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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
H01R13/42 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019198938
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021072222
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 匠
(72)【発明者】
【氏名】池谷 一英
(72)【発明者】
【氏名】安間 光
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-134301(JP,A)
【文献】特開2006-019076(JP,A)
【文献】特開2019-145275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
H01R 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側端子が挿入される四角筒状の箱部を有する端子と、前記端子を収容する端子収容室を備えたハウジングと、を備えたコネクタであって、
前記箱部の外面に設けられた凹部と、前記端子収容室を画成する内面に設けられた凸部とからなる凹凸構造であって、前記端子を正規の向きで前記端子収容室に挿入した際には、前記凸部が前記凹部に進入可能であることにより、前記端子が前記端子収容室の正規位置まで挿入可能であり、前記端子を前記端子の挿入方向と直交する上下方向に関して前記正規の向きとは逆向きで前記端子収容室に挿入した際には、前記凸部が前記端子の前記凹部以外の箇所に干渉することにより、前記端子が前記端子収容室の前記正規位置まで挿入不能である、ように構成された凹凸構造を備え
前記凹部は、前記箱部を構成する側壁の前記挿入方向の前端面における前記上下方向の中央より一方側にオフセットした位置から前記挿入方向の後方に窪んだスリットであり、
前記凸部は、前記端子収容室を画成する側壁の内面から、前記スリットに対応して、前記挿入方向及び前記上下方向に直交する幅方向の内方に突出するリブである、コネクタ。
【請求項2】
相手側端子が挿入される四角筒状の箱部を有する端子と、前記端子を収容する端子収容室を備えたハウジングと、を備えたコネクタであって、
前記箱部の外面に設けられた凹部と、前記端子収容室を画成する内面に設けられた凸部とからなる凹凸構造であって、前記端子を正規の向きで前記端子収容室に挿入した際には、前記凸部が前記凹部に進入可能であることにより、前記端子が前記端子収容室の正規位置まで挿入可能であり、前記端子を前記端子の挿入方向と直交する上下方向に関して前記正規の向きとは逆向きで前記端子収容室に挿入した際には、前記凸部が前記端子の前記凹部以外の箇所に干渉することにより、前記端子が前記端子収容室の前記正規位置まで挿入不能である、ように構成された凹凸構造を備え、
前記凹部は、前記箱部を構成する上壁の上面における前記挿入方向の前端から連続する前端部に形成され且つ前記上壁の上面の他の部分より下方に窪んだ段差部であり、
前記凸部は、前記端子収容室を画成する上壁の内面から、前記段差部に対応して、下方に突出するリブである、コネクタ。
【請求項3】
相手側端子が挿入される四角筒状の箱部を有する端子と、前記端子を収容する端子収容室を備えたハウジングと、を備えたコネクタであって、
前記箱部の外面に設けられた凹部と、前記端子収容室を画成する内面に設けられた凸部とからなる凹凸構造であって、前記端子を正規の向きで前記端子収容室に挿入した際には、前記凸部が前記凹部に進入可能であることにより、前記端子が前記端子収容室の正規位置まで挿入可能であり、前記端子を前記端子の挿入方向と直交する上下方向に関して前記正規の向きとは逆向きで前記端子収容室に挿入した際には、前記凸部が前記端子の前記凹部以外の箇所に干渉することにより、前記端子が前記端子収容室の前記正規位置まで挿入不能である、ように構成された凹凸構造を備え、
前記凹部は、前記箱部を構成する側壁と下壁との境界に位置する角部における前記挿入方向の前端から連続する前端部に形成され且つ前記角部の他の部分より前記上方及び前記上下方向に直交する幅方向の内方に窪んだ切欠き部であり、
