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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】呼出システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20230912BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H04M9/00 D
A61G12/00 E
A61G12/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019186075
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021061565
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】北條 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】西中 秀之
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 将規
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-140516(JP,A)
【文献】特開平10-286239(JP,A)
【文献】特開2012-135347(JP,A)
【文献】特開平06-314392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00-25/00
H04M 9/00-11/00
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一通話部と、
前記第一通話部と通話回線で接続された第二通話部と、
前記第一通話部が設置される部屋に設置されるとともに、前記第二通話部を呼び出すための呼出信号を発信することが可能な呼出部と、
前記第一通話部および前記第二通話部間で、前記呼出信号に起因して開始される通話を制御する通話制御部と、
前記部屋の外側近傍に設置される表示部と、
前記通話のステータスに関するステータス信号を受信すると、前記ステータス信号に基づいて、前記表示部の表示内容を変更する表示制御部と、
前記呼出信号が発信されたことを報知する報知部と、
前記部屋に設置されるとともに、前記報知部の報知動作を停止させて通常の状態に復旧させるための復旧信号を生成する復旧操作部と、
前記部屋とは異なる場所に設置されるとともに、前記報知部の報知動作を停止させて通常の状態に復旧させるための遠隔復旧信号を生成する遠隔復旧操作部と、
前記復旧信号に基づいて前記報知動作を停止させ、または前記遠隔復旧信号に基づいて、所定の条件を満たすときに前記報知動作を停止させる報知制御部と、
を備え、
前記表示内容には、少なくとも、前記第二通話部が呼出中の状態であること、前記第一通話部と前記第二通話部が通話中の状態であること、が含まれ、
前記所定の条件とは、前記通話が継続している間、前記報知制御部が前記遠隔復旧信号を受信することである、
呼出システム。
【請求項2】
第一通話部と、
前記第一通話部と通話回線で接続された第二通話部と、
前記第一通話部が設置される部屋に設置されるとともに、前記第二通話部を呼び出すための呼出信号を発信することが可能な呼出部と、
前記第一通話部および前記第二通話部間で、前記呼出信号に起因して開始される通話を制御する通話制御部と、
前記部屋の外側近傍に設置される表示部と、
前記通話のステータスに関するステータス信号を受信すると、前記ステータス信号に基づいて、前記表示部の表示内容を変更する表示制御部と、
前記呼出信号が発信されたことを報知する報知部と、
前記部屋に設置されるとともに、前記報知部の報知動作を停止させて通常の状態に復旧させるための復旧信号を生成する復旧操作部と、
前記部屋とは異なる場所に設置されるとともに、前記報知部の報知動作を停止させて通常の状態に復旧させるための遠隔復旧信号を生成する遠隔復旧操作部と、
前記復旧信号に基づいて前記報知動作を停止させ、または前記遠隔復旧信号に基づいて、所定の条件を満たすときに前記報知動作を停止させる報知制御部と、
を備え、
前記表示内容には、少なくとも、前記第二通話部が呼出中の状態であること、前記第一通話部と前記第二通話部が通話中の状態であること、が含まれ、
前記報知制御部は、前記復旧信号または前記遠隔復旧信号に基づいて、前記表示内容を通常の状態に変更するための復旧表示変更信号を生成し、かつ前記復旧表示変更信号を前記表示制御部に送信し、
前記表示制御部は、前記復旧表示変更信号に基づき、前記表示部の表示内容を変更し、
前記所定の条件とは、前記報知制御部が前記復旧表示変更信号を生成または受信するまでに、前記報知制御部が前記遠隔復旧信号を受信することである、
呼出システム。
【請求項3】
第一通話部と、
前記第一通話部と通話回線で接続された第二通話部と、
前記第一通話部が設置される部屋に設置されるとともに、前記第二通話部を呼び出すための呼出信号を発信することが可能な呼出部と、
前記第一通話部および前記第二通話部間で、前記呼出信号に起因して開始される通話を制御する通話制御部と、
前記部屋の外側近傍に設置される表示部と、
前記通話のステータスに関するステータス信号を受信すると、前記ステータス信号に基づいて、前記表示部の表示内容を変更する表示制御部と、
前記呼出信号が発信されたことを報知する報知部と、
前記部屋に設置されるとともに、前記報知部の報知動作を停止させて通常の状態に復旧させるための復旧信号を生成する復旧操作部と、
前記部屋とは異なる場所に設置されるとともに、前記報知部の報知動作を停止させて通常の状態に復旧させるための遠隔復旧信号を生成する遠隔復旧操作部と、
前記復旧信号に基づいて前記報知動作を停止させ、または前記遠隔復旧信号に基づいて、所定の条件を満たすときに前記報知動作を停止させる報知制御部と、
を備え、
前記表示内容には、少なくとも、前記第二通話部が呼出中の状態であること、前記第一通話部と前記第二通話部が通話中の状態であること、が含まれ、
前記所定の条件とは、前記通話が終了した時点から所定時間以内に、前記報知制御部が前記遠隔復旧信号を受信することである、
呼出システム。
【請求項4】
前記表示内容には、さらに、前記通話が終了して、救護者が前記部屋に向けて駆付中の状態であること、が含まれる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の呼出システム。
【請求項5】
前記復旧操作部または前記遠隔復旧操作部は、前記表示内容を通常の状態に変更するための復旧表示変更信号を生成し、かつ前記復旧表示変更信号を前記表示制御部に送信し、
前記表示制御部は、前記復旧表示変更信号に基づき、前記表示の表示内容を変更する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の呼出システム。
【請求項6】
前記第一通話部、前記表示部、前記呼出部は、複数の前記部屋にそれぞれ設置されており、
