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特許7347871無線通信装置、データ受信方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】無線通信装置、データ受信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 1/08 20060101AFI20230912BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20230912BHJP
   H04L 27/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H04L1/08
H04L1/00 B
H04L1/00 E
H04L27/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022169633
(22)【出願日】2022-10-24
(62)【分割の表示】P 2020510873の分割
【原出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2022183368
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2018060462
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】井倉 裕之
(72)【発明者】
【氏名】西山 武志
(72)【発明者】
【氏名】松村 善洋
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-157696(JP,A)
【文献】国際公開第2014/119413(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/145592(WO,A1)
【文献】特許第3883562(JP,B2)
【文献】特開2002-027537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/00
H04L 1/08
H04L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF信号を周波数変換して受信シンボルにする周波数変換回路と、
前記受信シンボルを用いて変調方式を判定する変調方式判定回路と、
判定された変調方式を用いて前記受信シンボルを復調して受信データを生成する復調回路と、
を備え、
前記変調方式判定回路は、前記受信シンボルに含まれる制御信号のシンボル列を合成し、前記シンボル列に含まれる誤り検出符号がビット反転されていることを検出することにより、そのシンボル列が複数回送信されていることを判定する、
無線通信システム。
【請求項2】
RF信号を周波数変換して受信シンボルにする周波数変換処理と、
前記受信シンボルを用いて変調方式を判定する変調方式判定処理と、
判定された変調方式を用いて前記受信シンボルを復調して受信データを生成する復調処理と、
を含み、
前記変調方式判定処理は、前記受信シンボルに含まれる制御信号のシンボル列を合成し、前記シンボル列に含まれる誤り検出符号がビット反転されていることを検出することにより、そのシンボル列が複数回送信されていることを判定する、
無線通信方法。
【請求項3】
RF信号を周波数変換して受信シンボルにする周波数変換処理と、
前記受信シンボルを用いて変調方式を判定する変調方式判定処理と、
判定された変調方式を用いて前記受信シンボルを復調して受信データを生成する復調処理と、
をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記変調方式判定処理は、前記受信シンボルに含まれる制御信号のシンボル列を合成し、前記シンボル列に含まれる誤り検出符号がビット反転されていることを検出することにより、そのシンボル列が複数回送信されていることを判定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願についての記載)
本発明は、日本国特許出願:特願2018-060462号(2018年03月27日出願)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
本発明は、無線通信装置、データ受信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信では、無線伝搬路の回線品質によって、ビット誤りの起こりやすさが大きく変動する。無線伝搬路の回線品質は、天候や周辺構造物の変化等による伝搬路自体の変化に加え、モバイル無線通信では、送受信装置間の位置関係の変化によってダイナミックに変化する。
【0003】
一般に、伝送容量とビット誤りの起こりやすさはトレードオフの関係にあり、伝送容量が大きな変調方式を用いると、ビット誤りが起こりやすくなり、その逆に、ビット誤りが起きにくい変調方式にすると、伝送容量は低下する。
【0004】
そのため、無線伝搬路の回線品質が劣化したときにビット誤りが一定範囲内に収まるように変調方式を固定してしまうと、無線伝搬路の回線品質が良いときでも、伝送容量が低く固定されてしまい、電波資源の利用効率が低下してしまう。
【0005】
そこで、近年の無線通信装置では、無線伝搬路の回線品質を把握し、無線伝搬路の回線品質が良いときには、伝送容量が大きな変調方式を用い、無線伝搬路の回線品質が劣化したときには、伝送容量が小さな変調方式を用いてビット誤り率を低下させる、適応変調が用いられるようになってきた。
【0006】
適応変調による変調方式切り替えの例としては、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM等の一次変調方式を切り替える手法が良く用いられる。ここで、BPSK、QPSK、QAMは、それぞれ、Binary Phase Shift Keying、Quadrature Phase Shift Keying、Quadrature Amplitude Modulationの略である。
【0007】
例えば、特許文献1の図5では、回線品質に応じて、BPSK、QPSK、16QAM、64QAMの4つの一次変調方式を切り替えている。回線品質が悪いときは、BPSK等の変調度の低い一次変調方式を用いることにより、ビット誤りを低減している。
