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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】外科用骨切削器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
A61B17/16
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019213578
(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2021083580
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000150327
【氏名又は名称】株式会社ナカニシ
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 雄一
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-537188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0122460(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0120553(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を生成する動力部を備えるハンドピース本体と、
前記ハンドピース本体に連結され、前記駆動力に応答して回転する切削工具を保持するアタッチメントと
を具備し、
前記アタッチメントは、
前記切削工具を保持する回転可能保持部と、
前記保持部を覆うアタッチメント外殻と
前記アタッチメント外殻の前方に配置され、前記切削工具の先端切刃から続くシャンクの少なくとも一部を覆うスリーブと
を備え
前記アタッチメントは、
前記先端切刃と前記保持部との距離を一定に保ちつつ、前記先端切刃と前記スリーブの端との距離が可変となるように前記保持部を移動させる
外科用骨切削器具。
【請求項2】
請求項1に記載の外科用骨切削器具において、
前記アタッチメントは、さらに、
前記アタッチメント外殻に並置され、前記切削工具が回転するときの回転軸と同軸に回転可能な指掛けリングと、
前記指掛けリングの回転運動に連動して前記保持部の位置を変動させる制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記指掛けリングの回転運動に応答して前記保持部を直線的に移動させる
外科用骨切削器具。
【請求項3】
請求項2に記載の外科用骨切削器具において、
前記アタッチメントは、さらに、
前記指掛けリングよりも内側に配置された円筒形状の内筒と、
前記内筒よりも内側に配置され、前記保持部に接続する従動体と、
前記指掛けリングを介して供給される力を前記従動体に伝達する伝達部材と、
を備え、
前記制御部は、
前記指掛けリングの内側の面に設けられた第1案内溝と、
前記内筒を貫通し、前記第1案内溝に交差するように斜め方向に設けられた第2案内溝と、
前記従動体に設けられた受容穴と、前記受容穴は、前記第1案内溝と前記第2案内溝とがオーバーラップする領域に対応する位置に設けられ、
前記第1案内溝と前記第2案内溝と前記受容穴とに収容される前記伝達部材と
を含み、
前記伝達部材は、
前記指掛けリングの回転に応答して前記第1案内溝と前記第2案内溝とがオーバーラップする位置を運動しながら前記従動体に接続し、
前記従動体は、
前記伝達部材の動きに合わせて移動することで前記保持部を前記第1案内溝に平行な方向に移動させる
外科用骨切削器具。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の外科用骨切削器具において、
前記アタッチメントは、さらに、
前記保持部からの前記切削工具の解放を支援するロック解除部を備え、
前記保持部は、
前記シャンクの端部を掴むチャック部と、
前記チャック部から連続して構成され、前記動力部から供給される前記駆動力を前記チャック部に伝達する駆動力伝達部と
を備え、
前記チャック部は、
前記端部を受けるシャンク端部収容部と、
前記シャンク端部収容部に収容される前記端部の保持と解放とを行う固定球である固定部と、
前記固定部を前記端部に向かって押すことによって前記シャンク端部収容部での前記端部の固定を実現するロック制御部と
を含み、
前記ロック解除部は、
前記固定部に対する前記ロック制御部の相対位置を変えることによって、前記シャンク端部収容部での前記端部の固定を解除する
外科用骨切削器具。
【請求項5】
請求項4に記載の外科用骨切削器具において、
前記ロック解除部は、
前記スリーブとの相対位置を固定に前記ロック制御部に接触可能な位置に配置され、
前記保持部の動きに対応して前記固定部が前進するとき、前記ロック解除部は、前記ロック制御部の前進を制限することによって前記固定部から前記ロック制御部を遠ざける
外科用骨切削器具。
【請求項6】
請求項5に記載の外科用骨切削器具において、
前記アタッチメントは、
前記ロック制御部と前記ロック解除部との接触が可能な解放可能領域と、
前記ロック制御部と前記ロック解除部との接触が不可能な保持領域と
を含み、
前記ロック制御部は、
前記保持領域の全体において前記固定部を前記端部に向かって一定の力で押し続ける
