(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】フォークリフト遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
B66F9/24 A
(21)【出願番号】P 2021163951
(22)【出願日】2021-10-05
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】卯路 彰
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-31210(JP,A)
【文献】特開平5-270797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0135598(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107188094(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象である第1フォークリフトと、前記第1フォークリフトとは異なる第2フォークリフトとを備え、
前記第2フォークリフトは、当該第2フォークリフトに搭乗したオペレータにより操作される操作装置と、前記オペレータに映像を表示する表示装置とを備えるとともに、当該第2フォークリフトの運転操作を行うための通常操作モードと、前記第1フォークリフトの運転操作を行うための他車操作モードとを切り替え可能に構成されており、
前記操作装置は、前記オペレータが手で倒して操作するための荷役用レバーを備え、
前記通常操作モードでは、前記荷役用レバーが操作されることで、当該荷役用レバーの操作量に応じて前記第2フォークリフトが備えるフォークが動作し、
前記他車操作モードでは、前記表示装置が、前記第1フォークリフトの近傍の映像を表示するとともに、前記荷役用レバーが操作されることで、当該荷役用レバーの操作量に応じて前記第1フォークリフトが備えるフォークが動作する
ことを特徴とするフォークリフト遠隔操作システム。
【請求項2】
前記荷役用レバーは、前記第1フォークリフトおよび前記第2フォークリフトが備えるフォークを昇降させるためのリフトレバーを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト遠隔操作システム。
【請求項3】
前記荷役用レバーは、前記第1フォークリフトおよび前記第2フォークリフトが備えるマストを前後方向に移動させるためのリーチレバーを含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフォークリフト遠隔操作システム。
【請求項4】
前記荷役用レバーは、前記第1フォークリフトおよび前記第2フォークリフトが備えるフォークを前後方向に傾動させるためのチルトレバーを含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のフォークリフト遠隔操作システム。
【請求項5】
前記荷役用レバーは、前記第1フォークリフトおよび前記第2フォークリフトが備えるマストを前後方向に傾動させるためのチルトレバーを含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のフォークリフト遠隔操作システム。
【請求項6】
前記操作装置は、前記オペレータが手で倒して操作するためのアクセルレバーを備え、
前記通常操作モードでは、前記アクセルレバーが操作されることで、当該アクセルレバーの操作量に応じて前記第2フォークリフトの加速度が変化し、
前記他車操作モードでは、前記アクセルレバーが操作されることで、当該アクセルレバーの操作量に応じて前記第1フォークリフトの加速度が変化する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のフォークリフト遠隔操作システム。
【請求項7】
前記第1フォークリフトは、所定のプログラムに従って自律的に動作する自動モードと、前記荷役用レバーの操作量に応じて動作する遠隔操作モードとを切り替え可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のフォークリフト遠隔操作システム。
【請求項8】
前記第1フォークリフトは、当該第1フォークリフトの走行を妨げる障害物が検出されたとき、前記第2フォークリフトに対して遠隔操作を要求し、
前記第2フォークリフトは、前記遠隔操作の要求を受け付けることで、前記通常操作モードから前記他車操作モードに切り替わる