前記呼出システムは、
マップ表示部と、
前記マップ表示部に、前記第一通話部及び前記呼出部が設置された部屋の位置と、前記複数の部屋に関連する前記通話のステータスに対応する表示内容とを一覧的に表示させるマップ表示制御部と、
をさらに備える、
請求項1からのいずれか一項に記載の呼出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空港や病院等の施設のトイレには、個室内に呼出ボタンが設置されている。例えば、トイレの利用者(被救護者)は、何らかの異常事態が発生した場合、呼出ボタンを押すことにより、警備員や看護師等の救護者に異常事態を報知することができる。報知により異常事態を知った救護者は、異常事態が発生したトイレに駆け付ける。例えば特許文献1は、トイレ内に非常呼出ボタンを設置した呼出システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-140782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の呼出システムでは、呼出があったかどうかしか報知されない。したがって、呼出があった場合、救護者は他の救護者が当該呼出に対応(被救護者との通話や被救護者のもとへの駆付)しているかどうかは、被救護者のいる所に赴き、被救護者を確認するまで分からない。したがって、救護者が、他の救護者が既に対応している呼出に対応してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、被救護者の呼出への対応を効率的に行うことが可能な呼出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための一態様に係る呼出システムは、
第一通話部と、
前記第一通話部と通話回線で接続された第二通話部と、
前記第一通話部が設置される部屋に設置されるとともに、前記第二通話部を呼び出すための呼出信号を発信することが可能な呼出部と、
前記第一通話部および前記第二通話部間で、前記呼出信号に起因して開始される通話を制御する通話制御部と、
前記部屋の外側近傍に設置される表示部と、
前記通話のステータスに関するステータス信号を受信すると、前記ステータス信号に基づいて、前記表示部の表示内容を変更する表示制御部と、
を備え、
前記表示内容には、少なくとも、前記第二通話部が呼出中の状態であること、前記第一通話部と前記第二通話部が通話中の状態であること、が含まれる。
【0007】
上記のような構成によれば、例えば被救護者が呼出部から呼出信号を発信すると、表示制御部は、第二通話部が呼出中であることを示す表示内容に変更するよう表示部を制御する。その後、被救護者からの呼出に対して通話が開始されると、表示制御部は、第一通話部と第二通話部とが通話中であることを示す表示内容に変更するよう表示部を制御する。
このように、表示制御部により、表示部には、通話のステータスに対応する表示内容が表示されるため、例えば、呼出をした被救護者がいる部屋の近くを巡回している救護者は、被救護者がいる部屋の外側近傍に設置された表示部の表示内容を視認するだけで当該呼出への対応が行われているかどうかを把握することができる。したがって、上記のような構成によれば、呼出への対応が重複してしまう等の非効率的な状況が発生してしまうことを抑制することができる。
【0008】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る呼出システムにおいて、
前記表示内容には、さらに、前記通話が終了して、救護者が前記部屋に向けて駆付中の状態であること、が含まれる。
【0009】
上記のような構成によれば、上記通話が終了すると、表示制御部は表示部を、救護者が被救護者のいる部屋に向けて駆付中であることを示す表示内容に変更するように制御する。
このように、表示制御部により、表示部には、救護者が被救護者のいる部屋に向けて駆付中であることを示す表示内容が表示されるため、呼出をした被救護者のもとへ複数の救護者が駆け付けてしまう等の非効率的な状況が発生してしまうことを抑制することができる。
【0010】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る呼出システムは、
前記呼出信号が発信されたことを報知する報知部と、
前記部屋に設置されるとともに、前記報知部の報知動作を停止させて通常の状態に復旧させるための復旧信号を生成する復旧操作部と、
前記部屋とは異なる場所に設置されるとともに、前記報知部の報知動作を停止させて通常の状態に復旧させるための遠隔復旧信号を生成する遠隔復旧操作部と、
前記復旧信号に基づいて前記報知動作を停止させ、または前記遠隔復旧信号に基づいて、所定の条件を満たすときに前記報知動作を停止させる報知制御部と、
を備える。
【0011】
上記のような構成によれば、例えば、被救護者による呼出部への誤操作に起因して報知部が起動してしまった場合、救護者は、復旧操作部が設置された部屋まで駆けつけることなく、報知部の報知動作を停止させることができる。
【0012】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る呼出システムにおいて、
前記報知制御部は、前記復旧信号または前記遠隔復旧信号に基づいて、前記表示内容を通常の状態に変更するための復旧表示変更信号を生成し、かつ前記復旧表示変更信号を前記表示制御部に送信し、
前記表示制御部は、前記復旧表示変更信号に基づき、前記表示の表示内容を変更する。
【0013】
上記のような構成によれば、復旧操作部または遠隔復旧操作部が操作されると、報知制御部から復旧表示変更信号が表示制御部に送信され、表示制御部は当該信号に基づいて表示部の表示内容を変更する。このように、復旧により報知動作を停止すると、表示部の表示内容も通常の状態に変わるので、救護者は復旧操作部または遠隔復旧操作部を操作するだけで、報知動作を停止させつつ、表示内容を変更することができる。
【0014】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る呼出システムにおいて、
前記復旧操作部または前記遠隔復旧操作部は、前記表示内容を通常の状態に変更するための復旧表示変更信号を生成し、かつ前記復旧表示変更信号を前記表示制御部に送信し、
前記表示制御部は、前記復旧表示変更信号に基づき、前記表示の表示内容を変更する。
【0015】
上記のような構成によれば、復旧操作部または遠隔復旧操作部が操作されると、復旧操作部または遠隔復旧操作部から復旧表示変更信号が表示制御部に送信され、表示制御部は当該信号に基づいて表示部の表示内容を変更する。このように、復旧操作または遠隔復旧操作が行われると、表示部の表示内容が通常の状態に変わるので、救護者は復旧操作部または遠隔復旧操作部を操作するだけで、報知動作を停止させつつ、表示内容を変更することができる。
【0016】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る呼出システムにおいて、
前記所定の条件とは、前記通話が継続している間、前記報知制御部が前記遠隔復旧信号を受信することである。
