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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】廃棄物高さ情報検出装置および該方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20230912BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230912BHJP
   G06T 7/564 20170101ALI20230912BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G06T7/00 C
G06T7/564
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020118199
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015392
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】上村 祥平
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 圭太
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-143151(JP,A)
【文献】国際公開第2020/105669(WO,A1)
【文献】特開2007-197170(JP,A)
【文献】特開2013-161133(JP,A)
【文献】特開2018-055246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/02
G06T 7/00
G06T 7/50 - 7/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部に収容された廃棄物の表面に対し、互いに異なる前記表面の部分を含むように、前記表面における一部分の3次元点群データを生成する第1および第2点群データ生成部と、
前記第1および第2点群データ生成部それぞれで生成した前記表面における一部分の各3次元点群データに基づいて、前記表面全体の3次元点群データを求める点群データ処理部と、
前記廃棄物の表面全体の3次元点群データに基づいて前記廃棄物の高さに関わる高さ情報を求める高さ情報処理部とを備え、
前記第1および第2点群データ生成部は、互いの死角をカバーするように測定方向が交差するように、かつ、前記表面までの間に視界を遮る障害物が無い場合に、前記第1および第2点群データ生成部それぞれの前記表面における各一部分を統合した統合結果が前記表面全体となるように、配設され、
前記点群データ処理部は、前記第1点群データ生成部の第1死角に対応する部分の3次元点群データに、前記第2点群データ生成部で生成された3次元点群データを用い、前記第2点群データ生成部の第2死角に対応する部分の3次元点群データに、前記第1点群データ生成部で生成された3次元点群データを用い、前記第1および第2点群データ生成部それぞれで生成された互いに重複する3次元点群データを1個に纏めることによって、前記表面全体の3次元点群データを求め
前記点群データ処理部は、前記第1および第2点群データ生成部それぞれで生成した前記表面における一部分の各3次元点群データから、前記表面までの間に有る、視界を遮る障害物の3次元点群データを除去し、前記表面全体の3次元点群データを求め
前記点群データ処理部は、前記表面全体を複数の区画に区分けし、複数の区画それぞれについて、当該区画に対応する3次元点群データの中から最も低い3次元点群データを当該区画の区画3次元点群データとして選択することによって、前記除去を行う
廃棄物高さ情報検出装置。
【請求項2】
前記点群データ処理部は、複数の区画それぞれにおける複数の区画3次元点群データそれぞれについて、互いに隣接する2個の区画点群データ間に1または複数の3次元点群データを補間することによって、前記表面全体の3次元点群データを求める、
請求項に記載の廃棄物高さ情報検出装置。
【請求項3】
収容部に収容された廃棄物の表面に対し、互いに異なる前記表面の部分を含むように、前記表面における一部分の3次元点群データを生成する第1および第2点群データ生成部を用いた廃棄物高さ情報検出方法であって、
前記第1および第2点群データ生成部それぞれによって前記表面における一部分の各3次元点群データ生成する点群データ生成工程と、
前記点群データ生成工程で生成した前記表面における一部分の各3次元点群データに基づいて、前記表面全体の3次元点群データを求める点群データ処理工程と、
前記廃棄物の表面全体の3次元点群データに基づいて前記廃棄物の高さに関わる高さ情報を求める高さ情報処理工程とを備え、
前記第1および第2点群データ生成部は、互いの死角をカバーするように測定方向が交差するように、かつ、前記表面までの間に視界を遮る障害物が無い場合に、前記第1および第2点群データ生成部それぞれの前記表面における各一部分を統合した統合結果が前記表面全体となるように、配設され、
前記点群データ処理工程は、前記第1点群データ生成部の第1死角に対応する部分の3次元点群データに、前記第2点群データ生成部で生成された3次元点群データを用い、前記第2点群データ生成部の第2死角に対応する部分の3次元点群データに、前記第1点群データ生成部で生成された3次元点群データを用い、前記第1および第2点群データ生成部それぞれで生成された互いに重複する3次元点群データを1個に纏めることによって、前記表面全体の3次元点群データを求め
前記点群データ処理工程は、前記第1および第2点群データ生成部それぞれで生成した前記表面における一部分の各3次元点群データから、前記表面までの間に有る、視界を遮る障害物の3次元点群データを除去し、前記表面全体の3次元点群データを求め
前記点群データ処理工程は、前記表面全体を複数の区画に区分けし、複数の区画それぞれについて、当該区画に対応する3次元点群データの中から最も低い3次元点群データを当該区画の区画3次元点群データとして選択することによって、前記除去を行う
