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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】スピーカー
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20230912BHJP
   G10K 15/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H04R1/02 103F
G10K15/00 K
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022511496
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(86)【国際出願番号】 JP2020015414
(87)【国際公開番号】W WO2021199448
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】508157370
【氏名又は名称】バルミューダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦 純也
(72)【発明者】
【氏名】高野 潤
(72)【発明者】
【氏名】笹田 圭史
(72)【発明者】
【氏名】小久保 周
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05886304(US,A)
【文献】特開2008-109237(JP,A)
【文献】特開平05-145983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0225510(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
G10K 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向きに配置されているスピーカー部から音を出力するスピーカーであって、
前記スピーカー部を含む第1のヘッド部と、
第1のベース部と、
前記第1のヘッド部と前記第1のベース部の間に配置された透過性を有する第1のハウジングと、
前記第1のハウジング内に配置された少なくとも1つのLEDユニットと、
外部からの音信号に基づいて前記LEDユニットのLED素子を駆動する制御部と、
を備え、
前記LEDユニットは、
第2のヘッド部と、
第2のベース部と、
前記第2のヘッド部と前記第2のベース部の間に配置された透過性を有する第2のハウジングと、を備え
前記スピーカーは、前記音信号に基づく前記LED素子の光の演出を前記第1、2のハウジングを介して前記スピーカーの側面から使用者に視認させる、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項2】
請求項1に記載のスピーカーにおいて、
前記第1のヘッド部は、前記第1のベース部に対して上側に間隔をあけて配置されており、
前記第1のベース部の上側表面は鏡面を含む、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスピーカーにおいて、
反射性の外表面を有する第1の連結手段をさらに備え、
前記第1のヘッド部と前記第1のベース部は、前記第1の連結手段により連結されている、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のスピーカーにおいて、
前記LEDユニットは、反射性の外表面を有する第2の連結手段をさらに備え、
前記第2のヘッド部と前記第2のベース部は、前記第2の連結手段により連結されている、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のスピーカーにおいて、
前記第2のベース部には、前記LED素子の1つとして第1のLED素子が取り付けられており、
前記第2のヘッド部には、前記LED素子の別の1つとして第2のLED素子が取り付けられている、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項6】
請求項5に記載のスピーカーにおいて、
前記第2のヘッド部は、前記第2のベース部に対して上側に間隔をあけて配置されており、
前記第2のベース部には、前記第1のLED素子が上向きの光軸を有するように取り付けられており、
前記第2のヘッド部には、前記第2のLED素子が下向きの光軸を有するように取り付けられている、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項7】
請求項5または6に記載のスピーカーにおいて、
前記制御部は、
前記音信号の第1の周波数領域を主成分とする信号に基づいた第1の駆動信号を、前記第1のLED素子に供給し、
前記音信号の前記第1の周波数領域より相対的に高い第2の周波数領域を主成分とする信号に基づいた第2の駆動信号を、前記第2のLED素子に供給する、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項8】
請求項7に記載のスピーカーにおいて、
前記制御部は、
使用者の操作に従って、前記第1のLED素子に供給する駆動信号を、前記第1の駆動信号から前記第2の駆動信号に切り換える、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項9】
請求項7または8に記載のスピーカーにおいて、
前記第1のベース部の上側の外周部には、第3のLED素子が上向きの光軸を有するように取り付けられており、
前記制御部は、
前記音信号の前記第1の周波数領域より相対的に低い第3の周波数領域を主成分とする信号に基づいた第3の駆動信号を、前記第3のLED素子に供給する、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項10】
請求項9に記載のスピーカーにおいて、
前記制御部は、