【0008】
適応変調による変調方式の切り替えの他の手法としては、誤り訂正における符号化率を変化させるという手法もよく用いられる。例えば、特許文献2では、適応変調により、一次変調方式だけでなく、誤り訂正における符号化率も変化させている。
【0009】
その他の高利得の変調方式としては、直接拡散を併用する手法がある。例えば、特許文献3の背景技術欄には、直接拡散を含む符号分割多重伝送方式において、処理利得が得られることが書かれている。ただし、直接拡散を行うことにより、伝送するシンボル数が増加し、例えば3dBの利得を得るためには、シンボル数が2倍、6dBの利得を得るためにはシンボル数が4倍必要になり、伝送速度が低下する。
【0010】
さらなる、高利得の変調方式としては、同じデータを繰り返し送信し、平均化することによって高利得化する手法がある。例えば、特許文献10では、同一データを繰り返し送信し、アベレージング処理回路で平均化して、高利得化する手法が述べられている。この場合も、上記と同様に平均化回数が増加すると伝送速度が低下する。
【0011】
ところで、適応変調では、電波の変調方式がダイナミックに変化するため、送信側の無線通信装置が送信した電波の変調方式を受信側の無線通信装置で把握する必要がある。
【0012】
受信側の無線通信装置で変調方式を把握するための一般的な手法として、変調方式が固定の制御信号と、変調方式が変化する主信号が混在するフォーマットを用いて通信を行う手法が知られている。この方法では、変調方式が固定の制御信号を用いて、変調方式が変化する主信号の変調方式を受信側の無線装置に通知している。
【0013】
通常、制御信号を用いて変調方式を通知する方法では、制御信号にビット誤りがあると、主信号も全て誤ってしまうため、誤り率の低い、変調方式・符号化率を用いて制御信号を変調する。
【0014】
例えば、特許文献4では、変調方式等の情報を含むMCSテーブルと呼ばれるものを送信側、受信側の無線通信装置で保有し、送信側の無線通信装置で使用している変調方式をMCSテーブルのインデックス番号を変調方式が固定の制御信号であるPDCCHを用いて受信側の無線通信装置に通知する手法が記述されている。
【0015】
その他の変調方式を把握するための手法として、ブラインド変調を用いる手法がある。ブラインド変調では、可能性のある変調方式を順に試し、正しく復調が行えたかどうかをCRC等のエラー検出手段を用いて検出し、エラーが検出されなかった変調方式が正しい変調方式だと判断する手法である。ここで、CRCは、Cyclic Redundancy Checkの略である。
【0016】
例えば、特許文献5の図7では、解釈装置22で可能性のある変調方式を用いて復調し、FEC復号器23を用いて誤りを訂正し、CRC検出器24を用いてエラーを検出し、エラーを検出しなくなるまで、これらの処理を繰り返す、という手法が示されている。特許文献9も同様に、回線品質に応じて、64QAM、または、16QAMのいずれかの一次変調方式を切り替え、CRC検出結果に応じて正しい一次変調方式を選択する手法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2002-199033号公報
【文献】特許第5704160号公報
【文献】特許第4783217号公報
【文献】国際公開第2014/119413号
【文献】特許第3665315号公報
【文献】特許第3883562号公報
【文献】特開2002-27537号公報
【文献】国際公開第2015/145592号
【文献】特開2009-33315号公報
【文献】特開平1-181250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。上記した適応変調手法では、回線品質が大幅に劣化したときに通信ができなくなるという課題がある。例えば、特許文献4で示すような、変調方式固定の制御信号を用いて変調方式を通知する手法では、制御信号の変調方式として、BPSKやQPSKのような変調度の低い一次変調方式や、符号化率1/3のような符号化率の低い誤り訂正方式を用いている。しかしながら、このような変調方式を使ってもビット誤りが規定範囲に収まらないほど回線品質が劣化した場合、通信が行えなくなる。
【0019】
この場合、制御信号を、特許文献3に記述してあるような直接拡散等の変調方式、もしくは、特許文献10に記述してあるような繰り返し送信する変調方式を用いて、常に高利得化することによって、制御信号のビット誤りを規定範囲に収めることが可能になる。ところが、制御信号を常に高利得化すると、制御信号に必要なシンボル数が大幅に増加し、回線品質が良いときにも、伝送速度が低下するという問題がある。
【0020】
また、特許文献5にあるようなブラインド変調を用いる方法では、変調方式を切り替えながら順に主信号を復調し、CRC等のエラー検出手段を用いて、変調方式毎にエラーを検出するため、処理量が大きくなるという問題点がある。また、使用した変調方式以外の変調方式を用いて復調を行ったときに、エラー検出手段を用いて確実にエラーを検出する変調方式でないと、適切な変調方式を選択できないという問題点もある。
【0021】
また、特許文献9のような間引き処理を行う手法では、64QAMと16QAMのような、グレーコードを用いる変調度の高い変調方式間でのみ有効であり、上記のように、BPSKやQPSKのような変調方式を使ってもビット誤りが規定範囲に収まらない程回線品質が劣化するような用途には利用できない。
【0022】
本発明の目的は、回線品質が大幅に劣化したときにも通信することが可能で、かつ、回線品質が良好なときの伝送速度に影響を与えない、制御信号の高利得変調方式への切り替え手法の豊富化に貢献する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
第1の視点によれば、受信シンボルを合成するシンボル合成回路と、前記合成前後の受信シンボルをそれぞれ復調する復調回路と、前記復調後の受信データの誤り訂正を行う誤り訂正回路と、前記誤り訂正後の受信データから第1の誤り検出符号を検出する検出回路と、前記誤り訂正後の受信データから、任意の複数のビットを反転させた第2の誤り検出符号を検出する第2の検出回路と、前記受信データを選択する受信データ選択回路と、を含み、前記受信データ選択回路は、前記第1、第2の誤り検出符号の検出結果を用いて、送信時に使用した変調方式を判定し、前記判定した変調方式に対応する受信データを選択する無線通信装置が提供される。
