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特許7347806圧力容器用缶体およびこれを具備する圧力容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】圧力容器用缶体およびこれを具備する圧力容器
(51)【国際特許分類】
   F16J 12/00 20060101AFI20230912BHJP
   B23K 9/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
F16J12/00 F
B23K9/00 501M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020108995
(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公開番号】P2022006638
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391015926
【氏名又は名称】チヨダエレクトリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 正明
(72)【発明者】
【氏名】高澤 和宏
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-145356(JP,U)
【文献】特開平04-235733(JP,A)
【文献】特開2000-103397(JP,A)
【文献】特開2019-150855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 12/00-13/24
B23K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒および前記内筒の外方位置に配設された外筒を有する圧力容器用缶体であって、
前記内筒の外周面には先端縁に凸部を有する起立部材が立設されていて、
前記外筒には、前記凸部の位置に合わせて挿通孔が形成されており、
前記外筒は前記挿通孔の位置で前記凸部が板厚方向に貫通されていると共に、前記凸部と前記挿通孔との境界部分を含む所要範囲をすみ肉溶接することにより前記内筒の外方位置に所定間隔をあけて配設されていることを特徴とする圧力容器用缶体。
【請求項2】
前記起立部材は補強材であることを特徴とする請求項1記載の圧力容器用缶体。
【請求項3】
前記起立部材は、前記内筒の外周面からの起立高さ寸法が前記所定間隔の寸法に形成された第1対向端縁と、前記内筒の外周面からの起立高さが前記所定間隔の寸法に前記外筒の板厚寸法を加えた高さよりも高い第2対向端縁と、が前記起立部材の延長方向に沿って所要間隔で交互に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の圧力容器用缶体。
【請求項4】
請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の圧力容器用缶体を具備することを特徴とする圧力容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力容器用缶体およびこれを具備する圧力容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内筒と外筒とを有し、内筒と外筒との間にジャケット部を有する圧力容器用缶体を形成する際においては、内筒と外筒とを互いに離反させた状態で組み立てる必要がある。このような構成の圧力容器用缶体としては特許文献1に開示されているような構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-235733号公報(請求項5,明細書段落0005-0008、図1図2図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている圧力容器用缶体によれば、内筒と外筒との間に中間リブを配設し、中間リブに内筒と外筒とをそれぞれ溶接することにより内筒と外筒との間に均等な間隔を形成することができる。しかしながら、中間リブと内筒または外筒との溶接は、いずれか一方をプラグ溶接(栓溶接)しなければならず、溶接の難易度が高いと共に、溶接個所が多くなるため生産性が低いといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、内筒の外方位置に所要間隔をあけて外筒を配設した圧力容器用缶体およびこれを具備する圧力容器を容易に製造することが可能な構成を提供することにある。