音信号の変遷と現在の音信号に基づいて、前記第3の駆動信号を補正する、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項11】
請求項1に記載のスピーカーにおいて、
信号生成手段をさらに備え、
前記制御部は、
前記外部から音信号が供給されない時、前記音信号の代わりに、前記信号生成手段により生成された信号に基づいて前記LED素子を駆動する、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項12】
請求項1に記載のスピーカーにおいて、
複数の前記LEDユニットとして、スピーカーの正面視で、中央側に配置された中央側LEDユニットと、前記中央側LEDユニットの左右それぞれに配置された左側LEDユニットおよび右側LEDユニットと、を備え、
前記制御部は、
前記音信号の左信号成分に基づいた駆動信号を、前記左側LEDユニットのLED素子に供給し、
前記音信号の右信号成分に基づいた駆動信号を、前記右側LEDユニットのLED素子に供給し、
前記左信号成分と前記右信号成分の混合信号成分に基づいた駆動信号を、前記中央側LEDユニットのLED素子に供給する、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項13】
請求項3に記載のスピーカーにおいて、
前記第1のヘッド部は、前記第1の連結手段の上端が取り付けられたフレームと、クッション材を含み、
前記フレームの上面には、複数のボスが間隔をあけて設けられており、
前記クッション材は、前記各ボスを避けて前記フレームの上面に配置されており、
前記スピーカー部の外周に設けられた固定部が前記フレームの各ボスの上に配置されて固定されると共に、前記スピーカー部の前記固定部の下面と前記フレームの上面の間の前記各ボスにより形成された空間が前記クッション材により塞がれている、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項14】
請求項1に記載のスピーカーにおいて、
前記LEDユニットのLED素子の1/2ビーム角は、120度以上である、
ことを特徴とするスピーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカーに関し、特に、スピーカーの筐体を透過性の部材を使用して透明にすることでその内部空間を光の演出等に利用するようにしたスピーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スピーカーユニット(スピーカ部とも言う)を上向きに設置し、音と連動する発光素子を備えたスピーカーが知られている。このような機器においては、使用者は音と光の両方を楽しむことができる。特許文献1には、スピーカーユニットを上向きに設置し、スピーカーユニットの上側に配置された天板の外周縁にLED素子を設けた発光機能付きスピーカーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-80254号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】http://www.shaba-audio.com/page368?_l=EN
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
音と連動する発光素子を備えるスピーカーでは、スピーカーの内部空間に発光素子を有するオブジェクトを配置する事例もでてきているが、このオブジェクトそのものが発光素子の光を遮蔽する遮蔽物になってしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、音と連動する発光素子を有するオブジェクトが内部空間に配置されたスピーカーであって、発光素子から発せられる光のオブジェクトによる遮蔽を抑制することができるスピーカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスピーカーは、上向きに配置されているスピーカー部から音を出力するスピーカーであって、前記スピーカー部を含む第1のヘッド部と、第1のベース部と、前記第1のヘッド部と前記第1のベース部の間に配置された透過性を有する第1のハウジングと、前記第1のハウジング内に配置された少なくとも1つのLEDユニットと、外部からの音信号に基づいて前記LEDユニットのLED素子を駆動する制御部と、を備え、前記LEDユニットは、第2のヘッド部と、第2のベース部と、前記第2のヘッド部と前記第2のベース部の間に配置された透過性を有する第2のハウジングと、を備え、前記スピーカーは、前記音信号に基づく前記LED素子の光の演出を前記第1、2のハウジングを介して前記スピーカーの側面から使用者に視認させる、ことを特徴とする。
【0008】
本発明のスピーカーにおいて、前記第1のヘッド部は、前記第1のベース部に対して上側に間隔をあけて配置されており、前記第1のベース部の上側表面は鏡面を含む、としてもよい。
【0009】
本発明のスピーカーにおいて、反射性の外表面を有する第1の連結手段をさらに備え、前記第1のヘッド部と前記第1のベース部は、前記第1の連結手段により連結されている、としてもよい。
【0010】
本発明のスピーカーにおいて、前記LEDユニットは、反射性の外表面を有する第2の連結手段をさらに備え、前記第2のヘッド部と前記第2のベース部は、前記第2の連結手段により連結されている、としてもよい。
【0011】
本発明のスピーカーにおいて、前記第2のベース部には、前記LED素子の1つとして第1のLED素子が取り付けられており、前記第2のヘッド部には、前記LED素子の別の1つとして第2のLED素子が取り付けられている、としてもよい。
【0012】
本発明のスピーカーにおいて、前記第2のヘッド部は、前記第2のベース部に対して上側に間隔をあけて配置されており、前記第2のベース部には、前記第1のLED素子が上向きの光軸を有するように取り付けられており、前記第2のヘッド部には、前記第2のLED素子が下向きの光軸を有するように取り付けられている、としてもよい。
【0013】
