(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/02 20060101AFI20230912BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G02B13/02
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2019114667
(22)【出願日】2019-06-20
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】521351719
【氏名又は名称】東京晨美光学電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】平野 整
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0107690(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0033557(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0052350(US,A1)
【文献】特開2015-052674(JP,A)
【文献】特開2017-037342(JP,A)
【文献】特開2010-060894(JP,A)
【文献】特開2010-060903(JP,A)
【文献】特開2017-219599(JP,A)
【文献】特開2020-067542(JP,A)
【文献】特開2006-154481(JP,A)
【文献】特開2019-095625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子上に被写体像を形成する撮像レンズであって、物体側から像面側に向かって順に、
負の屈折力を有する第1レンズと、
正の屈折力を有する第2レンズと、
正の屈折力を有する第3レンズと、
第4レンズと、
第5レンズと、
第6レンズと、
第7レンズと、
負の屈折力を有する第8レンズと、
から成り、
前記第8レンズは、
像面側に凹面を向けたメニスカスレンズに形成されているとともに、像面側の面は変曲点が設けられた非球面形状を有し、
レンズ系全体の焦点距離をf、前記第1レンズと前記第2レンズとの間の光軸上の距離をD12としたとき、
0.05<D12/f<0.20、
を満足する撮像レンズ。
【請求項2】
前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズの焦点距離をf2としたとき、
-10.0<f1/f2<-0.8、
を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項3】
前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第3レンズの焦点距離をf3としたとき、
1.0<f2/f3<6.5、
を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項4】
レンズ系全体の焦点距離をf、前記第3レンズの焦点距離をf3としたとき、
0.3<f3/f<3.5、
を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項5】
レンズ系全体の焦点距離をf、前記第4レンズの像面側の面の曲率半径R4rとしたとき、
0.2<R4r/f<1.0、
を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項6】
レンズ系全体の焦点距離をf、前記第4レンズと前記第5レンズとの間の光軸上の距離をD45としたとき、
0.08<D45/f<0.20、
を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項7】
前記第5レンズと前記第6レンズとの間の光軸上の距離をD56、前記第6レンズと前記第7レンズとの間の光軸上の距離D67としたとき、
0.5<D56/D67<4.0、
を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項8】
レンズ系全体の焦点距離をf、前記第8レンズの焦点距離をf8としたとき、
-3.0<f8/f<-0.3、
を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項9】
レンズ系全体の焦点距離をf、前記第8レンズの物体側の面の曲率半径R8fとしたとき、
0.2<R8f/f<1.8、
を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子上に被写体像を形成する撮像レンズに係り、携帯電話機や携帯情報端末等の携帯機器に内蔵されるカメラ、デジタルスティルカメラ、セキュリティカメラ、車載カメラ、ネットワークカメラ等の比較的小型のカメラへの組み込みが好適な撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
音声通話機能とともに様々な機能の利用が可能な多機能携帯電話機、いわゆるスマートフォン(smartphone)の普及が進んでいる。カメラ機能はその中でも最も多く利用される機能の一つである。こうしたカメラ機能を実現するため、スマートフォンには1基以上のカメラが搭載される。近年、画像の処理能力の向上や画像処理技術の発展に伴い、スマートフォンに搭載されるカメラの数は増加する傾向にある。解像度や画角等の異なる2基以上のカメラが搭載されたスマートフォンにおいては、各カメラの撮像レンズを通して撮影された画像がソフトウェアにより合成され、画像の高解像度化やズーム機能が実現される。スマートフォンに搭載されるカメラは今後も需要の増加が見込まれる。
【0003】
被写体を精細に撮影したり被写体に関してより多くの情報を取得したりするためには、高画素の撮像素子とともに解像度の高い撮像レンズが必要になる。撮像レンズの高解像度化を実現するための方法の一つとして、撮像レンズを構成するレンズの枚数を諸収差の補正の難易度に応じて増加させる方法がある。しかしながら、安易なレンズ枚数の増加は撮像レンズの大型化を招き易い。撮像レンズの開発においては、光学全長(Total Track Length)の伸長を抑制しつつ解像度を向上させる必要がある。
【0004】
8枚のレンズから成るレンズ構成は、撮像レンズを構成するレンズの枚数が多いことから設計上の自由度が高く、諸収差を良好に補正できる。8枚構成の撮像レンズとしては、例えば特許文献1に記載の撮像レンズが知られている。
【0005】
特許文献1に記載の撮像レンズは、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負の第1レンズと、両凸形状の第2レンズと、両凹形状の第3レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正の第4レンズと、両凸形状の第5レンズと、両凹形状の第6レンズと、像面側に凸面を向けたメニスカス形状の負の第7レンズと、両凸形状の第8レンズとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の撮像レンズによれば、広角端において画角が64°と広いながらも比較的良好に諸収差を補正できる。しかしながら、当該撮像レンズはレンズ系全体の焦点距離に対して光学全長が長いため、スマートフォン等の薄型の機器に内蔵される小型のカメラに組み込むには不向きである。特許文献1に記載の撮像レンズによっては、小型化や低背化を図りつつより良好な収差補正を実現することは困難である。
【0008】
なお、こうした問題はスマートフォンに組み込まれる撮像レンズに特有の問題ではなく、携帯電話機、携帯情報端末、デジタルスティルカメラ、セキュリティカメラ、車載カメラ、ネットワークカメラ等の比較的小型のカメラに組み込まれる撮像レンズにおいて共通の問題である。
【0009】
本発明の目的は、広角でありながらも撮像レンズの小型化と良好な収差補正との両立を図ることのできる撮像レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の撮像レンズは、撮像素子上に被写体像を形成する撮像レンズであって、物体側から像面側に向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、第4レンズと、第5レンズと、第6レンズと、第7レンズと、負の屈折力を有する第8レンズとを備える。第8レンズは、変曲点が設けられた非球面形状の像面側の面を有する。
【0011】