【0006】
上記課題を解決するために発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち本発明は、内筒および前記内筒の外方位置に配設された外筒を有する圧力容器用缶体であって、前記内筒の外周面には先端縁に凸部を有する起立部材が立設されていて、前記外筒には、前記凸部の位置に合わせて挿通孔が形成されており、前記外筒は前記挿通孔の位置で前記凸部が板厚方向に貫通されていると共に、前記凸部と前記挿通孔との境界部分を含む所要範囲をすみ肉溶接することにより前記内筒の外方位置に所定間隔をあけて配設されていることを特徴とする圧力容器用缶体である。
【0007】
これにより、難易度が高く作業性が悪いプラグ溶接が不要になり、難易度が低く作業性に優れるすみ肉溶接により内筒および外筒と起立部材を組み立てすることができる。これにより内筒の外方位置に所要間隔をあけて外筒が配設された圧力容器用缶体を容易かつ高精度で製造することができる。
【0008】
また、前記起立部材は補強材であることが好ましい。
【0009】
これにより、圧力容器用缶体の機械的強度を高めることができる。
【0010】
また、前記起立部材は、前記内筒の外周面からの起立高さ寸法が前記所定間隔の寸法に形成された第1対向端縁と、前記内筒の外周面からの起立高さが前記所定間隔の寸法に前記外筒の板厚寸法を加えた高さよりも高い第2対向端縁と、が前記起立部材の延長方向に沿って所要間隔で交互に形成されていることが好ましい。
【0011】
これにより、外筒と起立部材との溶接延長を削減することができると共に、起立部材と外筒との組み立て部分の強度を向上させることができる。
【0012】
また、上記いずれかに記載の圧力容器用缶体を具備することを特徴とする圧力容器としての発明もある。
【0013】
これにより、難易度が高く作業性が悪いプラグ溶接が不要になり、難易度が低く作業性に優れるすみ肉溶接により内筒および外筒と起立部材を組み立てすることができる。これにより内筒の外方位置に所要間隔をあけて外筒が配設された圧力容器用缶体を具備する圧力容器を容易かつ高精度で製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明における圧力容器用缶体およびこれを具備する圧力容器の構成を採用することにより、難易度が高く作業性が悪いプラグ溶接が不要になり、難易度が低く作業性に優れるすみ肉溶接により内筒および外筒と起立部材を組み立てすることができる。これにより内筒の外方位置に所要間隔をあけて外筒が配設された圧力容器用缶体およびこれを具備する圧力容器を容易かつ高精度で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態における圧力容器用缶体の一部透視正面図である。
図2】本実施形態における圧力容器用缶体の一部透視平面図である。
図3】本実施形態における圧力容器用缶体の一部透視右側面図である。
図4図1中のIV-IV線における断面図である。
図5図4中のV-V線における要部断面図である。
図6図4中のVI-VI線における要部断面図である。
図7】第1起立部材(第2起立部材)の正面図である。
図8】本実施形態における圧力容器用缶体の組立手順を示す概略構成説明図である。
図9図8に続く圧力容器用缶体の組立手順を示す概略構成説明図である。
図10図9に続く圧力容器用缶体の組立手順を示す概略構成説明図である。
図11】本実施形態における圧力容器用缶体を具備する圧力容器の平面図である。
図12】起立部材の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる圧力容器用缶体100の実施形態について、図面に基づいて具体的に説明する。図1図6に示すように、本実施形態における圧力容器用缶体100は、内筒10、外筒20、起立部材30および閉塞蓋40を具備している。また、圧力容器用缶体100の上面には圧力容器用缶体100の内部空間(ジャケット部50)における流体の流通を促進させるためのファン130(図11参照)を取り付けるためのファン取付座60および吊搬用のフック140を取り付けるためのフック座70が溶接等により取り付けられている。圧力容器用缶体100の正面および背面の下部には設置台への固定具80が溶接等により取り付けられている。ファン取付座60、フック座70、固定具80は公知であるためここでの詳細な説明は省略する。