本発明のスピーカーにおいて、前記制御部は、前記音信号の第1の周波数領域を主成分とする信号に基づいた第1の駆動信号を、前記第1のLED素子に供給し、前記音信号の前記第1の周波数領域より相対的に高い第2の周波数領域を主成分とする信号に基づいた第2の駆動信号を、前記第2のLED素子に供給する、としてもよい。
【0014】
本発明のスピーカーにおいて、前記制御部は、使用者の操作に従って、前記第1のLED素子に供給する駆動信号を、前記第1の駆動信号から前記第2の駆動信号に切り換える、としてもよい。
【0015】
本発明のスピーカーにおいて、前記第1のベース部の上側の外周部には、第3のLED素子が上向きの光軸を有するように取り付けられており、前記制御部は、前記音信号の前記第1の周波数領域より相対的に低い第3の周波数領域を主成分とする信号に基づいた第3の駆動信号を、前記第3のLED素子に供給する、としてもよい。
【0016】
本発明のスピーカーにおいて、前記制御部は、音信号の変遷と現在の音信号に基づいて、前記第3の駆動信号を補正する、としてもよい。
【0017】
本発明のスピーカーにおいて、信号生成手段をさらに備え、前記制御部は、前記外部から音信号が供給されない時、前記音信号の代わりに、前記信号生成手段により生成された信号に基づいて前記LED素子を駆動する、としてもよい。
【0018】
本発明のスピーカーにおいて、複数の前記LEDユニットとして、スピーカーの正面視で、中央側に配置された中央側LEDユニットと、前記中央側LEDユニットの左右それぞれに配置された左側LEDユニットおよび右側LEDユニットと、を備え、前記制御部は、前記音信号の左信号成分に基づいた駆動信号を、前記左側LEDユニットのLED素子に供給し、前記音信号の右信号成分に基づいた駆動信号を、前記右側LEDユニットのLED素子に供給し、前記左信号成分と前記右信号成分の混合信号成分に基づいた駆動信号を、前記中央側LEDユニットのLED素子に供給する、としてもよい。
【0019】
本発明のスピーカーにおいて、前記第1のヘッド部は、前記第1の連結手段の上端が取り付けられたフレームと、クッション材を含み、前記フレームの上面には、複数のボスが間隔をあけて設けられており、前記クッション材は、前記各ボスを避けて前記フレームの上面に配置されており、前記スピーカー部の外周に設けられた固定部が前記フレームの各ボスの上に配置されて固定されると共に、前記スピーカー部の前記固定部の下面と前記フレームの上面の間の前記各ボスにより形成された空間が前記クッション材により塞がれている、としてもよい。
【0020】
本発明のスピーカーにおいて、前記LEDユニットのLED素子の1/2ビーム角は、120度以上である、としてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、透過性を有する第1のハウジングの内部空間に、透過性を有する第2のハウジングを含むLEDユニット(オブジェクト)が配置されているため、LEDユニットのLED素子から発せられた、音と連動する光を、LEDユニット及び第1のハウジングにより遮蔽されること無く、或いは、それらによる遮蔽を抑えて、効率的に、使用者の目に届かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】スピーカーの正面側斜視図である。
図2】スピーカーの背面側斜視図である。
図3】スピーカーの正面図である。
図4】スピーカーの背面図である。
図5】スピーカーの左側面図である。
図6】スピーカーの右側面図である。
図7】スピーカーの平面図である。
図8】スピーカーの底面図である。
図9】ステージ上の各部材の配置を概略的に示す図である。
図10】スピーカーから使用者の目の届く光を説明するための図である。
図11】第1のヘッド部の一部の正面図である。
図12】第1のヘッド部の一部の斜視図である。
図13】第1のヘッド部の一部の分解斜視図である。
図14】スピーカーの電気系の概略ブロック図である。
図15】第1のモードにおける制御部の処理を説明するための図である。
図16】第2のモードにおける制御部の処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下で述べる構成は、説明のための例示であって、スピーカーを構成する各部材の仕様等に合わせて適宜変更が可能である。全ての図面において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
図1~8は、本発明の実施形態におけるスピーカー10の外観図である。図1は正面側斜視図であり、図2は背面側斜視図であり、図3は正面図であり、図4は背面図であり、図5は左側面図であり、図6は右側面図であり、図7は平面図であり、図8は底面図である。スピーカー10は、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューター(PC)等の端末から、音楽信号、音声信号(以下、音信号とも言う)を無線で受信して、音信号に基づいてスピーカー部16から音を発生させると共に、音に連動させて光を発する装置である。
【0025】
スピーカー10は、密閉型スピーカーであり、1つのスピーカー部のみを有する所謂モノラルスピーカーであるが、以下で説明するように、音信号の左信号成分、右信号成分のそれぞれに応じて2つのLED素子を別々に駆動させることにより、視覚上はステレオ感を味わえる機能を有している。
【0026】
スピーカー10は、略円柱状を有しており、メインユニット12と、メインユニット12内に配置された3つのLEDユニット14C、14L、14Rを備える。メインユニット12は、例えば実演者が登場する舞台、劇場、ライブハウス等を想起させ、3つのLEDユニット14C、14L、14Rは、例えばステージ上に佇む3人の実演者等を想起させる。
【0027】
メインユニット12は、バッテリ、制御部等を内部に含む第1のベース部21(ベースアッセイとも言う)と、第1のベース部21の上側に配置され、上向きのスピーカー部16を含む第1のヘッド部22(ヘッドアッセイとも言う)と、第1のベース部21と第1のヘッド部22の間に配置された第1のハウジング24を備える。図1、2、7には、スピーカー部16の上に配置された網状部材が網穴を省略した状態で示されている。スピーカー部16は、網状部材の下に、図12に示すように音の出力方向が上向きになるように配置されている。スピーカー部16は、コーンを駆動するスピーカードライバーを含んで構成される。図1、2に示すように、第1のハウジング24は、円筒状を有する透明のカバー(クリアカバー)であり、透過性を重視してアクリル樹脂を採用している。