【0017】
上記のような構成によれば、タイマ制御を用いることなく、遠隔復旧操作部による遠隔復旧が可能な時期を制限することができる。
【0018】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る呼出システムにおいて、
前記所定の条件とは、前記報知制御部が前記復旧表示変更信号を生成または受信するまでに、前記報知制御部が前記遠隔復旧信号を受信することである。
【0019】
上記のような構成によれば、タイマ制御を用いることなく、遠隔復旧操作部による遠隔復旧が可能な時期を制限することができる。
【0020】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る呼出システムにおいて、
前記所定の条件とは、前記通話が終了した時点から所定時間以内に、前記報知制御部が前記遠隔復旧信号を受信することである。
【0021】
上記のような構成によれば、第一通話部および第二通話部間での通話が終了した時点から所定の時間内に限り、遠隔復旧操作部による遠隔復旧が可能である。したがって、遠隔復旧操作部による遠隔復旧がいたずらに利用されることを抑制することができる。
【0022】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る呼出システムにおいて、
前記第一通話部、前記表示部、前記呼出部は、複数の前記部屋にそれぞれ設置されており、
前記呼出システムは、
マップ表示部と、
前記マップ表示部に、前記第一通話部及び前記呼出部が設置された部屋の位置と、前記複数の部屋に関連する前記通話のステータスに対応する表示内容とを一覧的に表示させるマップ表示制御部と、
をさらに備える。
【0023】
上記のような構成によれば、救護者は、マップ表示部を視認するだけで、システム全体における各ステータスの遷移を容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、被救護者の呼出への対応を効率的に行うことが可能な呼出システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る呼出システムの機能構成を例示している。
図2】表示部に表示されうる表示内容を例示している。
図3】表示部に表示される表示内容が、待受を示す画像から呼出中を示す画像に変更される際に実行される処理を例示している。
図4】表示部に表示される表示内容が、呼出中を示す画像から通話中を示す画像に変更される際に実行される処理を例示している。
図5】表示部に表示される表示内容が、通話中を示す画像から駆付中を示す画像に変更される際に実行される処理を例示している。
図6】表示部に表示される表示内容が、通常の復旧により、駆付中を示す画像から待受を示す画像に変更される際に実行される処理を例示している。
図7】表示部に表示される表示内容が、遠隔復旧により、駆付中を示す画像から待受を示す画像に変更される際に実行される処理を例示している。
図8】マップ表示部に表示される表示内容の一例を例示している。
図9】表示部に表示される表示内容が、呼出中を示す画像から通話中を示す画像に変更される際に実行される処理を例示している。
図10】表示部に表示される表示内容が、通話中を示す画像から駆付中を示す画像に変更される際に実行される処理を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<システム構成>
以下、実施形態の例について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る呼出システム1の機能構成を例示している。呼出システム1は、多数の部屋R1~部屋RXを有する施設に適用される呼出システムである。このような施設としては、例えば空港や病院等である。なお、Xは任意の自然数である。本明細書では、部屋R1~部屋RXを含む表現として、部屋Rを用いうる。部屋Rは、例えばトイレや病室等である。
【0028】
図1に例示されるように、呼出システム1は、呼出部10と、通話部20(第一通話部の一例)と、表示装置30と、報知装置40と、復旧操作部50と、マップ表示装置60と、第一遠隔装置70と、第二遠隔装置80と、を備えている。これらはバス90を介して互いに通信可能に接続されている。
【0029】
呼出部10、通話部20、報知装置40、復旧操作部50は部屋Rに設置されている。第一遠隔装置70は、部屋Rとは異なる部屋r1に設置されている。第二遠隔装置80は、部屋Rおよび部屋r1とは異なる部屋r2に設置されている。
【0030】
呼出部10は、部屋Rにいる者が部屋r1または部屋r2にいる者を呼び出す際に操作される。なお、本明細書では、部屋Rにいる者を被救護者と呼び、被救護者からの呼出に対応する者を救護者と呼びうる。救護者には、部屋r1,r2にいる者や、呼出システム1が適用される施設内を巡回している者等が含まれる。呼出部10は、例えば押しボタン等のノンロック式のスイッチやレバー等である。呼出部10は、被救護者が救護者に対し、自身がいる部屋Rに駆け付けてほしい場合に操作されうる。特に呼出部10は、被救護者が救護者に急いで来てほしいときに操作されうる。つまり呼出部10は、非常呼出が行われる際に操作されうる。呼出部10が被救護者によって操作されると、呼出部10は、後述する第一遠隔装置70の通話部71(第二通話部の一例)および第二遠隔装置80の通話部81(第二通話部の一例)を呼び出すための呼出信号(ステータス信号の一例)を生成する。呼出部10は、生成された呼出信号を報知装置40に送信する。
【0031】
通話部20は、被救護者が救護者と通話する際に用いられる。通話部20は、マイク20aおよびスピーカ20bを備えている。マイク20aは、被救護者の声等の音声を捉えるものである。スピーカ20bは、例えば、後述する通話部71に備わるマイク71aや通話部81に備わるマイク81aで捉えられた救護者の声等の音声を発するものである。
【0032】
通話部20は、被救護者からの呼出に対して救護者が応答すること、すなわち被救護者と救護者との間で通話が開始することを示す通話応答信号(ステータス信号の一例)を受信すると、当該通話応答信号に基づき、マイク20aおよびスピーカ20bをON状態にする。
【0033】
通話部20は、被救護者と救護者との通話が終話したことを示す終話信号(ステータス信号の一例)を受信すると、当該終話信号に基づき、マイク20aおよびスピーカ20bをOFF状態にする。
【0034】
表示装置30は、例えば、呼出システム1が適用される施設内を巡回している救護者が視認できる場所、すなわち、廊下に面した壁等といった部屋Rの外側近傍に設置されうる。表示装置30は、表示部31を備えている。表示部31は、呼出部10が生成した呼出信号に起因して開始される被救護者と救護者の通話のステータスを示す表示内容を表示するように構成されている。表示部31は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等である。なお、ここでいう表示内容には、報知装置40の報知動作が停止している状態(通常の状態)であることを示す表示内容、被救護者が救護者を呼び出している最中である状態(呼出中の状態)であることを示す表示内容、被救護者と救護者が通話している状態(通話中の状態)であることを示す表示内容、被救護者と救護者の通話が終了して、救護者が部屋Rに向けて駆け付けている最中である状態(駆付中の状態)であることを示す表示内容、を含む。また本明細書では、通常の状態を示す表示内容を待受、呼出中の状態であることを示す表示内容を呼出中、通話中の状態であることを示す表示内容を通話中、駆付中の状態であることを示す表示内容を駆付中とそれぞれ呼びうる。
