(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/32 20230101AFI20230912BHJP
【FI】
C02F1/32
(21)【出願番号】P 2020030791
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】草野 吏
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0116400(KR,A)
【文献】特開2019-147114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/20- 1/26
1/30- 1/38
B01J 10/00-12/02
14/00-19/32
H01L 33/00
33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水の流路を区画する、筐体と、
筐体の内部に配置された、1つ以上の光源ユニットと、
を備え、
前記光源ユニットは、
上流側から下流側に向かって延在し、前記被処理水の一部が上流端から流入し下流端から流出する穴を有する、支持部と、
前記支持部の外周面上に配置され、前記光源ユニットの外周側を流れる前記被処理水に対し紫外線を照射する、複数の第1光源と、
前記複数の第1光源を防水する容器と、
を有
し、
前記支持部の一部は、前記容器よりも上流側へ延びている、水処理装置。
【請求項2】
前記光源ユニットは、前記支持部の上流端に接続された筒状の拡大部を、さらに有しており、
前記拡大部の中心穴の断面積は、上流側に向かうにつれて、徐々に増大している、請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記光源ユニットは、前記支持部の下流端と前記筐体とを連結するとともに、前記支持部の前記穴から連続する通路を区画する、出口案内部を、さらに有しており、
前記出口案内部は、前記出口案内部の外周面上に前記通路の出口を有している、請求項1又は2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記光源ユニットの前記支持部は、
前記支持部の前記穴を区画する、内層と、
前記内層の外周側に位置し、前記支持部の外周面を形成する、外層と、
を有しており、
前記内層と前記外層とは、互いに異なる材料で構成されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記光源ユニットの前記支持部の前記穴内を流れる前記被処理水に対し紫外線を照射するように構成された、第2光源を、さらに備えた、
請求項1~
4のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記第2光源からの紫外線を前記光源ユニットの前記支持部の中心軸線に平行になるように反射するように構成された、反射部を、さらに備えた、請求項
5に記載の水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水処理装置として、被処理水の入った筐体の内部に、光源を保護管によって覆ってなる光源ユニットを配置したものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような水処理装置においては、光源の冷却に関し、向上の余地があった。
【0005】
本発明は、光源をより効果的に冷却できる、水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水処理装置は、
被処理水の流路を区画する、筐体と、
筐体の内部に配置された、1つ以上の光源ユニットと、
を備え、
前記光源ユニットは、
上流側から下流側に向かって延在し、前記被処理水の一部が上流端から流入し下流端から流出する穴を有する、支持部と、
前記支持部の外周面上に配置され、前記光源ユニットの外周側を流れる前記被処理水に対し紫外線を照射する、複数の第1光源と、
前記複数の第1光源を防水する容器と、
を有する。
【0007】
本発明の水処理装置において、
前記光源ユニットは、前記支持部の上流端に接続された筒状の拡大部を、さらに有しており、
前記拡大部の中心穴の断面積は、上流側に向かうにつれて、徐々に増大していると、好適である。
【0008】
本発明の水処理装置において、
