(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】布類排出装置
(51)【国際特許分類】
D06F 95/00 20060101AFI20230912BHJP
D06F 67/04 20060101ALI20230912BHJP
D06F 89/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
D06F95/00
D06F67/04
D06F89/00
(21)【出願番号】P 2019107819
(22)【出願日】2019-06-10
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】502407130
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林田 誉生
(72)【発明者】
【氏名】井戸 昌志
(72)【発明者】
【氏名】須賀 啓介
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-007100(JP,U)
【文献】特開平04-053598(JP,A)
【文献】特開2003-117300(JP,A)
【文献】特開平11-211835(JP,A)
【文献】特開2006-150198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 95/00
D06F 67/04
D06F 89/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイロンローラから搬出されたアイロン掛け後の布類を折畳み機内への供給前に排出する布類排出装置において、
前記アイロンローラと前記折畳み機とを繋ぐ布類搬送経路を、前記アイロン掛け後の布類を前記折畳み機内に向かわせる通常経路と前記アイロン掛け後の布類を回収位置に向かわせる回収経路との間で変更する布類搬送経路変更手段と、
前記布類搬送経路変更手段の作動を制御する搬送経路変更制御手段と、
を具え
、
前記布類搬送経路変更手段は、前記アイロンローラの布類搬出コンベヤに対し前記折畳み機の布類搬入コンベヤのベルトを隙間が空くように移動させ、もしくは、
前記アイロンローラの布類搬出コンベヤと前記折畳み機の布類搬入コンベヤとを繋ぐ中間コンベヤを移動させて、前記布類搬送経路を前記通常経路と前記回収経路との間で変更することを特徴とする布類排出装置。
【請求項2】
前記布類搬送経路変更手段は、前記アイロンローラの布類搬出コンベヤに対し前記折畳み機の布類搬入コンベヤのベルトを隙間が空くように移動させて、前記布類搬送経路を前記通常経路と前記回収経路との間で変更するものである、請求項1記載の布類排出装置。
【請求項3】
前記回収位置は、前記隙間の下方に配置した回収ポケット内である、請求項2記載の布類排出装置。
【請求項4】
前記布類搬送経路変更手段は、前記アイロンローラの布類搬出コンベヤと前記折畳み機の布類搬入コンベヤとを繋ぐ中間コンベヤを移動させて、前記布類搬送経路を前記通常経路と前記回収経路との間で変更するものである、請求項1記載の布類排出装置。
【請求項5】
前記回収位置は、移動後の前記中間コンベヤの搬出先に配置した回収キャリア内である、請求項4記載の布類排出装置。
【請求項6】
前記回収位置は、前記隙間の下方に配置した排出コンベヤ上である、請求項2記載の布類排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、布類洗濯工場等においてアイロンローラから搬出されたアイロン掛け後の布類を折畳み機内への供給前に排出する布類排出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
布類洗濯工場においては、病院やホテル等で使用されたシーツや包布等の布類を洗濯した後、半乾きの状態で展張機により拡げ、アイロンローラに送ってアイロン掛けし、折畳み機により折り畳んで病院やホテル等へ再度供給している。
【0003】
