(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】誤操作防止装置
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20230912BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20230912BHJP
F01P 5/04 20060101ALI20230912BHJP
F01P 11/10 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
B60K11/04 D
E02F9/00 M
F01P5/04 G
F01P11/10 K
(21)【出願番号】P 2019222594
(22)【出願日】2019-12-10
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000182384
【氏名又は名称】酒井重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 桂佑
(72)【発明者】
【氏名】及川 理
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-049954(JP,A)
【文献】実開平01-093322(JP,U)
【文献】特開2019-127774(JP,A)
【文献】特開2004-197682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
E02F 9/00
F01P 5/04
F01P 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の誤操作を防止する誤操作防止装置であって、
冷却ファンを正転させてエンジンを冷却するとともに、前記冷却ファンを逆転させてラジエータのメンテナンスを行う冷却装置と、
前記冷却ファンの正転又は逆転を切り替える切替レバーと、
前記エンジン、前記冷却装置および前記切替レバーを覆うエンジンフードと、
前記エンジンフードに開閉可能に設けられ、前記切替レバーを視認可能な窓部と、を備え
、
前記窓部の内面に設けられ、前記窓部を閉じるとき、逆転位置にある前記切替レバーと当接して前記窓部の閉動作を規制する規制部を備えていることを特徴とする誤操作防止装置。
【請求項2】
建設機械の誤操作を防止する誤操作防止装置であって、
冷却ファンを正転させてエンジンを冷却するとともに、前記冷却ファンを逆転させてラジエータのメンテナンスを行う冷却装置と、
前記冷却ファンの正転又は逆転を切り替える切替レバーと、
前記エンジン、前記冷却装置および前記切替レバーを覆うエンジンフードと、
前記エンジンフードに開閉可能に設けられ、前記切替レバーを視認可能な窓部と、を備え
、
前記窓部の内面に設けられ、前記窓部を閉じるときに前記切替レバーと当接することで逆転位置にある前記切替レバーを正転位置に変位させる規制部を備えていることを特徴とする誤操作防止装置。
【請求項3】
建設機械の誤操作を防止する誤操作防止装置であって、
冷却ファンを正転させてエンジンを冷却するとともに、前記冷却ファンを逆転させてラジエータのメンテナンスを行う冷却装置と、
前記冷却ファンの正転又は逆転を切り替える切替レバーと、
前記エンジン、前記冷却装置および前記切替レバーを覆うエンジンフードと、
前記エンジンフードに開閉可能に設けられ、前記切替レバーを視認可能な窓部と、を備え
、
前記窓部と前記切替レバーとを連結するリンク機構を有し、
前記リンク機構は、前記窓部が開いたときには前記切替レバーが逆転位置に変位し、前記窓部が閉じたときには前記切替レバーが正転位置に変位するように構成されていることを特徴とする誤操作防止装置。
【請求項4】
建設機械の誤操作を防止する誤操作防止装置であって、
冷却ファンを正転させてエンジンを冷却するとともに、前記冷却ファンを逆転させてラジエータのメンテナンスを行う冷却装置と、
前記冷却ファンの正転又は逆転を切り替える切替レバーと、
前記エンジン、前記冷却装置および前記切替レバーを覆うエンジンフードと、
前記エンジンフードに開閉可能に設けられ、前記切替レバーを視認可能な窓部と、を備え
、
前記切替レバーの位置を検知するセンサを備え、
前記センサが、前記切替レバーが逆転位置にあることを検知したとき、前記建設機械の一部の動作を停止するインターロック機構を備えることを特徴とする誤操作防止装置。
【請求項5】
建設機械の誤操作を防止する誤操作防止装置であって、
冷却ファンを正転させてエンジンを冷却するとともに、前記冷却ファンを逆転させてラジエータのメンテナンスを行う冷却装置と、