【0017】
本実施形態における内筒10は複数枚の板部材を用いて矩形断面を有する有底筒状体に形成されている。なお、ここでの矩形断面とは、正方形断面、長方形断面、およびこれらの隅角部を円弧状曲線に形成した角丸の正方形断面、角丸の長方形断面等を含む概念である。内筒10の水平方向外周面12にはすみ肉溶接90に代表される公知の手法で第1起立部材32が取り付けられている。
【0018】
第1起立部材32は内筒10の外周方向において角部を含む所要長さ範囲を除いた部分に取り付けられており、内筒10の延長方向において所要間隔をあけて複数箇所に立設されている。また、内筒10の垂直方向外周面14には第2起立部材34が第1起立部材32と同様にして取り付けられている。図1図2および図4からも明らかなとおり、本実施形態における第1起立部材32と第2起立部材34は、圧力容器用缶体100の奥行方向(図1図2の左右方向)における配設位置を一致させている。これにより、内筒10および外筒20と起立部材30との溶接位置を揃えることができ、溶接時における作業性が良好になる。
【0019】
本実施形態における外筒20は複数枚の板部材を用いて長方形状断面を有する筒状体をなし、内筒10の外方位置において所要間隔をあけて配設されている。ここでは内筒10と外筒20との間に形成された所要間隔の空間はジャケット部50として機能する。ジャケット部50は公知の構成であるため、ここでの詳細な説明は省略する。また、本実施形態における内筒10および外筒20の開口端部には、ジャケット部50の開口部を閉塞する閉塞蓋40が溶接等の公知の手法により取り付けられている。
【0020】
外筒20の水平方向外周面22および垂直方向外周面24には、内筒10に取り付けられた第1起立部材32および第2起立部材34の凸部35の位置に位置合わせした挿通孔26が形成されている。本実施形態においては、第1起立部材32および第2起立部材34の凸部35が貫通する挿通孔26は、外筒20の内表面における開口部と外表面における開口部を同一形状にした形態を採用している。また挿通孔26は、第1起立部材32および第2起立部材34の凸部35の挿通および溶接が容易になるように、外筒20の内表面における開口部よりも外表面における開口部の方が大きいテーパ形状に形成した形態を採用することもできる。
【0021】
外筒20の水平方向外周面22および垂直方向外周面24の挿通孔26から突出した第1起立部材32および第2起立部材34の凸部35は、挿通孔26(外筒20)との境界部分を含む所要幅範囲がすみ肉溶接90されている。
【0022】
本実施形態における起立部材30は、図7に示すように基本形態が共通する第1起立部材32と第2起立部材34とにより構成されている。図7における正面図は長手方向(図7の左右方向)において形状が連続する部分(2本の一点鎖線間)の一部を省略している。なお、第1起立部材32と第2起立部材34とは完全に同一の形状に形成することもできる。第1起立部材32および第2起立部材34は、図7に示すように、いずれも内筒10への取付端縁32A,34Aとの対向端縁が取付端縁32A,34Aからの離間距離の異なる第1対向端縁32B,34Bと第2対向端縁32C,34Cに形成されている。これら第1対向端縁32B,34Bと第2対向端縁32C,34Cは、第1起立部材32および第2起立部材34の長手方向において所要間隔をあけて交互に形成されている。すなわち第1起立部材32および第2起立部材34は、それぞれ起立側の先端縁に複数の凸部35を有する矩形波形状に形成されている。
【0023】
第1起立部材32と第2起立部材34は、一直線状の取付端縁32A,34Aで内筒10の外周面(外表面)に取り付けられている。そして第1対向端縁32B,34Bが外筒20の内周面に当接させた状態で取り付けられている。したがって第1対向端縁32B,34Bの高さ寸法(内筒10からの起立高さ)により内筒10と外筒20との間に形成されるジャケット部50(内筒10の外周面と外筒20の内周面との高さ)が規定されることになる。本実施形態においては、第1起立部材32における第1対向端縁32Bの高さ寸法と、第2起立部材34における第1対向端縁34Bの高さ寸法を異ならせているが、これらを等しくすることもできる。
【0024】
なお、第2対向端縁32C,34Cは、いずれも第1対向端縁32B,34Bとの起立高さの差により外筒20を板厚方向に貫通する凸部35の形成部分である。すなわち凸部35の高さ寸法(第2対向端縁32C,34Cと第1対向端縁32B,34Bとの差)は、外筒20の板厚寸法よりも大きくなるように形成されている。本実施形態における外筒20の外周面からの凸部分の突出高さは、10mmとしているが、この数値に限定されるものではない。
