(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】伸長可能であって自動的に収縮可能な環状部材とその利用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
A61M5/32 500
(21)【出願番号】P 2020507049
(86)(22)【出願日】2018-08-13
(86)【国際出願番号】 US2018046508
(87)【国際公開番号】W WO2019033103
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-27
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517229774
【氏名又は名称】ウエスト ファーマスーティカル サービシーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】マケルロイ・テリー
(72)【発明者】
【氏名】ダウリング・コリン
(72)【発明者】
【氏名】ダウリング・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】マクガリー・マーティン
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0256827(US,A1)
【文献】特開平07-174278(JP,A)
【文献】特表2014-519883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の長軸に対して同軸に並んだ筒状の外面と筒状の内面、上面、および底面を含む、連続的な剛性本体と、
複数の回転軸を含む少なくとも1つのアコーディオン領域と、
前記外面から径方向において外側へ
伸びており、スリーブの対応するスロットに結合するように構成されている少なくとも1本の案内ピンと
を備え、
前記内面は前記上面から前記底面までの範囲で中空部を区切っており、
前記上面と前記底面とは、
それぞれの平面に制限されており、前記内面の各端を囲んでいる通路
を含み、
前記アコーディオン領域は、径方向において伸長可能であって、自動的に収縮可能であり、
前記複数の回転軸のうち少なくとも2本は、前記長軸から径方向において異なる距離だけ間隔を空けている
ことを特徴とする可撓性環状部材。
【請求項2】
前記複数の回転軸は、前記長軸に対して平行に向いている回転軸の列を複数含む、請求項1に記載の可撓性環状部材。
【請求項3】
前記複数の回転軸は、筒状に並んだ複数の内側回転軸と、筒状に並んだ複数の外側回転軸とを含む、請求項2に記載の可撓性環状部材。
【請求項4】
前記複数の回転軸の列はそれぞれ、前記アコーディオン領域が変形する間、前記長軸に対して平行な向きを維持するように構成されている、請求項2に記載の可撓性環状部材。
【請求項5】
前記剛性本体は可塑性材料から成る、請求項1に記載の可撓性環状部材。
【請求項6】
前記剛性本体の弾性エネルギー係数は0MPaと4MPaとの間である、請求項5に記載の可撓性環状部材。
【請求項7】
前記剛性本体の弾性エネルギー係数は0MPaと2.5MPaとの間である、請求項5に記載の可撓性環状部材。
【請求項8】
前記外面から径方向において内側へ、または前記内面から径方向において外側へ伸びている少なくとも1つのスロット
を更に備えている、請求項1に記載の可撓性環状部材。
【請求項9】
前記上面と前記底面との少なくとも一方には半トロイダル形状の窪みがある、請求項1に記載の可撓性環状部材。
【請求項10】
前記剛性本体は、前記上面と前記底面との少なくとも一方から伸びている半トロイダル形状の突起を含む、請求項1に記載の可撓性環状部材。
【請求項11】
前記剛性本体は、前記長軸に対して横方向に広がる面を含む径方向の棚を有する、請求項1に記載の可撓性環状部材。
【請求項12】
共通の長軸に対して同軸に並んだ筒状の外面と筒状の内面、連続的な環状の上面、および連続的な環状の底面を含む剛性本体と、
複数の内側回転軸列、および複数の外側回転軸列を含む少なくとも1つのアコーディオン領域と、
前記外面から径方向において外側へ
伸びており、スリーブの対応するスロットに結合するように構成されている少なくとも1本の案内ピンと
を備え、
前記内面は前記上面から前記底面までの範囲で中空部を区切っており、
前記アコーディオン領域は、径方向において伸長可能であって、自動的に収縮可能であり、
前記複数の内側回転軸列は、前記長軸に対して平行に揃っており、前記長軸から径方向において第1距離に位置し、
前記複数の外側回転軸列は、前記長軸に対して平行に揃っており、前記長軸から径方向において、前記第1距離よりも大きい第2距離に位置している
ことを特徴とする可撓性環状部材。
【請求項13】
前記複数の内側回転軸列と外側回転軸列とはそれぞれ、前記アコーディオン領域が変形する間、前記長軸に対して平行な向きを維持するように構成されている、
請求項12に記載の可撓性環状部材。
【請求項14】
前記剛性本体は可塑性材料から成る、
請求項12に記載の可撓性環状部材。
【請求項15】
前記剛性本体の弾性エネルギー係数は2.5MPa未満である、
請求項14に記載の可撓性環状部材。
【請求項16】
前記外面から径方向において内側へ、または前記内面から径方向において外側へ伸びている少なくとも1つのスロット
を更に備えている、
請求項12に記載の可撓性環状部材。
【請求項17】
前記上面と前記底面との少なくとも一方には半トロイダル形状の窪みがある、