前記凸部は、前記端子収容室を画成する側壁と下壁との境界に位置する隅部から、前記切欠き部に対応して、前記上方及び前記幅方向の内方に突出するリブである、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、相手側端子が挿入される四角筒状の箱部を有する端子と、端子を収容する端子収容室を備えたハウジングと、を備えたコネクタが広く知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この種のコネクタでは、端子を正規の向きとは上下方向に関して逆向きで端子収容室に挿入すること(以下、「上下反転挿入」と呼ぶ)を防止する必要がある。このため、この文献に記載のコネクタでは、端子の箱部の外面に凸部(スタビライザ)を設け、端子収容室を画成する内面に前記凸部に対応して凹部を設けている。この結果、端子を正規の向きで端子収容室に挿入した際には、端子の凸部が端子収容室の凹部に進入可能であることにより、端子が端子収容室の正規位置まで挿入可能である。他方、端子を上下反転挿入した際には、端子の凸部が端子収容室の凹部以外の箇所に干渉することにより、端子が端子収容室の正規位置まで挿入不能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-058181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献に記載のコネクタでは、端子の上下反転挿入を防止するために、端子の箱部の外面に凸部を設けているため、このような凸部を設けない場合と比べて、端子の箱部の外寸法が大きくなる。このことは、端子を収容するハウジング、ひいてはコネクタ全体を大型化する要因の一つとなり得る。
【0006】
本発明の目的の一つは、コネクタ全体を大型化することなく端子の上下反転挿入を防止可能な構造を備えたコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、下記[1]~[]を特徴としている。
[1]
相手側端子が挿入される四角筒状の箱部を有する端子と、前記端子を収容する端子収容
室を備えたハウジングと、を備えたコネクタであって、
前記箱部の外面に設けられた凹部と、前記端子収容室を画成する内面に設けられた凸部
とからなる凹凸構造であって、前記端子を正規の向きで前記端子収容室に挿入した際には
、前記凸部が前記凹部に進入可能であることにより、前記端子が前記端子収容室の正規位
置まで挿入可能であり、前記端子を前記端子の挿入方向と直交する上下方向に関して前記
正規の向きとは逆向きで前記端子収容室に挿入した際には、前記凸部が前記端子の前記凹
部以外の箇所に干渉することにより、前記端子が前記端子収容室の前記正規位置まで挿入
不能である、ように構成された凹凸構造を備え
前記凹部は、前記箱部を構成する側壁の前記挿入方向の前端面における前記上下方向の中央より一方側にオフセットした位置から前記挿入方向の後方に窪んだスリットであり、
前記凸部は、前記端子収容室を画成する側壁の内面から、前記スリットに対応して、前記挿入方向及び前記上下方向に直交する幅方向の内方に突出するリブである、コネクタであること。

相手側端子が挿入される四角筒状の箱部を有する端子と、前記端子を収容する端子収容室を備えたハウジングと、を備えたコネクタであって、
前記箱部の外面に設けられた凹部と、前記端子収容室を画成する内面に設けられた凸部とからなる凹凸構造であって、前記端子を正規の向きで前記端子収容室に挿入した際には、前記凸部が前記凹部に進入可能であることにより、前記端子が前記端子収容室の正規位置まで挿入可能であり、前記端子を前記端子の挿入方向と直交する上下方向に関して前記正規の向きとは逆向きで前記端子収容室に挿入した際には、前記凸部が前記端子の前記凹部以外の箇所に干渉することにより、前記端子が前記端子収容室の前記正規位置まで挿入不能である、ように構成された凹凸構造を備え、
前記凹部は、前記箱部を構成する上壁の上面における前記挿入方向の前端から連続する
前端部に形成され且つ前記上壁の上面の他の部分より下方に窪んだ段差部であり、
前記凸部は、前記端子収容室を画成する上壁の内面から、前記段差部に対応して、下方
