、2種以上のポリアクリル酸(塩)(例えば、質量平均分子量の異なる2種以上のポリアクリル酸(塩))を組成物中に混合した場合は、その合計量である。
【0026】
上記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体は、マレイン酸(塩)由来の構成単位、及び、アクリル酸(塩)由来の構成単位から構成される重合体である。
本明細書中、マレイン酸(塩)は、マレイン酸及び/又はマレイン酸塩である。なお、マレイン酸は、マレイン酸無水物であってもよい。また、マレイン酸塩は、マレイン酸の酸基の一部又は全部が中和されたものである。
マレイン酸(塩)由来の構成単位、及び、アクリル酸(塩)由来の構成単位から構成されるとは、マレイン酸(塩)由来の構成単位を5モル%以上含み、アクリル酸(塩)由来の構成単位を10モル%以上含むものであればよく、マレイン酸(塩)、アクリル酸(塩)以外のその他の共重合可能な単量体由来の構成単位を含んでいてもよい。
【0027】
上記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体中、上記マレイン酸(塩)由来の構成単位の含有量は、7モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましい。また、上記マレイン酸(塩)由来の構成単位の含有量は、60モル%以下であることが好ましく、55モル%以下であることがより好ましい。上記マレイン酸(塩)由来の構成単位の含有量は、20モル%であることが更に好ましい。
また上記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体中、上記アクリル酸(塩)由来の構成単位の含有量は、15モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。また、上記アクリル酸(塩)由来の構成単位の含有量は、95モル%以下であることが好ましく、90モル%以下であることがより好ましい。上記アクリル酸(塩)由来の構成単位の含有量は、80モル%であることが更に好ましい。
【0028】
上記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体中、上記マレイン酸(塩)由来の構成単位と上記アクリル酸(塩)由来の構成単位のモル比は、10/90~40/60であることが好ましく、15/85~35/55であることがより好ましく、20/80であることが更に好ましい。
【0029】
上記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体の質量平均分子量は、5000~100000であることが好ましい。該質量平均分子量は、10000以上であることがより好ましく、60000以上であることが更に好ましい。
また上記質量平均分子量は、90000以下であることがより好ましく、80000以下であることが更に好ましい。
上記質量平均分子量は、上述したのと同様に、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリエチレングリコール(PEG)を標準物質として求められる。
【0030】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、上記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体を0.1~5質量%含むことが好ましい。
上記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体の含有量は、4質量%以下であることがより好ましい。
上記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体の含有量は、2種以上のマレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体を組成物中に混合した場合は、その合計量である。
【0031】
上記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体は、マレイン酸(塩)由来の構成単位、及び、オレフィン由来の構成単位から構成される重合体である。
本明細書中、オレフィンは、炭素-炭素間の二重結合をもつ不飽和炭化水素であり、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。中でも、ヘプテン、オクテン、ノネンが好ましい。
マレイン酸(塩)由来の構成単位、及び、オレフィン由来の構成単位から構成されるとは、マレイン酸(塩)由来の構成単位を5モル%以上含み、オレフィン由来の構成単位を10モル%以上含むものであればよく、マレイン酸(塩)、オレフィン以外のその他の共重合可能な単量体由来の構成単位を含んでいてもよい。
【0032】
上記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体中、上記マレイン酸(塩)由来の構成単位の含有量は、7モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましい。また、上記マレイン酸(塩)由来の構成単位の含有量は、40モル%以下であることが好ましく、35モル%以下であることがより好ましい。上記マレイン酸(塩)由来の構成単位の含有量は、20モル%であることが更に好ましい。