外科用骨切削器具。
【請求項7】
請求項4から6の何れか一項に記載の外科用骨切削器具において、
前記アタッチメントは、さらに、前記保持部の回転を制動する制動部を備え、
前記制動部は、
前記ロック解除部が前記シャンク端部収容部での前記端部の固定を解除しているとき、前記保持部が回転しないように前記保持部の回転を制動する
外科用骨切削器具。
【請求項8】
請求項7に記載の外科用骨切削器具において、
前記制動部は、
制動ディスクと、
前記保持部の前記駆動力伝達部に設けられた制動用肩部と、
前記制動ディスクを付勢する制動用バネと
を備え、
前記指掛けリングの回転運動に対応して前記保持部が前進するとき、
前記制動用肩部は、所定の位置で前記制動用ディスクと接触し、
前記制動用バネは、前記制動用肩部に接触する前記制動用ディスクに所定の力を加えて前記制動用ディスクと前記制動用肩部との界面に摩擦力を提供する
外科用骨切削器具。
【請求項9】
請求項2から8の何れか一項に記載の外科用骨切削器具において、
前記アタッチメントは、さらに、前記指掛けリングの回転を禁止するための回り止め機構を備え、
前記指掛けリングは、
第1の位置において前記指掛けリングの回転を許容する移動可能モードを提供し、
前記第1の位置から前記回転軸に沿って平行移動した第2の位置において前記指掛けリングの回転を禁止する移動禁止モードを提供する
外科用骨切削器具。
【請求項10】
請求項9に記載の外科用骨切削器具において、
前記回り止め機構は、
前記アタッチメント外殻に設けられた回り止め第1部分と、
前記指掛けリングに設けられた回り止め第2部分と、
前記指掛けリングを付勢するバネと
を備え、
前記回り止め第2部分は、
前記第2の位置で前記回り止め第1部に嵌まり、
前記バネは、
前記回り止め第1部分と前記回り止め第2部分とが嵌まるときに、前記移動禁止モードを維持するように前記指掛けリングを付勢し、
前記指掛けリングは、
ユーザの操作に応答して前記バネに力を蓄えるように前記第2の位置から前記第1の位置に移動して前記回り止め第1部分と前記回り止め第2部分との嵌め合いを解消することで移動可能モードを提供する、
外科用骨切削器具。
【請求項11】
駆動力を生成する動力部を備えるハンドピース本体と、前記ハンドピース本体に連結され前記駆動力に応答して回転する切削工具を保持するアタッチメントと、を具備する外科用骨切削器具の動作方法であって、
前記切削工具を、アタッチメントに設けられた保持部で回転可能に保持する保持ステップと、
回転可能な状態で保持される前記切削工具の先端切刃から続くシャンクの少なくとも一部を、前記アタッチメントの前方に配置されるスリーブで覆う保護ステップと、
前記先端切刃と前記保持部との距離を一定に保ちつつ、前記先端切刃と前記スリーブとの距離が可変となるように前記保持部を移動させる移動ステップと
を具備する
外科用骨切削器具の動作方法。
【請求項12】
請求項11に記載の外科用骨切削器具の動作方法において、前記移動ステップは、さらに、
前記切削工具が回転するときの回転軸と同軸に回転可能な指掛けリングの回転運動に連動して前記保持部を前記回転軸に沿って直線的に移動させる直線移動ステップを備える
外科用骨切削器具の動作方法。
【請求項13】
請求項12に記載の外科用骨切削器具の動作方法において、
前記直線移動ステップは、
前記指掛けリングよりも内側に配置された円筒形状の内筒と、前記内筒よりも内側に配置され、前記保持部に接続する従動体と、前記指掛けリングを介して供給される力を前記従動体に伝達する伝達部材と、を連動して用いる連動ステップを含み、
前記連動ステップは、
前記指掛けリングの内側の面に設けられた第1案内溝と、前記内筒を貫通し前記第1案内溝に交差するように斜め方向に設けられた第2案内溝と、前記従動体に設けられた受容穴と、を配置するステップと、
前記第1案内溝と前記第2案内溝と前記受容穴とが連絡するように前記伝達部材を収容するステップと
を含み、
前記収容するステップは、
前記指掛けリングの回転に応答して前記第1案内溝と前記第2案内溝とがオーバーラップする位置を運動しながら前記従動体に接続するステップと、
前記伝達部材の動きに合わせるように前記従動体を移動させることで前記保持部を前記第1案内溝に平行な方向に移動させるステップと
を含む
外科用骨切削器具の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科手術において用いられる骨切削器具に関し、切削アクセサリーの露出部分を伸縮させることができる骨切削器具に関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術を行う場合に、骨を切削する術式が選択されることがある。骨を切削する術式を用いた外科手術では、骨を切削するための様々な道具が使用され、なかでも、骨切削器具は必要不可欠な器具である。骨切削器具は、電気モータなどの動力を用いて切削アクセサリー(対象部位に接触する刃を備える先端工具)を回転させることによって対象部位の切削を行う。
【0003】
医師もしくは医療従事者は、治療部位や術式を考慮し、多種多様な骨切削器具及び切削アクセサリーの中から最適な組合せを選択する。選択した組合せで手術を行う中で、医師は骨切削器具の後方から切削部位を確認する状況がある。