に突出するリブである、コネクタであること。

相手側端子が挿入される四角筒状の箱部を有する端子と、前記端子を収容する端子収容室を備えたハウジングと、を備えたコネクタであって、
前記箱部の外面に設けられた凹部と、前記端子収容室を画成する内面に設けられた凸部とからなる凹凸構造であって、前記端子を正規の向きで前記端子収容室に挿入した際には、前記凸部が前記凹部に進入可能であることにより、前記端子が前記端子収容室の正規位置まで挿入可能であり、前記端子を前記端子の挿入方向と直交する上下方向に関して前記正規の向きとは逆向きで前記端子収容室に挿入した際には、前記凸部が前記端子の前記凹部以外の箇所に干渉することにより、前記端子が前記端子収容室の前記正規位置まで挿入不能である、ように構成された凹凸構造を備え、
前記凹部は、前記箱部を構成する側壁と下壁との境界に位置する角部における前記挿入
方向の前端から連続する前端部に形成され且つ前記角部の他の部分より前記上方及び前記
幅方向の内方に窪んだ切欠き部であり、
前記凸部は、前記端子収容室を画成する側壁と下壁との境界に位置する隅部から、前記
切欠き部に対応して、前記上方及び前記上下方向に直交する幅方向の内方に突出するリブ
である、コネクタであること。
【0008】
上記[1]~「3」の構成のコネクタによれば、端子の上下反転挿入を防止可能な構造として、箱部の外面に設けられた凹部と、端子収容室を画成する内面に設けられた凸部とからなる凹凸構造が採用されている。この凹凸構造では、端子の上下反転挿入を防止するために、端子の箱部の外面に凹部を設けているため、当該凹部を設けたことに起因して端子の箱部の外寸法が大きくなることはない。このため、端子を収容するハウジング、ひいてはコネクタ全体を大型化することなく、端子の上下反転挿入を防止できる。
【0009】
更に、上記[]~「」の構成のコネクタによれば、上記凹凸構造を具体的に実現できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コネクタ全体を大型化することなく端子の上下反転挿入を防止可能な構造を備えたコネクタを提供できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係るコネクタに使用される端子全体の斜視図である。
図2図2(a)は、本発明の第1実施形態に係るコネクタに使用される端子の前端部を示す概略斜視図であり、図2(b)は、本発明の第1実施形態に係るコネクタに使用されるハウジングの端子収容室の前端部を示す概略斜視図である。
図3図3(a)は、図2(b)のA-A断面図であり、図3(b)は、端子が正規の向きで端子収容室の正規位置に収容された状態における図3(a)に対応する図である。
図4図4(a)は、本発明の第2実施形態に係るコネクタに使用される端子の前端部を示す概略斜視図であり、図4(b)は、本発明の第2実施形態に係るコネクタに使用されるハウジングの端子収容室の前端部を示す概略斜視図である。
図5図5(a)は、図4(b)のB-B断面図であり、図5(b)は、端子が正規の向きで端子収容室の正規位置に収容された状態における図5(a)に対応する図である。
図6図6(a)は、本発明の第3実施形態に係るコネクタに使用される端子の前端部を示す概略斜視図であり、図6(b)は、本発明の第3実施形態に係るコネクタに使用されるハウジングの端子収容室の前端部を示す概略斜視図である。
図7図7(a)は、図6(b)のC-C断面図であり、図7(b)は、端子が正規の向きで端子収容室の正規位置に収容された状態における図7(a)に対応する図である。
図8図8(a)は、図6(b)のD-D断面図であり、図8(b)は、端子が正規の向きで端子収容室の正規位置に収容された状態における図8(a)に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るコネクタについて説明する。本実施形態に係るコネクタは、相手側端子(オス端子、図示省略)が挿入される四角筒状の箱部11を有する端子10(メス端子、図1参照)と、端子10を収容する端子収容室21を備えたハウジング20と、を備える。以下、説明の便宜上、図1等に示すように、前後方向、上下方向、幅方向、前、後、上、及び下を定義する。前後方向、上下方向、及び幅方向は、互いに直交している。前後方向は、端子10の端子収容室21への挿入方向と一致する。