【0024】
第2の視点によれば、受信シンボルを合成するシンボル合成回路と、前記合成前後の受信シンボルをそれぞれ復調する復調回路と、前記復調後の受信データの誤り訂正を行う誤り訂正回路と、前記誤り訂正後の受信データから第1の誤り検出符号を検出する検出回路と、前記誤り訂正後の受信データから、任意の複数のビットを反転させた第2の誤り検出符号を検出する第2の検出回路と、前記受信データを選択する受信データ選択回路と、を含む無線通信装置において、前記第1、第2の誤り検出符号の検出結果を用いて、送信時に使用した変調方式を判定し、前記判定した変調方式に対応する受信データを選択する、データ受信方法が提供される。本方法は、上記した各回路を備える特定の無線通信装置に結びつけられている。
【0025】
第3の視点によれば、受信シンボルを合成するシンボル合成回路と、前記合成前後の受信シンボルをそれぞれ復調する復調回路と、前記復調後の受信データの誤り訂正を行う誤り訂正回路と、前記誤り訂正後の受信データから第1の誤り検出符号を検出する検出回路と、前記誤り訂正後の受信データから、任意の複数のビットを反転させた第2の誤り検出符号を検出する第2の検出回路と、前記受信データを選択する受信データ選択回路と、を含む無線通信装置において、前記第1、第2の誤り検出符号の検出結果を用いて、送信時に使用した変調方式を判定する処理と、前記判定した変調方式に対応する受信データを選択する処理と、を前記無線通信装置に搭載されたコンピュータに実行させるプログラムが提供される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジトリーな)記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。また、このプログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インターフェースを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させることができる。また、このプログラムは、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インターフェースを介して、外部と交信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インターフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、回線品質が大幅に劣化したときにも通信することが可能で、かつ、回線品質が良好なときの伝送速度に影響を与えない、制御信号の高利得変調方式への切り替え手法を提供することができる。即ち、本発明は、背景技術に記載した無線通信装置を、回線品質に応じた受信データを選択しうるものへと変換するものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施形態の無線装置間の信号の流れを示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態における、受信データのスロット構成を示す図である。
図3】代表的な変調方式におけるビット誤り率10-4以下を実現する所要SN比と伝送速度の関係を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態における、通常時の制御信号、主信号の符号化、変調処理の流れを示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態における、無線回線の回線品質が大幅に劣化したときの制御信号、主信号の符号化、変調処理の流れを示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態における、通常時と回線品質劣化時の2段階で切り替えるときの制御信号、主信号の復調、復号化処理の処理フロー図である。
図7】本発明の第1の実施形態における、通常時と回線品質劣化時と更なる回線品質劣化時の3段階で切り替えるときの制御信号、主信号の復調、復号化処理の処理フロー図である。
図8】繰り返し送信された2つのシンボル列をシンボル合成したときと、繰り返し送信された4つのシンボル列をシンボル合成したときの受信利得を示す図である。
図9】本発明の第1の実施形態における、制御信号ビット列のビット反転誤り検出符号(反転CRC)の生成方法を示す図である。
図10】本発明の第1の実施形態の変調回路の構成例を示す図である。
図11】本発明の第1の実施形態の復調回路の構成例を示す図である。
図12】本発明の第1の実施形態の制御信号変調部の構成例を示す図である。
図13】本発明の第1の実施形態の主信号変調部の構成例を示す図である。
図14】本発明の第1の実施形態の制御信号復調部の構成例を示す図である。
図15】本発明の第1の実施形態の制御信号復調部の変形構成例を示す図である。
図16】本発明の第1の実施形態の主信号復調部の構成例を示す図である。
図17】本発明の第1の実施形態のビット反転CRC検査回路の構成例を示す図である。
図18】本発明の第1の実施形態のビット反転CRC検査回路の他の構成例を示す図である。
図19】本発明の第2の実施形態の説明として、OFDMシンボルへのシンボル列のマッピングの例を示す図である。
図20】サブキャリア単位のシンボル合成の処理の例を示す図である。
図21】OFDMシンボル単位のシンボル合成の処理の例を示す図である。
図22】OFDMシンボル単体単位の繰り返し送信の例を示す図である。
図23】参照信号繰り返し単位の繰り返し送信の例を示す図である。
図24】本発明の一実施形態の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インターフェースがあるが図示省略する。また、プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インターフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。また、コンピュータ装置は、通信インターフェースを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、交信可能に構成される。