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のフォークリフト遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトを遠隔から操作するためのフォークリフト遠隔操作システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、フォークリフトを遠隔から操作するためのフォークリフト遠隔操作システムが注目されている。フォークリフトを遠隔から操作できるように構成することで、複数拠点における労働力の差(例えば、フォークリフトを操作するオペレータ数の差、または、フォークリフトに係る操作技能の差)の解消を図ることができる。
【0003】
一般に、フォークリフト遠隔操作システムでは、屋内の通信端末装置に接続されたレバーを用いて、フォークリフトを操作することが知られている(例えば特許文献1参照)。また、タブレットやスマートフォンが備えるタッチパネルを用いて、フォークリフトを操作することが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、通信端末装置に接続されたレバーを用いて遠隔操作を行う場合は、通信端末装置の設置場所を確保したり、通信端末装置およびレバーを用意したりする必要があるため、遠隔操作システムの導入コストが高いという問題がある。また、タブレット等のタッチパネルを用いて遠隔操作を行う場合は、タッチパネルの操作感が従来の操作感と大きく異なるという問題があり、従来のフォークリフトの操作に長けたオペレータの技能が発揮できないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-189381号公報
【文献】特開2019-167212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、導入コストが低く、かつ、従来と同様の操作感が得られるフォークリフト遠隔操作システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願発明のフォークリフト遠隔操作システムは、操作対象である第1フォークリフトと、前記第1フォークリフトとは異なる第2フォークリフトとを備え、前記第2フォークリフトは、当該第2フォークリフトに搭乗したオペレータにより操作される操作装置と、前記オペレータに映像を表示する表示装置とを備えるとともに、当該第2フォークリフトの運転操作を行うための通常操作モードと、前記第1フォークリフトの運転操作を行うための他車操作モードとを切り替え可能に構成されており、前記操作装置は、前記オペレータが手で倒して操作するための荷役用レバーを備え、前記通常操作モードでは、前記荷役用レバーが操作されることで、当該荷役用レバーの操作量に応じて前記第2フォークリフトが備えるフォークが動作し、前記他車操作モードでは、前記表示装置が、前記第1フォークリフトの近傍の映像を表示するとともに、前記荷役用レバーが操作されることで、当該荷役用レバーの操作量に応じて前記第1フォークリフトが備えるフォークが動作することを特徴とする。
【0008】
また、前記荷役用レバーは、前記第1フォークリフトおよび前記第2フォークリフトが備えるフォークを昇降させるためのリフトレバーを含むことが好ましい。
【0009】
また、前記荷役用レバーは、前記第1フォークリフトおよび前記第2フォークリフトが備えるマストを前後方向に移動させるためのリーチレバーを含むことが好ましい。
【0010】
また、前記荷役用レバーは、前記第1フォークリフトおよび前記第2フォークリフトが備えるフォークを前後方向に傾動させるためのチルトレバーを含むことが好ましい。
【0011】
また、前記荷役用レバーは、前記第1フォークリフトおよび前記第2フォークリフトが備えるマストを前後方向に傾動させるためのチルトレバーを含むことが好ましい。
【0012】
また、前記操作装置は、前記オペレータが手で倒して操作するためのアクセルレバーを備え、前記通常操作モードでは、前記アクセルレバーが操作されることで、当該アクセルレバーの操作量に応じて前記第2フォークリフトの加速度が変化し、前記他車操作モードでは、前記アクセルレバーが操作されることで、当該アクセルレバーの操作量に応じて前記第1フォークリフトの加速度が変化することが好ましい。
【0013】
また、前記第1フォークリフトは、所定のプログラムに従って自律的に動作する自動モードと、前記荷役用レバーの操作量に応じて動作する遠隔操作モードとを切り替え可能に構成されていることが好ましい。
【0014】
また、前記第1フォークリフトは、当該第1フォークリフトの走行を妨げる障害物が検出されたとき、前記第2フォークリフトに対して遠隔操作を要求し、前記第2フォークリフトは、前記遠隔操作の要求を受け付けることで、前記通常操作モードから前記他車操作モードに切り替わることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、導入コストが低く、かつ、従来と同様の操作感が得られるフォークリフト遠隔操作システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフォークリフト遠隔操作システムの概略構成図である。
