IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サイベックス ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許-車両座席取付用チャイルドシート 図1
  • 特許-車両座席取付用チャイルドシート 図2
  • 特許-車両座席取付用チャイルドシート 図3
  • 特許-車両座席取付用チャイルドシート 図4
  • 特許-車両座席取付用チャイルドシート 図5
  • 特許-車両座席取付用チャイルドシート 図6
  • 特許-車両座席取付用チャイルドシート 図7
  • 特許-車両座席取付用チャイルドシート 図8
  • 特許-車両座席取付用チャイルドシート 図9
  • 特許-車両座席取付用チャイルドシート 図10
  • 特許-車両座席取付用チャイルドシート 図11
  • 特許-車両座席取付用チャイルドシート 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】車両座席取付用チャイルドシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20230912BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
B60N2/28
B60N2/42
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020133647
(22)【出願日】2020-08-06
(62)【分割の表示】P 2018512541の分割
【原出願日】2016-09-09
(65)【公開番号】P2020196441
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2020-08-25
(31)【優先権主張番号】202015104791.6
(32)【優先日】2015-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505222381
【氏名又は名称】サイベックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポス、マーティン
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02746097(EP,A1)
【文献】特表2015-521558(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00958959(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/28
B60N 2/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート要素(10)と、折り畳み要素(11)を含む側面衝撃保護要素とを有する自動車座席取付用チャイルドシートであって、
前記折り畳み要素(11)は、前記シート要素(10)の外壁に軸回転可能に取り付けられた近位端(17)と、前記外壁に対してロック着脱可能に構成された遠位端(20)とを有し、前記外壁の所定の幅内に位置付けられた休止位置から前記外壁の前記所定の幅の外側に位置付けられた機能位置にもたらされるか、またはその逆にもたらされることができ、
前記チャイルドシートは、前記側面衝撃保護要素をその休止位置または前記休止位置と機能位置との間の中間位置から前記機能位置へ自動的に移動されるように構成された位置変更装置を有し、
前記位置変更装置は、前記折り畳み要素(11)の前記遠位端(20)を前記外壁にロックするためのロック手段と、前記外壁に対する前記折り畳み要素(11)の前記遠位端(20)のロックを解除するためのロック解除手段と、ロック解除された前記折り畳み要素(11)の前記遠位端(20)を前記外壁から引き離すための引っ張り手段と、を有し、
前記機能位置にある前記折り畳み要素(11)は、前記シート要素(10)の前記外壁を超えてその長さの少なくとも50%からその長さの多くとも80%までが突出するように、前記シート要素(10)の前記外壁に部分的に埋め込まれている、ことを特徴とするチャイルドシート。
【請求項2】
シート要素(10)および側面衝撃保護要素を有する自動車座席取付用チャイルドシートであって、
前記側面衝撃保護要素は、折り畳み要素(11)を有し、
前記折り畳み要素(11)は、前記シート要素(10)の外壁に軸回転可能に取り付けられた近位端(17)と、前記外壁に対してロック着脱可能に構成された遠位端(20)とを有し、前記外壁の所定の幅内に位置付けられた休止位置から前記外壁の前記所定の幅の外側に位置付けられた機能位置にもたらされるか、またはその逆にもたらされることができ、
