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特許7347851水溶液二相系ナノフィルター及びこれを用いた分離方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】水溶液二相系ナノフィルター及びこれを用いた分離方法
(51)【国際特許分類】
   B03B 5/00 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
B03B5/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021526423
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 KR2019015304
(87)【国際公開番号】W WO2020105928
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2018-0142370
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507421795
【氏名又は名称】ポステック アカデミー-インダストリー ファウンデーション
(73)【特許権者】
【識別番号】521204736
【氏名又は名称】エクソソームプラス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】パク ジェ スン
(72)【発明者】
【氏名】シン ヒュン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ファ ピョン
(72)【発明者】
【氏名】チョ シ ウ
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/018066(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0174991(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0105778(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0164197(US,A1)
【文献】特開2005-224787(JP,A)
【文献】特開2011-173119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03B 1/00ー13/06
B01D 11/00-12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なるサイズの混合ナノ粒子を分離するために、
分散相をなす第1水溶液相、及び
前記分散相と相分離され、連続相をなす第2水溶液相を含み、
前記第1水溶液相は、バルク形態で連続相内を流動するものであり、
前記第1水溶液相と前記第2水溶液相とが相分離される界面での張力(γ)は下記数式1を満足
前記ナノ粒子の直径は1~100nmであり、
前記ナノ粒子は、高分子ナノ粒子、バイオナノ粒子、生物由来のナノ粒子、またはこれらの混合粒子である、混合試料から前記ナノ粒子を分離するための水溶液二相系ナノフィルター。
[数式1]
2×10-7J/m≦γ≦50×10-5J/m
【請求項2】
前記水溶液二相系ナノフィルターは、拡散によって第1水溶液相から第2水溶液相へナノ粒子が移動して分離するものである、請求項1に記載の水溶液二相系ナノフィルター。
【請求項3】
前記界面で形成されるフィルターの気孔サイズが1~500nmである、請求項1に記載の水溶液二相系ナノフィルター。
【請求項4】
前記界面で形成されるフィルターの気孔サイズが30~80nmである、請求項1に記載の水溶液二相系ナノフィルター。
【請求項5】
前記第1水溶液相及び前記第2水溶液相は、高分子、高分子塩又は塩が溶解した水溶液の中から選択されたいずれか一つである、請求項1に記載の水溶液二相系ナノフィルター。
【請求項6】
前記第1水溶液相-第2水溶液相は、高分子-高分子、高分子-高分子塩又は高分子-高濃度塩の組み合わせである、請求項1に記載の水溶液二相系ナノフィルター。
【請求項7】
前記高分子は、ポリアルギニン、ポリリジン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンイミン、キトサン、プロタミン(protamin)、ポリビニルアセテート、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、アルギン酸塩、ヒドロキシオキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、澱粉、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリビニルピロリドン、及びこれらの組み合わせよりなる群から選択された1種の親水性高分子;
シクロデキストリン、グルコース、デキストラン、マンノース、スクロース、トレハロース、マルトース、フィコール(ficoll)、イノシトール、マンニトール、ソルビトール、スクロース-マンニトール、グルコース-マンニトール、トレハロース-ポリエチレングリコール、スクロース-ポリエチレングリコール、スクロース-デキストラン、及びこれらの組み合わせよりなる群から選択された1種の高分子多糖類;
並びにこれらの組み合わせよりなる群から選択された1種以上である、請求項5又は6に記載の水溶液二相系ナノフィルター。
【請求項8】
前記塩は、(NHSO、NaSO、MgSO、KHPO、KHPO、NaCl、KCl、NaBr、NaI、LiCl、n-BuNBr、n-PrNBr、EtNBr、Mg(OH)、Ca(OH)、NaCO、Ca(PO、ZnCl、(CZn、ZnCO、CdCl、HgCl、CoCl、(CaNO、BaCl、MgCl、PbCl、AlCl、FeCl、FeCl、NiCl、AgCl、AuCl、CuCl、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate)、テトラデシル硫酸ナトリウム(sodium tetradecyl sulfate)、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム(dodecyl trimethylammonium bromide)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(dodecyl trmethylammonium chloride)、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム(tetradecyl trimethylammonium bromide)、及びこれらの組み合わせよりなる群から選択された1種である、請求項5又は6に記載の水溶液二相系ナノフィルター。
【請求項9】
前記第1水溶液相及び前記第2水溶液相は、濃度が0.001~20重量%である、請求項1に記載の水溶液二相系ナノフィルター。
【請求項10】
前記水溶液二相系ナノフィルターは、一方向に延長され、一側端部が開口した中空のチャンネルを含み、前記チャンネルは、フィルターハウジング内に装着されて第1方向に延長されるボディを有するものである、請求項1に記載の水溶液二相系ナノフィルター。
【請求項11】