【0014】
端子10は、1枚の金属板に対してプレス加工及び曲げ加工等を施すことにより形成され、図1に示すように前後方向に延びる形状を有する。端子10は、前後方向に延びる四角筒状の箱部11と、箱部11の後側に位置する芯線加締め部12と、芯線加締め部12の後側に位置する被覆加締め部13と、を一体に有する。芯線加締め部12及び被覆加締め部13にそれぞれ、電線(図示省略)の端末における露出した芯線及び芯線を覆う被覆を加締め固定することで、端子10の後端から電線が後方に延出するように、端子10に電線が接続される。
【0015】
このように、電線が接続された端子10は、ハウジング20の端子収容室21に後方から正規の向きで挿入され、端子収容室21の正規位置まで挿入される。正規の向きで正規位置まで端子収容室21に挿入された端子10は、端子収容室21に設けられたランス(図示省略)と係合することで、正規位置に維持され且つ後方への抜けが防止される。端子10が正規の向きで正規位置まで挿入されたハウジング20の端子収容室21に、端子収容室21の前端開口から、相手側コネクタ(図示省略)に収容された相手側端子(オス端子、図示省略)のタブが挿入されることになる。この結果、端子10の箱部11の内部に設けられた接点部10a(図3(b)等参照)と相手側端子のタブとが接触することで、端子10と相手側端子とが電気的に接続される。
【0016】
図1では、箱部11に「凹部」が示されていないが、実際には、後述する第1~第3実施形態のように、箱部11の前端部に「凹部」が形成されている。この箱部11の凹部と、ハウジング20の端子収容室21の前端部に形成された「凸部」と、により構成される凹凸構造が、端子10の上下反転挿入(端子10を正規の向きとは上下方向に関して逆向きで端子収容室21に挿入すること)を防止可能な構造として機能する。以下、この点について詳細に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
先ず、図2及び図3を参照しながら、第1実施形態について説明する。図2(a)に示すように、第1実施形態では、端子10の箱部11を構成する一対の側壁14、上壁15、及び下壁16のうち、一対の側壁14それぞれの前端面における上下方向中央より下側にオフセットした位置から、「凹部」として、後方に窪んだスリット17が形成されている。
【0018】
他方、図2(b)、及び、図2(b)のA-A断面を示す図3(a)に示すように、ハウジング20の端子収容室21を画成する一対の側壁22、上壁23、及び下壁24のうち、一対の側壁22それぞれの前端部の内面における上下方向中央より下側にオフセットした位置から、スリット17に対応して、「凸部」として、幅方向内方に突出するリブ25が形成されている。
【0019】
第1実施形態では、端子10のスリット17とハウジング20のリブ25からなる凹凸構造を有することで、端子10を正規の向きで端子収容室21に挿入した際には、図3(b)に示すように、リブ25がスリット17に進入可能であることにより、端子10が端子収容室21の正規位置まで挿入可能である。一方、端子10を上下反転挿入した際には、リブ25が端子10の箱部11の前端面に干渉することにより、端子10が端子収容室21の正規位置まで挿入不能となる。このように、第1実施形態では、端子10のスリット17とハウジング20のリブ25からなる凹凸構造によって、端子10の上下反転挿入が防止される。
【0020】
(第2実施形態)
次に、図4及び図5を参照しながら、第2実施形態について説明する。図4(a)に示すように、第2実施形態では、端子10の箱部11を構成する一対の側壁14、上壁15、及び下壁16のうち、上壁15の上面における前端から連続する前端部において、「凹部」として、上壁15の上面の他の部分より下方に窪んだ段差部18が形成されている。
【0021】
他方、図4(b)、及び、図4(b)のB-B断面を示す図5(a)に示すように、ハウジング20の端子収容室21を画成する一対の側壁22、上壁23、及び下壁24のうち、上壁23の内面の前端部において、段差部18に対応して、「凸部」として、下方に突出するリブ26が形成されている。
【0022】
