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▶ 積水メディカル株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】キャップ部材、栓体、及び血液採取容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20230912BHJP
   A61B 5/154 20060101ALI20230912BHJP
   B65D 51/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
A61J1/05 315D
A61B5/154 100
B65D51/00 100
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020500475
(86)(22)【出願日】2019-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2019004811
(87)【国際公開番号】W WO2019159878
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2018026255
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390037327
【氏名又は名称】積水メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 嵩也
(72)【発明者】
【氏名】丹生谷 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】岡本 隆介
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01566145(EP,A1)
【文献】特開2001-159630(JP,A)
【文献】中国実用新案第203885506(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0075108(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
A61B 5/154
B65D 51/00
B65D 39/00
B01L 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口端を有する体液採取用容器の該開口端に取り付けられる栓体を構成するキャップ部材であって、
天板部と、前記天板部の周縁から下方に延びる側面部と、前記側面部の内表面上にキャップ部材の径方向内側に突出した複数の突出部とを備え
前記突出部は、前記側面部の内表面とは反対側の第1の面と、キャップ部材の上端側の第2の面と、キャップ部材の下端側の第3の面と、隣接する突出部側の第4の面及び第5の面とを有し、
前記第2の面は、前記側面部から離れるにつれて、前記第3の面に近づく傾斜面であり、
前記第3の面は、前記側面部から離れるにつれて、前記第2の面に近づく傾斜面であり、
前記突出部の、キャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状が、台形である、キャップ部材。
【請求項2】
前記突出部の高さが、0.1mm以上0.7mm以下である、請求項1に記載のキャップ部材。
【請求項3】
前記突出部の最大幅が、0.5mm以上4mm以下である、請求項1又は2に記載のキャップ部材。
【請求項4】
隣接する前記突出部間の、キャップ部材の周方向距離が、1mm以上10mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のキャップ部材。
【請求項5】
前記突出部の個数が、3個以上8個以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のキャップ部材。
【請求項6】
栓本体と、
請求項1~のいずれか1項に記載のキャップ部材とを備え、
前記キャップ部材が前記栓本体の外表面を覆うように外装されている、栓体。
【請求項7】
前記栓本体の材料が、エラストマーである、請求項に記載の栓体。
【請求項8】
血液採取容器であって、
開口端を有する体液採取用容器と、
請求項又はに記載の栓体とを備え、
前記栓体が、前記開口端に取り付けられている、血液採取容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口端を有する体液採取用容器の該開口端を密閉するための栓体を構成するキャップ部材に関する。また、本発明は、上記キャップ部材を備える栓体、及び該栓体を備える血液採取容器に関する。
【背景技術】
【0002】
血液などの体液を採取するために、栓体が取り付けられた体液採取用容器が広く用いられている。体液採取用容器に取り付けられる栓体は、一般的に、ゴム栓等の栓本体と、該栓本体に装着されるキャップ部材とを備える。
【0003】
このような体液採取用容器が用いられる例として、採血管等の血液採取容器が挙げられる。血液採取容器は、開口端を有する体液採取用容器と、該開口端に取り付けられた栓体とを備え、血液採取容器内部の滅菌性が保たれている。
【0004】
体液採取用容器に取り付けられる栓体の一例として、下記の特許文献1には、体液採集チューブの開放端を密閉する蓋組立体(栓体)が開示されている。この蓋組立体は、特定の構造を有するストッパと、天面と底面のストップ棚と環状スカートとを有する可撓性キャップ本体とを備える。上記可撓性キャップ本体の上記環状スカートの内壁には、テーパー(傾斜)の付いた表面を有する一体化された当接部が設けられている。なお、上記当接部は環状であり、環状当接部である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-145685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