【0029】
本発明は、その一実施形態において、図24に示すように、シンボル合成回路1404と、復調回路1401、1405と、誤り訂正回路1402、1406と、検出回路1403aと、第2の検出回路1407aと、受信データ選択回路1408と、を含む構成にて実現できる。
【0030】
具体的には、シンボル合成回路1404は、受信シンボルを合成する。復調回路1401、1405は、合成前後の受信シンボルをそれぞれ復調する。誤り訂正回路1402、1406は、復調回路1401、1405からそれぞれ出力された復調後の受信データの誤り訂正を行う。検出回路1403aは、誤り訂正後の受信データから第1の誤り検出符号を検出する。第2の検出回路1407aは、誤り訂正後の受信データから、任意の複数のビットを反転させた第2の誤り検出符号を検出する。そして、受信データ選択回路1408は、前記第1、第2の誤り検出符号の検出結果を用いて、送信時に使用した変調方式を判定し、前記判定した変調方式に対応する受信データを選択する。
【0031】
以上の構成により、回線品質が大幅に劣化したときにも通信することが可能で、かつ、回線品質が良好なときの伝送速度に影響を与えない、制御信号の高利得変調方式への切り替えが可能となる。その理由は、受信データ選択回路1408において、前記第1、第2の誤り検出符号の検出結果に応じて、回線品質が劣化しているか否かを判定し、受信データの選択を行う構成を採用したことにある。
【0032】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態において、適応変調を用いるときの無線通信装置間の信号の流れを示す。
【0033】
まずは、送信側の無線装置において、回線品質推定回路101で無線回線の回線品質を推定し、その推定結果に応じて変調方式を決定する。次に変調回路102を用いて、回線品質推定回路101で決定した変調方式を用いて、送信データを符号化、変調し、送信シンボルを生成する。
【0034】
生成された送信シンボルは周波数変換回路103によりRF信号に変換され送信アンテナを通って送信される。
【0035】
送信されたRF信号は無線伝搬路を通って受信側の無線装置に到達し、受信アンテナを通って、周波数変換回路104により周波数変換され受信シンボルになる。
【0036】
変調方式判定回路105では受信シンボルを用いて変調方式を判定し、その変調方式を用いて、復調回路106で受信シンボルを復調、復号化し、受信データを生成する。
【0037】
図2は、本実施形態における、受信データのスロット構成について示す。制御信号には、主信号の変調方式を示すデータが格納されている。受信側の無線通信装置は、まず、制御信号の受信シンボルを復調し、主信号の変調方式を得ることによって、制御信号の後に続く、変調方式可変の主信号を復調することができるようになる。
【0038】
図3は代表的な変調方式におけるビット誤り率10-4以下を実現する所要SN比と伝送速度の関係を示している。一般的に伝送速度が高い変調方式ほど、所要SN比が高い。ビット誤り率10-4とは、1×10-4、即ち、1万ビット毎に1ビットの誤りがある状態を示している。
【0039】
例えば、BPSKの所要SN比より無線回線のSN比が高く、QPSKの所要SN比より無線回線のSN比が低い回線では、主信号の変調方式としてBPSKを用いることでビット誤り率10-4以下が達成される。同様に、QPSKの所要SN比より無線回線のSN比が高く、16QAMの所要SN比より無線回線のSN比が低い回線では、主信号の変調方式としてQPSKを用いることでビット誤り率10-4以下が達成される。このように、無線回線のSN比に応じて、主信号の変調方式を切り替えることが行われている。
【0040】
制御信号には、主信号の変調方式を示すデータが格納されているため、通常は、BPSK等の所要SN比が低い一次変調方式を利用する。
【0041】
しかしながら、無線回線の回線品質が大幅に劣化し、無線回線のSN比がBPSKの所要SN比を下回ったときには、制御信号のビット誤りが頻出し、受信シンボルの復調が困難になる。
【0042】
本実施形態では、無線回線の回線品質が大幅に劣化したときには、制御信号および主信号を繰り返し送信し、受信側で、その繰り返し送信した制御信号および主信号のシンボルを平均化(シンボル合成)することにより利得を向上し復調を可能にする。
【0043】
図4に通常時の制御信号、主信号の符号化、変調処理の流れを示す。まず、送信側の変調回路102にて、制御信号ビット列、および、複数の主信号ビット列に対し、誤り検出符号(CRC)を付加する(図4のCRC付加)。
【0044】
次に、送信側の変調回路102にて、誤り検出符号を付加した制御信号ビット列、主信号ビット列に対し誤り訂正符号で符号化する(図4の誤り訂正符号化)。
【0045】
最後に、送信側の変調回路102にて、符号化後の制御信号ビット列、主信号ビット列を変調し、制御信号シンボル列、主信号シンボル列を生成する(図4の変調)。
【0046】
主信号の変調方式、誤り訂正符号の符号化率等のパラメータは制御信号に格納されている。制御信号の変調方式、誤り訂正符号の符号化率等のパラメータは固定的に設定されている(図2参照)。
【0047】
図5に無線回線の回線品質が大幅に劣化したときの制御信号、主信号の符号化、変調処理の流れを示す。この例では繰り返し数が2回の例を示している。
【0048】
まず、送信側の変調回路102にて、複数の主信号ビット列に、誤り検出符号(CRC)を付加し、制御信号ビット列には誤り検出符号をビット反転した符号(反転CRC)を付加する(図5のCRC付加)。
【0049】
次に、送信側の変調回路102にて、誤り検出符号、もしくは誤り検出符号をビット反転した符号を付加した制御信号ビット列、主信号ビット列を誤り訂正符号で符号化する(図5の誤り訂正符号化)。
【0050】
次に、送信側の変調回路102にて、符号化した制御信号、主信号を変調し、制御信号シンボル列、主信号シンボル列を生成する(図5の変調)。
【0051】
最後に、送信側の変調回路102にて、制御信号シンボル列、主信号シンボル列をコピーして二重化する(図5のコピー)。図5のケースにおいても、主信号の変調方式、誤り訂正符号の符号化率等のパラメータは制御信号に格納されている。同様に、制御信号の変調方式、誤り訂正符号の符号化率等のパラメータは通常時の制御信号に格納されている値と同じ値に固定的に設定されている。
