(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】排砂管の接続構造及び接続方法
(51)【国際特許分類】
F16B 7/04 20060101AFI20230912BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20230912BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20230912BHJP
F16L 21/08 20060101ALI20230912BHJP
F16L 23/02 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
F16B7/04 301F
F16B7/04 301B
F16B7/18 B
F16J15/10 C
F16J15/10 L
F16L21/08 B
F16L23/02 Z
(21)【出願番号】P 2020045384
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000222668
【氏名又は名称】東洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】草刈 成直
(72)【発明者】
【氏名】延田 篤彦
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】実公昭48-001157(JP,Y1)
【文献】特開2004-278797(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074374(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/04
F16B 7/18
F16J 15/10
F16L 21/08
F16L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排砂管同士を接続する接続構造であって、
略円筒状の雄型接続部を一端に有し、接続対象の一方の排砂管側に設けられる第1接続部材と、
前記雄型接続部が内側に挿入される略円筒状の雌型接続部を一端に有し、接続対象の他方の排砂管側に設けられる第2接続部材と、
前記第1接続部材と前記第2接続部材との接続状態を維持するためのロック機構と、を含み、
該ロック機構は、前記雄型接続部の外周面に沿って円環状に形成された溝部と、前記雌型接続部の内周面に沿って円環状に形成された凹部に保持されるロックリングとを含み、
該ロックリングは、前記凹部内へ収容される収容位置と、前記凹部から前記雌型接続部の中心方向へと突出する突出位置との間を移動可能に保持されており、前記雄型接続部が前記雌型接続部に挿入された状態で前記突出位置に移動されることで、前記溝部に嵌合するように構成されて
おり、
前記第1接続部材は、前記雄型接続部と反対側の端部に、前記一方の排砂管と、或いは該一方の排砂管に接続されたゴムスリーブと接続されるフランジ接続部を有し、該フランジ接続部は、前記雄型接続部の端部から軸方向外側に延在してフランジを形成し、該フランジに沿って円環状に複数のボルト穴が形成され、
前記第2接続部材は、前記雌型接続部と反対側の端部に、前記他方の排砂管と、或いは該他方の排砂管に接続されたゴムスリーブと接続されるフランジ接続部を有し、該フランジ接続部は、前記雌型接続部の端部に連続して形成されて略円筒状を成し、その前記雌型接続部と反対側の背面に沿って円環状に複数のボルト穴が形成されていることを特徴とする排砂管の接続構造。
【請求項2】
前記ロックリングは、前記凹部の延在方向に沿って分割された複数の分割片により構成され、該複数の分割片の各々が、前記収容位置と前記突出位置との間を移動可能に、隣接する分割片間に隙間が設けられて個別に保持されていることを特徴とする請求項1記載の排砂管の接続構造。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記雌型接続部を外周面側から貫通して前記凹部へとねじ込まれる複数のボルトを含み、
前記複数の分割片は、前記複数のボルトのねじ込み動作に追従して前記収容位置と前記突出位置との間を移動するように、前記複数のボルトと接続されていることを特徴とする請求項2記載の排砂管の接続構造。
【請求項4】
前記雌型接続部の内周面と前記雄型接続部の外周面との、前記雄型接続部が前記雌型接続部に挿入された状態で互いに接触する位置の、少なくとも一方に、少なくとも1つのOリングが取り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の排砂管の接続構造。
【請求項5】
排砂管同士を接続する接続方法であって、
接続対象の一方の排砂管側に、略円筒状の雄型接続部を一端に有する第1接続部材を設けると共に、接続対象の他方の排砂管側に、前記雄型接続部が内側に挿入される略円筒状の雌型接続部を一端に有する第2接続部材を設け、
前記雄型接続部の外周面に沿って円環状に溝部を形成すると共に、前記雌型接続部の内周面に沿って円環状に凹部を形成し、
前記凹部内へ収容される収容位置と、前記凹部から前記雌型接続部の中心方向へと突出する突出位置との間を移動可能に、前記凹部にロックリングを保持させ、
前記雄型接続部を前記雌型接続部に挿入した状態で、前記ロックリングを前記突出位置に移動させて前記溝部に嵌合させることで、前記第1接続部材と前記第2接続部材との接続状態を維持
し、
前記第1接続部材の前記雄型接続部と反対側の端部を、前記一方の排砂管と、或いは該一方の排砂管に接続されたゴムスリーブと予めフランジ接続し、このとき、前記雄型接続部の端部から軸方向外側に延在するフランジと、該フランジに沿って円環状に形成された複数のボルト穴とを有するフランジ接続部を介してフランジ接続し、
