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7347810ホームゲートウェイ、システム、ホームゲートウェイの方法、及びホームゲートウェイのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】ホームゲートウェイ、システム、ホームゲートウェイの方法、及びホームゲートウェイのプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/851 20220101AFI20230912BHJP
   H04L 61/4511 20220101ALI20230912BHJP
【FI】
H04L45/851
H04L61/4511
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020179604
(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公開番号】P2022070507
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】磯部 昭吾
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-192156(JP,A)
【文献】特開2018-032315(JP,A)
【文献】特開2019-179368(JP,A)
【文献】特開2015-173374(JP,A)
【文献】特開2019-125881(JP,A)
【文献】特開2009-206562(JP,A)
【文献】DS-Liteの仕組み,2019年07月24日,<URL> https://www.geekpage.jp/blog/?id=2019-7-24-1
【文献】A. Durand,Dual-Stack Lite Broadband Deployments Following IPv4 Exhaustion,Internet Engineering Task Force (IETF) , Request for Comments: 6333,2011年08月,<URL> https://datatracker.ietf.org/doc/html/rfc6333
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 45/851
H04L 61/4511
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自ホームゲートウェイと接続する複数のネットワーク毎に通信の混雑状況を検出する検出部と、
前記複数のネットワーク毎の通信の前記混雑状況に基づいて、前記複数のネットワーク毎に通信の優先度を設定する設定部と、
配下の端末からIPv4アドレスを解決するまたはIPv6アドレスを解決するDNS要求を受信した場合、サーバに前記DNS要求を転送し、前記サーバから前記DNS要求に対する応答を受信した場合、配下の前記端末にDNS応答を転送するProxy機能部と、
前記複数のネットワークのうちの第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記第1のネットワークの前記優先度よりも高い前記優先度が設定された第2のネットワークと前記端末が通信するように制御する制御部と、
を備える、
前記制御部は、DNS要求パケットのQuery Typeが、前記第1のネットワークのアドレスを解決するためのQuery Typeである場合、前記第1のネットワークのアドレスを解決するためのDNS要求パケットを遅延させる、
ホームゲートウェイ。
【請求項2】
前記設定部は、前記検出部が前記第1のネットワークの通信が混雑していることを検出した場合、前記第1のネットワークの通信の前記優先度を低に設定する、
請求項1に記載のホームゲートウェイ。
【請求項3】
前記検出部は、前記複数のネットワークのそれぞれにおいて、
前記ネットワーク内に設けられたルータの処理負荷が処理負荷閾値を超過した場合、
前記ネットワークの通信の通信量が通信量閾値を超過した場合、又は、
前記端末の、前記ネットワーク内に設けられた前記サーバに対する応答時間が応答時間閾値を超過した場合、
前記ネットワークの通信が混雑していると判定する、
請求項1又は2に記載のホームゲートウェイ。
【請求項4】
前記制御部は、前記ネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記サーバに対する応答を遅延させて前記応答時間を長くする、
請求項3に記載のホームゲートウェイ。
【請求項5】
前記設定部は、前記第1のネットワークから前記第1のネットワークを使用した通信の抑制を指示する第1の通信抑制通知を受信した場合、前記第1のネットワークの通信の前記優先度を低に設定する、
請求項1から4のいずれか1つに記載のホームゲートウェイ。
【請求項6】
前記制御部は、さらに、前記DNS要求パケットのFQDNと前記DNS要求パケットに対する応答のFQDNとが一致し、かつ、前記DNS要求パケットのQuery Typeとは異なるQuery TypeのDNS情報がDNS Proxy記憶領域にある場合、前記DNS要求パケットに対する応答を遅延させる、
請求項1に記載のホームゲートウェイ。
【請求項7】
端末と、前記端末と接続するホームゲートウェイと、前記ホームゲートウェイと接続する複数のネットワークと、
を備え、
前記ホームゲートウェイは、
前記複数のネットワーク毎に通信の混雑状況を検出する検出部と、
前記複数のネットワーク毎の通信の前記混雑状況に基づいて、前記複数のネットワーク毎に通信の優先度を設定する設定部と、
配下の前記端末からIPv4アドレスを解決するまたはIPv6アドレスを解決するDNS要求を受信した場合、サーバに前記DNS要求を転送し、前記サーバから前記DNS要求に対する応答を受信した場合、配下の前記端末にDNS応答を転送するProxy機能部と、
前記複数のネットワークのうちの第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記第1のネットワークの前記優先度よりも高い前記優先度が設定された第2のネットワークと前記端末が通信するように制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、DNS要求パケットのQuery Typeが、前記第1のネットワークのアドレスを解決するためのQuery Typeである場合、前記第1のネットワークのアドレスを解決するためのDNS要求パケットを遅延させ、
前記端末は、
前記DNS要求を前記ホームゲートウェイに送信し、
前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記ホームゲートウェイを介して前記第2のネットワークと通信し、
前記複数のネットワークのうちの前記第2のネットワークは、前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記ホームゲートウェイを介して前記端末と通信する、
システム。
【請求項8】
自ホームゲートウェイと接続する複数のネットワーク毎に通信の混雑状況を検出することと、
前記複数のネットワーク毎の通信の前記混雑状況に基づいて、前記複数のネットワーク毎に通信の優先度を設定することと、
配下の端末からIPv4アドレスを解決するまたはIPv6アドレスを解決するDNS要求を受信した場合、サーバに前記DNS要求を転送し、前記サーバから前記DNS要求に対する応答を受信した場合、配下の前記端末にDNS応答を転送することと、
前記複数のネットワークのうちの第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記第1のネットワークの前記優先度よりも高い前記優先度が設定された第2のネットワークと前記端末が通信するように制御することと、
DNS要求パケットのQuery Typeが、前記第1のネットワークのアドレスを解決するためのQuery Typeである場合、前記第1のネットワークのアドレスを解決するためのDNS要求パケットを遅延させることと、
を備えるホームゲートウェイの方法。
【請求項9】
自ホームゲートウェイと接続する複数のネットワーク毎に通信の混雑状況を検出することと、
前記複数のネットワーク毎の通信の前記混雑状況に基づいて、前記複数のネットワーク毎に通信の優先度を設定することと、
配下の端末からIPv4アドレスを解決するまたはIPv6アドレスを解決するDNS要求を受信した場合、サーバに前記DNS要求を転送し、前記サーバから前記DNS要求に対する応答を受信した場合、配下の前記端末にDNS応答を転送することと、
前記複数のネットワークのうちの第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記第1のネットワークの前記優先度よりも高い前記優先度が設定された第2のネットワークと前記端末が通信するように制御することと、
DNS要求パケットのQuery Typeが、前記第1のネットワークのアドレスを解決するためのQuery Typeである場合、前記第1のネットワークのアドレスを解決するためのDNS要求パケットを遅延させることと、