前記水溶液二相系ナノフィルターは、温度調節器又は超音波発生器のうちの少なくとも一つの装置をさらに備える、請求項1に記載の水溶液二相系ナノフィルター。
【請求項12】
(S1)混合ナノ粒子を含む試料を第1水溶液相と混合するステップと、
(S2)第2水溶液相を準備してチャンネル内に注入するステップと、
(S3)前記試料を含む分散液を、第2水溶液相が担持されたチャンネル内に注入するステップと、を含む、混合試料からナノ粒子の分離方法であって、
前記第1水溶液相と前記第2水溶液相は相分離され、
前記第1水溶液相は、バルク形態で連続相内を流動するものであり、
相分離される界面での張力(γ)は下記数式1を満足
分離される前記ナノ粒子の直径は1~100nmであり、
分離される前記ナノ粒子は、高分子ナノ粒子、バイオナノ粒子、生物由来のナノ粒子、またはこれらの混合粒子である、混合試料からナノ粒子の分離方法。
[数式1]
2×10-7J/m≦γ≦50×10-5J/m
【請求項13】
温度調節器又は超音波発生器のうちの少なくとも一つの装置を駆動するステップをさらに含む、請求項12に記載のナノ粒子の分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2018年11月19日付の韓国特許出願第10-2018-0142370号に基づく優先権の利益を主張し、その韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、水溶液二相系ナノフィルター及びこれを用いた分離方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノ粒子とは、ナノ粒子を構成する一次粒子の直径(最大外径)のサイズが1~100nm程度の物質を意味する。前記ナノ粒子は、そのサイズが小さくなるにつれて表面積増加効果(surface-area effect)及び毛細管効果(capillarity effect)を有する。
【0004】
ナノ粒子の表面積増加効果は、表面現象との関連性が大きい化学反応及び触媒反応、異種成分の吸着・脱着挙動に大きな影響を及ぼす。これに対し、毛細管効果(表面張力の影響により粉末の内部に及ぶ圧力効果)は、粉末の根本的な物性を変化させることにより、以前には見られなかった新しい現象が現れるようにする。このため、ナノ粒子は、ミクロン(micron)もしくはサブミクロン(submicron)粉末が持たない特性を有するため、その活用分野が非常に広い。
【0005】
通常知られているナノ粒子は、銀ナノ粒子などの金属ナノ粒子だけでなく、無機ナノ粒子、有機ナノ粒子、有機-無機ハイブリッドナノ粒子、バイオナノ粒子、及び生物由来のナノ粒子などの様々な種類がある。
【0006】
このため、多様な産業分野で前記ナノ粒子を適用した様々な製品が生産されている。一例として、半導体、医療、バイオ、電子通信、食品、個人用品などの各種分野でナノ粒子を用いた新しい技術の開発が盛んに行われており、代表的な製品としては、LCDモニター、携帯電話、洗濯機、各種抗菌製品、日焼け止めなどを含む様々な種類の化粧品といった非常に多くの製品にナノ粒子が活用されている。
【0007】
ナノ粒子は、合成によって得られるか、或いは自然又は生物から得られる。この時、ナノ粒子は、所定の範囲の粒子サイズの範囲で存在し、そのまま使用する場合もあるが、通常、ナノ粒子を分離して使用する。
【0008】
通常の粒子分離方法は、分離膜を用いたフィルター方式が採用されている。前記分離膜の種類及び方式によって、精密濾過(Micro Filtration、MF)、限外濾過(Ultra Filtration、UF)、ナノ濾過(Nano Filtration、NF)、及び逆浸透(Reverse Osmosis、RO)濾過方式がある。このような分離膜を用いた方式は、主に液体-固体システムにおける固体の分離方式であって、サイズによるナノ粒子の高純度分離に無理がある。また、ナノ粒子の分離のために、分離膜はナノサイズの気孔を持たなければならないが、分離膜に形成された気孔の大きさが均一ではなく、分離工程中に気孔にナノ粒子が凝集して分離膜の気孔が詰まってしまうという問題が発生する。また、分離に使用するナノ粒子の含有量が高いほど、気孔が詰まってしまう速度が増加して分離に困難が発生する。
【0009】
そこで、粒子の大きさではなく、異なる物性の差を用いて分離する方法が開発された。その例として、表面の電気的性質を用いる方法や、粒子の密度を用いる遠心分離などがある。
【0010】
ナノ粒子の表面の電気的性質を用いる場合、分離しようとする粒子の表面が電荷を帯びないか、或いはその差が大きくなければ適用することが難しいという限界がある。また、粒子の密度を用いる方法も実用化されたが、この場合にも、密度の差が少ない粒子を分離する場合に適用に限界があるので、制限的使用が避けられない。このような従来のナノ粒子分離方法は、多くのナノ粒子の損失を誘発するという共通の欠点がある。
【0011】
また、遠心分離器を用いてナノ粒子を分離するためには、非常に速い速度で回転させなければならず、超高速遠心分離器が必要である。この方法は、主にバイオ分野で使用する方法であって、ナノ粒子の分離に要する費用が上昇し、試料準備のための過程が複雑であり、処理時間が非常に長くかかるという問題が発生する。
【0012】
一方、最近、二種類の水溶液の相分離が起こった水溶液二相系を用いてナノ粒子を分離する方法が提案された。この方式は、ABS(Aqueous biphasic systems)、ATPS(Aqueous two-phase systems)またはATPE(Aqueous two-phase extraction)方式として知られている。
【0013】
水溶液二相系を用いた分離は、ポリエチレングリコール(PEG)/デキストランの2つの高分子水溶液を用いてバイオ分子(biomolecules)を分離または精製している。この分離システムは、バイオ分子の表面特性を利用する方式でであって、未だに、高濃度でタンパク質を使用することに制限的に提示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】韓国登録特許第10-15754880000号(2015年12月1日、粒子分離のためのマイクロ流体遠心分離機)
【非特許文献】
【0015】
【文献】Hamta, Afshin et al., “Application of polyethylene glycol based aqueous two-phase systems for extraction of heavy metals”. Journal of Molecular Liquids. (2017) 231: 20~24
【文献】Juan A.Asenjo et al., Aqueous two-phase systems for protein separation: A perspective Journal of Chromatography A, Volume 1218, Issue 49, 9 December 2011, Pages 8826-8835
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明では、バイオ物質の表面特性によって分離する方式ではなく、水溶液二相系の組成設計に焦点を合わせてタンパク質などのバイオ物質に限定するものではなく、すべてのナノ粒子の分離に適用可能である新しい概念を導入した分離システムを開発した。
【0017】