前記第2接続部材の前記雌型接続部と反対側の端部を、前記他方の排砂管と、或いは該他方の排砂管に接続されたゴムスリーブと予めフランジ接続し、このとき、前記雌型接続部の端部に連続して形成されて略円筒状を成し、その前記雌型接続部と反対側の背面に沿って円環状に複数のボルト穴が形成されたフランジ接続部を介してフランジ接続することを特徴とする排砂管の接続方法。
【請求項6】
前記ロックリングを、前記凹部の延在方向に沿って分割した複数の分割片により構成し、該複数の分割片の各々を、前記収容位置と前記突出位置との間を移動可能に、隣接する分割片間に隙間を設けて個別に保持させることを特徴とする請求項
5記載の排砂管の接続方法。
【請求項7】
前記雌型接続部を外周面側から貫通して前記凹部へとねじ込まれる複数のボルトを設置し、該複数のボルトのねじ込み動作に追従して、前記複数の分割片が前記収容位置と前記突出位置との間を移動するように、前記複数の分割片を前記複数のボルトと接続することを特徴とする請求項
6記載の排砂管の接続方法。
【請求項8】
前記雌型接続部の内周面と前記雄型接続部の外周面との、前記雄型接続部が前記雌型接続部に挿入された状態で互いに接触する位置の、少なくとも一方に、少なくとも1つのOリングを取り付けることを特徴とする請求項
5から
7のいずれか1項記載の排砂管の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浚渫工事等の際に利用される排砂管同士を接続する接続構造及び接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポンプ浚渫工事では、ポンプ浚渫船(例えば非特許文献1参照)によって水底を掘削しながら水と共に土砂を吸い上げ、水を含む吸い上げた土砂を陸側の排砂池まで圧送している。
図7には、ラダー82、カッター84、及びスパッド86等を備えたポンプ浚渫船80から、排砂池92まで接続された複数の排砂管90の内部を通して、水を含む土砂が圧送される様子を示している。複数の排砂管90は、フロート94を用いて水上に浮かべられた状態で延設され、他の船舶の往来のため等に、一部が水底に設置されている。このような複数の排砂管90を設置する際には、例えば、陸上で任意の長さまで接続した排砂管90の組を複数作製し、作製した複数の組を設置位置まで曳航して、それらの排砂管90の組同士を水上で接続する作業を行う。すなわち、一方の組の端部に位置する排砂管90と、他方の組の端部に位置する排砂管90とを接続する。なお、複数の排砂管90は、排砂管90同士が直接接続される部分のみではなく、柔軟性を付与するために、ゴムスリーブ96を介して接続される部分も含んでいる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】"ポンプ式浚渫船"、[online]、一般社団法人日本埋立浚渫協会、[令和2年1月9日検索]、インターネット(https://www.umeshunkyo.or.jp/103/page07.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した排砂管90同士の接続は、一般的に、排砂管90の端部に設けられたフランジ構造を用いたフランジ接続であり、フランジ構造に沿って円環状に設けられた複数のボルト穴が使用されて、ボルトとナットによる締め付けが行われる。このため、接続する2本の排砂管90のボルト穴同士を位置合わせする必要があり、又、排砂管90の大きさにもよるが、数十か所ものボルト穴で締め付けを行うため、接続作業に手間や時間がかかるものであった。更に、排砂管90の水面に近い下方に位置するボルト穴でも締め付けを行うため、特にうねり等が生じる水域では、安全性に万全の注意を払って、十分な作業時間を確保し慎重に作業を行う必要があった。これらの点は、ゴムスリーブ96を介して排砂管90同士を接続する場合も同様である。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排砂管同士の接続作業を容易にし、かつその安全性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)排砂管同士を接続する接続構造であって、略円筒状の雄型接続部を一端に有し、接続対象の一方の排砂管側に設けられる第1接続部材と、前記雄型接続部が内側に挿入される略円筒状の雌型接続部を一端に有し、接続対象の他方の排砂管側に設けられる第2接続部材と、前記第1接続部材と前記第2接続部材との接続状態を維持するためのロック機構と、を含み、該ロック機構は、前記雄型接続部の外周面に沿って円環状に形成された溝部と、前記雌型接続部の内周面に沿って円環状に形成された凹部に保持されるロックリングとを含み、該ロックリングは、前記凹部内へ収容される収容位置と、前記凹部から前記雌型接続部の中心方向へと突出する突出位置との間を移動可能に保持されており、前記雄型接続部が前記雌型接続部に挿入された状態で前記突出位置に移動されることで、前記溝部に嵌合するように構成されている排砂管の接続構造。
【0008】
本項に記載の排砂管の接続構造は、第1接続部材、第2接続部材、及びロック機構を含み、第1接続部材は、接続対象の2本の排砂管のうち一方の排砂管側に設けられるものであって、一端に略円筒状の雄型接続部を有している。第2接続部材は、接続対象の2本の排砂管のうち他方の排砂管側に設けられるものであって、一端に略円筒状の雌型接続部を有し、この雌型接続部の内側に第1接続部材の雄型接続部が挿入されるようになっている。ロック機構は、第1接続部材と第2接続部材との接続状態、すなわち、第2接続部材の雌型接続部の内側に第1接続部材の雄型接続部が挿入された状態を維持するためのものであり、溝部とロックリングとを含んでいる。
【0009】