【
図2】同実施形態に係る第1フォークリフトの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】同実施形態に係る第2フォークリフトの概略構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る遠隔操作工程を示すフローチャートである。
【
図5】変形例に係る遠隔操作工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1~4を参照して、本発明を具体化した一実施形態に係るフォークリフト遠隔操作システム1(以下「遠隔操作システム1」という)を説明する。
図1に示すように、遠隔操作システム1は、第1フォークリフト10と、第2フォークリフト20と、第1通信中継装置30と、第2通信中継装置40とを備えている。
【0018】
第1フォークリフト10は、左右一対の昇降可能なフォーク10Aを備えた車両10Bであって、搭乗不可能な無人フォークリフトである。第1フォークリフト10は、自律的に動作する自動モードと、第1フォークリフト10の運転操作を遠隔から行うための遠隔操作モードとを切り替え可能に構成されている。自動モードでは、第1フォークリフト10は、所定のプログラムに従って自律的に動作する。また、遠隔操作モードでは、第1フォークリフト10は、第2フォークリフト20から送信された遠隔操作信号を受信し、その遠隔操作信号に基づいて動作する。
【0019】
第2フォークリフト20は、左右一対の昇降可能なフォーク20Aを備えた車両20Bであって、オペレータPが搭乗する有人フォークリフトである。第2フォークリフト20は、第2フォークリフト20の運転操作を行うための通常操作モードと、第1フォークリフト10の運転操作を行うための他車操作モードとを切り替え可能に構成されている。通常操作モードでは、第2フォークリフト20は、オペレータPによる操作に基づいて動作する。また、他車操作モードでは、第2フォークリフト20は、オペレータPによる操作に基づいて遠隔操作信号を生成し、その遠隔操作信号を第1フォークリフト10に送信する。
【0020】
第1通信中継装置30および第2通信中継装置40は、第1フォークリフト10と第2フォークリフト20との通信を中継する装置である。第1通信中継装置30および第2通信中継装置40は、遠隔地を接続するためのネットワークNを介して互いに通信可能に構成されている。第1通信中継装置30は、第1フォークリフト10と無線で通信し、第2通信中継装置40は、第2フォークリフト20と無線で通信する。
【0021】
図2に示すように、第1フォークリフト10は、走行装置11と、荷役装置12と、障害物センサ13と、撮影装置14と、通信装置15と、制御装置16とを備えている。
【0022】
走行装置11は、車両10Bを走行させる装置である。走行装置11は、動力を発生させる電動機(図示略)、車両10Bの走行方向を変化させる操舵装置(図示略)、および、車両10Bを制動する制動装置(図示略)等を含んでいる。
【0023】
荷役装置12は、フォーク10Aを動作させる装置である。荷役装置12は、フォーク10Aを昇降させるリフト装置12A(
図1参照)、フォーク10Aを前進および後進させるリーチ装置(図示略)、ならびに、フォーク10Aを前傾および後傾させるチルト装置(図示略)等を備えている。リーチ装置は、フォーク10Aの昇降を案内するマスト12a(
図1参照:リフト装置12Aの構成要素)を前後方向に移動させることで、フォーク10Aを前進および後進させる。
【0024】
障害物センサ13は、第1フォークリフト10の走行を妨げる障害物を検出する装置である。第1フォークリフト10の自動モードでは、障害物センサ13により障害物が検出されたとき、第1フォークリフト10が動作を停止するようにプログラムされている。
【0025】
撮影装置14は、第1フォークリフト10の近傍の映像を撮影する装置である。撮影装置14は、第1フォークリフト10の少なくとも前方の映像を撮影する。撮影装置14は、第1フォークリフト10の1箇所に設けられた1つのカメラ、または、第1フォークリフト10の複数個所に設けられた複数のカメラにより構成される。
【0026】
通信装置15は、第1通信中継装置30と無線で通信する装置である。通信装置15は、撮影装置14で撮影した映像を示す映像信号等の送信、および、遠隔操作要求信号や遠隔操作信号等の受信を行う。
【0027】
制御装置16は、第1フォークリフト10の各部を制御する装置である。第1フォークリフト10の自動モードでは、制御装置16は、第1フォークリフト10に割り当てられている荷役作業を行うために、プログラムに従って走行装置11および荷役装置12を制御する。
【0028】