前記光源ユニットは、前記支持部の下流端と前記筐体とを連結するとともに、前記支持部の前記穴から連続する通路を区画する、出口案内部を、さらに有しており、
前記出口案内部は、前記出口案内部の外周面上に前記通路の出口を有していると、好適である。
【0009】
本発明の水処理装置において、
前記支持部の一部は、前記容器よりも上流側へ延びていると、好適である。
【0010】
本発明の水処理装置において、
前記光源ユニットの前記支持部は、
前記支持部の前記穴を区画する、内層と、
前記内層の外周側に位置し、前記支持部の外周面を形成する、外層と、
を有しており、
前記内層と前記外層とは、互いに異なる材料で構成されていてもよい。
【0011】
本発明の水処理装置において、
前記光源ユニットの前記支持部の前記穴内を流れる前記被処理水に対し紫外線を照射するように構成された、第2光源を、さらに備えると、好適である。
【0012】
本発明の水処理装置において、
前記第2光源からの紫外線を前記光源ユニットの前記支持部の中心軸線に平行になるように反射するように構成された、反射部を、さらに備えると、好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光源をより効果的に冷却できる、水処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る水処理装置を概略的に示す、概略図である。
【
図2】
図1の水処理装置を、
図1のA-A線に沿う断面により示す、A-A断面図である。
【
図3】
図1の光源ユニットを、
図1のB-B線に沿う断面により示す、B-B断面図である。
【
図4】
図1の光源ユニットを、
図1のC-C線に沿う断面により示す、C-C断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る水処理装置を概略的に示す、概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の水処理装置は、水を紫外線処理するために利用されるものであり、特に、上水を紫外線処理するために利用されると好適なものである。ここで、「紫外線処理」とは、紫外線を照射することにより水内の微生物(細菌等)を死滅させる処理を指す。また、本発明の水処理装置は、大型の水処理装置として構成されると好適であり、処理水量は、例えば、300トン/日以上、1200トン/日以上、1万トン/日以上、あるいは、3万トン/日以上等とすることができる。
以下に、図面を参照しつつ、本発明に係る水処理装置の実施形態を例示説明する。
【0016】
図1~
図4は、本発明の第1実施形態に係る水処理装置1を示している。本実施形態に係る水処理装置1は、紫外線を用いて、水(以下、「被処理水(W)」という。)を紫外線処理するように構成されている。被処理水Wは、上水であると好適である。
水処理装置1は、筐体2と、1つ又は複数の光源ユニット3と、を備えている。
【0017】
筐体2は、被処理水Wの流路Pを区画している。筐体2は、流入口部21と、流出口部22と、本体部23と、を有している。流入口部21は、被処理水Wが本体部23に流入するための流入口を区画している。流出口部22は、被処理水Wが本体部23から流出するための流出口を区画している。本体部23は、流入口部21から流出口部22に至るまでの、被処理水Wのための流路Pを区画している。このようにして、筐体2は、被処理水Wが、流入口部21から本体部23内へ入った後、流出口部22から外部へ出るように、構成される。
本体部23は、筐体軸線方向HADの両端が閉鎖された筒状に構成されており、図の例では、筐体軸線方向HADの両端が閉鎖された円筒状に構成されている(
図1及び
図2)。ただし、本体部23は、筐体軸線方向HADの両端が閉鎖された任意の筒状(例えば、多角筒状等)に構成されてよい。
ここで、筐体2に関し、「筐体軸線方向(HAD)」とは、本体部23のなす筒状の中心軸線2Cに平行な方向である。
図の例において、流入口部21と流出口部22とは、それぞれ、本体部23の上端部に連結されている(
図1)。ただし、流入口部21と流出口部22とは、それぞれ、本体部23の任意の部分に連結されてよい。
また、図の例において、流入口部21の中心軸線と、流出口部22の中心軸線とは、互いに平行である(
図1)。ただし、流入口部21の中心軸線と、流出口部22の中心軸線とは、互いに非平行であってもよい。