前記冷却ファンの正転又は逆転を切り替える切替レバーと、
前記エンジン、前記冷却装置および前記切替レバーを覆うエンジンフードと、
前記エンジンフードに開閉可能に設けられ、前記切替レバーを視認可能な窓部と、を備え
、
前記窓部の開閉を検知するセンサを備え、
前記センサが、前記窓部が開状態であることを検知したとき、前記建設機械の一部の動作を停止するインターロック機構を備えることを特徴とする誤操作防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤操作防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の後方のエンジンフード内に、エンジン及び当該エンジンを冷却する冷却装置を備えた建設機械が知られている。例えば、特許文献1には、冷却装置のラジエータ等のメンテナンス作業に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラジエータのメンテナンスでは、エンジンフードの後方カバーを開放し、ラジエータに並設された冷却ファンの回転を逆転させることでラジエータに詰まった砂、埃、葉などの異物を除去することができる。かかるメンテナンスを行う作業員は、冷却ファンの回転方向を切り替える切替レバーを逆転位置に動かす操作をする必要がある。
【0005】
しかし、メンテナンス終了後に、作業員が切替レバーを正転位置に戻し忘れてしまうおそれがある。切替レバーが逆転位置にある状態でエンジンを駆動させ建設機械を使用すると、エンジンの冷却性能が低下し、エンジンがオーバーヒートするおそれがある。また、エンジンフードの後方カバーは複数のボルト等で締結されているため、後方カバーを閉じて締結してしまうと、切替レバーの位置を確認することが困難になる。
【0006】
そこで、本発明は、建設機械の誤操作を防止することができる誤操作防止装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明の誤操作防止装置は、建設機械の誤操作を防止する誤操作防止装置であって、冷却ファンを正転させてエンジンを冷却するとともに、前記冷却ファンを逆転させてラジエータのメンテナンスを行う冷却装置と、前記冷却ファンの正転又は逆転を切り替える切替レバーと、前記エンジン、前記冷却装置および前記切替レバーを覆うエンジンフードと、前記エンジンフードに開閉可能に設けられ、前記切替レバーを視認可能な窓部と、を備え、前記窓部の内面に設けられ、前記窓部を閉じるとき、逆転位置にある前記切替レバーと当接して前記窓部の閉動作を規制する規制部を備えていることを特徴とする。
【0008】
前記構成によれば、作業員は、窓部を開けることで切替レバーが正転位置又は逆転位置にあることを確認することができる。これにより、切替レバーの確認作業を容易に行うことができるとともに、エンジンのオーバーヒートを防ぐことができる。
また、前記構成によれば、メンテナンス終了時に作業員が窓部を閉じる際、切替レバーが逆転位置にあると窓部を閉めることができない。これにより、切替レバーを正転位置に戻し忘れたことを作業員に気づかせることができる。
【0011】
また、本発明の誤操作防止装置は、建設機械の誤操作を防止する誤操作防止装置であって、冷却ファンを正転させてエンジンを冷却するとともに、前記冷却ファンを逆転させてラジエータのメンテナンスを行う冷却装置と、前記冷却ファンの正転又は逆転を切り替える切替レバーと、前記エンジン、前記冷却装置および前記切替レバーを覆うエンジンフードと、前記エンジンフードに開閉可能に設けられ、前記切替レバーを視認可能な窓部と、を備え、前記窓部の内面に設けられ、前記窓部を閉じるときに前記切替レバーと当接することで逆転位置にある前記切替レバーを正転位置に変位させる規制部を備えていることを特徴とする。
また、本発明の誤操作防止装置は、建設機械の誤操作を防止する誤操作防止装置であって、冷却ファンを正転させてエンジンを冷却するとともに、前記冷却ファンを逆転させてラジエータのメンテナンスを行う冷却装置と、前記冷却ファンの正転又は逆転を切り替える切替レバーと、前記エンジン、前記冷却装置および前記切替レバーを覆うエンジンフードと、前記エンジンフードに開閉可能に設けられ、前記切替レバーを視認可能な窓部と、を備え、前記窓部と前記切替レバーとを連結するリンク機構を有し、前記リンク機構は、前記窓部が開いたときには前記切替レバーが逆転位置に変位し、前記窓部が閉じたときには前記切替レバーが正転位置に変位するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
