(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230912BHJP
G06Q 30/0251 20230101ALI20230912BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/0251
(21)【出願番号】P 2020049158
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大倉 俊平
(72)【発明者】
【氏名】友広 歩李
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 翔悟
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/026410(WO,A1)
【文献】特開2005-039749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによるコンテンツの閲覧履歴を取得する取得部と、
前記閲覧履歴と、配信対象である複数のコンテンツのそれぞれのコンテンツ内容情報とを入力とし、前記閲覧履歴に応じた複数の第一コンテンツを出力とする第一選択モデルを用い、前記ユーザに配信する複数の前記第一コンテンツを選択する第一選択部と、
前記第一選択モデルとは異なるアルゴリズムによって構成された第二選択モデルを用いて、前記ユーザに配信する少なくとも1つの第二コンテンツを選択する第二選択部と、
選択された前記第一コンテンツ及び前記第二コンテンツを含むレコメンド情報を前記ユーザが所持するユーザ端末に配信するレコメンド配信部と、
前記ユーザの前記第一コンテンツの単位
期間当たりの閲覧回数及び前記第二コンテンツの単位
期間当たりの閲覧回数に基づいて、前記第一選択モデルの劣化状態を判定する判定部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記取得部は、前記閲覧履歴として、前記単位期間あたりの前記閲覧回数を取得する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記判定部は、前記第一コンテンツ及び前記第二コンテンツに関する単位期間あたりの前記閲覧履歴に基づいて、前記単位期間あたりの前記閲覧回数を算出する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記判定部は、前記第一コンテンツに関する前記閲覧回数が低下し、かつ、前記第二コンテンツに関する前記閲覧回数が低下しない場合に、前記第一選択モデルが劣化していると判定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータによりユーザ端末にレコメンド情報を配信する情報処理方法であって、
前記コンピュータは、取得部、第一選択部、第二選択部、レコメンド配信部、及び判定部を備え、
前記コンピュータは、
前記取得部が、ユーザによるコンテンツの閲覧履歴を取得するステップと、
前記第一選択部が、前記閲覧履歴と、配信対象である複数のコンテンツのそれぞれのコンテンツ内容情報とを入力とし、前記閲覧履歴に応じた複数の第一コンテンツを出力とする第一選択モデルを用い、前記ユーザに配信する複数の前記第一コンテンツを選択するステップと、
前記第二選択部が、前記第一選択モデルとは異なるアルゴリズムによって構成された第二選択モデルを用いて、前記ユーザに配信する少なくとも1つの第二コンテンツを選択するステップと、
前記レコメンド配信部が、選択された前記第一コンテンツ及び前記第二コンテンツを含むレコメンド情報を前記ユーザが所持するユーザ端末に配信するステップと、
前記判定部が、前記ユーザの前記第一コンテンツの単位
期間当たりの閲覧回数及び前記第二コンテンツの単位
期間当たりの閲覧回数に基づいて、前記第一選択モデルの劣化状態を判定するステップと、を実施する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータにより読み込み実行される情報処理プログラムであって、
前記コンピュータを、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させる