本発明の撮像レンズでは、最も物体側に配置される第1レンズが負の屈折力を有するため、撮像レンズの広角化を好適に図りつつバックフォーカスを確保することができる。一方、第1レンズの像面側に配置される第2レンズおよび第3レンズは共に正の屈折力を有する。撮像レンズの小型化に伴ってこれら第2レンズおよび第3レンズの屈折力は強くなる傾向にあるものの、2枚のレンズによって正の屈折力が分担されるため、第2レンズおよび第3レンズにおけるレンズ中心部の肉厚とレンズ周辺部の肉厚との均一性からの乖離度合、いわゆる偏肉比の増大が抑制される。このため、撮像レンズの低Fナンバー化において問題となることの多い第2レンズおよび第3レンズの偏肉比の増大を好適に抑制することができる。
【0012】
最も像面側に近い第8レンズの像面側の面を、変曲点を有する非球面形状に形成することにより、バックフォーカスを確保しつつ画像周辺部の像面湾曲および歪曲収差を良好に補正できる。第8レンズのこのような形状によればまた、撮像レンズから出射した光線の撮像素子の像面への入射角度を主光線角度(CRA:Chief Ray Angle)の範囲内に抑制しつつ、近軸および周辺の諸収差を良好に補正することができる。
【0013】
なお、本発明において「レンズ」とは、屈折力を有する光学要素を指すものとする。よって、光の進行方向を変えるプリズムや平板のフィルタ等の光学要素は本発明の「レンズ」に含まれず、これら光学要素は適宜、撮像レンズの前後や各レンズ間に配置することができる。
【0014】
上記構成の撮像レンズにおいては、第1レンズの像面側の面を、変曲点が設けられた非球面形状に形成することが望ましい。
【0015】
第1レンズの像面側の面に変曲点を設けることにより、撮像レンズの低Fナンバー化に伴って発生し易い、中心光束の瞳外周における収差成分を良好に補正できる。また、第1ンズよりも像面側に配置されたレンズで発生する全反射光によるフレアを好適に低減できる。
【0016】
上記構成の撮像レンズにおいては、第2レンズの像面側の面を、変曲点が設けられた非球面形状に形成することが望ましい。
【0017】
第2レンズの像面側の面に変曲点を設けることにより、撮像レンズの低Fナンバー化に伴って発生し易い、中心光束の瞳外周における収差成分を良好に補正できる。また、第2レンズよりも像面側に配置されたレンズで発生する全反射光によるフレアを好適に低減できる。
【0018】
上記構成の撮像レンズにおいては、第1レンズの物体側の面の曲率半径をR1f、第1レンズの像面側の面の曲率半径をR1rとしたとき、次の条件式(1)を満足することが望ましい。
0.7<R1f/R1r<1.6 (1)
【0019】
条件式(1)を満足することにより、撮像レンズの小型化を図りつつ広角化を実現することができる。また、バックフォーカスを確保できる。
【0020】
上記構成の撮像レンズにおいては、さらに以下の条件式(1a)を満足することが望ましい。
1.0<R1f/R1r<1.6 (1a)
【0021】
上記構成の撮像レンズにおいては第1レンズを、物体側に凸面を向けた形状に形成することが望ましい。第1レンズをこのような形状に形成することで撮像レンズの小型化をより好適に図ることができる。
【0022】
上記構成の撮像レンズにおいては、第1レンズの焦点距離をf1、第2レンズの焦点距離をf2としたとき、次の条件式(2)を満足することが望ましい。
-10.0<f1/f2<-0.8 (2)
【0023】
条件式(2)を満足することにより、撮像レンズの小型化を図りつつ球面収差および色収差を良好に補正できる。
【0024】
上記構成の撮像レンズにおいては、さらに次の条件式(2a)を満足することが望ましい。
-8.0<f1/f2<-0.8 (2a)
【0025】
上記構成の撮像レンズにおいては、さらに次の条件式(2b)を満足することが望ましい。
-6.0<f1/f2<-1.0 (2b)
【0026】
上記構成の撮像レンズにおいては、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズと第2レンズとの間の光軸上の距離をD12としたとき、次の条件式(3)を満足することが望ましい。
0.05<D12/f<0.20 (3)
【0027】
条件式(3)を満足することにより、撮像レンズの小型化を図りつつ色収差を良好に補正できる。
【0028】
上記構成の撮像レンズにおいては、第2レンズの焦点距離をf2、第3レンズの焦点距離をf3としたとき、次の条件式(4)を満足することが望ましい。
1.0<f2/f3<6.5 (4)
【0029】
条件式(4)を満足することにより、撮像レンズの小型化を図りつつ、コマ収差、像面湾曲、および歪曲収差をバランスよく良好に補正することができる。また、バックフォーカスを好適に確保できる。
【0030】
上記構成の撮像レンズにおいては、さらに次の条件式(4a)を満足することが望ましい。
1.2<f2/f3<5.5 (4a)
【0031】
上記構成の撮像レンズにおいては、さらに次の条件式(4b)を満足することが望ましい。
1.4<f2/f3<4.5 (4b)
【0032】
上記構成の撮像レンズにおいては、レンズ系全体の焦点距離をf、第3レンズの焦点距離をf3としたとき、次の条件式(5)を満足することが望ましい。
0.3<f3/f<3.5 (5)
【0033】
条件式(5)を満足することにより、撮像レンズの小型化を図りつつ球面収差を良好に補正できる。
【0034】
上記構成の撮像レンズにおいては、さらに次の条件式(5a)を満足することが望ましい。
0.5<f3/f<2.5 (5a)
【0035】
上記構成の撮像レンズにおいては、第3レンズを、光軸近傍で両凸レンズとなる形状、すなわち物体側の面の曲率半径が正となり、像面側の面の曲率半径が負となる形状に形成することが望ましい。
【0036】
上記構成の撮像レンズにおいては、レンズ系全体の焦点距離をf、第4レンズの像面側の面の曲率半径R4rとしたとき、次の条件式(6)を満足することが望ましい。
0.2<R4r/f<1.0 (6)
【0037】
条件式(6)を満足することにより、撮像レンズの製造に際して生じるディセンタ(偏芯)やチルト等に対する結像性能の劣化に対する敏感度(製造誤差感度)の上昇を抑制することができる。また、色収差を良好に補正しつつ、第4レンズよりも像面側に配置されるレンズで発生する全反射によるフレアを好適に低減できる。
【0038】
上記構成の撮像レンズにおいては、第4レンズを、光軸近傍において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状、すなわちに物体側の面の曲率半径および像面側の面の曲率半径が共に正となる形状に形成することが望ましい。
【0039】
上記構成の撮像レンズにおいては、レンズ系全体の焦点距離をf、第4レンズと第5レンズとの間の光軸上の距離をD45としたとき、次の条件式(7)を満足することが望ましい。
0.08<D45/f<0.20 (7)
【0040】
条件式(7)を満足することにより、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度をCRAの範囲内に抑制しつつ、像面湾曲および歪曲収差を良好に補正できる。また、バックフォーカスを確保できる。
【0041】
上記構成の撮像レンズにおいては、第6レンズを、光軸近傍で像面側に凸面を向けた形状に形成することが望ましい。
【0042】
上記構成の撮像レンズにおいては、第5レンズと第6レンズとの間の光軸上の距離をD56、第6レンズと第7レンズとの間の光軸上の距離D67としたとき、次の条件式(8)を満足することが望ましい。
0.5<D56/D67<4.0 (8)
【0043】
条件式(8)を満足することにより、撮像レンズの小型化を図りつつ、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度をCRAの範囲内に好適に抑制できる。
【0044】
上記構成の撮像レンズにおいては、第7レンズの光軸上の厚さをT7、第8レンズの光軸上の厚さをT8としたとき、次の条件式(9)を満足することが望ましい。
0.4<T7/T8<3.5 (9)
【0045】
撮像レンズの低背化を図ると、像面に近い位置に配置されるレンズ程、有効径が大きくなる傾向にある。条件式(9)を満足することにより、有効径が比較的大きくなりがちな第7レンズと第8レンズの光軸上の厚みが良好に保たれる。このため、撮像レンズの低背化を図りつつ諸収差を良好に補正できる。また、バックフォーカスの確保も可能となる。なお、第7レンズおよび第8レンズをプラスチック材料から形成する場合には、当該条件式(9)を満足することにより、レンズの製造コストの低減とともにレンズの成形性を確保することができる。
【0046】
上記構成の撮像レンズにおいては、レンズ系全体の焦点距離をf、第7レンズと第8レンズとの間の光軸上の距離をD78としたとき、次の条件式(10)を満足することが望ましい。
0.04<D78/f<0.16 (10)