そこで、本発明は、水溶液二相系システムで2つの相が接触する界面での張力を調節することにより、ナノ粒子の分離が可能である水溶液二相系ナノフィルターを提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明は、前記水溶液二相系ナノフィルターを用いたナノ粒子の分離方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するために、本発明は、互いに異なるサイズの混合ナノ粒子を分離するために、分散相をなす第1収容液相、及び前記分散相と相分離され、連続相をなす第2水溶液相を含む、水溶液二相系ナノフィルターを提供する。
【0020】
この時、前記第1収容液相と前記第2水溶液相が相分離される界面での張力(γ)は、下記数式1を満足する。
【0021】
[数式1]
2×10-7 /m≦γ≦50×10-5 /m
【0022】
前記第1水溶液相は、バルク形態で重力又は浮力によって連続相内を流動し、拡散によって第1水溶液相から第2水溶液相へ移動して混合ナノ粒子を分離する。
【0023】
この時、前記界面での気孔は、粒子が通過するための臨界粒径であり、直径が1~500nmであることを特徴とする。
【0024】
前記混合ナノ粒子は、金属ナノ粒子、無機ナノ粒子、有機ナノ粒子、有機-無機ハイブリッドナノ粒子、高分子粒子、バイオナノ粒子、生物由来のナノ粒子、またはこれらの混合粒子であることができる。
【0025】
また、本発明は、前記水溶液二相系ナノフィルターを用いるが、
(S1)第2収容液相を準備してチャンネル内に注入するステップと、
(S2)混合ナノ粒子を含む試料を第1水溶液相と混合するステップと、
(S3)前記試料を含む分散液を、第2水溶液相が担持されたチャンネル内に注入するステップと、
(S4)試料からナノ粒子分離工程を行う、ナノ粒子の分離方法を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明による水溶液二相系ナノフィルターは、10nm程度のサイズ差を有する混合ナノ粒子を分離することができる。
【0027】
特に、前記分離は、低コストで短時間内に行われることが可能であり、ナノ粒子の損傷及び損失なしに高純度で分離が可能である。また、温度や超音波などの外力を印加する場合、その時間をさらに短縮させることができるという利点がある。
【0028】
このような水溶液二相系ナノフィルターは、バイオ分野に限定せず、ナノ粒子の分離が要求される多様な産業分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明で提示する水溶液二相系ナノフィルターの分離メカニズムを説明するための模式図である。
図2】第1収容液相及び第2水溶液相のエネルギー障壁を示す模式図である。
図3】粒子サイズの異なる3種類のビーズ粒子を用いて粒子サイズによる移動を示すシミュレーション結果である。
図4】粒子サイズの異なる3種類のビーズ粒子を用いて粒子サイズによる移動を示す模式図である。
図5】第1収容液相と第2収容液相との界面張力と粒子サイズによるエネルギー障壁の大きさを示す模式図である。
図6】第1収容液相と第2水溶液相との界面張力による臨界粒径の変化を示すグラフである。
図7】実施例で第2水溶液相に第1水溶液相を形成した後、蛍光ビーズの移動を示す写真である。
図8】時間による蛍光ビーズの移動程度を示すイメージであり、その下端にはA、B及びCの第1収容液相(DEX)と第2収容液相(PEG)との界面張力を示す。
図9】ナノ粒子サイズによる界面での脱出速度の変化を示すグラフである。
図10】温度の変化による臨界粒径の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、互いに異なるサイズのナノ物質の分離に使用するナノフィルター、及びこれを用いた分離方法を提示する。
【0031】
本発明で言及するナノフィルターは、ナノレベルの粒子サイズを有する混合ナノ粒子から粒子サイズに応じてナノ粒子を分離する装置を意味する。
【0032】
本発明で言及する水溶液二相系とは、密度の異なる水溶液が液体-液体の状態に相分離されて存在することを意味する。
【0033】
このため、本発明で提示する水溶液二相系ナノフィルターとは、二種類の水溶液が相分離された形で存在し、前記相分離された状態の界面(すなわち、境界面)からナノ粒子の脱出を介してナノ粒子の分離が可能なフィルターを意味する。
【0034】
以下、水溶液二相系ナノフィルターを用いた粒子分離に関するメカニズムについて説明する。
【0035】
図1は本発明で提示する水溶液二相系ナノフィルターの分離メカニズムを説明するための模式図である。
【0036】
まず、分離しようとする3種類のナノ粒子を準備する。前記3種類のナノ粒子は、説明のためのもので、分離のために粒子サイズの異なる2種以上の混合されたナノ粒子であればいずれも使用可能である。
【0037】
次に、水溶液二相系を形成するための二つの水溶液を準備する。この時、分離が必要な対象(混合ナノ粒子、試料)は、第1収容液相P1及び第2収容液相P2のうちのいずれか一つの相に含まれる。図1では、説明の便宜のために、第1収容液相P1に混合した。
【0038】
水溶液二相系の形成は、二つの水溶液が存在し、これらの水溶液は、接触によって、図1(a)に示すように第1収容液相P1と第2収容液相P2に相分離される。
【0039】
第1水溶液相P1は、重力(gravitational force)または浮力(buoyancy)によって、第2収容液相P2内で流動する状態で存在する。第1水溶液相P1が第2収容液相P2よりも高い密度を有する場合、重力方向に移動するが、浮力によって底部に沈まずに第2水溶液相P2に浮遊する状態で存在する。
【0040】
特に、前記第1水溶液相P1は、微細な粒子や液滴の状態で存在するか、或いは、上層部/下層部のように上下層が分離された状態ではなく、バルク(bulk)形態で浮遊して存在する。従来の水溶液二相系を用いた粒子分離では、撹拌(vortexing)などの工程によって、第1水溶液相が微細な粒子状態に割れてナノ粒子の分離が起こるのに対し、本発明では、バルク形態内でナノ粒子の分離が行われる。また、従来の水溶液二相系は、撹拌(vortexing)過程に与えられる外力によって水溶液境界面のエネルギー障壁(energy barrier)が変わり、このような外力によって粒子が境界面を自由に通過することができるので、相境界面による粒子のフィルタリング効果よりも粒子の表面と各水溶液相との親和力(affinity)による分離効果がより顕著に現れる。
【0041】
図1(b)を参照すると、バルク状態の第1収容液相P1に存在する混合ナノ粒子は、水溶液相内で不規則に運動するブラウン運動(Brownian motion)が活発に起こり、この運動によって第1水溶液相P1と第2収容液相P2とがなす境界面に接触する。
【0042】
この時、第1収容液相P1と第2収容液相P2とが接触して境界面にトラップ(trap)されるが、このトラップされたナノ粒子の拡散係数(diffusion coefficient)によって第2収容液相P2又は第1水溶液相P1に移動するか或いは境界面に残留する。その結果、図1(c)に示すように、第1収容液相P1の混合ナノ粒子の一部が前記気孔を介して第2水溶液相P2に移動する。その結果、一定時間の経過後、混合ナノ粒子の一部は第2収容液相P2に残留し、その残りは第1収容液相P1又は境界面に残留し、前記第2収容液相P2が境界面を含んで分離することで、これに存在するナノ粒子の回収を介してナノ粒子の分離を行うことができる。