前記シート要素の外壁の支持セクション(16,19)は、前記折り畳み要素(11)の前記支持セクション(16,19)による回転軸(14)まわりの折り畳み動作および/または係合動作の間に前記折り畳み要素(11)が少なくとも一時的に案内されるように構成されている、ことを特徴とするチャイルドシート。
【請求項3】
シート要素(10)および側面衝撃保護要素を有する自動車座席取付用チャイルドシートであって、
前記側面衝撃保護要素は、折り畳み要素(11)を有し、
前記折り畳み要素(11)は、前記シート要素(10)の外壁に軸回転可能に取り付けられた近位端(17)と、前記外壁に対してロック着脱可能に構成された遠位端(20)とを有し
、前記外壁の所定の幅内に位置付けられた休止位置から前記外壁の前記所定の幅の外側に位置付けられた機能位置にもたらされるか、またはその逆にもたらされることができ、
前記シート要素の前記外壁の支持セクション(16,19)は、前記機能位置にある前記折り畳み要素(11)が前記支持セクション(16,19)内に受け入れられるように構成され、
前記機能位置にある前記折り畳み要素(11)は、前記シート要素(10)の前記外壁を超えてその長さの少なくとも50%からその長さの多くとも80%までが突出するように、前記シート要素(10)の前記外壁に部分的に埋め込まれている、ことを特徴とするチャイルドシート。
【請求項4】
前記機能位置にある前記折り畳み要素は、フラップ要素の部分のみが前記機能位置にある前記折り畳み要素の前記外壁を超えて突出するように、前記シート要素の前記外壁を超えて、その長さの少なくとも50%からその長さの多くとも90%までが突出するように、前記シート要素の外壁に部分的に埋め込まれている、ことを特徴とする請求項2に記載のチャイルドシート。
【請求項5】
前記機能位置から前記休止位置への移動は手動で行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項6】
前記チャイルドシートは、作動されると、休止位置または前記休止位置と機能位置との間の中間位置から前記機能位置へ前記側面衝撃保護要素が自動的に移動されるように、前記位置変更装置と協働することができる作動装置を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項7】
前記作動装置は、ロック解除ボタンである作動ボタン(12)を有する、ことを特徴とする請求項6に記載のチャイルドシート。
【請求項8】
前記休止位置において、前記折り畳み要素(11)が前記シート要素(10)の前記外壁(13)のなかに埋め込まれている、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項9】
前記位置変更装置は、少なくとも1つのばね(31)、および/または、前記シート要素(10)の前記外壁(13)の前記支持セクション(16,19)、および/または、前記回転軸(14)を受け入れるための長穴(15)を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のチャイルドシート。
【請求項10】
前記機能位置において、前記折り畳み要素(11)の前記近位端(17)は、前記シート要素(10)の前記外壁(13)の保持レセプタクルである保持要素(16)に保持されている、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項11】
前記支持セクションは、展開中において前記折り畳み要素(11)の前記近位端(17)が少なくとも一時的にその上で強制的に案内されるように構成されたガイドセクション(19)を有する、ことを特徴とする請求項2または3のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項12】
前記折り畳み要素(11)の近位端エッジ(18)は、少なくとも部分的に外側に湾曲するように構成され、および/または、前記支持セクションおよび/または前記ガイドセクション(19)および/または保持セクションは、凹部および/または湾曲したレセプタクルを有する、ことを特徴とする請求項11に記載のチャイルドシート。
【請求項13】
前記保持セクション(16)は前記ガイドセクションに隣接し、前記保持セクションは前記ガイドセクション(19)に対して曲がっている、ことを特徴とする請求項12に記載のチャイルドシート。
【請求項14】
前記機能位置において、前記折り畳み要素(11)は、前記折り畳み要素をその遠位端で引っ張ることのみによって、前記休止位置への移動が可能であるように位置決めされ、保持され、および/または、前記機能位置におけるロックが引っ張ることのみによってキャンセルされる、ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項15】
前記折り畳み要素(11)は、折り畳みに関しては前記機能位置にロックされる、ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項16】