栓本体をキャップ部材から抜けにくくするために、キャップ部材の内周面に環状の突出部が設けられることがある。このようなキャップ部材は、一般的に、キャップ部材の形状に対応する金型内に樹脂組成物を注入し、成形することで製造される。
【0007】
金型から成形体を取り外しやすくするために、成形体の側面を僅かに膨らませることがある。特許文献1に記載のような、環状の突出部(環状当接部)が設けられた従来のキャップ部材では、成形体の側面が膨らみにくく、金型から成形体を取り出す際に、成形体の内表面が金型に引っ掛かる等して環状の突出部が変形することがある。成形時における突出部の変形は、歩留まりが低下する原因となる。また、突出部が変形すると、栓本体がキャップ部材から抜けることがある。
【0008】
本発明の目的は、成形時における突出部の変形を抑えることができ、栓本体がキャップ部材から抜けにくいキャップ部材を提供することである。また、本発明は、上記キャップ部材を備える栓体、及び該栓体を備える血液採取容器を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の広い局面によれば、開口端を有する体液採取用容器の該開口端に取り付けられる栓体を構成するキャップ部材であって、天板部と、前記天板部の周縁から下方に延びる側面部と、前記側面部の内表面上にキャップ部材の径方向内側に突出した複数の突出部とを備える、キャップ部材が提供される。
【0010】
本発明に係るキャップ部材のある特定の局面では、前記突出部の高さが、0.1mm以上0.7mm以下である。
【0011】
本発明に係るキャップ部材のある特定の局面では、前記突出部の最大幅が、0.5mm以上4mm以下である。
【0012】
本発明に係るキャップ部材のある特定の局面では、隣接する前記突出部間の、キャップ部材の周方向距離が、1mm以上10mm以下である。
【0013】
本発明に係るキャップ部材のある特定の局面では、前記突出部の個数が、3個以上8個以下である。
【0014】
本発明に係るキャップ部材のある特定の局面では、前記突出部の、キャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状が、台形である。
【0015】
本発明の広い局面によれば、栓本体と、上述したキャップ部材とを備え、前記キャップ部材が前記栓本体の外表面を覆うように外装されている、栓体が提供される。
【0016】
本発明に係る栓体のある特定の局面では、前記栓本体の材料が、エラストマーである。
【0017】
本発明の広い局面によれば、血液採取容器であって、開口端を有する体液採取用容器と、上述した栓体とを備え、前記栓体が、前記開口端に取り付けられている、血液採取容器が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るキャップ部材は、開口端を有する体液採取用容器の該開口端に取り付けられる栓体を構成するキャップ部材である。本発明に係るキャップ部材は、天板部と、上記天板部の周縁から下方に延びる側面部と、上記側面部の内表面上にキャップ部材の径方向内側に突出した複数の突出部とを備える。本発明に係るキャップ部材では、上記の構成が備えられているので、成形時における突出部の変形を抑えることができ、栓本体がキャップ部材から抜けにくい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1(a)、図1(b)、図1(c)及び図1(d)は、本発明の一実施形態に係るキャップ部材の平面図、正面図、底面図、及び正面断面図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、本発明の一実施形態に係るキャップ部材の要部を拡大して示す部分切除正面断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る栓体の正面断面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る血液採取容器を示す正面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る血液採取容器の要部を拡大して示す部分切除正面断面図である。
図6図6(a)、図6(b)及び図6(c)は、本発明の一実施形態に係る血液採取容器を採血用ホルダーに挿入する工程を説明するための正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0021】
[キャップ部材]
図1(a)、図1(b)、図1(c)及び図1(d)は、本発明の一実施形態に係るキャップ部材の平面図、正面図、底面図、及び正面断面図である。図1(a)は、平面図である。図1(b)は、正面図である。図1(c)は、底面図である。図1(d)は、正面断面図である。
【0022】
キャップ部材1は、開口端を有する体液採取用容器の該開口端に取り付けられる栓体を構成するキャップ部材である。
【0023】
キャップ部材1は、天板部11と、天板部11の周縁から下方に延びる側面部12と、側面部12の内表面12a上にキャップ部材の径方向内側に突出した複数の突出部13とを備える。
【0024】
キャップ部材1では、上記の構成が備えられているので、成形時における突出部13の変形を抑えることができ、栓本体がキャップ部材から抜けにくい。
【0025】
従来のキャップ部材では、金型から成形体を取り出す際に、成形体の側面が膨らみにくいことがあり、その結果、成形体の側面の内表面が金型に引っ掛かる等して突出部が変形することがある。
【0026】