【0043】
特に、第1収容液相P1が第2収容液相P2に注入された後、重力によって下部側に移動する過程で、前記第1水溶液相P1が新しい第2水溶液相P2と継続的に会って界面を形成するので、前記二つの相P1、P2の境界面でナノ粒子の移動が連続的に起こりながら加速化できる。相分離形態の一つである上層部/下層部に相分離された形態では、持続的な新しい境界面の形成が不可能であって、ナノ粒子の連続的な移動が起こることができない。また、微細な液滴状態で相分離された形態では、撹拌などによって新しい境界面が形成できるが、前記撹拌過程に与えられる外力によって境界面におけるエネルギー障壁が変わり、この外力によって粒子が境界面を自由に通過することができるため、撹拌過程で境界面を介した多くの粒子の損失が発生して適さない。この方法は、境界面におけるフィルタリング効果よりは粒子の表面と各収容液相P1、P2との親和力(affinity)による分離効果が顕著に現れるので、本発明とは異なるメカニズムで分離が起こる。
【0044】
本発明で提示する水溶液二相系ナノフィルターを用いたナノ粒子の分離は、第1収容液相P1及び第2収容液相P2を形成する水溶液の境界面における張力によって影響を受ける。
【0045】
界面張力(Interfacial tension)は、互いに異なる2種以上の物体が混合せずに層を成して接するとき、この境界面に発生する張力を意味する。第1水溶液相P1及び第2収容液相P2は、互いに異なる溶質を含むので密度差があり、互いに異なる溶質の大きさ差、物性差により界面を境界として張力が形成される。このような張力によって、粒子が越えなければならないエネルギー障壁が表面に形成され、このエネルギー障壁はまるで気孔のような役割を担うが、張力の大きさが大きければ、エネルギー障壁の高さが高くなって気孔が小さくなる傾向があるから、前記力によって界面での気孔のサイズ、すなわち臨界直径(threshold diameter、又は限界直径)を有する気孔が形成される。このように形成された気孔を介して混合ナノ粒子の一部が第1収容液相P1へ移動する。
【0046】
臨界直径は、通常、nmレベルであって、前記nmレベルを維持するためには、第1収容液相P1と第2収容液相P2との界面張力がある程度の範囲を持たなければならない。つまり、界面張力が小さいというのは、第1収容液相P1と第2収容液相P2とが互いに混和(miscible)できることを意味するため、粒子分離が起こることができず、逆に界面張力が大きい場合には、相分離が起こるものの、臨界直径が非常に小さいため、粒子分離を行うことができなくなる。この界面張力と臨界直径との関係は、水溶液二相系システムの研究分野でまだ提示したことのない新しい概念である。
【0047】
第1水溶液相P1と第2収容液相P2によって設定される界面張力の数値は、第1収容液相P1と第2収容液相P2の組成によって設計でき、このような組成の設計は、分離しようとするナノ粒子が第1収容液相P1と第2収容液相P2との接触によって形成される境界面におけるエネルギー障壁を越えて拡散が可能であるかによって変わる。
【0048】
図2は第1収容液相P1及び第2収容液相P2のエネルギー障壁を示す模式図である。
【0049】
図2を参照すると、第1収容液相P1と第2収容液相P2は、互いに異なる溶質を含む水溶液であって、それぞれ異なる高さを有するエネルギー障壁が存在する。前記第1収容液相P1に存在する混合ナノ粒子は、粒子分離のために境界面と第2収容液相P1との間のエネルギー障壁を越えて第2水溶液相P2に脱出する。この時、図1の装置を用いる場合、第2収容液相P2に脱出した一部のナノ粒子は、再び第1収容液相P1に移らない。前記界面でのエネルギー障壁の通過、すなわち第1収容液相P1からの脱出エネルギーは、第1収容液相P1と第2収容液相P2との界面での張力によって影響を受ける。
【0050】
境界面の表面張力は、高くなるほど、境界面の粒子が他の相に脱出するために越えなければならないエネルギー障壁の高さが高くなり、境界面を脱出することが可能な粒子の臨界サイズを減少させる。これは、使用する第1及び第2水溶液の相をどのように選択するかによって、境界面の界面張力を変数として活用することができることを意味する。
【0051】
また、境界面における第1収容液相P1から第2収容液相P2へのナノ粒子の移動及び脱出は、フィックの拡散法則(Fick’s laws of diffusion)を介して説明される。前記フィックの拡散法則は、熱力学における拡散過程を示す2つの法則であって、第1法則と第2法則があり、本発明では、連続的な拡散に関連するフィックの第二法則(Fick’s second law)で説明できる。
【0052】
フィックの第二法則と境界面にトラップされた粒子の脱出割合(escaping rate)を用いて、粒子の移動を予測した。境界面にトラップされた粒子が脱出する割合は、下記式(1)を満足する。
【0053】
【数1】
【0054】
(前記式(1)中、Γ:境界面から脱出する粒子の割合、J:粒子のflux、n:境界面にある粒子の濃度、α:比例定数、ΔΕ:境界面にある粒子と境界面から脱出した粒子とのエネルギー差、κ:ボルツマン定数、T:温度である。)
【0055】
第1水溶液相P1と第2収容液相P2との境界面にある粒子のエネルギー障壁ΔΕは、下記式2で表現できる。
【0056】
【数2】
【0057】
(前記式(2)中、γPhase/Phase2:第1収容液相と第2水溶液相との境界面に作用する張力、R:粒子の半径、γparticle/Phase1:第1水溶液相中にある粒子の表面に作用する張力、γparticle/Phase2:第2水溶液中にある粒子の表面に作用する張力、κ:ボルツマン定数、T:絶対温度、K:分離係数である)
【0058】
前記式中、ΔΕは境界面にある粒子が境界面から抜け出すために越えなければならないエネルギー障壁(Energy barrier)を意味し、その値が大きいほど、粒子の脱出割合は低くなることを意味する。
【0059】
また、第1収容液相P1と第2収容液相P2との境界面の近くにおける粒子の流動は、下記式を満足する。
【0060】
【数3】
【0061】
【数4】
【0062】
(前記式(3)、(4)中、JPhase1-interface:第1水溶液相と境界面との間の粒子の流動、JInterface-Phase2:第2水溶液相と境界面との間の粒子の流動、CPhase1:境界面近くの第1水溶液相にある粒子の濃度、CPhase2:境界面近くの第2収容液相にある粒子の濃度、CInterface:境界面にある粒子の濃度、κ1、κ2:比例定数、ΓPhase1:境界面から第1収容液相に脱出する粒子の割合、ΓPhase2:境界面から第2水溶液相に脱出する粒子の割合である)
【0063】
前記式を参照すると、第2収容液相P2と境界面との間の粒子の流動は、第2収容液相P2から境界面に移動する粒子の流動と、境界面から第2水溶液相P2に脱出する粒子の流動との合計である。同様に、第1収容液相P1と境界面との間の粒子の流動は、第1収容液相P1から境界面へ移動する粒子の流動と、境界面から第1収容液相P1へ脱出する粒子の流動との合計である。
【0064】
前記式(1)乃至前記式(4)をフィックの第二法則(Fick’s second law)に適用してシミュレーションを行った。
【0065】