【0035】
報知装置40は、報知部41と、報知制御部42と、を備える。報知部41は、呼出部10から呼出信号が発信されたことを報知するように構成されている。報知部41は、例えば廊下灯、トイレ灯、スピーカ等である。報知部41は、例えば呼出部10から呼出信号を受信すると、呼出部10から呼出信号が発信されたことを示す色(例えば赤色)の光を出射しうる。ただし、報知部41の報知動作は、視覚的な報知動作に限られず、例えば聴覚的な報知動作等であってもよい。また報知部41は、呼出部10から呼出信号が発信されたことを示す光を出射する場合、当該光を連続的に出射させてもよいし、断続的に出射させてもよい。
【0036】
報知制御部42は、メモリとプロセッサを備えている。メモリは、例えば、各種プログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)やプロセッサにより実行される各種プログラム等が格納される複数ワークエリアを有するRAM(Random Access Memory)等から構成される。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)であって、ROMに組み込まれた各種プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。
【0037】
報知制御部42は、呼出信号を受信すると、当該呼出信号に基づき、報知部41の報知動作を開始させるように制御する。また報知制御部42は、復旧信号に基づいて、報知部41の報知動作を停止させるように制御することもできる。また報知制御部42は、遠隔復旧信号に基づいて、所定の条件を満たすときに報知部41の報知動作を停止させるようにも構成されている。さらに、報知制御部42は、呼出信号を第一遠隔装置70に送信する。
【0038】
報知制御部42は、復旧信号または遠隔復旧信号に基づいて、表示装置30に備わる表示部31の表示内容を通常の状態に変更するための復旧表示変更信号を生成しうる。報知制御部42は、生成された復旧表示変更信号を第二遠隔装置80に送信する。
【0039】
復旧操作部50は、報知装置40に備わる報知部41の報知動作を停止させて通常の状態に復旧させるための復旧信号を生成するように構成されている。復旧操作部50は、例えば押しボタン等のノンロック式のスイッチである。なお、復旧信号は、復旧操作部50が操作された時刻に関する時刻情報を含んでいる。復旧操作部50は、生成された復旧信号を報知装置40または第二遠隔装置80に送信する。
【0040】
復旧操作部50は、復旧表示変更信号を生成することもできる。
【0041】
マップ表示装置60は、マップ表示部61を有する。マップ表示部61には、第一遠隔装置70が設置された部屋r1の位置及び第二遠隔装置80が設置された部屋r2の位置と、部屋Rに関連する被救護者と救護者の通話のステータスに対応する表示内容とが一覧的に表示されるように構成されている。マップ表示部61は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等である。
【0042】
第一遠隔装置70は、通話部71と、遠隔復旧操作部72と、制御部73と、を備えている。通話部71は、部屋r1にいる救護者が被救護者と通話する際に操作される。通話部71は、通話部20と通話回線で接続されている。通話部71は、マイク71aおよびスピーカ71bを備えている。マイク71aは、部屋r1にいる救護者の声等の音声を捉えるものである。スピーカ71bは、例えば、通話部20に備わるマイク20aで捉えられた被救護者の声等の音声を発するものである。
【0043】
通話部71に対して、通話部20との通話を開始するための操作(例えば、通話部71に備わる通話開始ボタンの押下)がなされると、通話部71は通話応答信号を生成する。通話部71は、当該通話応答信号を制御部73に送信する。
【0044】
通話部71に対して、通話部20との通話を終話させるための操作(例えば、通話部71に備わる通話終了ボタンを押下)がなされると、通話部71は終話信号を生成する。通話部71は、生成された終話信号を制御部73に送信する。
【0045】
遠隔復旧操作部72は、報知装置40に備わる報知部41の報知動作を停止させて通常の状態に復旧させるための遠隔復旧信号を生成するように構成されている。遠隔復旧操作部72は、例えば押しボタン等のノンロック式のスイッチである。なお、当該遠隔復旧信号は、遠隔復旧操作部72が操作された時刻に関する時刻情報を含んでいる。遠隔復旧操作部72は、生成された遠隔復旧信号を制御部73または第二遠隔装置80に送信する。
【0046】
遠隔復旧操作部72は、遠隔復旧信号の代わりに、復旧表示変更信号を生成することもできる。
【0047】
制御部73は、報知制御部42が備えるメモリとプロセッサと同様の構成のメモリとプロセッサを備えていてもよい。制御部73は、通話制御部731と、マップ表示制御部732と、を含む。なお、制御部73は、部屋Rに設置されている表示装置30のうち、表示部31に表示されている表示内容が待受以外の表示内容になっている表示装置30を特定するためのステータス確認信号を生成可能である。制御部73は、第二遠隔装置80に対して、当該ステータス確認信号を定期的に送信しうる。
【0048】
制御部73は各種ステータス信号(すなわち、呼出信号、通話応答信号、および終話信号)を第二遠隔装置80に送信しうる。また制御部73は、受信した遠隔復旧信号を報知装置40に送信しうる。
【0049】
通話制御部731は、呼出信号に起因して開始される被救護者と救護者の通話を制御するように構成されている。通話制御部731は、呼出信号を受信すると、呼出部10が操作されたことを認識し、通話要求信号を生成する。通話制御部731は、生成された通話要求信号に基づき、被救護者から呼出があったことを救護者に通知するための通知動作を行うよう、通話部71を制御する。通知動作とは、例えば「呼出があります」といった聴覚的な通知等であるが、視覚的な通知等であってもよい。またこのとき、通話制御部731は、生成された通話要求信号を第二遠隔装置80に送信する。
【0050】
通話制御部731は、通話応答信号に基づいて、通話部71のマイク71aとスピーカ71bをON状態にするよう制御する。通話制御部731は、通話応答信号を通話部20に送信する。
【0051】
通話制御部731は、終話信号を受信すると、マイク71aおよびスピーカ71bをOFF状態にするよう通話部71を制御する。また通話制御部731は、終話信号を通話部20に送信しうる。終話信号は、終話時刻を示す終話時刻情報を含む。通話制御部731は、終話時刻情報を報知装置40に送信しうる。
