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  • 特許-機械振動加工装置及び機械振動加工方法 図1
  • 特許-機械振動加工装置及び機械振動加工方法 図2
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  • 特許-機械振動加工装置及び機械振動加工方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】機械振動加工装置及び機械振動加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20230912BHJP
   B06B 1/02 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
B23K20/10
B06B1/02 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019229190
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021094594
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-07-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594114019
【氏名又は名称】株式会社アルテクス
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 茂
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0104764(US,A1)
【文献】特開2002-210409(JP,A)
【文献】特開2006-239749(JP,A)
【文献】特開2009-279657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/10
B06B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホーン部を機械振動させて加工を行う機械振動加工装置における機械振動加工方法であって、
前記機械振動加工装置は、第1発振部と、第2発振部と、第1振動子部と、第2振動子部を備え、
前記第1振動子部及び前記第2振動子部は、それぞれ、前記ホーン部の長手方向の一方端及び他方端に存在し、
前記第1振動子部及び前記第2振動子部が前記ホーン部を機械振動させる振動ステップを含み、
前記振動ステップにおいて、
前記第1発振部は、発振し、
前記第2発振部は、前記第1発振部と同期して発振し、
前記第1振動子部は、前記第1発振部の発振に応じて伸縮し、
前記第2振動子部は、前記第2発振部の発振に応じて伸縮し、
前記第1振動子部及び前記第2振動子部の伸縮に応じて、前記ホーン部には、振動極大点とノーダルポイントが交互に存在し、
前記機械振動加工装置は、加工対象物と接触する接触部と前記第1振動子部との間における第1ノーダルポイント、及び、前記接触部と前記第2振動子部との間における第2ノーダルポイントで、前記ホーン部を支持する支持部を備え、
前記振動ステップにおいて、前記第1発振部及び前記第2発振部は、
前記第1ノーダルポイントが縮んだ状態のときに前記第2ノーダルポイントが伸びた状態とし、
前記第1ノーダルポイントが伸びた状態のときに前記第2ノーダルポイントが縮んだ状態とする、機械振動加工方法。
【請求項2】
前記機械振動加工装置は、前記第1発振部と前記第2発振部を接続する連結信号配線部を備え、
前記振動ステップにおいて、
前記第2発振部は、前記連結信号配線部を利用して前記第1発振部と逆位相で発振し、
前記第1振動子部は、前記第1発振部の正負に応じて伸縮し、
前記第2振動子部は、前記第2発振部の正負に応じて伸縮する、請求項1記載の機械振動加工方法。
【請求項3】
ホーン部を機械振動させて加工を行う機械振動加工装置であって、
第1発振部と、第2発振部と、第1振動子部と、第2振動子部を備え、
前記第1振動子部及び前記第2振動子部は、それぞれ、前記ホーン部の長手方向の一方端及び他方端に存在して前記ホーン部を機械振動させ、
前記第1発振部は、発振し、
前記第2発振部は、前記第1発振部と同期して発振し、
前記第1振動子部は、前記第1発振部の発振に応じて伸縮し、
前記第2振動子部は、前記第2発振部の発振に応じて伸縮し、
前記第1振動子部及び前記第2振動子部の伸縮に応じて、前記ホーン部には、振動極大点とノーダルポイントが交互に存在し、
当該機械振動加工装置は、加工対象物と接触する接触部と前記第1振動子部との間における第1ノーダルポイント、及び、前記接触部と前記第2振動子部との間における第2ノーダルポイントで、前記ホーン部を支持する支持部を備え、
記第1発振部及び前記第2発振部は、
前記第1ノーダルポイントが縮んだ状態のときに前記第2ノーダルポイントが伸びた状態とし、