そのような状況の場合、骨切削器具によって切削部位までの視界が遮られることがあり、切削アクセサリーで切削すべき部位の特定が困難となる。骨切削器具の後方から切削部位を確認する場合の医師の視界を確保するための技術として、切削アクセサリーの露出部分を伸縮させる技術が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
特許文献1には、先端からの距離が異なる複数の固定溝を有する切削アクセサリーが開示されている。特許文献1に記載の技術では、切削アクセサリーを固定する固定部材が、その固定溝を選択的に接続している。つまり、特許文献1には、切削アクセサリーに複数の固定溝を設けることで、固定部材の位置が一定であっても切削アクセサリーを伸縮させることができる技術が開示されている。
特許文献2には、骨切削器具の先端部(切削アクセサリーの軸部分を覆う管状部材)を伸縮させる技術が開示されている。特許文献2に記載の技術は、切削アクセサリーに設けられた固定溝が1箇所で、かつ、固定部材の位置が一定であっても、管状部材を前後させることで切削アクセサリーの露出部分を伸縮させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-142673号公報
【文献】米国特許出願公開第2013/0340238号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の技術では、切削アクセサリーの固定を解除する固定解除工程と、その固定解除工程の後に伸縮の操作をして刃の位置(伸縮位置)を決定する伸縮位置決定工程と、その伸縮位置決定工程の後に切削アクセサリーを固定する位置固定工程とが必要である。
外科手術においては、治療以外の行為に要する時間を低減させることが好ましく。そのため、露出部分の伸縮操作に費やす時間をより短縮することができる機器が求められている。
また、特許文献1に記載の技術では、切削アクセサリーを伸縮させる際には、人が切削アクセサリーを保持しなくてはならない。例えば、外科手術中に医師又は医療従事者が伸縮の操作を行う場合がある。このような場合、機器本体の電源を切ることは稀である。そのため、医療従事者が露出部を伸縮させる際に、何らかの要因で回転動作が行われてしまう場合等を考慮した、より高いリスク管理が必須であった。
【0007】
上述したように、特許文献2には、骨切削器具の先端部(切削アクセサリーの軸部分を覆う管状部材)を伸縮させて(軸に沿って前後に移動させて)切削アクセサリーの露出部分を伸縮させる方法が開示されている。換言すると、特許文献2に記載の技術は、骨切削器具の先端部のみを伸縮させる技術であり、切削アクセサリーを伸縮させることができない。
この特許文献2に記載の技術の場合、骨切削器具の把持位置から切削アクセサリー先端部までの距離は変動しない。外科手術では骨切削器具の把持位置を治療部位から遠い位置に保ったままでの、体内の深い領域への切削アクセサリーの挿入が要求されることがある。しかしながら、特許文献2に記載の技術では、視界を確保するために骨切削器具の先端部(切削アクセサリーの軸部分を覆う管状部材)を縮めた場合、骨切削器具の把持位置を治療部位に近づけなければならなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、上記課題を解決するための手段について述べる。以下の解決手段においては、図面に付した参照符号を用いて本願発明の構成要素と実施形態との対応を示す。
上記の課題を解決する為に、駆動力を生成する動力部(12)を備えるハンドピース本体(7)と、ハンドピース本体(7)に連結され、その駆動力に応答して回転する切削工具(8)を保持するアタッチメント(9)とを具備する外科用骨切削器具(1)(4)を構成する。ここでのアタッチメント(9)とは、切削工具(8)を保持する回転可能保持部(18)と、保持部(18)を覆うアタッチメント外殻と、アタッチメント外殻の前方に配置され、切削工具(8)の先端切刃(13)から続くシャンク(14)の少なくとも一部を覆うスリーブ(17)とを備える部材である。そして、そのアタッチメント(9)内部の保持部(18)は、先端切刃(13)と保持部(18)との距離を一定に保ちつつ、先端切刃(13)とスリーブ(17)の端との距離が可変となるようにアタッチメント(9)の内部を移動する。
【0009】
これによって、スリーブ(17)の長さを変えることなく切削工具(8)(切削アクセサリー)をチャックしたまま、露出部分を簡単な操作で伸縮させる(露出量を変更させる)ことができる。
【0010】
また、上記の外科用骨切削器具(1)(4)において、アタッチメント(9)をさらに、アタッチメント外殻に並置され、切削工具(8)が回転するときの回転軸と同軸に回転可能な指掛けリング(23)と、その指掛けリング(23)の回転運動に連動して保持部(18)の位置を変動させる制御部(25,26,27)とを備える構成としてもよい。この構成においては、制御部(25,26,27)が、指掛けリング(23)の回転運動に応答して保持部(18)を直線的に移動させる機能を提供する。
【0011】
ユーザが、その指掛けリング(23)をアタッチメント(9)後方に向かって移動させつつ、回転させることで、複数のステップを経ることなく切削工具(8)の伸縮が可能になる。
【0012】