【0018】
1つ又は複数の光源ユニット3は、それぞれ、筐体2の内部に配置されており、ひいては、被処理水Wに浸漬されている。
各光源ユニット3は、互いに同様の構成を有することができるので、以下では、いずれか1つの光源ユニット3について説明するものとし、他の光源ユニット3の説明を省略する。
光源ユニット3は、支持部30と、複数の第1光源(光源)31と、容器33と、拡大部34と、出口案内部35と、を有している。ただし、光源ユニット3は、拡大部34及び/又は出口案内部35を有していなくてもよい。
光源ユニット3は、上流側から下流側に向かって延在している。ここで、光源ユニット3の延在方向(以下、「ユニット軸線方向(UAD)」という)は、光源ユニット3の中心軸線に平行な方向である。光源ユニット3の中心軸線は、後述の支持部30の中心軸線30Cと同じであるものとする。図の例において、ユニット軸線方向UADは、筐体軸線方向HADに対し平行である。
図の例では、簡単のため、筐体2の内部に4個の光源ユニット3が配置されているが、光源ユニット3の数は、水処理装置1の処理水量に応じて適宜設定することができ、例えば、15個以上、30個以上、50個以上、又は、90個以上等とすることができる。
本明細書では、便宜のため、筐体2の内部の流路Pのうち、光源ユニット3の外周側の流路Pを、「第1流路(P1)」という。
【0019】
支持部30は、上流側から下流側に向かって延在している。図の例において、支持部30の中心軸線30C(ひいては、ユニット軸線方向(UAD))は、筐体軸線方向HADに平行である。ただし、支持部30が上流側から下流側に向かって延在している限り、支持部30の中心軸線30C(ひいては、ユニット軸線方向(UAD))は、筐体軸線方向HADに対し非平行であってもよい。
支持部30は、支持部30の内周面30iによって区画された、穴30hを有する。後述のように、支持部30の穴30hは、筐体2の内部を流れる被処理水Wの一部が、少なくとも、支持部30の穴30hの上流端から、穴30h内へと流入し、支持部30の穴30hの下流端から流出するようにされている。図の例において、支持部30は、管状に構成されている。支持部30の穴30hは、ユニット軸線方向(UAD)に対し垂直な断面において、図の例のように支持部30の中心に位置していてもよいし、あるいは、支持部30の中心からずれた位置に位置していてもよい。
支持部30は、複数の第1光源31及びそれらの基板を支持するように構成されている。複数の第1光源31は、支持部30の外周面30о上に配置されている。複数の第1光源31の基板(図示せず)は、例えば、支持部30の内部、かつ/又は、支持部30の外周面30о上に、配置される。
図の例のように、支持部30の外周面30оは、ユニット軸線方向UADにおいて少なくとも第1光源31と同じ位置に位置する部分において、多角柱形状(例えば、
図3の例のように三角柱形状、又は、四角柱形状等)をなしていると、好適である。これにより、第1光源31を、支持部30の外周面30оのうち多角柱形状をなす部分における、平坦面上に配置できるので、第1光源31を支持部30の外周面30о上に配置しやすくなる。ただし、支持部30の外周面30оは、ユニット軸線方向UADにおいて少なくとも第1光源31と同じ位置に位置する部分において、円柱形状等、任意の形状をなしていてよい。
なお、支持部30の内周面30iは、図の例のように円柱形状をなしていると好適であるが(
図3)、多角柱形状等、任意の形状をなしていてよい。
【0020】
複数の第1光源31は、それぞれ、紫外線を発するように構成されている。第1光源31としては、具体的には、UV-LED(Ultra Violet-Light Emitting Diode)であると好適であるが、他の光源であってもよい。殺菌効果を高める観点から、第1光源31は、その中心波長またはピーク波長が、約200nm~350nmの範囲に含まれると好適であり、250nm~290nmに含まれるとより好適である。この場合、第1光源31としては、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を用いたUV-LEDを用いることができる。複数の第1光源31の全てが同じ中心波長またはピーク波長を有していてもよいし、あるいは、複数の第1光源31のうち一部の第1光源31の中心波長またはピーク波長が、他の第1光源の中心波長またはピーク波長とは異なるようにしてもよい。