溝部は、略円筒状の雄型接続部の外周面に沿って円環状に形成されたものであり、ロックリングは、略円筒状の雌型接続部の内周面に沿って円環状に形成された凹部に保持される。この際、ロックリングは、凹部内へ収容される収容位置と、凹部から略円筒状の雌型接続部の中心方向へと突出する突出位置との間を移動可能に保持されている。そして、ロックリングは、雄型接続部が雌型接続部に挿入される前は収容位置にあり、雄型接続部が雌型接続部に挿入された状態で突出位置に移動されることで、雄型接続部の溝部に嵌合するように構成されている。すなわち、雄型接続部の外周面に形成された溝部と、雌型接続部の内周面に形成されてロックリングを保持する凹部とは、雄型接続部が雌型接続部に挿入された状態で対向する位置関係にある。
【0010】
このような構成により、溝部に嵌合したロックリングによって雄型接続部と雌型接続部とが互いに固定され、排砂管内部を圧送される土砂が雄型接続部の内部を通ると、ロックリングに軸方向の剪断力が加わってその固定力がより強くなるため、第1接続部材と第2接続部材との接続状態が強固に維持されるものとなる。しかも、フランジ接続と異なり、ボルト穴等の位置合わせを行う必要なく、雄型接続部を雌型接続部に挿入してロックリングを突出位置に移動させればよいため、排砂管同士の接続作業が容易に行われるものとなる。更に、作業時間が短くなり、水面に近い排砂管の下方側での作業も少なくなることから、安全性も向上されるものである。
【0011】
(2)上記(1)項において、前記第1接続部材は、前記雄型接続部と反対側の端部に、前記一方の排砂管と、或いは該一方の排砂管に接続されたゴムスリーブと接続されるフランジ接続部を有し、該フランジ接続部は、前記雄型接続部の端部から軸方向外側に延在してフランジを形成し、該フランジに沿って円環状に複数のボルト穴が形成され、前記第2接続部材は、前記雌型接続部と反対側の端部に、前記他方の排砂管と、或いは該他方の排砂管に接続されたゴムスリーブと接続されるフランジ接続部を有し、該フランジ接続部は、前記雌型接続部の端部に連続して形成されて略円筒状を成し、その前記雌型接続部と反対側の背面に沿って円環状に複数のボルト穴が形成されている排砂管の接続構造(請求項1)。
本項に記載の排砂管の接続構造は、第1接続部材が、その雄型接続部が設けられた一端と反対側の端部にフランジ接続部を有し、このフランジ接続部が、雄型接続部の端部から軸方向外側に延在してフランジを形成し、このフランジに沿って円環状に複数のボルト穴が形成されている。又、第2接続部材が、その雌型接続部が設けられた一端と反対側の端部にフランジ接続部を有し、このフランジ接続部が、雌型接続部の端部に連続して形成されて略円筒状を成し、その雌型接続部と反対側の背面に沿って円環状に複数のボルト穴が形成されているものである。
【0012】
そして、第1接続部材のフランジ接続部が、接続対象の一方の排砂管と接続されるか、或いはその一方の排砂管に接続されたゴムスリーブと接続され、第2接続部材のフランジ接続部が、接続対象の他方の排砂管と接続されるか、或いはその他方の排砂管に接続されたゴムスリーブと接続される。これにより、従来から使用されている排砂管に設けられたフランジ構造が利用されて、第1接続部材及び第2接続部材の双方が排砂管に対してフランジ接続されるため、従来の接続方法から本排砂管の接続構造を用いた接続へと円滑に移行されるものである。更に、第1接続部材と第2接続部材との少なくとも一方がゴムスリーブにフランジ接続されることで、ゴムスリーブを介した排砂管同士の接続にも何ら支障なく対応するものである。
【0013】
(3)上記(2)項において、前記ロックリングは、前記凹部の延在方向に沿って分割された複数の分割片により構成され、該複数の分割片の各々が、前記収容位置と前記突出位置との間を移動可能に、隣接する分割片間に隙間が設けられて個別に保持されている排砂管の接続構造(請求項2)。
本項に記載の排砂管の接続構造は、ロック機構のロックリングが、ロックリングを保持する凹部の延在方向、すなわち略円筒状の雌型接続部の円周方向に沿って分割された、複数の分割片によって構成されている。そして、これら複数の分割片の各々が、隣接する分割片間に隙間が設けられた状態で、収容位置と突出位置との間を移動可能に個別に保持されているものである。このため、収容位置から突出位置への移動時に、分割片同士が互いに干渉することなく円滑に移動されるものとなる。又、ロックリング全体が一体的に構成されている場合は、収容位置から突出位置への移動のために縮径可能な材料で形成される必要があるが、複数の分割片により構成されていることで、そのような材料の制約を受けずに移動が可能であるため、ロックリングに強固な材料が用いられるものとなる。又、上記接続作業が円滑に行われるように、排砂管の直径に応じた適切な大きさの分割片により構成されるものとなる。
【0014】
(4)上記(3)項において、前記ロック機構は、前記雌型接続部を外周面側から貫通して前記凹部へとねじ込まれる複数のボルトを含み、前記複数の分割片は、前記複数のボルトのねじ込み動作に追従して前記収容位置と前記突出位置との間を移動するように、前記複数のボルトと接続されている排砂管の接続構造(請求項3)。
本項に記載の排砂管の接続構造は、ロック機構が更に複数のボルトを含むものであり、これら複数のボルトは、雌型接続部をその外周面側から貫通して、雌型接続部の内周面に形成された凹部へとねじ込まれる。そして、ロックリングを構成する複数の分割片が、複数のボルトのねじ込み動作に追従して収容位置と突出位置との間を移動するように、複数のボルトと接続されている。
【0015】
これにより、ボルトのねじ込みという単純な作業で、複数の分割片の各々が移動されるため、排砂管同士の接続状態のロック及びその解除が、迅速かつ容易に行われるものとなる。更に、分割片の各々に少なくとも1つのボルトが接続されていればよいため、フランジ接続で用いるボルトの数量よりも圧倒的に少ない数量のボルトをねじ込めばよく、これによっても作業時間が短縮されるものである。加えて、複数の分割片の数量にもよるが、フランジ接続の場合と比較すると、排砂管の下方側での作業が少なくなることから、安全性が更に向上されるものである。