【0028】
第1のベース部21は、略円柱状を有し、上部の円柱半径を小さくすることで上部が第1のハウジング24内に入り込んで、第1のハウジング24の下側開口を塞いでいる。第1のベース部21の上面は、ステージ34を構成しており、図3、4に示すように、ステージ34には、3本のLEDユニット14C、14L、14Rが立ち上がっている。第1のベース部21の下部側面であってスピーカー背面側には、図4に示すように、電源ボタン160、音量切替ボタン162、モード切替ボタン164からなるボタン群30と、第1のベース部21内に配置されたバッテリを充電するための充電器の端子が接続されるコネクタ部32が設けられている。
【0029】
第1のヘッド部22も、略円柱状を有し、下部の円柱半径を小さくすることで下部が第1のハウジング24内に入り込んで、第1のハウジング24の上側開口を塞いでいる。第1のヘッド部22は、スピーカー部16の下側外周を覆うカバー60を含んでいる。
【0030】
第1のベース部21と第1のヘッド部22は、第1の連結手段としての2つのピラー26により連結されている。ピラー26は、パイプ状を有し、内部には第1のベース部21内にある制御部と第1のヘッド部22のスピーカー部16の間を電気的につなぐ配線が配置されている。ピラー26は、ステンレス製であり、外表面にニッケルメッキとクリアカラー塗装を施すことにより、反射性を有している。
【0031】
3つのLEDユニット14C、14L、14Rは、いずれも同様の構造を有している。以降、3つのLEDユニット14C、14L、14Rを区別する必要が無い時は、各LEDユニット14C、14L、14RをLEDユニット14と言う。LEDユニット14は、第2のベース部41と、第2のベース部41の上側に配置された第2のヘッド部42と、第2のベース部41と第2のヘッド部42の間に配置された第2のハウジング44を備える。第2のハウジング44は、第1のハウジング24と同様に、円筒状を有する透明のカバー(クリアカバー)であり、透過性を重視してアクリル樹脂を採用している。
【0032】
第2のベース部41は、略円柱状を有し、上部の円柱半径を小さくすることで上部が第2のハウジング44内に入り込んで、第2のハウジング44の下側開口を塞いでいる。第2のベース部41の外表面は、メッキ加工が施されて反射性を有している。第2のベース部41の上部中央には、下側LED素子51(第1のLED素子とも言う)が上向きの光軸を有するように取り付けられている。第2のベース部41と第1のベース部21のそれぞれの内側には貫通穴(不図示)が設けられており、そこに配線が通されて、その配線により第1のLED素子51と第1のベース部21内の制御部が電気的に接続されている。
【0033】
第2のヘッド部42も、略円柱状を有し、下部の円柱半径を小さくすることで下部が第2のハウジング44内に入り込んで、第2のハウジング44の上側開口を塞いでいる。第2のヘッド部42の外表面も、メッキ加工が施されて反射性を有している。第2のヘッド部42の下部中央には、上側LED素子52(第2のLED素子とも言う)が下向きの光軸を有するように取り付けられている。下側LED素子51と上側LED素子52は対向した配置となっている。
【0034】
第2のベース部41と第2のヘッド部42は、第2の連結手段としての2つのピラー46により連結されている。ピラー46は、パイプ状を有し、内部には上側LED素子52と第1のベース部21内の制御部を電気的につなぐ配線が配置されている。この配線は、第2のベース部41と第1のベース部21のそれぞれの内部に設けられた上記貫通穴に通されている。ピラー46は、ピラー26と同様に、ステンレス製であり、外表面にニッケルメッキとクリアカラー塗装を施すことにより、反射性を有している。
【0035】
各LEDユニット14C、14L、14Rの下側LED素子51と上側LED素子52は、制御部により駆動されることで、スピーカー部16から出力される音に連動して光を発する。
【0036】
図9は、第1のベース部21のステージ34上の各部材の配置を概略的に示す図である。スピーカー10は、ボタン群30がある側とは反対側を、使用者100が見る側(正面側)として使用される。ただし、これは代表的な使用形態であり、使用者100のスピーカー10の見る側が限定されるわけではない。
【0037】
スピーカー10の上面視で、LEDユニット14C、14L、14Rは、それらの各中心を結ぶ線が正三角形を形成するように配置されている。また、スピーカー10の正面視(図3参照)で、1つのLEDユニット14Cがスピーカー幅方向(図3の左右方向)の中央に配置されており、そのLEDユニット14Cのスピーカー幅方向の両側のそれぞれにLEDユニット14L、LEDユニット14Rが配置されている。以下、LEDユニット14C、LEDユニット14L、およびLEDユニット14Rを、それぞれ、中央側LEDユニット14C、左側LEDユニット14L、および右側LEDユニット14Rとも言う。
【0038】
図1、2、9に示すように、ステージ34の中央側であって、3つのLEDユニット14C、14L、14Rの第2のベース部41側には円形の反射板36が配置されている。反射板36は、ABS樹脂製であり、上表面にアルミを蒸着させた後、クリアカラー塗装を施すことにより鏡面が形成されている。
【0039】
図9に示すように、ステージ34の外周部には、複数のステージLED素子53(第3のLED素子とも言う)が上向きの光軸を有するように設けられている。ステージLED素子53は、第1のベース部21の上側の外周部に取り付けられている。ステージLED素子53は、2つのLED素子を1組として、3組のLED素子組のそれぞれが周方向に間隔をあけて配置されており、3つのLEDユニット14C、14L、14Rのそれぞれの間に位置するように配置されている。ステージLED素子53は、第1のベース部21内の制御部と配線により電気的に接続されており、制御部により駆動されることで、スピーカー部16から出力される音に連動して光を発する。