第1光源31は、チップ型に構成されると好適であるが、砲弾型に構成されてもよい。
複数の第1光源31は、支持部30の外周面30о上に配置されており、外周側に向かって紫外線を発するように構成されている。これにより、複数の第1光源31は、光源ユニット3の外周側を流れる被処理水W(すなわち、第1流路P1を流れる被処理水W)に対し紫外線を照射するように構成されている。
第1光源31の数は、例えば水処理装置1の処理水量等に応じて、適宜設定してよい。
複数の第1光源31は、支持部30の外周面30о上において、任意の方向に沿って任意の数だけ配列されてよい。例えば、
図1の例のように、ユニット軸線方向UADに沿って複数の第1光源31が配列されていると、好適である。また、
図3の例のように、支持部30の周方向に沿って複数の第1光源31が配列されていると、好適である。
【0021】
容器33は、複数の第1光源31を防水している。すなわち、容器33は、複数の第1光源31が被処理水Wに触れないように、複数の第1光源31を覆っている。容器33の内周側には、被処理水Wの無い空間36があり、その空間36の内部に、複数の第1光源31が位置している。図の例では、容器33の内周面と支持部30の外周面30оとの間に、空間36が区画されている。
容器33によって複数の第1光源31を覆っているので、仮に複数の容器33によってそれぞれ複数の第1光源31を1つずつ覆う場合に比べて、構造の簡単化が可能である。
図の例では、容器33のユニット軸線方向UADにおける上流側の端が、支持部30(具体的には後述の内層301)の外周面と、直接、又は、シール材(図示せず)を介して、連結している。また、図の例では、容器33のユニット軸線方向UADにおける下流側の端が、後述の出口案内部35のユニット軸線方向UADにおける上流側の端と、直接、又は、シール材(図示せず)を介して、連結している。ただし、容器33が複数の第1光源31が被処理水Wに触れないように複数の第1光源31を覆っている限り、容器33のユニット軸線方向UADにおける上流側の端及びユニット軸線方向UADにおける下流側の端は、それぞれ、光源ユニット3における任意の部分(ただし容器33及び第1光源31を除く。)と、直接、又は、シール材(図示せず)を介して、連結していてよい。容器33のユニット軸線方向UADにおける上流側の端は、例えば、支持部30の後述の外層302の外周面と連結していてもよいし、支持部30の上流端(ユニット軸線方向UADにおける上流側の端)30uと連結していてもよいし、あるいは、後述の拡大部34の外周面又は上流端(ユニット軸線方向UADにおける上流側の端)34uと連結していてもよい。また、容器33のユニット軸線方向UADにおける下流側の端は、例えば、後述の出口案内部35のうちユニット軸線方向UADにおける上流側の端以外の部分と連結していてもよいし、あるいは、支持部30の外周面と連結していてもよい。
容器33は、紫外線を透過させる材料で構成されている。容器33を構成し得る、紫外線を透過させる材料としては、例えば、石英(SiO2)、サファイア(Al2O3)、又は、非晶質のフッ素系樹脂等が挙げられる。容器33が紫外線を透過させる材料で構成されていることにより、第1光源31から発せられる紫外線が、容器33を通して、容器33の外周側を流れる被処理水W(すなわち、第1流路P1を流れる被処理水W)に照射されることができる。
なお、容器33は、複数の第1光源31を覆うように構成された外筒部に加えて、当該外筒部と一体に構成され、かつ、支持部30の内周面30iを覆う内筒部をさらに有する、2重構造からなるものでもよい。
【0022】
光源ユニット3の内部には、筐体2の内部を流れる被処理水Wの一部が流れるための、第2流路P2が区画されている。第2流路P2は、少なくとも、光源ユニット3の支持部30の穴30hによって、区画されている。すなわち、筐体2の内部を流れる被処理水Wの一部は、第2流路P2(少なくとも、光源ユニット3の支持部30の穴30h内)を流れるようにされている。言い換えれば、筐体2の内部を流れる被処理水Wの一部は、少なくとも、支持部30の穴30hの上流端から、穴30h内へと流入し、支持部30の穴30hの下流端から流出するようにされている。図の例において、第2流路P2は、光源ユニット3の支持部30の穴30hに加えて、後述の拡大部34の中心穴34hと、後述の出口案内部35の内部の通路35pと、によって区画されている。すなわち、図の例において、筐体2の内部を流れる被処理水Wの一部は、第2流路P2を構成する、拡大部34の中心穴34hと、光源ユニット3の支持部30の穴30hと、出口案内部35の内部の通路35pと、のそれぞれの内部を流れるようにされている。