【0047】
条件式(10)を満足することにより、バックフォーカスを確保しつつ、像面湾曲、非点収差、および歪曲収差をバランスよく良好に補正できる。
【0048】
上記構成の撮像レンズにおいては、レンズ系全体の焦点距離をf、第8レンズの焦点距離をf8としたとき、次の条件式(11)を満足することが望ましい。
-3.0<f8/f<-0.3 (11)
【0049】
条件式(11)を満足することにより、バックフォーカスを確保しつつ像面湾曲および歪曲収差を良好に補正できる。また、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度をCRAの範囲内に好適に抑制できる。
【0050】
上記構成の撮像レンズにおいては、レンズ系全体の焦点距離をf、第8レンズの物体側の面の曲率半径R8fとしたとき、次の条件式(12)を満足することが望ましい。
0.2<R8f/f<1.8 (12)
【0051】
条件式(12)を満足することにより、撮像レンズの小型化を図りつつ、非点収差、コマ収差、および歪曲収差をバランスよく良好に補正できる。また、バックフォーカスを確保できる。
【0052】
上記構成の撮像レンズにおいて第8レンズは、像面側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状に形成することが望ましい。第8レンズをこのような形状に形成することで撮像レンズの低背化を好適に図ることができる。
【0053】
上記構成の撮像レンズにおいては、レンズ系全体の焦点距離をf、第8レンズの像面側の面の近軸曲率半径をR8rとしたとき、以下の条件式(13)を満足することが望ましい。
0.1<R8r/f<0.5 (13)
【0054】
第8レンズの像面側の面は撮像レンズにおいて最も像面側に位置する。この面の屈折力の大小によって非点収差、コマ収差、および歪曲収差の補正の困難さが異なることになる。条件式(13)を満足することにより、撮像レンズの小型化を図りつつ、非点収差、コマ収差、および歪曲収差を良好に補正することができる。また、本条件式(13)を満足することはバックフォーカスの確保の点からも有効である。
【0055】
上記構成の撮像レンズにおいては、色収差を良好に補正するため、第1レンズのアッベ数をνd1、第2レンズのアッベ数をνd2、第3レンズのアッベ数をνd3としたとき、以下の条件式(14)~(16)を満足することが望ましい。
10<νd1<35 (14)
35<νd2<85 (15)
35<νd3<85 (16)
【0056】
本発明の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズの物体側の面から像面までの光軸上の距離をTLとしたとき、次の条件式(17)を満足することが望ましい。当該条件式(17)を満足することにより、撮像レンズの小型化を好適に図ることができる。
1.0<TL/f<1.5 (17)
【0057】
なお、撮像レンズと像面との間には通常、赤外線カットフィルターやカバーガラス等の挿入物が配置されることが多いが、本明細書ではこれら挿入物の光軸上の距離については空気換算長を用いる。
【0058】
ところで、薄型の携帯機器、例えばスマートフォンに内蔵される撮像レンズにおいては、限られたスペース内に撮像レンズを収納する必要があることから、撮像素子の大きさに対する撮像レンズの光軸方向の長さについて厳しい制約が課されることが多い。すなわち、撮像レンズの低背化が強く求められる。そこで、本願発明の撮像レンズは、第1レンズの物体側の面から像面までの光軸上の距離をTL、最大像高をHmaxとしたとき、次の条件式(18)を満足することが望ましい。
1.2<TL/Hmax<2.2 (18)
【0059】
上記構成の撮像レンズにおいて第4レンズが正の屈折力を有する場合には、第4レンズの焦点距離をf4、第5レンズの焦点距離をf5としたとき、次の条件式(13)を満足することが望ましい。
-25.0<f4/f5<-5.0 (19)
【0060】
条件式(19)を満足することにより、第2レンズおよび第3レンズに加えて第4レンズも正の屈折力を有するため、各レンズが有する正の屈折力が比較的弱くなり、色収差を良好に補正できる。
【0061】
上記構成の撮像レンズにおいては、さらに次の条件式(19a)を満足することが望ましい。
-22.0<f4/f5<-7.0 (19a)
【0062】
上記構成の撮像レンズにおいて第4レンズが正の屈折力を有する場合には、第5レンズを、光軸近傍で物体側に凹面を向けた形状に形成することが望ましい。
【0063】
上記構成の撮像レンズにおいて第4レンズが正の屈折力を有する場合には、レンズ系全体の焦点距離をf、第5レンズの焦点距離をf5としたとき、次の条件式(20)を満足することが望ましい。
-4.0<f5/f<-0.2 (20)
【0064】
条件式(20)を満足することにより、撮像レンズの小型化を図りつつ色収差を良好に補正できる。
【0065】
上記構成の撮像レンズにおいては、さらに次の条件式(20a)を満足することが望ましい。
-3.0<f5/f<-0.2 (20a)
【0066】
上記構成の撮像レンズにおいては、さらに次の条件式(20b)を満足することが望ましい。
-2.0<f5/f<-0.3 (20b)
【0067】
上記構成の撮像レンズにおいて第6レンズが正の屈折力を有する場合には、レンズ系全体の焦点距離をf、第6レンズの焦点距離をf6としたとき、次の条件式(21)を満足することが望ましい。
0.3<f6/f<3.0 (21)
【0068】
条件式(21)を満足することにより、像面湾曲、歪曲収差、および色収差をバランスよく良好に補正できる。
【0069】
上記構成の撮像レンズにおいては、さらに次の条件式(21a)を満足することが望ましい。
0.5<f6/f<2.0 (21a)
【0070】
上記構成の撮像レンズにおいては、第5レンズが、光軸近傍において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状を備え、第6レンズが正の屈折力を有する場合には、レンズ系全体の焦点距離をf、第5レンズおよび第6レンズの合成焦点距離をf56としたとき、次の条件式(22)を満足することが望ましい。
0.5<f56/f<4.0 (22)
【0071】
条件式(22)を満足することにより、撮像レンズの小型化を図りつつコマ収差および非点収差を良好に補正できる。
【0072】
上記構成の撮像レンズにおいては、第6レンズおよび第7レンズが共に負の屈折力を有する場合には、レンズ系全体の焦点距離をf、第6レンズおよび第7レンズの合成焦点距離をf67としたとき、次の条件式(23)を満足することが望ましい。
-14.0<f67/f<-2.0 (23)
【0073】
条件式(23)を満足することにより、バックフォーカスを確保しつつ像面湾曲および歪曲収差を良好に補正できる。また、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度をCRAの範囲内に好適に抑制できる。
【0074】
上記構成の撮像レンズにおいて第7レンズが負の屈折力を有する場合には、第7レンズを、光軸近傍において物体側に凹面を向けた形状に形成することが望ましい。
【0075】
本発明の撮像レンズにおいては、第1レンズから第8レンズまでの各レンズを、空気間隔を隔てて配列することが望ましい。各レンズが空気間隔を隔てて配列されることにより、本発明の撮像レンズは接合レンズを一枚も含まないレンズ構成になる。このようなレンズ構成では、撮像レンズを構成する8枚のレンズの全てをプラスチック材料から形成できるため、撮像レンズの製造コストを好適に抑制できる。
【0076】
本発明の撮像レンズにおいては、第1レンズから第8レンズまでの各レンズの両面を非球面形状に形成することが望ましい。各レンズの両面を非球面形状に形成することにより、レンズの光軸近傍から周辺部に亘って諸収差をより良好に補正できる。特にレンズ周辺部における諸収差を良好に補正できる。
【0077】
上記構成の撮像レンズにおいては、第7レンズおよび第8レンズのうち少なくとも二面を、変曲点を有する非球面形状に形成することが望ましい。第8レンズの像面側の面に加えて、変曲点を有する非球面形状のレンズ面をさらに一面設けることにより、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度をCRAの範囲内により好適に抑制できるとともに、画像周辺部の諸収差をより良好に補正できる。
【0078】
本発明の撮像レンズは、画角を2ωとしたとき、60°≦2ωを満足することが望ましい。本条件式を満足することにより、撮像レンズの広角化が図られ、撮像レンズの小型化と広角化との両立を好適に図ることができる。
【0079】