前記折り畳み要素(11)は、展開しないように前記休止位置においてロックされることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項17】
前記折り畳み要素(11)は、近位-遠位方向に延び、および/または近位-遠位方向に直交する断面において弓形の形状をなす部分において、少なくとも部分的に実質的に平坦な上方側面および湾曲した下方側面を有する、ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項18】
前記折り畳み要素(11)は、前記機能位置で横方向外側に突出するアームとして設計されていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項19】
前記折り畳み要素(11)は、前記シート要素の後部セクションの上部領域に配置されていることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の自動車の座席に取り付けられるチャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
この文脈において、本発明の枠組みの中で、用語「チャイルドシート」は、(伝統的な)チャイルドシートおよびベビーシートの総称として理解されるべきであることに留意すべきである。したがって、本発明の枠内でチャイルドシートに備わる特徴は、逆に何も言及されていない限りにおいては、ベビーシートにも基本的に適用可能である。同様のことは「チャイルド」という用語にも当てはまり、チャイルドの用語は幼児ばかりでなく子供(小児)および乳幼児の総称としても理解される。
【0003】
チャイルドシートおよびベビーシートは、自動車の座席シートに取り付けできるものとして周知である。これらのチャイルドシートまたはベビーシートは、幼児、乳幼児および子供のための座席調節用具として使用され、特に事故の場合には着席者の保護を高める。この種のチャイルドシートは、自動車のシートベルトシステムまたはアイソフィックス戻り止め具(isofix detents)により固定される。この種の締結は、自動車の座席上にチャイルドシートを固定し、とくに後部衝突(衝撃)の場合に自動車の座席に保持され、前方に向けて投げ出されないようにしている。しかしながら、これらのシートは、側面衝撃を受けた場合に問題があることが判明している。なぜなら、ベルトの締め付けとアイソフィックス戻り止め具による締め付けは、座席シートの側方への移動に対するチャイルドシートまたはベビーシートの保護が不十分だからである。この理由のために、例えば国際公開2013/189819号公報に記載されているような側面衝撃保護要素をチャイルドシートに取り付けることが知られている。このチャイルドシートには、シートシェルおよびこれに適用される側面衝撃保護要素が設けられている。このシートシェルと側面衝撃保護要素は、休止位置から機能位置へ状態をもたらすことができる。側面衝撃保護要素は、チャイルドシートに座っている子供の背中の背後に横方向の力を伝達し、それらをシートシェルに導入するように配置されている。
【0004】
この種の側面衝撃保護要素によって安全性が高められる。しかしながら、従来品の側面衝撃の結果に対する保護は、さらなる改善が必要であると考えられている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、側面衝撃に対して改良された保護を特徴とする側面衝撃保護要素を提供することにあり、とくに側面衝撃保護要素の機能位置での操作性及び設定を単純化することにある。
【0006】
この目的は、請求項1に記載のチャイルドシートによって解決される。
【0007】
とくに、この目的は、シート要素、特にシートシェルと側面衝撃保護要素とを備える自動車用座席シートに取り付けるためのチャイルドシートによって解決される。側面衝撃保護要素は、好ましくは折り畳み要素を備え、とくに標準幅内に位置する休止位置から、とくに休止位置の外側に位置する機能位置に移動させ、逆に、チャイルドシートは、位置変更装置が、側方衝撃保護要素をその休止位置または休止位置と機能位置との間の中間位置からその機能位置へ自動的に移動させるようにする。この標準幅は、車輪、装備および車輪に使用することができる部品およびこれらの処分に基づいて承認された承認の再認定条件(1995年10月16日に施行された改正を含む改訂2)に基づく統一技術措置の採択に関する合意、E/ECE/324, E/ECE/TRANS/505, Rev.1/ADD.15/Rev. 2009年5月19日付けの附属書17 - 付録2の記載に基づいて440mmの幅とすることができる。本発明の要点は、位置変更装置が設けられ、側面衝撃保護要素をその機能位置に独立して(自動的に)移動させることができる点にある。本発明によれば、従来技術では人の手で達成される機能位置への残存または移動の結果として、例えばロックが(正しく)トリガされていない場合は、安全性の抜け穴が存在するか、または休止位置と機能位置との間の1つの中間位置のみが設定される。したがって、側面衝撃保護要素をその機能位置に移動させるための位置変更装置の作業は、ユーザーから取り除かれる。よって、全体的に安全性が高まることになる。