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザにレコメンドするコンテンツを選択する選択モデルの劣化状態を判定する情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットを介して、ニュースや広告等のコンテンツを、ユーザが所有する端末装置にレコメンドする情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような従来の情報処理装置では、ユーザの特徴を示すユーザ特徴ベクトルと、コンテンツの特徴を示すコンテンツ特徴ベクトルとを用いて、ユーザに対するコンテンツのスコアを算出し、当該スコアが高い順にコンテンツを並び替えて、ユーザの端末装置に配信(レコメンド)する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなレコメンドを配信する情報処理装置においては、適切なコンテンツのレコメンドができているかを確認することが重要である。従来の情報処理装置では、例えば、CTR(Click Through Rate)を監視し、CTRが下がった場合にレコメンドの状態に異常があると判定している。しかし、コンテンツの内容によっては、時事等によるCTRの変動が大きく、従来の情報処理装置では、レコメンドの状態が良好であるかを正確に判定することが困難となる。
【0005】
本発明は、ユーザにレコメンドするコンテンツを選択する選択モデルの劣化状態を適切に判定可能な情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、ユーザによるコンテンツの閲覧履歴を取得する取得部と、前記閲覧履歴と、配信対象である複数のコンテンツのそれぞれのコンテンツ内容情報とを入力とし、前記閲覧履歴に応じた複数の第一コンテンツを出力とする第一選択モデルを用い、前記ユーザに配信する複数の前記第一コンテンツを選択する第一選択部と、前記第一選択モデルとは異なるアルゴリズムによって構成された第二選択モデルを用いて、前記ユーザに配信する少なくとも1つの第二コンテンツを選択する第二選択部と、選択された前記第一コンテンツ及び前記第二コンテンツを含むレコメンド情報を前記ユーザが所持するユーザ端末に配信するレコメンド配信部と、前記第一コンテンツ及び前記第二コンテンツに関する前記閲覧履歴に基づいて、前記第一選択モデルの劣化状態を判定する判定部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、ユーザにレコメンドするコンテンツを選択する第一選択モデルと、第一選択モデルとは異なるアルゴリズムによって構成された第二選択モデルとを用いて、複数の第一コンテンツと少なくとも1つの第二コンテンツとを選択してユーザ端末に配信し、第一コンテンツ及び第二コンテンツに関する閲覧履歴に基づいて、第一選択モデルの劣化状態を判定する。これにより、時事等の影響を抑えつつ、ユーザにレコメンドするコンテンツを選択する選択モデルの劣化状態を適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の情報処理システムを示す概略図。
【
図2】本実施形態のサーバの概略構成を示すブロック図。
【
図3】本実施形態における第一選択モデルの劣化状態の判定方法における、コンテンツのレコメンド処理を示すフローチャート。
【
図4】本実施形態のコンテンツのレコメンド表示ページの一例を示す図。
【
図5】本実施形態のコンテンツのレコメンド表示ページの一例を示す別の図。
【
図6】本実施形態における第一選択モデルの劣化状態の判定処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る一実施形態について説明する。
[情報処理システムの概要]
図1は、本実施形態の情報処理システムを示す概略図である。
本実施形態の情報処理システムは、
図1に示すように、情報処理装置であるサーバ10、サーバ10に対してインターネットを介して接続された複数の端末装置20を備える。この情報処理システムは、サーバ10から端末装置20にコンテンツであるニュースコンテンツをレコメンドするレコメンド配信システムであり、端末装置20を所有するユーザの特徴に応じたコンテンツをレコメンドする。
以下、このような情報処理システムの、特にサーバ10について詳細に説明する。