をコンピュータに実行させるホームゲートウェイのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ホームゲートウェイ、システム、ホームゲートウェイの方法、及びホームゲートウェイのプログラムに関するものであり、特に、ネットワークの混雑状況に基づいてネットワークの優先度を設定し、優先度の低いネットワークの通信を、優先度の高いネットワークの通信に転送することが可能なホームゲートウェイ、システム、ホームゲートウェイの方法、及びホームゲートウェイのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用ゲートウェイ機器(HGW:Home GateWay)やモバイルルータや携帯端末などのインターネット通信機器の増加により、IPv4(Internet Protocol version 4)のアドレスの枯渇が進み、IPv4とIPv6(Internet Protocol version 6)の両方をサポートするデュアルスタック方式の通信機器が普及してきている。IPv4のネットワーク及びIPv6のネットワークのいずれか一方のネットワークに通信機器の接続が集中した場合、上位装置であるIPv4ルータ、IPv6ルータ、PEルータ(Provider Edge router)などへのアクセスが集中し、通信に支障をきたすという課題があった。尚、家庭用ゲートウェイ機器を、ホームゲートウェイと称する。
【0003】
特許文献1の0031段落には、「予め決められた優先順位として、IPv6よりIPv4を優先するため、第2オーバーレイネットワークよりも第1オーバーレイネットワークを優先して、ノード装置は、第1オーバーレイネットワークに参加する。・・・。優先順位を決定するために、第1オーバーレイネットワークまたは第2オーバーレイネットワークのいずれに参加するかを示す設定ファイルが、ノード装置へ配布されても良い。・・・。設定ファイルが、センターサーバにより生成される場合、情報通信システムへ接続するノード装置の数によって、優先順位が設定されても良い。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-051566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のとおり、いずれかのネットワークに通信機器の接続が集中した場合、IPv4ルータ、IPv6ルータ、PEルータなどへのアクセスが集中し、通信に支障をきたすという課題があった。
【0006】
本開示の目的は、ネットワークの混雑状況に基づいてネットワークの優先度を設定し、優先度の低いネットワークの通信を、優先度の高いネットワークの通信に転送することが可能なホームゲートウェイ、システム、ホームゲートウェイの方法、及びホームゲートウェイのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るホームゲートウェイは、
自ホームゲートウェイと接続する複数のネットワーク毎に通信の混雑状況を検出する検出部と、
前記複数のネットワーク毎の通信の前記混雑状況に基づいて、前記複数のネットワーク毎に通信の優先度を設定する設定部と、
前記複数のネットワークのうちの第1のネットワークと接続することを要求する接続要求を、端末から取得する取得部と、
前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記第1のネットワークの前記優先度よりも高い前記優先度が設定された第2のネットワークと前記端末が通信するように制御する制御部と、
を備える。
【0008】
本開示に係るシステムは、
端末と、前記端末と接続するホームゲートウェイと、前記ホームゲートウェイと接続する複数のネットワークと、
を備え、
前記ホームゲートウェイは、
前記複数のネットワーク毎に通信の混雑状況を検出する検出部と、
前記複数のネットワーク毎の通信の前記混雑状況に基づいて、前記複数のネットワーク毎に通信の優先度を設定する設定部と、
前記複数のネットワークのうちの第1のネットワークと接続することを要求する接続要求を、前記端末から取得する取得部と、
前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記第1のネットワークの前記優先度よりも高い前記優先度が設定された第2のネットワークと前記端末が通信するように制御する制御部と、を有し、
前記端末は、
前記第1のネットワークと接続することを要求する前記接続要求を前記ホームゲートウェイに送信し、
前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記ホームゲートウェイを介して前記第2のネットワークと通信し、
前記複数のネットワークのうちの前記第2のネットワークは、前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記ホームゲートウェイを介して前記端末と通信する。
【0009】
本開示に係るホームゲートウェイの方法は、
自ホームゲートウェイと接続する複数のネットワーク毎に通信の混雑状況を検出することと、
前記複数のネットワーク毎の通信の前記混雑状況に基づいて、前記複数のネットワーク毎に通信の優先度を設定することと、
前記複数のネットワークのうちの第1のネットワークと接続することを要求する接続要求を、端末から取得することと、
前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記第1のネットワークの前記優先度よりも高い前記優先度が設定された第2のネットワークと前記端末が通信するように制御することと、
を備える。
【0010】
本開示に係るホームゲートウェイのプログラムは、
自ホームゲートウェイと接続する複数のネットワーク毎に通信の混雑状況を検出することと、
前記複数のネットワーク毎の通信の前記混雑状況に基づいて、前記複数のネットワーク毎に通信の優先度を設定することと、
前記複数のネットワークのうちの第1のネットワークと接続することを要求する接続要求を、端末から取得することと、
前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記第1のネットワークの前記優先度よりも高い前記優先度が設定された第2のネットワークと前記端末が通信するように制御することと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ネットワークの混雑状況に基づいてネットワークの優先度を設定し、優先度の低いネットワークの通信を、優先度の高いネットワークの通信に転送することが可能なホームゲートウェイ、システム、ホームゲートウェイの方法、及びホームゲートウェイのプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係るホームゲートウェイを例示するブロック図である。
図2】実施の形態1に係るシステムを例示するブロック図である。
図3】実施の形態1に係るシステムを例示するブロック図である。
図4】実施の形態1に係るシステムの動作を例示するフローチャートである。
図5】DNS Proxy記憶領域を例示するイメージ図である。
図6】実施の形態1に係るシステムの動作を例示するフローチャートである。
図7】優先度と遅延可否の対応関係を例示する図である。
図8】実施の形態2に係るシステムを例示するブロック図である。
図9】実施の形態2に係るシステムを例示するブロック図である。
図10】実施の形態2に係るシステムの動作を例示するフローチャートである。
図11】実施の形態2に係るシステムの動作を例示するフローチャートである。
図12】実施の形態3に係るシステムを例示するブロック図である。
図13】実施の形態3に係るシステムの動作を例示するフローチャートである。
図14】DNS Proxy記憶領域を例示するイメージ図である。
図15】実施の形態3に係るシステムの動作を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。
【0014】
[実施の形態1]
<ホームゲートウェイの構成の概要>
実施の形態1に係るホームゲートウェイの構成の概要を説明する。
図1は、実施の形態1に係るホームゲートウェイを例示するブロック図である。
図1は、実施の形態1に係るホームゲートウェイの最小構成である。
【0015】
図1に示すように、実施の形態1に係るホームゲートウェイ11は、検出部111と、設定部112と、取得部113と、制御部114と、を備える。
【0016】
検出部111は、ホームゲートウェイ11と接続する複数のネットワーク12毎に通信の混雑状況を検出する。すなわち、検出部111は、ホームゲートウェイ11と接続する複数のネットワーク12毎に通信が混雑しているか否かを検出する。複数のネットワーク12は、例えば、第1のネットワーク121と第2のネットワーク122を含む。
【0017】
検出部111は、複数のネットワーク12のそれぞれにおいて、ネットワーク12内に設けられたルータ14の処理負荷が処理負荷閾値を超過した場合、ネットワーク12の通信が混雑していると判定する。または、検出部111は、ネットワーク12の通信の通信量が通信量閾値を超過した場合、ネットワーク12の通信が混雑していると判定してもよい。または、検出部111は、端末13の、ネットワーク12内に設けられたサーバ15に対する応答時間が応答時間閾値を超過した場合、ネットワーク12の通信が混雑していると判定してもよい。
