IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社悠心の特許一覧

特許7347870帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド
<>
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図1
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図2
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図3
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図4
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図5
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図6
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図7
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図8
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図9
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図10
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図11
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図12
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図13
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図14
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図15
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図16
  • 特許-帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】帯状プラスチックフィルムの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送ガイド
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/038 20060101AFI20230912BHJP
   B65B 9/06 20120101ALI20230912BHJP
【FI】
B65H23/038 Z
B65B9/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022166596
(22)【出願日】2022-10-18
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】P 2022110423
(32)【優先日】2022-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307028493
【氏名又は名称】株式会社悠心
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二瀬 克規
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特公昭47-042458(JP,B1)
【文献】特開平06-271162(JP,A)
【文献】特開2019-070694(JP,A)
【文献】特開2015-059027(JP,A)
【文献】特開2016-137989(JP,A)
【文献】特開2016-045377(JP,A)
【文献】特開2004-292078(JP,A)
【文献】特開昭48-057783(JP,A)
【文献】特開2017-196744(JP,A)
【文献】特開2003-063706(JP,A)
【文献】特開2016-210481(JP,A)
【文献】特開2021-130544(JP,A)
【文献】特開2001-122209(JP,A)
【文献】特開平03-095059(JP,A)
【文献】特開2005-137983(JP,A)
【文献】実公昭47-027033(JP,Y1)
【文献】特開2009-249047(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0239595(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/00
B65B 9/00
B65B 41/00
B65B 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から移送される帯状プラスチックフィルムをその幅方向の少なくとも中央域で誘導体の外表面に巻き掛け、その巻き掛け状態を維持しながら下流側へ向けて該帯状プラスチックフィルムを搬送すると共に、該誘導体に沿って幅方向に折り返すに当たり、
前記帯状プラスチックフィルムが巻き掛けられた該誘導体を、該誘導体につながるベースを介して移動、回動もしくは傾動させて該帯状プラスチックフィルムの、該誘導体に対する摩擦抵抗および/または該帯状プラスチックフィルムの張力を変動させて該帯状プラスチックフィルムを該誘導体の外表面に沿ってスライドさせることにより該帯状プラスチックフィルムの搬送経路を変更すると共に、該帯状プラスチックフィルムを幅方向の所期した位置で折り返すことを特徴とする帯状プラスチックフィルムの搬送方法。
【請求項2】
前記誘導体の移動は、該誘導体の軸芯を含む水平面内で該誘導体の軸芯に沿った方向への移動であり、前記誘導体の回動は、該誘導体の軸芯を含む水平面内で予め設定された支点を中心とする回動であり、前記誘導体の傾動は、帯状プラスチックフィルムの幅方向に直交する方向に対する傾動であることを特徴とする請求項1に記載した帯状プラスチックフィルムの搬送方法。