また上記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体中、上記オレフィン由来の構成単位の含有量は、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。また、上記オレフィン由来の構成単位の含有量は、90モル%以下であることが好ましく、85モル%以下であることがより好ましい。上記オレフィン由来の構成単位の含有量は、80モル%であることが更に好ましい。
【0033】
上記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体中、上記マレイン酸(塩)由来の構成単位と上記オレフィン由来の構成単位のモル比は、10/90~40/60であることが好ましく、15/85~35/55であることがより好ましく、20/80であることが更に好ましい。
【0034】
上記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体の質量平均分子量は、5000~100000であることが好ましい。該質量平均分子量は、7000以上であることがより好ましく、8000以上であることが更に好ましい。
また上記質量平均分子量は、50000以下であることがより好ましく、30000以下であることが更に好ましく、20000以下であることが一層好ましく、11000以下であることが特に好ましい。
上記質量平均分子量は、上述したのと同様に、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリエチレングリコール(PEG)を標準物質として求められる。
【0035】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、上記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体を0.01~4質量%含むことが好ましい。
上記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体の含有量は、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが更に好ましい。
上記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体の含有量は、2種以上のマレイン酸(塩)-オレフィン共重合体を組成物中に混合した場合は、その合計量である。
【0036】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物において、上記ポリアクリル酸(塩)、上記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体、上記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体の含有割合(質量%)は、10~99/0.5~85/0.5~80であることが好ましく、15~98/1~80/1~75であることがより好ましく、20~97/1.5~75/1.5~65であることが更に好ましい。なお、上記ポリアクリル酸(塩)、上記マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体、上記マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体の合計含有割合が100質量%である。これにより、本発明の効果をより優れたものとすることができる。
【0037】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、更に、ケイ酸塩及び/又はアルカリ金属の水酸化物を含むことが好ましい。
上記ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム(メタケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、ケイ酸ソーダ1号、ケイ酸ソーダ2号、ケイ酸ソーダ3号、ケイ酸ソーダ4号)、ケイ酸カリウム(メタケイ酸カリウム、セスキケイ酸カリウム、オルソケイ酸カリウム)等のケイ酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
上記アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウム(苛性カリ)が挙げられる。
本発明の洗浄剤組成物がケイ酸塩及び/又はアルカリ金属の水酸化物を含有する場合、その含有量は、1~60質量%が好ましく、5~55質量%がより好ましく、10~50質量%が更に好ましく、15~45質量%が特に好ましい。ケイ酸塩及び/又はアルカリ金属の水酸化物として2種以上の化合物が含まれる場合、上記含有量は、それらの合計として定める。
【0038】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、更に、キレート剤を含むことが好ましい。
上記キレート剤は、特に限定されないが、ヒドロキシカルボン酸系、アミノカルボン酸系、ホスホン酸系、リン酸系等が挙げられ、これらを併用してもよい。
【0039】
ヒドロキシカルボン酸系のキレート剤としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸又はこれらの塩が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