粒子として10nm、50nm及び100nmの3種類の混合ビーズ粒子を適用して、第2水溶液相P2に脱出したビーズ粒子の量を測定することにより、支配方程式と境界条件の係数を決定した。第1水溶液相P1としてはデキストラン水溶液(1%濃度)を使用し、第2収容液相P2としてはポリエチレングリコール(3%濃度)を使用した。また、前記式中、第1水溶液相P1は新しい第2水溶液相P2と連続して接するため、境界面近くの第2収容液相P2の粒子の濃度は0に近いと仮定した(
【数5】
)。そこで、第2水溶液相P2に脱出したビーズ粒子の量を測定して、支配方程式と境界条件の係数を仮定した。決定された係数に基づいて、粒子サイズ、濾過時間、分離係数(partition coefficient)、温度、境界面の表面張力による粒子の分離をシミュレーションした。
【0066】
図3は粒子サイズの異なる3種類のビーズ粒子を用いて粒子サイズによる移動を示すシミュレーション結果である。
【0067】
図3(a)及び図3(b)を参照すると、時間に応じて、境界面を通過するビーズ粒子の臨界サイズが益々増大しており、これに基づいて、サイズの小さいビーズ粒子から第2収容液相P2に脱出することが分かる。
【0068】
具体的には、図3(a)を参照すると、時間による、境界面を通過することができるビーズ粒子の臨界サイズの増加は、200秒内に急激に起こり、その後には一定の大きさに収束する。また、図3(b)を参照すると、10nmサイズのナノ粒子は60分経過後にすべて通過したことが分かり、50nm及び100nmサイズのナノ粒子は界面に残留することが分かる。これは、水溶液二相系ナノフィルターが特定のサイズ以下の粒子のみを通過させるフィルターの役割を果たすということを意味する。
【0069】
特に、10nmの粒子は、60分後に完全に脱出することが分かるため、混合ナノ粒子からナノ粒子の損失なしに高純度、すなわち100%又はこれに近い収率でナノ粒子を分離することができることが分かる。このような結果から、実際ナノ粒子分離工程に適用する場合、従来の分離膜などの分離工程で発生するナノ粒子の損失などの問題を根本的に遮断して、本発明による水溶液二相系ナノフィルターを用いて高純度の分離工程を達成することができるという利点を確保することができることが分かる。
【0070】
これは、図4の模式図を介してより詳しく分かる。
【0071】
図4は粒子サイズの異なる3種類のビーズ粒子を用いて粒子サイズによる移動を示す模式図である。
【0072】
図4に示すように、粒子は、第1収容液相P1から、第2収容液相P2が接触して形成する界面へ移動する。境界面と接触した粒子の一部は境界面にトラップされ、この時、粒子サイズに応じて第1収容液相P1から第2収容液相P2に脱出する。
【0073】
図4は3つの形態の界面を図示し、界面A(Interface A)は最小サイズの粒子のみ通過し、界面B(Interface B)は中間サイズの粒子まで通過し、界面C(Interface C)はすべて通過可能である。これにより、粒子サイズに応じて選択的に混合ナノ粒子からナノ粒子を分離することができる。
【0074】
付け加えると、3つの粒子のうち、最小サイズの粒子を分離しようとする場合には界面A(Interface A)のように設計して、第2収容液相P2に小さいサイズの粒子を通過させた後、これを回収して分離が可能である。また、最大サイズの粒子を分離しようとする場合には界面B(Interface B)のように設計して、第1収容液相P1に残留する大きいサイズの粒子を回収して分離が可能である。また、中間サイズの粒子の場合には、界面B(Interface B)のように設計した後、第2収容液相P2を回収し、これを再び界面A(Interface A)(図示せず)を持つように設計した後、第2収容液相P2内の小さいサイズの粒子と中間サイズの粒子をもう一度さらに分離する工程を経て、中間サイズの粒子のみを選択的に回収することができる。
【0075】
この界面A(Interface A)、界面B(Interface B))、界面C(Interface C)でのナノ粒子の通過か否かは、上述したように、第1収容液相P1と第2収容液相P2をなす各組成によるエネルギー障壁と、これらが接触して形成する界面での張力(すなわち、界面張力)によって変わる。前記第1収容液相P1と第2収容液相P2が持つエネルギー障壁が低ければ、これらが接触して成す界面張力が低くなり、前記界面張力が低くなるほど、界面を通過する粒子のサイズ(すなわち、臨界粒径)が増加することができる。
【0076】
図5は界面張力と粒子サイズによる第1水溶液相P1と第2収容液相P2との間のエネルギー障壁を示す模式図である。
【0077】
図5において、第1収容液相P1と第2収容液相P2とがなす界面張力が大きいほど、エネルギー障壁が高くなる。この時、10nm、50nm、及び100nmそれぞれのナノ粒子が越えなければならないエネルギー障壁に差があり、10nmで最も低いエネルギー障壁を有する。つまり、粒子サイズが小さいほど、境界面から他の相に脱出するときに越えなければならないエネルギー障壁がさらに低くなるが、粒子が特定のサイズ以上になると、エネルギー障壁があまり高いため粒子が越えなくなる。
【0078】
第1水溶液相P1と第2収容液相P2とが接して界面を形成する場合、エネルギー障壁が低い10nmサイズのナノ粒子から第2収容液相P2への脱出が先に起こる。このため、100nmサイズのナノ粒子の通過のために、第1収容液相P1と第2収容液相P2との界面張力を下げれば、これと比例的にエネルギー障壁が低くなって第2収容液相P2への脱出が起こり得ることが分かる。
【0079】
このような結果は、界面張力に応じて、ナノ粒子が境界面を通過することが可能な臨界粒径が主導的に(dominant)決定できることを意味する。言い換えれば、界面張力が低いというのは、その分だけ通過するナノ粒子のサイズが大きくなり得ることを意味する。
【0080】
図6は第1収容液相P1と第2収容液相P2との界面張力による臨界粒径Dの変化を示すグラフである。
【0081】
図6を参照すると、界面張力に応じて、境界面を通過して脱出する臨界粒径が変わることが分かる。
【0082】
具体的には、界面張力が高いほど、界面を脱出することが可能な臨界粒径が最終的に小さくなる傾向を示すことが分かる。また、特定の時間に到達するまで時間に応じて臨界粒径が変わるが、最終的に到達する臨界粒径は同一であることが分かる。また、時間に応じて臨界粒径が増加することが分かるが、これを解析することにより、所望のサイズを取り除くのにかかる時間が分かる。一例として、界面張力が5×10-6 /mに設計された水溶液二相系ナノフィルターの場合、臨界粒径40nmのナノ粒子を30分以内に分離することができることが分かる。
【0083】
このような結果からみて、本発明では、ナノレベルの粒径を有する混合ナノ粒子の分離のために、第1収容液相P1と第2収容液相P2は、下記数式1を満足する界面張力γの範囲を持たなければならない。
【0084】
[数式1]
2×10-7 /m≦γ≦50×10-5 /m
【0085】
本発明による水溶液二相系ナノフィルターを用いて実現可能な気孔のサイズは、1~500nm、好ましくは3~450nm、もっと好ましくは5~400nm、さらに好ましくは5~350nm、よりさらに好ましくは10~250nm、最も好ましくは30~180nmの範囲を有する。この時、混合ナノ粒子は、少なくとも2種であり得る。
【0086】
前述したサイズの混合ナノ粒子を分離するための界面張力は、2×10-7 /m~50×10-5 /m、好ましくは2×10-7 /m~40×10-5 /m、もっと好ましくは3×10-6 /m~350×10-6 /m、さらに好ましくは4×10-6 /m~270×10-6 /m、よりさらに好ましくは5×10-6 /m~150×10-6 /m、最も好ましくは10×10-6 /m~60×10-6 /mの範囲を有する。