【0010】
[サーバ10の構成]
図2は、サーバ10の概略構成を示すブロック図である。
サーバ10は、一般的なコンピュータにより構成されており、
図2に示すように、通信部11、記憶部12、プロセッサ13等の、コンピュータを構成する各部を備えている。なお、サーバ10を構成するコンピュータの数は特に限定されない。本実施形態では、説明の簡略化のため、1台のコンピュータによってサーバ10が構成される例を示すが、複数のコンピュータをネットワークで接続して構築されるクラウドサーバをサーバ10としてもよい。
【0011】
通信部11は、インターネットに接続され、インターネットを介して端末装置20等の各装置と通信する。
記憶部12は、サーバ10を制御するための各種情報や情報処理プログラムを記録する。
また、記憶部12は、端末装置20に配信するコンテンツを記録するコンテンツ蓄積部121、ユーザに関するユーザ情報を記憶するユーザ情報蓄積部122等のデータベースと、コンテンツの選択を行うために作成される第一選択モデル123及び第二選択モデル124とを記憶する。
なお、ここでは、サーバ10の記憶部12に、コンテンツ蓄積部121、ユーザ情報蓄積部122、第一選択モデル123、及び第二選択モデル124が設けられる例を示すが、サーバ10とネットワークを介して通信可能に接続された他のデータサーバやクラウドストレージに、これらの情報及びモデルが記録される構成としてもよい。
【0012】
コンテンツ蓄積部121は、端末装置20に配信可能なコンテンツが蓄積されるデータベースであり、具体的には、複数のコンテンツ情報が記録されている。これらのコンテンツ情報は、例えばサーバ10の管理者が生成してもよく、コンテンツの編集者が所有する編集者端末から送信されるものであってもよい。あるいは、サーバ10が、インターネット上の所定のウェブコンテンツをクローリングして収集してもよい。
コンテンツ情報は、コンテンツID、入稿日時情報、コンテンツ内容情報等を含む。
コンテンツIDは、コンテンツを識別する識別情報である。
入稿日時情報はコンテンツが作成または入稿された日時である。
コンテンツ内容情報は、ユーザに配信するコンテンツの内容、つまり入稿記事であり、例えば、テキストデータや画像データ等により構成されている。
なお、本実施形態では、コンテンツの内容は特に限定されず、例えば、ニュース等の記事であってもよく、商品やサービスの広告であってもよく、動画サイトにおけるお勧め動画等であってもよい。このようなコンテンツには、複数のキーワードが含まれるテキストデータが含まれる。
【0013】
ユーザ情報蓄積部122には、複数のユーザ情報が記録されている。このユーザ情報は、ユーザID、ユーザ属性情報、閲覧履歴情報等を含む。
ユーザIDは、ユーザを識別する識別情報である。
ユーザ属性情報は、ユーザの様々な属性を記録する。例えば、ユーザの性別、年齢層、居所等の個人情報が含まれてもよく、ユーザの趣味等の嗜好性が記録されていてもよい。
閲覧履歴情報は、サーバ10からレコメンドされたコンテンツに対して、ユーザが選択(閲覧)したコンテンツの履歴情報である。
なお、ユーザ情報としては、その他、ユーザが端末装置20を操作して実施した検索処理における検索キーワードの履歴、インターネットを介した商品売買履歴、ユーザのウェブコンテンツの閲覧履歴等が含まれてもよい。
【0014】
第一選択モデル123は、教師データに基づいて、ディープラーニング等のAIを用いた機械学習により生成されたプログラムであって、閲覧履歴情報及びコンテンツ内容情報を入力とし、ユーザにレコメンドする第一コンテンツの選択を行い、結果を出力するモデルである。この第一選択モデル123は、公知の機械学習のアルゴリズムにより生成されるモデルであり、例えば、ランダムフォレスト等を用いて生成できる。
第二選択モデル124は、第一選択モデル123とは異なるアルゴリズムによって構成されたプログラムであり、所定の入力に対してユーザにレコメンドする第二コンテンツの選択を行い、結果を出力する。
第一選択モデル123及び第二選択モデル124、及び、第一コンテンツ及び第二コンテンツの詳細については、後述する。
【0015】
プロセッサ13は、CPU等の演算回路、RAM等の記録回路により構成される。プロセッサ13は、記憶部12に記録されている情報処理プログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