【0040】
次に、LEDユニット14の下側、上側LED素子51、52の照射角について説明する。下側、上側LED素子51、52は、1/2ビーム角が130度の広照射角の素子である。図10には、LEDユニットの下側LED素子51の1/2ビーム角が描かれている。下側LED素子51は、上向きの光軸を有するから、真上方向から65度、倒した方向までの範囲において、少なくとも、下側LED素子51の直上の明るさの半分の明るさを得ることができる。
【0041】
図10に示すように、ローテーブル150の上にスピーカー10を置いて、ローテーブル150の傍らのソファ152に使用者100が座る場合、使用者100の目の位置は、下側LED素子51の真上方向から60度~65度程度、倒した方向にあることが想定される。そのため、使用者100は下側LED素子51から十分な明るさを得ることできる。一般的に、人間は、明るさが半分以下にならなければ、暗くなったことを認識しない、または認識し難いので、使用者は下側LED素子51の直上と似たような明るさを感じることができる。
【0042】
また、下側LED素子51または上側LED素子の真横(水平方向、図10の左右方向)であっても、下側LED素子51または上側LED素子の最大輝度の20%程度の明るさは確保できるので、十分な光量を使用者100に提供することができる。なお、本実施形態では、下側、上側LED素子51、52として1/2ビーム角が130度の素子を採用したが、1/2ビーム角が120度以上の素子であればよい。
【0043】
また、スピーカー10に搭載された、LEDユニット14の下側、上側LED素子51、52およびステージLED素子53は、光軸が上向き、または、下向きであり、光軸が水平方向に向いていないので、使用者100がまぶしさを感じることを抑制することもできる。使用者100は、最適な明るさでスピーカー10の音に連動した光の演出を楽しむことができる。
【0044】
次に、第1のヘッド部22のスピーカー部16の固定構造について説明する。本実施形態のスピーカー10は、第1のベース部21と第1のヘッド部22の間の空間を光の演出のための空間としているので、従来の木製スピーカーのような外から見えない空間が使用者に見えている。従来のスピーカーであれば、スピーカー部16を固定するネジが、スピーカーボックス内に飛び出しても、見えない空間なので問題にはならないが、本実施形態のスピーカー10では、ネジが飛び出すと見えてしまう問題がある。そこで、本実施形態のスピーカー10は、スピーカー部16の固定構造に特徴的な構造を採用して、その問題を解決している。
【0045】
図11、12および13は、それぞれ、第1のヘッド部22の一部の正面図、斜視図、および分解斜視図である。図11、12および13には、2つのピラー26も合わせて示されている。図13に示すように、第1のヘッド部22は、上から順番に、スピーカー部16を上から押圧する押圧プレート70、環状の上部クッション72、スピーカー部16、環状の上側クッションフレーム74(クッション材とも言う)、環状のフレーム76、環状の下側クッションフレーム78、およびキャビネット80を備える。フレーム76には、2つのピラー26の上端が取り付けられている。
【0046】
スピーカー部16は、上側周縁が外方に張り出した固定部19を有する。スピーカー部16の固定部19には、複数の孔が設けられており、ネジが各孔に挿入されてフレーム76に螺合されることにより、スピーカー部16がフレーム76に固定される。
【0047】
ここで、スピーカー部16は、フレーム76に直接、ネジ止めされるのではなく、フレーム76にボス82を設け、ボス82にネジ止めされるようにしている。フレーム76の上面には、複数の筒状のボス82が、スピーカー部16の固定部19のネジ孔の位置に対応するように、間隔をあけて設けられている。スピーカー部16の固定部19は、フレーム76のボス82の上に載せられて、スピーカー部16の固定部19の各ネジが、フレーム76の各ボス82の孔に螺合される。このような固定構造を採用することで、スピーカー部16をフレーム76に強く固定することができると共に、ネジが第1のヘッド部22の下側から突出して、使用者に見えてしまうことを防ぐことができる。
【0048】
一方、本実施形態のスピーカー10は密閉式であり、フレーム76にボス82を設けると、ボス82が無い部分では、スピーカー部16の固定部19の下面と、フレーム76の上面との間に空間ができて密閉を保てなくなってしまう。それに対処するため、本実施形態のスピーカー10は、各ボス82を避けて、フレーム76の上面に配置される上側クッションフレーム74(クッション材)を備えている。上側クッションフレーム74は、スピーカー部16の固定部19の下面と、フレーム76の上面との間の、ボス82により形成された空間を塞ぐ。これにより、スピーカー10の密閉性を確保することができる。さらに、本実施形態では、フレーム76の下側に、下側クッションフレーム78を設けると共に、スピーカー部16の上側に、上部クッション72を設けて、スピーカー10の密閉性を高くしている。
【0049】
次に、スピーカー10の電気系について説明する。図14は、スピーカー10の電気系の概略ブロック図である。スピーカー10は、制御部90、受信部96、およびバッテリ98を備える。これらは第1のベース部21の内部に配置されている。
【0050】
制御部90は、プロセッサ92とメモリ94を含む。プロセッサ92は、メモリ94に格納されたプログラムに従って動作し、スピーカー部16、各LEDユニット14の下側、上側LED素子51、52、およびステージLED素子53を制御する。メモリ94は、例えば、半導体素子からなるメモリ(RAM、ROM、フラッシュメモリ等)であり、プログラム、各種データを格納する。
【0051】
受信部96は、スマートフォン等の端末102から音信号を順次受信し、制御部90に送る。なお、端末102は、ブルートゥース(登録商標)等の規格の無線通信を用いて、音信号を、スピーカー10の受信部96に送信する。
【0052】