【0052】
なお、制御信号、主信号の繰り返し数は任意の回数とすることが可能である。繰り返し回数を多くする方がより高い利得を得られる。
【0053】
図6に、受信側の無線通信装置の変調方式判定回路105及び復調回路106における、制御信号、主信号の復調、復号化処理の処理フロー図を示す。まず、受信側の無線通信装置は、最初の制御信号シンボルを復調し、制御信号ビット列を生成する(図6のステップ1)。
【0054】
次に、受信側の無線通信装置は、復調して得られた制御信号ビット列の誤り訂正を行う(図6のステップ2)。
【0055】
次に、受信側の無線通信装置は、誤り訂正を行った後の制御信号ビット列の誤り検出符号(CRC)の検査を行う(図6のステップ3)。前記検査の結果、誤り検出符号が一致したとき(図6のステップ3のOK)、受信側の無線通信装置は、通常時の主信号の復調処理を行う。一方、誤り検出符号が一致しないとき(図6のステップ3のNG)、受信側の無線通信装置は、回線品質劣化時の制御信号の復調処理を行う(図6の回線品質劣化時のフローへ)。
【0056】
通常時の主信号の復調処理では、まず、受信側の無線通信装置は、制御信号ビット列に格納されている主信号の変調方式を導出する(図6のステップ4)。
【0057】
次に、受信側の無線通信装置は、導出した変調方式を用いて主信号のシンボル列を復調する(図6のステップ5)。
【0058】
最後に、受信側の無線通信装置は、復調した主信号のビット列に対して誤り訂正、誤り検出を行う(図6のステップ6)。
【0059】
回線品質劣化時の制御信号の復調処理では、まず、受信側の無線通信装置は、繰り返し送信されている制御信号のシンボル列を平均化することにより、シンボル合成する(図6のステップ7)。
【0060】
次に、受信側の無線通信装置は、シンボル合成した制御信号のシンボル列を復調し、制御信号ビット列を生成する(図6のステップ8)。
【0061】
次に、受信側の無線通信装置は、復調して得られた制御信号ビット列の誤り訂正を行う(図6のステップ9)。
【0062】
次に、受信側の無線通信装置は、誤り訂正を行った後の制御信号ビット列の誤り検出符号(CRC)の検査を行う(図6のステップ10)。前記検査の結果で、誤り検出符号がビット反転した符号と一致したとき(図6のステップ10のOK)、受信側の無線通信装置は、回線品質劣化時の主信号の復調処理を行う。一方、誤り検出符号が一致しないとき(図6のステップ10のNG)、受信側の無線通信装置は、受信エラー処理を行う。
【0063】
回線品質劣化時の主信号の復調処理では、まず、受信側の無線通信装置は、制御信号ビット列に格納されている主信号の変調方式を導出する(図6のステップ11)。
【0064】
次に、受信側の無線通信装置は、繰り返し送信されている主信号のシンボル列をシンボル合成する(図6のステップ12)。
【0065】
次に、受信側の無線通信装置は、導出した変調方式を用いてシンボル合成した主信号のシンボル列を復調する(図6のステップ13)。
【0066】
最後に、受信側の無線通信装置は、復調した主信号のビット列に対して誤り訂正、誤り検出を行う(図6のステップ14)。
【0067】
なお、制御信号シンボル列のシンボル合成手法の切り替えは、通常時と回線品質劣化時の2段階だけでなく、さらに、段階を増やすことも可能である。その一例として、図7に、通常時と回線品質劣化時と更なる回線品質劣化時の3段階で切り替えるときの制御信号、主信号の復調、復号化処理の処理フロー図を示す。図6に示したフローとの大きな相違点は、ステップ10で誤り検出符号が一致しないときに直ちに受信エラーとするのではなく、ステップ15に遷移し、合成するシンボルの数を増やしたシンボル合成2を再度実施して制御信号ビット列の検査を試みる点である。
【0068】
このように、図7の例では、前述の2段階の切り替えに加え、シンボル合成する制御信号シンボル列の繰り返し数を増加させることで、更なる回線品質劣化時に高い受信利得を得られるようにしている。
【0069】
また、図7の例では、回線品質劣化時と更なる回線品質劣化時を見分けるために、ビット反転誤り検出符号のビット反転位置を異なる位置に設定することが好ましい。
【0070】
図8は、繰り返し送信された2つのシンボル列をシンボル合成したとき(2x combining)と、繰り返し送信された4つのシンボル列をシンボル合成したとき(4x combining)の受信利得を示している。
【0071】
このグラフでは、横軸にSN比を、縦軸にビット誤り率を示している。2つのシンボル列をシンボル合成したときは約3dBの利得が得られ、4つのシンボル列をシンボル合成したときは約6dBの利得が得られる。従って、図6のフローで回線品質劣化により受信エラーとなるようなケースでも、図7のフローでは、正しく受信できる場合がある。
【0072】
図9に、上記説明中における制御信号ビット列のビット反転誤り検出符号(反転CRC)の生成方法を示す。まず、送信側の変調回路102は、制御信号ビット列の誤り検出符号(CRC)を算出する。
【0073】
次に、変調回路102は、誤り検出符号(CRC)の全てのビット、もしくは、一部のビットを反転させ、ビット反転誤り検出符号(反転CRC)を生成する。
【0074】
復調時の、通常時と回線品質劣化時の復調手法の誤判定を防ぐために、反転するビット数はできるだけ多い方が良い。例えば、誤り検出符号のビット数が24ビットで、かつ、通常時と回線品質劣化時の2段階を見分けるときは、24ビット全てのビットを反転すると、誤り検出符号の検査時のハミング距離が最も大きくなるため、誤判定確率が最も小さくなる。
【0075】
一般に、誤り検出符号のビット数をC、判定する変調方式の種類をKとすると、2C/Kビットを反転させることにより、各段階相互間のハミング距離を最も大きくすることが可能になり、誤判定確率を最小にすることが可能になる。
【0076】
例えば、誤り検出符号のビット数が24ビットで、かつ、通常時と回線品質劣化時と更なる回線品質劣化時の3段階を見分けるときは、次のようになる。まず、回線品質劣化時にある16ビットを反転し、更なる回線品質劣化時に、回線品質劣化時に反転するビット8ビットと、反転しないビット8ビットの合計16ビットを反転するようにする。このようにすると、通常時と回線品質劣化時、回線品質劣化時と更なる回線品質劣化時、回線品質劣化時と更なる回線品質の劣化時の3段階相互間のハミング距離が全て16ビットとなり、誤判定確率が最も小さくなる。