また、上記の外科用骨切削器具(1)(4)において、アタッチメント(9)をさらに、指掛けリング(23)よりも内側に配置された円筒形状の内筒(22)と、内筒(22)よりも内側に配置され、保持部(18)に接続する従動体と、指掛けリング(23)を介して供給される力を従動体に伝達する伝達部材とを備える構成としてもよい。この構成において、指掛けリング(23)の内側の面に第1案内溝を設け、内筒(22)には、その内筒(22)を貫通し、第1案内溝に交差するように斜め方向に第2案内溝を設け、さらに、従動体の第1案内溝と第2案内溝とがオーバーラップする領域に対応する位置に受容穴を設けることが好ましい。そして、第1案内溝と第2案内溝と受容穴とを連絡するように収容される伝達部材とを構成する。ここで、その伝達部材は、指掛けリング(23)の回転に応答して第1案内溝と第2案内溝とがオーバーラップする位置を運動しながら従動体に接続する。また、従動体は、伝達部材の動きに合わせて移動する。それによって、保持部(18)は第1案内溝に平行な方向に移動する。
【0013】
これによって、スリーブ(17)の長さを変えることなく切削工具(8)(切削アクセサリー)をチャックしたまま保持部(18)が直線敵に移動するので、露出部分を簡単な操作で伸縮させる(露出量を変更させる)ことができる。
【0014】
また、上記の外科用骨切削器具(1)(4)において、アタッチメント(9)は、さらに保持部(18)からの切削工具(8)の解放を支援するロック解除部(41)を備える構成であってもよい。この構成において、保持部(18)は、シャンク(14)の端部を掴むチャック部と、チャック部から連続して構成され、動力部(12)から供給される駆動力をチャック部に伝達する駆動力伝達部(34)とを備えることが好ましい。そのチャック部は、シャンク(14)の端部を受けるシャンク端部収容部(40)と、シャンク端部収容部(40)に収容される端部の保持と解放とを行う固定球である固定部(32)と、固定部(32)を端部に向かって押すことによってシャンク端部収容部(40)での端部の固定を実現するロック制御部(33)とを含むような構成であることが好ましい。そして、ロック解除部(41)は、固定部(32)に対するロック制御部(33)の相対位置を変えることによって、シャンク端部収容部(40)での端部の固定を解除する。

【0015】
これによって、切削工具(8)(切削アクセサリー)の装着時に自動的にロックがかかる構成を実現することができるため、作業を安全に行うことが可能となる。
【0016】
また、上記の外科用骨切削器具(1)(4)において、ロック解除部(41)は、より具体的には、スリーブ(17)との相対位置を固定にロック制御部(33)に接触可能な位置に配置されることが好ましい。そして、保持部(18)の動きに対応して固定部が前進するとき、そのロック解除部(41)は、ロック制御部(33)の前進を制限することによって固定部からロック制御部(33)を遠ざけるように作用する。
【0017】
また、上記の外科用骨切削器具(1)(4)において、アタッチメント(9)は、ロック制御部(33)とロック解除部(41)との接触が可能な解放可能領域と、ロック制御部(33)とロック解除部(41)との接触が不可能な保持領域とを含む構成であることが好ましい。ここにおいて、ロック制御部(33)は、保持領域の全体において固定部(32)を端部に向かって一定の力で押し続けることが好ましい。
これによって、切削工具(8)(切削アクセサリー)の装着時に自動的にロックがかかる構成を実現することができるため、伸縮可能な領域の全体において作業を安全に行うことが可能となる。
【0018】
また、上記の外科用骨切削器具(1)(4)において、アタッチメント(9)は、さらに、保持部(18)の回転を制動する制動部(19,21)を備える構成であってもよい。この構成において、制動部(19,21)は、ロック解除部(41)がシャンク端部収容部(40)での端部の固定を解除しているとき、保持部(18)が回転しないように保持部(18)の回転を制動する。
【0019】
上述のように、外科用骨切削器具(1)(4)に切削工具(8)(切削アクセサリー)の取り外しをする際に回転を停止する機構を構成することで、切削工具(8)(切削アクセサリー)の取り外しをする際のリスクを低減させることができる。
【0020】
また、上記の外科用骨切削器具(1)(4)において、制動部(19,21)のより具体的な構成として、制動ディスク(21)と、保持部(18)の駆動力伝達部(34)に設けられた制動用肩部と、制動ディスク(21)を付勢する制動用バネ(31)とを備えることが好ましい。この構成において、指掛けリング(23)の回転運動に対応して保持部(18)が前進するとき、制動用肩部は、所定の位置で制動用ディスクと接触する。このとき、制動用バネ(31)は、制動用肩部に接触する制動用ディスクに所定の力を加えて制動用ディスクと制動用肩部との界面に摩擦力を提供する。
【0021】
また、上記の外科用骨切削器具(1)(4)において、アタッチメント(9)は、さらに、指掛けリング(23)の回転を禁止するための回り止め機構を備える構成であってもよい。この構成において、指掛けリング(23)は、第1の位置において指掛けリング(23)の回転を許容する移動可能モードを提供し、第1の位置から回転軸に沿って平行移動した第2の位置において指掛けリング(23)の回転を禁止する移動禁止モードを提供することが好ましい。
【0022】