バッテリ98は、スピーカー10の中の電源を必要とする各部に電力を供給する。バッテリ98は、二次電池であり、第1のベース部21の側面に設けられたコネクタ部32(図2、4参照)に充電器の端子が接続されて電力供給されることにより充電される。
【0053】
制御部90には、第1のベース部21の側面に設けられたボタン群30の各ボタンの操作情報が入力される。ボタン群30は、図4に示すように、電源マークが付された電源ボタン160、「+」と「-」のマークが付された2つの音量切替ボタン162、星マークが付されたモード切替ボタン164を含む。制御部90は、電源ボタン160の操作情報に従ってバッテリ98からスピーカー10の各部への電力の供給と無供給を制御する。また、制御部90は、音量切替ボタン162の操作情報に従ってスピーカー部16の音量を制御する。また、制御部90は、モード切替ボタン164の操作情報に従ってLED素子の光演出モード(後述)を制御する。
【0054】
制御部90は、不図示のパワーアンプを含み、制御部90のプロセッサ92は、受信部96から順次送られてくる音信号に基づいて、パワーアンプを介してスピーカー部16を駆動する。また、制御部90は、不図示のLEDドライバを含み、制御部90のプロセッサ92は、音信号に基づいて、LEDドライバを介して各LED素子を駆動する。
【0055】
次に、制御部90による各LED素子の制御について詳細に説明する。スピーカー10は、同じ音信号であっても、LED素子の光りかたが変化するように複数のモードを有している。これが、光演出モードであり、本実施形態では第1のモードと第2のモードがある。モード切替ボタン164を押すたびに、第1のモードと第2のモードが切り替わる仕様である。図15は、第1のモードにおける制御部90の処理を概略的に示す図であり、図16は、第2のモードにおける制御部90の処理を概略的に示す図である。まずは、図15を参照しながら、第1のモードについて説明する。
【0056】
図15に示すように、制御部90のプロセッサ92は、プログラムに従って動作することにより、信号成分抽出部110、オートゲインコントロール部112(以下、AGC部112と言う)、フィルタ114、積分手段116、およびダイナミックレンジコントロール部118(以下、DRC部118と言う)として機能する。また、プロセッサ92は、端末102から音信号が供給されない時に各LED素子を駆動する駆動信号を生成するための内部信号発生部124(信号生成手段)としても機能する。図15には、各LED素子に供給する信号に対応させて、複数のAGC部112、フィルタ114、積分手段116、およびDRC部118が示されている。
【0057】
まず、音信号は、信号成分抽出部110に入力されて、音信号から左信号成分(L信号成分)、右信号成分(R信号成分)、左信号成分と右信号成分の混合信号成分(L+R信号成分)が抽出される。
【0058】
L信号成分、R信号成分、およびL+R信号成分は、それぞれ、AGC部112に入力されて、各信号成分のゲインが調整された信号(自動利得制御された信号)が生成され、AGC部112から出力される。
【0059】
そして、AGC部112の各出力信号は、フィルタ114に入力されて帯域制限がなされる。具体的には、ゲイン調整されたL+R信号成分は、フィルタ1(カットオフ周波数が例えば100~200Hzの範囲内のいずれかに設定されたローパスフィルタ)で低域(第1の周波数領域)成分が抽出されると共に、フィルタ2(カットオフ周波数が例えば200~400Hzの範囲内のいずれかに設定されたハイパスフィルタ)で中高域(第2の周波数領域)成分が抽出される。また、ゲイン調整されたL+R信号成分は、フィルタ1よりも低い周波数帯域(第3の周波数領域)の成分を抽出するフィルタ3(カットオフ周波数が例えば100Hz以下に設定されたローパスフィルタ)で、例えば打楽器(バスドラムなど)の打撃音に対応する成分が抽出される。ゲイン調整されたL信号成分、R信号成分は、それぞれフィルタ2L、2R(カットオフ周波数が例えば200~400Hzの範囲内のいずれかに設定されたハイパスフィルタ)で中高域成分(第2の周波数領域)が抽出される。
【0060】
各フィルタで濾波された信号成分は、積分手段116で積分され、DRC部118でダイナミックレンジが調整されて、各LED素子の駆動信号の基礎信号となる。各基礎信号が、各LED素子に対応したLEDドライバに入力されて駆動信号に変換され、各LED素子に供給される。
【0061】
本実施形態では、フィルタ1を介したL+R信号成分の低域(第1の周波数領域)成分から生成された駆動信号(第1の駆動信号)は各LEDユニットの下側LED素子51C、51L、51Rに供給される。これにより、スピーカー部16から流れる楽曲の中の低音(ベース音、ドラム音等)に連動して、各LEDユニットの下側LED素子51C、51L、51Rが光を発することになる。
【0062】
また、フィルタ2を介したL+R信号成分の中高域(第2の周波数領域)成分から生成された駆動信号(第2の駆動信号)は、中央側LEDユニットの上側LED素子52Cに供給され、フィルタ2Lを介したL信号成分の中高域(第2の周波数領域)成分から生成された駆動信号(第2の駆動信号)は、左側LEDユニットの上側LED素子52Lに供給され、フィルタ2Rを介したR信号成分の中高域(第2の周波数領域)成分から生成された駆動信号(第2の駆動信号)は、右側LEDユニットの上側LED素子52Rに供給される。これにより、スピーカー部16から流れる楽曲の中の中高音(ボーカルの声、ギター音等)に連動して、各LEDユニットの上側LED素子52C、52L、52Rが光を発することになる。さらに、左側LEDユニットの上側LED素子52L、右側LEDユニットの上側LED素子52Rのそれぞれは、L信号成分、R信号成分のそれぞれに対応した光を発することになり、視覚的にはステレオ感が表れることになる。なお、L信号成分に対しては所定比率のR信号成分を加えるようにし、R信号成分に対しては所定比率のL信号成分を加えるようにして、上側LED素子52L、52Rの消灯が少なくなるようにしてもよい。
【0063】