【0052】
マップ表示制御部732は、報知制御部42が備えるメモリとプロセッサと同様の構成のメモリとプロセッサを備えていてもよい。マップ表示制御部732が備えるメモリには、呼出システム1が適用される施設の地図情報が記憶されている。マップ表示制御部732は、当該地図情報と、部屋Rに関連する通話のステータス情報と、部屋r1および部屋r2の位置情報と、に基づいて、マップ表示装置60が有するマップ表示部61を制御するように構成されている。
【0053】
第二遠隔装置80は、通話部81と、遠隔復旧操作部82と、制御部83と、を備えている。通話部81は、部屋r2にいる救護者が被救護者と通話する際に用いられる。通話部81は、通話部20と通話回線で接続されている。通話部81は、マイク81aおよびスピーカ81bを備えている。マイク81aは、部屋r2にいる救護者の声等の音声を捉えるものである。スピーカ81bは、例えば、通話部20に備わるマイク20aで捉えられた被救護者の声等の音声を発するものである。
【0054】
通話部81に対して、通話開始のための操作がなされると、通話部81は通話応答信号を生成する。通話部81は当該通話応答信号を制御部83に送信する。
【0055】
通話部81に対して、終話のための操作がなされると、通話部81は終話信号を生成する。当該終話信号を制御部83に送信する。
【0056】
遠隔復旧操作部82は、遠隔復旧操作部72と同様の構成であってもよい。遠隔復旧操作部82により生成された遠隔復旧信号は、遠隔復旧操作部82が操作された時刻に関する時刻情報を含んでいる。遠隔復旧操作部82は、生成された遠隔復旧信号を制御部83に送信する。
【0057】
遠隔復旧操作部82は、復旧表示変更信号を生成することもできる。
【0058】
制御部83は、報知制御部42が備えるメモリとプロセッサと同様の構成のメモリとプロセッサを備えていてもよい。制御部83は、受信した通話要求信号に基づき、被救護者から呼出があったことを救護者に通知するための通知動作を行うよう、通話部81を制御する。通知動作とは、例えば「呼出があります」といった聴覚的な通知等であってもよいし、視覚的な通知等であってもよい。
【0059】
制御部83は、通話応答信号に基づいて、通話部81のマイク81aとスピーカ81bをON状態にするよう制御する。制御部83は、通話応答信号を第一遠隔装置70に送信しうる。
【0060】
制御部83は、終話信号を受信すると、マイク81aおよびスピーカ81bをOFF状態にするよう通話部81を制御する。またこのとき、制御部83は、終話信号を第一遠隔装置70に送信しうる。
【0061】
制御部83は、遠隔復旧操作部82から受信した遠隔復旧信号を報知装置40に送信しうる。また、制御部83は、復旧表示変更信号に基づき、遠隔復旧信号を生成可能に構成されている。
【0062】
制御部83は、表示制御部831を含む。表示制御部831は、各種ステータス信号に基づいて、表示装置30の表示部31を制御するように構成されている。例えば、表示制御部831は呼出信号を受信すると、呼出中の画像に表示内容を変更するよう表示部31を制御する。表示制御部831は、通話応答信号を受信すると、通話中の画像に表示内容を変更するよう表示部31を制御する。表示制御部831は、終話信号を受信すると、駆付中の画像に表示内容を変更するよう表示部31を制御する。
【0063】
図2を参照して、被救護者と救護者の通話のステータスを示す表示内容について説明する。通常の状態であることを示す表示内容(待受)は、図2の(a)に例示されるものである。呼出中の状態であることを示す表示内容(呼出中)は、図2の(b)に例示されるものである。通話中の状態であることを示す表示内容(通話中)は、図2の(c)に例示されるものである。駆付中の状態であることを示す表示内容(駆付中)は、図2の(d)に例示されるものである。
【0064】
表示制御部831は、ステータス確認信号に基づき、表示制御部831が制御する表示部31の表示内容を確認する。表示制御部831は、確認された表示内容を基に、表示装置30が設置された各部屋R1~RXにおける被救護者と救護者の通話のステータスを特定する。当該ステータスに関する情報は、制御部83に記憶される。表示制御部831は、例えば、第一遠隔装置70が第二遠隔装置80に対してポーリングを行ったとき、各部屋R1~RXに関するステータス情報を第一遠隔装置70に送信する。このようにして、第一遠隔装置70は各部屋R1~RXにおける被救護者と救護者の通話に関する最新のステータスを把握しうる。
【0065】
<第一動作例>
次に、図3図7を参照しつつ、第一動作例について説明する。図3は、表示部31に表示される表示内容が、待受を示す画像から呼出中を示す画像に変更される際に実行される処理を例示している。図3に例示されるように、被救護者が呼出部10を操作すると、呼出部10は呼出信号を生成し、生成された呼出信号を報知装置40に送信する(STEP1)。
【0066】
報知装置40の報知制御部42は、受信した呼出信号に基づき、報知部41の報知動作を開始させる(STEP2)。報知制御部42は、当該呼出信号を第一遠隔装置70に送信する(STEP3)。
【0067】
第一遠隔装置70の通話制御部731は、呼出信号に基づいて、通話要求信号を生成する(STEP4)。このとき、通話制御部731は、通話要求信号に基づき、被救護者から呼出があったことを救護者に通知するための通知動作を行うよう、通話部71を制御する(STEP5)。
【0068】
制御部73は、呼出信号と通話要求信号を第二遠隔装置80に送信する(STEP6)。
【0069】
第二遠隔装置80の制御部83は、通話要求信号に基づき、被救護者から呼出があったことを救護者に通知するための通知動作を行うよう、通話部81を制御する(STEP7)。またこのとき、制御部83の表示制御部831は、呼出信号に基づき、呼出中の画像に表示内容を変更するよう表示部31を制御する。これにより、表示部31の表示内容は、図2の(a)に例示された表示内容から図2の(b)に示す表示内容に変更される(STEP8)。
【0070】
呼出をした被救護者がいる部屋の近くを巡回している救護者は、図2の(b)に示す表示内容を視認することによって、呼出を行っている救護者がいること、およびどの救護者も被救護者からの呼出に対応していないことを知ることができる。この場合、救護者は被救護者の対応を行う。
【0071】
図4は、表示部31に表示される表示内容が、呼出中を示す画像から通話中を示す画像に変更される際に実行される処理を例示している。図4に例示されるように、救護者が通話部71に対して、被救護者と通話するための所定の操作を行うと、通話部71は通話応答信号を生成し、制御部73に送信する(STEP11)。
【0072】
制御部73の通話制御部731は、受信した通話応答信号に基づき、マイク71aおよびスピーカ71bをON状態にするよう通話部71を制御する(STEP12)。さらに通話制御部731は、通話応答信号を通話部20に送信する(STEP13)。
【0073】