前記構成によれば、作業員は、窓部を開けることで切替レバーが正転位置又は逆転位置にあることを確認することができる。これにより、切替レバーの確認作業を容易に行うことができるとともに、エンジンのオーバーヒートを防ぐことができる。
また、前記構成によれば、窓部の閉作業に伴って、切替レバーを正転位置に変位させることができる。これにより、エンジンのオーバーヒートをより確実に防ぐことができる。
【0013】
また、本発明の誤操作防止装置は、建設機械の誤操作を防止する誤操作防止装置であって、冷却ファンを正転させてエンジンを冷却するとともに、前記冷却ファンを逆転させてラジエータのメンテナンスを行う冷却装置と、前記冷却ファンの正転又は逆転を切り替える切替レバーと、前記エンジン、前記冷却装置および前記切替レバーを覆うエンジンフードと、前記エンジンフードに開閉可能に設けられ、前記切替レバーを視認可能な窓部と、を備え、前記切替レバーの位置を検知するセンサを備え、前記センサが、前記切替レバーが逆転位置にあることを検知したとき、前記建設機械の一部の動作を停止するインターロック機構を備えることを特徴とする。
【0014】
前記構成によれば、作業員は、窓部を開けることで切替レバーが正転位置又は逆転位置にあることを確認することができる。これにより、切替レバーの確認作業を容易に行うことができるとともに、エンジンのオーバーヒートを防ぐことができる。
また、前記構成によれば、作業員が切替レバーを正転位置に戻し忘れたとしても、建設機械の使用はできないため、切替レバーを正転位置に戻し忘れたことを作業員に気づかせることができる。
【0015】
また、本発明の誤操作防止装置は、建設機械の誤操作を防止する誤操作防止装置であって、冷却ファンを正転させてエンジンを冷却するとともに、前記冷却ファンを逆転させてラジエータのメンテナンスを行う冷却装置と、前記冷却ファンの正転又は逆転を切り替える切替レバーと、前記エンジン、前記冷却装置および前記切替レバーを覆うエンジンフードと、前記エンジンフードに開閉可能に設けられ、前記切替レバーを視認可能な窓部と、を備え、前記窓部の開閉を検知するセンサを備え、前記センサが、前記窓部が開状態であることを検知したとき、前記建設機械の一部の動作を停止するインターロック機構を備えることを特徴とする。
【0016】
前記構成によれば、作業員は、窓部を開けることで切替レバーが正転位置又は逆転位置にあることを確認することができる。これにより、切替レバーの確認作業を容易に行うことができるとともに、エンジンのオーバーヒートを防ぐことができる。
また、前記構成によれば、作業員が窓部を閉め忘れたとしても、建設機械の使用はできないため、窓部の閉作業や切替レバーの確認作業を気づかせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、建設機械の誤操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1,第2の実施形態の誤操作防止装置を備えるスタビライザのエンジンフード内部の側面図である。
【
図2】切替部、切替レバー、および窓部の上面図である。
【
図3】第3の実施形態の誤操作防止装置(その1)の上面図である。
【
図4】第3の実施形態の誤操作防止装置(その2)の上面図である。
【
図5】第3の実施形態の誤操作防止装置(その3)の上面図である。
【
図6】第4の実施形態の誤操作防止装置の上面図である。
【
図7】第5の実施形態の誤操作防止装置の上面図である。
【
図8A】第6の実施形態の誤操作防止装置の上面図(その1)である。
【
図8B】第6の実施形態の誤操作防止装置の上面図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張され、実際の比率とは異なる場合がある。また、各図面の同一の要素は、適宜配置変更されている場合がある。各実施形態では、建設機械としてスタビライザを例にして説明するが、ロードカッター、ショベルカー、クレーン等であってもよい。説明における「上下」、「左右」、「前後」は、スタビライザの操作方向を基準とする。
【0020】
<第1の実施形態>
[構成]
本実施形態の誤操作防止装置100Aは、スタビライザの誤操作を防止する装置であって、特に、作業員のメンテナンスに関する誤操作を防止する装置である。
図1に示すように、誤操作防止装置100Aは、冷却装置1と、切替レバー2と、エンジンフード3と、窓部4とを備えている。
【0021】
冷却装置1は、エンジン5を冷却する装置である。冷却装置1は、エンジン5の後方に配置され、冷却ファン6と、ラジエータ7とを備えている。冷却ファン6は、ラジエータ7とエンジン5との間に配置されている。冷却ファン6は、正転させるとラジエータ7に外気風を取込み、逆転させると後隣りのラジエータ7に向けて風を送る。