第2実施形態では、端子10の段差部18とハウジング20のリブ26からなる凹凸構造を有することで、端子10を正規の向きで端子収容室21に挿入した際には、図5(b)に示すように、リブ26が段差部18に進入可能であることにより、端子10が端子収容室21の正規位置まで挿入可能である。一方、端子10を上下反転挿入した際には、リブ26が端子10の箱部11の前端面に干渉することにより、端子10が端子収容室21の正規位置まで挿入不能となる。このように、第2実施形態では、端子10の段差部18とハウジング20のリブ26からなる凹凸構造によって、端子10の上下反転挿入が防止される。
【0023】
(第3実施形態)
次に、図6図8を参照しながら、第3実施形態について説明する。図6(a)に示すように、第3実施形態では、端子10の箱部11を構成する一対の側壁14、上壁15、及び下壁16のうち、一対の側壁14と下壁16との境界に位置する一対の角部それぞれにおける前端から連続する前端部において、「凹部」として、当該角部の他の部分より上方及び幅方向内方に窪んだ切欠き部19が形成されている。
【0024】
他方、図6(b)、図6(b)のC-C断面を示す図7(a)、及び、図6(b)のD-D断面を示す図8(a)に示すように、ハウジング20の端子収容室21を画成する一対の側壁22、上壁23、及び下壁24のうち、一対の側壁22と下壁24との境界に位置する隅部それぞれから、切欠き部19に対応して、「凸部」として、上方及び幅方向内方に突出するリブ27が形成されている。
【0025】
第3実施形態では、端子10の切欠き部19とハウジング20のリブ27からなる凹凸構造を有することで、端子10を正規の向きで端子収容室21に挿入した際には、図7(b)及び図8(b)に示すように、リブ27が切欠き部19に進入可能であることにより、端子10が端子収容室21の正規位置まで挿入可能である。一方、端子10を上下反転挿入した際には、リブ27が端子10の箱部11の前端面に干渉することにより、端子10が端子収容室21の正規位置まで挿入不能となる。このように、第3実施形態では、端子10の切欠き部19とハウジング20のリブ27からなる凹凸構造によって、端子10の上下反転挿入が防止される。
【0026】
(作用・効果)
以上、第1~第3実施形態に係るコネクタによれば、端子10の上下反転挿入を防止可能な構造として、箱部11の外面に設けられた凹部(スリット17、段差部18、切欠き部19)と、端子収容室21を画成する内面に設けられた凸部(リブ25、リブ26、リブ27)とからなる凹凸構造が採用されている。この凹凸構造では、端子10の上下反転挿入を防止するために、端子10の箱部11の外面に凹部を設けているため、当該凹部を設けたことに起因して端子10の箱部11の外寸法が大きくなることはない。このため、端子10を収容するハウジング20、ひいてはコネクタ全体を大型化することなく、端子10の上下反転挿入を防止できる。
【0027】
<他の態様>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0028】
例えば、第1実施形態(図2及び図3参照)では、端子10の箱部11を構成する一対の側壁14それぞれの前端面における上下方向中央より下側にオフセットした位置から、後方に窪んだスリット17が形成され、且つ、ハウジング20の端子収容室21を画成する一対の側壁22それぞれの前端部の内面における上下方向中央より下側にオフセットした位置から、幅方向内方に突出するリブ25が形成されている。これに対し、端子10の箱部11を構成する一対の側壁14それぞれの前端面における上下方向中央より上側にオフセットした位置から、後方に窪んだスリット17が形成され、且つ、ハウジング20の端子収容室21を画成する一対の側壁22それぞれの前端部の内面における上下方向中央より上側にオフセットした位置から、幅方向内方に突出するリブ25が形成されていてもよい。更に、一対のスリット17及び一対のリブ25に代えて、幅方向一方側のスリット17及び幅方向一方側のリブ25のみが形成されていてもよい。
【0029】
第2実施形態(図4及び図5参照)では、端子10の箱部11を構成する上壁15の上面における前端から連続する前端部において、上壁15の上面の他の部分より下方に窪んだ段差部18が形成され、且つ、ハウジング20の端子収容室21を画成する上壁23の内面の前端部において、下方に突出するリブ26が形成されている。これに対し、端子10の箱部11を構成する下壁16の下面における前端から連続する前端部において、下壁16の下面の他の部分より上方に窪んだ段差部18が形成され、且つ、ハウジング20の端子収容室21を画成する下壁24の内面の前端部において、上方に突出するリブ26が形成されていてもよい。