請求項12に記載の可撓性環状部材。
【請求項18】
前記剛性本体は、前記上面と前記底面との少なくとも一方から伸びている半トロイダル形状の突起を含む、
請求項12に記載の可撓性環状部材。
【請求項19】
前記剛性本体は、前記長軸に対して横方向に広がる面を含む径方向の棚を有する、
請求項12に記載の可撓性環状部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2017年8月11日を出願日とする米国特許仮出願第62/544,202号に対する優先権主張を伴うものであり、その内容全体がここには参照によって組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
ある製品を、多くの便利な応用の際に覆えること、または保護できることが望まれている。その製品は、幅の広い先端と、幅の狭い領域と、幅の広い領域とを含む。しかし、その幅の広い端に保護具を滑り込ませることは難しい。実際、このことは、自動化された組み立て設備を使用する際に製造上の困難となる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、硬いけれども伸長可能であり、自動的に収縮可能な環状部材と、その利用方法とを対象としている。環状部材は様々な目的で利用可能である。たとえば、2つのシャフトを1つに結合したり、部品の間に軸方向の間隔を空けさせたり、同軸の部品間の回転を径方向において遮断し、または分離させたりする。たとえば、環状部材は、注射器のシリンダ、またはその他の注入システムを注射器の安全システムに結合させるのに利用可能である。
【0004】
可撓性環状部材は剛性本体を含んでもよい。剛性本体は、共通の長軸に対して同軸に並んだ筒状の外面と筒状の内面、上面、および底面を含む。内面は上面から底面までの範囲で中空部を区切っていてもよい。上面と底面とはそれぞれが閉通路を含んでいてもよい。閉通路は上面と底面とのそれぞれの平面に制限されており、内面の各端を囲んでいる。可撓性環状部材は、複数の回転軸を含む少なくとも1つのアコーディオン領域を更に含んでいてもよい。複数の回転軸のうち少なくとも2本は、上記の長軸から径方向において異なる距離だけ間隔を空けている。アコーディオン領域は径方向において変形するように構成されている。
【0005】
可撓性環状部材のある実施形態では、複数の回転軸が、上記の長軸に対して平行に向いている回転軸の列を複数含んでいてもよい。複数の回転軸は、筒状に並んだ複数の内側回転軸と、筒状に並んだ複数の外側回転軸とを含んでいてもよい。複数の回転軸の列はそれぞれ、アコーディオン領域が変形する間、上記の長軸に対して平行な向きを維持するように構成されていてもよい。剛性本体は可塑性材料、すなわち自由に変形可能な材料から成っていてもよい。剛性本体の弾性エネルギー係数は0MPaと4MPaとの間、好ましくは0MPaと3MPaとの間、更に好ましくは0MPaと2.5MPaとの間である。剛性本体は、径方向に伸びている案内ピンを少なくとも1本含んでいてもよい。内面と外面とには少なくとも1つのスロットが開いていてもよい。上面と底面との少なくとも一方には、ドーナツを横に割った形状(半トロイダル形状)の窪みがあってもよい。剛性本体は上面と底面との少なくとも一方から伸びている半トロイダル形状の突起を含んでいてもよい。剛性本体は、長軸に対して横方向に広がる面を含む径方向の棚を有していてもよい。
【0006】
可撓性環状部材は剛性本体を含んでいてもよい。剛性本体は、共通の長軸に対して同軸に並んだ筒状の外面と筒状の内面、切れ目のない環状の上面、および切れ目のない環状の底面を含む。内面は上面から底面までの範囲で中空部を区切っていてもよい。可撓性環状部材は少なくとも1つのアコーディオン領域をも含んでいてもよい。アコーディオン領域は複数の内側回転軸列と複数の外側回転軸列とを含む。複数の内側回転軸列は、上記の長軸に対して平行に向いており、その長軸から径方向において第1距離に位置している。複数の外側回転軸列は、上記の長軸に対して平行に向いており、その長軸から径方向において、第1距離よりも大きい第2距離に位置している。アコーディオン領域は径方向において変形するように構成されている。
【0007】
ある実施形態では、複数の回転軸列はそれぞれ、アコーディオン領域が変形する間、長軸に対して平行な向きを維持するように構成されていてもよい。剛性本体は可塑性材料、すなわち自由に変形可能な材料から成っていてもよい。剛性本体の弾性エネルギー係数は0MPaと4MPaとの間、好ましくは0MPaと3MPaとの間、更に好ましくは0MPaと2.5MPaとの間である。剛性本体は、径方向に伸びている案内ピンを少なくとも1本含んでいてもよい。内面と外面とには少なくとも1つのスロットが開いていてもよい。上面と底面との少なくとも一方には、半トロイダル形状の窪みがあってもよい。剛性本体は、上面と底面との少なくとも一方から伸びている半トロイダル形状の突起を含んでいてもよい。剛性本体は、長軸に対して横方向に広がる面を含む径方向の棚を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以上の概要は、以下に続く詳細な説明と共に、添付の図面と関連付けて読まれるとよく理解されるであろう。以下の説明と図面とは、実施形態を好ましい実施形態の1つに限定することを意図してはいないことは理解されるべきである。それとは反対に、請求の範囲で定義されたような、説明された実施形態の精神と範囲との中での変形、修正、および均等物にも及ぶことを意図している。