また、上記の外科用骨切削器具(1)(4)において、回り止め機構は、より具体的には、アタッチメント外殻に設けられた回り止め第1部分と、指掛けリング(23)に設けられた回り止め第2部分と、指掛けリング(23)を付勢するバネとを備える構成であることが好ましい。この構成において、回り止め第2部分は、第2の位置で回り止め第1部に嵌まり、そのバネは、回り止め第1部分と回り止め第2部分とが嵌まるときに、移動禁止モードを維持するように指掛けリング(23)を付勢する。また、指掛けリング(23)は、ユーザの操作に応答してバネに力を蓄えるように第2の位置から第1の位置に移動して回り止め第1部分と回り止め第2部分との嵌め合いを解消することで移動可能モードを提供する。
【0023】
上述したように、回り止め第1部分と回り止め第2部分(第1接続部材、第2接続部材)が接続する(嵌り合う)ことにより、指掛けリング(23)(伸縮操作部)の回転を制限することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の外科用骨切削器具(1)(4)は、切削アクセサリーの露出部分を簡単な操作で伸縮させる(露出量を変更させる)ことができる。 本発明の外科用骨切削器具(1)(4)は、切削アクセサリーの露出量を変更するための操作部が備えられている。その操作部は、骨切削器具の外装に組み付けられており、ユーザが、その操作部を骨切削器具後方に向かって移動させつつ、回転させることで、複数のステップを経ることなく切削アクセサリーの伸縮が可能になる。その結果、手術時間の短縮に貢献でき、患者への負担の軽減にも貢献できる。
また、本発明の外科用骨切削器具(1)(4)は、切削アクセサリーの露出部分を伸縮させる際に、切削アクセサリーを人の手で保持する必要がない。そのため、切削アクセサリーの露出量を変更しようとするときに何らかの要因で切削アクセサリーの回転動作が行われるような場合のリスクを低減させることができる。また、本発明の外科用骨切削器具(1)(4)は、切削アクセサリーの取り外しをする際に回転を停止する機構を有している。そのため、取り外しをする際のリスクを低減させることができる。
さらに、本発明の外科用骨切削器具(1)(4)は、骨切削器具を挿入しにくい状況であっても効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施形態の骨切削器具システム1の構成を例示するシステム構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態のハンドピース4の構成を例示する側面図である。
図3図3は、本発明の実施形態の電動式モータ部7の構成を例示する側面図である。
図4図4は、本発明の実施形態の切削アクセサリー8の構成を例示する側面図である。
図5図5は、本発明の実施形態の骨切削器具9の断面の構成を例示する断面図である。
図6図6は、本発明の実施形態の骨切削器具9に関する伸縮機構を例示する断面図である。
図7図7は、伸縮操作部23の内部の溝25の構成を例示する斜視図である。
図8図8は、第1接続部材28の構成を例示する斜視図である。
図9図9は、第2接続部材29の構成を例示する斜視図である。
図10図10は、バーと呼ばれる切削アクセサリー8を伸縮させたときの構成を例示する断面図である。
図11図11は、本発明の実施形態のブレーキ機構の構成を例示する断面図である。
図12図12は、本発明の実施形態の固定シャフト18の構成を例示する断面図である。
図13図13は、切削アクセサリー8の固定解除が行われている状態を例示する断面図である。
図14図14は、本発明の第2実施形態の骨切削器具システム1の構成を例示するシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下に、図面を参照して本願発明を実施するための形態について説明を行う。図1は、本発明の実施形態の骨切削器具システム1の構成を例示するシステム構成図である。外科手術において、骨切削器具システム1は、主要な医療機器の一つである。その中でも、骨を切削、穿孔、切断等を行う術式においては、骨切削器具システム1は、必要不可欠な医療機器である。骨切削器具システム1には、電動式の骨切削器具システム(以下、電動式骨切削器具システム2と記載する)や、気動式の骨切削器具システム(以下、気動式骨切削器具システム3と記載する)など駆動方式によって様々なタイプが存在する。以下の第1実施形態においては、本願発明の理解を容易にするため、電動式骨切削器具システム2に基づいて本実施形態の構成・動作について説明を行う。
【0027】
図1に示されているように、第1実施形態の電動式骨切削器具システム2は、ハンドピース4と、制御装置5、フットペダル6を備えている。
ハンドピース4は、骨などの硬組織を切削するための装置である。ハンドピース4は、制御装置5から入力された直流電流や電圧を用いて、切削アクセサリー8を回転させて対象となる部位の切削を行う。
制御装置5は、
フットペダル6は、
【0028】
制御装置5は、AC-DC変換回路、制御回路、外装、タッチパネルを備えている。制御装置5は、家庭用コンセントから交流電流が印加されると、主電源を入れることができる。主電源が入ると、タッチパネルに電動式骨切削器具システム2の設定画面が表示される。医師や医療従事者は、タッチパネルで、主にハンドピース4の最高回転数を設定することができる。
【0029】
制御装置5は、AC-DC変換回路によって交流電流を直流電流に変換している。その直流電流によって、タッチパネルや制御回路を動作させている。
【0030】
制御回路は、医師や医療従事者によってタッチパネルで設定された最高回転数をもとにハンドピース4へ入力する直流電流や電圧を制御している。その結果、ハンドピース4は、医師や医療従事者の