【0018】
設定部112は、複数のネットワーク12毎の通信の混雑状況に基づいて、複数のネットワーク12毎に通信の優先度を設定する。設定部112は、例えば、検出部111が第1のネットワーク121の通信が混雑していることを検出した場合、第1のネットワーク121の通信の優先度を低に設定する。
【0019】
取得部113は、複数のネットワーク12のうちの第1のネットワーク121と接続することを要求する接続要求を、端末13から取得する。
【0020】
制御部114は、第1のネットワーク121の通信の優先度が低の場合、第1のネットワーク121の優先度よりも高い優先度が設定された第2のネットワーク122と端末13が通信するように制御する。
【0021】
これにより、端末13は、混雑していない(優先度が低でない)方の第2のネットワーク122と接続することができる。すなわち、アクセスが集中していない方のネットワーク12と通信するので、通信に支障をきたすことが無い。
【0022】
<システムの構成>
実施の形態1に係るシステムの構成を説明する。
図2は、実施の形態1に係るシステムを例示するブロック図である。
【0023】
図2に示すように、実施の形態1に係るシステム10は、端末13と、端末13と接続するホームゲートウェイ11と、ホームゲートウェイ11と接続する複数のネットワーク12と、を備える。ホームゲートウェイ11については、既に説明したので説明を省略する。
【0024】
複数のネットワーク12は、第1のネットワーク121と第2のネットワーク122とを有する。第1のネットワーク121は、例えば、IPv4ネットワークである。第1のネットワーク121は、IPv4を使用してIPv4通信を行う。第2のネットワーク122は、例えば、IPv6ネットワークである。第2のネットワーク122は、IPv6を使用してIPv6通信を行う。
【0025】
ホームゲートウェイ11は、第1のルータ141を介して第1のネットワーク121と接続する。第1のルータ141は、例えば、IPv4ルータである。第1のネットワーク121内には、第1のサーバ151が設けられる。第1のサーバ151は、例えば、IPv4DNSサーバである。ホームゲートウェイ11は、第2のルータ142を介して第2のネットワーク122と接続する。第2のルータ142は、例えば、IPv6ルータである。第2のネットワーク122内には、第2のサーバ152が設けられる。第2のサーバ152は、例えば、IPv6DNSサーバである。
【0026】
端末13は、第1のネットワーク121と接続することを要求する接続要求をホームゲートウェイ11に送信する。端末13は、第1のネットワーク121の通信の優先度が低の場合、ホームゲートウェイ11を介して第2のネットワーク122と通信する。
【0027】
複数のネットワーク12のうちの第2のネットワーク122は、第1のネットワーク121の通信の優先度が低の場合、ホームゲートウェイ11を介して端末13と通信する。
【0028】
<システムの構成の詳細>
実施の形態1に係るシステムの構成の詳細を説明する。
図3は、実施の形態1に係るシステムを例示するブロック図である。
【0029】
図3に示すように、実施の形態1に係るシステム10は、ホームゲートウェイ11とIPv4ルータ141とIPv6ルータ142とDNSサーバ15とを備える。この例では、第1のルータとしてIPv4ルータを、第2のルータとしてIPv6ルータを、共通サーバとしてDNSサーバをそれぞれ用いた場合について説明する。
【0030】
ホームゲートウェイ11は、データ処理部11aと、データ(情報)を記憶する記憶部11bと、を備える。データ処理部11aは、通信優先度変更手段11a1と、DNS要求Proxy手段11a2と、DNS Proxy遅延手段11a3と、DNS応答Proxy手段11a4を備える。データ処理部11aは、主に、図1に示す検出部111と取得部113と制御部114に相当する。記憶部11bは、主に、図1に示す設定部112に相当する。
【0031】
記憶部11bは、IPv4/IPv6優先度記憶領域11b1とDNS Proxy記憶領域11b2を備える。
【0032】
IPv4ルータ141は、データ処理を行うデータ処理部141aを有する。IPv6ルータ142は、データ処理を行うデータ処理部142aを有する。DNSサーバ15は、データ処理を行うデータ処理部15aを有する。データ処理部15aは、DNS応答手段15a1を有する。
【0033】
通信優先度変更手段11a1は、ホームゲートウェイ11の上位装置であってIPv4ネットワーク121内のIPv4ルータ141から、IPv4を使用した通信の抑制を指示するIPv4通信抑制通知を受信した場合、IPv4通信の優先度を低くし、IPv6の優先度を相対的に高くするように変更する。通信優先度変更手段11a1は、優先度をIPv4/IPv6優先度記憶領域11b1に記憶する。
【0034】
通信優先度変更手段11a1は、ホームゲートウェイ11の上位装置であるIPv6ルータ142から、IPv6を使用した通信の抑制を指示するIPv6通信抑制通知を受信した場合、ホームゲートウェイ11のIPv6の優先度を低くし、IPv4の優先度を相対的に高くするように変更する。通信優先度変更手段11a1は、優先度をIPv4/IPv6優先度記憶領域11b1に記憶する。
【0035】
このようにして、IPv4/IPv6優先度記憶領域11b1には、ホームゲートウェイ11のIPv4及びIPv6通信優先度の設定が記憶される。
【0036】
IPv4ルータ141のデータ処理部141aは、IPv4通信抑制通知機能を備える。IPv4通信抑制通知機能は、IPv4ルータ141が上位のIPv4ネットワーク121へのアクセスが増大した場合やCPU負荷が高くなった場合に、IPv4ルータ141に接続するホームゲートウェイ11と、ホームゲートウェイ11と接続するルータに対してIPv4通信抑制通知を行う。
【0037】
IPv6ルータ142のデータ処理部142aは、IPv6通信抑制通知機能を備える。IPv6通信抑制通知機能は、IPv6ルータ142が上位のIPv6ネットワークへのアクセスが増大した場合やCPU負荷が高くなった場合に、IPv6ルータ142に接続するホームゲートウェイ11と、ホームゲートウェイ11と接続するルータに対してIPv6通信抑制通知を行う。
【0038】
DNS要求Proxy手段11a2は、ホームゲートウェイ11の配下の端末13から、DNS要求を受信した場合、上位のネットワーク12のDNSサーバ15へ転送(Proxy)する。
【0039】
DNS Proxy遅延手段11a3は、DNS Proxyの遅延処理を行う。
【0040】
DNS応答Proxy手段11a4は、ホームゲートウェイ11が上位のネットワーク12のDNSサーバ15からDNS応答を受信した場合、ホームゲートウェイ11の配下の端末13へ転送(Proxy)する。
【0041】
DNS Proxy記憶領域11b2は、DNS要求Proxy手段11a2からDNS要求をProxyした際、DNS要求パケットのFQDN及びQuery Typeなどの情報を参照し記憶する。
【0042】
ホームゲートウェイ11は、DNS Proxy記憶領域11b2に記憶した情報を参照し、該当するDNS応答の遅延可否の判断を行う。
【0043】
DNSサーバ15のデータ処理部15aは、DNS応答手段15a1を備える。DNS応答手段15a1は、DNS要求Proxy手段11a2からDNS要求を受信した場合、自身または他のDNSサーバのDNSレコードの登録情報を参照し、DNS応答を転送する。
【0044】
<システムの動作の概要>
実施の形態1に係るシステムの動作の概要を説明する。
初期設定では、IPv4の優先度は通常であり、IPv6の優先度も通常であるものとする。
【0045】
この例では、ホームゲートウェイ11は、ホームゲートウェイ11の配下の端末13が送信したDNS要求およびDNS応答を、上位ネットワーク12のDNSサーバ15に転送するDNS Proxy機能を備えているものとする。
【0046】
ホームゲートウェイ11の配下の端末13から、ホームゲートウェイ11がIPv4またはIPv6のDNS要求を受信した場合、ホームゲートウェイ11は、ホームゲートウェイ11が設定しているIPv4またはIPv6のDNSサーバ15に対してDNS要求を転送(Proxy)する。
【0047】
ホームゲートウェイ11は、DNSサーバ15からDNS要求に対する応答を受信した場合、DNS要求元であるホームゲートウェイ11の配下の端末13にDNS応答を転送(Proxy)する。
【0048】
初期設定ではIPv4優先度が通常でIPv6優先度が通常であったものが、IPv4優先度が通常でIPv6優先度が低になった場合の動作を以下に示す。
【0049】
ホームゲートウェイ11が接続している上位のネットワーク12のIPv6ルータ142は、IPv6ネットワーク122への通信負荷や、IPv6ルータ142が有するCPUの負荷などの増大を検出する。このとき、IPv6ルータ142は、IPv6ルータ142にIPv6で接続しているホームゲートウェイ11に対してIPv6通信の抑制を指示するIPv6通信抑制通知を行う。
【0050】