【0030】
第3実施形態(図6図8参照)では、端子10の箱部11を構成する一対の側壁14と下壁16との境界に位置する一対の角部それぞれにおける前端から連続する前端部において、当該角部の他の部分より上方及び幅方向内方に窪んだ切欠き部19が形成され、且つ、ハウジング20の端子収容室21を画成する一対の側壁22と下壁24との境界に位置する隅部それぞれから、上方及び幅方向内方に突出するリブ27が形成されている。これに対し、端子10の箱部11を構成する一対の側壁14と上壁15との境界に位置する一対の角部それぞれにおける前端から連続する前端部において、当該角部の他の部分より下方及び幅方向内方に窪んだ切欠き部19が形成され、且つ、ハウジング20の端子収容室21を画成する一対の側壁22と上壁23との境界に位置する隅部それぞれから、下方及び幅方向内方に突出するリブ27が形成されていてもよい。更に、一対の切欠き部19及び一対のリブ27に代えて、幅方向一方側の切欠き部19及び幅方向一方側のリブ27のみが形成されていてもよい。
【0031】
ここで、上述した本発明に係るコネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
相手側端子が挿入される四角筒状の箱部(11)を有する端子(10)と、前記端子(10)を収容する端子収容室(21)を備えたハウジング(20)と、を備えたコネクタであって、
前記箱部(11)の外面に設けられた凹部(17,18,19)と、前記端子収容室(21)を画成する内面に設けられた凸部(25,26,27)とからなる凹凸構造であって、前記端子10を正規の向きで前記端子収容室(21)に挿入した際には、前記凸部が前記凹部に進入可能であることにより、前記端子10が前記端子収容室21の正規位置まで挿入可能であり、前記端子(10)を前記端子(10)の挿入方向と直交する上下方向に関して前記正規の向きとは逆向きで前記端子収容室(21)に挿入した際には、前記凸部が前記端子(10)の前記凹部以外の箇所に干渉することにより、前記端子(10)が前記端子収容室(21)の前記正規位置まで挿入不能である、ように構成された凹凸構造を備えた、コネクタ。
[2]
上記[1]に記載のコネクタにおいて、
前記凹部は、前記箱部(11)を構成する側壁(14)の前記挿入方向の前端面における前記上下方向の中央より一方側にオフセットした位置から前記挿入方向の後方に窪んだスリット(17)であり、
前記凸部は、前記端子収容室(21)を画成する側壁(22)の内面から、前記スリット(17)に対応して、前記挿入方向及び前記上下方向に直交する幅方向の内方に突出するリブ(25)である、コネクタ。
[3]
上記[1]に記載のコネクタにおいて、
前記凹部は、前記箱部(11)を構成する上壁(15)の上面における前記挿入方向の前端から連続する前端部に形成され且つ前記上壁(15)の上面の他の部分より下方に窪んだ段差部(18)であり、
前記凸部は、前記端子収容室(21)を画成する上壁(23)の内面から、前記段差部(18)に対応して、下方に突出するリブ(26)である、コネクタ。
[4]
上記[1]に記載のコネクタにおいて、
前記凹部は、前記箱部(11)を構成する側壁(14)と下壁(16)との境界に位置する角部における前記挿入方向の前端から連続する前端部に形成され且つ前記角部の他の部分より前記上方及び前記幅方向の内方に窪んだ切欠き部(19)であり、
前記凸部は、前記端子収容室(21)を画成する側壁(22)と下壁(24)との境界に位置する隅部から、前記切欠き部(19)に対応して、前記上方及び前記上下方向に直交する幅方向の内方に突出するリブ(27)である、コネクタ。
【符号の説明】
【0032】
10 端子
11 箱部
14 側壁
15 上壁
16 下壁
17 スリット(凹部)
18 段差部(凹部)
19 切欠き部(凹部)
20 ハウジング
21 端子収容室
22 側壁
23 上壁
24 下壁
25 リブ(凸部)
26 リブ(凸部)
27 リブ(凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8