廃棄物高さ情報検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容部に収容された廃棄物の高さに関わる高さ情報を検出する廃棄物高さ情報検出装置および廃棄物高さ情報検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所有者によって利用価値が無いあるいは不要であると判断されてゴミとして廃棄された廃棄物は、一般に、焼却炉で燃焼され、焼却処理される。この廃棄物の燃焼では、焼却炉内での安定した燃焼を実現するために、クレーンで廃棄物が撹拌され、均等化される。この撹拌において、省人化および効率化等のために、前記クレーンの自動制御が望まれる。前記自動制御の実現に当たって、廃棄物の高さを測定する必要がある。この廃棄物の高さの測定に関し、例えば、特許文献1に開示された情報処理装置がある。
【0003】
この特許文献1に開示された情報処理装置は、ごみピット内に堆積されたごみの高さを推定する情報処理装置であって、上記ごみピット内を撮影した画像における、ごみピットの壁面とごみとの境界を特定する境界特定部と、上記画像における壁面上に設定された基準線と、上記境界特定部が特定した境界との位置関係から、上記境界におけるごみの高さを算出する高さ算出部とを備え、上記高さ算出部は、上記ごみピットの複数の壁面について該壁面とごみとの境界におけるごみの高さを算出すると共に、上記境界より内側の領域におけるごみの高さを、上記境界までの距離に応じた加重平均により上記境界におけるごみの高さから算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-173248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示された情報処理装置は、上記境界より内側の領域におけるごみの高さを、上記境界までの距離に応じた加重平均により上記境界におけるごみの高さから算出するので、内側の領域におけるごみの高さの凹凸を求めることができず、内側の領域では、正確なごみの高さを測定することが難しい。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、廃棄物全体の高さ情報をより正確に検出できる廃棄物高さ情報検出装置および廃棄物高さ情報検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる廃棄物高さ情報検出装置は、収容部に収容された廃棄物の表面に対し、互いに異なる前記表面の部分を含むように、前記表面における一部分の3次元点群データを生成する第1および第2点群データ生成部と、前記第1および第2点群データ生成部それぞれで生成した前記表面における一部分の各3次元点群データに基づいて、前記表面全体の3次元点群データを求める点群データ処理部と、前記廃棄物の表面全体の3次元点群データに基づいて前記廃棄物の高さに関わる高さ情報を求める高さ情報処理部とを備え、前記第1および第2点群データ生成部は、互いの死角をカバーするように測定方向が交差するように、かつ、前記表面までの間に視界を遮る障害物が無い場合に、前記第1および第2点群データ生成部それぞれの前記表面における各一部分を統合した統合結果が前記表面全体となるように、配設され、前記点群データ処理部は、前記第1点群データ生成部の第1死角に対応する部分の3次元点群データに、前記第2点群データ生成部で生成された3次元点群データを用い、前記第2点群データ生成部の第2死角に対応する部分の3次元点群データに、前記第1点群データ生成部で生成された3次元点群データを用い、前記第1および第2点群データ生成部それぞれで生成された互いに重複する3次元点群データを1個に纏めることによって、前記表面全体の3次元点群データを求める。好ましくは、上述の廃棄物高さ情報検出装置において、前記高さ情報は、所定の基準面から前記廃棄物の表面までの距離(長さ)である。好ましくは、前記基準面は、前記収容部の上面(前記廃棄物を投入する投入面)である。好ましくは、前記基準面は、クレーンが稼動を終了して待機している待機位置を含む待機面である。好ましくは、上述の廃棄物高さ情報検出装置において、前記基準面は、前記収容部の底面であって、前記高さ情報は、前記廃棄物の高さそのものである。
【0008】
このような廃棄物高さ情報検出装置では、複数の点群データ生成部は、廃棄物の表面までの間に視界を遮る障害物が無い場合に、前記複数の点群データ生成部それぞれの前記表面における各一部分を統合した統合結果が前記表面全体となるように、配設されているので、上記廃棄物高さ情報検出装置は、廃棄物全体の高さ情報をより正確に検出できる。
【0009】
そして、上述の廃棄物高さ情報検出装置において、前記点群データ処理部は、前記第1および第2点群データ生成部それぞれで生成した前記表面における一部分の各3次元点群データから、前記表面までの間に有る、視界を遮る障害物の3次元点群データを除去し、前記表面全体の3次元点群データを求める。
【0010】
このような廃棄物高さ情報検出装置は、廃棄物の表面までの間に有る、視界を遮る障害物の3次元点群データを除去し、表面全体の3次元点群データを求めるので、前記障害物があっても、廃棄物全体の高さ情報をより正確に検出できる。このため、既設の焼却施設に、後付けで、上記廃棄物高さ情報検出装置が設置でき、後付けで、クレーンが自動化できる。
【0011】
さらに、上述の廃棄物高さ情報検出装置において、前記点群データ処理部は、前記表面全体を複数の区画に区分けし、複数の区画それぞれについて、当該区画に対応する3次元点群データの中から最も低い3次元点群データを当該区画の区画3次元点群データとして選択することによって、前記除去を行う。
【0012】
廃棄物までの間に障害物が有る場合では、廃棄物の表面を表す3次元点群データは、最も低い3次元点群データである、と推察できる。上記廃棄物高さ情報検出装置は、当該区画に対応する3次元点群データの中から最も低い3次元点群データを当該区画の区画3次元点群データとして選択するので、廃棄物までの間に障害物が在っても、廃棄物全体の高さをより正確に測定できる。