また、第1フォークリフト10の遠隔操作モードでは、制御装置16は、遠隔操作信号に基づいて、走行装置11および荷役装置12を制御する。具体的には、制御装置16は、遠隔操作信号に含まれる以下の[表1]の左欄に記載の信号を受信したとき、その信号に含まれる操作量情報に基づいて、同[表1]の右欄に記載のように走行装置11または荷役装置12を制御する。
【表1】
【0029】
図3に示すように、第2フォークリフト20は、走行装置21と、荷役装置22と、通信装置23と、表示装置24と、操作装置25と、モード切替装置26と、制御装置27とを備えている。
【0030】
走行装置21は、車両20Bを走行させる装置である。走行装置21は、動力を発生させる電動機(図示略)、車両20Bの走行方向を変化させる操舵装置(図示略)、および、車両20Bを制動する制動装置(図示略)等を備えている。
【0031】
荷役装置22は、フォーク20Aを動作させる装置である。荷役装置22は、フォーク20Aを昇降させるリフト装置22A(
図1参照)、フォーク20Aを前進および後進させるリーチ装置(図示略)、ならびに、フォーク20Aを前傾および後傾させるチルト装置(図示略)等を備えている。リーチ装置は、フォーク20Aの昇降を案内するマスト22a(
図1参照:リフト装置22Aの構成要素)を前後方向に移動させることで、フォーク20Aを前進および後進させる。
【0032】
通信装置23は、第2通信中継装置40と無線で通信する装置である。通信装置23は、映像信号の受信、および、制御装置27で生成された遠隔操作要求信号や遠隔操作信号等の送信を行う。
【0033】
表示装置24は、第2フォークリフト20に搭乗したオペレータPに映像を表示する装置である。第2フォークリフト20の他車操作モードでは、表示装置24は、通信装置23で受信した映像信号に基づいて、第1フォークリフト10の少なくとも前方の映像を表示する。
【0034】
操作装置25は、第2フォークリフト20に搭乗したオペレータPにより操作される装置であって、通常操作モードでは第2フォークリフト20を操作するための装置であり、他車操作モードでは第1フォークリフト10を操作するための装置である。操作装置25は、ステアリングハンドル25A、アクセルレバー25B、フットペダル25C、リフトレバー25D、リーチレバー25E、および、チルトレバー25Fを備えている。
【0035】
ステアリングハンドル25Aは、オペレータPが手で回して操作するためのホイールである。アクセルレバー25Bは、オペレータPが手で倒して操作するためのレバーである。フットペダル25Cは、オペレータPが足で踏んで操作するためのペダルである。リフトレバー25D、リーチレバー25E、および、チルトレバー25Fは、それぞれ、オペレータPが手で倒して操作するための荷役用レバーである。
【0036】
モード切替装置26は、操作装置25と同様にオペレータPにより操作される装置であって、通常操作モードと他車操作モードとを切り替えるための装置である。モード切替装置26は、例えば、レバースイッチ、押しボタンスイッチ、または、表示装置24を構成するタッチパネルディスプレイにより構成されている。
【0037】
制御装置27は、第2フォークリフト20の各部を制御する装置である。第2フォークリフト20の通常操作モードでは、制御装置27は、操作装置25の操作内容に応じて、走行装置21および荷役装置22を制御する。具体的には、制御装置27は、以下の[表2]の左欄に記載の構成が操作されたとき、その操作量に基づいて同[表2]の右欄に記載のように走行装置21または荷役装置22を制御する。なお、本実施形態のフットペダル25Cは、デッドマンブレーキペダルであり、オペレータPに踏まれていないときに車両10Bの制動量を最大にし、オペレータPに踏まれているときに車両10Bの制動量を0にするように構成されている。
【表2】
【0038】
また、制御装置27は、通常操作モードから他車操作モードに切り替えるようにモード切替装置26が操作されたとき、遠隔操作要求信号を生成する。第2フォークリフト20の他車操作モードでは、制御装置27は、操作装置25の操作内容に応じて遠隔操作信号を生成し、その遠隔操作信号を通信装置23に送信させる。具体的には、制御装置27は、以下の[表3]の左欄に記載の構成が操作されたとき、その操作量に基づいて同[表3]の右欄に記載の信号を含んだ遠隔操作信号を生成する。[表3]の右欄に記載の信号には、[表3]の左欄に記載の構成の操作量を示す操作量情報が含まれている。
【表3】
【0039】
図4を参照して、通常操作モードの第2フォークリフト20を操作しているオペレータPが、自動モードで動作している第1フォークリフト10を遠隔から操作する際の遠隔操作工程を説明する。
【0040】
図4に示すように、まず、第2フォークリフト20に搭乗しているオペレータPが、モード切替装置26を操作することで、第2フォークリフト20が通常操作モードから他車操作モードに切り替わる(ステップS1)。
【0041】