このため、従来のキャップ部材では、栓本体に従来のキャップ部材を装着して栓体を製造した場合、栓本体がキャップ部材から落下等して抜けることがある。栓本体のキャップ部材からの抜けは、体液採取用容器から栓体を抜き取る場合等の栓本体をキャップ部材から取り外す方向の力が加わったとき、栓体の製造直後、及び栓体の輸送中等に起こりやすい。
【0027】
キャップ部材1では、金型から成形体を取り出す際に、成形体の側面が膨らみやすく、金型から成形体を良好に取り出すことができる。したがって、突出部13の変形を抑えることができる。
【0028】
また、キャップ部材1では、突出部13の変形を抑えることができるので、栓本体のキャップ部材1からの抜けを効果的に抑えることができる。キャップ部材1では、環状突出部を有する従来のキャップ部材と比べて、突出部と栓本体との接触面積が小さいにも関わらず、栓本体のキャップ部材1からの抜けを効果的に抑えることができる。キャップ部材1では、環状突出部を有する従来のキャップ部材と比べて、突出部と栓本体との接触面積が小さいにも関わらず、キャップ部材と栓本体との嵌合力が低下しない。
【0029】
キャップ部材1では、栓体の製造直後、及び栓体の輸送中でも、栓本体がキャップ部材1から落下等して抜けにくい。キャップ部材1では、突出部13が備えられているので、栓本体の下方への移動を効果的に抑制できる。
【0030】
キャップ部材1では、体液採取用容器から栓体を抜き取る場合等の栓本体をキャップ部材1から取り外す方向の力が加わったりした場合でも、栓本体がキャップ部材1から抜けにくい。キャップ部材1では、栓本体をキャップ部材1から取り外す方向の力が加わったとしても、隣接する突出部13とその間の側面部12の内表面12aとで形成される凹部に栓本体が食い込み、栓本体がキャップ部材1から抜けにくい。
【0031】
また、キャップ部材1では、金型から成形体を取り外しやすくするために、成形体の側面を僅かに膨らませたとしても、膨らんだ側面が元の形状に戻りやすい。したがって、金型の形状に対応したキャップ部材を良好に得ることができる。
【0032】
また、キャップ部材1では、不良品の発生を抑えることができ、キャップ部材及び栓体の歩留まりを良好にできる。
【0033】
突出部13は、円弧状に設けられている。突出部13は、環状突出部とは異なる。突出部13は、環状突出部の一部が除去された形状である。
【0034】
突出部13は、キャップ部材1の周方向に、間隔をあけて設けられている。突出部13は、キャップ部材1の周方向に、等間隔で設けられている。上記突出部は、キャップ部材の周方向に等間隔で設けられていなくてもよい。
【0035】
キャップ部材1は、3個の突出部13を備える。上記突出部の数は3個でなくてもよい。本発明のキャップ部材は、2個以上の突出部を備える。上記突出部の数は、好ましくは3個以上、好ましくは8個以下、より好ましくは5個以下である。上記突出部の数が上記下限以上及び上記上限以下であると、突出部の変形を効果的に抑えることができる。上記突出部の数が上記下限以上であると、栓本体のキャップ部材からの抜けを効果的に抑えることができる。
【0036】
キャップ部材1では、3個の突出部の全てが、同一の形状及び同一の寸法である。複数の上記突出部の全てが、同一の形状及び同一の寸法でなくてもよい。
【0037】
キャップ部材1では、3個の突出部の全てが、キャップ部材の同じ高さ位置に設けられている。上記突出部の全てが、キャップ部材の同じ高さ位置に設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。上記突出部の変形を効果的に抑え、また、栓本体のキャップ部材からの抜けを効果的に抑える観点からは、上記突出部の全てが、キャップ部材の同じ高さ位置に設けられていることが好ましい。
【0038】
後述する図2に示すように、突出部13の、キャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状は台形である。上記突出部のキャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状は、台形でなくてもよい。上記突出部のキャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状は、半円形であってもよく、半楕円形であってもよく、台形以外の多角形であってもよい。上記突出部のキャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状が、台形である場合に、該台形は、等脚台形であってもよく、等脚台形以外の台形であってもよい。
【0039】
上記突出部の変形を効果的に抑え、また、栓本体のキャップ部材からの抜けを効果的に抑える観点からは、上記突出部のキャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状は、三角形又は四角形であることが好ましく、台形であることがより好ましい。
【0040】
天板部11の外形は環状である。天板部11は、中央に円形の開口11aを有する。血液採取針等の針を栓体に刺しやすくする観点からは、天板部は開口を有することが好ましい。天板部が開口を有する場合、該開口の外形は、円形であってもよく、多角形であってもよい。
【0041】
天板部の外形は、栓本体の形状に応じて、変更可能である。
【0042】
側面部12は、天板部11の周縁から下方に伸びている。側面部12の外形は円筒形である。側面部12の上端に天板部11が設けられている。側面部12の下端がキャップ部材の下端に対応する。側面部の外形は、栓本体、又は体液採取用容器の形状に応じて、変更可能である。
【0043】
キャップ部材1は、側面部12の外表面12b上に、キャップ部材の径方向外側に突出した複数のリブ14を備える。キャップ部材1は、16個のリブ14を備える。キャップ部材はリブを備えていてもよく、備えなくていなくてもよい。体液採取後に栓体を体液採取用容器から取り外し易くしたり、キャップ部材、栓体、及び体液採取用容器の転がりを防止したりする等、キャップ部材、栓体、及び体液採取用容器の取り扱い性を高める観点からは、キャップ部材はリブを備えることが好ましい。