【0013】
他の一態様では、上述の廃棄物高さ情報検出装置において、前記点群データ処理部は、複数の区画それぞれにおける複数の区画3次元点群データそれぞれについて、互いに隣接する2個の区画3次元点群データ間に1または複数の3次元点群データを補間することによって、前記表面全体の3次元点群データを求める。
【0014】
このような廃棄物高さ情報検出装置は、互いに隣接する2個の区画3次元点群データ間に1または複数の3次元点群データを補間するので、廃棄物の高さ情報における空間分解能を向上できる。
【0015】
本発明の一態様にかかる廃棄物高さ情報検出方法は、収容部に収容された廃棄物の表面に対し、互いに異なる前記表面の部分を含むように、前記表面における一部分の3次元点群データを生成する第1および第2点群データ生成部を用いた廃棄物高さ情報検出方法であって、前記第1および第2点群データ生成部それぞれによって前記表面における一部分の各3次元点群データ生成する点群データ生成工程と、前記点群データ生成工程で生成した前記表面における一部分の各3次元点群データに基づいて、前記表面全体の3次元点群データを求める点群データ処理工程と、前記廃棄物の表面全体の3次元点群データに基づいて前記廃棄物の高さに関わる高さ情報を求める高さ情報処理工程とを備え、前記第1および第2点群データ生成部は、互いの死角をカバーするように測定方向が交差するように、かつ、前記表面までの間に視界を遮る障害物が無い場合に、前記第1および第2点群データ生成部それぞれの前記表面における各一部分を統合した統合結果が前記表面全体となるように、配設され、前記点群データ処理工程は、前記第1点群データ生成部の第1死角に対応する部分の3次元点群データに、前記第2点群データ生成部で生成された3次元点群データを用い、前記第2点群データ生成部の第2死角に対応する部分の3次元点群データに、前記第1点群データ生成部で生成された3次元点群データを用い、前記第1および第2点群データ生成部それぞれで生成された互いに重複する3次元点群データを1個に纏めることによって、前記表面全体の3次元点群データを求め、前記点群データ処理工程は、前記第1および第2点群データ生成部それぞれで生成した前記表面における一部分の各3次元点群データから、前記表面までの間に有る、視界を遮る障害物の3次元点群データを除去し、前記表面全体の3次元点群データを求め、前記点群データ処理工程は、前記表面全体を複数の区画に区分けし、複数の区画それぞれについて、当該区画に対応する3次元点群データの中から最も低い3次元点群データを当該区画の区画3次元点群データとして選択することによって、前記除去を行う
【0016】
このような廃棄物高さ情報検出方法では、複数の点群データ生成部は、廃棄物の表面までの間に視界を遮る障害物が無い場合に、前記複数の点群データ生成部それぞれの前記表面における各一部分を統合した統合結果が前記表面全体となるように、配設されているので、上記廃棄物高さ測定方法は、廃棄物全体の高さ情報をより正確に検出できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる廃棄物高さ情報検出装置および廃棄物高さ情報検出方法は、廃棄物全体の高さ情報をより正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態における廃棄物高さ情報検出装置の構成を示すブロック図である。
図2】一例として、受入ピットを側面視した、前記廃棄物高さ情報検出装置を備えるゴミ焼却施設の概略図である。
図3】前記廃棄物高さ情報検出装置の動作を示すフローチャートである。
図4】廃棄物の表面までの間に障害物が無い場合において、第1および第2点群データ生成部で生成した各3次元点群データに対する統合処理を説明するための模式図である。
図5】廃棄物の表面までの間に障害物が有る状況を説明するための受入ピットの様子を示す図である。
図6】廃棄物の表面までの間に障害物が有る場合において、第1および第2点群データ生成部で生成した各3次元点群データに対する統合処理を説明するための模式図である。
図7】前記統合処理後の3次元点群データに対する除去処理を説明するための模式図である。
図8】前記除去処理後の3次元点群データに対する補間処理を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0020】
実施形態における廃棄物高さ情報検出装置は、収容部に収容された廃棄物の表面に対し、互いに異なる前記表面の部分を含むように、前記表面における一部分の3次元点群データを生成する複数の点群データ生成部と、前記複数の点群データ生成部それぞれで生成した前記表面における一部分の各3次元点群データに基づいて、前記表面全体の3次元点群データを求める点群データ処理部と、前記廃棄物の表面全体の3次元点群データに基づいて前記廃棄物の高さに関わる高さ情報を求める高さ情報処理部とを備える。そして、本実施形態では、前記複数の点群データ生成部は、前記表面までの間に視界を遮る障害物が無い場合に、前記複数の点群データ生成部それぞれの前記表面における各一部分を統合した統合結果が前記表面全体となるように、配設されている。以下、このような廃棄物高さ情報検出装置について、より具体的に説明する。
【0021】
図1は、実施形態における廃棄物高さ情報検出装置の構成を示すブロック図である。図2は、一例として、受入ピットを側面視した、前記廃棄物高さ情報検出装置を備える焼却施設の概略図である。
【0022】