【0040】
アミノカルボン酸系のキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、1,3-プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン六酢酸(DPTA-OH)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)又はこれらの塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
【0041】
ホスホン酸系のキレート剤としては、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
上記キレート剤はホスホン酸部分の少なくとも一部が塩になっていてもよい。
【0042】
リン酸系のキレート剤としては、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸又はこれらの塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
【0043】
上記キレート剤の中では、アミノカルボン酸系のキレート剤が好ましい。
【0044】
上記キレート剤における塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属の塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩を挙げることができる。中でも、アルカリ金属の塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましい。
また、キレート剤とキレート剤の塩がアルカリ洗浄剤組成物の中で混在していてもよく、キレート剤がアルカリ洗浄剤組成物に含まれている場合にその後にナトリウムイオン等が加えられることによって塩となっていてもよい。
【0045】
キレート剤の含有量は特に限定されないが、1~60質量%であることが好ましく、5~55質量%であることがより好ましく、10~50質量%であることが更に好ましく、20~45質量%であることが特に好ましい。キレート剤を複数種類含むときのキレート剤の含有量は、その合計量として定める。
【0046】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、更に、界面活性剤を含むことが好ましい。
上記界面活性剤の種類は特に限定されないが、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩(AES)、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホメチルエステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキルコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルアミノベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルアミノスルホベタイン等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンメチルエーテル脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
界面活性剤が塩の場合、塩としては特に限定されないが、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等が好適なものとして挙げられる。
上記界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましい。
これらの各種界面活性剤は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0047】
上記界面活性剤の含有量は好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは1~5質量%である。
界面活性剤を複数種類含むときの界面活性剤の含有量は、その合計量として定める。
【0048】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、更に、塩素系漂白剤を含むことが好ましい。
上記塩素系漂白剤の種類は特に限定されないが、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられる。塩素系漂白剤の形状としては、球状、円柱状、円錐状、その他の多面体、針状等のいずれの形状でも良く、これらの混合物でも良い。また、粉砕、打錠、造粒、コーティング、カプセル化などの加工を施しても良い。特に、水に対する溶解性が低い安息香酸Na等によるコーティングや有核打錠を行うと、製品中の塩素系漂白剤の安定性が向上するため好ましい。
【0049】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、その他の成分として、上述した以外のアルカリ剤(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等)、増量剤(硫酸ナトリウム(芒硝)、粉末シリカ等)、酸化防止剤、可溶化剤、色素、香料又は防腐剤等を含有していてもよい。