【0044】
キャップ部材1では、リブ14は、キャップ部材1の上端に至っていない。リブは、キャップ部材の上端に至っていてもよい。キャップ部材1では、リブ14は、キャップ部材の下端に至っていない。リブは、キャップ部材の下端に至っていてもよい。
【0045】
側面部12の外表面12bは部分的に凹み12cを有する。凹み12cは、外表面12bにおいて、リブ14を備えない外表面の部分に比べて凹んでいる。外表面12bは、1/4周毎に合計4個の凹み12cを有する。側面部の外表面は、凹みを有していてもよく、有していなくてもよい。キャップ部材、栓体、及び体液採取用容器の転がりを防止する等、キャップ部材、栓体、及び体液採取用容器の取り扱い性を高める観点からは、キャップ部材は凹みを有することが好ましい。
【0046】
凹み12cは、キャップ部材1の上端に至っていない。上記凹みは、キャップ部材の上端に至っていてもよい。凹み12cは、キャップ部材1の下端に至っていない。上記凹みは、キャップ部材の下端に至っていてもよい。
【0047】
以下、本発明のキャップ部材の寸法等を説明する。
【0048】
本発明のキャップ部材は、開口端を有する体液採取用容器の該開口端に取り付けられる栓体を構成するキャップ部材である。
【0049】
上記体液採取用容器と上記栓体とを備える容器としては、例えば、採血管等の血液採取容器等が挙げられる。血液採取容器内に血液サンプルを採取する際には、上記血液採取容器と、血液採取針を備える採血用ホルダーとを用意し、血液採取容器の上記栓体側を採血用ホルダーに挿入する。そのため、栓体を構成するキャップ部材の寸法は、使用する体液採取用容器、栓本体、及び採血用ホルダー等の寸法に応じて適宜変更可能である。
【0050】
上記採血管は、5cc用採血管、7cc用採血管、及び10cc用採血管等、採取する血液の容量に応じて種類があり、それぞれ所定の長さ、内径及び外径等を有する。
【0051】
採血管のサイズによらずにキャップ部材を使用できるようにする観点からは、キャップ部材の最大内径は、好ましくは12mm以上、より好ましくは13mm以上、好ましくは18mm以下、より好ましくは17mm以下である。
【0052】
キャップ部材の取り扱い性を良好にする観点からは、キャップ部材の長さは、好ましくは11mm以上、より好ましくは15mm以上、好ましくは25mm以下、より好ましくは20mm以下である。
【0053】
なお、上記キャップ部材の長さは、キャップ部材の上端から下端までの距離を示す。
【0054】
キャップ部材の取り扱い性を良好にする観点からは、上記天板部の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下である。
【0055】
金型から成形体を良好に取り出すために、成形体の側面を良好に膨らませたり、膨らんだ該側面を元の形状に良好に戻したりする観点からは、上記側面部の最大厚みは、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.4mm以上、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下である。
【0056】
上記側面部の厚みは、上記突出部よりも上方側と下方側とで同一であってもよく、異なっていてもよい。上記側面部の厚みが上記突出部よりも上方側と下方側とで異なっている場合、上記突出部よりも上方側の側面部の厚みが、上記突出部よりも下方側の側面部の厚みより大きくてもよく、上記突出部よりも上方側の側面部の厚みが、上記突出部よりも下方側の側面部の厚みより小さくてもよい。
【0057】
キャップ部材がリブを備える場合、リブの長さは、好ましくは10mm以上、より好ましくは14mm以上である。上記リブの長さが上記下限以上であると、体液採取用容器の取り扱い性を良好にすることができる。
【0058】
キャップ部材がリブを備える場合、リブの高さは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.8mm以下である。上記リブの高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、体液採取用容器の取り扱い性を良好にすることができる。
【0059】
なお、上記リブの長さ方向は上記キャップ部材の長さ方向に対応し、上記リブの高さ方向は上記キャップ部材の径方向に対応する。
【0060】
図2(a)及び図2(b)は、本発明の一実施形態に係るキャップ部材の要部を拡大して示す部分切除正面断面図である。なお、図2(a)、図2(b)では、図1に示すリブ14及び凹み12cは図示していない。また、図2(a)、図2(b)では、図1に示す突出部13の一部の形状(キャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状)を図示している。
【0061】
以下、図1及び図2を参照しつつ、突出部の形状及び寸法等をさらに説明する。
【0062】
突出部13は、側面部12の内表面12aとは反対側の第1の面13aと、キャップ部材1の上端側の第2の面13bと、キャップ部材1の下端側の第3の面13cと、隣接する突出部側の第4の面13d及び第5の面13eとを有する。第1の面13aは、円弧状の面である。第1の面13aは、曲面である。第1の面13aが突出部の先端に位置する。第2の面13bは、側面部12から離れるにつれて、第3の面13cに近づく傾斜面である。第3の面13cは、側面部12から離れるにつれて、第2の面13bに近づく傾斜面である。第2の面13bの傾斜角度は、第3の面13cの傾斜角度よりも大きい。上記傾斜角度は、側面部12の内表面12aと、第2の面13b又は第3の面13cとにより形成される角度のうち、小さい方の角度を意味する。第4の面13dは、第5の面13eとは反対側の面である。第4の面13d又は第5の面13eと、内表面12a、第1の面13a、第2の面13b、及び第3の面13cのそれぞれ面とのなす角は直角である。突出部をこのような形状とすることで、突出部の変形をより一層効果的に抑え、また、栓本体のキャップ部材からの抜けを効果的に抑えることができる。