【0087】
この時、界面張力が、前記数式1で提示した範囲ではなく、その数値が減少してある程度の限界、すなわち、2×10-7 /mから外れると、相分離が発生せず、第1収容液相P1と第2収容液相P2との混合が起こって水溶液二相系ナノフィルターが構成されず、逆に前記界面張力がある数値以上、具体的には50×10-5 /mを超える場合には、ナノ粒子の脱出が発生しなくなることが分かる。これは、本発明で提示する数式1の界面張力の数値範囲を持たなければ、安定な水溶液二相系ナノフィルターの構成が可能であって、ナノ粒子の脱出によるナノ粒子の分離が可能となることを立証することができるデータである。
【0088】
また、分離時間を考察すると、ナノ粒子のサイズが小さいほど、界面を脱出する速度が速くなることが分かる。
【0089】
このため、図6に示す界面張力による臨界粒径の変化に応じて、第1収容液相P1と第2収容液相P2の組成物を、特定の界面張力を持つように設計する場合、ナノ粒子を高純度で容易に分離することができることを予測することができる。
【0090】
好ましくは、本発明による水溶液二相系ナノフィルターは、組成物の設計によって界面張力を調節し、前記界面張力の調節によって臨界粒径を制御することができることにより、臨界粒径が1~500nm、好ましくは3~450nm、もっと好ましくは5~400nm、さらに好ましくは5~350nm、よりさらに好ましくは10~250nm、最も好ましくは30~180nmの範囲を有するフィルターを実現することができる。この時、前記水溶液二相系ナノフィルターは、分離能が、粒子間の差が10nm程度となるまで分離可能である。この時、分離能が10nmであるというのは、ナノ粒子が10nm及び20nmのように10nmの差を有するものまでも分離可能であることを意味し、10nm及び100nmのように90nmの差を示す場合の分離は自明に行われ得ることを意味する。
【0091】
一方、図6は第1収容液相P1が固定相(stationary phase)である場合と移動相(moving phase)である場合に分けて示す。時間が無限大である場合、第1収容液相P1が固定相と移動相の両方では同一の結果を示したが、定められた時間内では第1収容液相P1が移動相を持つ場合、ナノ粒子の分離に有利であることが分かる。通常、ナノ粒子の分離が無限大の時間ではなく、定められた時間内で行われることを考慮すれば、第1収容液相P1が移動相である形態を持つ場合、実際分離工程に適用することが好ましいことが分かる。
【0092】
前述した界面張力、エネルギー障壁及び臨界粒径に関する理論的考察と共に、シミュレーション結果によって、本発明でナノ粒子の分離が実際の工程で適用可能であるかを調べるために、図7及び図8で直接的な実験を行った。
【0093】
まず、混合ナノ粒子として30nm、50nm及び100nmの3種類の蛍光ビーズを準備し、第1収容液相P1としてはデキストラン水溶液を使用し、第2収容液相P2としてはポリエチレングリコール(PEG)を使用した。分離係数(K、partition coefficient)=100、温度=20℃、時間=300s、境界張力=0.013mJ/mの条件で行った。
【0094】
この時、第1収容液相P1及び第2収容液相P2の濃度を調節して、次のように界面張力を有する水溶液二相系フィルターを設計した。
【0095】
【表1】
【0096】
合計9つの管状試験管を準備し、構成A、B及びCのフィルターに30nm、50nm及び100nmの3種類の蛍光ビーズをそれぞれ注入して蛍光ビーズの移動を蛍光顕微鏡(fluorescence microscope)で確認した。この時、D及びEの構成を有するフィルターは、臨界粒径が30nm以下であって、ナノ粒子の脱出がないため、図8に示さなかった。
【0097】
測定のために、まず、管状試験管(内径2mm)に、第2水溶液相(P2)をなすポリエチレングリコール水溶液75μLを注入した。第1水溶液相のデキストラン水溶液3μLに蛍光ビーズ5ngを添加して均一に混合した。得られた分散液3μLを前記第2水溶液相P2入りの管状試験管の上部にゆっくりと注入した。図7に示すように、第1収容液相P1が試験管の下部側に移送されることが分かる。
【0098】
第1水溶液相P1と第2収容液相P2との混合即時(T=0分)、30分経過後及び60分経過後の蛍光ビーズの移動を蛍光分光器によって測定し、その結果を図8に示した。
【0099】
図8は時間による蛍光ビーズの移動程度を示すイメージであり、その下端にはA、B及びCの第1収容液相(DEX)と第2収容液相(PEG)との界面張力を示す。
【0100】
図8のA組成の場合を参照すると、界面張力が5.36×10-6 /mである場合、30nm、50nm及び100nmそれぞれのナノ粒子のうち、30nmのナノ粒子のみが第2収容液相P2に移動したことが分かる。これと同様に、B組成の場合、界面張力が3.57×10-6 /mであり、30nm及び50nmのナノ粒子が第2収容液相P2に移動し、100nmのナノ粒子は第1収容液相P1に残留することが分かる。また、C組成の場合、界面張力が1.65×10-6 /mであり、30nm、50nm及び100nmのナノ粒子のいずれも第2収容液相P2に移動することが分かる。これにより、数式1に示すように、界面張力が少なくとも2×10-6 /m以上にならなければならないことが分かる。
【0101】
このような結果より、界面張力の制御によって、ナノ粒子の分離時に通過することが可能な臨界粒径を調節することができることが分かる。
【0102】
第1水溶液相P1と第2収容液相P2との界面での張力は、第1収容液相と第2水溶液相の組成設計によって実現できる。
【0103】
第1水溶液相P1と第2収容液相P2との間に界面張力を持つためには、これらの間の相分離が先行されなければならない。前記相分離は、様々な方法が可能であるが、本発明では、第1収容液相P1と第2収容液相P2との間のtwo phase diagramを介して行われ得る。また、ナノ粒子の分離は、ナノ粒子の表面が第1収容液相P1及び第2収容液相P2のうちのいずれか一つの相に親和力(affinity)があるかによって、分離速度及び分離能が向上することができる。このような内容を考慮して、第1収容液相P1及び第2収容液相P2をなす特定の組成をtwo phase diagramを介して選択して水溶液二相系ナノフィルターを構成することができる。
【0104】
第1水溶液相P1及び第2収容液相P2は、基本的に、溶質が水に溶けた水溶液である。
【0105】
前記溶質の種類によって、第1収容液相P1及び第2収容液相P2は、高分子及び/又は塩が存在する高分子水溶液又は塩水溶液であり得る。
【0106】
溶質としての高分子は、親水性高分子であり得る。
【0107】
使用可能な親水性高分子としては、ポリアルギニン、ポリリジン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンイミン、キトサン、プロタミン(protamin)、ポリビニルアセテート、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、アルギン酸塩、ヒドロキシオキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、澱粉、ポリ(ビニルメチルエーテルエーテル)、ポリビニルピロリドン、及びこれらの組み合わせよりなる群から選択された1種の親水性高分子であることができる。