そして、プロセッサ13は、情報処理プログラムを読み込み実行することで、
図2に示すように、ユーザ情報取得部131、第一選択部132、第二選択部133、配信部134、及び判定部135として機能する。
【0016】
ユーザ情報取得部131は、本発明の取得部としても機能し、端末装置20からユーザ情報を取得する。すなわち、ユーザ情報取得部131は、サーバ10から端末装置20にレコメンドしたコンテンツに対して、ユーザがいずれかのコンテンツを選択及び閲覧した場合に、その選択されたコンテンツ(選択コンテンツ)と、選択された日時とを取得する。つまり、ユーザのコンテンツに対する閲覧履歴情報を取得する。
また、ユーザ情報取得部131は、その他、端末装置20でのユーザの入力操作によって入力されたユーザ属性を取得したり、検索履歴等の他の行動履歴を取得したりしてもよい。
【0017】
第一選択部132は、上述した第一選択モデル123を用い、ユーザにレコメンドする複数の第一コンテンツを選択する。
第一選択部132は、ユーザ情報取得部131からユーザ情報の閲覧履歴情報、及び、コンテンツ蓄積部121に蓄積される各コンテンツ内容を読み出し、第一選択モデル123に入力する。
これにより、第一選択モデル123は、入力された閲覧履歴情報に基づくユーザ特徴ベクトル、及び、コンテンツ内容情報に基づくコンテンツ特徴ベクトルを算出し、ユーザの興味度を示すスコアが高い順に所定数のコンテンツを出力する。
なお、本実施形態では、第一選択部132は、閲覧履歴情報及びコンテンツ内容情報を第一選択モデル123に入力するが、第一選択部132が、閲覧履歴情報を含むユーザ情報に基づいたユーザ特徴ベクトルや、コンテンツ内容情報に基づくコンテンツ特徴ベクトルを算出して、第一選択モデル123に入力してもよい。この場合、第一選択モデル123は、ユーザ特徴ベクトル及びコンテンツ特徴ベクトルを入力として、ユーザの興味が高い所定数のコンテンツ情報を出力する。
【0018】
ここで、第一選択モデル123により選択される第一コンテンツは、ユーザが興味を有すると推定されるコンテンツである。そして、第一コンテンツの選択は、第一選択モデル123の状態の影響を受ける。つまり、第一選択モデル123が劣化していない状態では、入力される閲覧履歴情報に対して出力されるコンテンツ(第一コンテンツ)は実際のユーザの興味と一致または略一致するコンテンツであり、ユーザの興味に対応した適正なレコメンドを実施することができる(レコメンド精度が高い)。しかし、第一選択モデル123が劣化すると、上述したレコメンド精度が下がり、ユーザが興味を有するコンテンツが選択されなくなる可能性がある。
【0019】
第二選択部133は、上述した第二選択モデル124を用い、ユーザにレコメンドする1つの第二コンテンツを選択する。ここで、第二選択モデル124は、上述したように、第一選択モデル123とは異なるアルゴリズムによって構成されたプログラムであり、例えば、新着順等、簡便なアルゴリズムで1つの第二コンテンツを選択する。
第二選択部133により選択される第二コンテンツは、ユーザの興味とは無関係なコンテンツであり、後述する第一選択モデル123の劣化状態の判定のために選択されるコンテンツである。
なお、第二コンテンツの選択は、第一選択モデル123の状態の影響を受けない。つまり、第一選択モデル123が劣化しても、第二コンテンツの選択においては、常に新着順等、簡便かつ所定のアルゴリズムで選択が行われる。
【0020】
配信部134は、第一選択部132及び第二選択部133により選択したコンテンツのレコメンド順を決定し、レコメンド順にコンテンツを選出して端末装置20にレコメンドする。
判定部135は、配信部134により端末装置20にレコメンドした第一コンテンツ及び第二コンテンツに関する閲覧履歴に基づいて、第一選択モデル123の劣化状態を判定する。
なお、配信部134及び判定部135の詳細な処理については後述する。
【0021】
[端末装置20の構成]
端末装置20は、ユーザが管理するコンピュータであり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等により構成されている。