【0063】
突出部13では、キャップ部材1の長さ方向に沿う断面の形状が台形である。突出部13では、キャップ部材1の長さ方向に沿う断面において、第1の面13aで構成される辺と、第2の面13bで構成される辺と、第3の面13cで構成される辺と、第2の面13bで構成される辺と第3の面13cで構成される辺とを結ぶ辺とによって台形が形成されている。上記台形では、第2の面13bで構成される辺の長さが、第3の面13cで構成される辺の長さよりも短い。
【0064】
上記突出部のキャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状が台形である場合に、上記突出部の上記第2の面と上記第3の面とのうちの一方は傾斜面でなくてもよい。また、上記突出部の上記第2の面及び上記第3の面の双方が傾斜面である場合に、上記第3の面の傾斜角度が上記第2の面の傾斜角度より大きくてもよい。
【0065】
上記突出部のキャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状が台形である場合に、上記第4の面又は上記第5の面と、上記内表面、上記第1の面、上記第2の面、及び上記第3の面のそれぞれ面とのなす角は直角でなくてもよい。例えば、上記第4の面が、側面部から離れるにつれて、上記第5の面に近づく傾斜面であってもよく、上記第5の面から離れる傾斜面であってもよい。上記第5の面が、側面部から離れるにつれて、上記第4の面に近づく傾斜面であってもよく、上記第4の面から離れる傾斜面であってもよい。
【0066】
上記第1の面、上記第2の面、上記第3の面、上記第4の面、上記第5の面はそれぞれ、平面であってもよく、曲面であってもよい。上記第2の面、上記第3の面、上記第4の面、上記第5の面はそれぞれ、側面部から離れるにつれて先細りする傾斜面(テーパー面)であってもよく、側面部から離れるにつれて先太りする傾斜面(逆テーパー面)であってもよい。
【0067】
上記突出部の高さHは、好ましくは0.1mm以上、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.4mm以下である。上記高さHが上記下限以上であると、栓本体のキャップ部材からの抜けをより一層効果的に抑えることができる。上記高さHが上記上限以下であると、突出部の変形をより一層効果的に抑えることができる。
【0068】
なお、上記高さHは、側面部の内表面から、突出部の先端までの距離を示す。上記側面部の厚みが上記突出部よりも上方側と下方側とで異なっている場合、上記高さHは、突出部よりも上方側の側面部の内表面から、突出部の先端までの距離を示す。
【0069】
上記突出部の最大幅W1は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下である。上記最大幅W1が上記下限以上及び上記上限以下であると、突出部の変形をより一層効果的に抑えることができる。
【0070】
上記突出部の最大幅方向は、上記突出部の高さ方向と直交する方向に対応することが好ましい。上記突出部の最大幅方向は、キャップ部材の長さ方向に対応することが好ましい。
【0071】
上記天板部と上記突出部との距離Lは、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上、好ましくは7mm以下、より好ましくは6mm以下である。上記距離Lが上記下限以上及び上記上限以下であると、突出部の変形をより一層効果的に抑え、また、栓本体のキャップ部材からの抜けをより一層効果的に抑えることができる。
【0072】
なお、上記距離Lは、天板部の内表面から、突出部の最大幅の1/2の位置までの距離を示す。
【0073】
上記天板部と上記突出部との距離Lのキャップ部材の長さに対する比(距離L/キャップ部材の長さ)は、好ましくは1/5以上、より好ましくは1/4以上、好ましくは1/2以下、より好ましくは1/3以下である。上記比が上記下限以上及び上記上限以下であると、突出部の変形をより一層効果的に抑え、また、栓本体のキャップ部材からの抜けをより一層効果的に抑えることができる。
【0074】
隣接する上記突出部間の、キャップ部材の周方向距離Xは、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上、好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下である。上記周方向距離Xが上記下限以上であると、突出部の変形を効果的に抑えることができる。上記周方向距離Xが上記上限以下であると、栓本体のキャップ部材からの抜けを効果的に抑えることができる。
【0075】
なお、上記周方向距離Xは、隣接する上記突出部間のキャップ部材の側面部の内表面上の距離(長さ)を示す。
【0076】
突出部のキャップ部材の周方向寸法Yは、突出部の数、及びキャップ部材の内径等により適宜変更できる。
【0077】
なお、上記周方向寸法Yは、突出部のキャップ部材の側面部の内表面上の寸法を示す。
【0078】
複数の上記突出部が設けられているキャップ部材の高さ位置において、上記突出部のキャップ部材の周方向寸法Yの合計の、キャップ部材の周方向寸法に対する比(突出部のキャップ部材の周方向寸法Yの合計/キャップ部材の周方向寸法)は、好ましくは1/2以上、より好ましくは3/5以上、好ましくは9/10以下、より好ましくは4/5以下である。上記比が上記下限以上であると、突出部の変形を効果的に抑えることができる。上記比が上記上限以下であると、栓本体のキャップ部材からの抜けを効果的に抑えることができる。