【請求項3】
請求項1に記載された方法の実施に使用する搬送ガイドであって、
前記帯状プラスチックフィルムの幅方向の少なくとも中央域を巻き掛ける誘導体と、該誘導体につながるベースと、該帯状プラスチックフィルムを巻き掛けたまま該ベースを介して誘導体を移動、回動もしくは傾動させて該帯状プラスチックフィルムを該誘導体の外表面に沿ってスライドさせることにより該帯状プラスチックフィルムの搬送経路を変更する移動手段と、を備えることを特徴とする帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド。
【請求項4】
前記誘導体の移動は、該誘導体の軸芯を含む水平面内で該誘導体の軸芯に沿った方向への移動であり、前記誘導体の回動は、該誘導体の軸芯を含む水平面内で予め設定された支点を中心とする回動であり、前記誘導体の傾動は、帯状プラスチックフィルムの幅方向に直交する方向に対する傾動であることを特徴とする請求項3に記載した帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド。
【請求項5】
前記移動手段は、前記ベースを介して前記誘導体を移動または回動させる駆動源と、前記帯状プラスチックフィルムの幅方向の中心位置および/または両端縁位置を、該誘導体の上流側および/または下流側で検出する検知手段と、該検知手段にて検出された検出結果にしたがい、該駆動源を作動させる制御部と、を有することを特徴とする請求項3または4に記載した帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド。
【請求項6】
前記移動手段は、前記ベースを介して前記誘導体を傾動させる駆動源と、前記帯状プラスチックフィルムの幅方向の中心位置および/または両端縁位置を、該誘導体の上流側および/または下流側で検出する検知手段と、該検知手段にて検出された検出結果にしたがい、該駆動源を作動させる制御部と、を有することを特徴とする請求項3または4に記載した帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド。
【請求項7】
前記ベースは、該ベースの後端部につながり、前記駆動源により回転させることにより前記誘導体を、該ベースを介して傾動させる軸体を有することを特徴とする請求項6に記載した帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド。
【請求項8】
前記誘導体は、その上流側、下流側および側部直近の少なくとも1か所に配置され、該誘導体に巻き掛けられた帯状プラスチックフィルムの巻き掛け領域を除く領域を、摺接させつつその摺接領域を向かい合わせに保持する一対のロッドを有することを特徴とする請求項3または4に記載した帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド。
【請求項9】
前記誘導体は、軸受けを介して転動可能に保持され、前記帯状プラスチックフィルムの幅方向に沿う回転軸芯を有するガイドロールであることを特徴とする請求項3または4に記載した帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド。
【請求項10】
前記ガイドロールは、ロール径がその幅方向において一定に保持されたロール胴を有することを特徴とする請求項9に記載した帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド。
【請求項11】
前記ガイドロールは、ロール径がその幅方向の中央部で最も拡大された最大拡径部と、該最大拡径部の両側にそれぞれつながり、該最大拡径部から該ガイドロールの幅方向の端部に向けて漸次にロール径が縮小された縮径部とを有することを特徴とする請求項9に記載した帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド。
【請求項12】
前記最大拡径部は、前記縮径部との境界をそれぞれ形成する境界角部と、該境界角部の相互間でガイドロールの軸芯に平行な巻き掛け面を形成する帯状体とを備え、前記縮径部は、ロール径が最も縮小された最小縮径部に、帯状プラスチックフィルムの巻き掛け端を形成する端縁角部を有することを特徴とする請求項11に記載した帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド。
【請求項13】
前記縮径部は、前記境界角部と前記端縁角部との間に、前記帯状プラスチックフィルムとの非接触域を形成する凹部を有することを特徴とする請求項12に記載した帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド。
【請求項14】
前記ガイドロールは、ロール胴の幅方向の端部に、前記帯状プラスチックフィルムに接触して該帯状プラスチックフィルムを摺動させるか、または、該帯状プラスチックフィルムに接触して転動するサブガイドを有することを特徴とする請求項9に記載した帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド。
【請求項15】
前記サブガイドは、前記帯状プラスチックフィルムを押圧する向き、または該帯状プラスチックフィルムから離れる向きに移動可能な移動手段を有することを特徴とする請求項14に記載した帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋を製造する縦型充填包装機あるいは縦型製袋機、または横型充填包装機あるいは横型製袋機のシールロール対の上流側に設置され、フィルム原反等から連続して移送される帯状プラスチックフィルムを、搬送経路を適宜変更しながら幅方向に折り返すのに好適な帯状プラスチックフィルムの搬送方法および帯状プラスチックフィルムの搬送ガイド(製袋ガイド)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、飲食物や調味液、医薬品、化学品等の液状物や粘稠物、粉・粒状物等からなる内容物を、帯状プラスチックフィルムを袋状に成形しながら自動的に充填包装し、複数の包装袋を連続して製造することのできる充填包装機が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような充填包装機では、帯状のプラスチックフィルムを、該プラスチックフィルムがロール状に巻回してなるフィルム原反からフィルム案内機構を介してフィルム折返し機構である搬送ガイドに導き出し、該搬送ガイドによって該プラスチックフィルムを長手方向に沿って二つ折りとし、次いで、縦シール機構(縦シールロール対)によって該プラスチックフィルムの重なり合う端縁を挟みながら送り出すと共に、ヒートシールすることで、該プラスチックフィルムを筒状に縦シールし、続いて横シール機構(横シールロール対)によって該筒状のプラスチックフィルムを横方向にヒートシールすることにより横シールして包装袋の底部となる横シール部を形成し、さらに有底筒状に形成された該プラスチックフィルム内に、充填ノズルによって液状や粘稠状等の被包装物を充填すると共に、前記横シール機構によって包装袋の袋口側を横シールして連続した包装袋を形成するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-8906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように上記充填包装機では、帯状プラスチックフィルムを、搬送ガイドによって長手方向に沿って二つ折りとする際、その折り返し位置が帯状プラスチックフィルムの幅方向の中心位置から外れると、折り返した際に側端縁どうしが揃わず、所謂、耳ずれが発生するおそれがある。なお、帯状プラスチックフィルムの折り畳みは、耳ずれ防止の観点から、該帯状プラスチックフィルムの幅方向の中心位置を、充填包装機に係わる機械中心(上記充填包装機では縦シールロール対の噛み込み中心)に一致させることが前提となる。
【0006】
従来は、ロール原反から巻き戻した直後に該帯状プラスチックフィルムの幅方向中心と、充填包装機に係わる機械中心とが一致するように、ロール原反の位置を適宜調整していた。しかし、帯状プラスチックフィルムの巻き戻し地点から、折り畳み地点までは、ある程度距離があり、その間に設置される搬送ロールやガイドの設定誤差等によって搬送過程にある帯状プラスチックフィルムが蛇行することがある。そのため、ロール原反の位置を調整しても、巻き戻された帯状プラスチックフィルムが、縦シールロール対に辿りつくまでの間に、帯状プラスチックフィルムの幅方向の中心位置が、機械中心からずれてしまい、耳ずれが発生してしまうことがあった。
【0007】
そこで、本発明では、フィルム原反等の上流側から下流側に向かって連続して移送される帯状プラスチックフィルムの搬送経路を適宜変更し、該帯状プラスチックフィルムを幅方向の所期した位置で正確に折り返すことのできる、帯状プラスチックフィルムの搬送方法および帯状プラスチックフィルムの搬送ガイドについて提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、上流側から移送される帯状プラスチックフィルムをその幅方向の少なくとも中央域で誘導体の外表面に巻き掛け、その巻き掛け状態を維持しながら下流側へ向けて該帯状プラスチックフィルムを搬送すると共に、該誘導体に沿って幅方向に折り返すに当たり、
前記帯状プラスチックフィルムが巻き掛けられた該誘導体を、該誘導体につながるベースを介して移動、回動もしくは傾動させて該帯状プラスチックフィルムの、該誘導体に対する摩擦抵抗および/または該帯状プラスチックフィルムの張力を変動させて該帯状プラスチックフィルムを該誘導体の外表面に沿ってスライドさせることにより該帯状プラスチックフィルムの搬送経路を変更すると共に、該帯状プラスチックフィルムを幅方向の所期した位置で折り返すことを特徴とする帯状プラスチックフィルムの搬送方法を提案する。
【0009】
本発明の帯状プラスチックフィルムの搬送方法においては、前記誘導体の移動は、該誘導体の軸芯を含む水平面内で該誘導体の軸芯に沿った方向への移動であり、前記誘導体の回動は、該誘導体の軸芯を含む水平面内で予め設定された支点を中心とする回動であり、前記誘導体の傾動は、帯状プラスチックフィルムの幅方向に直交する方向に対する傾動であること、が好ましい。
【0010】
また、本発明は、上記方法の実施に使用する搬送ガイドであって、
前記帯状プラスチックフィルムの幅方向の少なくとも中央域を巻き掛ける誘導体と、該誘導体につながるベースと、該帯状プラスチックフィルムを巻き掛けたまま該ベースを介して誘導体を移動、回動もしくは傾動させて該帯状プラスチックフィルムを該誘導体の外表面に沿ってスライドさせることにより該帯状プラスチックフィルムの搬送経路を変更する移動手段と、を備えることを特徴とする帯状プラスチックフィルムの搬送ガイドを提供する。
【0011】
本発明の帯状プラスチックフィルムの搬送ガイドにおいては、
(1)前記誘導体の移動は、該誘導体の軸芯を含む水平面内で該誘導体の軸芯に沿った方向への移動であり、前記誘導体の回動は、該誘導体の軸芯を含む水平面内で予め設定された支点を中心とする回動であり、前記誘導体の傾動は、帯状プラスチックフィルムの幅方向に直交する方向に対する傾動であること、
(2)前記移動手段は、前記ベースを介して前記誘導体を移動または回動させる駆動源と、前記帯状プラスチックフィルムの幅方向の中心位置および/または両端縁位置を、該誘導体の上流側および/または下流側で検出する検知手段と、該検知手段にて検出された検出結果にしたがい、該駆動源を作動させる制御部と、を有すること、
(3)前記移動手段は、前記ベースを介して前記誘導体を傾動させる駆動源と、前記帯状プラスチックフィルムの幅方向の中心位置および/または両端縁位置を、該誘導体の上流側および/または下流側で検出する検知手段と、該検知手段にて検出された検出結果にしたがい、該駆動源を作動させる制御部と、を有すること、
(4)前記ベースは、該ベースの後端部につながり、前記駆動源により回転させることにより前記誘導体を、該ベースを介して傾動させる軸体を有すること、
(5)前記誘導体は、その上流側、下流側および側部直近の少なくとも1か所に配置され、該誘導体に巻き掛けられた帯状プラスチックフィルムの巻き掛け領域を除く領域を、摺接させつつその摺接領域を向かい合わせに保持する一対のロッドを有すること、
(6)前記誘導体は、軸受けを介して転動可能に保持され、前記帯状プラスチックフィルムの幅方向に沿う回転軸芯を有するガイドロールであること、