図1は、このアイロンローラから折畳み機にかけての通常の設備構成を示す側面図であり、図中符号1はアイロンローラ、2は折畳み機をそれぞれ示す。アイロンローラ1は、シーツ等の布類の幅よりも幅広でかつ平滑な表面を持ち、その表面を内部のヒータによって加熱される複数本のローラを入口側から出口側まで並べて有し、前段の図示しない展張機で拡げられて入口から1枚ずつ供給された布類をそれらのローラの表面に順次にかつ裏表交互に接触させて布類を皺伸ばしするアイロン掛けを行い、その拡げられてアイロン掛けされた布類を1枚ずつ出口から搬出コンベヤ1aで搬出する。
【0004】
折畳み機2は、アイロンローラ1から搬入した布類を送り方向に直交する幅方向に延在する折り目に沿って2回折って四つ折りにする前機2Aと、その四つ折りにされた布類を送り方向に延在する折り目に沿って要求仕様に応じてさらに2回または3回折って16折りまたは32折にして搬出する後機2Bとを具え、前機2Aは、布類を前機2A内に取り込む搬入コンベヤ2aと、その搬入コンベヤ2a上に布類を押さえ付ける押さえコンベヤ2bと、布類を高位置まで持ち上げた後に低位置まで下ろす上げ下ろしコンベヤ2cと、その上げ下ろしコンベヤ2cとの間に布類を挟持する第1挟みコンベヤ2dと、布類を後機2Bに搬出する搬出コンベヤ2eと、それら上げ下ろしコンベヤ2cおよび搬出コンベヤ2eとの間に布類を挟持する第2挟みコンベヤ2fと、第1挟みコンベヤ2dと共働する上げ下ろしコンベヤ2cで高位置まで持ち上げられて垂れ下がった布類の送り方向中央部を矢印で示す水平軸線回りの揺動によって上げ下ろしコンベヤ2cと第2挟みコンベヤ2fとの間に押し込んで布類を二つ折りにする1/2折り刃2gと、上げ下ろしコンベヤ2cと共働する第2挟みコンベヤ2fで低位置まで下ろされて垂れ下がった二つ折りの布類の送り方向中央部を矢印で示す水平軸線回りの揺動によって第2挟みコンベヤ2fと搬出コンベヤ2eとの間に押し込んで布類を四つ折りにする1/4折り刃2hとを有し、さらに、搬入コンベヤ2aと上げ下ろしコンベヤ2cとの間の隙間を送られる布類の下向き面の汚れや破れ等を検査する第1画像検査装置2iと、上げ下ろしコンベヤ2c上を送られる布類の上向き面の汚れや破れ等を検査する第2画像検査装置2jとを有している。
【0005】
ところで、上記洗濯処理後の布類には、包布等の袋状のものや、ピロケースやタオル等の小形のものがあるが、それら小形の布類が袋状の布類内に塊状の異物として入っていた場合に、その袋状の布類をそのまま展張してアイロンローラでアイロン掛けした後に折畳み機内に通したのではそれらの機器内で布類が詰まって処理作業の停止や機器の故障等を生じさせる可能性があり、このため従来、例えば特許文献1記載の布類内異物検出装置が提案されている。
【0006】
この布類内異物検出装置は、布類の隣接する両隅部を、対をなすクランプで持ち上げて対をなすキャリッジに引き渡し、それらのキャリッジで拡げて投入コンベヤに移載し、その投入コンベヤでアイロンローラに投入する展張機と組み合わされて、アイロンローラへの投入前の布類内の異物を検出するものであり、左右方向に拡げられて投入コンベヤ上に上部から引き込まれてゆく布類の、投入コンベヤから垂れ下がった中間部から下部にかけての部分を下方に吸引して皺伸ばしする扁平の吸引室の入口部に進退移動可能に設けられてその布類を全幅に亘って扱くフラップにセンサを設け、そのセンサで検出したフラップの動作状態から異物を検出する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら展張機と組み合わされている上記布類内異物検出装置では、袋状の布類内の異物は柔らかい塊の状態となっているため、その異物の量が少ないとフラップの扱き動作で異物が潰れ、センサが異物を検出し損ねて、異物を内包した布類がアイロンローラを経て折畳み機内に入ろうとしたり入ってしまったりする場合があり、そのような場合には折畳み機の故障を防ぐために折畳み機を停止させて折畳み機の入り口や内部にある布類を取り除く必要がある一方で、アイロンローラは、停止させると高温の装置内部に残った布類の生地が傷んでしまうため停止させずに稼働させ続けることになる。
【0009】
そうすると、アイロンローラは内部に残った布類を搬出し続け、その布類が稼働を停止した折畳み機の入り口で滞留してしまう。この滞留した布類の回収作業を、従来は作業者が行う必要があり、アイロンローラから搬出された布類の温度は100℃近くの高温のため、その回収作業は、作業者がやけどを負う危険作業となる可能性がある。また、布類洗濯工場内の限られたスペースに機器を配置する必要上、アイロンローラと折畳み機との間隔も狭められているので、その狭い隙間に多くの布類が滞留すると回収作業に時間が掛かってしまう。
【0010】
さらに、アイロンローラの布類搬出コンベヤや折畳み機の布類搬入コンベヤは通常、布類を拡げて搬送するように幅狭のベルトを多数本並べて設計されていて、アイロンローラと折畳み機とを繋ぐ布類搬送経路を構成しているので、そのようなアイロンローラの布類搬出コンベヤや折畳み機の布類搬入コンベヤのベルト上に滞留した布類をベルトの横から引っ張って取り除こうとすると、それらの幅狭のベルトを横から引っ張って損傷させてしまうという問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上述の如き従来の洗濯後の布類の処理作業の課題を解決するものであり、この発明の布類排出装置は、
アイロンローラから搬出されたアイロン掛け後の布類を折畳み機内への供給前に排出する布類排出装置において、
前記アイロンローラと前記折畳み機とを繋ぐ布類搬送経路を、前記アイロン掛け後の布類を前記折畳み機内に向かわせる通常経路と前記アイロン掛け後の布類を回収位置に向かわせる回収経路との間で変更する布類搬送経路変更手段と、
前記布類搬送経路変更手段の作動を制御する搬送経路変更制御手段と、
を具えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
かかる本発明の布類排出装置にあっては、異物を内包した布類等がアイロンローラを経て折畳み機内に入ってしまうことによる折畳み機の故障を防ぐために折畳み機を停止させる場合に、搬送経路変更制御手段による作動制御に基づき、布類搬送経路変更手段が、アイロンローラと折畳み機とを繋ぐ布類搬送経路を、アイロン掛け後の布類を前記折畳み機に向かわせる通常経路から、アイロン掛け後の布類を回収位置に向かわせる回収経路に変更し、これにより、アイロンローラが搬出し続けるアイロン掛け後の布類が、布類搬送経路の回収経路によって回収位置に向かい、通常経路から排出される。
【0013】
従って、本発明の布類排出装置によれば、異物を内包した布類等がアイロンローラを経て折畳み機内に入ってしまい、折畳み機を停止させる場合に、アイロンローラが搬出し続けるアイロン掛け後の布類を、作業者の危険作業の必要なしに、かつ布類搬送経路を構成するコンベヤのベルトの損傷なしに、布類搬送経路の通常経路から排出させて回収位置で容易かつ速やかに回収することができる。
【0014】
そして、この発明の布類排出装置においては、前記布類搬送経路変更手段は、前記アイロンローラの布類搬出コンベヤに対し前記折畳み機の布類搬入コンベヤのベルトを隙間が空くように移動させて、前記布類搬送経路を前記通常経路と前記回収経路との間で変更するもの、もしくは、前記アイロンローラの布類搬出コンベヤと前記折畳み機の布類搬入コンベヤとを繋ぐ中間コンベヤを移動させて、前記布類搬送経路を前記通常経路と前記回収経路との間で変更するものとすることも特徴とする。
【0015】
なお、この発明の布類排出装置においては、前記回収位置は、前記隙間の下方または移動後の前記中間コンベヤの搬出先に配置した、回収ポケット内、回収キャリア内または 排出コンベヤ上でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】アイロンローラから折畳み機にかけての通常の設備構成を示す側面図である。
【
図2】本発明の布類排出装置の第1の実施形態の一構成例を示す側面図である。
【
図3】上記第1の実施形態の布類排出装置の他の一構成例を示す側面図である。
【
図4】上記第1の実施形態の布類排出装置のさらに他の一構成例を示す側面図である。
【
図5】上記第1の実施形態の布類排出装置のさらに他の一構成例を示す側面図である。
【
図6】本発明の布類排出装置の第2の実施形態を示す側面図である。
【
図7】本発明の布類排出装置の第3の実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、
図2は、アイロンローラの後の折畳み機と組み合わされたこの発明の布類排出装置の第1の実施形態の一構成例を示す側面図であり、図中、
図1に示すと同様の部分はそれと同一の符号にて示す。
【0018】