【0079】
なお、上記比(突出部のキャップ部材の周方向寸法Yの合計/キャップ部材の周方向寸法)は、キャップ部材の同一高さ位置に、同一形状の突出部を等間隔に3個備えるキャップ部材1においては、3Y/3(X+Y)を示す。
【0080】
上記突出部のキャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状が台形である場合に、上記突出部のキャップ部材の側面部の内表面とは反対側の面(第1の面13a)の幅W2は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下である。上記幅W2が上記下限以上及び上記上限以下であると、突出部の変形を効果的に抑えることができ、また、栓本体のキャップ部材からの抜けを効果的に抑えることができる。
【0081】
上記突出部のキャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状が台形である場合における、上記突出部のキャップ部材の上端側の面(第2の面13b)の幅W3は特に限定されない。
【0082】
上記突出部のキャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状が台形である場合における、上記突出部のキャップ部材の下端側の面(第3の面13c)の幅W4は特に限定されない。
【0083】
以下、キャップ部材のその他の詳細を説明する。
【0084】
成形性を良好にするために、キャップ部材の材料は、樹脂であることが好ましい。上記樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0085】
上記樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、及びポリカーボネート等が挙げられる。
【0086】
上記キャップ部材を構成する上記天板部、上記側面部、上記突出部、及び上記リブは、それぞれ、同一の材料が用いられてもよく、異なる材料が用いられてもよい。成形を容易にする観点からは、上記天板部、上記側面部、上記突出部、及び上記リブは、同一の材料が用いられることが好ましい。
【0087】
本発明のキャップ部材の側面部には、スリットが設けられていてもよい。上記スリットは、上記側面部の下端から上側に伸びるように設けられていることが好ましい。キャップ部材の上記側面部にスリットが設けられていることにより、上記側面部の外表面と採血用ホルダーの内壁とが接触したときに、キャップ部材が径方向内側に変形でき、その結果、適度な摩擦抵抗を与えることができる。また、変形した部分がその弾力によりキャップ部材の径方向外側へ力が加わることになるため、栓体を採血用ホルダーに適度な力で保持することができる。
【0088】
上記側面部がスリットを有する場合、スリットの数は、好ましくは3本以上である。スリットの数が上記下限以上であると、キャップ部材を採血用ホルダーに良好に挿入することができる。
【0089】
[栓体]
本発明の栓体は、栓本体と、上記キャップ部材とを備える。本発明の栓体では、キャップ部材が上記栓本体の外表面を覆うように外装される。なお、本発明の栓体では、キャップ部材が上記栓本体の外表面全体を覆わなくてよい。上記キャップ部材が天板部に開口を有する場合には、該開口部分において、栓本体の外表面は覆われない。また、キャップ部材の天板部とは反対側の端部は、開口しているため、該開口部分において、栓本体の外表面は覆われない。
【0090】
図3は、本発明の一実施形態に係る栓体の正面断面図である。
【0091】
栓体2は、キャップ部材1と栓本体3とを備える。キャップ部材1が栓本体3の外表面を覆うように外装されている。栓本体3の外表面とキャップ部材1の側面部12の内表面12aとが、接している。栓本体3は、キャップ部材1によって保持されている。栓本体3の下端は、キャップ部材1の下端よりも上方に位置する。
【0092】
栓本体3は、下側に圧入部3aと、上側に把持部3bとを有する。圧入部3aは体液採取用容器の開口端に圧入される部分である。把持部3bはキャップ部材1によって直接把持される部分である。把持部3bの側面と、キャップ部材1の側面部12の内表面12aとが、接している。把持部3bの外径は、圧入部3aの外径より大きい。そのため、圧入部3aと把持部3bとにより、段差3cが形成されている。把持部3bは、上面中央に凹部3dを有する。
【0093】
把持部の外径は、圧入部の外径よりも大きいことが好ましい。すなわち、栓本体は段差を有することが好ましい。この場合、上記段差部分が上記突出部に引っかかることができるので、栓本体のキャップ部材からの抜けを効果的に抑えることができる。また、体液採取用容器の開口端に栓体を良好に取り付けることができるので、体液採取用容器の滅菌性を良好に保つことができる。
【0094】
圧入部の外径は、特に限定されず、体液採取用容器の開口端に取り付けることができればよい。
【0095】
把持部の外径は、特に限定されない。把持部は上面に凹部を有することが好ましい。この場合、体液採取針を栓本体に容易に刺すことができ、また、体液採取針を栓本体から抜く際の体液の飛散を抑えることができる。
【0096】
上記栓本体と上記突出部とは、接していてもよく、接していなくてもよい。
【0097】
栓本体のキャップ部材からの抜けを効果的に抑える観点からは、上記栓本体と上記突出部とは、接することが好ましい。
【0098】
しかしながら、上記突出部と上記栓本体とが接していない場合であっても、栓本体が下方へ移動してきた場合に、上記突出部によって更なる栓本体の下方への移動を効果的に抑制することができるので、栓本体のキャップ部材からの抜けを効果的に抑えることができる。
【0099】