【0077】
続いて、上記した無線通信装置の変調回路102及び復調回路106の構成例を説明する。図10は、変調回路102の構成例を示す。図10に示す変調回路102は、制御信号生成回路1001と、制御信号変調部1002と、主信号変調部1003と、送信シンボル列結合回路1004とを含む。外部の回線品質推定回路(図1の符号101)で生成された変調方式(情報)は制御信号生成回路1001に入力される。制御信号生成回路1001は、制御信号の中に変調方式情報を格納し、制御信号ビット列を生成する。制御信号生成回路1001で生成された制御信号ビット列は制御信号変調部1002で変調され、制御信号シンボル列が生成される。同時に、主信号ビット列が主信号変調部1003で変調され、主信号シンボル列が生成される。
【0078】
制御信号シンボル列、および、主信号シンボル列は送信シンボル列結合回路1004で結合され、送信シンボル列が生成される。
【0079】
図11は、変調方式判定回路105及び復調回路106として機能する回路の構成例を示す。図11に示す回路は、受信シンボル列選択回路1101と、制御信号復調部1102と、主信号変調方式判定回路1103と、主信号復調部1104とを含む。受信シンボル列から、受信シンボル列選択回路1101によって、制御信号シンボル列が選択される。制御信号シンボル列は、制御信号復調部1102により、復調、復号処理され、制御信号ビット列が生成される。
【0080】
次に、主信号変調方式判定回路1103により、制御信号ビット列中に格納されている主信号の変調方式情報が抽出される。
【0081】
主信号変調方式判定回路1103により得られた主信号の変調方式情報は受信シンボル列選択回路1101に転送される。受信シンボル列選択回路1101は、その主信号変調方式情報に基づいて、受信シンボル列から主信号シンボル列を選択する。
【0082】
最後に、選択された主信号シンボル列、および、抽出された主信号変調方式情報を用いて、主信号復調部1104で主信号の復調、復号処理が行われ、主信号ビット列が生成される。
【0083】
続いて、図10図11に表された主要な要素の詳細構成について説明する。図12に制御信号変調部1002の構成例を示す。制御信号変調部1002は、ビット反転CRC生成回路1201と、誤り訂正符号生成回路1202と、変調回路1203と、シンボルコピー回路1204とを含む。
【0084】
ビット反転CRC生成回路1201は、変調方式情報に基づいて、制御信号ビット列に対し、CRCもしくはビット反転CRCを付加する。制御信号変調方式が通常時用の変調方式であるときはCRCが付加され、回線品質劣化時用の変調方式であるときはビット反転CRCが付加される。
【0085】
次に、CRCもしくはビット反転CRCが付加された制御信号ビット列は、誤り訂正符号生成回路1202で誤り訂正符号化され、変調回路1203によって変調され、制御信号シンボル列が生成される。
【0086】
制御信号変調方式が通常時用の変調方式であるときはそのまま出力され、制御信号変調方式が、回線品質劣化時用の変調方式であるとき、シンボルコピー回路1204で制御信号シンボル列がコピーされ、複数の制御信号シンボル列が出力される。
【0087】
図13に主信号変調部1003の構成例を示す。主信号変調部1003は、CRC生成回路1301と、誤り訂正符号生成回路1302と、変調回路1303と、シンボルコピー回路1304とを含む。
【0088】
CRC生成回路1301は、主信号ビット列に対し、CRCを付加する。CRCが付加された主信号ビット列は、誤り訂正符号生成回路1302にて誤り訂正符号化され、変調回路1303で変調される。ここで、回線品質劣化時用の変調方式であるときはシンボルコピー回路1304で主信号シンボル列がコピーされる。
【0089】
上記誤り訂正符号生成回路1302及び変調回路1303における誤り訂正の符号化率、変調方式は、主信号変調部1003に与えられる主信号変調方式情報で切り替わる。
【0090】
図14に制御信号復調部1102の構成例を示す。制御信号復調部1102は、復調回路1401、1405と、誤り訂正回路1402、1406と、CRC検査回路1403と、シンボル合成回路1404と、ビット反転CRC検査回路1407と、受信データ選択回路1408と、を含む。
【0091】
制御信号復調部1102に入力された制御信号シンボル列は、復調回路1401で復調される。次に、誤り訂正回路1402で誤り訂正が行われ、CRC検査回路1403でビット誤りが検出される。CRC検査回路1403でビット誤りが検出されなかったときは、受信データ選択回路1408から制御信号ビット列として、誤り訂正後の制御信号ビット列が出力される。以上の流れが図6のステップ1~3に相当する。
【0092】
CRC検査回路1403でビット誤りが検出された場合、シンボル合成回路1404で、複数送信された制御信号シンボル列の合成が行われる。合成後の制御信号シンボル列は、復調回路1405で復調され、誤り訂正回路1406で誤り訂正が行われる。次に、ビット反転CRC検査回路1407で誤り検出符号(CRC)の検査を行い、誤り検出符号がビット反転した符号と一致したときは、受信データ選択回路1408から制御信号ビット列として、シンボル合成し、復調、誤り訂正後の制御信号ビット列が出力される。以上の流れが図6のステップ7~10に相当する。
【0093】
図15は、制御信号復調部1102の別の構成例を示す。この構成例では、通常時と、回線品質劣化時が2段階の計3段階の変調方式の切り替えを行う図7で説明したフローを実施可能である。
【0094】
まず、入力された制御信号シンボル列は、復調回路1501で復調され、誤り訂正回路1502で誤り訂正が行われ、CRC検査回路1503でビット誤りが検出される。CRC検査回路1503でビット誤りが検出されなかったときは、受信データ選択回路1512から制御信号ビット列として、誤り訂正後の制御信号ビット列が出力される。以上の流れが図7のステップ1~3に相当する。
【0095】
CRC検査回路1503でビット誤りが検出された場合、制御信号シンボル列は2倍シンボル合成回路1504で、2回送信された制御信号シンボル列のシンボル合成が行われる。2倍シンボル合成回路1504で合成された制御信号シンボル列は、復調回路1505で復調され、誤り訂正回路1506で誤り訂正が行われ、2倍シンボル合成用ビット反転CRC検査回路1507で誤り検出符号(CRC)の検査が行われる。検査の結果、誤りが検出されなかったときは、受信データ選択回路1512から制御信号ビット列として、2倍シンボル合成し、復調、誤り訂正後の制御信号ビット列が出力される。以上の流れが図7のステップ7~10に相当する。