通話部20は、受信した通話応答信号に基づき、マイク20aおよびスピーカ20bをON状態にする(STEP14)。
【0074】
通話部71は、通話応答信号を制御部73に送信する(STEP15)。制御部73は、通話応答信号を第二遠隔装置80に送信する(STEP16)。
【0075】
第二遠隔装置80の表示制御部831は、受信した通話応答信号に基づき、通話中の画像に表示内容を変更するよう表示部31を制御する。これにより、表示部31の表示内容は、図2の(b)に示す表示内容から図2の(c)に示す表示内容に変更される(STEP17)。
【0076】
呼出をした被救護者がいる部屋の近くを巡回している救護者は、図2の(c)に示す表示内容を視認することによって、被救護者は部屋r1または部屋r2にいる救護者と通話している、すなわち部屋r1または部屋r2にいる救護者が被救護者からの呼出に対応していることを知ることができる。この場合、救護者は被救護者の対応を行わない。
【0077】
図5は、表示部31に表示される表示内容が、通話中を示す画像から駆付中を示す画像に変更される際に実行される処理を例示している。救護者が、通話部71に対して、被救護者との通話を終了させるための所定の操作を行うと、通話部71は終話信号を生成し、制御部73の通話制御部731に送信する(STEP21)。
【0078】
通話制御部731は、受信した終話信号に基づき、マイク71aおよびスピーカ71bをOFF状態にするよう通話部71を制御する(STEP22)。またこのとき、通話制御部731は、終話信号を通話部20に送信する(STEP23)。このとき通話制御部731は、さらに終話時刻情報を報知装置40に送信してもよい。
【0079】
通話部20は、受信した終話信号に基づき、マイク20aおよびスピーカ20bをOFF状態にする(STEP24)。
【0080】
通話制御部731は、終話信号を第二遠隔装置80に送信する(STEP25)。
【0081】
第二遠隔装置80の表示制御部831は、受信した終話信号に基づき、駆付中の画像に表示内容を変更するよう表示部31を制御する。これにより、表示部31の表示内容は、図2の(c)に示す表示内容から図2の(d)に示す表示内容に変更される(STEP26)。
【0082】
呼出をした被救護者がいる部屋の近くを巡回している救護者は、図2の(d)に示す表示内容を視認することによって、部屋r1もしくは部屋r2にいる救護者、または部屋r1もしくは部屋r2にいる救護者から連絡を受けた他の救護者が被救護者のもとへ向かっていることを知ることができる。この場合、救護者は被救護者の対応を行わない。
【0083】
図6は、表示部31に表示される表示内容が、通常の復旧により、駆付中を示す画像から待受を示す画像に変更される際に実行される処理を例示している。なお、通常の復旧とは、救護者が呼出を行った被救護者がいる部屋に赴いて被救護者の状況を確認し、当該呼出への対応が完了したときに、救護者によって行われる操作である。このため、救護者は、通常の復旧を行う場合、被救護者がいる部屋で復旧操作を行う。
【0084】
救護者により、復旧操作部50が操作されると、復旧操作部50は復旧信号を生成し、生成された復旧信号を報知装置40に送信する(STEP31)。
【0085】
報知装置40の報知制御部42は、復旧信号に基づいて、報知部41の報知動作を停止させる(STEP32)。またこのとき、報知装置40の報知制御部42は、受信した復旧信号に基づいて、復旧表示変更信号を生成し、生成された復旧表示変更信号を第二遠隔装置80に送信する(STEP33)。
【0086】
第二遠隔装置80の表示制御部831は、受信した復旧表示変更信号に基づき、待受を示す画像に表示内容を変更するよう表示部31を制御する。これにより、表示部31の表示内容は、図2の(d)に示す表示内容から図2の(a)に示す表示内容に変更される(STEP34)。
【0087】
呼出をした被救護者がいる部屋の近くを巡回している救護者は、図2の(a)に示す表示内容を視認することによって、呼出は行われていないこと、または被救護者からの呼出への対応が完了していることを知ることができる。
【0088】
図7は、表示部31に表示される表示内容が、遠隔復旧により、駆付中を示す画像から待受を示す画像に変更される際に実行される処理を例示している。なお、遠隔復旧とは、例えば被救護者が誤って呼出を行ってしまった場合、救護者と被救護者との通話により問題が解決した場合等において行われる操作である。被救護者が誤って呼出を行ってしまった場合を例にして具体的に説明する。この場合、救護者は、被救護者との通話を通じて被救護者の状況を確認し、当該呼出は被救護者が誤って行ってしまった呼出であるかどうかを判断する。救護者は、当該呼出は被救護者が誤って行ってしまった呼出であると判断した場合、当該呼出への対応が完了したことを示すために、被救護者がいる部屋に赴くことなく復旧操作を行う。
【0089】
救護者により、遠隔復旧操作部72が操作されると、遠隔復旧操作部72は、遠隔復旧信号を生成し、生成された遠隔復旧信号を制御部73に送信する(STEP41)。制御部73は、遠隔復旧操作部72から受信した遠隔復旧信号を報知装置40に送信する(STEP42)。
【0090】
ところで、例えばトイレにいる被救護者からの呼出は人命に関わる呼出であることが多いため、このような呼出は緊急度および重要度が高い。このため、従来の呼出システムでは、救護者が被救護者のいる所に赴かないと復旧作業ができないように設計されていることが多かった。そこで、本実施形態に係る呼出システム1は、基本的には救護者が被救護者のいる所に赴かないと復旧作業ができないが、所定の条件を満たすときに限り、例外的に遠隔復旧ができるように設計されている。このため、報知装置40の報知制御部42は、所定の条件を満たすかどうかを判断する(STEP43)。
【0091】
ここで、所定の条件とは、例えば被救護者と救護者の通話のステータスが通話中であるとき(すなわち被救護者と救護者の通話が継続している間)に、報知制御部42が遠隔復旧信号を受信したこと、報知制御部42が復旧表示変更信号を生成するまでに報知制御部42が遠隔復旧信号を受信したこと、被救護者と救護者の通話が終了した時点から所定の時間以内に報知制御部42が遠隔復旧信号を受信したこと等である。なお、所定の条件が、被救護者と救護者の通話が終了した時点から所定の時間以内に報知制御部42が遠隔復旧信号を受信したことであるとき、報知制御部42は、遠隔復旧信号に含まれる時刻情報と、終話時刻情報と、に基づいて、報知部41の報知動作を制御すべきかどうか判断する。
【0092】
所定の条件を満たさないとき(STEP43においてNO)、報知制御部42は何もせずに、本処理を終了させる。一方、所定の条件を満たすとき(STEP43においてYES)、報知制御部42は、遠隔復旧信号に基づいて、報知部41の報知動作を停止させる(STEP44)。報知部41の報知動作を停止させる場合、報知制御部42は、受信した遠隔復旧信号に基づいて、復旧表示変更信号を生成し、生成された復旧表示変更信号を第二遠隔装置80に送信する(STEP45)。
【0093】