上記栓本体の寸法は、使用する体液採取用容器、キャップ部材、及び採血用ホルダー等の寸法に応じて適宜変更可能である。
【0100】
体液採取針の刺通性を高める観点からは、上記把持部の上面に設けられた上記凹部の下端と栓本体の下端との距離は、好ましくは3mm以上、好ましくは7mm以下である。
【0101】
体液採取針を栓本体から抜く際の体液の飛散を効果的に抑える観点からは、上記把持部の上面に設けられた上記凹部の深さは、好ましくは4mm以上、好ましくは8mm以下である。
【0102】
上記栓本体の材料は、エラストマーであることが好ましい。上記栓本体の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0103】
上記エラストマーとしては、熱硬化性エラストマー、及び熱可塑性エラストマー等が挙げられる。上記熱硬化性エラストマーとしては、イソプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、及びスチレン-ブタジエン共重合ゴム等が挙げられる。上記熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー等が挙げられる。
【0104】
栓本体の材料が上記エラストマーである場合、上記栓本体はゴム栓である。上記栓本体はゴム栓であることが好ましい。
【0105】
栓本体がゴム栓であると、栓本体が良好に変形できるので、栓本体をキャップ部材から取り外す方向の力が加わったとしても、隣接する突出部とその間の側面部の内表面とで形成される凹部に栓本体が食い込み、栓本体の下方への移動を効果的に抑制することができる。また、栓本体がゴム栓であると、栓本体が良好に変形できるので、圧入部と把持部とにより形成される上記段差が、上記突出部に良好に接することができ、栓本体のキャップ部材からの抜けを効果的に抑える。
【0106】
[血液採取容器]
本発明の血液採取容器は、開口端を有する体液採取用容器と、上記栓体とを備える。本発明の血液採取容器では、上記栓体が、上記開口端に取り付けられている。
【0107】
図4は、本発明の一実施形態に係る血液採取容器を示す正面図である。
【0108】
血液採取容器5は、体液採取用容器4と栓体2とを備える。栓体2は、キャップ部材1と栓本体3とを備える。図4では、キャップ部材1の内側に保持されている栓本体は図示されていない。栓体2が、体液採取用容器4の開口端に取り付けられている。
【0109】
図5は、本発明の一実施形態に係る血液採取容器の要部を拡大して示す部分切除正面断面図である。
【0110】
血液採取容器5は、体液採取用容器4と栓体2とを備える。栓体2は、キャップ部材1と栓本体3とを備える。栓体2が、体液採取用容器4の開口端に取り付けられている。
【0111】
栓本体3の圧入部3aが、体液採取用容器4の開口に圧入されている。体液採取用容器4の内表面と、栓本体3の圧入部3aの側面とが接している。体液採取用容器の滅菌性を良好に保つ観点からは、体液採取用容器の内表面と、栓本体の圧入部の側面とが接することが好ましい。
【0112】
体液採取用容器4の上端と、栓本体3の段差3cとが接している。体液採取用容器の滅菌性を良好に保つ観点からは、体液採取用容器の上端と、栓本体の段差とが接することが好ましい。
【0113】
血液採取容器5では、キャップ部材1の側面部12の内表面12aと、体液採取用容器4の外表面とは接していない。上記キャップ部材の側面部の内表面と、体液採取用容器の外表面とは、接していてもよく、接していなくてもよい。上記キャップ部材の側面部の内表面と、体液採取用容器の外表面とを接触させるために、例えば、上記キャップ部材の側面部を内側に傾斜させてもよい。
【0114】
上記突出部と上記体液採取用容器の外表面とは、接していてもよく、接していなくてもよい。
【0115】
上記体液採取用容器としては、採血管本体等が挙げられる。
【0116】
上記血液採取容器としては、採血管等が挙げられる。
【0117】
上記血液採取容器は、採血管として好適に用いられる。
【0118】
上記血液採取容器を採血管として用いる場合等、血液採取容器(採血管)内に血液サンプルを採取する際には、上記血液採取容器と、血液採取針を備える採血用ホルダーとを用意し、以下の工程1)-3)を行う。工程1)血液採取針の一端の針先を血管に挿入する。工程2)血液採取針の他端の針先が血液採取容器の栓体を貫通するように、血液採取容器を採血用ホルダーに挿入する。工程3)血液採取容器内部の圧力は減圧されているので、血液が血液採取針を介して血液採取容器内に吸引される。
【0119】
図6(a)、図6(b)及び図6(c)は、本発明の一実施形態に係る血液採取容器を採血用ホルダーに挿入する工程を説明するための正面断面図である。図6は、上記工程1)-3)を説明するための図である。
【0120】
図6(a),(b)に示すように、血液採取容器5と、血液採取針61を備える採血用ホルダー6とを用意する。血液採取針61は、一端に針先61aを有し、他端に針先61bを有する。
【0121】
上記工程1)では、針先61aを血管に挿入する。
【0122】
上記工程2)では、図6(c)に示すように、針先61bを栓本体3に刺通させて、血液採取容器5を採血用ホルダー6に挿入する。
【0123】
上記工程3)では、血液が血液採取針61を通って血液採取容器5内に吸引される。血液採取容器5の内部は減圧されているため、圧力差によって、血管から血液が血液採取容器5内に吸引される。
【0124】
上記工程3)の後、採血用ホルダー6から血液採取容器5を抜き取り、内部に血液サンプルが収容された血液採取容器5を得ることができる。
【0125】
なお、上述したように、採血用ホルダーから血液採取容器を抜き取る場合や、血液採取容器(採血管)の内部に収容された血液サンプルを得るために、血液採取容器から栓体を取り外す場合でも、本発明では、キャップ部材に特定の突出部が備えられているので、栓本体のキャップ部材からの抜けを効果的に抑えることができる。