【0096】
2倍シンボル合成用ビット反転CRC検査回路1507で誤りが検出されたときは、制御信号シンボル列は4倍シンボル合成回路1508で、4回送信された制御信号シンボル列のシンボル合成が行われる。4倍シンボル合成回路1508で合成された制御信号シンボル列は、復調回路1509で復調され、誤り訂正回路1510で誤り訂正が行われ、4倍シンボル合成用ビット反転CRC検査回路1511で誤り検出符号(CRC)の検査が行われる。検査の結果、誤りが検出されなかったときは、受信データ選択回路1512から制御信号ビット列として、4倍シンボル合成し、復調、誤り訂正後の制御信号ビット列が出力される。以上の流れが図7のステップ15~18に相当する。
【0097】
図16に主信号復調部1104の構成例を示す。主信号復調部1104は、シンボル合成回路1601と、復調回路1602と、誤り訂正回路1603と、CRC検査回路1604と、を含む。まず、主信号シンボル列はシンボル合成回路1601でシンボル合成処理される。
【0098】
ここで、シンボル合成回路1601では、主信号変調方式として主信号シンボル列が複数送信されたことが指示されているときは、主信号シンボル列をシンボル合成し、そうでないときはそのまま出力する。
【0099】
次に、復調回路1602で復調処理が行われ、誤り訂正回路1603で誤り訂正が行われる。最後にCRC検査回路1604で誤り検査が行われ、誤りが検出されなかったときは、主信号ビット列として出力される。以上の流れが図6のステップ4~6又はステップ11~14に相当する。図7の場合、以上の流れは、ステップ4~6又はステップ11~14又はステップ19~22で行われる。
【0100】
図17にビット反転CRC検査回路(図14の符号1407)の構成例を示す。図17のビット反転CRC検査回路は、CRC生成回路1701と、ビット反転回路1702と、CRC選択回路1703と、ビット結合回路1704とを含む。
【0101】
まず、CRC生成回路1701によって、制御信号ビット列の誤り検出符号(CRC)が生成される。次に、誤り検出符号はビット反転回路1702でビット反転される。制御信号変調方式が通常時のときは、CRC選択回路1703で誤り検出符号がそのまま出力される。一方、制御信号変調方式が回線劣化時のときはビット反転された誤り検出符号が出力される。
【0102】
最後にビット結合回路1704によって、制御信号ビット列とCRC選択回路1703から出力された誤り検出符号が結合され、CRC付加後の制御信号ビット列が出力される。
【0103】
図18にビット反転CRC検査回路の別の構成例を示す。図18のビット反転CRC検査回路は、CRC生成回路1801と、ビット反転値選択回路1802と、XOR回路1803と、ビット結合回路1804とを含む。この構成例では、通常時と、回線品質劣化時が2段階の計3段階のCRC付加後の制御信号ビット列を生成している。従って、図18のビット反転CRC検査回路は、図15の2倍シンボル合成用ビット反転CRC検査回路1507、4倍シンボル合成用ビット反転CRC検査回路1511に対応する構成を示している。
【0104】
まず、CRC生成回路1801によって、制御信号ビット列の24ビット誤り検出符号(CRC)が生成される。次に、制御信号変調方式に応じて、通常時用のビット反転値0x000000(16進数)か、回線品質劣化時用のビット反転値0x00FFFFか、更なる回線品質劣化時用のビット反転値0xFFFF00の3種類のビット反転値が、ビット反転値選択回路1802によって選択される。
【0105】
次に、XOR回路1803によって、CRC生成回路1801によって生成された24ビットCRCとビット反転値選択回路1802によって選択されたビット反転値がXOR演算され、ビット反転CRCが生成される。最後に、ビット結合回路1804によって、制御信号ビット列とビット反転CRCが結合され、CRC付加後の制御信号ビット列が生成される。
【0106】
ここで、通常時用のビット反転値0x000000(16進数)、回線品質劣化時用のビット反転値0x00FFFF、更なる回線品質劣化時用のビット反転値0xFFFF00の3種類のビット反転値としたのは、各段階間のビット反転値間のハミング距離が最大になるため、誤判定確率が最小になるためである。
【0107】
以上説明したとおり、本発明の第1の実施形態によれば、回線品質が大幅に劣化したときにも通信することが可能となる。その理由は、送信側で制御信号及び主信号を繰り返し送信し、受信側で、制御信号のシンボルを合成し、利得を向上できる構成を採用したことにある。また、本発明の第1の実施形態によれば、回線品質が良好なときの伝送速度に影響は生じない。その理由は、制御信号のビット列のCRC検査で回線品質が良好と判定した場合に、通常時の主信号の復調処理を行う構成を採用したことにある。
【0108】
換言すると、本発明は、受信データに含まれる制御信号のシンボル列を合成するとともに、前記シンボル列に含まれる誤り検出符号がビット反転されていることを検出することにより、そのシンボル列が複数回送信されていることを判定する変調方式判定回路105と、前記判定結果に基づいて受信データの復調を行う復調回路106と、を備えた無線通信装置としても把握できる。
【0109】
[第2の実施形態]
続いて、2次変調にOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を適用した本発明の第2の実施形態を説明する。OFDM方式は、周波数方向に配置したサブキャリアに送信するシンボル列をマッピングし、フーリエ逆変換でOFDMシンボルを生成して送信することにより、周波数利用効率を高め、シンボル間干渉を低減する手法である。
【0110】
図19にOFDM方式におけるシンボル列のマッピング手法の例を示す。縦軸はOFDMシンボルのサブキャリア番号を示し、横軸はOFDMシンボル番号を示している。通常、OFDM方式では、一定のサブキャリア番号、および、OFDMシンボル番号の組み合わせのパターンで参照信号(図中ではRef)がマッピングされている。参照信号は受信側で復調等に用いられる。通常、参照信号のマッピングは一定の周期で繰り返しマッピングされる。図19の例では6OFDMシンボル単位で繰り返しマッピングされている。