ただし、上述のように、光源ユニット3は、拡大部34及び/又は出口案内部35を有していなくてもよい。
【0023】
上述した本実施形態の水処理装置1においては、筐体2の流入口部21から筐体2の本体部23の内部に入った被処理水Wの大部分が、光源ユニット3の外周側(ひいては第1流路P1)を流れ、そこで、支持部30の外周面30о上に配置された複数の第1光源31からの紫外線が照射されることにより、紫外線処理される。この間、複数の第1光源31は、光源ユニット3の外周側(ひいては第1流路P1)を流れる被処理水Wによって、当該複数の第1光源31の外周側から、冷却される。第1流路P1を流れた被処理水Wは、筐体2の流出口部22から外部へ出る。
一方、筐体2の流入口部21から筐体2の本体部23の内部に入った被処理水Wの一部は、光源ユニット3の支持部30の穴30h(ひいては、第2流路P2)内を流れる。これにより、支持部30の外周面30о上に配置された複数の第1光源31は、当該複数の第1光源31の内周側から、被処理水Wによって冷却される。第2流路P2を流れた被処理水Wは、筐体2の流出口部22から外部へ出る。
このように、複数の第1光源31は、外周側からだけでなく、内周側からも、被処理水Wによって冷却される。よって、仮に筐体2の内部を流れる被処理水Wの一部が光源ユニット3の支持部30の穴30h内(ひいては、第2流路P2)を流れるようにされていない場合に比べて、第1光源31(光源)をより効果的に冷却できる。
なお、例えば、光源ユニット3の支持部30の穴30h(ひいては、第2流路P2)を、筐体2の外部の空気に連通させることにより、複数の第1光源31を、支持部30の穴30h内の空気によって冷却することも考えられるが、その場合、第1光源31をさほど効果的には冷却できないおそれがある。
また、例えば、光源ユニット3の支持部30の穴30h(ひいては、第2流路P2)に、筐体2の外部から、被処理水Wとは異なる流体(液体又は気体等)を送り込んで、複数の第1光源31を、支持部30の穴30h内を流れる当該流体によって冷却することも考えられるが、その場合、別途、当該流体を準備する必要があるので、コストの増大や構造の複雑化となるおそれがある。
このように、本実施形態の水処理装置1によれば、別途、流体等の冷却手段を準備することを要さずに、より効果的に、第1光源31(光源)を冷却することができる。
【0024】
なお、本実施形態の水処理装置1は、第1光源31がUV-LEDからなる場合に、特に好適なものである。
第1光源31がUV-LEDからなる場合、仮に第1光源31が他の光源(例えば水銀ランプ)からなる場合に比べて、環境負荷の低減、長寿命化、低コスト化等が可能である。
一方、一般的に、UV-LEDは、他の光源(例えば水銀ランプ)に比べて、発熱量が大きく、また、特に基板側での発熱量が大きい。したがって、第1光源31がUV-LEDからなる場合、仮に筐体2の内部を流れる被処理水Wの一部が光源ユニット3の支持部30の穴30h(ひいては、第2流路P2)内を流れるようにされていない場合は、支持部30の内部に熱がこもりやすくなり、それにより、第1光源31が劣化するおそれがある。したがって、筐体2の内部を流れる被処理水Wの一部が光源ユニット3の支持部30の穴30h(ひいては、第2流路P2)内を流れるようにし、それにより第1光源31を内周側から冷却することは、特に第1光源31がUV-LEDからなる場合に、第1光源31の劣化抑制のために重要である。
【0025】
本明細書で説明する各例において、水処理装置1は、筐体2における筐体軸線方向HADのいずれか一方側(例えば下流側)の端部から、光源ユニット3を引き抜くことが可能に構成されていると、好適である。これにより、例えば、メンテナンス時には、光源ユニット3を筐体2の外に取り出すだけで、光源ユニット3の各構成部材(第1光源31、支持部30等)をメンテナンスすることが可能になるので、メンテナンス性を向上できる。
【0026】
本明細書で説明する各例において、光源ユニット3は、