【0008】
基本的に独立した態様(これまでの態様と組み合わせることもできる)によれば、シート要素(シートシェル)と側面衝撃保護要素とを備える自動車座席シートに取り付けるための特にチャイルドシートが提案されている。これはとくに標準幅内に位置する休止位置から、特に休止位置の外側に位置する機能位置にもたらされ、逆に、側面衝撃保護要素が折り畳み要素を含み、折り畳み要素がシート要素の外壁の支持部分による折り畳みおよび/または係合の間に少なくとも一時的に案内されるように、シート要素の外壁の支持部分が構成されている。これに代えてまたはこれに加えて、機能位置(折り畳まれていない状態)の折り畳み要素は、シート要素の(外壁)の支持部分(保持または接触)に受け入れることができる。
【0009】
本発明の中心的な態様は、折り畳み要素をその休止位置からその機能位置に移動させるため、または折り畳み要素の機能位置に受け入れ(保持)するためのシート要素の外壁の使用である。その結果、チャイルドシートの構造が簡単になり、誤動作を起こしにくくなる。とくに、国際公開2013/189819号公報に記載されているように、保持ボルトを使用するときに起こり得る誤動作が回避される。
【0010】
好ましくは、位置変更装置と協働するように構成された作動装置が提供され、該作動装置が作動しているときまたは作動したときに、位置変更装置は、側方衝撃保護要素をその休止位置またはその休止位置と機能位置との間の中間位置から自動的に移動させる。これにより操作がさらに簡単になる。
【0011】
ここで「中間位置」は、とくに側面衝撃保護要素が休止位置から機能位置に部分的にしか移動されない位置であると理解されるべきであり、例えば、部分的に折り畳まれるだけである(例えば、80%、さらに好ましくは全開角度の10~60%であり、例えば部分的に、特に伸縮式に、例えば全延伸距離の10~90%、特に10~60%だけ延びている)。一般に、中間位置は、側面衝撃保護要素の遠位端が、休止位置と機能位置との間の移動中に横方向にその距離の10~90%、好ましくは10~60%を覆う場合に存在することができる。
【0012】
原理的には、(セクション内で少なくとも)側面衝撃保護要素は、折り畳まれ、枢動され、伸び、および/または押し出され、および/または伸縮式に引っ張られて、機能位置に移動する。
【0013】
好ましくは、作動装置は、作動ボタン、好ましくはロック解除ボタン、特にプッシュボタンまたはスライドボタンを備える。これにより、操作性がより一層簡易化され、安全性が向上する。
【0014】
特定の実施形態では、折り畳み要素および/または作動装置を支持要素の外壁に埋め込むことができる。あるいは、シート要素の外壁の隣接する面に対してオーバーハングを有する横方向の取り付けも可能である。特に、折り畳み要素および/または作動装置は、シート要素の外壁の中に折り畳むことができる。このようにして、チャイルドシートが所定の幅を超えて突出しないようにすることができ、とくに側面衝撃保護要素を休止位置に設けた結果、チャイルドシートの標準幅または包絡線が保証される。折り畳み要素が適所にあり、チャイルドシートの通常の幅を超えず、これらはさらにチャイルドシートの扱いやすさにおいて有利である。好ましくは、機能位置において、折り畳み要素は、シート要素の外壁に部分的に埋め込まれ、折り畳み要素の一部のみが外壁の上に突出する。好ましくは、機能位置において、折り畳み要素は、シート要素の外壁に対してその長さの少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも70%突出するが、しかし最大90%、好ましくは80%まで突出する。
【0015】
特定の実施形態では、位置変更装置は、少なくとも1つのばね、特に1つの引張りばねを備える。これに代えてまたはそれに加えて、シート要素の外壁の支持部分は、位置変更装置の一部であってもよい。さらに、好ましくは折畳み要素内に、回転軸の受け入れのために(スライドして)長穴を設けることができる。ばねによって、簡単な方法で力を提供することができ、この力は、側面衝撃保護要素をその機能位置に押す。シート要素の外壁の部分がシート移送装置の一部として使用される場合、構造全体が簡素化され、安全性も向上する。(例えば、シート要素上の固定位置に取り付けられた)回転軸の受け入れ(摺動)のための長穴は、折り畳み要素を簡単な方法で同時に回転させ、(それが特にロックされている)機能位置に移送することを可能にする。したがって、このような長穴は、一般に、折り畳み要素の回転および並進変位を同時に可能にする。これにより全体的に取り扱いがさらに単純化される。