【0009】
【
図1】可撓性環状部材の実施形態の一例を示す斜視図である。
【
図2】可撓性環状部材の実施形態の別例を示す斜視図である。
【
図4】可撓性を持つ要素の例を示す可撓性環状部材の上面図である。
【
図6】可撓性環状部材の形の例を示す上面図である。
【
図7】可撓性環状部材の形の例を示す上面図である。
【
図8】可撓性環状部材の形の例を示す上面図である。
【
図9】可撓性環状部材の形の例を示す上面図である。
【
図10】可撓性環状部材の形の例を示す上面図である。
【
図11】可撓性環状部材の形の例を示す上面図である。
【
図12】可撓性環状部材の形の例を示す上面図である。
【
図13】可撓性環状部材の形の例を示す上面図である。
【
図14】可撓性環状部材の形の例を示す上面図である。
【
図15】ある実施形態による可撓性環状部材を用いた注射器安全システムを備えた注射器システムの分解図である。
【
図16】注射器安全システムに取り付けられた可撓性環状部材の正面図である。
【
図17】注射器安全システムに取り付けられた可撓性環状部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施形態について詳細に参照する。それらの例は添付の図面に示されている。以下の発明の説明で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、発明を限定するつもりではない。
【0011】
以下の説明は、本発明による可撓性環状部材の様々な実施形態を対象としている。
【0012】
図面ではそれらの全体を通して、同様な数字は同様な要素を示している。図面を詳細に参照すると、
図1-
図18には可撓性環状部材そのものの、またはそれに関連する実施形態が示されている。
【0013】
図1は、本発明のある実施形態による可撓性環状部材10を示す。この可撓性環状部材は金属またはポリマーで一体形成されていてもよく、好ましくは硬質樹脂から成る。たとえば、可撓性環状部材の弾性エネルギー係数は2.5MPa未満であってもよい。硬質樹脂の例をリストに挙げると、完全には網羅されていないが、たとえば、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、フェノール、ポリメチル・メタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテル・エーテル・ケトンが含まれる。可撓性環状部材10は、いくつかある用途の中でも特に、注射器の針のハブに針シールドを固定するための医療器具に使用されてもよい。たとえば、
図15は、注射器100に取り付けられた注射器安全システムを示す。この注射器安全システムはスリーブ112を含む。スリーブ112には案内路があってもよい。この案内路は、可撓性環状部材10の一部と結合するように構成されている。
【0014】
可撓性環状部材10は、実質的に筒状の外面28と実質的に筒状の内面30とを含んでいてもよい。内面30は外面28と中心が同一であり、全体を通して中空部20を形成している。外面28と内面30とは共通の長軸Xを持つ。すなわち、両面は同軸である。可撓性環状部材10は上面34と底面36とを含んでいてもよい。上面34と底面36とは軸方向において互いから間隔を空けており、長軸Xに対して横方向に広がっている。上面34と底面36とはそれぞれ、外面28と外側の境界を共有していてもよく、内面30と内側の境界を共有していてもよい。
図1に示されている実施形態では上面34と底面36とが平坦である。しかし、他の実施形態ではこれらの表面が凸面であっても凹面であってもよい。上面34と底面36とのそれぞれには閉通路が形成されていてもよい。閉通路は平面に制限されており、内側の境界を囲んでいる。これにより、可撓性環状部材10は全周にわたって連続している。すなわち、可撓性環状部材10は、切れ目のない連続構造である。さらに、上面34と底面36との間の距離で定義される軸方向の高さは、閉通路に沿った各角度位置で一定である。
【0015】
内面30から径方向において内側へ内側環24が広がっていてもよい。内側環24は、軸方向の一端では径方向の棚32を形成している。棚32は長軸Xに対して横方向に広がっている。内側環24の軸方向の他端は底面36と同一平面であってもよく、その一部を形成していてもよい。図には示されていない他の実施形態では内側環24が、径方向の棚32と軸方向において対向している第2の径方向の棚を形成していてもよい。径方向の棚32に加えて、またはそれに代えて、外側環が外面28から径方向において外側へ広がっていてもよい。外側環は軸方向の一端に径方向の棚を形成している。その棚は長軸Xに対して横方向に広がっている。
図1を参照すると、径方向の棚32には隣接面が設けられていてもよい。隣接面は、可撓性環状部材10の中空部20の中に、スリーブ38、40、42、56(
図5参照。)等のシャフトまたはスリーブを取り付けるためのものである。図には示されていない実施形態には径方向の棚が2つあり、これにより可撓性環状部材10は2つのスリーブまたはシャフトを互いに結合することができる。
【0016】
上面34には1以上の穴22が開けられていてもよい。これらの穴は、たとえばばねを取り付けるためのものである。場合によっては、底面36にも1以上の穴が開けられていてもよい(図示せず)。さらに、穴22は貫通穴であってもよい。この場合、穴は、軸方向に伸びている1以上の案内ピン(図示せず。)を通してもよい。これらの案内ピンはたとえば、可撓性環状部材10を他の部品に対してある角度に向けるためのものである。