【0016】
(5)上記(2)から(4)項において、前記雌型接続部の内周面と前記雄型接続部の外周面との、前記雄型接続部が前記雌型接続部に挿入された状態で互いに接触する位置の、少なくとも一方に、少なくとも1つのOリングが取り付けられている排砂管の接続構造(請求項4)。
本項に記載の排砂管の接続構造は、雄型接続部が雌型接続部に挿入された状態において、雌型接続部の内周面と雄型接続部の外周面とが互いに接触する位置の、雌型接続部の内周面と雄型接続部の外周面との少なくとも一方に、少なくとも1つのOリングが取り付けられているものである。これにより、水を含む土砂が排砂管内部を圧送されて雄型接続部や雌型接続部の内部を通る際に、上記のような位置に設置されて雄型接続部や雌型接続部の内部からの圧力を受けるOリングによって、雌型接続部の内周面と雄型接続部の外周面との間からの、水を含む土砂の漏れが防止されるものである。
【0017】
(6)排砂管同士を接続する接続方法であって、接続対象の一方の排砂管側に、略円筒状の雄型接続部を一端に有する第1接続部材を設けると共に、接続対象の他方の排砂管側に、前記雄型接続部が内側に挿入される略円筒状の雌型接続部を一端に有する第2接続部材を設け、前記雄型接続部の外周面に沿って円環状に溝部を形成すると共に、前記雌型接続部の内周面に沿って円環状に凹部を形成し、前記凹部内へ収容される収容位置と、前記凹部から前記雌型接続部の中心方向へと突出する突出位置との間を移動可能に、前記凹部にロックリングを保持させ、前記雄型接続部を前記雌型接続部に挿入した状態で、前記ロックリングを前記突出位置に移動させて前記溝部に嵌合させることで、前記第1接続部材と前記第2接続部材との接続状態を維持する排砂管の接続方法。
【0018】
(7)上記(6)項において、前記第1接続部材の前記雄型接続部と反対側の端部を、前記一方の排砂管と、或いは該一方の排砂管に接続されたゴムスリーブと予めフランジ接続し、このとき、前記雄型接続部の端部から軸方向外側に延在するフランジと、該フランジに沿って円環状に形成された複数のボルト穴とを有するフランジ接続部を介してフランジ接続し、前記第2接続部材の前記雌型接続部と反対側の端部を、前記他方の排砂管と、或いは該他方の排砂管に接続されたゴムスリーブと予めフランジ接続し、このとき、前記雌型接続部の端部に連続して形成されて略円筒状を成し、その前記雌型接続部と反対側の背面に沿って円環状に複数のボルト穴が形成されたフランジ接続部を介してフランジ接続する排砂管の接続方法(請求項5)。
(8)上記(7)項において、前記ロックリングを、前記凹部の延在方向に沿って分割した複数の分割片により構成し、該複数の分割片の各々を、前記収容位置と前記突出位置との間を移動可能に、隣接する分割片間に隙間を設けて個別に保持させる排砂管の接続方法(請求項6)。
【0019】
(9)上記(8)項において、前記雌型接続部を外周面側から貫通して前記凹部へとねじ込まれる複数のボルトを設置し、該複数のボルトのねじ込み動作に追従して、前記複数の分割片が前記収容位置と前記突出位置との間を移動するように、前記複数の分割片を前記複数のボルトと接続する排砂管の接続方法(請求項7)。
(10)上記(7)から(9)項において、前記雌型接続部の内周面と前記雄型接続部の外周面との、前記雄型接続部が前記雌型接続部に挿入された状態で互いに接触する位置の、少なくとも一方に、少なくとも1つのOリングを取り付ける排砂管の接続方法(請求項8)。
そして、(6)~(10)項に記載の排砂管の接続方法は、各々、上記(1)~(5)項の排砂管の接続構造を用いて実行されることで、上記(1)~(5)項の排砂管の接続構造と同等の作用を奏するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記のような構成であるため、排砂管同士の接続作業を容易にすることができ、かつその安全性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造の一例を示す断面図であり、排砂管同士を接続した状態を示している。
【
図2】
図1の排砂管の接続構造の第1接続部材の構成を示している。
【
図3】
図1の排砂管の接続構造の第2接続部材の構成を示している。
【
図4】
図1の排砂管の接続構造のロックリングの構成を示している。
【
図5】
図4のロックリングに用いるボルトの構成を示している。
【
図6】本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造を用いて排砂管同士を接続する前後の様子を示す斜視イメージ図である。
【
図7】排砂管を利用しながらポンプ浚渫を行う様子を示す側面イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づき説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略することとし、又、図面の全体にわたって、同一部分若しくは対応する部分は、同一の符号で示している。
図1は、本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造10の構成を示す断面図である。本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造10は、
図6で確認できるように、排砂管90同士を接続するためのものであり、
図1には、
図6(b)の状態に相当する、排砂管90同士を接続した状態を示している。
【0023】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造10は、図中左側の排砂管90に取り付けられた第1接続部材12と、図中右側の排砂管90に取り付けられた第2接続部材20と、それら第1接続部材12と第2接続部材20との接続状態を維持するためのロック機構40とを含んでいる。