【0031】
フットペダル6は、制御装置5に接続されて使用される。フットペダル6は、制御回路、ペダル、フットペダルコードを備えている。フットペダル6は、ペダルを押下した量を制御回路が検知している。検知した押下量に応じて、制御装置5からハンドピース4に入力される直流電流及び電圧を制御することができる。但し、医師や医療従事者が設定した最高回転数内での制御のみである。
【0032】
図2は、本発明の実施形態のハンドピース4を横から見たときの構成を例示する側面図である。ハンドピース4は、制御装置5に接続されて使用される。図2に示されているように、ハンドピース4は、電動式モータ部7及び骨切削器具9を備えている。その骨切削器具9には、回転によって骨などの硬組織を切削するための切削アクセサリー8が装着される。
上述したように、ハンドピース4は、制御装置5から入力された直流電流や電圧を用いて、電気信号から機械的な回転運動へ変換し、患者の治療をする装置である。尚、本発明の実施形態のハンドピース4において、骨切削器具9は、切削アクセサリー8を容易に伸縮させることが可能である。骨切削器具9における切削アクセサリー8の伸縮のための構成・動作については、後述する。
【0033】
図3は、本発明の実施形態の電動式モータ部7を横から見たときの構成を例示する側面図である。電動式モータ部7は、モータコード10と、モータケース11と、ステータとロータとを有する電動モータ12とを備えている。制御装置5から入力される直流電流は、モータコード10を介して電動モータ12へ入力される。電動モータ12に直流電流が入力された場合に、モータケース11に対して電動モータ12のロータが回転する。
【0034】
図4は、本発明の実施形態の切削アクセサリー8を横から見たときの構成を例示する側面図である。切削アクセサリー8は、ヘッド13、シャンク14、固定部15、および回転伝達部16を備えている。切削アクセサリー8は多種多様のラインナップを取り扱っている。本発明の実施形態の骨切削器具9に接続可能な切削アクセサリー8は、シャンク14、固定部15、回転伝達部16は同一である。しかし、ヘッド13は様々な形状を備えている。基本形状や刃形状、付着部材やその粒度などが異なっており、これによって、切削量や切削速度が異なる。医療従事者は術式に対応可能な切削アクセサリー8を選定することができる。
【0035】
図5は、本発明の実施形態の骨切削器具9の断面の構成を例示する断面図である。骨切削器具9は、切削アクセサリー格納管17、固定シャフト18、伸縮調整シャフト19、回転入力シャフト20、ブレーキディスク21、ハウジング22、伸縮操作部23、電動式モータ挿入部24、ギヤ42を備えている。切削アクセサリー格納管17には、切削アクセサリー8が挿入され、固定シャフト18のチャック部によって保持される。
【0036】
骨切削器具9の電動式モータ挿入部24は、電動式モータ部7に挿入され、電動式モータ部7内部の電動モータ12と接続される。このとき電動式モータ挿入部24内部に設けられたギヤ42と電動モータ12側のギア(図示されず)とがかみ合い、電動モータ12の回転に伴い、ギヤ42も回転する機構になっている。さらに、ギヤ42と回転入力シャフト20、回転入力シャフト20と伸縮調整シャフト19、伸縮調整シャフト19と固定シャフト18、固定シャフト18と切削アクセサリー8が接続される。従って、電動モータ12の回転によって、切削アクセサリー8が回転することになる。尚、切削アクセサリー格納管17、伸縮調整シャフト19、ブレーキディスク21、ハウジング22、伸縮操作部23は回転しない。
【0037】
以下より骨切削器具9の詳細な構成・動作について説明する。以下の説明においては、骨切削器具9の切削アクセサリー8側を前方、電動式モータ部7側を後方として説明する。
【0038】
伸縮操作部23と伸縮調整シャフト19は連動する。伸縮操作部23を回転することで伸縮調整シャフト19が前後移動する。その結果、切削アクセサリー8を容易に取り外すことや、切削アクセサリー格納管17から露出している切削アクセサリー8の露出部分を伸縮することが可能である。
【0039】
図6は、本発明の実施形態の骨切削器具9に関する伸縮機構を例示する断面図である。伸縮操作部23の内部前後方向に溝25が備えてあり、そこに連結部材26が接続している。
図7は、伸縮操作部23の内部に設けられた前後方向の溝25の構成を例示する斜視図である。また、ハウジング22には、前後方向に傾斜したスリット27が備えられてあり、そこにも連結部材26が接続している。連結部材26は、伸縮操作部23の溝25及びハウジング22のスリット27内を移動することができる。伸縮操作部23を回転させた際に、連結部材26が溝25及びスリット27に誘導されて回転動作と同時に前後移動をする。その結果、連結部材26に接続している伸縮調整シャフト19が前後移動する。
【0040】
ハウジング22の外部には第1接続部材28が固定されている。また、伸縮操作部23の内部には第2接続部材29が固定され、伸縮操作部23の後方にはばね30の一端が固定的に設けられている。
図8は、第1接続部材28の構成を例示する斜視図である。また、図9は、第2接続部材29の構成を例示する斜視図である。