第二遠隔装置80の表示制御部831は、復旧表示変更信号を受信すると、当該復旧表示変更信号に基づき、待受を示す画像に表示内容を変更するよう表示部31を制御する。これにより、表示部31の表示内容は、図2の(d)に示す表示内容から図2の(a)に示す表示内容に変更される(STEP46)。
【0094】
呼出をした被救護者がいる部屋の近くを巡回している救護者は、図2の(a)に示す表示内容を視認することによって、呼出は行われていないこと、または被救護者からの呼出への対応が完了していることを知ることができる。
【0095】
図8は、マップ表示部61に表示される表示内容の一例を例示する図である。図8に例示される例において、呼出システム1が適用される施設は空港であり、部屋Rはトイレである。例えば、中央ビルの5階にあるトイレに設置されている呼出部10が操作された場合、図8の(a)に例示されるように、当該トイレがある位置を示す領域Aには、救護者と被救護者の通話のステータス(呼出中)に対応する表示内容が表示される。
【0096】
救護者が、マップ表示部61に表示される領域Aをクリックしたり、タップしたりすると、図8の(b)に例示されるように、当該トイレがある階の詳細図がマップ表示部61に表示される。このとき、当該トイレがある位置を示す領域Bには、救護者と被救護者の通話のステータス(呼出中)に対応する表示内容が表示される。
【0097】
<第二動作例>
図9図10を参照して、第二動作例について説明する。なお、第一動作例と重複する部分については説明を省略する。第二動作例は、救護者が第二遠隔装置80の通話部81を介して被救護者と通話する点で第一動作例と異なる。
【0098】
表示部31に表示される表示内容が、待受を示す画像から呼出中を示す画像に変更される際に実行される処理は第一動作例と同様なので説明を省略する。
【0099】
第二動作例における、表示部31に表示される表示内容が、呼出中を示す画像から通話中を示す画像に変更される際に実行される処理について、図9を参照しつつ説明をする。図9に例示されるように、救護者が通話部81に対して、被救護者と通話するための所定の操作を行うと、通話部81は通話応答信号を生成し、制御部83に送信する(STEP51)。
【0100】
制御部83は、通話応答信号に基づいて、通話部81のマイク81aとスピーカ81bをON状態にするよう制御する(STEP52)。また制御部83は、通話応答信号を第一遠隔装置70に送信する(STEP53)。
【0101】
STEP54~STEP55はSTEP13~STEP14と同様なので説明を省略する。また、STEP56はSTEP17と同様なので説明を省略する。
【0102】
表示部31に表示される表示内容が、通話中を示す画像から駆付中を示す画像に変更される際に実行される処理について、図10を参照しつつ説明する。通話部81に対して、救護者が被救護者との通話を終了させるための所定の操作を行うと、通話部81は終話信号を生成し、制御部83に送信する(STEP61)。
【0103】
制御部83は、受信した終話信号に基づき、マイク81aおよびスピーカ81bをOFF状態にするよう通話部81を制御する(STEP62)。またこのとき、制御部83は、終話信号を第一遠隔装置70に送信する(STEP63)。
【0104】
第一遠隔装置70の通話制御部731は、受信した終話信号を通話部20に送信する(STEP64)。
【0105】
STEP65は、STEP24と同様なので説明を省略する。
【0106】
通話部81は、終話信号を表示制御部831に送信する(STEP66)。
【0107】
STEP67は、STEP26と同様なので説明を省略する。
【0108】
表示部31に表示される表示内容が、駆付中を示す画像から待受を示す画像に変更される際に実行される処理は第一動作例と同様なので説明を省略する。
【0109】
第二動作例において、マップ表示部61に表示される表示内容は、第一動作例においてマップ表示部61に表示される表示内容と同様なので、説明を省略する。
【0110】
ところで、非常呼出については人命に関わる呼出であることが多いため、非常呼出は優先度が高く設定されている。非常呼出は優先度が高い呼出であるため、多くの救護者が、呼出があった場所に急行する。したがって、既に対応している場所に必要以上に救護者が来てしまうことがある。
【0111】
また、非常呼出については、救護者が被救護者のいる所に赴かないと復旧作業ができないように呼出システムは通常設計されている。これは、非常呼出については人命に関わる呼出であることが多いので、安易に非常呼出に対して遠隔復旧を認めることは、安全性を損ねる虞があるからである。したがって、例えば利用者が誤って非常呼出をしてしまったとしても、救護者は被救護者のいる所に赴かないといけない。
【0112】
一方で、トイレ等の部屋が多くある施設を限られた人員で管理したい場合、効率よく非常呼出に対応したいという要求がある。しかし従来の呼出システムにおいては、被救護者からの呼出が救護者に報知されるのみであり、救護者は被救護者からの呼出に関する対応状況は、被救護者がいる場所まで赴かないとわからなかった。また、被救護者のいる所に赴かず行う復旧作業(遠隔復旧作業)はできないように設計されていた。
【0113】
上記のような構成によれば、救護者が呼出部10を操作すると、呼出部10から呼出信号が報知装置40に送信される(STEP1)。報知装置40は、第一遠隔装置70に送信する(STEP3)。第一遠隔装置70は、呼出信号を第二遠隔装置80に送信する(STEP6)。第二遠隔装置80の表示制御部831は、当該呼出信号に基づいて、呼出中の状態であることを示す表示内容に変更するように表示部31を制御する(STEP8)。次に、例えば、部屋r1にいる救護者が通話部71に対して、被救護者と通話するための所定の操作を行うと、通話部71は通話応答信号を生成し、制御部73に送信する(STEP11)。通話部71は、通話応答信号を制御部73に送信する(STEP15)。制御部73は、通話応答信号を第二遠隔装置80に送信する(STEP16)。表示制御部831は、当該通話応答信号に基づき、被救護者と救護者が通話中であることを示す表示内容に変更するよう表示部31を制御する(STEP17)。このように、被救護者と救護者の通話のステータスは、適時に表示部31に表示されるので、例えば、呼出をした被救護者がいる部屋Rの近くを巡回している救護者は、表示部31に表示された表示内容を視認するだけで当該呼出への対応が行われているかどうかを把握することができる。したがって、被救護者からの呼出に対する救護者の対応が重複してしまうといった非効率的な状況が発生してしまうことが抑制される。
【0114】
また、上記のような構成によれば、救護者が、通話部71に対して、被救護者との通話を終了させるための所定の操作を行うと、通話部71は終話信号を生成し、制御部73に送信する(STEP21)。終話信号は第二遠隔装置80に送信される(STEP25)。第二遠隔装置80の表示制御部831は、受信した終話信号に基づいて、救護者が部屋Rに向けて駆付中であることを示す表示内容に変更するよう表示部31を制御する(STEP26)。このように、表示部31には、救護者が部屋に向けて駆付中であることを示す表示内容が表示されるため、救護者は、表示部31に表示された救護者と救護者の通話のステータスを視認するだけで、別の救護者が、被救護者がいる部屋に向かっているかどうかを把握することができる。したがって、呼出をした被救護者のもとへ複数の救護者が駆け付けてしまうといった非効率的な状況が発生してしまうことが抑制される。