また、フィルタ3を介したL+R信号成分の低域(第3の周波数領域)成分から生成された駆動信号(第3の駆動信号)はステージLED素子53に供給される。これにより、スピーカー部16から流れる楽曲の中のより低い低音(ドラム音等)に連動して、ステージLED素子53が光を発することになる。
【0064】
このように、異なる音信号成分(L信号成分、R信号成分、L+R信号成分)と、異なる周波数成分とを組み合わせて生成された多様な駆動信号が、上下、左右、前後方向に立体的に配置された各LED素子に供給されるので、音に連動した複雑な発光(光演出)を実現することができる。
【0065】
さらに、本実施形態では、プロセッサ92が、プログラムに従って動作することにより、AGC部112でゲイン調整される前のL+R信号成分に基づいてLED素子の駆動信号を補正する補正手段としても機能する。補正手段は、L+R信号成分の変遷と現在のL+R信号成分に基づいて、いわゆる楽曲のサビ部分(もりあがり部分)を特定し、サビ部分ではステージLED素子53の光量が所定量増加するように、ステージLED素子53の駆動信号(第3の駆動信号)を補正する。これにより、曲のもりあがり部分では、楽曲と共に光の演出により、使用者の高揚感をさらに高めることができる。
【0066】
また、本実施形態では、内部信号発生部124により、スマートフォン等の端末102から音信号が供給されない時(スピーカー部16から音を発しない無音時)でも、所定個のLED素子が発光するようにする。例えば、音信号の無入力時に、全てのLED素子が発光するようにしてもよいし、ステージLED素子53のみを発光するようにしてもよい。
【0067】
内部信号発生部124は、ホワイトノイズに基づいた信号を発生し、この信号は、フィルタ4で高域成分が弱められ、積分手段116、DRC部118で処理されて、LED素子の駆動信号に使用される。この駆動信号がLED素子に供給されることで、所謂1/f揺らぎを実現している(LED素子が揺らぐような光を発することになる)。このような発光制御を加えることにより、音信号の無入力時であっても飽きのこない光の演出が実現される。なお、本実施形態では、プロセッサ92は、スピーカー部16から流れる音楽が終わった際には、各LED素子の光を徐々に暗く(フェードアウト)し、その後、内部信号発生部124により各LED素子の光を徐々に明るく(フェードイン)するように、各LED素子の駆動信号を調整する。
【0068】
なお、以上の説明では、L、R信号成分のそれぞれを左側LEDユニットの上側LED素子52L、右側LEDユニットの上側LED素子52Rに供給したが、L+R信号成分を、それらのLED素子52L、52Rに供給してもよい。
【0069】
次に、図16を参照しながら、第2のモードについて説明する。第2のモードでは、信号成分抽出部110において、音信号からL+R信号成分のみが抽出される。L+R信号成分は、AGC部112に入力されてゲインが調整される。ゲイン調整されたL+R信号は、フィルタ1(ローパスフィルタ)で低域(第1の周波数領域)成分が抽出される共に、フィルタ2(ハイパスフィルタ)で中高域(第2の周波数領域)成分が抽出される。フィルタ1を介したL+R信号成分の低域成分は、積分手段116、DRC部118を介して、ステージLED素子53の駆動信号の基礎信号となる。フィルタ2を介したL+R信号成分の中高域成分は、積分手段116、DRC部118を介して、各LEDユニットの下側LED素子51C、51L、51Rと上側LED素子52C、52L、52Rの駆動信号の基礎信号となる。各基礎信号が、各LED素子に対応したLEDドライバに入力されて駆動信号に変換されて、各LED素子に供給される。なお、無音時の内部信号発生部124を用いたLED素子の駆動については、第1のモードと同じである。
【0070】
このように、使用者のモード切替ボタン164の操作に従って、各LED素子の駆動信号が切り換わることになる。複数のモードを備えることにより、使用者の好みに応じた光演出を提供することが可能になる。
【0071】
次に、以上説明した本実施形態のスピーカー10の作用効果について説明する。
【0072】
本実施形態のスピーカー10によれば、第1のベース部21、第1のヘッド部22、第1のハウジング24を備えるメインユニット12と、第2のベース部41、第2のヘッド部42、第2のハウジング44を備える各LEDユニット14が、同様の形状を有しているので、スピーカー10は統一感がとれた高い審美性を得ることができる。音楽信号に基づいて各LEDユニット14の下側、上側LED素子51、52から発せられた光は、第1、2のハウジング24、44により若干、乱反射された状態で、透明感があり統一感がとれたスピーカーデザインと共に、使用者100の目に届くので、使用者100は心地良さを感じることができる。
【0073】
また、本実施形態のスピーカー10によれば、メインユニット12の透明な第1のハウジング24の中に、透明な第2のハウジング44を持つ各LEDユニット14(オブジェクト)を設けたので、各LEDユニット14の下側、上側LED素子51、52およびステージLED素子53から発する光を妨げるような遮蔽物が非常に少なく、光を効率的に使用することができる。各LED素子は、光軸が上方向または下方向に向いており、使用者の方向(水平方向)には向いていないが、上述したように、各LEDユニット14の下側、上側LED素子51、52は、広い照射角を有しているので、使用者は十分な明るさを感じることができる。また、ピラー26、46の外表面や、各LEDユニット14の第2のベース部41、第2のヘッド部42の外表面が反射性を有しており、ステージ34が鏡面を有しているので、多量の反射光を得ることができ、最適な明るさを確保することができる。
【0074】
本実施形態のスピーカー10は、全く新しいエンターテイメントを提供する。例えばメインユニット12は、実演者が登場する舞台、劇場、ライブハウス等を想起させ、LEDユニット14は、実演者そのものを想起させる。メインユニット12は、舞台ユニット、劇場ユニットとも言え、LEDユニット14は実演者ユニットとも言える。舞台のステージに上がった3人の実演者が、ステージの上に佇むように、第1のベース部21には3本の実演者ユニット14が立ち上がる。
【0075】