ところで、高画素の撮像素子では各画素の受光面積が減少するため、撮影した画像が暗くなる傾向にある。これを補正するための方法として、電気回路を用いて撮像素子の受光感度を向上させる方法がある。しかし、受光感度が上がると画像の形成に直接寄与しないノイズ成分も増幅されてしまう。そこで、電気回路等を設けなくても十分に明るい画像を得るために、上記構成の撮像レンズにおいては、レンズ系全体の焦点距離をf、撮像レンズの入射瞳径をDepとしたとき次の条件式(24)を満足することが望ましい。
f/Dep<2.4 (24)
【0080】
なお、本発明においては、上述のようにレンズの形状を曲率半径の符号を用いて特定している。曲率半径が正か負かは一般的な定義、すなわち光の進行方向を正として、曲率半径の中心がレンズ面からみて像面側にある場合には曲率半径を正とし、物体側にある場合には曲率半径を負とする定義に従っている。よって、「曲率半径が正となる物体側の面」とは、物体側の面が凸面であることを指し、「曲率半径が負となる物体側の面」とは、物体側の面が凹面であることを指す。また、「曲率半径が正となる像面側の面」とは、像面側の面が凹面であることを指し、「曲率半径が負となる像面側の面」とは、像面側の面が凸面であることを指す。なお、本明細書での曲率半径は近軸の曲率半径を指しており、レンズ断面図におけるレンズの概形にそぐわない場合がある。
【発明の効果】
【0081】
本発明の撮像レンズによれば、諸収差が良好に補正された高い解像度を有しながらも、小型のカメラへの組込みに特に適した広角および小型の撮像レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1】数値実施例1に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す撮像レンズの
球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図3】
図1に示す撮像レンズの
横収差を示す収差図である。
【
図4】数値実施例2に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図5】
図4に示す撮像レンズの
球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図6】
図4に示す撮像レンズの
横収差を示す収差図である。
【
図7】数値実施例3に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図8】
図7に示す撮像レンズの
球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図9】
図7に示す撮像レンズの
横収差を示す収差図である。
【
図10】数値実施例4に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図11】
図10に示す撮像レンズの
球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図12】
図10に示す撮像レンズの
横収差を示す収差図である。
【
図13】数値実施例5に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図14】
図13に示す撮像レンズの
球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図15】
図13に示す撮像レンズの
横収差を示す収差図である。
【
図16】数値実施例6に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図17】
図16に示す撮像レンズの
球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図18】
図16に示す撮像レンズの
横収差を示す収差図である。
【
図19】数値実施例7に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図20】
図19に示す撮像レンズの
球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図21】
図19に示す撮像レンズの
横収差を示す収差図である。
【
図22】数値実施例8に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図23】
図22に示す撮像レンズの
球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図24】
図22に示す撮像レンズの
横収差を示す収差図である。
【
図25】数値実施例9に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図26】
図25に示す撮像レンズの
球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図27】
図25に示す撮像レンズの
横収差を示す収差図である。
【
図28】数値実施例10に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図29】
図28に示す撮像レンズの
球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図30】
図28に示す撮像レンズの
横収差を示す収差図である。
【
図31】数値実施例11に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図32】
図31に示す撮像レンズの
球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図33】
図31に示す撮像レンズの
横収差を示す収差図である。
【
図34】数値実施例12に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図35】
図34に示す撮像レンズの
球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図36】
図34に示す撮像レンズの
横収差を示す収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
以下、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0084】
【0085】
図1に示すように本実施の形態に係る撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズL1と、正の屈折力を有する第2レンズL2と、正の屈折力を有する第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5と、第6レンズL6と、第7レンズL7と、負の屈折力を有する第8レンズL8とを備える。これら第1レンズL1から第8レンズL8までの各レンズは空気間隔を隔てて配列する。第8レンズL8と撮像素子の像面IMとの間にはフィルタ10を配置する。なお、フィルタ10は省略できる。
【0086】
第1レンズL1は、物体側の面の曲率半径r1(=R1f)および像面側の面の曲率半径r2(=R1r)が共に正となる形状を有する。第1レンズL1は、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状である。第1レンズL1の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。第1レンズL1の形状は、第1レンズL1の屈折力が負となるような形状であればよい。第1レンズL1の形状としては、本数値実施例1に係る形状の他、曲率半径r1およびr2が共に負となる形状や、曲率半径r1が負となり曲率半径r2が正となる形状でもよい。前者は近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状であり、後者は近軸において両凹レンズとなる形状である。撮像レンズの小型化を図る点からは、曲率半径r1が正となる形状が望ましい。
【0087】
本数値実施例1では第1レンズL1と第2レンズL2との間に開口絞りSTを設けている。この開口絞りSTの位置は本数値実施例1の位置に限定されるものではない。第1レンズL1よりも物体側に開口絞りSTを設けてもよい。または、第2レンズL2と第3レンズL3との間、第3レンズL3と第4レンズL4との間、あるいは第4レンズL4と第5レンズL5の間等に開口絞りSTを設けるようにしてもよい。
【0088】