【0050】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、20℃では固体(固形洗浄剤組成物)であることが好ましい。
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物が20℃では固体である場合、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、通常、水を含まないか、原料中に含まれるすべての水分量が40質量%以下である。
【0051】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、20℃では液体(液体洗浄剤組成物)であることもまた好ましい。
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物が20℃では液体である場合、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、通常、原料中に含まれるすべての水分量が25質量%以上であり、30質量%以上であることが好ましい。
また水の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
【0052】
本発明の洗浄剤組成物の製造方法は特に限定されず、ポリアクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)-アクリル酸(塩)共重合体、マレイン酸(塩)-オレフィン共重合体、及び、所望により配合される他の成分又はこれらの水和物を混合又は撹拌等することにより製造することができる。各成分を混合する順番、混合又は撹拌の方法等は特に限定されない。
【0053】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物が使用される洗浄機は特に限定されないが、例えば、スプレー式自動洗浄機等が挙げられる。スプレー式自動洗浄機として、例えば、自動食器洗浄機、コンテナ洗浄機等が挙げられる。コンテナとして、食品等の運搬に使用されるプラスチック製コンテナが挙げられる。中でも、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、自動食器洗浄機用又はコンテナ洗浄機用の洗浄剤組成物として好適に使用され、自動食器洗浄機用洗浄剤組成物としてより好適に使用される。
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、業務用又は家庭用の自動洗浄機用として好適に使用されるが、業務用自動洗浄機用としてより好適であり、業務用の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物として特に好適である。
【0054】
本発明の洗浄剤組成物を含む洗浄液により、自動洗浄機を用いて、食器、コンテナ等の被洗浄物を洗浄することができる。洗浄液としては、通常、本発明の洗浄剤組成物を水道水等の水に溶解させた洗浄液、又は、該洗浄剤組成物を水で適宜希釈した洗浄液を使用する。洗浄液中の本発明の洗浄剤組成物の濃度は、被洗浄物の状態等に応じて適宜設定することができる。例えば、洗浄液中の本発明の洗浄機用洗浄剤組成物の濃度は、0.01~0.5質量%が好ましく、0.01~0.3質量%がより好ましい。本発明の洗浄機用洗浄剤組成物を上記濃度含む洗浄液は、硝子製容器、陶器、樹脂製容器といった種々の洗浄対象物において、蓄積汚れをより充分に除去又は低減することができる。
【0055】
本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、洗浄液中に少量(例えば、0.01~0.5質量%)配合することによって、自動洗浄機による硝子製容器、陶器、樹脂製容器といった種々の洗浄対象物の洗浄において、蓄積汚れを充分に除去又は低減することができるものである。また、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、該洗浄機用洗浄剤組成物以外の洗浄機用洗浄剤組成物(洗浄機用洗剤)と併用した場合でも、蓄積汚れの除去又は低減効果を発揮することができるものである。このため本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、洗浄機用洗剤(主洗浄剤組成物)の使用時に添加して使用される補助洗浄剤組成物としても好適に使用される。このように自動洗浄機用洗剤と併用される本発明の洗浄機用洗浄剤組成物は、本発明の好ましい実施態様の一例である。
【0056】
また本発明の固形洗浄剤組成物を含んで構成されるカートリッジ洗浄剤を使用して、種々の洗浄対象物に蓄積した汚れをより充分に除去又は低減することができる。
【0057】
本発明のカートリッジ洗浄剤は、例えば、内容物の供給口部を有する水不溶性の容器を、上記供給口部を下向きに設置し、上記供給口部へ水が噴射されて内容物を溶かしながら供給する方式の自動洗浄機用のカートリッジ洗浄剤であって、上記内容物は、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物であることを特徴とする。
【0058】
図1は、カートリッジ洗浄剤の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すカートリッジ洗浄剤1では、水不溶性の容器10に、その内容物としての本発明の洗浄機用洗浄剤組成物(固形洗浄剤組成物2)が収容されてなる。