ここにおける折畳み機2も、図示の前機2Aの先(図では右側)に図示しない後機2Bを具え、前機2Aは、アイロンローラ1の搬出コンベヤ1aから搬入コンベヤ2aで受け取って搬入した布類を、送り方向に直交する幅方向に延在する折り目に沿って2回折って四つ折りにし、後機2Bは、その四つ折りにされた布類を、送り方向に延在する折り目に沿って、要求仕様に応じてさらに2回または3回折って16折りまたは32折りにして搬出する。
【0019】
この布類洗濯工場の設備構成において、アイロンローラ1の搬出コンベヤ1aから矢印Aで示すように搬出されたアイロン掛け後の布類Cが例えば異物Fを内包している場合、その布類Cが折畳み機2内に入ってしまうと、折畳み機2の故障を防ぐために折畳み機2を停止させて折畳み機2内の布類Cを取り除く必要がある一方で、アイロンローラ1は、停止させると高温の装置内部に残った布類の生地が傷んでしまうため停止させずに稼働させ続けることになる。
【0020】
そこで、異物Fを内包している布類C等の排出対象の布類を折畳み機2の前機2A内への供給前に排出するために、この折畳み機2の前機2Aに組み合わされた上記第1の実施形態の布類排出装置3は、布類搬送経路変更手段として、アイロンローラ1と折畳み機2の前機2Aとを繋ぐ布類搬送経路を構成するアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aと前機2Aの搬入コンベヤ2aとのうち、前機2Aの搬入コンベヤ2aの傾斜角度を変更するエアシリンダ3aを具えている。
【0021】
このエアシリンダ3aは、通常のコンピュータと空圧制御装置とを有して前機2A内の上述した各コンベヤや折り刃等の作動を制御する図示しないコントローラからの指令で作動し、搬入コンベヤ2aの前端の高さをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端の高さに揃えて、搬出コンベヤ1aの後端から搬入コンベヤ2aの前端への布類Cの円滑かつ確実な受け取りを可能にしているが、第1の実施形態の布類排出装置3は、このコントローラを搬送経路変更制御手段として使用するとともにエアシリンダ3aを布類搬送経路変更手段として使用しており、エアシリンダ3aは上記コントローラによる作動制御に基づき搬入コンベヤ2aの傾斜角度を変更し、
図2に示す構成例では、アイロンローラ1と折畳み機2の前機2Aとを繋ぐ布類搬送経路を、搬入コンベヤ2aの前端高さをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端高さに揃えることでアイロン掛け後の布類Cを折畳み機2の前機2A内に向かわせる通常経路と、搬入コンベヤ2aの前端高さをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端高さよりも低くするとともに搬入コンベヤ2aの前端をアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端から離間させることでアイロン掛け後の布類Cをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端から落下させて下方の回収位置に向かわせる回収経路との間で、矢印Rで示すように変更する。
【0022】
第1の実施形態の布類排出装置3はさらに、搬入コンベヤ2aの前端とアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端との隙間の下方に位置するように折畳み機2の前機2Aに着脱可能に吊り下げ配置された回収ポケット4を具えており、この回収ポケット4は搬入コンベヤ2aの幅方向の全長に亘って延在するとともに、上端が開いた袋状をなし、回収ポケット4内は、搬入コンベヤ2aの前端とアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端との隙間から落下して通常経路から排出された布類Dの回収位置となる。なお、布類Dで一杯になった回収ポケット4は、空の回収ポケット4に着脱交換され、排出された布類Dは通常の布類Cとは別途に処理される。
【0023】
従って、この第1の実施形態の布類排出装置3のこの
図2の構成例によれば、異物Fを内包した布類C等がアイロンローラ1を経て折畳み機2の前機2A内に入ってしまうのを回避するために折畳み機2の前機2Aを停止させる場合に、アイロンローラ1が搬出し続けるアイロン掛け後の布類Cを、作業者の危険作業の必要なしに、かつ布類搬送経路を構成する搬出コンベヤ1aおよび搬入コンベヤ2aのベルトの損傷なしに、布類搬送経路の通常経路から排出させて回収位置の回収ポケット4で容易かつ速やかに回収することができる。