(7)前記ガイドロールは、ロール径がその幅方向において一定に保持されたロール胴を有すること、
(8)前記ガイドロールは、ロール径がその幅方向の中央部で最も拡大された最大拡径部と、該最大拡径部の両側にそれぞれつながり、該最大拡径部から該ガイドロールの幅方向の端部に向けて漸次にロール径が縮小された縮径部とを有すること、
(9)前記最大拡径部は、前記縮径部との境界をそれぞれ形成する境界角部と、該境界角部の相互間でガイドロールの軸芯に平行な巻き掛け面を形成する帯状体とを備え、前記縮径部は、ロール径が最も縮小された最小縮径部に、帯状プラスチックフィルムの巻き掛け端を形成する端縁角部を有すること、
(10)前記縮径部は、前記境界角部と前記端縁角部との間に、前記帯状プラスチックフィルムとの非接触域を形成する凹部を有すること、
(11)前記ガイドロールは、ロール胴の幅方向の端部に、前記帯状プラスチックフィルムに接触して該帯状プラスチックフィルムを摺動させるか、または、該帯状プラスチックフィルムに接触して転動するサブガイドを有すること、
(12)前記サブガイドは、前記帯状プラスチックフィルムを押圧する向き、または該帯状プラスチックフィルムから離れる向きに移動可能な移動手段を有すること、
が好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の帯状プラスチックフィルムの搬送方法および搬送ガイドによれば、帯状プラスチックフィルムを誘導体に巻き掛けたまま、該誘導体を移動、回動もしくは傾動させ、該帯状プラスチックフィルムを誘導体の外表面に沿ってスライドさせることにより、連続して移送される帯状プラスチックフィルムの搬送経路を適宜変更(調整)することができる。そのため、帯状プラスチックフィルムの幅方向の中心位置または両端縁位置を、所期した位置に精度よく一致させることができ、従来のように搬送する間に帯状プラスチックフィルムの幅方向の中心位置が、前記充填包装機に係わる機械中心からずれるようなことがなく、該帯状プラスチックフィルムを常に正確に折り返すことが可能となり、耳ずれ等の発生を効果的に抑制することができる。
【0013】
また、本発明によれば、帯状プラスチックフィルムの幅方向の中心位置および/または両端縁位置をCCDカメラやセンサー等の検知手段によって検知し、該検知手段によって得られた情報に従って搬送ガイドを、移動手段によって移動、回動または傾動させることで、包装袋を製袋しながら帯状プラスチックフィルムの搬送経路を調整することができる。このため、作業員を要することなく自動で帯状プラスチックフィルムの位置合わせを行うことが可能となり、包装袋に係わる製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は本発明の搬送ガイドの一実施形態を示す斜視図であり、(b)は(a)の搬送ガイドに帯状プラスチックフィルムを巻き掛けた状態を示した図である。
図2図1の搬送ガイドの(a)平面図、(b)正面図、(c)左側面図(ロッドを図示せず)である。
図3図1の搬送ガイドを、ガイドロールの軸芯に沿った方向に、該軸芯を含む水平面内に移動させた状態を示す図である。
図4図1の搬送ガイドを、ガイドロールの軸芯を含む水平面内で回動させた状態を示す図である。
図5】本発明の搬送ガイドの他の実施形態を示す平面図である。
図6図5の搬送ガイドを、帯状プラスチックフィルムFの幅方向に直交する方向に対して時計回りに傾動させた状態を示す図である。
図7図5の搬送ガイドを、帯状プラスチックフィルムFの幅方向に直交する方向に対して反時計回りに傾動させた状態を示す図である。
図8】本発明の搬送ガイドの他の実施形態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図9】(a)は、図8の搬送ガイドを、帯状プラスチックフィルムFの幅方向に直交する方向に対して反時計回りに傾動させた状態を示す図であり、(b)は時計回りに傾動させた状態を示す図である。
図10】本発明の搬送ガイドの他の実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図(ロッドを図示せず)、(d)は(b)のA-A位置における断面図である。
図11】本発明の搬送ガイドのさらに他の実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図(ロッドを図示せず)、(d)は(b)のB-B位置における断面図である。
図12】本発明の搬送ガイドのさらに他の実施形態を示す斜視図である。
図13図12の搬送ガイドの(a)は平面図、(b)は誘導体を断面で示した図、(c)は左側面図(ロッドを図示せず)、(d)は正面図(ロッドを図示せず)である。
図14】本発明の搬送ガイドのさらに他の実施形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
図15】本発明の搬送ガイドのさらに他の実施形態を示す平面図である。
図16】本発明の搬送ガイドの使用形態の一例として縦型充填包装機を示した図である。
図17図16の縦型充填包装機に設けられた縦シールロール対の噛み込み中心(機械中心)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1(a)は、本発明の搬送ガイド1の一実施形態を示す斜視図であり、(b)は図1(a)の搬送ガイド1に帯状プラスチックフィルムFを巻き掛けた状態を示した図である。図2は、図1の搬送ガイド1の(a)平面図、(b)正面図、(c)左側面図(ロッドを図示せず)である。図3は、図2の搬送ガイド1を、誘導体2を構成するガイドロール20の軸芯L1に沿った方向に、該軸芯L1を含む水平面内に移動させた状態を示す図である。図4は、図1の搬送ガイド1を、ガイドロール20の軸芯L1を含む水平面内で回動させた状態を示す図である。図5は、本発明の搬送ガイドの他の実施形態を示す平面図であり、図6は、図5の搬送ガイドを、帯状プラスチックフィルムFの幅方向に直交する方向に対して時計回りに傾動させた状態を示す図であり、図7は、図5の搬送ガイドを、帯状プラスチックフィルムFの幅方向に直交する方向に対して反時計回りに傾動させた状態を示す図である。
【0016】