この例では、固形洗浄剤組成物2は、容器10の形状で固化したものである。
容器10は、供給口部11を有している。供給口部11は容器10の中に水が噴射される入口となり、固形洗浄剤組成物2が溶けて生じた洗浄液が容器10から出る出口となる部位である。
供給口部11へ水が噴射されて内容物である固形洗浄剤組成物2を溶かしながら洗浄液を自動洗浄機に供給する。
【0059】
図2は、カートリッジ洗浄剤の供給口部に水が噴射され、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物(固形洗浄剤組成物2)を水に溶かして洗浄液を得る様子を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、カートリッジ洗浄剤1を使用する際には、噴射水60が供給口部11を通過して、容器10に収容された固形洗浄剤組成物2に到達し、固形洗浄剤組成物2が溶解した洗浄液61が生成する。
この洗浄液61が供給口部11から下に落ちて自動洗浄機の洗浄タンク内へ流れて、自動洗浄機に導入される。
【0060】
本発明のカートリッジ洗浄剤は、自動洗浄機用のカートリッジ洗浄剤である。
本発明のカートリッジ洗浄剤が使用される自動洗浄機は特に限定されないが、例えば、スプレー式自動洗浄機等が挙げられる。スプレー式自動洗浄機として、例えば、自動食器洗浄機、コンテナ洗浄機等が挙げられる。中でも、本発明のカートリッジ洗浄剤は、自動食器洗浄機用に好適に使用される。
また、本発明のカートリッジ洗浄剤は、業務用又は家庭用の自動洗浄機用として好適に使用されるが、業務用自動洗浄機用としてより好適であり、業務用の自動食器洗浄機用の除菌洗浄剤組成物として特に好適である。
【0061】
また、本発明のカートリッジ洗浄剤の別の形態として、上記容器は、容器本体と中蓋体と外蓋体とからなり、上記容器本体には、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物(固形洗浄剤組成物)が収容されており、上記中蓋体には、固形塩素剤が収容されており、上記容器本体と上記中蓋体との間には、上記固形塩素剤又は上記固形洗浄剤組成物の移動を防止する仕切りが設けられている形態の洗浄剤が挙げられる。
【0062】
図3は、本発明の実施形態に係るカートリッジ洗浄剤を構成する容器の一実施例を模式的に示す説明図である。
図4(a)、
図4(b)及び
図4(c)は、
図3に示すカートリッジ洗浄剤を構成する中蓋体及び外蓋体の一実施例を模式的に示す概念図である。
【0063】
本実施形態に係るカートリッジ洗浄剤を構成する容器10は、容器本体10aと中蓋体32と外蓋体33、カバー部34とからなる。
容器本体10aは、円筒容器の下部が次第に縮径していく、所謂、ロート形状となっている。下部には筒部材12がある。
筒部材12には、中蓋体32をねじ込むためのねじ12aが形成されている。図示はしていないが、筒部材は、ねじ込みでなく爪構造によるはめ込み式で中蓋体を固定するようになっていてもよい。
【0064】
図4(a)に示す中蓋体32は、有底円筒形状であり、底部32bには、噴射水を通過させるための円筒部材32dと、固形洗浄剤組成物及び必要に応じて固形塩素剤23(
図4(b)参照)が溶解した洗浄液を通過させるための開口部32aが設けられており、中蓋体32の円筒部分32cの内壁には、
図3に示す筒部材12にねじ込むためのねじ320aが設けられている。
開口部32a及び底部32bを含む、固形塩素剤23を載置するための部分が中蓋体32における載置部である。
底部32bは網目形状となっており、多数の開口部32aが形成されている。底部32bが網目形状であり多数の開口部32aが形成されていると、洗浄液が中蓋体の底部を通過しやすく、均一に排出されるという利点がある。
【0065】
また、この中蓋体32には、さらに内筒32eが設けられており、内筒32eの内部に固形塩素剤23を収容できるように構成されている(
図4(b)参照)。
この中蓋体32に収容する固形塩素剤としては、底部32bの網目形状の開口部32aから落下することのない大きさの固形体の固形塩素剤23であることが望ましい。
また、中蓋体32の内筒32e内には、固形塩素剤23の移動を規制するための区画部材32fが複数箇所に設けられていて、内筒32e内の空間が区画されている。区画部材32fの間隔は、区画部材32fの間に固形塩素剤23が入るように定めることが望ましい。このように固形塩素剤23の移動を規制することにより、各固形塩素剤を均一に溶解させることができる。
【0066】
また、区画部材32fによる区画は、内筒32e内の空間を完全に区画するのではなく、緩く区画することが望ましい。「緩く」というのは、区画部材32fにより固形体の固形塩素剤23の移動が規制される程度に内筒32e内の空間が区画されている一方、区画部材32fと内筒32eの内壁の間、及び/又は、区画部材32fと円筒部材32dの外壁の間に空間を設けて、水や洗浄液等の液体が内筒32eの間で自由に移動できる状態のことを意味する。このような状態であると、水、洗浄液等の液体が特定の部位に噴射されたとしても、液体が内筒32eの中で偏ることがないので、特定の固形塩素剤23のみが溶解することが防止される。
【0067】
また、
図4(b)に示すように、固形塩素剤23を内筒32eの内部に収容した状態で保持するために円環形状のカバー部34が設けられている。