【0016】
好ましくは、機能位置において、折り畳み要素の近位端は、特に、シート要素の外壁の保持部分(保持容器)に係合して保持される。したがって、折り畳み要素自体が、別の方法で設けられたシート要素の外壁と協働して、保持機能または係合機能を可能にする。
【0017】
好ましくは、支持部は、折畳み要素の近位端が少なくとも一時的に(展開中に)ガイド部上で強制的に案内されるように構成されたガイド部を有する。とくに、ガイド部は、展開中においてばね力(または他の圧縮力または引張り力)により近位端がガイド部に押し付けられ、ガイド部に沿って摺動するように形成される。一方では、これにより規定された折り畳み動作が可能となり、他方では、折り畳み中に構造全体の安定性を向上させる一定の支持も提供される。全体的に、暗黙のうちに安全性の向上にとって重要性をもつ少数の構成要素で取り扱いが容易になる。
【0018】
折り畳み要素の近位端縁は、少なくとも部分的に外側に湾曲する(凸状になる)ように構成することができる。代替的にまたは追加的に、支持セクションおよび/またはガイドセクションおよび/または保持セクション(保持レセプタクル)は、凹部および/または(内側に)湾曲した(凹状の)レセプタクルを有することができる。折り畳み要素または支持セクションまたは支持セクションの部分の全体的な形成は、折り畳み要素の案内および保持(係合)を簡単にすることを可能にする。これによって操作が簡単になる。
【0019】
保持セクションは、ガイドセクションに隣接することができる。保持セクションは、ガイドセクションに対して湾曲していることが好ましい。その結果、一方では折り畳み要素が簡単かつ効果的に案内され、(この境界を越えたときに)保持セクション内に滑り込ませる(そして任意にそこに係合される)ことができるように、保持セクションとガイドセクションとの間に明確な境界が存在する。これにより、チャイルドシートの機能、とくに取扱いと操作が簡単になる。
【0020】
機能位置において、折り畳み要素は、折り畳み要素を(例えば、その遠位端で)引っ張ることによって、休止位置への移動が可能である(唯一の)ことができるように、機能位置は、引っ張ることによって(のみ)キャンセルすることができる。一般に、機能位置から休止位置への移動は自動的には行われない(しかし、場合によっては独立して行われてもよい)が、休止位置から機能位置への移動に関しては従来技術のように手動で行われる。これにより、システム全体がさらに簡素化される。とくに、逆の場合(機能位置から休止位置への移行)には、休止位置が最終的に完全に到達するか中間位置が存在するかは安全性に乏しいことが確認されている。
【0021】
好ましくは、折り畳み要素は、とくに(その休止位置への)(望ましくない)折り畳みに関して機能位置にロックされる。これは安全性を改善する。
【0022】
折畳み要素、とくに近位-遠位方向に延びる部分は、湾曲するように構成することができる。この考え方は、独立して(場合によっては、上記の態様の1つ以上と組み合わせて)開示され、かつ請求されている。折畳み要素の湾曲したデザインの結果として、これは、省スペースの方法で、休止位置に移送することができ、同時に、側面衝撃から効果的に保護することができる。折畳み要素は、少なくとも部分的に、近位-遠位方向に直交する断面において弓形の形状にすることができる。好ましくは、折畳み要素は、(少なくとも実質的に)平坦な上方側面と、近位-遠位方位に直交する断面における湾曲した下方側面とを有する。このような手段の結果として、折畳み要素をシート要素の外壁に効果的に埋め込むことができ(全体的に、省スペースでありながら効果的なデザインが可能になる)。近位-遠位方位は、折り畳み要素の近位端から遠位端まで延びる方向によって画定される。
【0023】
原理的には、横方向に取り付けられた側面衝撃保護要素または折り畳み要素を1つだけ設けることができる。しかしながら、対応する側面衝撃保護要素がチャイルドシートの両面に設けられているほうが有利である。これらは、(それぞれの構造のそっくりそのままの引き写しとは別に)同じように構成することができる。また、2つ以上の側面衝撃保護要素(上述したように)だけを提供することも可能であり、例えば両側にそれぞれ2つずつ設けることが可能である。
【0024】
本発明のさらなる実施形態は、従属請求項から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明によるチャイルドシートのセクションを示す概略側面図である。
図2図2は、図1のチャイルドシートの他のセクションを示す図である。
図3図3は、チャイルドシートの他のセクションとして、チャイルドシートの内部の一部が露出しているところを示す図である。
図4図4は、部分的に折り畳まれた折り畳み要素を有する図3と同様のチャイルドシートのセクションを示す図である。