第2レンズL2は、物体側の面の曲率半径r4および像面側の面の曲率半径r5が共に正となる形状を有する。第2レンズL2は、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状である。第2レンズL2の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。第2レンズL2の形状は、第2レンズL2の屈折力が正となるような形状であればよい。第2レンズL2の形状としては、本数値実施例1に係る形状の他、曲率半径r4およびr5が共に負となる形状や、曲率半径r4が正となり曲率半径r5が負となる形状でもよい。前者は近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状であり、後者は近軸において両凸レンズとなる形状である。撮像レンズの小型化の観点からは、曲率半径r4が正となる形状が望ましい。
【0089】
第3レンズL3は、物体側の面の曲率半径r6が正となり、像面側の面の曲率半径r7が負となる形状を有する。第3レンズL3は、近軸において両凸レンズとなる形状である。第3レンズL3の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。第3レンズL3の形状は、第3レンズL3の屈折力が正となるような形状であればよい。第3レンズL3の形状としては、本数値実施例1に係る形状の他、曲率半径r6およびr7が共に正となる形状や、曲率半径r6およびr7が共に負となる形状でもよい。前者は近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状であり、後者は近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状である。撮像レンズの小型化の観点からは、曲率半径r6が正となる形状が望ましい。
【0090】
第4レンズL4は正の屈折力を有する。この第4レンズL4の屈折力は正に限定されない。第4レンズL4の屈折力が負となるレンズ構成の例を数値実施例5~12に示す。
【0091】
第4レンズL4は、物体側の面の曲率半径r8および像面側の面の曲率半径r9(=R4r)が共に正となる形状を有する。第4レンズL4は、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状である。またこの第4レンズL4は、レンズ周辺部において第5レンズに凹面を向けた形状を有する。なお、第4レンズL4の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。第4レンズL4の形状としては、本数値実施例1に係る形状の他、曲率半径r8およびr9が共に負となる形状や、曲率半径r8が正となり曲率半径r9が負となる形状でもよい。前者は近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状であり、後者は近軸において両凸レンズとなる形状である。また、第4レンズL4の形状は、曲率半径r8が負となり曲率半径r9が正となる形状であって、近軸において両凹レンズとなる形状でもよい。撮像レンズの小型化の観点からは、曲率半径r8が正となる形状が望ましい。
【0092】
本実施の形態に係る撮像レンズは第3レンズL3および第4レンズL4について以下の条件式を満足する。
0<f34
但し、f34は第3レンズL3および第4レンズL4の合成焦点距離を示す。
【0093】
第5レンズL5は負の屈折力を有する。この第5レンズL5の屈折力は負に限定されない。第5レンズL5の屈折力が正となるレンズ構成の例を数値実施例5~8に示す。
【0094】
第5レンズL5は、物体側の面の曲率半径r10が負となり、像面側の面の曲率半径r11が正となる形状を有する。第5レンズL5は、近軸において両凹レンズとなる形状である。またこの第5レンズL5は、レンズ周辺部において第4レンズに凹面を向けた形状を有する。よって、第4レンズL4と第5レンズL5とはレンズ周辺部において互いに凹面を向けた態様で配置されている。第4レンズL4および第5レンズL5のこうした形状により、像面湾曲および非点収差が良好に補正される。
【0095】
なお、第5レンズL5の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。数値実施例5~12は曲率半径r10およびr11が共に正となる形状、すなわち近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状の例である。第5レンズL5の形状としてはこの他、曲率半径r10およびr11が共に負となる形状や、曲率半径r10が正となり曲率半径r11が負となる形状でもよい。前者は近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状であり、後者は近軸において両凸レンズとなる形状である。なお、第5レンズL5は、光軸近傍において曲率半径r10および曲率半径r11が共に無限大となり、レンズ周辺部で屈折力を有するような形状に形成してもよい。
【0096】
本実施の形態に係る撮像レンズは第4レンズL4および第5レンズL5について以下の条件式を満足する。
f45<0
但し、f45は第4レンズL4および第5レンズL5の合成焦点距離を示す。
【0097】
第6レンズL6は正の屈折力を有する。この第6レンズL6の屈折力は正に限定されない。第6レンズL6の屈折力が負となるレンズ構成の例を数値実施例3、4、7、8、および11に示す。
【0098】
第6レンズL6は、物体側の面の曲率半径r12が正となり像面側の面の曲率半径r13が負となる形状を有する。第6レンズL6は、近軸において両凸レンズとなる形状である。第6レンズL6の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。数値実施例3、4、7、8、および11は曲率半径r12およびr13が共に負となる形状であって、近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状の例である。第6レンズL6の形状としてはこの他、曲率半径r12およびr13が共に正となる形状や、曲率半径r12が負となり曲率半径r13が正となる形状でもよい。前者は近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状であり、後者は近軸において両凹レンズとなる形状である。また、第6レンズL6は、光軸近傍において曲率半径r12および曲率半径r13が共に無限大となり、レンズ周辺部で屈折力を有するような形状に形成してもよい。
【0099】
第7レンズL7は正の屈折力を有する。この第7レンズL7の屈折力は正に限定されない。第7レンズL7の屈折力が負となるレンズ構成の例を数値実施例2、4、6、8、および10に示す。また、光軸上において屈折力が零となる第7レンズL7の例を数値実施例12として示す。
【0100】
第7レンズL7は、物体側の面の曲率半径r14が正となり像面側の面の曲率半径r15が負となる形状を有する。第7レンズL7は、近軸において両凸レンズとなる形状である。第7レンズL7の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。数値実施例2および6は曲率半径r14およびr15が共に負となる形状であって、近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状の例である。数値実施例4、8、および10は曲率半径r14が負となり曲率半径r15が正となる形状であって、近軸において両凹レンズとなる形状の例である。また、数値実施例12は曲率半径r14およびr15が共に無限大(∞)となる形状の例である。第7レンズL7の形状としてはこの他、曲率半径r14およびr15が共に正となる形状であって、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状でもよい。
【0101】
第8レンズL8は、物体側の面の曲率半径r16(=R8f)および像面側の面の曲率半径r17(=R8r)が共に正となる形状を有する。第8レンズL8は、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状である。第8レンズL8の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。第8レンズL8の形状としては、曲率半径r16が負となり曲率半径r17が正となる形状であって、近軸において両凹レンズとなる形状でもよい。この他にも第8レンズL8の形状としては、曲率半径r16およびr17が共に負となる形状でもよい。第8レンズL8の形状は、第8レンズL8の屈折力が負となるような形状であればよい。
【0102】