次いで、第2フォークリフト20が他車操作モードに切り替わったことに基づいて、第2フォークリフト20が第1フォークリフト10に対して遠隔操作を要求する(ステップS2)。具体的には、ステップS2では、制御装置27が遠隔操作要求信号を生成し、通信装置23が遠隔操作要求信号を送信することで、第1フォークリフト10の通信装置15が遠隔操作要求信号を受信する。なお、遠隔操作システム1が複数の第1フォークリフト10を備える場合には、操作対象とする第1フォークリフト10(すなわち遠隔操作要求信号の送信先となる第1フォークリフト10)をオペレータPが選択するように構成することが好ましい。
【0042】
次いで、第1フォークリフト10の通信装置15が遠隔操作要求信号を受信したことに基づいて、操作対象である第1フォークリフト10が自動モードから遠隔操作モードに切り替わる(ステップS3)。遠隔操作モードに切り替わった第1フォークリフト10は、撮影装置14で映像の撮影を開始し、通信装置15が映像信号を送信することで、第2フォークリフト20の通信装置23が映像信号を受信する。
【0043】
そして、オペレータPは、表示装置24が表示する映像を参照して操作装置25を操作することで、第2フォークリフト20から第1フォークリフト10を遠隔操作する(ステップS4)。具体的には、ステップS4では、第2フォークリフト20の通信装置23が、操作装置25の操作内容に基づいて制御装置27で生成された遠隔操作信号を送信し、第1フォークリフト10の制御装置16が、通信装置15で受信した遠隔操作信号に基づいて走行装置11および荷役装置12を制御する。
【0044】
より具体的には、ステップS4では、第2フォークリフト20の制御装置27は、以下の[表4]の左欄に記載の構成が操作されたとき、その操作量に基づく遠隔操作信号を生成し、第1フォークリフト10の制御装置16は、その遠隔操作信号に基づいて、同[表4]の右欄に記載のように走行装置11または荷役装置12を制御する。
【表4】
【0045】
本実施形態では以下の効果が得られる。
(1)第2フォークリフト20の通常操作モードでは、荷役用レバー(各レバー25D,25E,25F)が操作されることで、その操作量に応じて第2フォークリフト20のフォーク20Aが動作する。一方、第2フォークリフト20の他車操作モードでは、表示装置24が、第1フォークリフト10の近傍の映像を表示するとともに、荷役用レバー(各レバー25D,25E,25F)が操作されることで、その操作量に応じて第1フォークリフト10のフォーク10Aが動作する。この構成によれば、第2フォークリフト20に設けられた各レバー25D,25E,25Fが、第2フォークリフト20のフォーク20Aを操作するための装置と、第1フォークリフト10のフォーク10Aを遠隔操作するための装置とを兼ねているため、導入コストが低い遠隔操作システム1が実現でき、第1フォークリフト10を遠隔操作する際も従来と同様の操作感が得られる。
【0046】
(2)荷役用レバーには、フォーク10A,20Aを昇降させるためのリフトレバー25Dが含まれる。このため、オペレータPは、リフトレバー25Dを手で倒すことで、フォーク10A,20Aを昇降させることができる。
【0047】
(3)荷役用レバーには、マスト12a,22aを前後方向に移動させるためのリーチレバー25Eが含まれる。このため、オペレータPは、リーチレバー25Eを手で倒すことで、マスト12a,22aとともにフォーク10A,20Aを前後方向に移動させることができる。
【0048】
(4)荷役用レバーには、フォーク10A,20Aを前後方向に傾動させるためのチルトレバー25Fが含まれる。このため、オペレータPは、チルトレバー25Fを手で倒すことで、フォーク10A,20Aを前後方向に傾動させることができる。
【0049】
(5)第2フォークリフト20の通常操作モードでは、アクセルレバー25Bが操作されることで、その操作量に応じて第2フォークリフト20の加速度が変化する。一方、第2フォークリフト20の他車操作モードでは、アクセルレバー25Bが操作されることで、その操作量に応じて第1フォークリフト10の加速度が変化する。この構成によれば、第2フォークリフト20に設けられたアクセルレバー25Bが、第2フォークリフト20の走行を操作するための装置と、第1フォークリフト10の走行を遠隔操作するための装置とを兼ねることができる。
【0050】
(6)第1フォークリフト10は、所定のプログラムに従って自律的に動作する自動モードと、荷役用レバー(各レバー25D,25E,25F)の操作量に応じて動作する遠隔操作モードとを切り替え可能に構成されている。このため、第1フォークリフト10を遠隔操作しないときは、第1フォークリフト10が自律的に動作することで荷役を行うことができる。
【0051】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を変更することもできる。例えば、以下のように変更して実施することもでき、以下の変更を組み合わせて実施することもできる。