カバー部は、容器本体と中蓋体の間に設けられ、固形塩素剤又は固形洗浄剤組成物の移動を防止する仕切りである。
【0068】
図4(c)には、
図4(a)に示す中蓋体32の裏面に外蓋体としてのフィルム部材33を接着した状態を示している。
フィルム部材33は、カートリッジ洗浄剤の使用時に剥がすことが可能な接着剤により中蓋体32に接着されていてもよい。フィルム部材33は、接着剤が塗布されていない突出部33aを手で掴んで剥がすことができる。また、フィルム部材を水溶性フィルムとしておき、水が触れることによってフィルム部材が溶解してなくなるようにしておいてもよい。
【0069】
このようなカートリッジ洗浄剤を使用する場合、外蓋体であるフィルム部材33を中蓋体32から剥がす。
噴射水が円筒部材32dの間の空間を通過して、容器本体10aに収容された固形洗浄剤組成物に到達し、固形洗浄剤組成物が溶解した洗浄液が生成する。
洗浄液はカバー部34の開口部34aから中蓋体32の中に入り、固形塩素剤23を溶解させて、被覆塩素剤を含む固形洗浄剤組成物と固形塩素剤とを含む洗浄液が生成する。
この洗浄液が中蓋体32底部の開口部32aから下に落ちて自動洗浄機の洗浄タンク内へ流れ、被覆塩素剤及び固形塩素剤由来の塩素剤を含む洗浄液が自動洗浄機に導入される。
この形態のカートリッジ洗浄剤において、円筒部材32dと、中蓋体32底部の開口部32aは、供給口部11にあたる。
【0070】
上記方法により生成される洗浄液には、固形塩素剤由来の塩素剤が供給される。そのため、有効塩素濃度の高い洗浄液を得ることができる。
【0071】
固形塩素剤に使用される塩素剤としては、塩素剤に結合補助剤を加えて固形化したものを好適に使用することができる。
同一のカートリッジ洗浄剤における、固形塩素剤に使用される塩素剤と本発明の洗浄機用洗浄剤組成物に含まれる塩素剤とは同じ種類であることが好ましい。
【0072】
また本発明の洗浄方法は、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物(固形であってもよく、液体であってもよい)を使用する洗浄方法であって、上記洗浄機用洗浄剤組成物を水で希釈又は溶解して得られる洗浄液により洗浄を行うことによって、洗浄対象物に蓄積した汚れを除去又は低減することを特徴とする。
上記方法であると、特定の重合体の組み合わせを含む洗浄液により洗浄を行うことによって、洗浄対象物に蓄積した汚れを除去または低減することができる。
【0073】
なお、本発明の洗浄機用洗浄剤組成物を溶かしたり、希釈したりして洗浄液を得るための水は、常温の水だけではなく、温水(湯)であってもよい。すなわち、該水の温度は特に限定されず、例えば常温~90℃とすることができる。
【実施例】
【0074】
以下、本発明をより具体的に説明する実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
分子量は、本願明細書に記載の方法で測定した数平均分子量を意味する。
【0075】
<実施例1~11>
表1に示す成分を、表1に示す割合となるように配合し、混合することにより実施例1~11の各洗浄機用洗浄剤組成物を製造した。実施例1、4の洗浄機用洗浄剤組成物は、いずれも固形状であった。また、実施例2、3、5~11の洗浄機用洗浄剤組成物は、いずれも液体状であった。表1中の数値は、洗浄剤組成物に対する各成分の純分の割合(質量%)である。
【0076】
<比較例1~11>
表2に示す成分を、表2に示す割合となるように配合し、混合することにより比較例1~11の各洗浄機用洗浄剤組成物を製造した。比較例1、8の洗浄機用洗浄剤組成物は、いずれも固形状であった。また、比較例2~7、9~11の洗浄機用洗浄剤組成物は、いずれも液体状であった。表2中の数値は、洗浄剤組成物に対する各成分の純分の割合(質量%)である。
【0077】
実施例1~11及び比較例1~11で製造した洗浄剤組成物について、以下の方法で外観、洗浄力及び抑泡性の評価を行った。
【0078】
<蓄積汚れ除去又は低減効果の評価>
(試験方法)
それぞれの材質の容器に複合汚垢を1.0g塗り広げ、60℃で一晩保管し、洗浄機を使って1回洗浄した。
1回洗浄後の容器を乾燥させて、さらに複合汚垢を0.3g塗り広げ、60℃で10分保管し、下記洗浄条件で洗浄した。2回目以降、この作業を繰り返して合計10回洗浄した後の蓄積汚れの付着量を目視で評価した。
洗浄条件:洗浄機・・ホシザキUF680、洗浄温度60℃、すすぎ温度80℃、洗浄時間50秒、すすぎ時間10秒を1回の洗浄サイクルとする。
【0079】
(評価基準)
◎:蓄積汚れが全くない
○:蓄積汚れがほとんどない
△:やや汚れの蓄積が見られる
×:蓄積汚れが容器表面の半分以上
【0080】
実施例及び比較例で製造した各洗浄剤組成物の組成並びに評価結果を表1、表2に示した。
【0081】
【0082】
【0083】
表1、表2から、実施例1~11の洗浄機用洗浄剤組成物は、硝子製容器、陶器、樹脂製容器に蓄積した汚れを充分に除去又は低減することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 カートリッジ洗浄剤
10 容器
10a 容器本体
11 供給口部
12 筒部材
12a ねじ
2 固形洗浄剤組成物
23 固形塩素剤
32 中蓋体
32a 開口部
32b 底部
32c 円筒部分
32d 円筒部材
32e 内筒
32f 区画部材
33 外蓋体(フィルム部材)
33a 突出部
34 カバー部
34a カバー部の開口部
320a ねじ
60 噴射水
61 洗浄液