【0017】
可撓性環状部材10は1以上の案内ピン14を含んでいてもよい。これらの案内ピン14は外面28から径方向において外側へ伸びている。案内ピン14は外面28と一体に、すなわちモノリシックに形成されていてもよい。
図1に示されているように、案内ピン14は断面が円形であり、可撓性環状部材10の軸方向の一端近くに配置されている。ただし、図示されていない他の実施形態では、案内ピン14の断面が多角形であってもよく、および/または、上面34と底面36との中間に配置されていてもよい。
【0018】
底面36には半トロイダル形状の窪み26が形成され、上面34からは半トロイダル形状の突起が(たとえば、
図18の符号390が示しているように)伸びていてもよい。半トロイダル形状の窪み26と半トロイダル形状の突起とにより可撓性環状部材10は、同様な特徴を持つ他の可撓性環状部材と結合することができる。
図17には、半トロイダル形状の窪みと半トロイダル形状の突起との接合部も示されている(符号310、390参照)。他の実施形態では、可撓性環状部材10が、上面34と底面36との両方から伸びている半トロイダル形状の突起を含んでいてもよく、上面34と底面36との両方に半トロイダル形状の窪み26が形成されていてもよい。さらに、可撓性環状部材10の半トロイダル形状の窪み26は、他の可撓性環状部材10または他の部品の上に形成された半トロイダル形状の突起よりも、断面が成す弧の半径が大きく、断面が成す弧の長さが小さくてもよい。これにより、それらの間の接触面積が小さくなり、回転に伴ってそれらの間に働く摩擦が小さくなる。たとえば、他の部品は、
図18に示されている部品180のような内側環状部品であってもよい。
【0019】
可撓性環状部材10は1以上のアコーディオン領域12を含んでいてもよい。アコーディオン領域12は波形であってもよい。
図4には、様々な種類のアコーディオン領域が詳細に示されている。ただし、以下で参照するのは
図2、
図3である。それらは、可撓性環状部材の実施形態の一例10aを示している。この可撓性環状部材10aは次の点を除いて可撓性環状部材10と同様である。図に示されているように、可撓性環状部材10aには穴22も内側環24もない。可撓性環状部材10aは2つのアコーディオン領域12aを含む。それらには、可撓性環状部材10のアコーディオン領域12とは異なり、径方向の棚がない。アコーディオン領域12と12aとは、それらの間の違いにかかわらず、いずれも同様に機能する。すなわち、可撓性環状部材10、10aを柔軟にする。それ故、可撓性環状部材10aのアコーディオン領域12aを特に参照する。しかし、その説明は可撓性環状部材10のアコーディオン領域12にも同等に適用される。
【0020】
可撓性環状部材10aが含む1以上のアコーディオン領域12aはタイプ120(
図4参照。)であってもよい。このタイプ120は周方向に伸びており、複数の薄壁122を含む。これらの薄壁122は可撓性環状部材10aの周に沿って蛇行している。薄壁122はリビングヒンジ(living hinge)のように複数の内側回転軸121と複数の外側回転軸123とで回転し、および/または折れ曲がってもよい。薄壁122の全体が変形することにより、アコーディオン領域12aはばねとして振る舞う。すなわち、長軸Xの方向とは別の方向に伸縮し、および/または、長軸Xから離れる方向へ、またはそれに近づく方向へ回転する。内側回転軸121と外側回転軸123とは、たとえば軸方向に向きが揃った列を成し、それぞれが長軸Xに対して平行である。圧縮もされず、張力も受けていない状態では、内側回転軸121は長軸Xから第1距離の位置で筒状に並んでいてもよく、外側回転軸123は長軸Xから第2距離の位置で筒状に並んでいてもよい。第2距離は第1距離よりも大きい。さらに、ある実施形態では、可撓性環状部材10aが含む2つのアコーディオン領域12aは可撓性環状部材10aの両側にある。これにより案内ピン14が少なくとも径方向において互いに近づき、または互いから遠ざかる。張力を受けている間、または圧縮されている間、外面28および/または内面30と上面34との接合部、並びに外面28および/または内面30と底面36との接合部は、同時に、同じ径方向において変形してもよい。たとえば、1以上の角度位置で可撓性環状部材10aの径方向における変形が、上面34と底面36との間の軸方向の厚みに沿って一様であってもよい。
【0021】
可撓性環状部材10aはたとえば第1スリーブ38(
図5参照。)の中に組み込まれてもよい。この組み込みの間、可撓性環状部材10aには圧縮力が加えられて、案内ピン14を互いに接近させてもよい。これにより、案内ピン14は、第1スリーブ38に設けられたスロット44に配置されて、それと結合することができる。たとえば、第1スリーブ38では基端の開口部46の内径が、可撓性環状部材10aが圧縮されていない間に外面28から伸びている案内ピン14の間の最大距離よりも小さくてもよい。圧縮されている間は案内ピン14が、基端の開口部46の内径を超えては伸びない位置へ移動するので、案内ピン14は第1スリーブ38の中に入ることができる。案内ピン14が対応するスロット44に結合した後は、加えられていた圧縮力が除去されるので、アコーディオン領域12aと案内ピン14とは圧縮されていない元の位置へ完全に、または実質的に戻り、外面28は第1スリーブ38の内面と形が完全に、または実質的に一致する。この状態では可撓性環状部材10aが第1スリーブ38の内部に取り外し可能に取り付けられている。
【0022】