端末装置20の具体的な構成の図示は省略するが、端末装置20は、一般的なコンピュータが有する基本的な構成を有する。すなわち、端末装置20は、操作者の操作を受け付ける入力操作部、画像情報を表示させるディスプレイ、各種情報を記録する記録装置、各種情報を演算処理する演算回路(CPU等)を備えている。
【0022】
[情報処理方法]
次に、本実施形態の情報処理システムにおける第一選択モデル123の劣化状態の判定方法について、特に、サーバ10での情報処理方法について説明する。
なお、詳細は後述するが、本実施形態では、第一選択モデル123の劣化状態の判定を行うために、第一コンテンツ及び第二コンテンツをレコメンド配信し、第一コンテンツ及び第二コンテンツの閲覧履歴を取得する。この時、すべての端末装置20に対して第一コンテンツ及び第二コンテンツを配信する必要はない。例えば、一定割合の端末装置20を対象として、第一コンテンツ及び第二コンテンツのレコメンド配信を行い、その他の端末装置20には、従来通り第一コンテンツのレコメンド配信を行えばよい。上述したように、一定割合の端末装置20のみに、第一コンテンツ及び第二コンテンツのレコメンド配信を行うことにより、第一選択モデル123の劣化状態の判定を行うことが可能である。一定割合の端末装置20は、固定である必要はなく、ランダムに変更してもよい。
【0023】
[第一コンテンツ及び第二コンテンツのレコメンド処理]
図3は、本実施形態におけるコンテンツのレコメンド処理を示すフローチャートである。
ここで、レコメンド処理を実施するにあたり、ユーザ情報は事前に取得され、記憶部12のユーザ情報蓄積部122に記録されている。すなわち、閲覧履歴を取得する履歴取得ステップが事前に実施されているものとする。
【0024】
サーバ10は、端末装置20から、コンテンツのレコメンドを要求する要求情報及びユーザIDを受信する(ステップS1)。
この後、第一選択部132は、要求情報とともに受信したユーザIDに対応するユーザ情報と、コンテンツ蓄積部121に記録される各コンテンツ内容情報とを読み込み、第一選択モデル123に入力する。これにより、第一選択部132は、第一選択モデル123から出力される複数のコンテンツを、第一コンテンツとして選択する(ステップS2)。
次に、第二選択部133は、第二選択モデル124を用いて、1つの第二コンテンツを選択する(ステップS3)。
【0025】
次に、配信部134は、ステップS2で選択された第一コンテンツ及びステップS3で選択された第二コンテンツのレコメンド順を決定する(ステップS4)。
上述したように、ステップS2において複数の第一コンテンツが選択され、ステップS3において1つの第二コンテンツが選択される。配信部134は、ステップS4で算出したスコアが高い順に第一コンテンツのレコメンド順を決定し、その一部に第二コンテンツのレコメンド順を挿入することにより、第一コンテンツ及び第二コンテンツのレコメンド順を決定する。
本実施形態では、一例として、スコアが20番目に高い第一コンテンツと、21番目に高い第一コンテンツとの間に、第二コンテンツを挿入する。ここで、21番目とは、後述するレコメンド表示欄の初期状態においては表示されず、レコメンド表示欄が下方にスクロール操作された際に表示される順番である。
そして、配信部134は、ステップS4で決定したレコメンド順で第一コンテンツ及び第二コンテンツを選出し、端末装置20に送信する(ステップS5)。
【0026】
図4は、本実施形態において端末装置20に配信されるコンテンツのレコメンド表示ページ30の一例を示す図である。
【0027】
図4に示すレコメンド表示ページ30は、主にスマートフォン等の携帯端末にインストールされるニュースのコンテンツ閲覧アプリケーションでの表示例である。通常、このようなコンテンツ閲覧アプリケーションでは、ユーザ情報に基づいたニュースコンテンツがレコメンドされる「おすすめ」タブ、最新のニュースを新着順に表示させる「TOP」タブ、各種ジャンルに対応したタブ等が表示され、これらのいずれかを選択することで、タブに対応したニュースコンテンツがレコメンドされる。
ここでは、ユーザ情報に基づいてニュースコンテンツのレコメンドを行う「おすすめ」タブが選択された場合に表示されるレコメンド表示欄31について説明する。
【0028】
本実施形態では、