【0108】
また、溶質としての高分子は、高分子多糖類であることができる。前記高分子多糖類は、シクロデキストリン、グルコース、デキストラン、マンノース、スクロース、トレハロース、マルトース、フィコール(ficoll)、イノシトール、マンニトール、ソルビトール、スクロース-マンニトール、グルコース-マンニトール、トレハロース-ポリエチレングリコール、スクロース-ポリエチレングリコール、スクロース-デキストラン、及びこれらの組み合わせよりなる群から選択された1種の親水性高分子であることができる。
【0109】
塩水溶液に使用する塩は、(NHSO、NaSO、MgSO、KHPO、KHPO、NaCl、KCl、NaBr、NaI、LiCl、n-BuNBr、n-PrNBr、EtNBr、Mg(OH)、Ca(OH)、NaCO、ZnCO、Ca(PO、ZnCl、(CZn、ZnCO、CdCl、HgCl、CoCl、(CaNO、BaCl、MgCl、PbCl、AlCl、FeCl、FeCl、NiCl、AgCl、AuCl、CuCl、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate)、テトラデシル硫酸ナトリウム(sodium tetradecyl sulfate)、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム(dodecyl trimethylammonium bromide)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(dodecyl trmethylammonium chloride)、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム(tetradecyl trimethylammonium bromide)、及びこれらの組み合わせよりなる群から選択された1種の親水性高分子であることができる。
【0110】
また、前記溶質として高分子塩が使用でき、一例として、前述した高分子と塩の組み合わせになることができる。
【0111】
前述した高分子及び塩の中からの第1収容液相P1及び第2収容液相P2への選択は、分離しようとするナノ粒子の特性(例えば、表面特性)、及び相分離を可能にする特性及び濃度によって変わり得る。
【0112】
その中で、第1収容液相P1及び第2収容液相P2として使用可能なそれぞれの組み合わせは、高分子である場合、親水性-疎水性の特性であり得る。前記高分子は、基本的に水溶液に溶解されるので親水性を示すが、二つの組成を組み合わせる場合、相対的に親水性を持つか或いは相対的に疎水性を持つことができる。一例として、デキストランとポリエチレングリコールの場合、デキストランは、相対的に親水性を有し、分子構造がより稠密であり(more denser)、ポリエチレングリコールは、相対的に疎水性を有し、分子構造がより少なく稠密である(less dense)特性がある。このため、デキストラン/ポリエチレングリコールは、それぞれ、第1収容液相/第2水溶液相(P1/P2)として使用することができる。
【0113】
また、第1収容液相P1及び第2収容液相P2として使用可能なそれぞれの組み合わせは、高分子の場合、分子量及び濃度は重要な選定理由になることができる。
【0114】
高分子は、分子量が大きくなるほど、濃度が高くなるほど、第1水溶液相と第2水溶液相が安定的に形成され、高分子の分子量があまり小さい場合、第1水溶液と第2水溶液とが容易に混ぜられてしまう。
【0115】
高分子の分子量は、少なくとも水溶液内に溶解(又は膨潤)した状態で存在しなければならず、これは、高分子の種類によって水に対する溶解度の差があるので、その範囲の限定が容易ではない。但し、前述した親水性高分子の場合、重量平均分子量が200~2,000,000、好ましくは500~1,000,000、さらに好ましくは1,000~500,000を有する。一例として、デキストランと組み合わせるポリエチレングリコールの場合、200~60,000、好ましくは500~40,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用する。また、デキストランは、15~1000,000、好ましくは1,000~500,000の範囲の重量平均分子量を有する。
【0116】
この時、高分子又は高分子塩水溶液の濃度は、水に対する溶解度の差があるが、0.001~20重量%、好ましくは0.01~15重量%、さらに好ましくは0.1~10重量%であることができる。もし、その濃度があまり低い場合、第1収容液相P1及び第2収容液相P2の高分子水溶液が水と同様の流動性を示すため、この二つが互いに混和(miscible)されて水溶液二相系の形成が難しい。逆に、あまり高い場合、高分子の溶解に時間がかかり、水溶液二相系の界面での張力があまり大きいため、臨界粒径が小さくなってナノ粒子の分離が難しくなるという問題がある。
【0117】
高分子の代わりに塩を使用する場合、水溶液二相系を成すために高濃度の塩が必要である。前述したように、高分子の分子量が大きくなるほど、第1水溶液相P1と第2収容液相P2が安定的に形成されるが、塩の場合、分子量が高分子よりも小さいため、高濃度でのみ水溶液二相系を形成させることができる。好ましくは、高濃度の塩は、1~70重量%、さらに好ましくは5~50%で使用することが好ましい。
【0118】
既に第1収容液相と第2水溶液相を成すことができるシステムに低濃度の塩を追加する場合、塩が水溶液中でイオン状態に解離されるため、ナノ粒子の移動速度を変化させる役割を果たす。この時、塩は、平均分子量が10~1000重量部であることが好ましい。
【0119】
具体的には、本発明による水溶液二相系ナノフィルターで第1収容液相/第2水溶液相P1/P2の組み合わせは、下記表2に示すように、高分子-高分子、高分子-高分子塩、及び高分子-高濃度塩の組み合わせで使用できる。
【0120】
【表2】
【0121】
前記表2に例示した組み合わせは一例であり、この他に、前述した組成を用いた多様な組み合わせが、数式1で提示した界面張力を満足する範囲であれば、そのいずれの組み合わせでも使用できる。
【0122】
さらに、本発明による水溶液二相系ナノフィルターの性能に関連して、追加パラメータにより分離速度に影響を受ける。前記追加パラメータは温度であり得る。
【0123】
水溶液二相系ナノフィルターにおいて、温度は、第1収容液相P1と第2収容液相P2との境界面でのナノ粒子の脱出速度を高めることにより、同じ時間内のナノ粒子の脱出割合を増加させることができる。
【0124】
図9はナノ粒子サイズによる界面での脱出速度の変化を示すグラフである。図9において、ΓP1:境界面から第1水溶液相に脱出する粒子の割合を意味し、ΓP2:境界面から第2水溶液相に脱出する粒子の割合を意味する。
【0125】
図9を参照すると、温度が増加するほど、ナノ粒子のブラウン運動が加速化されて境界面にあるナノ粒子の脱出速度が増加する。このような結果より、非常に正確なサイズで短時間内に分離する必要がある場合に有用に使用することができる工程条件の変数として、温度を用いることもできることが分かる。
【0126】
図10は温度の変化による臨界粒径の変化を示すグラフである。
【0127】