図2も参照して、第1接続部材12は、
図1及び
図2(b)における右側に位置する雄型接続部14と、
図1及び
図2(b)における左側に位置するフランジ接続部16とを有している。なお、
図2(a)には、中心線C1から右側に、
図2(b)における左方向から視た第1接続部材12の背面図が示され、中心線C1から左側に、
図2(b)における右方向から視た第1接続部材12の正面図が示されている。又、
図2(b)には、中心線C2から上側に、第1接続部材12の断面図が示され、中心線C2から下側に、第1接続部材12の側面図が示されている。
【0024】
雄型接続部14は、略円筒状を成しており、その内側に土砂が通過する空間が設けられると共に、その外周面14aに沿って円環状に、ロック機構40の一部を構成する溝部42が形成されている。フランジ接続部16は、雄型接続部14の
図1及び
図2(b)における左端部から軸方向外側に延在してフランジを形成し、そのフランジに沿って円環状に複数のボルト穴18が形成されている。そして、
図1で確認できるように、図中左側の排砂管90のフランジ構造76のボルト穴78を通された固定ボルト72が、フランジ接続部16のボルト穴18に螺合され、更に排砂管90側からナット74が締め付けられることで、第1接続部材12と排砂管90とがフランジ接続されている。
【0025】
図1及び
図3を参照して、第2接続部材20は、
図1及び
図3(a)における左側に位置する雌型接続部22と、
図1及び
図3(a)における右側に位置するフランジ接続部30とを有している。なお、
図3(a)には、中心線C3から上側に、第2接続部材20の断面図が示され、中心線C3から下側に、第2接続部材20の側面図が示されている。又、
図3(b)には、中心線C4から右側に、
図3(a)における右方向から視た第2接続部材20の背面図が示され、中心線C4から左側に、
図3(a)における左方向から視た第2接続部材20の正面図が示されている。
【0026】
雌型接続部22は、略円筒状を成しており、その内側に、
図1及び
図3(a)における左側から第1接続部材12の雄型接続部14が挿入される空間が設けられている。又、雌型接続部22の内周面22aには、その内周面22aに沿って円環状に凹部44が形成されている。この凹部44は、その底面44aから縁44bまでの深さを有し、
図1で確認できるように、雄型接続部14が雌型接続部22に挿入された状態で、雄型接続部14に設けられた溝部42と対向する位置に形成されている。更に、雌型接続部22の内周面22aの、凹部44よりも奥側(
図1及び
図3(a)における右側)に、同じく内周面22aに沿って円環状に2本の環状溝28が形成されている。そして、2本の環状溝28の各々には、環状溝28から雌型接続部22の中心(
図3(a)における中心線C3)へ向かって突出する大きさのOリング70が取り付けられている。これら2本のOリング70は、例えばゴムにより形成されており、
図1で確認できるように、雄型接続部14が雌型接続部22に挿入された状態で、雄型接続部14の外周面14aに対して接触するようになっている。
【0027】
更に、雌型接続部22には、その外周面側から凹部44の底面44aまでを貫通する態様で、複数のタップ孔24と複数の貫通孔26とが設けられている。複数のタップ孔24は、本実施形態では
図3(b)に図示されている6本の細い一点鎖線(そのうち2本は中心線C4と重複している)を中心軸として、雌型接続部22の円周方向に等間隔の6箇所に設けられており、各タップ孔24の内周面にネジが切られている。一方、複数の貫通孔26は、本実施形態では
図3(b)に図示されている6本の太い一点鎖線を中心軸として、雌型接続部22の円周方向に等間隔の6箇所に設けられており、各貫通孔26の内周面は特に加工されていない。なお、
図3(a)には、1つのタップ孔24及び2つの貫通孔26のみを図示しており、他のタップ孔24及び貫通孔26の図示を省略している。
【0028】
フランジ接続部30は、雌型接続部22の
図1及び
図3(a)における右端部に連続して形成され、雌型接続部22と同じく略円筒状を成し、その背面(
図1及び
図3(a)における右側の面)に沿って円環状に、複数のボルト穴32が形成されている。そして、
図1で確認できるように、図中右側の排砂管90のフランジ構造76のボルト穴78を通された固定ボルト72が、フランジ接続部30のボルト穴32に螺合され、更に排砂管90側からナット74が締め付けられることで、第2接続部材20と排砂管90とがフランジ接続されている。なお、これに限定されるものではないが、第1接続部材12及び第2接続部材20は、例えば鉄等によって形成される。
【0029】
図1を参照して、ロック機構40は、上述したように雄型接続部14の外周面14aに形成された溝部42に加えて、ロックリング46と複数のボルト54とを含んでいる。ロックリング46は、雌型接続部22の内周面22aに形成された上記の凹部44に保持されるものであり、複数のボルト54は、雌型接続部22に設けられた上記のタップ孔24に、雌型接続部22の外周面側からねじ込まれるものである。これに限定されるものではないが、ロック機構40のロックリング46及び複数のボルト54は、例えば、ステンレス等によって形成される。
【0030】
図4には、ロックリング46を正面視した状態を示しており、本実施形態のロックリング46は、円周方向に沿って分割された6つの分割片48により構成されている。これら6つの分割片48の各々は、雌型接続部22の凹部44の幅よりも小さな幅(
図4における紙面と直交する方向の幅)と、凹部44の深さよりも小さな厚み(
図4におけるロックリング46の軸方向の厚み)とを有しながら、正面視で円弧状を成すように延在している。6つの分割片48には、各々の延在方向の中心近傍を貫通して接続孔50が設けられており、この接続孔50にボルト54が取り付けられている。なお、