実施形態における廃棄物高さ情報検出装置Dは、例えば、図2に示す、廃棄物DSのゴミを受け入れる受入ピットPTに収容された廃棄物DSの高さに関わる高さ情報を検出するために用いられる。受入ピットPTは、例えば、廃棄物DSのゴミを焼却するゴミ焼却施設に設けられ、底面および壁面をコンクリートで形成され天面を開放した略直方体状の空所(凹所)である。受入ピットPTには、クレーンガータCGに支持されクレーンガータCGから吊り下げされたクレーンCRが備えられている。図2に示すようにXYZ直交座標系を設定した場合、クレーンCRは、クレーンガータCGに対しZ方向(紙面上下方向)に沿って移動可能に構成され、クレーンガータCGに案内されてY方向(紙面左右方向)に沿って移動可能に構成され、クレーンガータCGは、X方向に延びる、図略のランウェイレールに案内されてX方向(紙面前後方向)に沿って移動可能に構成される。これによってクレーンCRは、Z方向、Y方向およびX方向の3次元の各方向に移動可能に構成されている。受入ピットPTに隣接して投入ホッパHPが設けられている。投入ホッパHPは、図略の焼却炉に繋がっており、受入ピットPTからクレーンCRによって掴み上げられた廃棄物DSが投入ホッパHPに投入されることで、廃棄物DSが焼却炉に導入され、焼却される。このようなクレーンCRの運用を制御するためのコンソール(制御卓)CLがオペレーションルーム(運用室)ORに配置される。受入ピットPTは、廃棄物を収容する収容部の一例に相当する。
【0023】
このような受入ピットPTにおける廃棄物の高さ情報を検出する実施形態の廃棄物高さ情報検出装置Dは、例えば、図1に示すように、複数の点群データ生成部1(1-1、1-2)と、制御処理部2と、記憶部6とを備え、図1に示す例では、さらに、入力部3と、出力部4と、インターフェース部(IF部)5とを備える。
【0024】
複数の点群データ生成部1は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、収容部(この例では受入ピットPT)に収容された廃棄物DSの表面に対し、互いに異なる前記表面の部分を含むように、前記表面における一部分の3次元点群データを生成する装置である。複数の点群データ生成部1は、制御処理部2と有線で接続されてよく、あるいは、無線で接続されてよい。点群データ生成部1は、複数であれば、任意の個数であってよいが、本実施形態では、廃棄物高さ情報検出装置Dは、説明の簡単化のため、2個の第1および第2点群データ生成部1-1、1-2を備えている。点群データは、本実施形態では、3次元であり、例えば、点群データ生成部1のローカル座標系(xyz直交座標系等)での座標値(x、y、z)で表される。複数の点群データ生成部1は、その生成した3次元点群データを制御処理部2へ出力する。点群データ生成部1は、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging、3次元レーザスキャナ)や、ステレオカメラ式測距計等であり、物体表面の各位置(形状)を表す3次元点群データを生成する。LiDARは、大略、走査しながら、光や超音波等の測定パルス波を送受信することによって、いわゆるTOF(Time of Flight)方式で物体表面までの距離を求める。ステレオカメラ式測距計は、大略、互いに光軸が平行となるように基線長だけ離間して配置された左右1対のステレオカメラで撮像した左右1対の各画像に基づいて視差を求め、この求めた視差に基づいていわゆる三角測量の原理に基づき物体表面までの距離を求める。
【0025】
このような複数の点群データ生成部1は、本実施形態では、廃棄物DSの表面までの間に視界を遮る障害物が無い場合に、前記複数の点群データ生成部1それぞれの前記表面における各一部分を統合した統合結果が、収容部(この例では受入ピットPT)に収容された廃棄物DSの表面全体となるように、配設されている。複数の点群データ生成部1それぞれの前記表面における各一部分は、互いに重複する部分を有してよく、あるいは、互いに重複する部分を有せずに隙間無く連続していてよい。例えば、図2に示す例では、第1および第2点群データ生成部1-1、1-2は、互いの死角をカバーするように、測定範囲の中心軸(測定方向)が交差するように配設される。より具体的には、第1点群データ生成部1-1は、例えば、図2に示すように、受入ピットPTを上方から斜め下方へ俯瞰するように、受入ピットPTにおける一方側壁の上端部に配設され、第2点群データ生成部1-2は、第1点群データ生成部1-1に受入ピットPTを介して対向する位置に、受入ピットPTを上方から斜め下方へ俯瞰するように、受入ピットPTにおける他方側壁の上端部に配設される。このように配置された第1点群データ生成部1-1では、廃棄物DSの表面における、前記一方側壁より所定距離離れた位置から、前記他方側壁まで、の一部分が、測定範囲(第1測定範囲)となり、前記一方側壁から前記所定距離離れた位置までの残部が、測定範囲外(第1死角)となる。一方、第2点群データ生成部1-2では、廃棄物DSの表面における、前記他方側壁より所定距離離れた位置から、前記一方側壁まで、の一部分が、測定範囲(第2測定範囲)となり、前記他方側壁から前記所定距離離れた位置までの残部が、測定範囲外(第2死角)となる。第1点群データ生成部1-1の第1死角は、第2点群データ生成部1-2の第2測定範囲内であり、第2点群データ生成部1-2の第2死角は、第1点群データ生成部1-1の第1測定範囲内である。したがって、このように配置された第1および第2点群データ生成部1-1、1-2は、互いの死角をカバーし、第1および第2点群データ生成部1-1、-2それぞれの各一部分を統合した統合結果は、収容部(この例では受入ピットPT)に収容された廃棄物DSの表面全体となる。
【0026】
入力部3は、制御処理部2に接続され、例えば、高さ情報の測定開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、廃棄物高さ情報検出装置Dを動作させる上で必要な各種データを廃棄物高さ情報検出装置Dに入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチやキーボードやマウス等である。出力部4は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、入力部3から入力されたコマンドやデータ、ピット画像および廃棄物DSの高さ情報等を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0027】