図5図5は、完全に折り畳まれた折り畳み要素を有する図3および図4と同様のチャイルドシートのセクションを示す図である。
図6図6は、折り畳まれた折り畳み要素を有するチャイルドシートを示す概略側面図である。
図7図7は、チャイルドシートの一部を通してチャイルドシートのセクションを示す図である。
図8図8は、折り畳み要素の第2の位置における図7と同様のセクションを示す図である。
図9図9は、折り畳み要素のさらなる位置における図7および図8と同様のセクションを示す図である。
図10図10は、折り畳み要素の機能位置における図7図9と同様のセクションを示す図である。
図11図11は、チャイルドシートの一部を露出させたチャイルドシートのセクションを示す図である。
図12図12は、本発明のチャイルドシートの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して詳細に説明する例示的な実施形態を参照して、本発明を説明する。
【0027】
以下の説明において、同一の参照番号は、同じ効果を有する同一の部分および部品について使用される。
【0028】
図1は、図12によるチャイルドシートの上部の側面図を示す。チャイルドシートは、シート要素10(シートシェル)と側面衝撃保護要素、すなわち折り畳み要素11とロック解除ボタン12とを備えている。図1および図2、特に図2に見られるように、折り畳み要素11および解錠ボタン12の両者は、ロック解除ボタン12および折り畳み要素11(図2参照)がシート要素10の外面の隣接するセクション内に少なくとも実質的に同一平面を越えるように、両方ともシート要素10の外面13に埋め込まれている。さらに、図1図2において、折り畳み要素11およびロック解除ボタン12に隣接する外面13の部分が(比較的平坦な)突起を形成していることが分かる。その結果、折り畳み要素は既に外側に幾分変位しており、それによって側面衝撃保護が改善される。
【0029】
本実施形態によれば、ロック解除ボタン12は、軸方向に取り付けられているが、スライドボタンであってもよいし、さらに異なるデザインであってもよい。しかしながら、ロック解除ボタンは押しボタンとして構成されていることが好ましい。
【0030】
ロック解除ボタン12または折り畳み要素11は、(例えば、これから突出して)外面13に取り付けることもできる。
【0031】
図1図2において、折り畳み要素11は、その休止位置に配置されている。
【0032】
図3の視野において、チャイルドシートの内部を部分的に見ることができ、折り畳み要素11がさらに詳細に示されている。とくに、折り畳み要素11は、折り畳み要素11に設けられた長穴15によって軸14(図7図9参照)に取り付けられていることが分かる。その結果、折り畳み要素11は、一方では軸14まわりに回転し、他方では、この軸を有する長穴15に沿ってスライドすることができる。折畳み要素11の近位端17用のレセプタクル16は、図3からさらに導き出すことができる。このレセプタクル16は、(図3には示していない)機能位置において折り畳み要素を受け入れることができる。レセプタクル16(ポケット)は、別個の部品として実施形態に従って構成されているが、(直接的に)シート要素(シートシェル)の一部として、すなわちシート要素の外壁と一体に構成されてもよい。以下でさらに詳細に説明するように、作動ボタン12を作動させたときに折り畳み要素11を外方に回転させてその機能位置を採用することができるようにする力を提供する引張りばね(図3では見ることができない)が示されている。
【0033】
図4は、作動ボタン12(図1図2参照)が押された直後に採られる状態を示す。原理的には、これは、折り畳み要素11を図3の休止位置から図5の機能位置に移動させるための移動シーケンス(回転)の間に任意に選択された中間位置である。したがって、図5は、機能位置、すなわち折り畳み要素11の端部位置を示している。この位置では、折り畳み要素11の近位端17がレセプタクル16に受け入れられている。図3図5に見られるように、端部エッジ18は、折り畳み要素11の近位端17で曲げられる(凸状になる)ように構成される。同様に、レセプタクル16も曲げられる(凹状になる)ように構成されている。したがって、近位端17は、レセプタクル16に接触して取り付けることができる。全体的に有利な緊密な取り付けが達成される(以下に詳細に説明する)。
【0034】
図6に、ピボットアウトされた折り畳み要素11を備えたチャイルドシートの側面視野の一部を示す。ここで、シート要素10は、折り畳み要素11の近位端17が折り畳みから外れるときにスライドすることができるガイド面19を有することが分かる。ばね(ここでは見ることができない)は、その近位端17またはその端部エッジ18がガイド面19に押し付けられることを保証する。また、ガイド面19は、(断面で)凸状に、すなわち外側に湾曲して構成されている。
【0035】