図4に示すように、レコメンド表示欄31において、ユーザに推奨する第一コンテンツ及び第二コンテンツを示す複数のアイテム画像IX(I1、I2)を表示させる。各アイテム画像IXには、コンテンツに対応したリンク情報が関連付けられており、ユーザ操作によってアイテム画像IXを選択(例えばタップ)することで、そのアイテム画像IXに対応するコンテンツに表示が遷移する。
レコメンド表示欄31に一度に表示されるアイテム画像IXの表示数は予め決まっており、
図4の例では、8である。ユーザがレコメンド表示欄31を下方にスクロールさせる操作を行うことで、レコメンド表示欄31に配置されるアイテム画像IXが順次追加される。すなわち、画面上に表示されるアイテム画像IXの数は8であるが、レコメンド表示欄31に配置されるアイテム画像IXの配置数(総数)は、順次追加されて増えていく。
【0029】
つまり、レコメンド表示欄31が下方にスクロール操作されていない初期状態では、
図4に示すように、レコメンド順の上位8位である第一コンテンツ(C1からC8)に対応したアイテム画像I1が表示される。そして、スクロール操作が行われることで、配信部134は、所定数のコンテンツに対応したアイテム画像IXを追加するが、この際、レコメンド順の21番目に第二コンテンツのアイテム画像I2が配置されるように、第一コンテンツ及び第二コンテンツを選出する。
図5は、レコメンド表示欄31が下方にスクロール操作されて、第二コンテンツのアイテム画像I2が表示された際の表示例である。レコメンド表示欄31が下方にスクロール操作された状態では、
図5に示すように、レコメンド順が16位から22位である第一コンテンツ(C16からC22)に対応したアイテム画像I1と、第二コンテンツ(C’)に対応したアイテム画像I2とが表示される。
【0030】
なお、第二コンテンツに対応したアイテム画像I2の配置位置は、特に21番目に限定されない。第二コンテンツに対応したアイテム画像I2の配置位置は、初期状態の最上位部分を除く部分であればどのような位置でもよい。また、第二コンテンツに対応したアイテム画像I2の配置位置は固定の位置である必要はなく、ランダムに変更してもよい。
【0031】
この後、端末装置20において、レコメンド表示欄31に配置されたコンテンツのうちのいずれかがユーザの操作によって選択されると、端末装置20から選択されたコンテンツ(選択コンテンツ)を示す選択コンテンツ情報(例えば、コンテンツID)がサーバ10に送信される。
【0032】
サーバ10のユーザ情報取得部131は、端末装置20から選択コンテンツ情報を受信したか否かを判定する(ステップS6)。
ステップS6でNOと判定される場合、つまり、選択コンテンツ情報が受信されず、端末装置20において、ユーザによるコンテンツの閲覧が終了した場合等では、処理を終了させる。
一方、ステップS6でYESと判定される場合、つまり、選択コンテンツ情報を受信した場合、ユーザ情報取得部131は、閲覧履歴情報を更新し(ステップS7)、ステップS2に戻る。
【0033】
[第一選択モデル123の劣化状態の判定処理]
図6は、本実施形態における第一選択モデル123の劣化状態の判定処理を示すフローチャートである。
サーバ10のユーザ情報取得部131は、ユーザのコンテンツに対する閲覧履歴情報を取得する(ステップS11)。この時、ユーザ情報取得部131は、第一コンテンツに関する閲覧履歴情報及び第二コンテンツに関する閲覧履歴情報の両方を取得する。
そして、サーバ10の判定部135は、所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS12)。所定の時間とは第一選択モデル123の劣化状態の判定を行う時間間隔に相当する。この時間は、管理者によって設定または変更可能であってもよい。
ステップS12でNOと判定される場合、つまり、所定の時間が経過していない場合は、ステップS11に戻る。
【0034】
一方、ステップS12でYESと判定される場合、つまり、所定の時間が経過した場合、判定部135は、第一コンテンツの閲覧回数の変化量N1を算出し(ステップS13)、第二コンテンツの閲覧回数の変化量N2を算出する(ステップS14)。なお、ステップS13及びステップS14は並行で実行されてもよいし、逆順(ステップS14の後にステップS13)で実行されてもよい。
【0035】