なお、入力部3および出力部4からいわゆるタッチパネルが構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部3は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部4は、表示装置である。このタッチパネルでは、前記表示装置の表示面上に前記位置入力装置が設けられ、前記表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、前記位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として廃棄物高さ情報検出装置Dに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い廃棄物高さ情報検出装置Dが提供される。
【0028】
IF部5は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部5は、外部機器との間で通信を行う回路であり、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等であってもよい。
【0029】
記憶部6は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、廃棄物高さ情報検出装置Dの各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御する制御プログラムや、複数の点群データ生成部1それぞれで生成した廃棄物DSの表面における一部分の各3次元点群データに基づいて、前記廃棄物DSの表面全体の3次元点群データを求める点群データ処理プログラムや、廃棄物DSの表面全体の3次元点群データに基づいて前記廃棄物DSの高さに関わる高さ情報を求める高さ情報処理プログラム等が含まれる。前記各種の所定のデータには、例えば後述のワールド座標系や基準面等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。このような記憶部6は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部6は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部2のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部6は、比較的大容量となる学習データを記憶するために、大容量を記憶可能なハードディスク装置を備えてもよい。
【0030】
制御処理部2は、廃棄物高さ情報検出装置Dの各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、廃棄物DSの高さ情報を検出するための回路である。制御処理部2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部2には、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部21、点群データ処理部22および高さ情報処理部23が機能的に構成される。
【0031】
制御部21は、廃棄物高さ情報検出装置Dの各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、廃棄物高さ情報検出装置D全体の制御を司るものである。
【0032】
点群データ処理部22は、複数の点群データ生成部1それぞれで生成した廃棄物DSの表面における一部分の各3次元点群データに基づいて、前記廃棄物DSの表面全体の3次元点群データを求めるものである。本実施形態では、点群データ処理部22は、複数の点群データ生成部1それぞれで生成した廃棄物DSの表面における一部分の各3次元点群データから、前記表面までの間に有る、視界を遮る障害物の3次元点群データを除去し、前記廃棄物DSの表面全体の3次元点群データを求める。より詳しくは、点群データ処理部22は、前記表面全体を複数の区画に区分けし、複数の区画それぞれについて、当該区画に対応する3次元点群データの中から最も低い3次元点群データを当該区画の区画3次元点群データとして選択することによって、前記除去を行う。そして、点群データ処理部22は、複数の区画それぞれにおける複数の区画3次元点群データそれぞれについて、互いに隣接する2個の区画3次元点群データ間に1または複数の点群データを補間することによって、前記表面全体の3次元点群データを求める。
【0033】
より具体的には、点群データ処理部22は、機能的に、統合部221、除去部222および補間部223を備える。
【0034】
統合部221は、複数の点群データ生成部1それぞれで生成した廃棄物DSの表面における一部分の各3次元点群データを、1セットの3次元点群データに統合するものである。より具体的には、予め適宜なワールド座標系(XYZ直交座標系等)が設定され、統合部221は、複数の点群データ生成部1それぞれで生成された各3次元点群データ(ローカル座標系での座標値)を、前記ワールド座標系での、複数の点群データ生成部1それぞれの各配設位置、に基づいて、前記ワールド座標系での3次元点群データに変換し、複数の点群データ生成部1それぞれで生成し変換した廃棄物DSの表面における一部分の各3次元点群データ(ワールド座標系での座標値)を、互いに重複する3次元点群データを1個に纏めることによって、1セットの3次元点群データに統合する。なお、前記重複は、完全に一致する場合だけでなく、予め適宜に設定された所定の範囲内で一致する場合を含んでもよい(すなわち、近傍な3次元点群データも1個に纏められてもよい)。
【0035】
除去部222は、複数の点群データ生成部1それぞれで生成した廃棄物DSの表面における一部分の各3次元点群データから、前記表面までの間に有る障害物の3次元点群データを除去し、前記廃棄物DSの表面全体の3次元点群データを求めるものである。より詳しくは、除去部222は、前記表面全体を複数の区画に区分けし、複数の区画それぞれについて、当該区画に対応する、統合部221で統合した3次元点群データの中から最も低い3次元点群データを当該区画の区画3次元点群データとして選択することによって、前記除去を行う。前記区画の大きさは、予め適宜に設定される。前記区画の大きさは、クレーンCRのバケットの大きさと同等以上にすることが好ましい。これによって、前記バケットの表面に対応する3次元点群データのみが属する区画の生成が防止され、廃棄物DSの高さ情報の検出が可能となる。