前記第1ノーダルポイントが伸びた状態のときに前記第2ノーダルポイントが縮んだ状態とする、機械振動加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械振動加工方法及び機械振動加工装置に関し、特に、ホーン部を機械振動させて加工を行う機械振動加工方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、接合対象部材を挟む複数の共振器により振動エネルギーを集中させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-117100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている共振器は、それぞれ、対応する一つの振動子に共振するのみであった。
【0005】
図4は、従来の一つの振動子を利用した加工装置の一例を示す図である。図4(a)は従来の加工装置の具体的な構成の一例を示す。図4(b)は、ホーンと、振動子と、これらの間にある中間ブースターの位置関係を示す。ホーンは、長手方向の一方端が固定されて、他方端に、中間ブースターを介して振動子が接続する。ホーンには、振動が極大になる振動極大点(局所的に評価して振動が大きくなる点)と、振動が極小となるノーダルポイント(局所的に評価して振動が小さくなる点)が交互に存在する。一般に、ホーンが加工対象物に接触する接触部は、振動極大点に存在する。ホーン支持部は、ノーダルポイントでホーンを支持する。
【0006】
振動子の伸縮に応じて、ノーダルポイントには、伸縮が交互に生じる。例えば、振動子が伸びると、振動子に最も近いノーダルポイントは縮み、次に近いノーダルポイントは伸び、以下、同様に伸縮が交互に生じる。振動子が縮むと、振動子に最も近いノーダルポイントは伸び、次に近いノーダルポイントは縮み、以下、同様に伸縮が交互に生じる。
【0007】
しかしながら、一方端は固定されているために、他方端における一つの振動子の伸縮の影響は、ホーンにおいて振動子から離れるほど小さくなってしまう。そのため、最大出力が小さくなってしまっていた。
【0008】
図4(c)は、従来の加工装置による金属接合の一例を示す。銅プレート(55mm×50mmで、厚さが5mm)を下に、アルミ(51mm×51mmで、厚さが3mm)を上にして接合すると、接合面積は55×3mm=165mm2であった。
【0009】
よって、本発明は、振動子の振動をホーンにおいて効率よく実現することに適した機械振動加工方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の第1の観点は、ホーン部を機械振動させて加工を行う機械振動加工装置における機械振動加工方法であって、前記ホーン部は、加工対象物に接触部で接触し、前記機械振動加工装置は、前記ホーン部を支持する支持部と、前記ホーン部を機械振動させる複数の発振部を備え、前記複数の発振部は、第1位置で前記ホーン部を機械振動させる第1発振部と、前記第1位置とは異なる第2位置で前記ホーン部を機械振動させる第2発振部を含み、前記支持部は、前記接触部と前記第1位置との間、及び、前記接触部と前記第2位置との間で、前記ホーン部を支持し、前記第2発振部が、前記第1発振部と同期して前記ホーン部を機械振動させる振動ステップを含む。
【0011】
本願発明の第2の観点は、第1の観点の機械振動加工方法であって、前記振動ステップにおいて、前記第2発振部は、前記第1発振部と逆位相で前記ホーン部を機械振動させる。
【0012】
本願発明の第3の観点は、第2の観点の機械振動加工方法であって、前記支持部は、少なくとも、前記接触部と前記第1位置との間における第1ノーダルポイント、及び、前記接触部と前記第2位置との間における第2ノーダルポイントで、前記ホーン部を支持し、前記振動ステップにおいて、前記第1発振部及び前記第2発振部は、前記第1ノーダルポイントが縮んだ状態のときに前記第2ノーダルポイントが伸びた状態とし、前記第1ノーダルポイントが伸びた状態のときに前記第2ノーダルポイントが縮んだ状態とする。
【0013】
本願発明の第4の観点は、ホーン部を機械振動させて加工を行う機械振動加工装置であって、前記ホーン部を支持する支持部と、前記ホーン部を機械振動させる複数の発振部を備え、前記ホーン部は、加工対象物に接触部で接触し、前記複数の発振部は、第1位置で前記ホーン部を機械振動させる第1発振部と、前記第1位置とは異なる第2位置で前記ホーン部を機械振動させる第2発振部を含み、前記支持部は、前記接触部と前記第1位置との間、及び、前記接触部と前記第2位置との間で、前記ホーン部を支持し、前記第2発振部は、前記第1発振部と同期して前記ホーン部を機械振動させる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明の各観点によれば、複数の発振部を利用することにより、最大出力の低下を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本願発明の実施の形態に係る機械振動加工装置1の構成の一例を示す図である。
図2図1のホーン部5における伸縮状態の一例を説明するための図である。
図3】本願発明を利用した機械振動加工装置の具体的な一例を示す図である。
図4】従来の一つの振動子を利用した加工装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本願発明の実施例について述べる。なお、本願発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0017】