【0022】
切替レバー2は、冷却ファン6の正転または逆転を切り替えるために、作業員が操作するレバーである。切替レバー2は、エンジンフード3内の切替部9(
図2)に取り付けられている。切替部9は、切替レバー2の位置に応じて冷却ファン6を正転または逆転させる油路の切替弁である。
【0023】
エンジンフード3は、エンジン5、冷却装置1および切替レバー2を覆うフードである。エンジンフード3は、スタビライザの後側の上部に配置されている。エンジンフード3は、少なくともエンジン5等の上方、下方、両側方及び後方を覆っている。エンジンフード3の後面を構成する後方カバー8は、複数のボルト等で締結されている。
【0024】
窓部4は、エンジンフード3の側部に開閉可能に設けられる窓である。つまり、エンジンフード3の側部の一部領域を開口部とし、当該開口部を塞ぐように板状の窓部4が取り付けられる。窓部4は、切替レバー2を視認可能な位置に設けられている。また、窓部4は、作業員が開口部を介して切替レバー2を操作可能な大きさになっている。窓部4は、例えば、略矩形状であるが、窓部4の形状はこれに限定されない。また、窓部4の材質は、例えば、エンジンフード3と同じ材質とすることができるが、これに限定されない。
【0025】
図2に示すように、窓部4は、ヒンジ部10によって、開閉可能に連結されている。窓部4は、ヒンジ部10を回転軸として水平方向に回動する。
【0026】
また、窓部4には、グリップノブ11および係止部12が取り付けられている。グリップノブ11は、作業員が窓部4を開閉するための把持部となる。係止部12は、窓部4が閉じられるときに、窓部4が係止する板片である。係止部12は、エンジンフード3の内面、かつ、エンジンフード3の開口部の周縁部に設けられている。また、係止部12のうち開口部に張り出す部位には板厚方向に貫通するタップ孔(図示略)が切られている。グリップノブ11が当該タップ孔に螺合することで、窓部4は閉状態(
図2の実線表示)となる。作業員がグリップノブ11を緩め、グリップノブ11を手前に引くと、窓部4は、ヒンジ部10回りに回動し開状態(
図2の二点鎖線表示)となる。つまり、窓部4は、工具を用いずに開閉する構成になっている。また、窓部4の内面側には、切替レバー2が設けられている。
【0027】
なお、
図1,
図2に示すように、窓部4の内面には、規制部13が取り付けられているが、本実施形態では設けなくてもよいため、規制部13の説明は後記する。
【0028】
[作用]
例えば、スタビライザの運転時において、切替レバー2は、冷却ファン6の正転位置(
図2で実線表示)にある。よって、冷却ファン6は、ラジエータ7に外気風を取込み、エンジン5を冷却するための冷却水を冷却する。なお、後方カバー8は、閉じている。
【0029】
一方、ラジエータ7に詰まった砂、埃、葉などの異物を除去するメンテナンス時において、まず、作業員は、グリップノブ11を緩め、グリップノブ11を手前に引いて窓部4を開く。次に、作業員は、窓部4を開くことで視認可能となっている切替レバー2を逆転位置(
図2で二点鎖線表示)に動かし、冷却ファン6を駆動させる。すると、冷却ファン6は、後隣りのラジエータ7に向けて風を送る。このため、ラジエータ7に詰まった砂、埃、葉などの異物は、後方カバー8の通気孔(図示略)を通り、エンジンフード3の後方へ吹き飛ばされ、ラジエータ7を清掃することができる。
【0030】
ラジエータ7の清掃後、作業員は、窓部4を開けて、切替レバー2が正転位置にあることを確認し、窓部4を閉じる。
【0031】
従来では、エンジンフードの後方カバーは複数のボルト等で締結されているため、後方カバーを一旦閉じて締結してしまうと、切替レバーの操作をすることが困難になっていた。
しかし、本実施形態によれば、作業員は、窓部4を開けることで切替レバー2が正転位置又は逆転位置にあることを確認することができる。もし、切替レバー2が逆転位置にあった場合は、作業員は窓部4の開口部を介して正転位置に戻せばよい。このように、本実施形態によれば、切替レバー2の確認作業を容易に行うことができる。その結果、切替レバー2が逆転位置にあった状態でエンジン5を駆動してしまうことに起因するエンジン5のオーバーヒートを防ぐことができる。
【0032】
また、従来では、切替レバーの操作をするため、エンジンフードの後方カバーを開ける必要があった。このため、脚立等を用いて高所にある後方カバーまで昇ったり、後方カバーに締結するボルト等を、工具を用いて解除したりするなどの煩雑さがあった。しかし、本実施形態によれば、工具を用いることなく、エンジンフード3の側部に設けられた窓部4を開けて切替レバー2の位置を確認することができるため、作業性が良好である。また、本実施形態によれば、後方カバー8のボルト等の締結解除および締結が不要であり、作業性が良好である。