また、上記第8レンズL8において像面側の面は変曲点が設けられた非球面形状である。ここで変曲点とは、曲線上で曲率の符号が変化する点を指し、レンズ面上の曲線で曲がる方向が変わる点を指すものとする。なお、本実施の形態に係る撮像レンズにおける第8レンズL8の像面側の面は、極点を有する非球面形状である。第8レンズL8の有するこのような形状により、軸上の色収差のみならず軸外の倍率色収差が良好に補正されるとともに、撮像レンズから出射した光線の像面IMへの入射角度がCRAの範囲内に好適に抑制される。本数値実施例1に係る撮像レンズでは、第7レンズL7および第8レンズL8の両面が、変曲点を有する非球面形状である。このため、画像周辺部の諸収差はより良好に補正されることになる。なお、要求される光学性能や撮像レンズの小型化の程度によっては、第7レンズL7および第8レンズL8のレンズ面のうち、第8レンズL8の像面側の面を除く他のレンズ面を、変曲点の無い非球面形状に形成するようにしてもよい。
【0103】
本実施の形態に係る撮像レンズは第7レンズL7および第8レンズL8について以下の条件式を満足する。
f78<0
但し、f78は第7レンズL7および第8レンズL8の合成焦点距離を示す。
【0104】
本実施の形態に係る撮像レンズは、以下に示す条件式(1)~(18)を満足する。
0.7<R1f/R1r<1.6 (1)
1.0<R1f/R1r<1.6 (1a)
-10.0<f1/f2<-0.8 (2)
-8.0<f1/f2<-0.8 (2a)
-6.0<f1/f2<-1.0 (2b)
0.05<D12/f<0.20 (3)
1.0<f2/f3<6.5 (4)
1.2<f2/f3<5.5 (4a)
1.4<f2/f3<4.5 (4b)
0.3<f3/f<3.5 (5)
0.5<f3/f<2.5 (5a)
0.2<R4r/f<1.0 (6)
0.08<D45/f<0.20 (7)
0.5<D56/D67<4.0 (8)
0.4<T7/T8<3.5 (9)
0.04<D78/f<0.16 (10)
-3.0<f8/f<-0.3 (11)
0.2<R8f/f<1.8 (12)
0.1<R8r/f<0.5 (13)
10<νd1<35 (14)
35<νd2<85 (15)
35<νd3<85 (16)
1.0<TL/f<1.5 (17)
1.2<TL/Hmax<2.2 (18)
但し、
f:レンズ系全体の焦点距離
f1:第1レンズL1の焦点距離
f2:第2レンズL2の焦点距離
f3:第3レンズL3の焦点距離
f8:第8レンズL8の焦点距離
T7:第7レンズL7の光軸上の厚さ
T8:第8レンズL8の光軸上の厚さ
νd1:第1レンズL1のアッベ数
νd2:第2レンズL2のアッベ数
νd3:第3レンズL3のアッベ数
R1f:第1レンズL1の物体側の面の近軸曲率半径
R1r:第1レンズL1の像面側の面の近軸曲率半径
R4r:第4レンズL4の像面側の面の近軸曲率半径
R8f:第8レンズL8の物体側の面の近軸曲率半径
R8r:第8レンズL8の像面側の面の近軸曲率半径
D12:第1レンズL1と第2レンズL2との間の光軸上の距離
D45:第4レンズL4と第5レンズL5との間の光軸上の距離
D56:第5レンズL5と第6レンズL6との間の光軸上の距離
D67:第6レンズL6と第7レンズL7との間の光軸上の距離
D78:第7レンズL7と第8レンズL8との間の光軸上の距離
Hmax:最大像高
TL:第1レンズL1の物体側の面から像面IMまでの光軸X上の距離
(フィルタ10は空気換算長)
【0105】
数値実施例1~4に示すレンズ構成のように、第4レンズL4が正の屈折力を有する場合にはさらに、次の条件式(19)および(19a)を満足する。
-25.0<f4/f5<-5.0 (19)
-22.0<f4/f5<-7.0 (19a)
但し、
f4:第4レンズL4の焦点距離
f5:第5レンズL5の焦点距離
【0106】
数値実施例1~4に示すレンズ構成のように、第4レンズL4が正の屈折力を有する場合にはさらに、次の条件式(20)、(20a)、および(20b)を満足する。
-4.0<f5/f<-0.2 (20)
-3.0<f5/f<-0.2 (20a)
-2.0<f5/f<-0.3 (20b)
【0107】
数値実施例1、2、5、6、9、10、および12に示すレンズ構成のように、第6レンズL6が正の屈折力を有する場合にはさらに、次の条件式(21)および(21a)を満足する。
0.3<f6/f<3.0 (21)
0.5<f6/f<2.0 (21a)
但し、
f6:第6レンズL6の焦点距離
【0108】
数値実施例5、6、9、10、および12のように、第5レンズL5が、光軸近傍において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状を備え、第6レンズL6が正の屈折力を有するレンズ構成の場合にはさらに、次の条件式(22)を満足する。
0.5<f56/f<4.0 (22)
但し、
f56:第5レンズL5および第6レンズL6の合成焦点距離
【0109】
数値実施例4および8のように、第6レンズL6および第7レンズL7が共に負の屈折力を有するレンズ構成の場合にはさらに、次の条件式(23)を満足する。
-14.0<f67/f<-2.0 (23)
但し、
f67:第6レンズL6および第7レンズL7の合成焦点距離
【0110】
さらに本実施例に係る撮像レンズは次の条件式(24)を満足する。
f/Dep<2.4 (24)
但し、
Dep:撮像レンズの入射瞳径
【0111】
なお、上記各条件式の全てを満たす必要はなく、上記各条件式のそれぞれを単独に満たすことにより、各条件式に対応する作用効果をそれぞれ得ることができる。
【0112】
本実施の形態では各レンズのレンズ面が非球面で形成されている。これら非球面の非球面式を次式に示す。
【数1】
但し、
Z:光軸方向の距離
H:光軸に直交する方向の光軸からの距離
C:近軸曲率(=1/r、r:近軸曲率半径)
k:円錐定数
An:第n次の非球面係数
【0113】
次に、本実施の形態に係る撮像レンズの数値実施例を示す。各数値実施例において、fはレンズ系全体の焦点距離、FnoはFナンバー、ωは半画角を示す。iは物体側より数えた面番号、rは曲率半径、dは光軸上のレンズ面間の距離(面間隔)、ndは基準波長588nmにおける屈折率、νdは当該基準波長におけるアッベ数をそれぞれ示す。なお、面番号に*(アスタリスク)の符号が付加された面は非球面であることを示す。
【0114】
【0115】
R1f=4.463mm
R1r=3.174mm
R4r=2.764mm
R8f=6.235mm
R8r=2.012mm
D12=0.598mm
D45=1.014mm
D56=0.224mm
D67=0.223mm
D78=0.430mm
T7=0.559mm
T8=0.591mm
TL=8.718mm
Hmax=4.65mm
Dep=3.606mm
【0116】
【0117】
各条件式の値を以下に示す。
R1f/R1r=1.4
f1/f2=-1.5
D12/f=0.09
f2/f3=1.9
f3/f=0.9
R4r/f=0.4
D45/f=0.15
D56/D67=1.0
T7/T8=0.9
D78/f=0.06
f8/f=-0.8
R8f/f=0.9
R8r/f=0.3
TL/f=1.3
TL/Hmax=1.9
f/Dep=1.9
f4/f5=-16.6
f5/f=-0.9
f6/f=1.0
このように、本数値実施例1に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0118】
図2は、球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示した収差図である。非点収差図および歪曲収差図には基準波長(588nm)における収差量を示す。また、非点収差図にあってはサジタル像面(S)およびタンジェンシャル像面(T)をそれぞれ示す(
図5、
図8、
図11、
図14、
図17、
図20、
図23、
図26、
図29、
図32、および
図35においても同じ)。
図3は、最大像高Hmaxに対する各像高の比H(以下、「像高比H」という)に対応する横収差をタンジェンシャル方向とサジタル方向とに分けて示した収差図である(
図6、
図9、
図12、
図15、
図18、
図21、
図24、
図27、
図30、
図33、および
図36においても同じ)。
図2および
図3に示されるように、本数値実施例1に係る撮像レンズによれば諸収差を良好に補正できる。
【0119】
【0120】
R1f=4.460mm
R1r=3.177mm
R4r=2.762mm
R8f=6.229mm
R8r=2.006mm
D12=0.595mm
D45=1.030mm
D56=0.227mm
D67=0.223mm
D78=0.428mm
T7=0.559mm
T8=0.606mm
TL=8.682mm
Hmax=4.65mm
Dep=3.610mm
【0121】
【0122】
各条件式の値を以下に示す。
R1f/R1r=1.4
f1/f2=-1.6