スピーカー10は、スピーカー10を置く環境、スピーカー10から流す音楽等によって、様々な表情を見せる。例えば、少し暗い部屋の中にスピーカー10を置く。そして、使用者がロックやポップミュージックを聴くとき、内部信号発生部124により実現される、音楽が流れ出す前(無入力時)のLED素子の揺らぐ光は、これから始まるライブに対する高揚感を高めてくれる。音楽が流れ出すと、ステージLED素子53が強い光で実演者ユニット14を照らし出し、3本の実演者ユニット14を使用者の前に登場させ、使用者はライブの興奮に一気に包まれる。
【0076】
ステージLED素子53は、例えば打楽器の音に連動するように光を発し、実演者ユニット14の横顔(第2のハウジング44)を照らす。実演者ユニット14の下側LED素子51は、例えば演奏者が足で拍をとるように、ベース、ドラムバスの音に連動する光を発し、実演者ユニット14の上側LED素子52は、例えばギター音、ボーカルの声に連動するように光を発する。第1のモードでは、左、右の実演者ユニット14L、14Rが、例えば異なる演奏をするように光を発し、左右で別々の実演者がいるような演出を視認させてくれる。楽曲のもりあがり部分になり、補正手段120によりステージLED素子53からさらに強い光か発せられる時、使用者は、楽曲と共に視認される強い光により心地よい躍動感に包まれる。
【0077】
本実施形態のスピーカー10は、音楽を視認させる新しいエンターテイメントを提供する。これは、ミュージックビデオのような映像とは全く違う。まるで、本を読んで、使用者が本に登場するシーンや人物を自由に想像するように、第1のベース部21のステージ34に立ち上がる3人の実演者を自由に想像することができる。使用者の目には、余計な情報が入らず、使用者は、音楽とそれに連動する光により、心地良さで満たされる。透明感と統一感があるスピーカー10と、そこに表れる、音楽に連動する光は、使用者を飽きさせることがない。
【0078】
音楽が終わる時、静かにフェードアウトしていく光は、使用者の高揚感を落ち着かせ、音、光の感動の余韻を残す。そして、内部信号発生部124により、LED素子の揺らぐ光がフェードインしてくる。これは、次のライブが始まるのを待つかのような期待感を抱かせる。
【0079】
使用者は、スピーカー10がどのように光るのかを簡単に予測できない。新たな音楽を流す時、使用者はどのような光りかたをするのか楽しみであり、ドキドキ、ワクワク感を味わえる。
【0080】
上記実施形態のスピーカー10は本発明のスピーカーの一形態であって、本発明のスピーカーが、上記実施形態に限定されないことに留意すべきである。上記実施形態のスピーカー10を構成する部材の、一部の除去、追加、位置の変更、形態(形状、模様、および色彩等)の変更、動作の変更等をした物も、本発明の趣旨を変更しない限りにおいて、本発明のスピーカーの範囲内にある。
【0081】
例えば、次のような形態も本発明のスピーカーの範囲内にある。但し、ここではあくまで一例を挙げている。メインユニット12、LEDユニット14の形状は、角柱状(三角柱状、四角柱状など)、または、それに近い形状であってもよい。メインユニット12、LEDユニット14のピラー26、46は、それぞれのユニットの中央側に設けられてもよい。第1、2のハウジング24、44は、一部が遮蔽性を有してもよい。第1のヘッド部22に下向きの光軸を有するLED素子(ヘッドLED素子と言う)を設けて、第1のハウジング24内を上から照らしてもよい。ステージLED素子53は、ステージ34の中央側に配置されてもよい。LEDユニット14の数は、1個、2個又は4個以上であってもよいし、LEDユニット14内のLED素子の数は、1個又は3個以上であってもよい。音信号の左信号成分、右信号成分、又は混合信号成分に基づいて、1個又は複数のLEDユニット14内の1個又は全部のLED素子が発光してもよい。音信号の左信号成分、右信号成分、又は混合信号成分に基づいて、1個又は複数のヘッドLED素子又はステージLED素子53が発光してもよい。1個または複数のLED素子は、水平方向、または、斜め上方向あるいは斜め下方向の光軸を有するように設けられてもよい。複数のスピーカー部16を設けてもよい。複数のスピーカー部16の一部又は全部を用いて、ステレオ音が出力されてもよい。1個、2個以上、又は全部のスピーカー部16は、水平方向に音が出力されるように横向きに配置されてもよい。なお、以上説明した特徴部分を適宜に組み合わせて構成するとしてもよい。
【0082】
上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを意味し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 スピーカー、12 メインユニット(舞台ユニット)、14,14C,14L,14R LEDユニット(実演者ユニット)、16 スピーカー部、19 固定部、21 第1のベース部(ベースアッセイ)、22 第1のヘッド部(ヘッドアッセイ)、24 第1のハウジング、26 ピラー(第1の連結手段)、30 ボタン群、32 コネクタ部、34 ステージ、36 反射板、41 第2のベース部、42 第2のヘッド部、44 第2のハウジング、46 ピラー(第2の連結手段)、51,51C,51L,51R 下側LED素子(第1のLED素子)、52,52C,52L,52R 上側LED素子(第2のLED素子)、53 ステージLED素子(第3のLED素子)、60 カバー、70 押圧プレート、72 上部クッション、74 上側クッションフレーム(クッション材)、76 フレーム、78 下側クッションフレーム、80 キャビネット、82 ボス、90 制御部、92 プロセッサ、94 メモリ、96 受信部、98 バッテリ、100 使用者、102 端末、110 信号成分抽出部、112 AGC(オートゲインコントロール)、114 フィルタ、116 積分手段、118 DRC(ダイナミックレンジコントロール)、120 補正手段、124 内部信号発生部、150 ローテーブル、152 椅子、160 電源ボタン、162 音量切替ボタン、164 モード切替ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16