図1は、本願発明の実施の形態に係る機械振動加工装置1の構成の一例を示す図である。
【0018】
機械振動加工装置1は、ホーン部5(本願発明の「ホーン部」の一例)と、接触部7と、第1支持部9と、第2支持部11と、第1振動子部13と、第2振動子部15と、第1発振部17(本願発明の「第1発振部」の一例)と、第2発振部19(本願発明の「第2発振部」の一例)と、連結信号配線部21と、制御部23と、移動部25と、圧力調整部27を備える。
【0019】
第1発振部17及び第2発振部19は、ホーン部5を機械振動させる。具体的には、ホーン部5の長手方向の一方端(本願発明の「第1位置」の一例)に第1振動子部1が、他方端(本願発明の「第2位置」の一例)に第2振動子部1が存在する。第1振動子部及び第2振動子部は、それぞれ、第1発振部17及び第2発振部19の振動を、両端からホーン部5に伝える。ホーン部5には、振動が極大になる振動極大点と、振動が極小となるノーダルポイントが交互に存在する。以下では、振動極大点は少なくともホーン部5の長手方向の中央に存在し、ノーダルポイントは、ホーン部5の長手方向の中央を基準として長手方向に対称に現れるとする。接触部7は、ホーン部5の長手方向の中央に存在し、振動極大点における振動に応じて振動する。第1支持部9及び第2支持部11は、それぞれ、ホーン部5の中央よりも第1振動子部13及び第2振動子部15の側に存在するノーダルポイントの一部又は全部でホーン部5を支持する。
【0020】
第1発振部17及び第2発振部19は、連結信号配線部21により配線されている。第2発振部19は、連結信号配線部21を利用して、第1発振部17とは逆位相で発振する。そのため、第2振動子部15は、第1振動子部13とは逆位相の振動をホーン部5に伝える。
【0021】
制御部23は、制御信号を利用して機械振動加工装置1の各部を制御する。移動部25は、ホーン部5を下降させて接触部7を加工対象物3に接触させたり、ホーン部5を上昇させて接触部7を加工対象物3から離したりする。圧力調整部27は、ホーン部5が加工対象物3を加圧するときの圧力を調整する。
【0022】
図1(b)は、機械振動加工装置1による接合の一例の概要を示す図である。銅プレート上にアルミが存在する。ホーン部5は、下降してアルミに接触して加圧される。そして、機械振動によりアルミと銅プレートを接合する。
【0023】
図1(c)は、制御部23が使用する制御信号の一例を示す。図1(d)は、機械振動加工装置1の動作の一例を示すフロー図である。制御部23は、ホーン移動シリンダ信号をONにして移動部25に対してホーン部5を下降させる(ステップST1)。接触部7が充分に加工対象物3に接触すると、制御部23は、ホーン加圧信号をONにして、圧力調整部27がホーン部5を上から加圧する(ステップST2)。加圧が充分になると、制御部23は第1発振部17及び第2発振部19に対して発振信号をONにして発振させて接合をさせる(ステップST3)。制御部23は、接合が終了したか否かを判断する(ステップST4)。制御部23は、例えば、管理者により事前に設定されたプログラムが終了したり、指定された時間が経過したり、管理者が接合処理の終了を指示したりしたならば、接合が終了したと判断する。接合が終了したならばステップST5に進む。接合が終了していないならばステップST3に戻る。
【0024】
ステップST5において、制御部23は、発振信号をOFFにしてホーン部5が振動しない状態にし、ホーン加圧信号をOFFにして圧力調整部27に加圧がない状態とさせる。そして、ホーン移動シリンダ信号をOFFにしてホーン部5を上昇させる(ステップST6)。
【0025】
なお、機械振動加工装置1において、第1振動子部13とホーン部5の間、及び、第2振動子部15とホーン部5の間に、中間ブースターを用いてもよい。
【0026】
図2は、ホーン部5における伸縮状態の一例を説明するための図である。第1発振部17を主とし、第2発振部19を従とする。第1発振部17は正弦波により発振し、第2発振部19は逆位相で発振する。第1振動子部13及び第2振動子部15は、それぞれ、第1発振部17及び第2発振部19の正負に対応して伸縮する。すなわち、第1振動子部13は、第1発振部17が正であれば伸び、負であれば縮む。第2振動子部15も、同様に、第2発振部19が正であれば伸び、負であれば縮む。
【0027】
ホーン部5には、振動極大点が3つ存在する。振動極大点を、中央極大点と、左側極大点と、右側極大点という。中央極大点は、長手方向の中央である。左側極大点及び右側極大点は、それぞれ、長手方向において中央と第1振動子部13及び第2振動子部15との間に存在する。以下では、ホーン部5を、第1ホーン部51、第2ホーン部52、第3ホーン部53及び第4ホーン部54に分けて説明する。第1ホーン部51は、ホーン部5において第1振動子部13側の端から左側極大点までの部分である。第2ホーン部52は、ホーン部5において左側極大点から中央極大点までの部分である。第3ホーン部53は、ホーン部5において中央極大点から右側極大点までの部分である。第4ホーン部54は、ホーン部5において右側極大点から第2振動子部15側の端までの部分である。ノーダルポイントは、4つ存在する。4つのノーダルポイントは、第1ホーン部51、第2ホーン部52、第3ホーン部53、及び、第4ホーン部54にある。