【0024】
図3は、上記第1の実施形態の布類排出装置の他の一構成例を示す側面図であり、この構成例では、エアシリンダ3aが上記コントローラによる作動制御に基づき搬入コンベヤ2aの傾斜角度を変更し、アイロンローラ1と折畳み機2の前機2Aとを繋ぐ布類搬送経路を、搬入コンベヤ2aの前端高さをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端高さに揃えることでアイロン掛け後の布類Cを折畳み機2の前機2A内に向かわせる通常経路と、搬入コンベヤ2aの前端高さをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端高さよりも高くするとともに搬入コンベヤ2aの前端をアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端から離間させることでアイロン掛け後の布類Cをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端から落下させて下方の回収位置に向かわせる回収経路との間で、矢印Rで示すように変更する点でのみ、先の構成例と異なっており、他の点では先の構成例と同一構成とされている。
【0025】
従って、この第1の実施形態の布類排出装置3のこの
図3の構成例によっても、異物Fを内包した布類C等がアイロンローラ1を経て折畳み機2の前機2A内に入ってしまうのを回避するために折畳み機2の前機2Aを停止させる場合に、アイロンローラ1が搬出し続けるアイロン掛け後の布類Cを、作業者の危険作業の必要なしに、かつ布類搬送経路を構成する搬出コンベヤ1aおよび搬入コンベヤ2aのベルトの損傷なしに、布類搬送経路の通常経路から排出させて回収位置の回収ポケット4で容易かつ速やかに回収することができる。
【0026】
図4は、上記第1の実施形態の布類排出装置のさらに他の一構成例を示す側面図であり、エアシリンダ3aは、通常のコンピュータと空圧制御装置とを有して前機2A内の上述した各コンベヤや折り刃等の作動を制御する図示しないコントローラからの指令で作動し、傾斜した搬入コンベヤ2aの前端をその傾斜方向に進退移動させることでその前端高さをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端高さに揃えて、搬出コンベヤ1aの後端から搬入コンベヤ2aの前端への布類Cの円滑かつ確実な受け取りを可能にしているが、第1の実施形態の布類排出装置3は、このコントローラを搬送経路変更制御手段として使用するとともにエアシリンダ3aを布類搬送経路変更手段として使用しており、この構成例では、エアシリンダ3aは上記コントローラによる作動制御に基づき搬入コンベヤ2aの進退移動位置を変更し、アイロンローラ1と折畳み機2の前機2Aとを繋ぐ布類搬送経路を、搬入コンベヤ2aの前端高さをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端高さに揃えることでアイロン掛け後の布類Cを折畳み機2の前機2A内に向かわせる通常経路と、搬入コンベヤ2aの前端高さをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端高さよりも高くするとともに搬入コンベヤ2aの前端をアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端から離間させることでアイロン掛け後の布類Cをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端から落下させて下方の回収位置に向かわせる回収経路との間で、矢印Rで示すように変更する。
【0027】
従って、この第1の実施形態の布類排出装置3のこの
図4の構成例によっても、異物Fを内包した布類C等がアイロンローラ1を経て折畳み機2の前機2A内に入ってしまうのを回避するために折畳み機2の前機2Aを停止させる場合に、アイロンローラ1が搬出し続けるアイロン掛け後の布類Cを、作業者の危険作業の必要なしに、かつ布類搬送経路を構成する搬出コンベヤ1aおよび搬入コンベヤ2aのベルトの損傷なしに、布類搬送経路の通常経路から排出させて回収位置の回収ポケット4で容易かつ速やかに回収することができる。