搬送ガイド1は、帯状プラスチックフィルムFを巻き掛け、誘導体2を構成するガイドロール20の転動によって、該帯状プラスチックフィルムFを下流に搬送しながらガイドロール20の直下で幅方向に二つに折り返すものである。なお、搬送ガイド1は、誘導体2としてのガイドロール20と、該ガイドロール20につながるベース30と、帯状プラスチックフィルムFをガイドロール20に巻き掛けたまま該ガイドロール20を移動させてその設置位置を調整する移動手段3と、を有している。
【0017】
本実施形態では、誘導体2が、転動可能なガイドロール20からなる場合を一例として示しているが、誘導体2は、転動可能なロールに限定されるものではなく、帯状プラスチックフィルムFの内側面に当接しながら摺動あるいは摺接するような部材を用いることもできる。
【0018】
搬送ガイド1の上流側には、図1~6に示すように帯状プラスチックフィルムFの外側面に当接し、ガイドロール20にて巻き掛けられた帯状プラスチックフィルムFの巻き掛け域を除く領域を、摺接させつつその摺接領域を向かい合わせに保持して該帯状プラスチックフィルムFの折り畳みを誘導する一対のロッド4a、4bが設けられている。
なお、図1~6では、一対のロッド4a、4bを、搬送ガイド1の上流位置に設けた場合について示したが、一対のロッド4a、4bは、搬送ガイド1の幅方向両側部にそれぞれ隙間を隔てて設けることもできるし、搬送ガイド1の下流位置に設けることもできる。
【0019】
移動手段3は、ガイドロール20につながるベース30を介して、ガイドロール20を移動、回動または傾動させる油圧シリンダーや空気圧シリンダー等のアクチュエータからなる駆動源31と、帯状プラスチックフィルムFの幅方向の中心位置および両端縁位置を、ガイドロール20の上流側および/または下流側で検出する検知手段(図示しない)と、該検知手段にて検出された検出結果にしたがい、駆動源31を作動させ、ベース30を介してガイドロール20を移動、回動もしくは傾動させ、該ガイドロール20の設置位置を調整することにより帯状プラスチックフィルムFの搬送経路を変更する制御部32と、を備える。
【0020】
移動手段3は、ガイドロール20のみならず、一対のロッド4a、4bとつなげて、該一対のロッド4a、4bを、ベース30(ガイドロール20)とともに移動、回動もしくは傾動させてもよい。
【0021】
検知手段は、ガイドロール20の上流および/または下流位置において帯状プラスチックフィルムFの幅方向の幅方向中心位置および/または側縁位置を検知することができればどのようなものであってもよく、CCDカメラや各種エッジセンサー(例えば、画像センサーで帯状プラスチックフィルムFの幅を検知するものや、超音波レーザーなどを帯状プラスチックフィルムFに照射し、検出器にて透過してきたもの、あるいは反射してきたものを判断してエッジを検出するものなど)を用いることができる。
【0022】
検知手段によって検知された情報(帯状プラスチックフィルムFの幅方向中心位置および/または両端縁位置)は、制御部32に送信され、予め制御部32に入力された設定値とのずれが算出される。制御部32において設定値とのずれが規定した範囲以上であると判定されると、制御部32において、そのずれからガイドロール20の設置位置が決定され、該制御部32からの指令により、ベース30を駆動源31によって所定位置まで移動、回動もしくは傾動させて、ガイドロール20を所期した位置に移動させる。
【0023】
ガイドロール20は、図3に示すように、ガイドロール20の軸芯L1を含む水平面内で移動させることや、図4に示すように、軸芯L1を含む水平面内で支点P(ベース30の後端の幅方向の中央)を中心に回動させることにより、その設置位置の調整を行うことができる。なお、ガイドロール20は、上記軸芯L1を含む水平面内以外の領域で移動あるいは回動させてもよい。
【0024】
また、図5に示す搬送ガイド1は、ベース30の後端部に軸体33を設け、図6図7に示すように、この軸体33を適宜回転させることで、誘導体2としてのガイドロール20を帯状プラスチックフィルムFの幅方向に直交する方向に対して傾動させて、該ガイドロール20の設置位置の調整を行うものである。ここで、帯状プラスチックフィルムFの幅方向に直交する方向とは、軸体33が水平に配置され、かつその軸体33の軸芯が紙面に対して直交している場合において、該軸芯の周りに沿う方向をいうものとするが、軸体33のベース30に対する配置形態は、水平配置以外の形態を採用することも可能であり、図示のものに限定されない。
【0025】
ガイドロール20を紙面時計回りに傾動させると、帯状プラスチックフィルムFの端縁は、図6の下部に平面で示したようにずれていき、逆に、紙面反時計回りに傾動させると、帯状プラスチックフィルムFの端縁は図7の下部に平面で示したようにずれていく。傾動角度は水平面を基準に±10°程度の範囲で調整することができる。なお、本実施形態では、誘導体2として転動可能なガイドロール20を用いる場合を一例として示しているが、誘導体2は、帯状プラスチックフィルムFの内側面に当接しながら摺動あるいは摺接するような部材とすることもできる。
【0026】
このようにガイドロール20の設置位置を調整することで、ガイドロール20と帯状プラスチックフィルムFとの摩擦抵抗が変動すると共に、帯状プラスチックフィルムFの張力が変動する。これにより、ガイドロール20に巻き掛けられた帯状プラスチックフィルムFが、該ガイドロール20のロール胴に沿ってスライドして搬送経路が変更され、帯状プラスチックフィルムFの幅方向中心位置または両端縁位置を、所定の位置に精度よく一致させることが可能となる。これにより、例えば帯状プラスチックフィルムFを幅方向の中心位置で二つに折り返した際に、その側端縁どうしを正確に重ね合わせることができ、耳ずれの発生を効果的に抑制することができる。
【0027】
搬送ガイド1のその他の実施形態を図8および図9に示す。図8(a)は、搬送ガイド1の正面図、図8(b)は、搬送ガイド1の側面を示した図(支持壁6のみを断面表示)である。図9(a)は、誘導体2としてのガイドロール20の突出先端Tを支点として該ガイドロール20を紙面反時計回りに傾動させた状態を示す図であり、図9(b)は、該ガイドロール20を紙面時計回りに傾動させた状態を示す図である。
【0028】