図1図6に見られるように、折り畳み要素は、近位端18から遠位端20(図6参照)まで延びる方位によって規定される近位-遠位方位に湾曲してデザインされる。その結果、折り畳み要素11は、特に有利には外壁13にぴったりと合わされる。
【0036】
近位-遠位方向に直交する断面において、折り畳み要素11は、平坦な上方側面21および湾曲した下方側面22を有し、ここで「上方」は、折り畳まれた状態では、この面がシート要素10から離れており、「下方」は、対応する面が折り畳み状態のシート要素のほうを向いているという事実に関連する。折畳み要素の横断面は、近位-遠位方位においてほぼ半月形の形状である(したがって、上方側面21は少なくともわずかに凹状となるように構成することができる)。
【0037】
全体としてガイド面19(図6参照)は、折畳み要素11がばねと協働してその機能位置に回転できることを確実にする。
【0038】
ばねとの協働は、図7図11から推測することができる。図7に、チャイルドシートの一部の断面を示す。折り畳み要素11は、その休止位置に配置される。作動ボタン12(図7には図示せず、例えば図1図2を参照)が作動されると、(図7には示されていない)折り畳み要素11の遠位端20(図6参照)が、図7に示すばね要素31のばね力の結果として、折り畳み要素11の近位端17がレセプタクルまたはガイド面19に沿って摺動する(これは図8に示されている)。
【0039】
理解を深めるために、ばね要素31がこれらのサスペンションポイント32の間に作用するか、またはこれらのサスペンションポイント32に作用することに注意すべきである(したがって、図面に示されるばねは純粋に概略的に理解される)。
【0040】
近位端17がガイド面19に沿ってスライドする間に、折り畳み要素11は、図9に示す中間位置に達するまで、軸14を中心にして回転する。この中間位置において、先端エッジ18は(正確には)ガイド面19とレセプタクル16との間の位置にある。ばね31がさらに作用する場合(またはその理由で)、近位端17は、図10の終点位置(機能位置)に達するまで、レセプタクル16内にスライドする。このレセプタクル16内への近位端17の滑り込みの間に、軸14は長穴15に沿ってスライドする。この理由から、長穴15は近位-遠位方位のほうを向いている。
【0041】
図11に、機能位置にある折畳み部分11を示す。折り畳み部分11がここで矢印23の方向に引っ張られると、近位端17はレセプタクル16から外れて(図9および図10の逆の場合を参照)、図9による位置に達した後に折り畳み部分11を再び折り畳むことができ、それによって折り畳み部分11を休止位置に持ち込むことができる。これは、克服されるべきばねの引張り力に抗して手動で達成される。
【0042】
折り畳み要素(アーム)をその平坦な(閉じた)位置に戻すには、これを短時間引っ張り上げてから、回転してロック位置に戻すことができる。
【0043】
レセプタクル16(ポケット)は、後端衝突(衝撃)の場合、折り畳み要素11がしっかりと支持して保持され、全体的に側面衝撃保護機能をシンプルに改善するという利点がある。
【0044】
本明細書の記述説明は、横方向に取り付けられた1つの側面衝撃保護要素または折り畳み要素11に対して詳細に関連している。しかし、対応する側面衝撃保護要素がチャイルドシートの両面に設けられるほうが有利である。これら(各構造のそっくりそのままの引き写しを除いて)は、同一に構成することができる。また、2つより多くの側面衝撃保護要素(上述したように)を提供することも実現可能であり、例えば両側にそれぞれ2つずつ設けることができる。
【0045】
この時点で、それ自体で、かつ任意の組合せで、特に図面に示された詳細で見られるときに、上述した全ての部分が本発明に必須であると主張されることに留意すべきである。これに対する補正は、当業者によく知られているところである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]シート要素(10)特にシートシェルおよび側面衝撃保護要素を有し、好ましくは折り畳み要素(11)を有する自動車座席取付用チャイルドシートであって、前記折り畳み要素は、特に標準幅内に位置付けられた休止位置の外側に位置付けられた機能位置にもたらされるか、またはその逆にもたらされることができ、前記チャイルドシートは、前記側面衝撃保護要素をその休止位置または前記休止位置と機能位置との間の中間位置から前記機能位置へ自動的に移動されるように構成された位置変更装置を有する、ことを特徴とするチャイルドシート。