【0033】
なお、本実施形態では、窓部4をエンジンフード3の側部に設けたが、底部又は後方カバー8に設けてもよい。
【0034】
<第2の実施形態>
第2の実施形態の説明の際、第1の実施形態と重複する説明は省略し、主に相違点について説明する。
【0035】
図2に示すように、本実施形態の誤操作防止装置100Bは、規制部13を備えている。規制部13は、例えば矩形状の板材であって、窓部4の内面に設けられている。規制部13は、窓部4が閉じられる際、逆転位置にある切替レバー2と当接して窓部4の閉動作を規制する大きさ、形状になっている。つまり、規制部13は窓部4が閉じられる際の邪魔板として機能する。
【0036】
本実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によれば、メンテナンス終了時に作業員が窓部4を閉じる際、切替レバー2が逆転位置にあると窓部4を閉めることができない。これにより、切替レバー2を正転位置に戻し忘れたことを作業員に気づかせることができる。
【0037】
<第3の実施形態>
第3の実施形態の説明の際、第1,第2の実施形態と重複する説明は省略し、主に相違点について説明する。
【0038】
図3に示すように、本実施形態の誤操作防止装置100Cは、規制部14を備えている。規制部14は、例えば矩形状の板材であって、窓部4の内面に設けられている。規制部14は、窓部4を閉じる際、逆転位置にある切替レバー2と当接することで切替レバー2を正転位置に変位させることができる大きさ、形状になっている。
【0039】
本実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によれば、窓部4の閉作業に伴って、切替レバー2を正転位置に変位させることができる。これにより、切替レバー2が逆転位置にあった状態でエンジン5を駆動してしまう誤操作を無くし、エンジン5のオーバーヒートをより確実に防ぐことができる。
【0040】
誤操作防止装置100Cを構成する要素は、さまざまな形状に適宜変更することができる。例えば、
図4に示すように、切替レバー2のシャフト部分を規制部14が存在する側とは反対側に屈曲させてもよい。また、
図5に示すように、規制部14の先頭部を、切替レバー2に向けて屈曲させてもよい。
図4及び
図5のようにすれば、規制部14の回転モーメントが切替レバー2に伝達しやすくなるため、切替レバー2を正転位置に確実に変位させることができる。
【0041】
<第4の実施形態>
第4の実施形態の説明の際、第1~第3の実施形態と重複する説明は省略し、主に相違点について説明する。
【0042】
図6に示すように、本実施形態の誤操作防止装置100Dは、リンク機構15を備えている。リンク機構15は、軸部16と、2つの関節部17,18とを備えている。
【0043】
軸部16は、関節部17,18を連結する棒材である。関節部17は、軸部16の一端を構成し、窓部4と軸部16とのなす角度が変更可能となるように接合されている。関節部18は、軸部16の他端を構成し、切替レバー2と軸部16とのなす角度が変更可能となるように接合されている。リンク機構15は、窓部4が開いたときには切替レバー2が逆転位置に変位し、窓部が閉じたときには切替レバーが正転位置に変位するように構成されている。
【0044】
本実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によれば、窓部4の閉作業に伴って、切替レバー2を正転位置に変位させることができる。これにより、切替レバー2が逆転位置にあった状態でエンジン5を駆動してしまう誤操作を無くし、エンジン5のオーバーヒートをより確実に防ぐことができる。
【0045】
<第5の実施形態>
第5の実施形態の説明の際、第1~第4の実施形態と重複する説明は省略し、主に相違点について説明する。
【0046】
図7に示すように、本実施形態の誤操作防止装置100Eは、センサ19を備えている。センサ19は、切替レバー2の正転位置の近傍に配置されているスイッチである。センサ19は、切替レバー2が正転位置または逆転位置にあることを検知することができる。つまり、切替レバー2が正転位置にあるとき、切替レバー2がセンサ19に当接し、センサ19はオンとなる。一方、切替レバー2が逆転位置にあるとき、切替レバー2がセンサ19に当接せず、センサ19はオフとなる。
【0047】
誤操作防止装置100Eは、センサ19が、切替レバー2が逆転位置(