さらに、可撓性環状部材10aは、たとえば第2スリーブ40の周方向の凹み50の中に組み込まれてもよい。この組み込みの間、可撓性環状部材10aには張力が加えられることによりその中空部20の直径が広がるので、可撓性環状部材10aが第2スリーブ40の基端48に滑り込む。たとえば、可撓性環状部材10aに張力が働いていない間は、基端48の外径が中空部20の直径よりも大きくてもよい。可撓性環状部材10aが基端48に滑り込み、周方向の凹み50の中に配置された後は、加えられていた張力が除去されてもよい。これにより、アコーディオン領域12aは張力を受けていない元の位置へ完全に、または実質的に戻り、内面30は周方向の凹み50の外面と形が完全に、または実質的に一致する。この状態では可撓性環状部材10aが第2スリーブ40の周方向の凹み50に取り外し可能に取り付けられている。
【0023】
図6は、実施形態の別例による可撓性環状部材10bを示す。この可撓性環状部材10bは可撓性環状部材10aと同様な要素を含むが、案内ピン14に代えて2本の案内ピン16を含む。ただし、他の実施形態では、可撓性環状部材10bが案内ピン16を1本だけ含み、または3本以上含んでいてもよい。案内ピン16は内面30から径方向において内側へ伸びている。案内ピン16は内面30と一体に形成されていてもよい。
図6に示されているように、案内ピン16は断面が円形である。しかし、図示されていない他の実施形態では、案内ピン16の断面が多角形であってもよい。
【0024】
可撓性環状部材10bは、たとえば第1スリーブ38の上に組み込まれてもよい。この組み込みの間、可撓性環状部材10bには張力が加えられ、案内ピン16が互いから遠ざかる。これにより、案内ピン16が対応するスロット44に配置されて、それと結合することができる。たとえば、可撓性環状部材10bが張力を受けていない間、第1スリーブ38の外径が、内面30から伸びている案内ピン16の間の最小距離よりも大きくてもよい。張力が加えられている間、案内ピン16が、基端の開口部46の外径を超えて伸びる位置へ移動するので、案内ピン16の間に第1スリーブ38を入れて、案内ピン16がスロット44と径方向においても角度方向においても並ぶ位置まで、第1スリーブ38を滑らせることができる。案内ピン16が対応するスロット44に配置された後は、加えられていた張力が除去されてもよい。これにより、アコーディオン領域12aと案内ピン16とは張力を受けていない元の位置へ戻り、内面30は第1スリーブ38の外面と形が完全に、または実質的に一致する。この状態では可撓性環状部材10bが第1スリーブ38の外側に取り外し可能に取り付けられている。
【0025】
図7は、ある実施形態による可撓性環状部材10cを示す。この可撓性環状部材10cは可撓性環状部材10a、10bと同様な要素を含む。ただし、可撓性環状部材10cの外面28と内面30とには、案内ピン14、16に代えて2つのスロット18が設けられている。しかし、他の実施形態では、外面28と内面30とにスロット18が1つだけ設けられ、または3以上設けられていてもよい。スロット18は、外面28から径方向において内側へ広がる凹みであってもよく、内面30から径方向において外側へ広がる凹みであってもよい。スロット18は、径方向において外面28から内面30まで完全に広がった、貫通したスロットであってもよい。スロット18は断面が円形でも多角形でもよい。
【0026】
可撓性環状部材10cはたとえば第3スリーブ42の上に組み込まれてもよい。この組み込みの間、可撓性環状部材10cは第3スリーブ42の基端の開口部52に、1以上の案内ピン54の所まで滑り込んでもよい。案内ピン54は、第3スリーブ42の外面から径方向において外側へ伸びている。次に、可撓性環状部材10cに張力が加えられて中空部20の直径が広げられ、スロット18が径方向においても角度方向においても案内ピン54と並ぶように、可撓性環状部材10cが案内ピン54を滑り込ませてもよい。たとえば、可撓性環状部材10cが張力を受けていない間、案内ピン54の間の最大距離が中空部20の直径よりも大きくてもよい。可撓性環状部材10cが案内ピン54の上に配置された後は、加えられていた張力が除去されてもよい。これにより、アコーディオン領域12aとスロット18とは張力を受けていない元の位置へ戻り、内面30は第3スリーブ42の外面と形が完全に、または実質的に一致する。この状態では可撓性環状部材10cが第3スリーブ42の外部に取り外し可能に取り付けられている。
【0027】
さらに、可撓性環状部材10cは、たとえば第4スリーブ56の中に組み込まれてもよい。この組み込みの間、可撓性環状部材10cには圧縮力がピンセット等の工具(図示せず。)で加えられ、スロット18を互いに接近させてもよい。これにより、スロット18が対応する案内ピン58に配置されて、それらと結合することができる。たとえば、可撓性環状部材10cが圧縮されていない間、可撓性環状部材10cの外径が、第4スリーブ56の内面から径方向において内側へ伸びている案内ピン58の間の最小距離よりも大きくてもよい。可撓性環状部材10cは、圧縮されている間に、スロット18が径方向においても角度方向においても案内ピン58と並ぶように配置されてもよい。スロット18が対応する案内ピン58と結合した後は、加えられていた圧縮力が除去されてもよい。これによりアコーディオン領域12aとスロット18とは圧縮されていない元の位置へ戻り、外面28は第4スリーブ56の内面と形が完全に、または実質的に一致する。この状態では、可撓性環状部材10cが第4スリーブ56の内部に取り外し可能に取り付けられている。
【0028】