上述の図7で説明したように、伸縮操作部23の後方には、ばね30の一端が固定的に設けられている。そのばね30によって、伸縮操作部23には前方向に常時ばね力がかかっている。そのばね力によって、伸縮操作部23が前方向に押し付けられて第1接続部材28と第2接続部材29とが接続される。それらの部材が接続する(嵌り合う)ことにより、伸縮操作部23の回転を制限している。
【0041】
伸縮操作部23の回転を可能にするためには、第1接続部材28と第2接続部材29との接続(嵌め合い)を外す必要がある。伸縮操作部23を骨切削器具9の後方に向かって移動させることにより、第2接続部材29が後方に移動し接続を外すことができる。その結果、伸縮操作部23の回転が可能になる。
【0042】
伸縮操作部23を骨切削器具9の後方に向かって移動させた後、その位置で伸縮操作部23を回転することで伸縮調整シャフト19が前後移動する。伸縮調整シャフト19は、固定シャフト18がねじ止めや圧入、溶接などを用いて接合され、伸縮調整シャフト19の移動に伴い固定シャフト18も移動する。さらに固定シャフト18は、切削アクセサリー8がそれにより、固定シャフト18に取り付けられた切削アクセサリー8も同様に移動する。
【0043】
伸縮操作部23を回転し、切削アクセサリー8の伸縮位置決定後に伸縮操作部23から手を離すことで、伸縮操作部23後方のばね30によって第1接続部材28と第2接続部材29が自動的に接続する機構になっている。
【0044】
第1接続部材28と第2接続部材29が接続していなかった場合、伸縮調整シャフト18に外部から前後方向の力がかかった際に連結部材26とハウジング22に掘られたスリットの影響で伸縮操作部23に回転の力が発生してしまう。しかし、第1接続部材28と第2接続部材29の接続によって、回転を停止させ、医師及び医療従事者の手や腕に回転を伝えない機構になっている。
【0045】
以下の、本実施形態の骨切削器具9における切削アクセサリー8の伸縮(露出量の調整)について説明を行う。図10は、バーと呼ばれる切削アクセサリー8を伸縮させたときの構成を例示する断面図である。図10の(a)は、切削アクセサリー8を最短まで縮めたときの構成を例示している。図10の(b)は、切削アクセサリー8を最長まで伸ばしたときの構成を例示している。図10の(a)と図10の(b)とを比較すると、切削アクセサリー8を最短まで縮めたとき、ヘッド13が切削アクセサリー格納管17の端部に近接し、その端部からの距離が短くなる。切削アクセサリー8を最長まで伸ばしたとき、ヘッド13が切削アクセサリー格納管17の端部から遠ざかり、その端部からの距離が長くなる。
【0046】
上述してきたように、本実施形態の外科用骨切削器具は、切削アクセサリーの露出部分を簡単な操作で伸縮させる(露出量を変更させる)ことができる。そして、本実施形態の外科用骨切削器具には、切削アクセサリーの露出量を変更するための操作部が備えられている。その操作部は、骨切削器具の外装に組み付けられており、ユーザがその操作部を骨切削器具後方に向かって移動させつつ、回転させることで、複数のステップを経ることなく切削アクセサリーの伸縮が可能になる。その結果、手術時間の短縮に貢献でき、患者への負担の軽減にも貢献できる。
【0047】
また、本実施形態の骨切削器具9は、切削アクセサリー8の着脱時の安全性を確保するためのブレーキ機構を備えている。伸縮調整シャフト19が骨切削器具9の最前方に移動した際に、そのブレーキ機構が機能し、安全に切削アクセサリー8が着脱可能になる。
【0048】
切削アクセサリー8を着脱させる際には、切削アクセサリー8を保持しなくてはならない。回転を指示するフットペダル6は医師の周辺にあり、医療従事者が切削アクセサリー8を着脱する場合がある。医療従事者が切削アクセサリー8を着脱する際にはブレーキ機構が機能するようになっている。
【0049】
図11は、本発明の実施形態の骨切削器具9に設けられたブレーキ機構の構成を例示する断面図である。図11は、そのブレーキ機構が作動し、伸縮調整シャフト19が制動されている状態を例示している。図11に示されているように、骨切削器具9には、ブレーキディスク21が備えられている。伸縮調整シャフト19の拡張された部位とハウジング22に取り付けられたブレーキディスク21が接触することで、伸縮調整シャフト19の回転が制動される。ブレーキディスク21にはブレーキばね31が組み付けられており、伸縮調整シャフト19の伸長に合わせてブレーキばね31が収縮する。その反発力であるばね力によって伸縮調整シャフト19とブレーキディスク21が面接触し、回転を停止する力を発生させている。
【0050】
ブレーキディスク21が接触した後に、切削アクセサリー8が着脱可能になる。切削アクセサリー8は切削アクセサリー格納管17の内部に設置された固定シャフト18に接続されている。固定シャフト18には切削アクセサリー8が挿入される穴が設けられている。
【0051】
図12は、本発明の実施形態の固定シャフト18の構成を例示する断面図である。本実施形態の固定シャフト18は、切削アクセサリー8を固定するためのチャック機構を備えた回転軸である。図12は、そのチャック機構が切削アクセサリー8を着脱可能にしているときの状態(開放状態)を例示している。図12に示されているように、固定シャフト18は固定球32、固定部材33、回転伝達部34、ばね37およびばね固定部材38を備える。
【0052】
固定シャフト18には固定球32の収納穴が複数設けられている。その収納穴には固定球32が設置される。収容穴の大きさは、固定球32が、挿入穴40に落ちることがないような収納穴径に設定されている。
【0053】