図4では、図中右上に位置する分割片48に取り付けられるボルト54の図示を省略している。
【0031】
図5に示すように、ボルト54は、本体部56と平座金60と接続部64とを含んでいる。本体部56は、頭部56aと、外周面にネジが切られた軸部56bとを有し、軸部56bの先端側には、内周面にネジが切られたネジ穴56cが設けられている。接続部64は、頭部64aと、外周面にネジが切られていない第1軸部64bと、外周面にネジが切られてた第2軸部64cとを有している。そして、このような構成のボルト54は、
図4も参照して、分割片48の各々に取り付けられる際に、まず、平座金60に接続部64の第1軸部64b及び第2軸部64cが通され、そのまま接続部64がロックリング46の中心側から分割片48の接続孔50に挿通される。ここで、接続孔50は、平座金60及び頭部64aよりも大径の座繰り部50aと、平座金60及び頭部64aよりも小径かつ第1軸部64b及び第2軸部64cよりも大径の貫通部50bとを含んでいる。このため、上記のように接続部64が接続孔50に挿通されると、接続部64の頭部64a及び平座金60が座繰り部50aに配置されると共に、第1軸部64bが貫通部50bに配置され、貫通部50bからロックリング46の外周側へと、第2軸部64cが突出する状態になる。
【0032】
一方、ボルト54の本体部56は、
図4の右側に仮想線で図示されている第2接続部材20の雌型接続部22に設けられたタップ孔24に対して、雌型接続部22の外周面側からねじ込まれる。図示の例では、本体部56がタップ孔24に最奥までねじ込まれている。そして、上述したように分割片48から突出した接続部64の第2軸部64cと、タップ孔24にねじ込まれた状態の本体部56に設けられたネジ穴56cとが螺合されることで、雌型接続部22を挟み込む態様で、分割片48とボルト54とが接続される。このとき、分割片48とボルト54とは、分割片48に対してボルト54が空回り可能な遊びが付与された状態で接続される。すなわち、分割片48に設けられた接続孔50内で、平座金60を挟んで本体部56のネジ穴56cに対して第2軸部64cが螺合された、接続部64の頭部64a及び第1軸部64bが空回りするようになっている。又、タップ孔24が雌型接続部22の凹部44の底面44aに貫通していることから、分割片48の各々は、ボルト54を介して凹部44に保持される状態になる。
【0033】
上記のようにボルト54と接続された分割片48の各々は、ボルト54のねじ込み動作に追従して移動する。すなわち、ボルト54がタップ孔24へ深く挿入される方向に回されると、ボルト54と共に雌型接続部22に対して移動して、
図4の右側に実線で示す分割片48のように、突出位置PPへと移動する。突出位置PPにある分割片48は、凹部44の縁44bよりも雌型接続部22の中心へ向かって突出した状態になり、このとき、雄型接続部14が雌型接続部22に挿入されていると、
図1の上側に図示されているロックリング46のように、雄型接続部14に設けられた溝部42に嵌合する。
【0034】
他方、分割片48の各々は、ボルト54がタップ孔24から引き抜かれる方向に回されると、ボルト54と共に雌型接続部22に対して移動して、
図4の右側に仮想線で示す分割片48のように、収容位置HPへと移動する。収容位置HPにある分割片48は、凹部44の縁44bよりも雌型接続部22の外周側へ移動して凹部44内に収容された状態になり、このとき、雄型接続部14が雌型接続部22に挿入されていると、
図1の下側に図示されているロックリング46のように、雄型接続部14に設けられた溝部42との嵌合状態が解除される。
【0035】
ここで、上述したように、分割片48とボルト54とは、分割片48に対してボルト54が空回り可能な状態で接続されている。従って、タップ孔24に対してボルト54が回転されても、分割片48は、その少なくとも一部が凹部44内に収まった状態で凹部44により回転が規制され、ボルト54と共回りせずに、収容位置HPと突出位置PPとの間の移動のみを行う。このとき、ボルト54は、分割片48に対して空回りする。なお、
図4に実線で示されている6つの分割片48は、全て突出位置PPにある状態であり、この状態で隣接する分割片48間に隙間が設けられている。このため、6つの分割片48は、収容位置HPに移動されると、隣接する分割片48間の隙間がより大きくなった状態で、凹部44内に収容されることになる。又、これら6つの分割片48の隣接する分割片48間の6つの隙間は、
図3に示した6つの貫通孔26と軸方向に重なるように配置される。
【0036】
次に、
図6には、本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造10によって接続される前後の排砂管90を示しており、
図6(a)が接続前、
図6(b)が接続後の状態を示している。
図6(a)の接続前の状態では、
図1の下側に示されているロックリング46や、
図4の右側に仮想線で示されている分割片48のように、ロックリング46を構成する全ての分割片48が、収容位置HPに移動されている。又、雄型接続部14の外周面14aや、雌型接続部22の内周面22aに、滑剤が塗布されていてもよい。この状態で、一方の排砂管90に取り付けられた第1接続部材12と、他方の排砂管90に取り付けられた第2接続部材20とが向き合うように位置合わせされ、例えばレバーブロック(登録商標)等の引き寄せる機構が利用されて、雄型接続部14が雌型接続部22に挿入される。
【0037】
雄型接続部14が雌型接続部22に挿入されると、
図1に示したように、雄型接続部14の外周面14aと雌型接続部22の内周面22aとの間に、2本のOリング70が配置された状態になり、又、雄型接続部14の溝部42と雌型接続部22の凹部44とが対向する状態になる。この状態で、雄型接続部14のタップ孔24にねじ込まれている6本のボルト54が、より深くタップ孔24にねじ込まれることで、ロックリング46を構成する6つの分割片48が、