IPv6ルータ142は、IPv6通信抑制通知を行う際、TCP(Transmission Control Protocol)などのプロトコルを利用し、IPv6通信により、ホームゲートウェイ11のIPv6アドレス宛にIPv6通信抑制通知を行ってもよい。
【0051】
IPv6ルータ142は、定期的にIPv6ルータ142のCPU負荷を監視し、一定の閾値を超えた場合にホームゲートウェイ11に対してIPv6通信抑制通知を行ってもよい。具体的には、IPv6ルータ142は、10分周期でCPU負荷を監視し、CPU負荷が50%を超えたことを検出した場合、IPv6通信でIPv6ルータ142に接続しているすべてのルータ14にIPv6通信抑制通知を行ってもよい。
【0052】
また、IPv6ルータ142とホームゲートウェイ11との間で、TCPの特定のDestination PortをIPv6通信抑制通知のために使用するものとして予め定義しておき、IPv6 TCP通信によりIPv6通信抑制通知を行ってもよい。
【0053】
また、IPv6ルータ142は、CPU負荷により通知可否を判断しているが、通信量やIPv4ネットワークからの応答時間などの別の要因により、通知可否を判断してもよい。
【0054】
また、IPv4通信抑制通知、及び、IPv6通信抑制通知に応答を返すようにしているが、UDP(User Datagram Protocol)などのプロトコルにより、ホームゲートウェイ11からの応答を待たず、通信抑制通知のみ送信する方式を使用してもよい。
【0055】
IPv6に接続しているホームゲートウェイ11は、IPv6通信抑制通知を受け取ると、通信優先度変更手段11a1により、IPv6ルータ142に対して応答(TCPパケット)を返す。このとき、ホームゲートウェイ11は、IPv6通信を抑制するために、ホームゲートウェイ11のIPv6通信の優先度(通信優先度)を低に設定し、IPv4/IPv6優先度記憶領域11b1に該設定を保存する。
【0056】
ホームゲートウェイ11は、初期設定ではIPv4及びIPv6の優先度が通常であった設定を、IPv6通信抑制通知を受け、IPv6の優先度を低に変更した。
【0057】
ホームゲートウェイ11は、IPv4優先度が通常、IPv6優先度が低の場合、Query Type=AAAAのDNSパケットを遅延させるように動作する。
【0058】
<システムの動作の詳細:IPv4優先度が低、IPv6優先度が通常の場合>
実施の形態1に係るシステムの動作の詳細を説明する。
IPv4の優先度が通常、IPv6の優先度が低の場合の動作を説明する。
図4は、実施の形態1に係るシステムの動作を例示するフローチャートである。
図5は、DNS Proxy記憶領域を例示するイメージ図である。
図6は、実施の形態1に係るシステムの動作を例示するフローチャートである。
図4および図6は、IPv4の優先度が通常、IPv6の優先度が低の場合の動作を示す。
【0059】
この例では、ホームゲートウェイ11は、IPoE(IP over Ethernet)によりIPv4ネットワーク121およびIPv6ネットワーク122に接続しているものとする。
【0060】
また、ホームゲートウェイ11は、IPoEによりIPv4ネットワーク121およびIPv6ネットワーク122に接続する代わりに、PPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)や、IPoEとPPPoEとを併用して接続するなど、そのほかの構成のネットワーク12に接続してもよい。
【0061】
図4に示すように、ホームゲートウェイ11は、例えば、無線または有線の宅内ネットワークで配下の端末13と接続している。ホームゲートウェイ11は、配下の端末13からIPv4またはIPv6のDNS要求を受信する(ステップS101)。端末13は、例えば、スマートホンやパーソナルコンピュータなどである。
【0062】
ホームゲートウェイ11は、端末13からDNS要求を受信すると、DNS要求パケットのFQDN(Fully Qualified Domain Name)とQuery Type及び受信したDNSのプロトコル情報(IPv4又はIPv6)をDNS Proxy記憶領域11b2に記憶する。
【0063】
この例では、図5に示すように、IPv4のDNSパケットでFQDNが「fff.hhh.ne.jp」、Query TypeがAAAAのパケットを受信したものとする(図5に示すNo.7)。
【0064】
ステップS101において、ホームゲートウェイ11は、端末13からDNS要求を受信すると、DNS要求パケットのQuery Typeのチェックを行う(ステップS102)。
【0065】
ステップS102において、ホームゲートウェイ11が受信したDNS要求パケットのQuery TypeがAAAAであった場合(ステップS102:Yes)、DNS Proxy遅延手段11a3により、DNS要求Proxy処理を一定時間だけ遅延させる(ステップS103)。一定時間は、例えば、100ミリ秒である。
【0066】
ホームゲートウェイ11は、例えば、ソフトウェアによるウェイト(Wait)処理を追加することにより一定時間の遅延を行ってもよい。この例では、一定時間を100ミリ秒としたが、他の任意の値、または、ユーザが設定することにより変更可能としてもよい。
【0067】
ステップS102において、ホームゲートウェイ11が端末13から受信したDNS要求パケットのQuery TypeがAAAA以外の場合(ステップS102:Nо)、DNS Proxy処理を遅延させない。
【0068】
ステップS103の後、ホームゲートウェイ11は、DNS要求Proxy手段11a2により、DNS要求をインターネットなどの上位のDNSサーバ15に転送(Proxy)する(ステップS104)。
【0069】
DNSサーバ15は、ホームゲートウェイ11からDNS要求を受信すると、DNSサーバ15または他のDNSサーバと連動して取得したDNSレコードの登録情報を参照し、DNS応答手段15a1により、ホームゲートウェイ11にDNS応答を送信する。この例では、「2001:dfdc:ba98:6543:2100」を応答したものとする。
【0070】
図6に示すように、ステップS104の後、ホームゲートウェイ11は、DNSサーバ15からDNS応答(送信したDNSパケットに対する応答)を受信する(ステップS201)。
【0071】
ホームゲートウェイ11は、受信したDNS応答パケットのQuery Typeのチェックを行う(ステップS202)。この例では、受信したDNS応答のQuery TypeがAAAAであるため、ステップS203に進む。
【0072】
ステップS202において、ホームゲートウェイ11は受信したDNS応答パケットのQuery TypeがAAAAであった場合(ステップS202:Yes)、DNS Proxy記憶領域11b2を参照し、受信したDNS応答パケットとFQDNが一致する、かつ、Query TypeがAのDNS情報がDNS Proxy記憶領域11b2にあるかチェックを行う(ステップS203)。この例では、図5に示すように、DNS Proxy記憶領域11b2にFQDNが「fff.hhh.ne.jp」、Query TypeがAの情報(図5に示すNo.6及びNo.8)が存在するため、ステップS204に進む。
【0073】
ステップS203において、条件に合致(DNS応答パケットとFQDNが一致する、かつ、Query TypeがAのDNS情報)した場合(ステップS203:Yes)、ホームゲートウェイ11は、DNS Proxy記憶領域11b2を参照し、ステップS203の条件に一致したパケットのResponse情報があるかどうかチェックを行う(ステップS204)。この例では、FQDNが「fff.hhh.ne.jpで、Query TypeがAの情報で、かつ、Response情報が無い(空)場合、ステップS206に進む。
【0074】
ステップS204において、Response情報があった場合(ステップS204:Yes)、該当のDNS応答を廃棄し、DNS Proxyの処理を終了する(ステップS205)。
【0075】
ステップS204において、Response情報が無い場合(ステップS204:Nо)、DNS Proxy遅延手段11a3により、DNS応答Proxy処理を一定時間だけ遅延させる(ステップS206)。一定時間は、例えば、500ミリ秒である。
【0076】
ステップS206の後、ホームゲートウェイ11は、DNS応答Proxy手段11a4により、DNS応答を配下の端末13に転送(Proxy)する(ステップS207)。
【0077】
このとき、ホームゲートウェイ11は、DNS応答を行うとともに、応答の内容(IPv4またはIPv6アドレス情報)を、DNS Proxy記憶領域11b2のResponseに記憶する。
【0078】
ステップS202、およびステップS203において、条件に合致しない場合、ステップS207に移行し、ホームゲートウェイ11の配下の端末13にDNS応答を行う。
【0079】
ここで、実施の形態1の効果を以下に示す。
ホームゲートウェイ11からのDNS応答を受けたスマートホンやパーソナルコンピュータなどのホームゲートウェイ11の配下の端末13は、DNS応答パケットを受信した後に、応答のあったアドレスに対してTCPなどのプロトコルを利用してブラウザやアプリケーションによる通信を行う。
【0080】
このとき、端末13は、DNSの問合せを、IPv4アドレスを問い合わせるQuery Type=Aと、IPv6アドレスを問い合わせるQuery Type=AAAAの両方を問い合わせる。