図1に示す例のように、拡大部34を、さらに有していると、好適である。拡大部34は、筒状に構成されている。拡大部34は、支持部30の上流端(ユニット軸線方向UADにおける上流側の端)30uに接続されている。具体的には、拡大部34の下流端(ユニット軸線方向UADにおける下流側の端)34dが、支持部30の上流端30uに接続されている。この場合、拡大部34の中心穴34hは、第2流路P2の一部を構成する。拡大部34の上流端34uにおける、拡大部34の中心穴34hは、第2流路P2の上流端(入口)を構成している。筐体2の内部を流れる被処理水Wの一部は、拡大部34の中心穴34h内を流れた後に、光源ユニット3の支持部30の穴30h内を流れることとなる。
拡大部34の中心穴34hの断面積は、上流側に向かうにつれて、徐々に増大している。ここで、「徐々に増大」とは、途中で一定となることなく常に連続的に増大する場合だけでなく、途中で一定となるように増大する場合(例えば段階的に増大する場合)も含む。なお、支持部30の上流端30u(ひいては拡大部34の下流端34d)において、支持部30の穴30hの断面積と拡大部34の中心穴34hの断面積とは、互いに同じであると好適であるが、互いに異なっていてもよい。また、支持部30の穴30hと拡大部34の中心穴34hとは、互いに同軸状に配置されていると、好適である。
光源ユニット3が拡大部34を有することにより、筐体2の内部を流れる被処理水Wの一部が、よりスムーズに、支持部30の穴30h(ひいては、第2流路P2)内に入ることができる。それにより、支持部30の穴30h内を流れる被処理水Wによる第1光源31の冷却効果を、より効果的に得ることができる。
ただし、光源ユニット3は、拡大部34を有さなくてもよい。その場合、支持部30の上流端30uにおける穴30hが、第2流路P2の上流端(入口)を構成してもよい。
【0027】
本明細書で説明する各例において、光源ユニット3は、
図1に示す例のように、出口案内部35を、さらに有していると、好適である。出口案内部35は、支持部30の下流端(ユニット軸線方向UADにおける下流側の端)30dと筐体2とを連結している。すなわち、出口案内部35のユニット軸線方向UADの一方側(上流側)の端は、支持部30の下流端30dに連結されており、出口案内部35のユニット軸線方向UADの他方側(下流側)の端は、筐体2(具体的には、筐体2の筐体軸線方向HADにおける一方側(下流側)の端)に連結されている。これにより、光源ユニット3が筐体2に対して固定されている。
出口案内部35は、支持部30の穴30hから連続する通路35pを区画している。この場合、出口案内部35の通路35pは、第2流路P2の一部を構成する。出口案内部35の通路35pの入口35piは、支持部30の下流端30dにおける穴30hと接続されている。なお、支持部30の下流端30d(ひいては出口案内部35の上流端)において、支持部30の穴30hの断面積と出口案内部35の入口35piの断面積とは、互いに同じであると好適であるが、互いに異なっていてもよい。
出口案内部35は、出口案内部35の外周面35о上に、通路35pの出口35pоを1つ又は複数有している(
図1及び
図4)。これにより、出口案内部35は、支持部30の下流端30dと筐体2とを連結していながらも、支持部30の穴30h(ひいては第2流路P2)からの被処理水Wを光源ユニット3の外部に流出させることができるようにされている。光源ユニット3の外部に流出した被処理水Wは、筐体2の流出口部22から筐体2の外部に出る。
図の例では、出口案内部35は、出口案内部35の外周面35о上に、通路35pの出口35pоを複数有している(
図1及び
図4)。これらの複数の出口35pоは、出口案内部35の周方向に沿って互いから間隔を空けて配列されている。そして、出口案内部35の通路35pは、入口35piの下流側に分岐点35bpを有しており、その分岐点35bpから、複数の分岐通路35brが、それぞれ別々の出口35pоに至るまで延在している。これにより、入口35piから通路35pに入った被処理水Wは、分岐点35bpに至った後、分岐して複数の分岐通路35brに入り、それぞれ別々の出口35pоから出るように、されている(
図4)。それにより、被処理水Wを効率的に光源ユニット3の外へ排出できるので、支持部30の穴30h(ひいては第2流路P2)内への被処理水Wの流入を促進でき、ひいては、支持部30の穴30h内を流れる被処理水Wによる第1光源31の冷却効果を促進できる。
ただし、光源ユニット3は、出口案内部35を有さなくてもよい。その場合、支持部30の下流端30dにおける穴30hが、第2流路P2の下流端(出口)を構成してもよい。