D12/f=0.09
f2/f3=1.9
f3/f=0.9
R4r/f=0.4
D45/f=0.15
D56/D67=1.0
T7/T8=0.9
D78/f=0.06
f8/f=-0.8
R8f/f=0.9
R8r/f=0.3
TL/f=1.3
TL/Hmax=1.9
f/Dep=1.9
f4/f5=-15.8
f5/f=-0.9
f6/f=1.0
このように、本数値実施例2に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0123】
図5は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものであり、
図6は像高比Hに対応する横収差を示したものである。
図5および
図6に示されるように、本数値実施例2に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0124】
【0125】
R1f=4.724mm
R1r=3.233mm
R4r=2.829mm
R8f=3.951mm
R8r=2.154mm
D12=0.630mm
D45=1.079mm
D56=0.315mm
D67=0.323mm
D78=0.541mm
T7=0.642mm
T8=0.578mm
TL=9.277mm
Hmax=4.65mm
Dep=3.453mm
【0126】
【0127】
各条件式の値を以下に示す。
R1f/R1r=1.5
f1/f2=-1.5
D12/f=0.08
f2/f3=1.9
f3/f=0.8
R4r/f=0.4
D45/f=0.13
D56/D67=1.0
T7/T8=1.1
D78/f=0.07
f8/f=-1.2
R8f/f=0.5
R8r/f=0.3
TL/f=1.2
TL/Hmax=2.0
f/Dep=2.3
f4/f5=-16.9
f5/f=-1.0
このように、本数値実施例3に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0128】
図8は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものであり、
図9は像高比Hに対応する横収差を示したものである。
図8および
図9に示されるように、本数値実施例3に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0129】
【0130】
f67=-52.157mm
R1f=4.721mm
R1r=3.232mm
R4r=2.887mm
R8f=3.733mm
R8r=2.177mm
D12=0.647mm
D45=1.081mm
D56=0.317mm
D67=0.341mm
D78=0.513mm
T7=0.641mm
T8=0.601mm
TL=9.235mm
Hmax=4.65mm
Dep=3.465mm
【0131】
【0132】
各条件式の値を以下に示す。
R1f/R1r=1.5
f1/f2=-1.5
D12/f=0.08
f2/f3=1.9
f3/f=0.7
R4r/f=0.4
D45/f=0.13
D56/D67=0.9
T7/T8=1.1
D78/f=0.06
f8/f=-1.4
R8f/f=0.5
R8r/f=0.3
TL/f=1.2
TL/Hmax=2.0
f/Dep=2.3
f4/f5=-11.6
f5/f=-1.1
f67/f=-6.5
このように、本数値実施例4に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0133】
図11は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものであり、
図12は像高比Hに対応する横収差を示したものである。
図11および
図12に示されるように、本数値実施例4に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0134】
【0135】
f56=7.009mm
R1f=3.598mm
R1r=2.995mm
R4r=2.502mm
R8f=8.518mm
R8r=1.859mm
D12=0.436mm
D45=0.749mm
D56=0.447mm
D67=0.210mm
D78=0.374mm
T7=0.518mm
T8=0.454mm
TL=7.567mm
Hmax=4.48mm
Dep=3.998mm
【0136】
【0137】
各条件式の値を以下に示す。
R1f/R1r=1.2
f1/f2=-2.5
D12/f=0.08
f2/f3=2.2
f3/f=1.0
R4r/f=0.4
D45/f=0.13
D56/D67=2.1
T7/T8=1.1
D78/f=0.07
f8/f=-0.8
R8f/f=1.5
R8r/f=0.3
TL/f=1.3
TL/Hmax=1.7
f/Dep=1.4
f6/f=1.3
f56/f=1.2
このように、本数値実施例5に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0138】
図14は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものであり、
図15は像高比Hに対応する横収差を示したものである。
図14および
図15に示されるように、本数値実施例5に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0139】
【0140】
f56=6.943mm
R1f=3.569mm
R1r=2.986mm
R4r=2.510mm
R8f=8.124mm
R8r=1.888mm
D12=0.451mm
D45=0.717mm
D56=0.476mm
D67=0.219mm
D78=0.377mm
T7=0.522mm
T8=0.444mm
TL=7.532mm
Hmax=4.60mm
Dep=4.020mm
【0141】
【0142】
各条件式の値を以下に示す。
R1f/R1r=1.2
f1/f2=-2.7
D12/f=0.08
f2/f3=2.2
f3/f=1.0
R4r/f=0.4
D45/f=0.13
D56/D67=2.2
T7/T8=1.2
D78/f=0.07
f8/f=-0.8
R8f/f=1.4
R8r/f=0.3
TL/f=1.3
TL/Hmax=1.6
f/Dep=1.4
f6/f=1.3
f56/f=1.2
このように、本数値実施例6に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0143】
図17は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものであり、
図18は像高比Hに対応する横収差を示したものである。
図17および
図18に示されるように、本数値実施例6に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0144】
【0145】
R1f=3.535mm
R1r=2.985mm
R4r=2.543mm
R8f=4.883mm
R8r=1.845mm
D12=0.464mm
D45=0.881mm
D56=0.359mm
D67=0.210mm
D78=0.478mm
T7=0.650mm
T8=0.482mm
TL=7.689mm
Hmax=4.48mm
Dep=3.424mm
【0146】
【0147】
各条件式の値を以下に示す。
R1f/R1r=1.2
f1/f2=-3.2
D12/f=0.07
f2/f3=2.1
f3/f=0.9
R4r/f=0.4
D45/f=0.14
D56/D67=1.7
T7/T8=1.3
D78/f=0.08
f8/f=-0.9
R8f/f=0.8
R8r/f=0.3
TL/f=1.2
TL/Hmax=1.7
f/Dep=1.8
このように、本数値実施例7に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0148】
図20は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものであり、
図21は像高比Hに対応する横収差を示したものである。
図20および
図21に示されるように、本数値実施例7に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0149】
【0150】
f67=-50.825mm
R1f=3.511mm
R1r=2.980mm
R4r=2.536mm
R8f=4.478mm
R8r=1.870mm
D12=0.460mm
D45=0.909mm
D56=0.386mm
D67=0.257mm
D78=0.390mm
T7=0.657mm
T8=0.500mm
TL=7.816mm
Hmax=4.60mm