【0111】
シンボル列は、参照信号以外のサブキャリアにマッピングされる。図19の例では、最初にOFDMシンボル番号0、サブキャリア番号1のサブキャリアに、次に、OFDMシンボル番号1、サブキャリア番号1のサブキャリアに、次に、OFDMシンボル番号0、サブキャリア番号2のサブキャリアに、という様にシンボル列がマッピングされている。
【0112】
OFDM方式では、受信側でフーリエ変換処理を行うことによりサブキャリア信号に変換し、その後、復調処理を行う。通常、シンボル合成は繰り返し送信されたサブキャリア信号を加算することにより行われるが、OFDMシンボル単位で繰り返し送信することにより、フーリエ変換処理前のOFDMシンボルを合成することでシンボル合成を行えるようになる。
【0113】
図20にサブキャリア信号でシンボル合成を行うときの処理の流れを、図21にOFDM信号でシンボル合成を行うときの処理の流れを示す。
【0114】
図20のサブキャリア信号でシンボル合成を行うときは、各OFDM信号をフーリエ変換回路2001~2004でサブキャリア信号に変換し、そのサブキャリア信号をシンボル合成回路2005でシンボル合成を行う。合成したシンボルを復調回路2006で復調処理をし、誤り訂正回路2007で誤り訂正を行い、最後にCRC検査回路2008で誤り検出を行う。
【0115】
図21のOFDM信号でシンボル合成を行うときは、OFDM信号のままシンボル合成回路2101でシンボル合成を行う。そして、フーリエ変換回路2102でサブキャリア信号に変換し、復調回路2103で復調処理をし、誤り訂正回路2104で誤り訂正を行い、最後にCRC検査回路2105で誤り検出を行う。
【0116】
このようにOFDM信号でシンボル合成を行うときは、フーリエ変換処理を削減することができるため、処理量を削減することができる。
【0117】
図22にOFDMシンボル単体を連続して繰り返し送信するときの例を示し、図23に参照信号繰り返し単位でOFDMシンボルを繰り返し送信するときの例を示す。
【0118】
図22の例も、図23の例もOFDMシンボル単位での繰り返し送信を行うため、OFDMシンボル単位でのシンボル合成を行うことが可能である。
【0119】
先に説明したとおり、本発明では、受信側で復調を行い、誤り訂正を行い、CRC検査により、シンボルを繰り返しているかどうかを判定している。例えば図22の例では、OFDMシンボルを繰り返さないときと、繰り返すときでは参照信号の位置が変わる。このため、OFDMシンボルを繰り返し送信した時に、受信側でOFDMシンボルが繰り返し送信されていないとみなして復調処理を行うときに、正しく復調できず、回線品質劣化時におけるシンボルの繰り返し送信時かどうかの判定において誤判定確率が増加する。
【0120】
図23の例では、参照信号の位置は、シンボルを繰り返すときと繰り返さないときで同じ位置になるため、シンボルの繰り返し送信時かどうかの判定において誤判定確率が増加しないという利点がある。
【0121】
以上説明したとおり、本発明は、2次変調にOFDM方式を用いている場合にも適用することが可能であり、第1の実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。
【0122】
なお、図10図18図20図21等に示した無線通信装置の各部(各回路)は、その全てがハードウェアで構成されている必要はなく、無線通信装置に搭載されたプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することもできる。
【0123】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したネットワーク構成、各要素の構成、メッセージの表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。また、以下の説明において、「A及び/又はB」は、A及びBの少なくともいずれかという意味で用いる。
【0124】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0125】
101 回線品質推定回路
102 変調回路
103、104 周波数変換回路
105 変調方式判定回路
106 復調回路
1001 制御信号生成回路
1002 制御信号変調部
1003 主信号変調部
1004 送信シンボル列結合回路
1101 受信シンボル列選択回路
1102 制御信号復調部
1103 主信号変調方式判定回路
1104 主信号復調部
1201 ビット反転CRC生成回路
1202 誤り訂正符号生成回路
1203 変調回路
1204 シンボルコピー回路
1301 CRC生成回路
1302 誤り訂正符号生成回路
1303 変調回路
1304 シンボルコピー回路
1401 復調回路
1402 誤り訂正回路
1403 CRC検査回路
1403a 検出回路
1404 シンボル合成回路
1405 復調回路
1406 誤り訂正回路
1407 ビット反転CRC検査回路
1407a 第2の検出回路
1408 受信データ選択回路
1501 復調回路
1502 誤り訂正回路
1503 CRC検査回路
1504 2倍シンボル合成回路
1505 復調回路
1506 誤り訂正回路
1507 2倍シンボル合成用ビット反転CRC検査回路
1508 4倍シンボル合成回路
1509 復調回路
1510 誤り訂正回路
1511 4倍シンボル合成用ビット反転CRC検査回路
1512 受信データ選択回路
1601 シンボル合成回路
1602 復調回路
1603 誤り訂正回路
1604 CRC検査回路
1701 CRC生成回路
1702 ビット反転回路
1703 CRC選択回路
1704 ビット結合回路
1801 CRC生成回路
1802 ビット反転値選択回路
1803 XOR回路
1804 ビット結合回路
2001~2004 フーリエ変換回路
2005 シンボル合成回路
2006 復調回路
2007 誤り訂正回路
2008 CRC検査回路
2101 シンボル合成回路
2102 フーリエ変換回路
2103 復調回路
2104 誤り訂正回路
2105 CRC検査回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24