図1の上側に示されているロックリング46や、
図4の右側に実線で示されている分割片48のように、突出位置PPへと移動されて、雄型接続部14の溝部42に嵌合する。なお、雌型接続部22の外周面側から凹部44の底面44aまでを貫通して設けられた貫通孔26が利用されて、雌型接続部22に対する雄型接続部14の挿入深さや、溝部42に対する分割片48の嵌合状態等が確認されてもよい。又、
図6の例では、第1接続部材12の雄型接続部14の根元近傍に、円環状のスポンジ68が取り付けられており、雄型接続部14が雌型接続部22に挿入された状態で、スポンジ68が雄型接続部14の根元と雌型接続部22の先端との間に介在している。
【0038】
上述したような本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造10は、例えば、
図7に示したようなポンプ浚渫船80による浚渫工事の際に利用され、このような浚渫工事では、港湾へと続く航路の造成等が行われる。
図7のポンプ浚渫船80の構成を簡単に説明すると、船首にラダー82が設けられており、このラダー82は、先端側(図中左側)が上下方向に揺動するように、基端側(図中右側)が船体に軸支されている。ラダー82の先端には、水底を掘削するためのカッター84と、掘削した土砂を吸引するための吸引口(図示省略)が設けられている。一方、ポンプ浚渫船80の船尾には、2本のスパッド86(1本の図示は省略)が設けられており、浚渫施工時に水底に打ち込まれる。
【0039】
そして、上述したような構成のポンプ浚渫船80は、浚渫施工の際、ラダー82が下方へと傾けられ、ラダー82の先端に設けられたカッター84により水底を掘削すると共に、掘削した土砂を水と共にラダー82先端の吸入口からポンプ(図示省略)を利用して吸い込み、接続された複数の排砂管90を介して陸側の排砂池92まで圧送する。このようにして利用される複数の排砂管90同士の接続に、本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造10を用いるものである。排砂管の接続構造10は、複数の排砂管90を接続する複数の接続箇所のうち、任意の接続箇所に用いてよく、例えば、水上で接続作業を行う接続箇所に対して、排砂管の接続構造10を用いてもよい。このとき、第1接続部材12又は第2接続部材20の一方を排砂管90に直接取り付けるのではなく、ゴムスリーブ96に取り付けることで、排砂管90とゴムスリーブ96との間に排砂管の接続構造10を用いてもよい。
【0040】
ここで、本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造10は、
図1~
図6に示した構成に限定されるものではなく、別の構成であってもよい。例えば、ロックリング46の移動方法は、ボルト54を利用した移動方法に限定されるものではなく、任意の移動方法であってよい。又、ロックリング46が複数の分割片48に分割されていなくてもよく、分割されている場合の分割片48の数も任意である。更に、分割片48に合わせて、分割片48を保持する凹部44が複数に分割されていてもよく、各分割片48に2本以上のボルト54が接続されていてもよい。又、Oリング70の位置や数量も任意であり、雌型接続部22の内周面22aに替えて又は加えて、雄型接続部14の外周面14aに取り付けられてもよい。加えて、排砂管90に取り付けるためのフランジ接続部16、30を有さずに、雄型接続部14や雌型接続部22が排砂管90の端部に直接設けられてもよい。
【0041】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造10は、
図1に示すように、第1接続部材12、第2接続部材20、及びロック機構40を含み、第1接続部材12は、接続対象の2本の排砂管90のうち一方の排砂管90側に設けられるものであって、一端に略円筒状の雄型接続部14を有している。第2接続部材20は、接続対象の2本の排砂管90のうち他方の排砂管90側に設けられるものであって、一端に略円筒状の雌型接続部22を有し、この雌型接続部22の内側に第1接続部材12の雄型接続部14が挿入されるようになっている。ロック機構40は、第1接続部材12と第2接続部材20との接続状態、すなわち、第2接続部材20の雌型接続部22の内側に第1接続部材12の雄型接続部14が挿入された状態を維持するためのものであり、溝部42とロックリング46とを含んでいる。
【0042】
溝部42は、
図2も参照して、略円筒状の雄型接続部14の外周面14aに沿って円環状に形成されたものであり、ロックリング46は、
図3及び
図4も参照して、略円筒状の雌型接続部22の内周面22aに沿って円環状に形成された凹部44に保持される。この際、ロックリング46は、
図1及び
図4に示すように、凹部44内へ収容される収容位置HPと、凹部44から略円筒状の雌型接続部22の中心方向へと突出する突出位置PPとの間を移動可能に保持されている。そして、ロックリング46は、雄型接続部14が雌型接続部22に挿入される前は収容位置HPにあり、雄型接続部14が雌型接続部22に挿入された状態で突出位置PPに移動されることで、雄型接続部14の溝部42に嵌合するように構成されている。すなわち、雄型接続部14の外周面14aに形成された溝部42と、雌型接続部22の内周面22aに形成されてロックリング46を保持する凹部44とは、
図1で確認できるように、雄型接続部14が雌型接続部22に挿入された状態で対向する位置関係にある。
【0043】