【0036】
補間部223は、複数の区画それぞれにおける複数の区画3次元点群データそれぞれについて、互いに隣接する2個の区画3次元点群データ間に1または複数の3次元点群データを補間することによって、前記表面全体の3次元点群データを求めるものである。補間には、例えば、線形内挿補間や最近傍補間やスプライン補間等の適宜な手法が利用される。なお、補間は、前記除去を実行することにより空間分解能が高さ情報の使用目的等の観点から不足する場合等の、必要な場合に実行されてよい。
【0037】
高さ情報処理部23は、廃棄物DSの表面全体の3次元点群データに基づいて前記廃棄物の高さに関わる高さ情報を求めるものである。前記高さ情報は、予め決定された所定の基準面から廃棄物DSの表面までの距離(長さ)である。例えば廃棄物DSの撹拌では、凸部を形成している廃棄物DSを、凹部を形成している箇所にクレーンCRで移動すればよいので、必ずしも廃棄物DSの高さである必要は無く、前記基準面から廃棄物DSの表面までの距離が分かれば、廃棄物DSにおける表面の凹凸状況が認識できる。例えば、前記基準面は、前記収容部(本実施形態では受入ピットPT)の上面(廃棄物DSを投入する投入面)であってよい。この場合では、受入ピットPTにおける廃棄物DSの表面までの深さが分かり、深い箇所は、凹部であり、浅い箇所は、凸部である。前記高さ情報は、この深さで表される。あるいは、例えば、前記基準面は、クレーンCRが稼動を終了して待機している待機位置を含む待機面であってよい。この場合では、クレーンCRの待機位置から廃棄物DSの表面までの距離が分かり、遠い箇所は、凹部であり、近い箇所は、凸部である。前記高さ情報は、前記距離で表される。あるいは、例えば、前記基準面は、前記収容部(本実施形態では受入ピットPT)の底面であってよい。この場合では、廃棄物DSの高さそのものが分かり、低い箇所は、凹部であり、高い箇所は、凸部である。
【0038】
ここで、前記基準面を前記ワールド座標系のXY平面に一致させることで(前記基準面=XY平面)、高さ情報処理部23は、統合部221と兼用でき、ローカル座標系での3次元点群データをワールド座標系での3次元点群データに変換することは、前記高さ情報の演算に相当する。
【0039】
これら制御処理部2、入力部3、出力部4、IF部5および記憶部6は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。これら各部2~6を構成するコンピュータは、例えば、オペレーションルームORに配置され、コンソールCLに組み込まれてよく(コンソールCLと兼用されてよく)、あるいは、コンソールCLと別体であってもよい。
【0040】
次に、本実施形態の動作について説明する。図3は、前記廃棄物高さ情報検出装置の動作を示すフローチャートである。図4は、廃棄物の表面までの間に障害物が無い場合において、第1および第2点群データ生成部で生成した各3次元点群データに対する統合処理を説明するための図である。図4Aは、第1点群データ生成部1-1で生成した3次元点群データの一例を示し、図4Bは、第2点群データ生成部1-2で生成した3次元点群データの一例を示し、図4Cは、図4Aに示す第1点群データ生成部1-1で生成した3次元点群データと、図4Bに示す第2点群データ生成部1-2で生成した3次元点群データとを統合した統合結果の点群データを示す。図5は、廃棄物の表面までの間に障害物が有る状況を説明するための受入ピットの様子を示す図である。図6は、廃棄物の表面までの間に障害物が有る場合において、第1および第2点群データ生成部で生成した各3次元点群データに対する統合処理を説明するための図である。図6Aは、第1点群データ生成部1-1で生成した3次元点群データの一例を示し、図6Bは、第2点群データ生成部1-2で生成した3次元点群データの一例を示し、図6Cは、図6Aに示す第1点群データ生成部1-1で生成した点群データと、図6Bに示す第2点群データ生成部1-2で生成した3次元点群データとを統合した統合結果の3次元点群データを示す。図7は、前記統合処理後の3次元点群データに対する除去処理を説明するための図である。図8は、前記除去処理後の3次元点群データに対する補間処理を説明するための図である。
【0041】
このような構成の廃棄物高さ情報検出装置Dは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部2には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部21、点群データ処理部22および高さ情報処理部23が機能的に構成され、点群データ処理部22には、統合部221、除去部222および補間部223が機能的に構成される。
【0042】
図3において、まず、廃棄物高さ情報検出装置Dは、複数の点群データ生成部1によって、廃棄物DSの表面における各一部分の各3次元点群データを生成し、取得する(S1)。本実施形態では、第1点群データ生成部1-1は、第1測定範囲の3次元点群データを生成し、制御処理部2へ出力し、第2点群データ生成部1-2は、第2測定範囲の3次元点群データを生成し、制御処理部2へ出力する。
【0043】
次に、廃棄物高さ情報検出装置Dは、点群データ処理部22の統合部221によって、処理S1で複数の点群データ生成部1それぞれで生成した廃棄物DSの表面における一部分の各3次元点群データを、1セットの3次元点群データに統合する(S2、統合処理)。
【0044】
次に、廃棄物高さ情報検出装置Dは、点群データ処理部22の除去部222によって、複数の点群データ生成部1それぞれで生成した廃棄物DSの表面における一部分の各3次元点群データから、ここでは処理S2で求めた1セットの3次元点群データから、廃棄物DSの表面までの間に有る障害物の3次元点群データを除去し、前記廃棄物DSの表面全体の3次元点群データを求める(S3、除去処理)。