本実施形態の搬送ガイド1は、ガイドロール20と、該ガイドロール20につながるベース30とを有する。ベース30は、水平部30aと、該水平部30aの一の端部から下方に向かって斜めに延びる傾斜部30bと、該傾斜部30bとガイドロール20のロール軸21とを繋ぎ、ガイドロール20を転動可能に保持する支持部30cと、から構成されている。なお、本実施形態では、誘導体2として転動可能なガイドロール20を用いる場合を一例として示しているが、誘導体2は、帯状プラスチックフィルムFの内側面に当接しながら摺動あるいは摺接するような部材とすることもできる。
【0029】
水平部30aの他の端部には、支持壁6に設けられた上向き凸形のスリット5を通り抜けるガイド34が設けられている。図9に示すように、ガイドロール20の突出先端Tを移動させないように、すなわち、該突出先端Tを支点にしてガイド34を、スリット5に沿って移動させることで、搬送ガイド1(ガイドロール20)を傾動させることが可能となり、これによって帯状プラスチックフィルムFの搬送経路を調整することができる。
【0030】
搬送ガイド1の他の実施形態を図10に示す。図10(a)は、搬送ガイド1の平面図、図10(b)は、正面図、図10(c)は、左側面図、図10(d)は、図10(b)のA-A位置における断面を示した図である。かかる搬送ガイド1は、帯状プラスチックフィルムFの内側面に当接し、軸受け21aによって転動する無駆動式のガイドロール20と、ガイドロール20のロール軸21の両端部をそれぞれ、軸受け22a、23aによって回転自在に支持する支持部22、23と、該支持部22、23につながるベース30と、ロール軸21の両端にそれぞれ設けられるサブガイドとしての無駆動式のサブガイドロール24、25と、ロール軸21を移動させて、ガイドロール20およびサブガイドロール24、25の設置位置を調整する移動手段と、を有する。なお、本実施形態では、サブガイドが、帯状プラスチックフィルムFに接触して転動するサブガイドロール24、25からなるが、該サブガイドは、帯状プラスチックフィルムFの内側面に接触して摺動あるいは摺接するような部材とすることもできる。
【0031】
また、本実施形態では、ガイドロール20と、サブガイドロール24、25がそれぞれ別体で回転するように構成されているが、ガイドロール20をロール軸21に固定して、ガイドロール20およびサブガイドロール24、25を、ロール軸21と一体で回転するように構成してもよい。
【0032】
移動手段3としては、帯状プラスチックフィルムFの搬送経路を搬送ガイド1の入側および/または出側において検知する検知手段(図示しない)と、該検知手段にて検知され情報にしたがいベース30を油圧シリンダーや空気圧シリンダー等の駆動源(図示しない)によって作動させ、ロール軸21を、図3図4図6図7および図9に示すようにベース30とともに移動、回動もしくは傾動させ、ロール軸21の設置位置を調整することにより帯状プラスチックフィルムFの搬送経路を変更する制御部(図示しない)から構成されるものが適用される。
【0033】
なお、ガイドロール20は、ロール軸21の軸受け21aを収納、保持する支持部22、23を、移動手段3のベース30に連結することで、軸受け21aとともに移動させることができる。
【0034】
このように構成された搬送ガイド1は、先の実施形態と同様(図1~9参照)に、ガイドロール20の軸芯L1方向に、該軸芯L1を含む水平面内を移動させることや、軸芯L1を含む水平面内で回動させることや、ガイドロール20を帯状プラスチックフィルムFの幅方向に直交する方向に対して傾動させることにより、その設置位置の調整を行うことができる。
【0035】
ガイドロール20としては、図1~7に示すようなロール径がその幅方向に一定に保持されたロール胴を有するものの他、図10に示すように幅方向端部から中央部に向かって次第に大径となる樽形形状を有し、中央部が支持部22、23の先端部よりも突出(突出先端T)したロール胴を備えたもので構成するのが好ましい。このように突出先端Tを有するロール胴を備えたガイドロール20を用いると、最大ロール径となる突出先端T位置(最大拡径部20a)では、帯状プラスチックフィルムFに対する張力、摩擦力、周速が最大となり、最小ロール径となる両端部位置(最小縮径部)では、帯状プラスチックフィルムに対する張力、摩擦力、周速が最小となる。そのため、後述する機械中心C(図17参照)と突出先端Tとを一致させる制御を行う場合には、帯状プラスチックフィルムFの幅方向中心位置と、突出先端Tの位置がずれていても、該帯状プラスチックフィルムFの引きずりに伴うスライドによって、帯状プラスチックフィルムFの幅方向中心位置を突出先端T位置に迅速に収束させることができる。
【0036】
ガイドロール20のロール胴表面は、図10(a)に示す、ガイドロール20の軸芯L1に平行で、かつ突出先端Tを含む直線と、該ロール胴表面とのなす角度θが、1~70°、好ましくは20~60°の範囲になるように弧状またはテーパー状に構成することが好ましい。また、ガイドロール20は、表面が支持部22、23の先端部と面一になるように構成してもよい。
【0037】
搬送ガイド1のさらに他の実施形態を図11に示す。図11(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図(ロッドを図示せず)、(d)は(b)のB-B位置における断面図である。本実施形態の搬送ガイド1は、図10に示した実施形態の搬送ガイド1において、サブガイドとしてのサブガイドロール24が、ロッド4a、4bの軸芯に沿って移動可能(図中矢印)に構成されている。なお、本実施形態では、サブガイドロール24のみが移動可能に構成されているが、サブガイドロール24、25の両方をそれぞれ移動可能に構成してもよい。
【0038】
サブガイドロール24は、ガイドロール20およびサブガイドロール25のロール軸21とは異なるロール軸26の端部に設けられ、軸受け26aによってロール軸26と一体で回転自在であると共に、ロール軸26、軸受け26aを保持するスライダー35によって、ロール軸26を軸受け26aと共にロッド4a、4bの軸芯に沿って移動可能に構成されている。サブガイドロール24は、検知手段によって、帯状プラスチックフィルムFの搬送経路を搬送ガイド1の入側および/または出側において検知し、該検知手段にて検知された情報にしたがい、スライダー35を油圧シリンダーや空気圧シリンダー等の駆動源(図示しない)によって作動させることで、ロール軸26、軸受け26aと共に、帯状プラスチックフィルムFを押圧する向き、または該帯状プラスチックフィルムFから離れる向きに移動し、これによって帯状プラスチックフィルムFの、ガイドロール20に対する張力、摩擦抵抗を変更させて、該帯状プラスチックフィルムFの搬送経路を変更することができる。