【0081】
この例では、Query Type=AAAAのDNSパケットのみ応答を遅延させたため、Query Type=AのDNSパケットは遅延なしでDNS応答を受信することが可能となる。
【0082】
端末13は、応答のあったIPv4またはIPv6アドレスにアクセスを行う。このとき、端末13は、IPv6ネットワーク122からの応答時間がIPv4ネットワーク121からの応答時間よりも長いので、IPv6ネットワーク122は混雑しているものと判断する。これにより、端末13は、比較的余裕のある(混雑していない)IPv4を優先してアクセスすることができる。
【0083】
また、IPv4を問い合わせるQuery Type=AのResponseの受信が確認できた場合は、Query Type=AAAAを受信させないようにしてもよい。これにより、端末13がIPv4及びIPv6の両方でDNS応答があった場合においてIPv6を優先して接続するようなものであったとしても、IPv4通信を優先的に行うことが可能となる。
【0084】
<システムの動作の詳細:IPv4優先度が低、IPv6優先度が通常の場合>
実施の形態1に係るシステムの動作の詳細を説明する。
IPv4の優先度が低、IPv6の優先度が通常の場合の動作を説明する。
IPv4ルータ141は、IPv4ネットワーク121への通信負荷や、IPv4ルータ141が有するCPUの負荷などの増大を検出する。このとき、IPv4ルータ141は、IPv4ルータ141にIPv4で接続しているホームゲートウェイ11に対してIPv4通信の抑制を指示するIPv4通信抑制通知を行う。
【0085】
ホームゲートウェイ11は、IPv4通信抑制通知を受け取ると、通信優先度変更手段11a1により、IPv4ルータ141に対して応答を返す。このとき、ホームゲートウェイ11は、IPv4通信を抑制するために、IPv4通信の優先度を低に設定し、IPv4/IPv6優先度記憶領域11b1に該設定を保存する。
【0086】
ホームゲートウェイ11は、IPv4ネットワーク121の優先度が低の場合、サーバ151に対するDNS応答パケットを遅延させて応答時間を長くするように動作する。具体的には、ホームゲートウェイ11は、IPv4ネットワーク121の優先度が低、IPv6ネットワーク122の優先度が通常の場合、Query Type=AのDNSパケットを遅延させて応答時間を長くするように動作する。
【0087】
ホームゲートウェイ11は、端末13から受信した要求パケットのサーバ151への送信時刻を遅らせる、及びサーバ151から受信した応答パケットの端末13への送信時刻を遅らせることのうちの少なくとも1つを行うことにより、サーバ151に対する応答時間を長くしてもよい。
【0088】
尚、IPv4ルータ141またはIPv6ルータ142の過負荷が解消された場合、優先度の低を解消するための通知を行ってもよい。
【0089】
また、IPv4通信抑制通知またはIPv6通信抑制通知により、通信の優先度を変更する代わりに、ユーザからの操作による設定や、予め装置に設定するなどにより、IPv4通信及びIPv6通信の優先度を変更してもよい。
【0090】
図7は、優先度と遅延可否の対応関係を例示する図である。
図7は、IPv4優先度及びIPv6優先度毎の設定に対する遅延の可否を示す。
【0091】
図7に示すように、ホームゲートウェイ11は、IPv4優先度(IPv6優先度)の設定が通常の場合、DNS応答は遅延しない(遅延させない)。また、設定が通常の場合、DNS応答の廃棄は行わない。
【0092】
IPv4優先度が通常でIPv6優先度が通常の場合、DNS応答(DNSパケット)の遅延は行わない(通常のDNS Proxyの動作を行う)。また、ホームゲートウェイ11は、IPv4優先度が通常でIPv6優先度が低の場合、IPv4のDNS応答の遅延は行わず、IPv6のDNS応答の遅延は行う。IPv4優先度が低でIPv6優先度が通常の場合、IPv4のDNS応答の遅延は行い、IPv6のDNS応答の遅延は行わない。IPv4優先度が低でIPv6優先度が低の場合、DNS応答(DNSパケット)の遅延は行わない(通常のDNS Proxyの動作を行う)。
【0093】
ここで、実施の形態1の効果を記載する。
第1の効果は、実施の形態1によれば、上位のネットワーク12のルータ14への負荷を軽減することができる。その理由は、ホームゲートウェイ11は、通信の混雑などを検出した場合、通信の優先度を変更し、混雑しているネットワークと端末13との通信を、別の混雑していないネットワークと端末13との通信に変更するように制御するからである。これにより、ホームゲートウェイ11が上位のネットワーク12のルータ14経由でIPv4ネットワーク121またはIPv6ネットワーク122への通信を軽減することができるので、上位のルータ14が過負荷状態になったときに負荷を軽減することができる。
【0094】
その結果、ネットワークの混雑状況に基づいてネットワークの優先度を設定し、優先度の低いネットワークの通信を、優先度の高いネットワークの通信に転送することが可能なホームゲートウェイ、システム、ホームゲートウェイの方法、及びホームゲートウェイのプログラムを提供することができる。
【0095】
第2の効果は、実施の形態1によれば、上位のネットワーク12と端末13との通信を効率化することができる。その理由は、通常、上位のネットワーク12のルータ14の負荷が高い場合、上位のルータ14へ通信を行うと、上位のルータ14からの応答が遅くなり、通信が低速になる。これに対して、ホームゲートウェイ11は、優先度を変更(制御)して、配下の端末13が混雑していないネットワーク経由での通信をすることができるので、より高速な通信が可能となる。
【0096】
[実施の形態2]
<システムの構成>
実施の形態2に係るシステムの構成を説明する。
図8は、実施の形態2に係るシステムを例示するブロック図である。
図8は、IPv6マイグレーション技術を示す。
図9は、実施の形態2に係るシステムを例示するブロック図である。
【0097】
IPv4通信の際、IPv4アドレスの配布をホームゲートウェイなどの配下の端末単位で行うのではなく、IPv6ネットワーク上に存在するPEルータ(Provider Edge router)と呼ばれる特定のルータ単位で行うことがある。これにより、IPv4グローバルアドレスの使用数を減少させ、IPv6ネットワーク上のPEルータを経由してIPv4ネットワークにアクセスを行うことにより、インターネット通信を行う技術がある。この技術をIPv6マイグレーション技術と称する。
【0098】
実施の形態2に係るシステム20は、実施の形態1に係るシステム10と比べて、主に、IPv6マイグレーション技術を使用している点が異なる。尚、図8においては、IPv6マイグレーション技術の例として、DS-Lite(PEルータ24a)、MAP-E(PEルータ24b)、464XLAT(PEルータ24c)を示す。
【0099】
図8及び図9に示すように、実施の形態2に係るシステム20は、ホームゲートウェイ21とIPv4ルータ241とDNSサーバ25とを備える。ホームゲートウェイ21は、データ処理部21aと、情報を記憶する記憶部21bと、を備える。
【0100】
IPv4ルータ241は、DS-Lite(PEルータ24a)と、MAP-E(PEルータ24b)と、464XLAT(PEルータ24c)を有する。IPv4ルータ241は、データ処理部241aを有する。DNSサーバ25は、データ処理部25aを有する。データ処理部25aは、DNS応答手段25a1を有する。
【0101】
ホームゲートウェイ21のデータ処理部21aは、IPv4通信抑制機能有効手段21a1と、DNS要求Proxy手段21a2と、DNS Proxy遅延手段21a3と、DNS応答Proxy手段21a4と、を備える。
【0102】
IPv4通信抑制機能有効手段21a1は、ホームゲートウェイ21がPEルータ24aからIPv4通信抑制通知を受信した場合、ホームゲートウェイ21のIPv4通信抑制機能を有効にし、IPv4優先度記憶領域21b1に設定を記憶する。
【0103】
DNS要求Proxy手段21a2は、ホームゲートウェイ21が配下の端末23からDNS要求を受信した場合、上位のネットワーク22のDNSサーバ25へ転送(Proxy)する。
【0104】
DNS Proxy遅延手段21a3は、IPv4通信抑制機能が有効の場合、DNS Proxyの遅延処理を行う。
【0105】
DNS応答Proxy手段21a4は、ホームゲートウェイ21が上位のネットワーク22のDNSサーバ25からDNS応答を受信した場合、ホームゲートウェイ21の配下の端末23へ転送(Proxy)する。
【0106】
記憶部21bは、IPv4優先度記憶領域21b1を備える。IPv4優先度記憶領域21b1は、IPv4通信抑制機能を含むホームゲートウェイ21の設定情報を記憶する。
【0107】
PEルータ(iPv4ルータ241)のデータ処理部241aは、IPv4通信抑制通知の機能を備える。IPv4通信抑制通知の機能は、PEルータがIPv4ネットワーク221へのアクセスが増大した場合や、CPU負荷が高くなった場合、ホームゲートウェイ21に対して通知を行う。
【0108】