【0045】
次に、廃棄物高さ情報検出装置Dは、点群データ処理部22の補間部223によって、3次元点群データを補間することによって、廃棄物DSの表面全体の3次元点群データを求める(S4、補間処理)。
【0046】
次に、廃棄物高さ情報検出装置Dは、高さ情報処理部23によって、廃棄物DSの表面全体の3次元点群データに基づいて前記廃棄物DSの高さ情報を求める(S5、高さ情報処理)。
【0047】
そして、廃棄物高さ情報検出装置Dは、この処理S5で求めた廃棄物DSの高さ情報を出力部4に出力し(S6)、本処理を終了する。なお、必要に応じて、前記高さ情報は、IF部5から外部の機器へ出力されてもよい。
【0048】
例えば、前記基準面は、受入ピットPTの底面に設定され、ワールド座標系でのXY平面とされる。このため、前記高さ情報は、廃棄物DSの高さそのものであり、高さ情報処理部23は、統合部221と兼用され、前記高さ情報処理S5は、前記統合処理S2と兼用される。廃棄物DSの表面までの間に障害物が無い場合では、処理S1によって、第1点群データ生成部1-1は、第1測定範囲の3次元点群データを生成し、制御処理部2へ出力し、第2点群データ生成部1-2は、第2測定範囲の3次元点群データを生成し、制御処理部2へ出力する。
【0049】
続いて、処理S5を兼用する処理S2によって、統合部221は、第1点群データ生成部1-1で生成された3次元点群データ(ローカル座標系での座標値)を、前記ワールド座標系での、第1点群データ生成部1-1の配設位置、に基づいて、前記ワールド座標系での3次元点群データに変換する。これによって例えば、図4Aに示す3次元点群データDA-1が求められる。第1死角に対応する部分BA-1の3次元点群データは、無い。統合部221は、第2点群データ生成部1-2で生成された3次元点群データ(ローカル座標系での座標値)を、前記ワールド座標系での、第2点群データ生成部1-2の配設位置、に基づいて、前記ワールド座標系での3次元点群データに変換する。これによって例えば、図4Bに示す3次元点群データDA-2が求められる。第2死角に対応する部分BA-2の3次元点群データは、無い。なお、3次元点群データは、X方向に沿ったデータも存在するが、図4では、説明の簡単化のため、YZ平面に平行な一断面での3次元点群データが示されている。図6ないし図8も同様である。そして、統合部221は、第1および第2点群データ生成部1-1、-2それぞれで生成し変換した廃棄物DSの表面における一部分の各3次元点群データ(ワールド座標系での座標値)を、互いに重複する点群データを1個に纏めることによって、1セットの3次元点群データに統合する。これによって、図4Aにおいて、第1死角に対応する部分BA-1の3次元点群データは、第2点群データ生成部1-2で生成され変換された3次元点群データが用いられ、図4Bにおいて、第2死角に対応する部分BA-2の3次元点群データは、第1点群データ生成部1-1で生成され変換された3次元点群データが用いられ、図4Aおよび図4Bにおいて、第1および第2点群データ生成部1-1、1-2それぞれで生成され変換された各3次元点群データにおける互いに重複する3次元点群データが1個に纏められ、図4Cに示す統合結果の3次元点群データCDaが求められる。
【0050】
続いて、処理S3および処理S4の各処理では、この例では障害物が無いので、実質的な処理が実行されずに、処理S6において、廃棄物DSの高さ情報、この例では廃棄物DSの高さそのもの、すなわち、廃棄物DSの表面全体における各3次元点群データが出力部4に出力される。これによって、図4Cに示す統合結果の3次元点群データCDaが出力部4に出力される。
【0051】
一方、例えば、前記基準面は、受入ピットPTの底面に設定され、ワールド座標系でのXY平面とされる。廃棄物DSの表面までの間に障害物、例えば図5に示すようにクレーンCRや廃棄物DSの凹所BTに対する稜線部分EDが有る場合では、処理S1によって、第1点群データ生成部1-1は、第1測定範囲の3次元点群データを生成し、制御処理部2へ出力し、第2点群データ生成部1-2は、第2測定範囲の3次元点群データを生成し、制御処理部2へ出力する。
【0052】
続いて、処理S5を兼用する処理S2によって、統合部221は、第1点群データ生成部1-1で生成された3次元点群データを、前記ワールド座標系での第1点群データ生成部1-1の配設位置に基づいて、前記ワールド座標系での3次元点群データに変換する。これによって、例えば、図6Aに示す3次元点群データDA-3が求められる。この図6Aに示す3次元点群データDA-3には、廃棄物DSの表面に対応する3次元点群データDA-3aが含まれるだけでなく、障害物のクレーンCRの表面に対応する3次元点群データDA-3bが含まれる。第1死角に対応する部分BA-1の3次元点群データは、無く、廃棄物DSの稜線部分EDで視界が遮蔽された部分に対応する部分BA-3の3次元点群データは、無い。統合部221は、第2点群データ生成部1-2で生成された3次元点群データを、前記ワールド座標系での第2点群データ生成部1-2の配設位置に基づいて、前記ワールド座標系での3次元点群データに変換する。これによって例えば、図6Bに示す3次元点群データDA-4が求められる。この図6Bに示す3次元点群データDA-4には、廃棄物DSの表面に対応する3次元点群データDA-4aが含まれるだけでなく、障害物のクレーンCRの表面に対応する3次元点群データDA-4bが含まれる。第2死角に対応する部分BA-2の3次元点群データは、無く、障害物のクレーンCRで視界が遮蔽された部分に対応する部分BA-4の3次元点群データは、無い。そして、統合部221は、第1および第2点群データ生成部1-1、-2それぞれで生成し変換した廃棄物DSの表面における一部分の各3次元点群データを、互いに重複する3次元点群データを1個に纏めることによって、1セットの3次元点群データに統合する。これによって、図6Aにおいて、第1死角に対応する部分BA-1の3次元点群データは、第2点群データ生成部1-2で生成され変換された3次元点群データが用いられ、図6Bにおいて、第2死角に対応する部分BA-2の3次元点群データは、第1点群データ生成部1-1で生成され変換された3次元点群データが用いられ、図6Aおよび図6Bにおいて、第1および第2点群データ生成部1-1、1-2それぞれで生成され変換された各3次元点群データにおける互いに重複する3次元点群データが1個に纏められ、図6Cに示す統合結果の3次元点群データCDbが求められる。