【0115】
また、上記のような構成によれば、被救護者による呼出部10への誤操作に起因して報知部41の報知動作が開始してしまった場合、救護者は、復旧操作部50が設置された部屋Rまで駆けつけることなく、当該報知動作を停止させることができる。つまり救護者は、被救護者がいる部屋Rまで駆けつけることなく、当該報知動作を停止させることができる。
【0116】
また、上記のような構成によれば、復旧操作部50または遠隔復旧操作部72が操作されると、報知制御部42から復旧表示変更信号が表示制御部831に送信される。表示制御部831は、受信した復旧表示変更信号に基づいて表示部31の表示内容を変更する。報知動作が停止すると、表示部31の表示内容は待受に変わるので、救護者は復旧操作部50または遠隔復旧操作部72を操作するだけで、報知動作を停止させつつ、表示内容を変更することができる。
【0117】
また、上記のような構成によれば、タイマ制御を用いることなく、遠隔復旧操作部72による遠隔復旧が可能な時期を制限することができる。
【0118】
また、上記のような構成によれば、部屋r1または部屋r2にいる救護者と部屋Rにいる被救護者の通話が終了した時点から所定の時間内に限り、遠隔復旧操作部72による遠隔復旧が可能である。したがって、遠隔復旧操作部72による遠隔復旧がいたずらに行われてしまうことを防ぐことができる。
【0119】
また、上記のような構成によれば、部屋r1または部屋r2にいる救護者は、マップ表示部61を視認するだけで、各部屋R1~RXの状況やステータスの遷移を容易に把握することができる。
【0120】
<復旧操作の変形例>
次に、復旧操作の変形例について説明する。第一動作例および第二動作例では、救護者により、復旧操作部50が操作されると、復旧操作部50は復旧信号を生成し、生成された復旧信号を報知装置40に送信するが、当該変形例では、救護者により、復旧操作部50が操作されると、復旧操作部50は復旧表示変更信号を生成し、生成された復旧表示変更信号を第二遠隔装置80の表示制御部831に送信する。
【0121】
表示制御部831は、復旧表示変更信号を受信すると、待受を示す画像に表示内容を変更するよう表示部31を制御する。また表示制御部831は、受信した復旧表示変更信号に基づき、復旧信号を生成する。表示制御部831は、生成された復旧信号を報知装置40に送信する。
【0122】
報知装置40の報知制御部42は、受信した復旧信号に基づき、報知部41の報知動作を停止させる。
【0123】
<遠隔復旧操作の変形例>
次に、遠隔復旧操作の変形例について説明する。第一動作例および第二動作例では、救護者により、遠隔復旧操作部72が操作されると、遠隔復旧操作部72は、遠隔復旧信号を生成し、生成された遠隔復旧信号を制御部73に送信するが、当該変形例では、救護者により、遠隔復旧操作部72が操作されると、遠隔復旧操作部72は復旧表示変更信号を生成し、生成された復旧表示変更信号を第二遠隔装置80の表示制御部831に送信する。
【0124】
表示制御部831は、復旧表示変更信号を受信すると、待受を示す画像に表示内容を変更するよう表示部31を制御する。また表示制御部831は、受信した復旧表示変更信号に基づき、遠隔復旧信号を生成する。表示制御部831は、生成された遠隔復旧信号を報知装置40に送信する。
【0125】
報知装置40の報知制御部42は、受信した遠隔復旧信号と、終話時刻情報と、に基づき、報知部41の報知動作を停止させるかどうか判断する。所定の条件を満たすとき、報知制御部42は、報知部41の報知動作を停止させる。なお、この場合において所定の条件とは、例えば被救護者と救護者の通話のステータスが通話中であるとき(すなわち被救護者と救護者の通話が継続している間)に、報知制御部42が遠隔復旧信号を受信したこと、報知制御部42が復旧表示変更信号を受信するまでに報知制御部42が遠隔復旧信号を受信したこと等である。
【0126】
上記のような構成によれば、復旧操作部50または遠隔復旧操作部72が操作されると、復旧操作部50または遠隔復旧操作部72は復旧表示変更信号を生成する。生成された復旧表示変更信号は表示制御部831に送信され、表示制御部831は当該信号に基づいて、表示部31の表示内容を待受に変更するよう表示部31を制御する。
【0127】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0128】
第一動作例では、通話部71が終話信号を生成し、生成された終話信号を制御部73に送信しているが、通話部20が終話信号を生成し、生成された終話信号を第一遠隔装置70の制御部73に送信してもよい。つまり、被救護者と救護者との通話を終了させるための所定の操作は、通話部20で行われてもよい。
【0129】
第一動作例および第二動作例では、第一遠隔装置70の遠隔復旧操作部72が操作される例を用いて説明したが、これに限られない。第二遠隔装置80の遠隔復旧操作部82が操作されてもよい。
【0130】
遠隔復旧操作の変形例では、第一遠隔装置70の遠隔復旧操作部72が操作される例を用いて説明したが、これに限られない。第二遠隔装置80の遠隔復旧操作部82が操作されてもよい。この場合、遠隔復旧操作部82は復旧表示変更信号を生成し、生成された復旧表示変更信号を表示制御部831に送信する。表示制御部831は、受信した復旧表示変更信号に基づいて、待受を示す画像に表示内容を変更するよう表示部31を制御する。このとき、表示制御部831は、受信した復旧表示変更信号に基づいて遠隔復旧信号を生成し、生成された遠隔復旧信号を報知装置40に送信しうる。
【0131】
第一動作例、第二動作例、および遠隔復旧操作の変形例では、救護者が、第一遠隔装置70の遠隔復旧操作部72または第二遠隔装置80の遠隔復旧操作部82を介して、遠隔復旧を行う例を説明したが、これらの例に限定されない。例えば、救護者は、第一遠隔装置70や第二遠隔装置80の代わりに、遠隔復旧操作部72または遠隔復旧操作部82と同様の機能を発揮しうる端末(遠隔復旧を行うことができるリモコン装置や、遠隔復旧を行うためのアプリケーションがダウンロードされたスマートフォン等)を介して、遠隔復旧を行ってもよい。
【符号の説明】
【0132】
1:呼出システム、10:呼出部、20:通話部、20a:マイク、20b:スピーカ、30:表示装置、31:表示部、40:報知装置、41:報知部、42:報知制御部、50:復旧操作部、60:マップ表示装置、61:マップ表示部、70:第一遠隔装置、71:通話部、71a:マイク、71b:スピーカ、72:遠隔復旧操作部、73:制御部、80:第二遠隔装置、81:通話部、81a:マイク、81b:スピーカ、82:遠隔復旧操作部、83:制御部、90:バス、731:通話制御部、732:マップ表示制御部、831:表示制御部
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