【0028】
本明細書で説明する各例において、光源ユニット3の支持部30は、任意の材料で構成することができる。支持部30を構成する材料は、第1光源31から発せられる熱を放熱する効果を高める観点から、金属であると好適であり、具体的には例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、アルマイトのうち少なくともいずれか1つが好適である。銅は、他の金属に比べて熱伝導率が高いため、支持部30の放熱性能を高められる点、好適である。アルミニウムは、良好な熱伝導率を得つつ、反射率が高い点で、好適である。アルマイトは、アルミニウムの表面のコーティングとして用いると好適である。ただし、支持部30を構成する材料は、非金属材料であってもよい。
光源ユニット3の支持部30は、その全体が同じ材料で構成されてもよい。
あるいは、光源ユニット3の支持部30は、部分毎に材料が異なっていてもよい。
例えば、光源ユニット3の支持部30は、図の例のように、2層以上の多層構造からなるものでもよい(
図1及び
図3)。この場合、支持部30は、支持部30の穴30hを区画する(すなわち最も内周側に位置する)、内層301と、内層301の外周側に位置し、支持部30の外周面30оを形成する(すなわち最も外周側に位置する)、外層302と、を少なくとも有する。内層301と外層302との間には、1層以上の中間層があってもよい。支持部30を構成する各層(少なくとも内層301及び外層302)は、互いに異なる材料で構成されていると、好適である。
【0029】
上述のように支持部30を多層構造からなるものとする場合、容器33は、図の例のように、外層302が被処理水Wに触れないように外層302を覆っていると、好適である(
図1)。この場合、例えば、被処理水Wに触れないようにされた外層302は、内層301よりも熱伝導率の高い材料で構成し、被処理水Wに触れるようにされた内層301は、外層302よりも被処理水Wに触れても問題の少ない材料(例えば、毒性の少ない材料、あるいは、耐水性の高い材料)で構成すると、好適である。これにより、支持部30は、高い放熱性能を得つつ、被処理水Wに触れることによる問題を低減できる。そのような材料の組み合わせとしては、例えば、外層302を銅で構成し、内層301をステンレス鋼で構成することが挙げられる。また、他の材料の組み合わせとしては、例えば、外層302を銅で構成し、外層302と内層301との間の中間層をアルミニウムで構成し、内層301をアルマイトで構成することが挙げられる。また、他の材料の組み合わせとしては、例えば、外層302をアルミニウムで構成し、内層301をアルマイトで構成することが挙げられる。
【0030】
本明細書で説明する各例においては、
図1に示す例のように、支持部30の一部は、容器33よりも上流側へ延びていると、好適である。これにより、支持部30のうち、容器33よりも上流側に位置する部分が、直接、被処理水Wに接触するので、支持部30による放熱効果を高めることができる。また、支持部30の上流端30uが、容器33よりも上流側に位置するので、第2流路P2の上流端を、より上流側に位置させることができ、それにより、筐体2の流入口部21からの被処理水Wが第2流路P2に入るのをより効果的に促すことができる。これにより、第1光源31の冷却効果を高めることができる。
例えば、上述のように支持部30を多層構造からなるものとする場合、支持部30のうち最も内周側に位置する1つ又は複数の層(図の例では、内層301のみ)が、容器33よりも上流側へ延びていてもよい。この場合、図の例のように、支持部30のうち最も内周側に位置する1つ又は複数の層(図の例では、内層301のみ)が、支持部30のうち最も外周側に位置する1つ又は複数の層(図の例では、外層302のみ)よりも上流側へ延びており、容器33が、支持部30のうち最も外周側に位置する1つ又は複数の層(図の例では、外層302のみ)が被処理水Wに触れないように、当該最も外周側に位置する1つ又は複数の層(図の例では、外層302のみ)を覆っていると、好適である(
図1)。