【0052】
・第1フォークリフト10が、第1フォークリフト10の走行を妨げる障害物が検出されたとき、第2フォークリフト20に対して遠隔操作を要求し、第2フォークリフト20が、遠隔操作の要求を受け付けることで、通常操作モードから他車操作モードに切り替わるように構成することもできる。以下、
図5を参照して、本変形例に係る遠隔操作工程を説明する。
【0053】
図5に示すように、制御装置16は、第1フォークリフト10の走行を妨げる障害物を障害物センサ13が検出したか否かを判定する(ステップS11)。障害物を検出していないと判定されたときは(ステップS11:NO)、障害物が検出されるまでステップS11が繰り返される。
【0054】
障害物を検出したと判定されたときは(ステップS11:YES)、第1フォークリフト10が第2フォークリフト20に対して遠隔操作を要求する(ステップS12)。具体的には、ステップS12では、制御装置16が遠隔操作要求信号を生成し、通信装置15が遠隔操作要求信号を送信することで、第2フォークリフト20の通信装置23が遠隔操作要求信号を受信する。
【0055】
次いで、制御装置27が、遠隔操作の要求を受け付けるか否かを判定する(ステップS13)。具体的には、ステップS13では、第2フォークリフト20の通信装置23が遠隔操作要求信号を受信したことに基づいて、第1フォークリフト10が遠隔操作を要求していることを示す映像を表示装置24が表示し、オペレータPが、その映像を参照してモード切替装置26を操作したか否かが判定される。すなわち、制御装置27は、モード切替装置26が操作されたとき、第2フォークリフト20が遠隔操作の要求を受け付けたと判定し、モード切替装置26が操作されていないとき、第2フォークリフト20が遠隔操作の要求を受け付けていないと判定する。遠隔操作の要求を受け付けていないと判定されたときは(ステップS13:NO)、モード切替装置26が操作されるまでステップS13が繰り返される。
【0056】
遠隔操作の要求を受け付けたと判定されたときは(ステップS13:YES)、第1フォークリフト10が自動モードから遠隔操作モードに切り替わり(ステップS14)、第2フォークリフト20が通常操作モードから他車操作モードに切り替わる(ステップS15)。そして、ステップS4と同様に、オペレータPは、表示装置24が表示する映像を参照して操作装置25を操作することで、第2フォークリフト20から第1フォークリフト10を遠隔操作する(ステップS16)。
【0057】
本変形例では、第2フォークリフト20は、第1フォークリフト10が要求した遠隔操作を受け付けることで、通常操作モードから遠隔操作モードに切り替わるため、障害物の検出に応じて第1フォークリフト10を遠隔操作することが可能となる。
【0058】
・第2フォークリフト20の操作装置25を用いて第1フォークリフト10を遠隔操作することができるのであれば、操作装置25の構成を適宜変更してもよい。例えば、フットペダル25Cは、オペレータPに踏まれているときに車両10Bを制動するブレーキペダルであってもよい。また、操作装置25は、アクセルレバー25Bに代えて、オペレータPが踏んで操作するための走行操作ペダルとしてアクセルペダルを備えていてもよい。
【0059】
・チルトレバー25Fは、マスト12a,22aを前後方向に傾動させるための荷役用レバーであってもよい。この場合、オペレータPは、チルトレバー25Fを手で倒すことで、マスト12a,22aとともにフォーク10A,20Aを前後方向に傾動させることができる。
【0060】
・表示装置24が第1フォークリフト10の近傍の映像を表示できるのであれば、第1フォークリフト10が撮影装置14を備えていなくてもよい。例えば、第1フォークリフト10が走行する倉庫内の天井に撮影装置を設け、その撮影装置で撮影された映像を表示装置24が表示するように構成してもよい。
【0061】
・第2フォークリフト20の操作装置25を用いて第1フォークリフト10を遠隔操作することができるのであれば、第1フォークリフト10および第2フォークリフト20は、リーチ式フォークリフトでなくてもよい。すなわち、第1フォークリフト10および第2フォークリフト20が、カウンタバランス式フォークリフトであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 フォークリフト遠隔操作システム
10 第1フォークリフト
10A フォーク
10B 車両
12a マスト
20 第2フォークリフト
20A フォーク
20B 車両
22a マスト
24 表示装置
25 操作装置
25A ステアリングハンドル
25B アクセルレバー
25C フットペダル
25D リフトレバー(荷役用レバー)
25E リーチレバー(荷役用レバー)
25F チルトレバー(荷役用レバー)
30 第1通信中継装置
40 第2通信中継装置
N ネットワーク
P オペレータ