【0025】
次に本実施形態における圧力容器用缶体100の組立方法について図8図10を参照しながら説明する。なお、図8図10に示す各構成は、簡略化のため各構成を概略形態で示している。
【0026】
図8(A)に示すように、複数枚のパネルを溶接することで予め形成した内筒10の水平方向外周面12に第1起立部材32を、垂直方向外周面14に第2起立部材34を、それぞれ取付端縁32A,34Aの部分ですみ肉溶接90により取り付ける。このようにして内筒10の外周面に起立部材30(32,34)を立設することで、図8(B)に示すような起立部材装着内筒11を得ることができる。なお、第1起立部材32の取り付けと第2起立部材34の取り付けは順序を入れ替えてもよい。
【0027】
次に図9(A)に示すように、図8(B)で得た起立部材装着内筒11に外筒20の底面である水平方向外周面22を取り付ける。本実施形態における水平方向外周面22は、外筒20の底面(上面)と、外筒20の側面のうち外筒20の底面(上面)に最も近い位置における挿通孔26の高さ範囲内の部分までを一体化することにより扁平U字状に形成されたものが用いられている。これにより水平方向外周面22は、両端縁(U字状の上端縁)に挿通孔26と同一間隔で凹部26Aが形成されることになる。このようにして形成された水平方向外周面22を起立部材装着内筒11の底面に押し付けるようにして挿通孔26および凹部26Aに第1起立部材32の凸部35を貫通させれば水平方向外周面22を起立部材装着内筒11に取り付けることができる。この後、凸部35と挿通孔26および凹部26Aの境界部分を含む所要幅範囲をすみ肉溶接90して固定することができる。
【0028】
外筒20の上面については、外筒20の底面と同様にして水平方向外周面22を起立部材装着内筒11に取り付けることができる。また、外筒20の左右側面を構成する垂直方向外周面24は所要間隔で挿通孔26が形成された孔あき板になる。よって図9(B)に示すように、第2起立部材34の凸部35を挿通孔26に挿通させて起立部材装着内筒11に装着した後に、凸部35と挿通孔26との境界部分を含む所要幅範囲をすみ肉溶接90して固定することができる。そして水平方向外周面22と垂直方向外周面24との境界部分と奥面パネル(不図示)をそれぞれすみ肉溶接90により取り付けることで内筒10の外方位置に外筒20を図10に示すように一体化することができる。
【0029】
そして、圧力容器用缶体100の開口端部には、ジャケット部50を閉塞するための閉塞板40(図3参照)が溶接により取り付けられる。以上のようにして図1図3に示す圧力容器用缶体100を得ることができる。また、外筒20の上面および側面にはジャケット部50または内筒10の内部空間と外部空間とを連通させるための連通用プラグ150(図11参照)を取り付けることもできる。
【0030】
このように内筒10の外周面に取り付けられ、外筒20との間のジャケット部50を形成する板状体の第1起立部材32および第2起立部材34の一部を外筒20に貫通させることで、圧力容器用缶体100の製造時における溶接をすみ肉溶接90のみにすることができる。これにより難易度の高いプラグ溶接が不要になり、圧力容器用缶体100の製造コストを低減させることができる。また、板状体であっても第1起立部材32および第2起立部材34は補強材としても十分機能するので、圧力容器用缶体100の軽量化が可能になる。これと同時に圧力容器用缶体100の熱容量を少なくすることもでき、圧力容器用缶体100の加熱時や冷却時におけるエネルギー消費量を低減させることもできる。
【0031】
そして、本実施形態における圧力容器用缶体100は、内筒10と外筒20との間に配設された第1起立部材32および第2起立部材34の第1対向端縁32B,34Bの高さ寸法によって内筒10と外筒20との間の所定間隔が規定されている。そしてこの所定間隔の空間はガスや水等を充填するジャケット部50として用いられ、ジャケット部50の高さ寸法が精密に規定されることにもなる。また、内筒10および外筒20の角部を含む所要範囲には第1起立部材32と第2起立部材34の未装着部分である連通部52が形成されるため、図11に示す連通用プラグ150を介してジャケット部50に供給されたガスや水等は、連通部52からジャケット部50の全体に確実に充填することができる。
【0032】