【0028】
図5は、上記第1の実施形態の布類排出装置のさらに他の一構成例を示す側面図であり、この構成例では、通常のコンピュータと空圧制御装置とを有して前機2A内の上述した各コンベヤや折り刃等の作動を制御する上述した図示しないコントローラを搬送経路変更制御手段として使用するとともに搬入コンベヤ2a自体を布類搬送経路変更手段として使用しており、搬入コンベヤ2aは、そのコントローラからの指令で作動し、アイロンローラ1と折畳み機2の前機2Aとを繋ぐ布類搬送経路を、搬入コンベヤ2aの前端高さがアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端高さに揃うとともに搬送方向を前機2A内に向かう方向とすることでアイロン掛け後の布類Cを折畳み機2の前機2A内に向かわせる通常経路と、搬入コンベヤ2aの前端高さはアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端高さに揃っているが搬送方向を矢印Bで示すように前機2A内とは逆方向に向かうように変更することでアイロン掛け後の布類Cを搬入コンベヤ2a上に載せずにアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端から落下させて下方の回収位置に向かわせる回収経路との間で変更する。
【0029】
この第1の実施形態の布類排出装置3のこの
図5の構成例によっても、異物Fを内包した布類C等がアイロンローラ1を経て折畳み機2の前機2A内に入ってしまうのを回避するために折畳み機2の前機2Aを停止させる場合に、アイロンローラ1が搬出し続けるアイロン掛け後の布類Cを、作業者の危険作業の必要なしに、かつ布類搬送経路を構成する搬出コンベヤ1aおよび搬入コンベヤ2aのベルトの損傷なしに、布類搬送経路の通常経路から排出させて回収位置の回収ポケット4で容易かつ速やかに回収することができる。
【0030】
図6は、本発明の布類排出装置の第2の実施形態を示す側面図であり、この第2の実施形態の布類排出装置3は、先の第1の実施形態におけると同様、異物を内包している布類C等の排出対象の布類Dを折畳み機2の前機2A内への供給前に排出するために、布類搬送経路変更手段として、アイロンローラ1と折畳み機2の前機2Aとを繋ぐ布類搬送経路を構成するアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aと前機2Aの搬入コンベヤ2aとの、従来よりも間隔を拡げられた隙間に、それら搬出コンベヤ1aと搬入コンベヤ2aとを繋ぐ中間コンベヤ5を例えばエアシリンダで昇降可能にして配置するとともに、前機2Aの上記コントローラを搬送経路変更制御手段として使用して、その中間コンベヤ5の昇降作動および搬送作動を制御する。中間コンベヤ5は、
図6中に破線で示す上昇位置ではアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端と前機2Aの搬入コンベヤ2aの前端と繋いで、それらの間で布類C搬送することで布類搬送経路の通常経路を構成し、図中矢印Rで示すようにその上昇位置から下降させた、
図6中に実線で示す下降位置ではアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端から落下する布類Dを受け取って通常経路の場合と同様に図では右方へ搬送し、回収位置となる排出キャリア6内に落下させる。排出キャリア6は車輪を持ち、排出された布類Dの処理場所へ自走あるいは作業者の手押しで移動することができる。
【0031】
従って、この第2の実施形態の布類排出装置3によれば、異物を内包した布類C等がアイロンローラ1を経て折畳み機2の前機2A内に入ってしまうのを回避するために折畳み機2の前機2Aを停止させる場合に、アイロンローラ1が搬出し続けるアイロン掛け後の布類Cを、作業者の危険作業の必要なしに、かつ布類搬送経路を構成する搬出コンベヤ1aおよび搬入コンベヤ2aのベルトの損傷なしに、しかも中間コンベヤ5のベルトの損傷もなしに、布類搬送経路の通常経路から排出させて回収位置の排出キャリア6で容易かつ速やかに回収することができる。
【0032】