なお、本明細書で説明する各例においては、上述のように支持部30を多層構造からなるものとする場合、図の例のように、支持部30のうち最も内周側に位置する1つ又は複数の層(図の例では、内層301のみ)が、支持部30のうち最も外周側に位置する1つ又は複数の層(図の例では、外層302のみ)よりも上流側へ延びていてもよい。あるいは、上述のように支持部30を多層構造からなるものとする場合、支持部30のうち最も外周側に位置する1つ又は複数の層(例えば、外層302)が、支持部30のうち最も内周側に位置する1つ又は複数の層(例えば、内層301)よりも上流側へ延びていてもよい。
【0031】
本明細書で説明する各例においては、
図5に示す例のように、水処理装置1は、1つ又は複数の第2光源32を、さらに備えると、好適である。第2光源32は、紫外線を発するように構成されている。第2光源32は、光源ユニット3の支持部30の穴30h内を流れる被処理水Wに対し紫外線を照射するように構成されている。これにより、支持部30の穴30h(ひいては第2流路P2)内を流れる被処理水Wを紫外線処理することができる。
第2光源32としては、具体的には、UV-LED(Ultra Violet-Light Emitting Diode)であると好適であるが、他の光源であってもよい。殺菌効果を高める観点から、第2光源32は、その中心波長またはピーク波長が、約200nm~350nmの範囲に含まれると好適であり、250nm~290nmに含まれるとより好適である。この場合、第2光源32としては、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を用いたUV-LEDを用いることができる。
第2光源32は、チップ型に構成されると好適であるが、砲弾型に構成されてもよい。
1つの光源ユニット3に対し、1つ又は複数(
図5の例では、1つ)の第2光源32が設けられると、好適である。
図の例では、第2光源32は、光源ユニット3の支持部30の穴30hに対し、ユニット軸線方向UADの上流側に配置されており、ユニット軸線方向UADの下流側に向かって紫外線を発するように指向されている。ただし、第2光源32は、光源ユニット3の支持部30の穴30h内を流れる被処理水Wに対し紫外線を照射するように構成されている限り、任意の位置に配置されてもよい。
水処理装置1が1つ又は複数の第2光源32を備える場合、水処理装置1は、第2光源32が被処理水Wに触れないように、第2光源32を覆う、覆い部材(図示せず)を、さらに備えていると、好適である。当該覆い部材は、紫外線を透過させる材料で構成されていると好適である。当該覆い部材を構成し得る、紫外線を透過させる材料としては、例えば、石英(SiO
2)、サファイア(Al
2O
3)、又は、非晶質のフッ素系樹脂等が挙げられる。覆い部材は、第2光源32毎に1つずつ設けられてもよいし、あるいは、複数の第2光源32を1つの覆い部材によって覆うように設けられてもよい。
ただし、水処理装置1は、第2光源32を備えなくてもよい。
【0032】
上述のように、水処理装置1が1つ又は複数の第2光源32を備える場合、水処理装置1は、反射部4をさらに備えると、好適である。反射部4は、第2光源32からの紫外線を、光源ユニット3の支持部30の中心軸線30Cに平行になるように反射するように構成されている。これにより、第2光源32からの紫外線を、支持部30の穴30hの奥まで(ひいては第2流路P2の奥まで)届きやすくすることができる。ひいては、より効果的に、支持部30の穴30h(ひいては第2流路P2)内を流れる被処理水Wを紫外線処理することができる。
反射部4は、例えば、リフレクターから構成することができる。
ただし、水処理装置1は、反射部4を備えなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の水処理装置は、水を紫外線処理するために利用されるものであり、特に、上水を紫外線処理するために利用されると好適なものである。
【符号の説明】
【0034】
1 水処理装置
2 筐体
2C 中心軸線
21 流入口部
22 流出口部
23 本体部
3 光源ユニット
30 支持部
30h 穴
30о 外周面
30i 内周面
30u 上流端
30d 下流端
30C 中心軸線
301 内層
302 外層
31 第1光源(光源)
32 第2光源(光源)
33 容器
34 拡大部
34h 中心穴
34u 上流端
34d 下流端
35 出口案内部
35о 外周面
35p 通路
35pi 入口
35pо 出口
35bp 分岐点
35br 分岐通路
36 空間
4 反射部
P 流路
P1 外部流路
P2 内部流路
W 被処理水
HAD 筐体軸線方向
UAD ユニット軸線方向