ステップS13及びS14において、第一コンテンツに関する変化量N1及び第二コンテンツに関する変化量N2は、単位期間あたりの閲覧回数に基づいて算出されてもよいし、単位期間あたりの総閲覧回数に対する第一コンテンツの閲覧回数または第二コンテンツの閲覧回数の割合に基づいて算出されてもよい。このときの単位期間は、上述した所定の時間と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
そして、ステップS13及びS14において、変化量N1及び変化量N2は、例えば、連続する2つの単位期間における閲覧回数または閲覧回数の割合を比較することにより求められる変化量である。
なお、連続する2つの単位期間を対象とせず、単位期間における閲覧回数または閲覧回数の割合を算出するたびにメモリに記録しておき、次に判定処理を行う際に、以前記録した単位期間における閲覧回数または閲覧回数の割合を読み出してもよい。この場合、判定処理において新たに算出した単位期間における閲覧回数または閲覧回数の割合と、メモリから読みだした過去の単位期間における閲覧回数または閲覧回数の割合とを比較して、変化量N1及び変化量N2を求めることができる。
このように算出される変化量N1及び変化量N2には、変化の方向(増加または低下)、変化の幅等が含まれる。
【0036】
次に、サーバ10の判定部135は、ステップS13で算出した第一コンテンツに関する変化量N1及びステップS14で算出した第二コンテンツに関する変化量N2に基づいて、第一選択モデル123が劣化しているか否かを判定する(ステップS15)。
ステップS15において、判定部135は、第一コンテンツに関する変化量N1が第一コンテンツの閲覧回数の低下を示し、かつ、第二コンテンツに関する変化量N2が第二コンテンツの閲覧回数の低下を示さない場合には、「第一選択モデル123が劣化している」と判定する。
【0037】
一方、ステップS15において、判定部135は、第一コンテンツに関する変化量N1が第一コンテンツの閲覧回数の低下を示さない場合等、上述の条件を満たさない場合には、「第一選択モデル123が劣化していない」と判定する。例えば、第一コンテンツに関する変化量N1が第一コンテンツの閲覧回数の低下を示し、かつ、第二コンテンツに関する変化量N2も第二コンテンツの閲覧回数の低下を示す場合には、第一選択モデル123の劣化状態による影響ではなく、時事等による全体的な影響であり、「第一選択モデル123が劣化していない」と判定する。
つまり、ステップS15では、判定部135は、第一コンテンツに関する変化量N1と第二コンテンツに関する変化量N2とを比較することにより相対的な変化を検出して、第一選択モデル123が劣化しているか否かを判定する。
【0038】
ステップS15でNOと判定される場合、つまり、第一選択モデル123が劣化していないと判定される場合等では、処理を終了させる。
一方、ステップS15でYESと判定される場合、つまり、第一選択モデル123が劣化していると判定された場合、第一選択部132は、第一選択モデル123の再作成を行い(ステップS16)、処理を終了させる。
なお、第一選択モデル123の再作成はどのように行われてもよい。例えば、機械学習を再度行うことにより、第一選択モデル123を再作成してもよい。また、記憶部12に代替の選択モデルを記憶しておき、第一選択モデル123を代替の選択モデルに変更してもよい。
【0039】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態のサーバ10は、記憶部12と、プロセッサ13とを備え、プロセッサ13は、記憶部12に記憶された情報処理プログラムを読み込むことで、ユーザ情報取得部131(取得部)、第一選択部132、第二選択部133、配信部134(レコメンド配信部)、及び判定部135として機能する。ユーザ情報取得部131は、ユーザによるコンテンツの閲覧履歴を取得する。第一選択部132は、閲覧履歴と、配信対象である複数のコンテンツのそれぞれのコンテンツ内容情報とを入力とし、閲覧履歴に応じた複数の第一コンテンツを出力とする第一選択モデル123を用い、ユーザに配信する複数の前記第一コンテンツを選択する。第二選択部133は、第一選択モデル123とは異なるアルゴリズムによって構成された第二選択モデル124を用いて、ユーザに配信する少なくとも1つの第二コンテンツを選択する。配信部134は、選択された第一コンテンツ及び第二コンテンツを含むレコメンド情報をユーザが所持するユーザ端末に配信する。判定部135は、第一コンテンツ及び第二コンテンツに関する閲覧履歴に基づいて、第一選択モデル123の劣化状態を判定する。