さらに、可撓性環状部材10cは、可撓性環状部材10aと完全に、または実質的に同じ方法(上記の説明参照。)で、第2スリーブ40と接合されてもよい。
【0029】
図8は、ある実施形態による可撓性環状部材10dを示す。この可撓性環状部材10dは可撓性環状部材10a、10bと同様な要素を含むが、2本の案内ピン14または案内ピン16のいずれかだけではなく、両方を含む。図に示されているように、案内ピン14は可撓性環状部材10dの直径の両端に配置されており、案内ピン16も可撓性環状部材10dの直径の両端に配置されている。案内ピン14はそれぞれ、案内ピン16の1つと角度位置が同じである。ある実施形態では、案内ピン14が反対側には無くてもよい。ある実施形態では、案内ピン16が必ずしも可撓性環状部材10dの反対側には無くてもよい。ある実施形態によれば、案内ピン14は必ずしも、案内ピン16と同じ角度位置でなくてもよい。可撓性環状部材10dはたとえば可撓性環状部材10a、10bと完全に、または実質的に同じ方法(上記の説明参照。)で第1スリーブ38と接合されてもよい。
【0030】
図9は、ある実施形態による可撓性環状部材10eを示す。この可撓性環状部材10eは可撓性環状部材10aと同様な要素を含むが、2つのアコーディオン領域12に代えて単一のアコーディオン領域13を含み、2本の案内ピン14に代えて単一の案内ピン14を含む。可撓性環状部材10eの案内ピン14は角度位置がアコーディオン領域13の中央と反対であってもよい。ある実施形態では、案内ピン14は必ずしもアコーディオン領域13の中央と並んでいなくてもよい。さらに、可撓性環状部材10eはアコーディオン領域13を2以上含んでいてもよい。可撓性環状部材10eはたとえば可撓性環状部材10aと完全に、または実質的に同じ方法(上記の説明参照。)で第1スリーブ38、第2スリーブ40と接合されてもよい。
【0031】
図10は、ある実施形態による可撓性環状部材10fを示す。この可撓性環状部材10fは可撓性環状部材10bと同様な要素を含むが、2つのアコーディオン領域12に代えて単一のアコーディオン領域13を含み、2本の案内ピン16に代えて単一の案内ピン16を含む。可撓性環状部材10fの案内ピン16は角度位置がアコーディオン領域13の中央と反対であってもよい。他の実施形態では、案内ピン16は必ずしもアコーディオン領域13の中央と並んでいなくてもよい。さらに、可撓性環状部材10fはアコーディオン領域13を2以上含んでいてもよい。可撓性環状部材10fはたとえば可撓性環状部材10bと完全に、または実質的に同じ方法(上記の説明参照。)で第1スリーブ38と接合されてもよい。
【0032】
図11は、実施形態の別例による可撓性環状部材10gを示す。この可撓性環状部材10gは可撓性環状部材10cと同様な要素を含むが、2つのアコーディオン領域12に代えて単一のアコーディオン領域13を含む。外面28と内面30とには、2つのスロット18に代えて、単一のスロット18が設けられている。可撓性環状部材10gのスロット18は角度位置がアコーディオン領域13の中央と反対であってもよい。他の実施形態では、スロット18は必ずしもアコーディオン領域13の中央と並んでいなくてもよい。さらに、可撓性環状部材10gはアコーディオン領域13を2以上含んでいてもよい。可撓性環状部材10gはたとえば可撓性環状部材10cと完全に、または実質的に同じ方法(上記の説明参照。)で、第2スリーブ40と接合されてもよい。さらに、可撓性環状部材10gはたとえば可撓性環状部材10cと実質的に同じ方法(上記の説明参照。)で、第3スリーブ42、第4スリーブ56と同様であるが、案内ピン54、58が単一であるスリーブと接合されてもよい。
【0033】
図12は、実施形態の別例による可撓性環状部材10hを示す。この可撓性環状部材10hは可撓性環状部材10e、10fと同様な要素を含むが、案内ピン14と案内ピン16とのいずれか一方だけではなく、両方を含む。図に示されているように、案内ピン14は案内ピン16と角度位置が等しい。しかし、他の実施形態では、案内ピン14が必ずしも案内ピン16と同じ角度位置になくてもよい。案内ピン14、16は角度位置が、アコーディオン領域13の中央とは反対であってもよい。他の実施形態では、案内ピン14または案内ピン16が必ずしも、アコーディオン領域13の中央と並んでいなくてもよい。さらに、可撓性環状部材10hはアコーディオン領域13を2以上含んでいてもよい。可撓性環状部材10hはたとえば可撓性環状部材10e、10fと完全に、または実質的に同じ方法(上記の説明参照。)で第1スリーブ38と接合されてもよい。
【0034】
図13は、実施形態の別例による可撓性環状部材10iを示す。この可撓性環状部材10iは可撓性環状部材10e、10gと同様な要素を含むが、案内ピン14とスロット18とのいずれか一方だけではなく、両方を含む。図に示されているように、案内ピン14はスロット18と角度位置が反対である。しかし、他の実施形態では、案内ピン14が必ずしもスロット18と並んでいなくてもよい。可撓性環状部材10iはたとえば可撓性環状部材10eと完全に、または実質的に同じ方法(上記の説明参照。)で第1スリーブ38、第2スリーブ40と接合されてもよい。さらに、可撓性環状部材10iはたとえば可撓性環状部材10gと実質的に同じ方法(上記の説明参照。)で、第3スリーブ42と同様であるが、案内ピン54は単一であるスリーブと接合されてもよい。
【0035】