DNSサーバ25のデータ処理部25aは、DNS応答手段25a1を備える。DNS応答手段25a1は、DNSサーバ25がDNS要求を受信した場合、DNSサーバ25または他のDNSサーバのDNSレコードの登録情報を参照して、DNS応答を送信する。
【0109】
<システムの動作の概要>
実施の形態2に係るシステムの動作の概要を説明する。
この例では、ホームゲートウェイ21は、ホームゲートウェイ21の配下の端末23が送信したDNS要求を上位のDNSサーバ25に転送するDNS Proxy機能を備えているものとする。
【0110】
ホームゲートウェイ21は、ホームゲートウェイ21の配下の端末23からIPv6のDNS要求を受信した場合、ホームゲートウェイ21が設定しているIPv6のDNSサーバ252に対してDNS要求を転送(Proxy)する。ホームゲートウェイ21は、DNS要求に対する応答を受信した場合、DNS要求元であるホームゲートウェイ21の配下の端末23にIPv6のDNS応答を転送(Proxy)する。
【0111】
ホームゲートウェイ21は、IPv6マイグレーション技術を利用した通信を行う場合、上位のネットワーク22のIPv4のDNSサーバ251の管理は行わない。ホームゲートウェイ21は、配下の端末23からIPv4のDNS要求を受信した場合、DNS要求パケットをIPv4からIPv6に変換し、ホームゲートウェイ21が設定しているIPv6のDNSサーバ252に対してDNS要求パケットを転送(Proxy)する。
【0112】
すなわち、ホームゲートウェイ21は、通信プロトコルのマイグレーション技術(この例ではIPv6マイグレーション技術)を使用し、第1のネットワークの通信プロトコル(この例ではIPv4の通信プロトコル)から第2のネットワーク(この例ではIPv6の通信プロトコル)の通信プロトコルに変換することにより、第2のネットワーク(IPv6通信ネットワーク)と端末23が通信するように制御する。
【0113】
ホームゲートウェイ21は、DNS要求に対する応答を受信した場合、DNS要求元であるホームゲートウェイ21の配下の端末23にIPv6からIPv4に変換後に、DNS応答を転送(Proxy)する。
【0114】
PEルータ(iPv4ルータ241)は、IPv4ネットワーク221への通信や、PEルータのCPU負荷などが増大した場合、IPv6マイグレーション技術を利用して、PEルータに接続しているルータ(ホームゲートウェイ21)に対してIPv4通信抑制通知を行う。
【0115】
ホームゲートウェイ21は、IPv4通信抑制通知を受け取ると、IPv4通信抑制機能有効手段21a1により、PEルータに対して応答を返す。このとき、ホームゲートウェイ21は自身のIPv4通信抑制機能を有効に設定し、IPv4優先度記憶領域21b1に設定を記憶する。
【0116】
尚、PEルータの負荷状態が解消されたときに、IPv4通信抑制機能を無効にする仕組みも設けてもよい。
【0117】
<システムの動作の詳細>
実施の形態2に係るシステムの動作の詳細を説明する。
図10は、実施の形態2に係るシステムの動作を例示するフローチャートである。
図11は、実施の形態2に係るシステムの動作を例示するフローチャートである。
IPv4通信抑制機能が有効の場合のDNS Proxyの動作を示す。
【0118】
図10に示すように、ホームゲートウェイ21は、例えば、無線または有線の宅内ネットワークで配下の端末23と接続している。ホームゲートウェイ21は、配下の端末23からIPv4またはIPv6のDNS要求を受信する(ステップS301)。端末23は、例えば、スマートホンやパーソナルコンピュータなどの通信端末である。
【0119】
ホームゲートウェイ21は、端末23からDNS要求を受信すると、DNS要求パケットのQuery Typeのチェックを行う(ステップS302)。
【0120】
ステップS302において、ホームゲートウェイ21が受信したDNS要求パケットのQuery TypeがAであった場合(ステップS302:Yes)、DNS Proxy遅延手段21a3により、DNS要求Proxy処理を一定時間だけ遅延させる(ステップS303)。ホームゲートウェイ21は、例えば、該当するDNS要求Proxy処理を、100ミリ秒のソフトウェアによるウェイト処理を追加することにより一定時間の遅延を行ってもよい。この例では、一定時間を100ミリ秒としたが、他の任意の値、または、ユーザが設定することにより変更可能としてもよい。
【0121】
ステップS302において、ホームゲートウェイ21が端末23から受信したDNS要求パケットのQuery TypeがA以外の場合(ステップS302:Nо)、DNS Proxy処理を遅延させない。
【0122】
ステップS303の後、ホームゲートウェイ21は、DNS要求Proxy手段21a2により、DNS要求をインターネットなどの上位のDNSサーバ25に転送(Proxy)する(ステップS304)。
【0123】
DNSサーバ25は、ホームゲートウェイ21からDNS要求を受信すると、DNSサーバ25または他のDNSサーバと連動して取得したDNSレコードの登録情報を参照し、DNS応答手段25a1により、ホームゲートウェイ21にDNS応答を送信する。
【0124】
図11に示すように、ステップS304の後、ホームゲートウェイ21は、DNSサーバ25からDNS応答を受信する(ステップS401)。
【0125】
ホームゲートウェイ21は、受信したDNS応答パケットのQuery Typeのチェックを行う。(ステップS402)。
【0126】
ステップS402において、ホームゲートウェイ21は受信したDNS応答パケットのQuery TypeがAであった場合(ステップS402:Yes)、DNS Proxy遅延手段21a3により、DNS応答Proxy処理を一定時間だけ遅延させる(ステップS403)。一定時間は、例えば、DNS要求Proxy処理と同様に、DNS応答Proxy処理も100ミリ秒遅延させてもよい。
【0127】
ステップS402において、ホームゲートウェイ21が受信したDNS応答パケットのQuery TypeがA以外の場合、DNS Proxy処理は遅延させない。
【0128】
ステップS403の後、ホームゲートウェイ21は、DNS応答Proxy手段21a4により、DNS応答を配下の端末23に転送(Proxy)する(ステップS404)。
【0129】
<システムの動作の具体例>
次に、実施の形態2に係るシステム20の動作を、具体例を用いて詳細に説明する。
前提として、この例では、ホームゲートウェイ21は、DSLite(図8に示すPEルータ24a)により、IPv4ネットワーク221に接続しているものとする。
【0130】
ホームゲートウェイ21はIPv4パケットのIPv6カプセル化を行い、カプセル化後のIPv4パケットはAFTR(Address Family Transition Router)と呼ばれるPEルータ24aまで転送される。
【0131】
AFTRまでのカプセル化を行う装置(この例ではホームゲートウェイ21)は、B4(Basic Bridging BroadBand)と呼ばれる。B4(ホームゲートウェイ21)が接続しているAFTR(PEルータ24a)は、IPv4ネットワーク221への通信負荷や自身のCPU負荷などが増大した場合、自身に接続しているB4(ホームゲートウェイ21)に対してIPv4通信抑制通知を行う。このとき、AFTR(PEルータ24a)は、TCPなどのプロトコルを利用し、IPv6通信によりIPv6アドレス宛に通知を行う。
【0132】
AFTR(PEルータ24a)は、定期的に自身のCPU負荷を監視して、一定の閾値を超えた場合、B4(ホームゲートウェイ21)に対してIPv4通信抑制通知を行う。この例では、例えば、10分周期で監視を行いCPU負荷が50%を超えた場合、IPv4通信抑制通知をDSLite(PEルータ24a)により、自身に接続しているすべてのB4(ホームゲートウェイ21)に送信する。
【0133】
AFTR(PEルータ24a)とB4(ホームゲートウェイ21)の間で、TCPの特定のDestination PortをIPv4通信抑制通知として定義しておき、IPv6 TCP通信によりIPv4通信抑制通知を行うものとする。
【0134】
AFTR(PEルータ24a)は、CPU負荷により通知可否を判断しているが、通信量やIPv4ネットワーク221からの応答時間など別の要因により判断してもよい。
【0135】
AFTR(PEルータ24a)に接続しているホームゲートウェイ21は、IPv4通信抑制通知を受け取ると、IPv4通信抑制機能有効手段21a1により、AFTR(PEルータ24a)に対して応答(TCPパケット)を送信する。このとき、ホームゲートウェイ21のIPv4通信抑制機能を有効に設定し、IPv4優先度記憶領域21b1に設定を保存する。
【0136】
ここで、実施の形態2の効果を以下に示す。
ホームゲートウェイ21からのDNS応答を受けたスマートホンやパーソナルコンピュータなどのホームゲートウェイ21の配下の端末23は、DNS応答パケットを受信した後に、応答のあったアドレスに対してTCPなどのプロトコルを利用して通信を行う。
【0137】
このとき、端末23は、DNSの問合せを、IPv4アドレスを問い合わせるQuery Type=Aと、IPv6アドレスを問い合わせるQuery Type=AAAAの両方に問い合わせる。
【0138】