Dep=3.489mm
【0151】
【0152】
各条件式の値を以下に示す。
R1f/R1r=1.2
f1/f2=-3.5
D12/f=0.07
f2/f3=2.1
f3/f=0.9
R4r/f=0.4
D45/f=0.14
D56/D67=1.5
T7/T8=1.3
D78/f=0.06
f8/f=-1.0
R8f/f=0.7
R8r/f=0.3
TL/f=1.2
TL/Hmax=1.7
f/Dep=1.9
f67/f=-7.7
このように、本数値実施例8に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0153】
図23は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものであり、
図24は像高比Hに対応する横収差を示したものである。
図23および
図24に示されるように、本数値実施例8に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0154】
【0155】
f56=8.584mm
R1f=3.577mm
R1r=3.052mm
R4r=2.548mm
R8f=8.181mm
R8r=1.887mm
D12=0.420mm
D45=0.769mm
D56=0.329mm
D67=0.220mm
D78=0.394mm
T7=0.546mm
T8=0.471mm
TL=7.510mm
Hmax=4.65mm
Dep=4.215mm
【0156】
【0157】
各条件式の値を以下に示す。
R1f/R1r=1.2
f1/f2=-3.3
D12/f=0.07
f2/f3=2.1
f3/f=1.0
R4r/f=0.4
D45/f=0.13
D56/D67=1.5
T7/T8=1.2
D78/f=0.07
f8/f=-0.8
R8f/f=1.4
R8r/f=0.3
TL/f=1.3
TL/Hmax=1.6
f/Dep=1.4
f6/f=1.2
f56/f=1.5
このように、本数値実施例9に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0158】
図26は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものであり、
図27は像高比Hに対応する横収差を示したものである。
図26および
図27に示されるように、本数値実施例9に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0159】
【0160】
f56=8.050mm
R1f=3.562mm
R1r=3.056mm
R4r=2.566mm
R8f=8.053mm
R8r=1.878mm
D12=0.424mm
D45=0.768mm
D56=0.329mm
D67=0.217mm
D78=0.397mm
T7=0.556mm
T8=0.466mm
TL=7.444mm
Hmax=4.63mm
Dep=4.066mm
【0161】
【0162】
各条件式の値を以下に示す。
R1f/R1r=1.2
f1/f2=-3.5
D12/f=0.08
f2/f3=2.1
f3/f=1.0
R4r/f=0.5
D45/f=0.14
D56/D67=1.5
T7/T8=1.2
D78/f=0.07
f8/f=-0.8
R8f/f=1.4
R8r/f=0.3
TL/f=1.3
TL/Hmax=1.6
f/Dep=1.4
f6/f=1.2
f56/f=1.4
このように、本数値実施例10に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0163】
図29は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものであり、
図30は像高比Hに対応する横収差を示したものである。
図29および
図30に示されるように、本数値実施例10に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0164】
【0165】
R1f=3.523mm
R1r=2.985mm
R4r=2.550mm
R8f=4.871mm
R8r=1.855mm
D12=0.463mm
D45=0.887mm
D56=0.354mm
D67=0.207mm
D78=0.499mm
T7=0.658mm
T8=0.503mm
TL=7.887mm
Hmax=4.63mm
Dep=3.529mm
【0166】
【0167】
各条件式の値を以下に示す。
R1f/R1r=1.2
f1/f2=-3.3
D12/f=0.07
f2/f3=2.1
f3/f=0.9
R4r/f=0.4
D45/f=0.13
D56/D67=1.7
T7/T8=1.3
D78/f=0.07
f8/f=-0.9
R8f/f=0.7
R8r/f=0.3
TL/f=1.2
TL/Hmax=1.7
f/Dep=1.9
このように、本数値実施例11に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0168】
図32は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものであり、
図33は像高比Hに対応する横収差を示したものである。
図32および
図33に示されるように、本数値実施例11に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0169】
【0170】
f56=8.234mm
R1f=3.562mm
R1r=3.051mm
R4r=2.562mm
R8f=8.041mm
R8r=1.882mm
D12=0.428mm
D45=0.774mm
D56=0.336mm
D67=0.223mm
D78=0.391mm
T7=0.553mm
T8=0.450mm
TL=7.430mm
Hmax=4.58mm
Dep=4.052mm
【0171】
【0172】
各条件式の値を以下に示す。
R1f/R1r=1.2
f1/f2=-3.4
D12/f=0.08
f2/f3=2.2
f3/f=1.0
R4r/f=0.5
D45/f=0.14
D56/D67=1.5
T7/T8=1.2
D78/f=0.07
f8/f=-0.8
R8f/f=1.4
R8r/f=0.3
TL/f=1.3
TL/Hmax=1.6
f/Dep=1.4
f6/f=1.2
f56/f=1.5
このように、本数値実施例12に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0173】
図35は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものであり、
図36は像高比Hに対応する横収差を示したものである。
図35および
図36に示されるように、本数値実施例12に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0174】
以上説明した本実施の形態に係る撮像レンズは60°以上の非常に広い画角(2ω)を有する。ちなみに、上述の数値実施例1~12に係る撮像レンズは60.2°~78.6°の画角を有する。本実施の形態に係る撮像レンズによれば、従来の撮像レンズよりも広い範囲を撮影することが可能となる。
【0175】
また近年では、撮像レンズを通じて得られた画像の任意の領域を画像処理によって拡大するデジタルズーム技術の進歩により、高画素の撮像素子と高解像度の撮像レンズとが組み合わせられることが多い。高画素の撮像素子では1画素当りの受光面積が減少することが多く、撮影した画像が暗くなる傾向にある。数値実施例1~12の撮像レンズのFnoは1.4~2.3と小さな値である。本実施の形態に係る撮像レンズによれば、上述のような高画素の撮像素子にも対応した十分に明るい画像を得ることができる。
【0176】
したがって、上記実施の形態に係る撮像レンズをスマートフォン、携帯電話機、および携帯情報端末等の携帯機器に内蔵されるカメラや、デジタルスティルカメラ、セキュリティカメラ、車載カメラ、ネットワークカメラ等の撮像光学系に適用した場合、当該カメラの高機能化と小型化の両立を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明は、スマートフォン、携帯電話機、および携帯情報端末等の携帯機器に内蔵されるカメラ、デジタルスティルカメラ、セキュリティカメラ、車載カメラ、ネットワークカメラ等の比較的小型のカメラに組み込まれる撮像レンズに適用できる。
【符号の説明】
【0178】
X 光軸
ST 開口絞り
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ
L7 第7レンズ
L8 第8レンズ
10 フィルタ
IM 像面