このような構成により、溝部42に嵌合したロックリング46によって雄型接続部14と雌型接続部22とが互いに固定され、排砂管90内部を圧送される土砂が雄型接続部14の内部を通ると、ロックリング46に軸方向の剪断力が加わってその固定力がより強くなるため、第1接続部材12と第2接続部材20との接続状態を強固に維持することができる。しかも、従来の排砂管90同士の接続で行われていたフランジ接続と異なり、ボルト穴78等の位置合わせを行う必要なく、雄型接続部14を雌型接続部22に挿入してロックリング46を突出位置PPに移動させればよいため、排砂管90同士の接続作業を容易に行うことが可能となる。更に、作業時間が短くなり、水面に近い排砂管90の下方側での作業も少なくなることから、安全性も向上させることができる。
【0044】
又、本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造10は、
図4に示すように、ロック機構40のロックリング46が、ロックリング46を保持する凹部44の延在方向、すなわち略円筒状の雌型接続部22の円周方向に沿って分割された、複数の分割片48によって構成されている。そして、これら複数の分割片48の各々が、隣接する分割片48間に隙間が設けられた状態で、収容位置HPと突出位置PPとの間を移動可能に個別に保持されているものである。このため、収容位置HPから突出位置PPへの移動時に、分割片48同士を互いに干渉させることなく円滑に移動させることができる。又、ロックリング46全体が一体的に構成されている場合は、収容位置HPから突出位置PPへの移動のために縮径可能な材料で形成される必要があるが、複数の分割片48により構成されていることで、そのような材料の制約を受けずに移動が可能であるため、ロックリング46に強固な材料を用いることができる。又、排砂管90の直径に応じた適切な大きさの分割片48により構成することで、排砂管90同士の接続作業を円滑に行うことができる。
【0045】
更に、本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造10は、
図1及び
図4に示すように、ロック機構40が更に複数のボルト54を含むものであり、これら複数のボルト54は、雌型接続部22をその外周面側から貫通して、雌型接続部22の内周面22aに形成された凹部44へとねじ込まれる。そして、ロックリング46を構成する複数の分割片48が、複数のボルト54のねじ込み動作に追従して収容位置HPと突出位置PPとの間を移動するように、複数のボルト54と接続されている。これにより、ボルト54のねじ込みという単純な作業で、複数の分割片48の各々を移動させることができるため、排砂管90同士の接続状態のロック及びその解除を、迅速かつ容易に行うことが可能となる。更に、分割片48の各々に少なくとも1つのボルト54が接続されていればよいため、従来のフランジ接続で用いていたボルトの数量よりも圧倒的に少ない数量のボルト54をねじ込めばよく、これによっても作業時間を短縮させることができる。加えて、複数の分割片48の数量にもよるが、従来のフランジ接続の場合と比較すると、排砂管90の下方側での作業が少なくなることから、安全性を更に向上させることもできる。
【0046】
又、本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造10は、
図1に示すように、雄型接続部14が雌型接続部22に挿入された状態において、雌型接続部22の内周面22aと雄型接続部14の外周面14aとが互いに接触する位置の、雌型接続部22の内周面22aと雄型接続部14の外周面14aとの少なくとも一方に、少なくとも1つのOリング70が取り付けられているものである。これにより、水を含む土砂が排砂管90内部を圧送されて雄型接続部14や雌型接続部22の内部を通る際に、上記のような位置に設置されて雄型接続部14や雌型接続部22の内部からの圧力を受けるOリング70によって、雌型接続部22の内周面22aと雄型接続部14の外周面14aとの間からの、水を含む土砂の漏れを防止することが可能となる。
【0047】
加えて、本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造10は、
図1~
図3に示すように、第1接続部材12が、その雄型接続部14が設けられた一端と反対側の端部にフランジ接続部16を有すると共に、第2接続部材20が、その雌型接続部22が設けられた一端と反対側の端部にフランジ接続部30を有するものである。そして、第1接続部材12のフランジ接続部16が、接続対象の一方の排砂管90(又はその排砂管90に接続されたゴムスリーブ96(
図7参照))と接続され、第2接続部材20のフランジ接続部30が、接続対象の他方の排砂管90(又はその排砂管90に接続されたゴムスリーブ96)と接続される。これにより、従来から使用されている排砂管90に設けられたフランジ構造76を利用して、第1接続部材12及び第2接続部材20の双方を排砂管90に対してフランジ接続することができるため、従来の接続方法から排砂管の接続構造10を用いた接続へと円滑に移行させることが可能となる。更に、第1接続部材12と第2接続部材20との少なくとも一方がゴムスリーブ96(
図7参照)にフランジ接続されることで、ゴムスリーブ96を介した排砂管90同士の接続にも何ら支障なく対応することができる。
【0048】
なお、本発明の実施の形態に係る排砂管の接続方法は、上述した本発明の実施の形態に係る排砂管の接続構造10を用いて実行されることで、排砂管の接続構造10と同等の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0049】
10:排砂管の接続構造、12:第1接続部材、14:雄型接続部、14a:外周面、16:フランジ接続部、20:第2接続部材、22:雌型接続部、22a:内周面、30:フランジ接続部、40:ロック機構、42:溝部、44:凹部、46:ロックリング、48:分割片、54:ボルト、70:Oリング、90:排砂管、96:ゴムスリーブ、HP:収容位置、PP:突出位置