[2]シート要素(10)特にシートシェルと、特に標準幅内に位置付けられた休止位置の外側に位置付けられた機能位置に持っていくことができるか、またはその逆に持っていくことができる側面衝撃保護装置とを有する、特に[1]に記載のチャイルドシートであって、前記側面衝撃保護装置は、折り畳み要素(11)を有し、前記シート要素の外壁の支持セクション(16,19)は、前記折り畳み要素(11)の前記支持セクション(16,19)による折り畳みおよび/または係合の間に前記折り畳み要素(11)が少なくとも一時的に案内されるように、および/または、前記機能位置にある前記折り畳み要素(11)が前記支持セクション(16,19)に受け入れられるように構成されている、ことを特徴とする[1]に記載のチャイルドシート。
[3]前記チャイルドシートは、作動されると、休止位置または前記休止位置と機能位置との間の中間位置から前記機能位置へ前記側面衝撃保護装置が自動的に移動されるように、前記位置変更装置と協働することができる作動装置を有する、ことを特徴とする[1]または[2]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[4]前記作動装置は、作動ボタン(12)、好ましくはロック解除ボタン、特にプッシュボタンまたはスライドボタンを有する、ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1に記載の、とくに[3]に記載のチャイルドシート。
[5]前記休止位置において、前記折り畳み要素(11)および/または前記作動装置(12)が前記支持要素(10)の前記外壁(13)のなかに埋め込まれている、ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[6]前記位置変更装置は、少なくとも1つのばね(31)特に引張ばね、および/または、前記シート要素(10)の前記外壁(13)の支持セクション(16,19)、および/または、回転軸(14)を受け入れるために好ましくは前記折畳み要素(11)内に設けられている長穴(15)を有する、ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[7]前記機能位置において、前記折り畳み要素(11)の近位端(17)は、保持要素(16)、特に前記シート要素(10)の前記外壁(13)の保持レセプタクルに保持されている、ことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[8]前記支持セクションは、展開中において前記折り畳み要素(11)の前記近位端(17)が少なくとも一時的にその上で強制的に案内されるように構成されたガイドセクション(19)を有する、ことを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[9]前記折り畳み要素(11)の近位端エッジ(18)は、少なくとも部分的に外側に湾曲するように構成され、および/または、前記支持セクションおよび/または前記ガイドセクションおよび/または前記保持セクションは、凹部および/または湾曲したレセプタクルを有する、ことを特徴とする[1]乃至[8]のいずれか1に記載の、とくに[8]に記載のチャイルドシート。
[10]前記保持セクション(16)は前記ガイドセクションに隣接し、前記保持セクションは好ましくは前記ガイドセクションに対して曲がっている、ことを特徴とする[1]乃至[9]のいずれか1に記載の、とくに[8]または[9]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[11]前記機能位置において、前記折り畳み要素(11)は、前記折り畳み要素を例えばその遠位端で引っ張ること(のみ)によって、前記休止位置への移動が可能であるように位置決めされ、保持され、特に前記機能位置におけるロックが引っ張ること(のみ)によってキャンセルされる、ことを特徴とする[1]乃至[10]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[12]前記折り畳み要素(11)は、特に折り畳みに関しては前記機能位置にロックされる、ことを特徴とする[1]乃至[11]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[13]前記折り畳み要素(11)は、特に近位-遠位方向に延び、および/または近位-遠位方向に直交する断面において弓形の形状をなすセクションにおいて、少なくとも部分的に、特に(少なくとも実質的に)平坦な上方側面および湾曲した下方側面を有する、ことを特徴とする[1]乃至[12]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
【符号の説明】
【0046】
10…シート要素、11…折り畳み要素、12…ロック解除ボタン、13…外面、14…軸、
15…長穴、16…レセプタクル、17…近位端、18…端部エッジ、19…ガイド面、
20…遠位端、21…上方側面、22…下方側面、23…矢印、
31…ばね要素、32…サスペンションポイント。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12