【0039】
図12は、搬送ガイド1の他の一実施形態を示す斜視図であり、図13(a)は図12の搬送ガイド1の平面図、(b)はガイドロール20と支持部22、23の一部を断面で示した図、(c)は左側面図、(d)は正面図である。本実施形態の搬送ガイド1は、帯状プラスチックフィルムFの内側面に当接し、無駆動式のガイドロール20と、ガイドロール20のロール軸21の両端部をそれぞれ、軸受け22a、23aによって回転自在に支持する支持部22、23と、該支持部22、23につながるベース30と、ロール軸21を移動させて、ガイドロール20の設置位置を調整する移動手段(図示しない)と、を有する。
【0040】
本実施形態のガイドロール20は、幅方向中央部にロール径が最も拡大された最大拡径部20aと、該最大拡径部20aを両側に挟み、幅方向の端部に向けて漸次にロール径が縮小された縮径部20bと、を有するロール胴にて帯状プラスチックフィルムFを巻き掛けるものである。本実施形態の搬送ガイド1によれば、ガイドロール20の最大拡径部20a(突出先端T)が、支持部22、23の先端よりも大きく突出し、帯状プラスチックフィルムFが、ガイドロール20の最大拡径部20aおよび縮径部20bに巻き掛けられているので、ベース30を介してガイドロール20を移動、回動または傾動させると、上記したように最大拡径部20における帯状プラスチックフィルムFの張力、摩擦抵抗が大きくなるために、巻き掛けられた帯状プラスチックフィルムFが、ロール胴の表面に沿って、最大拡径部20a(突出先端T)に向かってスライドし易くなる。そのため、ベース30を介してガイドロール20を移動、回動または傾動させることにより、帯状プラスチックフィルムFの幅方向中心位置または幅方向両端縁位置を所期した位置に迅速かつ精度よく一致させることができ、例えば、搬送ガイド1の直下で帯状プラスチックフィルムFを幅方向の中央位置で二つに折り返す場合に、帯状プラスチックフィルムFの幅方向の両端縁どうし正確に重ね合わせることができる。
【0041】
最大拡径部20a(突出先端T)は、図12および図13に示すような先端部にRが形成された凸となるような形状の他、図14(a)、(b)に示すように、ガイドロール20のロール軸21の軸芯に平行な巻き掛け面を形成する帯状体20a1とすることができる。
なお、図14に示すように最大拡径部20aが帯状体20a1からなる場合、ガイドロール20を前記したようにベース30を介して、移動、回動もしくは傾動させると、巻き掛けられた帯状プラスチックフィルムFは、最大拡径部20aである帯状体20a1に向かってスライドし易くなる。しかも、帯状プラスチックフィルムFは、最大拡径部20aと縮径部20bとの境界をそれぞれ形成する境界角部20c1、20c2と、縮径部20bのうちのロール径が最も縮小された端縁角部20d1、20d2との4点で強く接触することになるため、帯状プラスチックフィルムFの搬送経路を変更する制御において、応答性の高い制御を行うことができ、該帯状プラスチックフィルムFの幅方向中心位置または幅方向両端縁位置を所期した位置に迅速に、精度よく一致させ得る。なお、帯状体20a1のロール軸21方向の幅寸法Dは0.2mm~5.0mm程度、とりわけ0.5mm程度とすることが好ましい。
【0042】
また、ガイドロール20の、図13(a)に示すガイドロール20の軸芯L1に平行で、かつ最大拡径部20a(突出先端T)を含む直線と、該ロール胴表面とのなす角度θ1は、帯状プラスチックフィルムFの最大拡径部20a(突出先端T)に向かうスライドを容易にするために1~70°、好ましくは20~60°の範囲内になるように弧状またはテーパー状に構成することが好ましい。なお、図14に示すガイドロール20についても同様の角度に設定することができる。
【0043】
また、ガイドロール20は、図15に示すように縮径部20bの、境界角部20c1と端縁角部20d1との間、および境界角部20c2と端縁角部20d2との間に、帯状プラスチックフィルムFが接触しない非接触域を形成するための凹部20eを設けることもできる。
【0044】
図16は、上記構成からなる本発明の搬送ガイド1の使用形態として、縦型充填包装機に設けた一例を示した図である。なお、本発明の搬送ガイド1は、縦型充填包装機のみならず、連続して移送される帯状プラスチックフィルムFを所定の位置で折り返すためのガイドとして広く利用することができる。
【0045】
図16における符号100は、帯状プラスチックフィルムFがロール状に巻き回されて形成されたフィルム原反、102は、軸受けを介して回転可能に支持され、フィルム原反100から帯状プラスチックフィルムFを順次に巻き戻す巻き戻しロール、103、104は、巻き戻された帯状プラスチックフィルムFの進行する向きを変更するガイドロール、105は、水平姿勢に保持され、帯状プラスチックフィルムFを縦向き搬送姿勢(垂直姿勢)に方向転換する天ロールである。
【0046】
帯状プラスチックフィルムFのフィルム構成は、少なくともベース層とシーラント層を有するものであればとくに限定されるものではなく、本実施形態では、一軸もしくは二軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム層やナイロン樹脂フィルム層等からなるベース層と、無延伸のポリエチレン層やポリプロピレン層等からなるシーラント層とを具える帯状プラスチックフィルムFを用いる。例えば、アルミ箔、アルミ合金箔、アルミニウム蒸着層および/または紙などを積層してなる積層プラスチックフィルムも好適に使用することができる。
【0047】