固定シャフト18には切削アクセサリーの挿入穴40が設けられている。固定球32の収納穴と切削アクセサリーの挿入穴40は繋がっている。挿入穴40に切削アクセサリー8が挿入された場合、切削アクセサリー8の固定部15に固定球32が接触することによって前後方向の固定ができる。
【0054】
固定球32での固定は、固定部材33が前後方向へ移動することによって、固定もしくは固定解除を選択することができる。固定部材33の後方に設置されたばね37によって、固定部材33を前方に移動させる力を常時有している。
【0055】
図12に示されているように、固定シャフトが前方に移動した場合には、切削アクセサリー格納管17に固定されている固定解除部材41に固定部材33が接触する。さらに固定シャフト18が前進するとき、固定部材33は固定解除部材41によって前進が妨げられ、ばね37が縮小することによって、固定部材33はその位置に留まり、固定球32は前進を継続する。これよって、固定部材33と固定球32とが離れ、チャック機構は開放状態となり切削アクセサリー8の固定が解除される。それに対し、開放状態であったチャック機構に切削アクセサリー8を装着し、固定シャフト18を後方に移動させた場合には、その移動に対応して固定球32が固定部材33に近づき、固定部材33によって固定球32の移動が制限される位置まで固定球32が後退する。その後、固定球32はばね力によって固定部材33で固定され、さらに後方に移動すると、固定部材33が固定解除部材41から離れ、切削アクセサリー8の固定部15に固定球32が接続され、切削アクセサリー8の前後方向の移動を規制する。
【0056】
図13は、切削アクセサリー8の固定解除が行われている状態を例示する断面図である。図13の示されているように、伸縮調整シャフト19が最前方へ移動した際のみに、固定部材33と固定解除部材41が接触し、切削アクセサリー8の固定が解除される。
【0057】
伸縮調整シャフト19から切削アクセサリーへの回転伝達は、固定シャフト18内に設けられた回転伝達部34を介して切削アクセサリー8に伝達される。
【0058】
切削アクセサリー8が挿入穴40に挿入された場合、回転伝達部34と切削アクセサリー8の回転伝達部16が接続する。電動式モータ部7の電動モータ12が回転した場合、固定シャフト18及び回転伝達部34を介して、回転の動力を切削アクセサリー8に伝達することができるようになる。
【0059】
回転の動力は電動式モータ部7が担っている。その動力は骨切削器具9の回転入力シャフト20へギヤを介して伝達される。回転入力シャフト20に入力された回転動力は、伸縮調整シャフト19に伝達される。伸縮調整シャフト19の内部には回転入力シャフト20の接続穴が設けられており、回転入力シャフト20が接続することにより回転の動力を回転入力シャフト20に伝達することができる機構になっている。
【0060】
伸縮操作部23の回転に伴い伸縮調整シャフト19が移動するが、回転入力シャフト20は移動しない。伸縮調整シャフト19が移動しても回転の動力を伝達する必要がある。伸縮調整シャフト19が移動しても回転入力シャフト20と常に接続している伸縮調整シャフト19の後方部に設定している多角形部位によって回転を伝達する。
【0061】
(第2実施形態)
以下に、図面を参照して本願発明の第2実施形態について説明を行う。上述したように、骨切削器具システム1は、気動式骨切削器具システム3にも対応可能である。したがって以下では、本願発明を気動式骨切削器具システム3に対応させた場合を例示して、その構成・動作について説明を行う。
図14は、第2実施形態の骨切削器具システム1の構成を例示する構成図である。第2実施形態の気動式骨切削器具システム3は、気動式モータ44が回転することにより骨切削器具9及び切削アクセサリー8が回転する。気動式モータ44は回転動作指示機器43に接続され、回転動作指示機器43は窒素ガスボンベ又は病棟壁配管に接続される。回転動作指示機器43から回転動作の指示があった場合は、窒素ガスボンベ又は病棟壁配管から窒素ガス又は空気が気動式モータ44へ流れ、気動式モータ44が回転する。その回転に伴い、骨切削器具9及び切削アクセサリー8が回転する。
【0062】
このように、本願発明骨切削器具9は、電動式モータ部7が気動式モータ44になったとしても、その構成・動作に変更を行うことなく切削アクセサリー8の伸縮を実現することができる。
【符号の説明】
【0063】
1…骨切削器具システム
2…電動式骨切削器具システム
3…気動式骨切削器具システム
4…ハンドピース
5…制御装置
6…フットペダル
7…電動式モータ部
8…切削アクセサリー
9…骨切削器具
10…モータコード
11…モータケース
12…電動モータ
13…ヘッド
14…シャンク
15…固定部
16…回転伝達部
17…切削アクセサリー格納管
18…固定シャフト
19…伸縮調整シャフト
20…回転入力シャフト
21…ブレーキディスク
22…ハウジング
23…伸縮操作部
24…電動式モータ挿入部
25…溝
26…連結部材
27…スリット
28…第1接続部材
29…第2接続部材
30…ばね
31…ブレーキばね
32…固定球
33…固定部材
34…回転伝達部
37…ばね
38…ばね固定部材
40…切削アクセサリーの挿入穴
41…固定解除部材
42…ギヤ
43…回転動作指示機器
44…気動式モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14