【0053】
続いて、処理S3によって、除去部222は、廃棄物DSの表面全体を複数の区画に区分けし、複数の区画それぞれについて、当該区画に対応する、統合部221で統合した3次元点群データの中から最も低い3次元点群データを当該区画の区画3次元点群データとして選択する。例えば、図6Cに示す統合結果の3次元点群データCDbは、Y軸方向に6個の区画に区分けされ、これら6個の区画それぞれについて、当該区画に対応する統合結果の3次元点群データCDbの中から、最も低い3次元点群データを当該区画の区画3次元点群データとして選択する。これによって、障害物の表面、この例ではクレーンCRの表面に対応する3次元点群データDA-3b、DA-4bが除去され、図7に示す除去後の3次元点群データDDが求められる。
【0054】
続いて、処理S4によって、補間部223は、前記6個の区画それぞれにおける6個の区画3次元点群データそれぞれについて、互いに隣接する2個の区画3次元点群データ間に、例えば、線形補間によって、3次元点群データを補間し、高さ情報としての表面全体の3次元点群データを求める。例えば、図7に示す除去後の3次元点群データDDにおいて、互いに隣接する2個の区画3次元点群データ間ごとに、線形補間によって、1個または2個の、破線の○で示す補間3次元点群データがそれぞれ生成され、図8に示す補間後の廃棄物DSの表面全体の3次元点群データが求められる。これによって、所望の空間分解能で廃棄物DSの表面全体の3次元点群データが生成され、特に、クレーンCRおよび廃棄物DSの凹所BTに対する稜線部分EDによって点群データ生成部1-1、1-2で生成できなかった前記部分BA-3の3次元点群データが補間で生成される。
【0055】
そして、処理S6によって、廃棄物DSの高さ情報、この例では、図8に示す廃棄物DSの表面全体の3次元点群データDAが出力部4に出力される。
【0056】
以上説明したように、実施形態における廃棄物高さ情報検出装置Dおよびこれに実装された廃棄物高さ情報検出方法では、複数の点群データ生成部1は、廃棄物DSの表面までの間に視界を遮る障害物が無い場合に、前記複数の点群データ生成部1それぞれの前記表面における各一部分を統合した統合結果が前記表面全体となるように、配設されているので、上記廃棄物高さ情報検出装置Dおよび廃棄物高さ情報検出方法は、廃棄物全体の高さ情報をより正確に検出できる。
【0057】
上記廃棄物高さ情報検出装置Dおよび廃棄物高さ情報検出方法は、廃棄物DSの表面までの間に有る、視界を遮る障害物の3次元点群データを除去し、前記表面全体の3次元点群データを求めるので、前記障害物があっても、廃棄物全体の高さ情報をより正確に検出できる。このため、既設の焼却施設に、後付けで、上記廃棄物高さ情報検出装置Dが設置でき、後付けで、クレーンが自動化できる。
【0058】
廃棄物DSまでの間に障害物が有る場合では、廃棄物DSの表面を表す3次元点群データは、最も低い3次元点群データである、と推察できる。上記廃棄物高さ情報検出装置Dおよび廃棄物高さ情報検出方法は、当該区画に対応する3次元点群データの中から最も低い3次元点群データを当該区画の区画3次元点群データとして選択するので、廃棄物DSまでの間に障害物が在っても、廃棄物全体の高さをより正確に測定できる。
【0059】
上記廃棄物高さ情報検出装置Dおよび廃棄物高さ情報検出方法は、互いに隣接する2個の区画3次元点群データ間に1または複数の3次元点群データを補間するので、廃棄物の高さ情報における空間分解能を向上できる。
【0060】
なお、上述の実施形態では、除去処理は、当該区画内の点群データの中から最も低い点群データを当該区画の区画3次元点群データとして選択することによって、実行されたが、前記除去処理は、これに限定されるものではない。例えば、クレーンCRの位置が例えばコンソールCLの操作情報等から特定され、この特定された位置の周辺領域に属する点群データを除去することで、前記除去処理が実行されてもよい。
【0061】
また、上述の実施形態において、廃棄物高さ情報検出装置Dは、廃棄物DSまでの間に障害物が有るか否かを判定し、判定結果に応じて除去処理S3および補間処理S4を実行してもよい。すなわち、前記判定の結果、廃棄物DSまでの間に障害物が有る場合には、除去処理S3および補間処理S4の各処理が順次に実行され、前記判定の結果、廃棄物DSまでの間に障害物が無い場合には、除去処理S3および補間処理S4の各処理がスキップされ、実行されない。前記障害物の有無の判定は、例えば、XY平面を、点群データ生成部1におけるX方向の空間分解能およびY方向の空間分解能で2次元マトリクス状に区分けすることによって、1個の区画に、Z方向に1個のみの3次元点群データが所属可能となるように、前記XY平面を複数の区画に区分けし、複数の区画それぞれについて、当該区画に対応する3次元点群データの個数が複数であるか否かを判定することによって実行できる。前記判定の結果、1または複数の区画で3次元点群データが複数であれば、廃棄物DSまでの間に障害物が有る、と判定され、前記判定の結果、全ての区画で3次元点群データが1または0であれば、廃棄物DSまでの間に障害物が無い、判定される。
【0062】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0063】
D 廃棄物高さ情報検出装置
1 点群データ生成部
1-1 第1点群データ生成部
1-2 第2点群データ生成部
2 制御処理部
22 点群データ処理部
23 高さ情報処理部
221 統合部
222 除去部
223 補間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8