この例では、Query Type=AのDNSパケットのみ応答を遅延させたため、Query Type=AAAAのDNSパケットは遅延なしでDNS応答を受信することが可能となる。
【0139】
端末23は、応答のあったIPv4またはIPv6アドレスにアクセスを行う。このとき、端末23は、IPv6ネットワーク222からの応答時間がIPv4ネットワーク221からの応答時間よりも短いので、IPv4ネットワーク221は混雑しているものと判断する。これにより、端末23は、比較的余裕のあるIPv6を優先してアクセスすることができる。
【0140】
実施の形態2では、DS-Liteを利用したものを例に挙げて説明したが、これには限定されない。実施の形態2を、MAP-Eや464XLATなどほかのIPv6マイグレーション技術を搭載したホームゲートウェイ及びPEルータに対して適用してもよい。
【0141】
実施の形態2では、PEルータからのIPv4通信抑制通知により、ホームゲートウェイ21のIPv4通信抑制機能の有効、無効の切り替えに関して説明したが、これには限定されない。実施の形態2では、ユーザからの操作や装置の埋め込み設定などにより、IPv4通信抑制機能の有効、無効の切り替えを行ってもよい。
【0142】
[実施の形態3]
<システムの構成>
実施の形態3に係るシステムの構成を説明する。
図12は、実施の形態3に係るシステムを例示するブロック図である。
【0143】
実施の形態2に係るシステム20では、DNSパケットのQuery TypeがAのパケットをDNS Proxy処理により遅延させていた。実施の形態3に係るシステム30は、FQDNまで参照し、DNS Proxyの遅延可否を判断する点が実施の形態2に係るシステムとは異なる。
【0144】
図12に示すように、実施の形態3に係るシステム30は、ホームゲートウェイ31とPEルータ341とDNSサーバ35とを備える。ホームゲートウェイ31は、データ処理部31aと、情報を記憶する記憶部31bと、を備える。
【0145】
PEルータ341は、データ処理部341aを有する。DNSサーバ35は、データ処理部35aを有する。データ処理部35aは、DNS応答手段35a1を有する。
【0146】
ホームゲートウェイ31のデータ処理部31aは、IPv4通信抑制機能有効手段31a1と、DNS要求Proxy手段31a2と、DNS Proxy遅延手段31a3と、DNS応答Proxy手段31a4と、を備える。データ処理部31aは、実施の形態2におけるデータ処理部21aと同様のため説明を省略する。
【0147】
記憶部31bは、IPv4優先度記憶領域31b1を備える。IPv4優先度記憶領域31b1は、IPv4通信抑制機能を含むホームゲートウェイ31の設定情報を記憶する。
【0148】
DNS Proxy記憶領域31b2は、DNS要求Proxy手段31a2により、DNS要求を転送(Proxy)した際にDNS要求パケットのFQDN及びQuery Typeを参照し、記憶する。ホームゲートウェイ31は、DNS Proxy記憶領域31b2に記憶した情報を参照し、該当するDNS応答の遅延可否の判断を行う。
【0149】
PEルータ341のデータ処理部341aは、IPv4通信抑制通知の機能を備える。IPv4通信抑制通知の機能は、PEルータ341がIPv4ネットワーク321へのアクセスが増大した場合や、CPU負荷が高くなった場合、ホームゲートウェイ31に対して通知を行う。
【0150】
DNSサーバ35のデータ処理部35aは、DNS応答手段35a1を備える。データ処理部35aは、実施の形態2におけるデータ処理部25aと同様のため説明を省略する。
【0151】
<システムの動作の概要>
実施の形態3に係るシステムの動作の概要を説明する。
この例では、実施の形態2と同様に、ホームゲートウェイ31は、DNS Proxy機能を備えており、DSLiteによりIPv4ネットワーク321に接続するものとする。
【0152】
実施の形態3は、実施の形態2と同様に、B4(ホームゲートウェイ31)が接続しているAFTR(PEルータ341)は、IPv4ネットワーク321への通信や自身のCPU負荷などが増大した場合、自身に接続しているB4(ホームゲートウェイ31)のIPv6アドレス宛にIPv6通信(TCPパケット)により、IPv4通信抑制通知を行う。
【0153】
AFTR(PEルータ341)に接続しているB4(ホームゲートウェイ31)は、IPv4通信抑制通知を受け取ると、IPv4通信抑制機能有効手段31a1により、AFTR(PEルータ341)のIPv6アドレス宛に応答(TCPパケット)を送信する。このとき、B4(ホームゲートウェイ31)のIPv4通信抑制機能を有効に設定し、IPv4優先度記憶領域31b1に設定を記憶する。
【0154】
<システムの動作の詳細>
実施の形態3に係るシステムの動作の詳細を説明する。
図13は、実施の形態3に係るシステムの動作を例示するフローチャートである。
図14は、DNS Proxy記憶領域を例示するイメージ図である。
図15は、実施の形態3に係るシステムの動作を例示するフローチャートである。
【0155】
図13に示すように、ホームゲートウェイ31は、例えば、無線または有線の宅内ネットワークで配下の端末33と接続している。ホームゲートウェイ31は、配下の端末33からIPv4またはIPv6のDNS要求を受信する(ステップS501)。端末33は、例えば、スマートホンやパーソナルコンピュータなどの通信端末である。
【0156】
ホームゲートウェイ31は、端末33からDNS要求を受信すると、DNS要求パケットのFQDNとQuery TypeをDNS Proxy記憶領域31b2に記憶する(ステップS502)。
【0157】
図14に示すように、この例では、FQDNが「fff.hhh.ne.jp」、Query Typeが「A」のDNS要求パケットを受信したものとし、FQDN、Query Typeの情報をDNS Proxy記憶領域31b2に記憶する。すなわち、FQDNが「fff.hhh.ne.jp」、Query Typeが「A」のエントリ(図14のNo.6)を追加する。
【0158】
ステップS502の後、ホームゲートウェイ31は、DNS要求Proxy手段31a2により、DNS要求をインターネットなどの上位のDNSサーバ35へ転送(Proxy)する(ステップS503)。
【0159】
DNSサーバ35は、ホームゲートウェイ31からDNS要求を受信すると、DNSサーバ35または他のDNSサーバと連動して取得したDNSレコードの登録情報を参照し、DNS応答手段35a1により、ホームゲートウェイ31にDNS応答を送信する。
【0160】
図15に示すように、ステップS503の後、ホームゲートウェイ31は、DNSサーバ35からDNS応答を受信する(ステップS601)。
【0161】
ホームゲートウェイ31は、受信したDNS応答パケットのQuery Typeのチェックを行う(ステップS602)。
【0162】
ステップS602において、ホームゲートウェイ31が受信したDNS応答パケットのQuery TypeがAであった場合(ステップS602:Yes)、DNS Proxy記憶領域31b2を参照し、受信したDNS応答パケットとFQDNとDNS要求パケットのFQDNとが一致する、かつ、Query TypeがAAAAのDNS情報があるかチェックを行う(ステップS603)。
【0163】
この例では、FQDNが「fff.hhh.ne.jp」、Query Typeが「AAAA」のエントリ(図14のNo.7)が該当するため、条件に合致する。
【0164】
ステップS603において、該当するDNS情報があった場合(ステップS603:Yes)、ホームゲートウェイ31は、DNS Proxy遅延手段31a3により、DNS応答のProxy処理にソフトウェアによる500ミリ秒のウェイト(Wait)処理を追加し、遅延させる(ステップS604)。
【0165】
この例では、500msとしているが、他の任意の値またはユーザによる設定値により変更してもよい。
【0166】
ステップS602またはステップS603の条件に合致しない場合、DNS Proxy処理は遅延させない。
【0167】
ステップS604の後、ホームゲートウェイ31は、DNS応答Proxy手段31a4により、DNS応答を配下の端末33に転送(Proxy)する(ステップS605)。
【0168】
実施の形態3では、DNS ProxyするDNSパケットのFQDNを監視し、Query Type=AAAAとType=Aの2つの異なるDNS要求をしている場合、IPv4アドレスの問い合わせであるQuery Type=Aを遅延させ、IPv6アドレスの問い合わせであるQuery Type=AAAAを遅延させずにDNS Proxyすることにより、ホームゲートウェイ31の配下の端末33に対してIPv4通信よりもIPv6通信を促進させることができる。
【0169】
尚、上記の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、各構成要素の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0170】