図11は、図1図3に示した圧力容器用缶体100の外表面に外装材110、開閉扉120、ファン130、フック140および連通用プラグ150を取り付けた圧力容器200の平面図である。また、図示しないが圧力容器200には圧力容器の動作制御を行うための動作制御部等の構成が備わっている。なお、圧力容器用缶体100に取り付けられる外装材110、開閉扉120、ファン130、フック140、連通用プラグ150および動作制御部等については公知の構成であるためここでの詳細な説明は省略する。
【0033】
以上、本発明にかかる圧力容器用缶体100およびこれを具備する圧力容器200について実施形態に基づいて説明したが、本発明にかかる圧力容器用缶体100およびこれを具備する圧力容器200の構成は以上に説明した実施形態に限定されるものではない。例えば以上に説明した実施形態における圧力容器用缶体100は、内筒10および外筒20が矩形状断面に形成されている形態について説明しているがこの形態に限定されるものではない。内筒10および外筒20は楕円形断面形状等の公知の断面形状に形成することもできる。また、内筒10と外筒20の断面形状を異ならせることもできる。また、内筒10と外筒20はいずれも有底筒状体をなしているが、いずれも筒体形状をなし、筒体の一方の端部に別体の図示しない内底部を溶接等により取り付けた形態を採用することもできる。
【0034】
また、以上の実施形態においては起立部材30を第1対向端縁32B(34B)と第2対向端縁32C(34C)とが交互に形成された矩形波形状をなす形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。例えば図12(A)に示すような第2対向端縁32C(34C)が1つのみ形成された凸形状の第1起立部材32および第2起立部材34の形態を採用することもできる。なお、図12(A)に示されている起立部材30は、長手方向(図12の左右方向)において形状が連続する部分(2本の一点鎖線間)の一部を省略している。
【0035】
また、図12(A)に示すように、第1起立部材32と第2起立部材34のジャケット部50における露出面(取付端縁32A,34Aから第1対向端縁32B,34Bの間の部分)には、板厚方向に貫通する貫通孔36を形成することもできる。第1起立部材32および第2起立部材34の少なくとも一方に貫通孔36を配設することにより、ジャケット部50におけるガスや水の充填時間を大幅に短縮させることができる。また、圧力容器用缶体100としての質量および熱容量を削減することができる点で好都合である。さらには、図12(B)に示すように、正面視凸形状に形成された第1起立部材32および第2起立部材34を内筒10の外周面に所要間隔をあけて複数立設させる形態を採用することもできる。
【0036】
また、本実施形態においては、第1起立部材32と第2起立部材34との圧力容器用缶体100の奥行方向における取り付け位置を一致させた形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。第1起立部材32と第2起立部材34とは、圧力容器用缶体100の奥行方向における取り付け位置を異ならせることもできる。この形態によれば、第1起立部材32と第2起立部材34を内筒10の水平方向外周面12および垂直方向外周面14の全範囲にわたって取り付けてもジャケット部50にガスや水を充填することができる。
【0037】
また、本実施形態における圧力容器用缶体100の組立手順は一例であり、本実施形態の組立手順に限定されるものではない。また、以上に説明した実施形態における各種変形例どうしを適宜組み合わせた構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 内筒,
11 起立部材装着内筒,12 水平方向外周面,14 垂直方向外周面,
20 外筒,
22 水平方向外周面,24 垂直方向外周面,26 挿通孔,26A 凹部,
30 起立部材,
32 第1起立部材,
32A 取付端縁,32B 第1対向端縁,32C 第2対向端縁,
34 第2起立部材,
34A 取付端縁,34B 第1対向端縁,34C 第2対向端縁,
35凸部,36 貫通孔,
40 開閉蓋,
50 ジャケット部,
52 連通部,
60 ファン取付座,
70 フック座,
80 固定具,
90 すみ肉溶接,
100 圧力容器用缶体,
110 外装材,
120 開閉扉,
130 ファン,
140 フック,
150 連通用プラグ,
200 圧力容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12