【0028】
接触部7は、中央極大点に対応して設けられている。第1支持部9は、第1ホーン部51のノーダルポイント(本願請求項の「第1ノーダルポイント」の一例)に対応してホーン部5を支持する。第2支持部11は、第4ホーン部54のノーダルポイント(本願請求項の「第2ノーダルポイント」の一例)に対応してホーン部5を支持する。
【0029】
図2(b)~(e)は、第1発振部17及び第2発振部19の発振と、ホーン部5並びに第1振動子部13及び第2振動子部15における伸縮状況の一例を示す。
【0030】
図2(b)は、第1発振部17が正のときである。このとき、第2発振部19は逆位相のために負である。第1振動子部13及び第2振動子部15は、それぞれ、伸びた状態及び縮んだ状態になる。そして、第1ホーン部51、第2ホーン部52、第3ホーン部53及び第4ホーン部54は、それぞれ、縮んだ状態、伸びた状態、縮んだ状態、及び、伸びた状態になる(すなわち、第1ホーン部51のノーダルポイントが縮んだ状態のときに第4ホーン部54のノーダルポイントが伸びた状態である)。
【0031】
図2(c)は、第1発振部17がゼロのときである。このとき、第2発振部19もゼロである。第1振動子部13及び第2振動子部15は、元の状態になる。そして、第1ホーン部51、第2ホーン部52、第3ホーン部53及び第4ホーン部54も、元の状態になる。
【0032】
図2(d)は、第1発振部17が負のときである。このとき、第2発振部19は逆位相のために正である。第1振動子部13及び第2振動子部15は、それぞれ、縮んだ状態及び伸びた状態になる。そして、第1ホーン部51、第2ホーン部52、第3ホーン部53及び第4ホーン部54は、それぞれ、伸びた状態、縮んだ状態、伸びた状態、及び、縮んだ状態になる(すなわち、第1ホーン部51のノーダルポイントが伸びた状態のときに第4ホーン部54のノーダルポイントが縮んだ状態である)。
【0033】
図2(e)は、第1発振部17がゼロのときである。このとき、第2発振部19もゼロである。第1振動子部13及び第2振動子部15は、元の状態になる。そして、第1ホーン部51、第2ホーン部52、第3ホーン部53及び第4ホーン部54も、元の状態になる。
【0034】
そして、図2(b)~(e)を繰り返すこととなる。
【0035】
なお、図2(b)及び(d)を参照して、図2(b)における中央よりも右側と左側の伸縮の状況が、それぞれ、図2(d)における中央よりも左側と右側に伸縮の状況が対称に表れている。そのため、例えば第1支持部9及び第2支持部11は、同様の状況になる。他方、従来のように一つの振動子のみを使用する場合には、接合部よりも振動子に近い側と遠い側では伸縮の状態が異なる。
【0036】
図3は、本願発明を利用した機械振動加工装置の具体的な一例を示す図である。図(a)は、本願発明を利用した機械振動加工装置の具体的な構成の一例を示す。図(b)は、ホーンと、2つの振動子と、これらの間にある2つの中間ブースターの位置関係を示す。ホーンは、長手方向の両端のそれぞれに、中間ブースターを介して振動子が接続する。
【0037】
中間ブースターについて説明する。接合のエネルギーは、周波数と振動振幅と荷重と時間により得られる積算エネルギー量である。振動振幅を可変として設定する方法には、2通りある。一つは、電気的手段である。これは、振動子にかかる発信回路の電圧の数値設定で振幅の大きさを決めるものである。例えば、%表示によりデジタル設定を行うものなどである。もう一つは、機械的手段である。これは、振動子とホーンの間に振幅調節用の中間ブースターを挟んで連結するものである。音の中間ブースターへの入り口と出口の断面積比により振動の大きさを変換することができる。例えば図(b)の例では、円筒形状のブースターの中間が細く絞られている。振動子の基本振幅は、ホーンの入り口で1.5倍に増幅される。電気的手段では振幅を小さくすると最大出力が低下するのに対し、機械的手段では最大出力に影響を与えない。
【0038】
ホーンには、振動が極大になる振動極大点と、振動が極小となるノーダルポイントが交互に存在する。一般に、ホーンが加工対象物に接触する接触部は、振動極大点に存在する。ホーン支持部は、ノーダルポイントでホーンを支持する。図3(c)は、ホーンを支持するためにクランプを設置したものである。
【0039】
図3(d)及び(e)は、図3(a)~(c)の機械振動加工装置を利用して、図4)と同じく、銅プレート(55mm×50mmで、厚さが5mm)を下に、アルミ(51mm×51mmで、厚さが3mm)を上にして接合したときの接合結果を示す。接合面積(図3(d)のの面積)は51×20mm=1,020mm2であり、1,000mm2以上の広い面積で接合することができた。図3(e)は、接合後に折り曲げた状態を示す。引張り試験では、シェアー強度が14.6kN(≒1.46ton剥離)であり、界面抵抗値は0.567μΩであった。
【符号の説明】
【0040】
1 機械振動加工装置、3 加工対象物、5 ホーン部、7 接触部、9 第1支持部、11 第2支持部、13 第1振動子部、15 第2振動子部、17 第1発振部、19 第2発振部、21 連結信号配線部、23 制御部、25 移動部、27 圧力調整部
図1
図2
図3
図4