上記の実施の形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実態のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(具体的にはフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(具体的には光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(具体的には、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM))、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0171】
さらに、動作は特定の順序で描かれているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序または連続した順序で実行されること、または示されたすべての動作が実行されることを要求するものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスクと並列処理が有利な場合がある。同様に、いくつかの特定の実施の形態の詳細が上記の議論に含まれているが、これらは本開示の範囲に対する制限としてではなく、特定の実施の形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施の形態の文脈で説明される特定の特徴は、単一の実施の形態に組み合わせて実装されてもよい。逆に、単一の実施の形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施の形態で別々にまたは任意の適切な組み合わせで実装されてもよい。
【0172】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0173】
尚、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0174】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
自ホームゲートウェイと接続する複数のネットワーク毎に通信の混雑状況を検出する検出部と、
前記複数のネットワーク毎の通信の前記混雑状況に基づいて、前記複数のネットワーク毎に通信の優先度を設定する設定部と、
前記複数のネットワークのうちの第1のネットワークと接続することを要求する接続要求を、端末から取得する取得部と、
前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記第1のネットワークの前記優先度よりも高い前記優先度が設定された第2のネットワークと前記端末が通信するように制御する制御部と、
を備えるホームゲートウェイ。
(付記2)
前記設定部は、前記検出部が前記第1のネットワークの通信が混雑していることを検出した場合、前記第1のネットワークの通信の前記優先度を低に設定する。
付記1に記載のホームゲートウェイ。
(付記3)
前記検出部は、前記複数のネットワークのそれぞれにおいて、
前記ネットワーク内に設けられたルータの処理負荷が処理負荷閾値を超過した場合、
前記ネットワークの通信の通信量が通信量閾値を超過した場合、又は、
前記端末の、前記ネットワーク内に設けられたサーバに対する応答時間が応答時間閾値を超過した場合、
前記ネットワークの通信が混雑していると判定する、
付記1又は2に記載のホームゲートウェイ。
(付記4)
前記制御部は、前記ネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記サーバに対する応答を遅延させて前記応答時間を長くする、
付記3に記載のホームゲートウェイ。
(付記5)
前記制御部は、
前記端末から受信した要求パケットの前記サーバへの送信時刻を遅らせる、及び
前記サーバから受信した応答パケットの前記端末への送信時刻を遅らせることのうちの少なくとも1つを行うことにより、前記サーバに対する前記応答時間を長くする、
付記4に記載のホームゲートウェイ。
(付記6)
前記設定部は、前記第1のネットワークから前記第1のネットワークを使用した通信の抑制を指示する第1の通信抑制通知を受信した場合、前記第1のネットワークの通信の前記優先度を低に設定する、
付記1から5のいずれか1つに記載のホームゲートウェイ。
(付記7)
前記制御部は、前記第1のネットワークの前記接続要求のQuery Typeが所定のQuery Typeである場合、前記第1のネットワークの通信を遅延させる、
付記1から5のいずれか1つに記載のホームゲートウェイ。
(付記8)
前記制御部は、さらに、前記接続要求のFQDNと前記接続要求に対する応答のFQDNとが一致する場合、前記第1のネットワークの通信を遅延させる、
付記7に記載のホームゲートウェイ。
(付記9)
前記制御部は、通信プロトコルのマイグレーション技術を使用し、前記第1のネットワークの前記通信プロトコルから前記第2のネットワークの前記通信プロトコルに変換することにより、前記第2のネットワークと前記端末が通信するように制御する、
付記1から5のいずれか1つに記載のホームゲートウェイ。
(付記10)
前記第1のネットワークは、IPv4を使用して通信を行い、
前記第2のネットワークは、IPv6を使用して通信を行う、
付記1から8のいずれか1つに記載のホームゲートウェイ。
(付記11)
端末と、前記端末と接続するホームゲートウェイと、前記ホームゲートウェイと接続する複数のネットワークと、
を備え、
前記ホームゲートウェイは、
前記複数のネットワーク毎に通信の混雑状況を検出する検出部と、
前記複数のネットワーク毎の通信の前記混雑状況に基づいて、前記複数のネットワーク毎に通信の優先度を設定する設定部と、
前記複数のネットワークのうちの第1のネットワークと接続することを要求する接続要求を、前記端末から取得する取得部と、
前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記第1のネットワークの前記優先度よりも高い前記優先度が設定された第2のネットワークと前記端末が通信するように制御する制御部と、を有し、
前記端末は、
前記第1のネットワークと接続することを要求する前記接続要求を前記ホームゲートウェイに送信し、
前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記ホームゲートウェイを介して前記第2のネットワークと通信し、
前記複数のネットワークのうちの前記第2のネットワークは、前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記ホームゲートウェイを介して前記端末と通信する、
システム。
(付記12)
自ホームゲートウェイと接続する複数のネットワーク毎に通信の混雑状況を検出することと、
前記複数のネットワーク毎の通信の前記混雑状況に基づいて、前記複数のネットワーク毎に通信の優先度を設定することと、
前記複数のネットワークのうちの第1のネットワークと接続することを要求する接続要求を、端末から取得することと、
前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記第1のネットワークの前記優先度よりも高い前記優先度が設定された第2のネットワークと前記端末が通信するように制御することと、
を備えるホームゲートウェイの方法。
(付記13)
自ホームゲートウェイと接続する複数のネットワーク毎に通信の混雑状況を検出することと、
前記複数のネットワーク毎の通信の前記混雑状況に基づいて、前記複数のネットワーク毎に通信の優先度を設定することと、
前記複数のネットワークのうちの第1のネットワークと接続することを要求する接続要求を、端末から取得することと、
前記第1のネットワークの通信の前記優先度が低の場合、前記第1のネットワークの前記優先度よりも高い前記優先度が設定された第2のネットワークと前記端末が通信するように制御することと、
をコンピュータに実行させるホームゲートウェイのプログラム。
【符号の説明】
【0175】
10、20、30:システム
11、21、31:ホームゲートウェイ
11a、21a、31a:データ処理部
11a1:通信優先度変更手段
21a1、31a1:IPv4通信抑制機能有効手段
11a2、21a2、31a2:DNS要求Proxy手段
11a3、21a3、31a3:DNS Proxy遅延手段
11a4、21a4、31a4:DNS応答Proxy手段
11b、21b、31b:記憶部
11b1:IPv4/IPv6優先度記憶領域
21b1、31b1:IPv4優先度記憶領域
11b2、31b2:DNS Proxy記憶領域
111:検出部
112:設定部
113:取得部
114:制御部
12:複数のネットワーク
121、221:第1のネットワーク、IPv4ネットワーク
122、222:第2のネットワーク、IPv6ネットワーク
13、23、33:端末
14:ルータ
141、241:第1のルータ、IPv4ルータ
24a、24b、24c、341:PEルータ
141a、241a、341a:データ処理部
142:第2のルータ、IPv6ルータ
142a:データ処理部
15、25、35:サーバ、DNSサーバ
151:第1のサーバ、IPv4サーバ
15a、25a、35a:データ処理部
15a1、25a1、35a1:DNS応答手段
152:第2のサーバ、IPv6サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15