また、図16における符号107は、搬送ガイド1の直下に配置され、2つに折り返された帯状プラスチックフィルムFの重ね合わせ部分の縁部を挟持し、加圧、加熱して縦シール部Sを連続的に形成する縦シールロール対、108は、縦シールロール対107の下部直近に設けられ、縦シール部Sが形成された帯状プラスチックフィルムFを挟持し、加圧、加熱して帯状プラスチックフィルムFの幅方向に横シール部S1を形成する横シールロール対、さらに、109は、縦シールロール対107と天ロール105との間に設けられ、横シール部S1、縦シール部Sにて区画された帯状プラスチックフィルムFの内側空間内に被包装物Mを充填する充填ノズル、110は、横シールロール対108の下流に設けられ、横シール部S1を冷却するための冷却ロール対、111は、冷却ロール対110の下流に設けられ、袋同士が相互に連ねられた複数の包装袋を横シール部S1において切断、該包装袋Wを個別袋として切り離す走間カッターである。
本発明の搬送ガイド1は、充填ノズル109の設置位置よりも上流側に設置することができるが、該搬送ガイド1は、充填ノズル109の設置位置よりも下流側に設置してもよい。
【0048】
横シールロール対108は、縦シール部Sと協働して内側空間を形成する1つの横シール部S1と、該内側空間に被包装物Mを充填したのち、その内側空間を密閉するもう一つの横シール部S1を交互に形成していく2つの機能を備えている。
【0049】
符号36は、搬送ガイド1の直上に設けられた検知手段である。検知手段36は、帯状プラスチックフィルムFの幅方向中心位置あるいは幅方向の端縁位置を検知することができればどのようなものであってもよく、CCDカメラや各種エッジセンサー(例えば、画像センサーで帯状プラスチックフィルムFの幅を検出するものや、超音波やレーザーなどを帯状プラスチックフィルムFに照射し、検出器にて透過してきたもの、あるいは反射してきたものを判断してエッジを検出するものなど)を用いることができる。なお、検知手段36は、搬送ガイド1と縦シールロール対107との間に設けてもよい。
【0050】
検知手段36によって検知された情報(帯状プラスチックフィルムFの幅方向中心位置または幅方向の端縁位置)は、制御部32に送信され、予め入力された設定値とのずれが算出される。制御部32において設定値とのずれが規定した範囲以上であると判定されると、該制御部32からの指令により、ガイドロール20は、ベース30を介して駆動源31によって所定位置まで移動、回動または傾動することになり、これにより、ガイドロール20に巻き掛けられている帯状プラスチックフィルムFは、ガイドロール20のロール胴に沿ってスライドし、帯状プラスチックフィルムFの搬送経路が変更されることになる。
【0051】
なお、帯状プラスチックフィルムFの搬送経路とは、巻き戻しロール102において巻き戻された帯状プラスチックフィルムFが縦シールロール対107に辿り着くまでの通り道であって、その搬送経路を変更するとは、搬送過程にある帯状プラスチックフィルFを、幅方向にずらすことを意味している。
【0052】
このように、搬送ガイド1によって帯状プラスチックフィルムFの内側面を巻き掛けるガイドロール20の設置位置の調整制御を行い、帯状プラスチックフィルムFの搬送経路を変更することにより、該帯状プラスチックフィルムFの幅方向中心位置と、縦型充填包装機に係わる機械中心Cとを一致させることが可能となる。そのため、帯状プラスチックフィルムFは、搬送ガイド1によって幅方向中心位置で二つに折り返して端縁どうしを正確に重ね合わせることが可能となり、縦シールロール対107によって縦シール部Sを形成する際に発生するのが不可避であった耳ずれを回避することができる。
【0053】
なお、縦型充填包装機に係わる機械中心Cとは、図17に示すように、縦シールロール対107(横シールロール対108)のロール相互間における噛み込み中心を意味しており、機械中心Cと帯状プラスチックフィルムFの幅方向中心を一致させると、帯状プラスチックフィルムFを長手方向に2つ折りにした際に、帯状プラスチックフィルムFの幅方向の端部どうしとを正確に揃えることができる。
【0054】
本発明の搬送ガイド1は、縦型充填包装機に適用する場合、縦シールロール対107から上流側に50~500mm、好ましくは100~300mmの位置に設けることができる。
【0055】
上記実施形態では、搬送ガイド1のガイドロール20を単独で移動、回動あるいは傾動させることで、帯状プラスチックフィルムFの搬送経路を変更する場合を例示したが、該ガイドロール20と一対のロッド4a、4bとを一体で、または一対のロッド4a、4bを単独で移動、回動あるいは傾動させて帯状プラスチックフィルムFの搬送経路を変更させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 搬送ガイド
20 ガイドロール
20a 最大拡径部
20a1 帯状体
20b 縮径部
20c1、20c2 境界角部
20d1、20d2 端縁角部
20e 凹部
21 ロール軸
21a 軸受け
22、23 支持部
22a、23a 軸受け
24,25 サブガイドロール
26 ロール軸
26a 軸受け
3 移動手段
30 ベース
30a 水平部
30b 傾斜部
30c 支持部
31 駆動源
32 制御部
33 軸体
34 ガイド
35 スライダー
36 検知手段
4a、4b ロッド
5 スリット
6 支持壁
100 フィルム原反
102 巻き戻しロール
103、104 ガイドロール
105 天ロール
107 縦シールロール対
108 横シールロール対
109 充填ノズル
110 冷却ロール対
111 走間カッター
F 帯状プラスチックフィルム
W 包装袋
M 被包装物
S 縦シール部
S1 横シール部
T 突出先端
P 支点
C 機械中心
【要約】
【課題】フィルム原反等の上流側から下流側に向かって連続して移送される帯状プラスチックフィルムの搬送経路を適宜変更し、該帯状プラスチックフィルムを幅方向の所期した位置で正確に折り返すことのできる、帯状プラスチックフィルムの搬送方法および帯状プラスチックフィルムの搬送ガイドについて提供すること。
【解決手段】上流側から移送される帯状プラスチックフィルムを誘導体の外表面に巻き掛け、その巻き掛け状態を維持しながら下流側へ向けて該帯状プラスチックフィルムを搬送する当たり、該誘導体をベースを介して移動、回動もしくは傾動させて帯状プラスチックフィルムの、該誘導体に対する摩擦抵抗、該帯状プラスチックフィルムの張力を変動させて該帯状プラスチックを該誘導体の外表面に沿いスライドさせることにより該帯状プラスチックフィルムの搬送経路を変更すること。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17