【0126】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
【0127】
(実施例1)
以下に示すキャップ部材寸法を備える金型に、樹脂組成物(ポリプロピレン)を注入して成形し、図1に示す形状を有するキャップ部材Aを作製した。
【0128】
長さ:20mm、最小内径:15.5mm
天板部の厚み:1mm、側面部の厚み:0.4mm
リブの長さ:17mm、リブの高さ:0.1mm
キャップ部材の周方向寸法(3×(X+Y)):48mm
突出部;個数3個、キャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状:台形、高さH:0.16mm、天板部と突出部との距離L:6mm、最大幅W1:2mm、突出部のキャップ部材の側面部の内表面とは反対側の面の幅W2:1mm、隣接する突出部間のキャップ部材の周方向距離X:8mm、突出部のキャップ部材の周方向寸法Y:8mm
【0129】
(実施例2)
以下に示すキャップ部材寸法を備える金型に、樹脂組成物(ポリプロピレン)を注入して成形し、図1に示す形状を有するキャップ部材Bを作製した。
【0130】
長さ:20mm、最小内径:15.5mm
天板部の厚み:1mm、側面部の厚み:0.4mm
リブの長さ:17mm、リブの高さ:0.1mm
キャップ部材の周方向寸法(3×(X+Y)):48mm
突出部;個数3個、キャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状:台形、高さH:0.16mm、天板部と突出部との距離L:6mm、最大幅W1:2mm、突出部のキャップ部材の側面部の内表面とは反対側の面の幅W2:1mm、隣接する突出部間のキャップ部材の周方向距離X:4mm、突出部のキャップ部材の周方向寸法Y:12mm
【0131】
(実施例3)
樹脂組成物としてポリエチレンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1に示す形状を有するキャップ部材Dを作製した。
【0132】
(比較例1)
以下に示すキャップ部材寸法を備える金型に、樹脂組成物(ポリプロピレン)を注入して成形し、環状の突出部(突出部の個数1個)を有するキャップ部材Cを作製した。
【0133】
長さ:20mm、最小内径:15.5mm
天板部の厚み:1mm、側面部の厚み:0.4mm
リブの長さ:17mm、リブの高さ:0.1mm
キャップ部材の周方向寸法:48mm
突出部;個数1個(環状突出部)、キャップ部材の長さ方向に沿う断面の形状:台形(該断面の形状は実施例1及び実施例2と同じ台形形状)、高さH:0.16mm、天板部と突出部との距離L:6mm、最大幅W1:2mm、突出部のキャップ部材の側面部の内表面とは反対側の面の幅W2:1mm、突出部のキャップ部材の周方向寸法Y:48mm
【0134】
(比較例2)
樹脂組成物としてポリエチレンを用いたこと以外は比較例1と同様にして、環状の突出部(突出部の個数1個)を有するキャップ部材Eを作製した。
【0135】
(評価)
<突出部の変形>
得られたキャップ部材の突出部を、測定顕微鏡(ニコン社製「MM-60」)で観察し、キャップ部材の最小内径を測定し、金型の最小内径(15.5mm)と、キャップ部材の最小内径との差の絶対値を算出した。なお、上記最小内径の始点及び終点は、突出部のキャップ部材の側面部の内表面とは反対側の面上に位置する。
【0136】
[突出部の変形の判定基準]
○:金型の最小内径とキャップ部材の最小内径との差の絶対値が0.5mm未満
×:金型の最小内径とキャップ部材の最小内径との差の絶対値が0.5mm以上
【0137】
<キャップ部材と栓本体との嵌合力>
図3に示す形状のゴム栓(材料:ブチルゴム)の外表面を覆うように、得られたキャップ部材を外装して、栓体を作製した。得られた栓体を、10cc用採血管本体(外径16mm、長さ100mm)の開口端に取り付けた。なお、取り付け時には、上記栓本体と上記10cc用採血管本体とを接着剤で接着した。引張試験機(ロイド社製「LRX」)を用いて、キャップ部材のみを引っ張り、キャップ部材が栓本体から外れる際の最大強度を嵌合力とした。
【0138】
得られたキャップ部材の構成及び結果を下記の表1に示す。なお、高さHは、測定顕微鏡(ニコン社製「MM-60」)で5箇所以上測定した値の平均値である。
【0139】
【表1】
【0140】
実施例1~3で得られたキャップ部材A,B,Dでは、比較例1,2で得られたキャップ部材C,Eと比べて成形時の突出部の変形が抑えられていた。キャップ部材A,B,Dでは、突出部全体において、変形がほとんど観察されなかったのに対して、キャップ部材C,Eでは、突出部の一部の箇所において、キャップ部材A,B,Dと比べて大きな変形が観察された。
【0141】
また、キャップ部材A,B,Dでは、キャップ部材C,Eと比べて、突出部と栓本体との接触面積が小さいにも関わらず、キャップ部材と栓本体との嵌合力が低下しておらず、キャップ部材A,B,Dの嵌合力と、キャップ部材Cの嵌合力とは同等であった。キャップ部材A,B,Dでは、隣接する突出部とその間の側面部の内表面とで形成される凹部に栓本体が食い込むことにより、栓本体がキャップ部材から抜けにくくなっている。
【符号の説明】
【0142】
1…キャップ部材
2…栓体
3…栓本体
3a…圧入部
3b…把持部
3c…段差
3d…凹部
4…体液採取用容器
5…血液採取容器
6…採血用ホルダー
11…天板部
11a…開口
12…側面部
12a…内表面
12b…外表面
12c…凹み
13…突出部
13a…第1の面
13b…第2の面
13c…第3の面
13d…第4の面
13e…第5の面
14…リブ
61…血液採取針
61a、61b…針先
図1
図2
図3
図4
図5
図6