図7は、本発明の布類排出装置の第3の実施形態を示す側面図であり、この第3の実施形態の布類排出装置3は、第1の実施形態の布類排出装置3と同様、前機2Aのコントローラを搬送経路変更制御手段として使用するとともにエアシリンダ3aを布類搬送経路変更手段として使用しており、エアシリンダ3aは上記コントローラによる作動制御に基づき搬入コンベヤ2aの傾斜角度を変更し、アイロンローラ1と折畳み機2の前機2Aとを繋ぐ布類搬送経路を、搬入コンベヤ2aの前端高さをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端高さに揃えることでアイロン掛け後の布類Cを折畳み機2の前機2A内に向かわせる通常経路と、搬入コンベヤ2aの前端高さをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端高さよりも低くするとともに搬入コンベヤ2aの前端をアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端から離間させることでアイロン掛け後の布類Cをアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端から落下させて下方の回収位置に向かわせる回収経路との間で、矢印Rで示すように変更する。
【0033】
第3の実施形態の布類排出装置3はさらに、搬入コンベヤ2aの前端とアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端との隙間の下方に位置するように配置されるとともに上記コントローラで作動を制御される排出コンベヤ7を具えており、この排出コンベヤ7は搬入コンベヤ2aの幅方向の全長に亘って延在し、排出コンベヤ7上は、搬入コンベヤ2aの前端とアイロンローラ1の搬出コンベヤ1aの後端との隙間から落下して通常経路から排出された布類Dの回収位置となる。なお、排出コンベヤ7上に落下した布類Dは、通常の布類Cとは別途の処理場所へ搬送され、異物の取り出し等の処理を行われて正常な状態に戻され、あるいは廃棄される。
【0034】
従って、この第3の実施形態の布類排出装置3によれば、異物を内包した布類C等がアイロンローラ1を経て折畳み機2の前機2A内に入ってしまうのを回避するために折畳み機2の前機2Aを停止させる場合に、アイロンローラ1が搬出し続けるアイロン掛け後の布類Cを、作業者の危険作業の必要なしに、かつ布類搬送経路を構成する搬出コンベヤ1aおよび搬入コンベヤ2aのベルトの損傷なしに、布類搬送経路の通常経路から排出させて回収位置の排出コンベヤ7で容易かつ速やかに回収することができる。
【0035】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば上記各実施形態では折畳み機2が前機2Aと後機2Bとに分かれているが、折畳み機2は、前機2Aと後機2Bとの機能を併せ持つ一体型のものでもよい。
【0036】
さらに、エアシリンダ3aに代えて油圧シリンダや電動ボールネジ式直線駆動機構等を用いても良い。そして搬送経路変更制御手段は、上記各実施形態では折畳み機2の前機2Aのコントローラで構成したが、作業者の操作によって布類搬送経路変更手段としてのエアシリンダ3a等の作動を制御する制御スイッチで構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
かくして本発明の布類排出装置によれば、異物を内包した布類等がアイロンローラを経て折畳み機内に入ってしまい、折畳み機を停止させる場合に、アイロンローラが搬出し続けるアイロン掛け後の布類を、作業者の危険作業の必要なしに、かつ布類搬送経路を構成するコンベヤのベルトの損傷なしに、布類搬送経路の通常経路から排出させて回収位置で容易かつ速やかに回収することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 アイロンローラ
1a 搬出コンベヤ
2 折畳み機
2A 前機
2B 後機
2a 搬入コンベヤ
2b 押さえコンベヤ
2c 上げ下ろしコンベヤ
2d 第1挟みコンベヤ
2e 搬出コンベヤ
2f 第2挟みコンベヤ
2g 1/2折り刃
2h 1/4折り刃
2i 第1画像検査装置
2j 第2画像検査装置
3 布類排出装置
3a エアシリンダ
4 回収ポケット
5 中間コンベヤ
6 排出キャリア
7 排出コンベヤ
C 布類
F 異物
D 排出された布類