図14は、実施形態の別例による可撓性環状部材10jを示す。この可撓性環状部材10jは可撓性環状部材10f、10gと同様な要素を含むが、案内ピン16とスロット18とのいずれか一方だけではなく、両方を含む。図に示されているように、案内ピン16はスロット18と角度位置が反対である。しかし、他の実施形態では、案内ピン16が必ずしもスロット18と並んでいなくてもよい。可撓性環状部材10jはたとえば可撓性環状部材10fと完全に、または実質的に同じ方法(上記の説明参照。)で第1スリーブ38と接合されてもよい。さらに、可撓性環状部材10jはたとえば可撓性環状部材10gと実質的に同じ方法(上記の説明参照。)で、第4スリーブ56と同様であるが、案内ピン58は単一であるスリーブと接合されてもよい。
【0036】
可撓性環状部材の例10-10jは、スリーブ38、40、42、56、またはそれらと同様なスリーブと接合されてもよいだけでなく、案内ピンおよび/または凹みを含む中身の詰まった棒とも接合されてもよい。このことは当業者には歓迎されるであろう。さらに、可撓性環状部材10-10jはまた、次のような部品とも接合されてもよい。この部品は、従来からスリーブまたは棒と呼ばれるが、案内ピン、スロット、および/または凹み等の機能的要素を含み、可撓性環状部材10-10jを中に、または外側に滑り込ませて、それらと、案内ピン、スロット、および/または凹みを結合させる。そのような部品には、たとえば、注射器のシリンダ、針のハブ、針シールド、容器、蓋、カテーテル、プローブ、内視鏡が含まれてもよい。
【0037】
図15-
図18は、ある実施形態による注射器安全システムで使用される可撓性環状部材を示す。硬い環状部材をシャフトの中央にある軸方向の凹みに配置するには、シャフトの端は環状部材の中空部よりも直径が大きいので、環状部材またはシャフトが典型的には複数の部品を含む。これらの部品は、環状部材またはシャフトが目的の位置に置かれた後に組み立てられる。硬い環状部材を中空のシャフトの中に配置するには、シャフトの開口部の内径よりも径方向において外側まで広がっているという特徴を環状部材が持つので、環状部材またはシャフトがまたもや複数の部品から構成されていなければならず、環状部材またはシャフトが目的の位置に置かれた後に組み立てられなければならない。ある場合では、径方向において外側に伸びているピンを含む環状部材を中空のシャフトの中に配置するには、その環状部材が、典型的には、ばね仕掛けのピンを1以上含む。これにより、環状部材が配置される間、そのピンを引っ込めておくことができる。しかし、そのような場合、環状部材は複数の部品から成り、予め組み立てておかれねばならない。出願人は、硬質の材料から成る径方向において柔軟な環状部材を開発した。この環状部材には上記の問題が生じない。
【0038】
ある実施形態では、注入装置100が実質的に筒状のシリンダ102を含む。このシリンダ102は長軸X
Lに沿って伸びている。
図15に示されているように、シリンダ102には先端102aと反対側の基端102bとがある。シリンダ102の先端102aにはシリンダの肩104があり、そこからハブ106が伸びている。ハブ106の先端には環状の肩108がある。その肩108は、径方向において外側に広がっており、基端方向を向いている。肩108はシリンダの肩104とハブの先端面110とからは間隔を空けている。ハブの先端面110は、径方向において外側に向いており、シリンダの肩104とハブの先端の環状の肩108との間に広がっている。
【0039】
針113はハブ106から先端方向へ伸びており、シリンダ102の中空部と連通している。ばねがカニューレを囲んでおり、可撓性環状部材10とスリーブ112とに嵌められている。
【0040】
図17、
図18は内側環状部材180と外側環状部材200とを示す。内側環状部材180は、実質的に筒状の基体340を含む。基体340にはその全体を通して中空部360が形成されている。内側環状部材の基体340の先端134aには環状面380が形成されている。環状面380は、径方向において外側へ広がっており、先端方向を向いている。環状面380からは複数の屈曲可能な部材400が先端方向へ突出している。これらの部材400は径方向においては揃っており、周方向においては間隔を空けている。さらに、環状面380からは半トロイダル形状の環390が先端方向へ伸びている。この環390は、屈曲可能な部材400に対して径方向において外側に位置する。屈曲可能な部材400のそれぞれの先端に形成された通路500は、全体としては1つの円形通路520を形成している。円形通路520は屈曲可能な部材400を囲んでいる。屈曲可能な部材400はそれぞれが十分に柔らかいので、ハブ106の先端106aを内側環状部材の中空部360に通すことができ、屈曲可能な部材400のそれぞれが径方向において外側を向いているハブの先端面110に対して加える径方向において内側を向いている力によって、ハブのその先端面110に内側環状部材180が固定される。内側環状部材の基体340からは複数の脚420が基端方向へ突出している。これらの脚420は、径方向においては揃っており、周方向においては間隔を空けている。内側環状部材180がハブに固定されると、屈曲可能な部材400のそれぞれの先端は、基端方向を向いているハブの先端の環状の肩108に隣接し、脚420のそれぞれの基端はシリンダの肩104に隣接する。
【0041】
内側環状部材180のある実施形態では、周方向に間隔を空けて並んでいる脚420の間に少なくとも1つの切れ込み560が設けられている。これにより、シリンダ102の中身を見ることができる。
【0042】