つまり、本実施形態では、ユーザが興味を有すると推定される第一コンテンツと、ユーザの興味とは無関係である第二コンテンツとをレコメンド配信し、第一コンテンツ及び第二コンテンツに関する閲覧履歴に基づいて、第一選択モデル123の劣化状態を判定する。これにより、第一選択モデル123によるレコメンドの状態が良好であるかを正確に判定することができる。
【0040】
本実施形態では、判定部135は、第一コンテンツ及び第二コンテンツに関する単位期間あたりの閲覧履歴に基づいて、単位期間あたりの閲覧回数を算出し、第一コンテンツ及び第二コンテンツに関する閲覧回数に基づいて、第一選択モデル123の劣化状態を判定する。このため、第一コンテンツ及び第二コンテンツに関する閲覧履歴の相対的な変化を検出することができる。
【0041】
本実施形態では、判定部135は、第一コンテンツに関する閲覧回数が低下し、かつ、第二コンテンツに関する閲覧回数が低下しない場合に、第一選択モデル123が劣化していると判定する。これにより、第一コンテンツ及び第二コンテンツに関する閲覧状況が連動して低下しているのか否かを判断することができる。
【0042】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、以下に示される変形をも含むものである。
【0043】
[変形例1]
上記実施形態では、ステップS13及びS14で、ユーザ情報取得部131が取得した単位期間あたりの閲覧履歴情報に基づいて、単位期間あたりの第一コンテンツ及び第二コンテンツの閲覧回数を算出する例を示したが、例えば、ユーザ情報取得部131が閲覧履歴情報として、単位期間あたりの第一コンテンツ及び第二コンテンツの閲覧回数を取得してもよい。これにより、判定部135における処理の負荷を軽減することができる。
【0044】
[変形例2]
上記実施形態では、ステップS15で、ステップS13で算出した第一コンテンツに関する変化量N1及びステップS14で算出した第二コンテンツに関する変化量N2に基づいて、第一選択モデル123の劣化状態を判定する例を示した。つまり、判定部135は、常時第一コンテンツに関する変化量N1及び第二コンテンツに関する変化量N2を算出して監視する例を示したが、第一コンテンツに関する変化量N1のみを常時算出し、第一コンテンツに関する変化量N1に基づいて第一選択モデル123の状態を監視し、第一コンテンツに関する変化量N1が低下して異常が発生したと考えられる場合のみ、第二コンテンツに関する変化量N2を算出し、第一選択モデル123の劣化状態を判定してもよい。
【0045】
[変形例3]
上記実施形態では、ステップS16で第一選択モデル123が劣化していると判定された場合、ステップS17で、第一選択モデル123の再作成を行う例を示したが、これに限定されない。
例えば、ステップS16で第一選択モデル123が劣化していると判定された場合、文字情報や音声情報を用いて、管理者に異常を報知してもよいし、第一選択モデル123を、新着順や人気順など、一般的な選択アルゴリズムによって構成された選択モデルに変更してもよい。
【0046】
[変形例4]
上記実施形態において、第一選択モデル123と、第一選択モデル123とは異なるアルゴリズムによって構成された第二選択モデル124とを備える例を示したが、第一選択モデル123及び第二選択モデル124とは異なるアルゴリズムによって構成され、第三コンテンツを選択する第三の選択モデルを備えてもよい。この場合、例えば、第一コンテンツ、第二コンテンツ、及び第三コンテンツをレコメンド配信し、第一コンテンツ、第二コンテンツ、及び第三コンテンツに関する閲覧履歴情報を評価することにより、より正確に第一選択モデル123の劣化状態の判定を行うことが期待できる。
【符号の説明】
【0047】
10…サーバ(情報処理装置)、12…記憶部、13…プロセッサ、20…端末装置、30…レコメンド表示ページ、31…レコメンド表示欄、121…コンテンツ蓄積部、122…ユーザ情報蓄積部、123…第一選択モデル、124…第二選択モデル、131…ユーザ情報取得部(取得部)、132…第一選択部、133…第二選択部、134…配信部、135…判定部、IX(I1,I2)…アイテム画像。