図10を参照すると、温度の増加に伴って臨界粒径が線形的に増加する傾向を示すことが分かる。しかし、臨界粒径のサイズ差が10nm以内であるため、ナノ粒子分離の際に温度を増加させても、分離速度のみを増加させるだけであり、必要以上の臨界粒径を増加させないため、高純度でナノ粒子を分離させることができることが分かる。
【0128】
また、第1収容液相P1が固定相(stationary droplet)及び移動相(moving droplet)である場合、分離速度のみ異なるだけであり、臨界粒径は最終的に同一になることが分かる。
【0129】
また、前記温度以外に、水溶液二相系ナノフィルターの分離能に関連するパラメータとして、振動印加か否かを含むことができる。
【0130】
振動印加は、超音波印加であってもよい。これは、外部からの物理力が境界面のエネルギー障壁を下げて臨界粒径を変化させるか、或いは粒子の拡散を助けてナノ粒子の脱出速度を増加させることができる。
【0131】
粒子サイズの異なる混合ナノ粒子は、そのサイズ差のような力学的物性の差が発生する。前記サイズの他に、その材質や組成が異なる場合には、材質、密度及び圧縮率などの力学的物性は大きく異なる。ここで、超音波が混合ナノ粒子に印加されると、粒子のサイズによって、互いに異なる音響放射力(acoustic radiationforce)を持つため、超音波の音圧節線(sound pressure node line)に沿ってナノ粒子が移動する。つまり、混合ナノ粒子が混在している場合、これらを分離することができ、これらの移動速度を高めることができる。特に、第1収容液相P1と第2収容液相P2との境界面にトラップされているナノ粒子の脱出を高めることができるため、前記トラップされたナノ粒子による分離速度の低下を防止することができる。
【0132】
このような音響放射力は、周波数の制御によって調節可能である。好ましくは、本発明では、0.01~100kHzの200W~400Wの強度で1分~240分行うことが好ましい。この時、印加する超音波の強度があまり強い場合、バルク形態を成さなければならない第1収容液相P1に影響を与え、前記第1水溶液相P1が微細な液滴を形成することができるので、上記の範囲内で適切に行う。また、超音波印加は、超音波発生器によって行うことができる。
【0133】
一方、本発明による水溶液二相系ナノフィルターは、一方向に延長され、一側端部が開口した中空のチャンネルが形成され、前記チャンネルは、フィルターハウジング内に装着される。
【0134】
この時、チャンネルは、注入された流体が存在しうる通路又は導管である。前記チャンネルは、便宜上の表現であったが、微細な管だけでなく、内部直径の大きいカラムの意味も一緒に含む。詳細には、カラムは大量の試料分離のために使用でき、チャンネルは少量の試料分離のために使用できる。この時、チャンネルは、混合ナノ粒子の分離が容易であるように、マイクロチャンネル又はナノチャンネルであることができる。
【0135】
チャンネルの断面(流体の流れ方向に対する垂直方向)形状は、製造上の便利又は当業者の目的によって選択的に変更でき、これに限定されないが、例えば、円形、楕円形、長方形、正方形などを含む。好ましくは、本発明の前記チャンネルの断面形状は円形であることができる。
【0136】
チャンネルを介した抵抗は、その長さに比例し、断面積に反比例するので、長さ、幅、及び高さが適切に設計できる。特に、第1収容液相P1にバルク形態で流動するため、十分な長さ及び幅を確保することができるようにする。
【0137】
前記チャンネルは、長さが0.01~3cm、好ましくは1~5cmであることができ、高さ(導管の横断面基準)は0.001~5cm、好ましくは0.01~1cmであることができ、幅(幅)は0.001~5cm、好ましくは0.01~1cmであることができる。
【0138】
フィルターハウジングは、金属又は合成樹脂で製作されたケース装置であって、水溶液二相系ナノフィルターを装着することができるように、上端又は下端に開閉可能なカバーが存在し、このようなフィルターハウジングのチャンネルの内部に流体が引き込まれる引込口と、内部の流体を排出することができる排出口を持っている。
【0139】
水溶液二相系ナノフィルターは、チャンネルの内部に第1水溶液相P1及び第2収容液相P2の注入を介して形成することができ、重力及び浮力によって第1収容液相P1が流動することができるように、チャンネルが地面に対して垂直に存在することができるようにする。
【0140】
前記フィルターハウジングは、必要に応じて温度調節装置が装着でき、超音波発生器に連結できる。
【0141】
一方、前述した水溶液二相系ナノフィルターは、ナノサイズの粒子分離工程に好適に適用することができる。
【0142】
具体的には、水溶液二相系ナノフィルターは、
(S1)混合ナノ粒子を含む試料を第1水溶液相P1と混合するステップと、
(S2)第2収容液相P2を準備してチャンネル内に注入するステップと、
(S3)前記試料を含む分散液を、第2水溶液相(P2)が担持されたチャンネル内に注入するステップと、
(S4)試料からナノ粒子分離工程を行う、ナノ粒子の分離方法を提供する。
【0143】
以下、各ステップで詳細に説明する。
【0144】
まず、水溶液二相系ナノフィルターの製作に先立って、第1収容液相P1と第2収容液相P2の組成を設計して準備する。前記第1収容液相P1及び第2収容液相P2は、前述したところによって適切な組み合わせとして選定できる。
【0145】
(S1)ステップでは、混合ナノ粒子を含む試料を第1水溶液相P1と混合して分散液を製造する。
【0146】
前記試料は、混合ナノ粒子であって、本水溶液二相系ナノフィルターの適用分野によって変わり得る。一例として、電子、光電子、磁気分野、バイオメディカル、医薬、化粧品分野、エネルギー、触媒、構造体などの産業全般にわたって使用するナノ粒子であることができる。また、前記試料は、その材質によって、金属ナノ粒子、無機ナノ粒子、有機ナノ粒子、有機-無機ハイブリッドナノ粒子、高分子粒子、バイオナノ粒子、生物由来のナノ粒子、又はこれらの混合粒子であることができる。
【0147】
次に、(S2)ステップでは、第2収容液相P2を準備してチャンネル内に注入する。
【0148】
次に、(S3)ステップでは、前記試料を含む分散液を、第2水溶液相(P2)が担持されたチャンネル内に注入する。
【0149】
次に、(S4)ステップでは、一定時間放置して試料からナノ粒子分離工程を行う。
【0150】
この時、ナノ粒子の分離能及び分離速度を高めるために、温度調節装置及び超音波発生器の少なくとも一つの装置を作動させることができる。
【0151】
前記ステップを経て行うナノ粒子の分離は、10nm程度のサイズ差を有する混合ナノ粒子を分離することができる。特に、前記分離は、短時間内に高純度で行われることができ、温度や超音波などの外力を印加する場合、その時間をさらに短縮させることができるという利点がある。
【0152】
以上で述べた本発明は、図面に示された実施形態を参考にして説明したが、これは、例示的なものに過ぎず、当該分野における通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形及び実施形態の変形が可能であることを理解するだろう。ところが、このような変形は、本発明の技術的保護範囲内にあると見なすべきである。従って、本発明の真正な技術的保護範囲は、添付された特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきであろう。
図1
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図10