注入装置100のある実施形態では、径方向において外側に向いているハブの先端面110が先細りになっている。この実施形態では、屈曲可能な部材400それぞれの先端の径方向において内側に向いている面440は、ハブの先端面110に対応して先細りになっていてもよい。
【0043】
外側環状部材200の中空部460には、径方向において内側へ広がっている環480がある。この環480は、屈曲可能な部材400を囲む円形通路520の中に入れられて回転可能に保持される。ある実施形態では、外側環状部材の環480の軸方向の高さが、円形通路520の内部で区切られた軸方向の高さよりも小さい。外側環状部材200の基端面には弧状通路310が設けられている。弧状通路310は、外側環状部材200が内側環状部材180に取り付けられたとき、内側環状部材180から突出している半トロイダル形状の環390を受け入れるのに十分な寸法に設計されている。ある実施形態では、弧状通路310の曲率半径は半トロイダル形状の環390の曲率半径よりも大きい。
【0044】
外側環状部材200は、屈曲可能な部材400を外側環状部材の中空部460に通すのに、外側環状部材の環480を円形通路520の中へ入れるのに、かつ、内側環状部材180に対して1自由度にのみ回転自在である元の形へ戻るのに、十分な柔らかさ、および寸法を持つ。外側環状部材200は、内側環状部材180へ取り付けられる前に、スリーブ112に取り付けられてもよい。これにより、外側環状部材200とスリーブ112とは一緒に内側環状部材180の上へ配置されてもよい。外側環状部材200が内側環状部材180に取り付けられた後、ハブ106が内側環状部材の中空部360を通る際に屈曲可能な部材400が径方向において外側へ折れ曲がり、または広がるのを、アコーディオン領域12が手助けしてもよい。こうして組み立てられた単一の部品として、安全システム10は注射器100に組み込まれてもよい。さらに、可撓性環状部材10a-10jの説明では、アコーディオン領域12、13、案内ピン14、16、およびスロット18等の要素に特に注意を払ったが、可撓性環状部材のこれらの例のそれぞれが、径方向の棚32、穴22、半トロイダル形状の窪み26、および/または半トロイダル形状の突起等、可撓性環状部材10の他の要素を様々な組み合わせで含んでいてもよい。
【0045】
さらに、可撓性環状部材10-10jのそれぞれのアコーディオン領域12、13については、タイプ120を説明した。しかし、アコーディオン領域12、13がその他に、タイプ130、140、150等の異なるタイプであってもよいことは、当業者には歓迎されるであろう。アコーディオン領域のタイプ130は周方向へ伸びていてもよく、複数の薄壁132を含んでいてもよい。これらの薄壁132は、可撓性環状部材の周に沿って傾きが前後する。薄壁132はリビングヒンジのように複数の内側回転軸131と複数の外側回転軸133とで回転し、または折れ曲がる。薄壁132の全体の変形によって、アコーディオン領域はばねのように振る舞う。すなわち、長軸の方向とは別の方向において伸縮し、および/または、長軸Xから離れる方向へ、もしくは長軸Xへ近づく方向へ回転する。複数の内側回転軸131と外側回転軸133とは、たとえば軸方向に向いている回転軸の列であり、長軸Xに対して平行であってもよい。圧縮されてもおらず、張力も受けていない状態では、内側回転軸131は長軸Xから第1距離の位置で筒状に並んでいてもよく、外側回転軸133は長軸Xから第2距離の位置で筒状に並んでいてもよい。第2距離は第1距離よりも大きい。アコーディオン領域のタイプ140も周方向へ伸びていてもよく、正弦波状の薄壁142をただ1つ含んでいてもよい。この薄壁142は可撓性環状部材の周に沿ってうねっている。薄壁142はリビングヒンジと同様に、谷141のような複数の回転軸と山143のような複数の回転軸とで折れ曲がる。薄壁142の全体の変形によって、アコーディオン領域はばねのように振る舞う。すなわち、長軸の方向とは別の方向において伸縮し、および/または、長軸Xから離れる方向へ、もしくは長軸Xへ近づく方向へ回転する。圧縮されてもおらず、張力も受けていない状態では、谷141は長軸Xから第1距離の位置で筒状に並んでいてもよく、山143は長軸Xから第2距離の位置で筒状に並んでいてもよい。第2距離は第1距離よりも大きい。アコーディオン領域のタイプ150も周方向へ伸びていてもよく、複数の径方向に広がっている薄い部分152を含んでいてもよい。これらの部分152は互いに、内周部分151と外周部分153とのように、可撓性環状部材の周に沿って交互に並ぶ回転軸によって接続されている。径方向に広がっている部分152は内周部分151と外周部分153とで、リビングヒンジのように回転し、および/または折れ曲がる。これらの部分152の全体の変形によって、アコーディオン領域はばねのように振る舞う。すなわち、長軸の方向とは別の方向において伸縮し、および/または、長軸Xから離れる方向へ、もしくは長軸Xへ近づく方向へ回転する。圧縮されてもおらず、張力も受けていない状態では、内周部分151は長軸Xから第1距離の位置で筒状に並んでいてもよく、外周部分153は長軸Xから第2距離の位置で筒状に並んでいてもよい。第2距離は第1距離よりも大きい。
【0046】
本発明の以上の詳細な説明は特定の実施形態を参照しながら開示されている。しかし、この開示は、本発明を開示されたとおりの形態に徹底させ、または限定することを意図するものではない。上記の実施形態には、その幅広い発明の概念から外れることなく、変更を加えることできるだろう。このことは、当業者には歓迎されるであろう。それ故、この開示には、添付の請求の範囲で定義された本発明の精神と範囲との中で行われる修正をも含むことが意図されている。