図7で二点鎖線表示)にあることを検知したとき、スタビライザの一部の動作を停止するインターロック機構を備える。例えば、インターロック機構は、センサ19がオフであるときに、スタビライザを緊急停止させる機構とすることができる。また、例えば、インターロック機構は、センサ19がオフであるときに、エンジン5の駆動を停止させる機構とすることができる。また、例えば、インターロック機構は、センサ19がオフであるときに、エンジン5の駆動は停止しないがスタビライザの走行は禁止する機構とすることができる。
【0048】
本実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によれば、作業員が切替レバー2を正転位置に戻し忘れたとしても、スタビライザの使用はできないため、切替レバー2を正転位置に戻し忘れたことを作業員に気づかせることができる。
【0049】
<第6の実施形態>
第6の実施形態の説明の際、第1~第5の実施形態と重複する説明は省略し、主に相違点について説明する。なお、図示の便宜上、
図8A,
図8Bにおいて、グリップノブ11および係止部12は存在するが、図示略とする。
【0050】
図8A,
図8Bに示すように、本実施形態の誤操作防止装置100Fは、センサ20を備えている。センサ20は、エンジンフード3の内部、かつ、エンジンフード3の開口部に配置されているスイッチである。センサ20は、窓部4が開状態(
図8A)または閉状態(
図8B)にあることを検知することができる。つまり、窓部4が閉状態にあるとき、窓部4がセンサ20に当接し、センサ20はオンとなる。一方、窓部4が開状態にあるとき、窓部4がセンサ20に当接せず、センサ20はオフとなる。
【0051】
誤操作防止装置100Fは、センサ20が、窓部4が開状態であることを検知したとき、スタビライザの一部の動作を停止するインターロック機構を備える。インターロック機構の例示は、第5の実施形態と同様である。
【0052】
本実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によれば、作業員が窓部4を閉め忘れたとしても、建設機械の使用はできないため、窓部4の閉作業や切替レバーの確認作業を気づかせることができる。
【0053】
なお、
図8A,
図8Bに示すように、本実施形態の誤操作防止装置100Fは、第2の実施形態の規制部13を備えてもよい。かかる構成により、メンテナンス終了時に作業員が窓部4を閉じる際、切替レバー2が逆転位置(
図8Aで実線表示)にあると窓部4を閉めることができない。これにより、切替レバー2を正転位置に戻し忘れたことを作業員に気づかせることができる。同様に、第5の実施形態の誤操作防止装置100Eが、第2の実施形態の規制部13を備えてもよい。
【0054】
<変形例>
(a):窓部4の材質を透明にしてもよい。すると、作業員は、窓部4を開けなくても切替レバー2が正転位置又は逆転位置にあることを確認することができる。
【0055】
(b):窓部4に開閉の施錠機構を設けてもよい。施錠機構によって、切替レバー2に対するいたずらを防止することができる。また、施錠機構によって、窓部4のがたつきを防止することができる。
【0056】
(c):第3の実施形態において、規制部14は、切替レバー2を逆転位置から正転位置に誘導する誘導曲面を備えてもよい。窓部4の閉作業の間、切替レバー2は、誘導曲面に這うように当接しつつ、逆転位置から正転位置に変位する。
【0057】
(d):第5の実施形態において、センサ19は、切替レバー2の正転位置の近傍に配置されていた。しかし、センサ19を切替レバー2の逆転位置の近傍に配置してもよい。この場合であっても、センサ19は、切替レバー2が正転位置または逆転位置にあることを検知することができる。また、第5の実施形態のセンサ19、第6の実施形態のセンサ20は、非接触センサであってもよい。
【0058】
(e):第5,第6の実施形態において、センサ19,20は、音、光などで報知する報知手段と電気的に接続していてもよい。誤操作防止装置100Eは、センサ19が、切替レバー2が逆転位置にあることを検知したとき、報知手段による報知を行う。誤操作防止装置100Fは、センサ20が、窓部4が開状態であることを検知したとき、報知手段による報知を行う。
【0059】
(f):その他、各実施形態で説明した技術的特徴は、適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
100A~100F 誤操作防止装置
1 冷却装置
2 切替レバー
3 エンジンフード
4 窓部
5 エンジン
6 冷却ファン
7 ラジエータ
8 後方カバー
9 切替部
10 ヒンジ部
11 グリップノブ
12 係止部
13 規制部
14 規制部
15 リンク機構
16 軸部
17,18 関節部
19,20 センサ