(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】非接触ジェスチャ検出、及びホバー及び接触検出のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/044 20060101AFI20230912BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G06F3/044 120
G06F3/041 580
G06F3/041 595
(21)【出願番号】P 2020545265
(86)(22)【出願日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 US2019020023
(87)【国際公開番号】W WO2019169116
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-02-25
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397050741
【氏名又は名称】マイクロチップ テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROCHIP TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】エイム、アクセル
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0102815(US,A1)
【文献】特表2018-502464(JP,A)
【文献】特開2015-172981(JP,A)
【文献】特開2017-162173(JP,A)
【文献】特表2012-528362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/044
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の検出システムと第2の検出システムとを組み合わせるセンサシステムであって、
前記センサシステムは、前記第1の検出システム及び前記第2の検出システムの電極に駆動信号を供給するように構成され、前記駆動信号は、基本的な捕捉サイクルの繰り返しからなる駆動シーケンスを含み、各基本的な捕捉サイクルは、2つの連続する主位相を含み、
第1の主位相中において、前記センサシステムは、前記第1の主位相のプリチャージ位相中に、前記第1の検出システムの少なくとも1つの電極と結合されたノードAを、前記第1の主位相の前記プリチャージ位相の少なくとも所定の時間の間、第1の電位に駆動するとともに、前記第1の主位相の捕捉位相中に、ノードAを、前記第1の主位相の前記捕捉位相の少なくとも所定の時間の間、第1の中間電位に駆動し、及び前記第2の検出システムの少なくとも1つの電極と結合されたノードBを、前記第1の主位相の前記プリチャージ位相の少なくとも所定の時間の間、第2の電位に駆動し、かつその後、前記第1の主位相の前記捕捉位相の少なくとも所定の時間の間、DCにおいて、ノードBを高インピーダンスに切り替えるように構成されており、
第2の主位相中において、前記センサシステムは、前記第2の主位相のプリチャージ位相中に、ノードAを、前記第2の主位相の前記プリチャージ位相の少なくとも所定の時間の間、第3の電位に駆動するとともに、前記第2の主位相の捕捉位相中に、ノードAを、前記第2の主位相の前記捕捉位相の少なくとも所定の時間の間、第2の中間電位に駆動し、及びノードBを、前記第2の主位相の前記プリチャージ位相の少なくとも所定の時間の間、第4の電位に駆動し、かつその後、前記第2の主位相の前記捕捉位相の少なくとも所定の時間の間、DCにおいてノードBを高インピーダンスに切り替えるように構成されており、
前記第1の検出システムは、ノードA上で電気測定を実行するように更に構成されており、
前記第2の検出システムは、ノードB上で電気測定を実行するように更に構成されている、センサシステム。
【請求項2】
前記第1の検出システムは、ノードAを前記第1及び第2の中間電位に駆動している間、ノードA上で電気測定を、それぞれ実行するように更に構成されており、
前記第2の検出システムは、ノードBをDCにおいて高インピーダンスに切り替えた後に到達したノードB上の電位を測定するように更に構成されている、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記第1の中間電位は、前記第1の電位よりも低く、前記第2の中間電位は、前記第3の電位よりも高い、請求項1~2のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記第1の電位は、前記第2の中間電位より高く、前記第3の電位は、前記第1の中間電位よりも低い、請求項1~2のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記第1の電位は、前記第2の中間電位に等しく、前記第3の電位は、前記第1の中間電位に等しい、請求項1~2のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項6】
前記センサシステムは、各プリチャージ位相中において、第1の時間の経過後、前記ノードAを、第2の時間中、前記第1又は第3の電位に駆動するように、かつ各捕捉位相中において、ノードAを、第3の時間の経過後に、前記第2又は第1の中間電位に駆動するようにそれぞれ構成されている、請求項1~5のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項7】
前記センサシステムは、前記第2の時間の経過後に、ノードAを三元状態に切り替えるように構成されている、請求項6に記載のセンサシステム。
【請求項8】
前記センサシステムは、各プリチャージ位相中において、第4の時間の経過後、前記ノードBを、第5の時間中、前記第2又は第4の電位に駆動し、かつその後にノードBを三元状態に切り替え、各捕捉位相中に、DCにおいてノードBを高インピーダンスで維持するように構成されている、請求項1~7のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項9】
前記第1の電位及び前記第2の電位は、同じであり、前記第3の電位及び前記第4の電位は、同じである、請求項1~2又は6~8のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項10】
ノードAは前記第1又は第3の電位にあるときの期間と、ノードBは前記第2又は第4の電位にあるときの期間とが、それぞれ重複する、請求項6に記載のセンサシステム。
【請求項11】
前記センサシステムは、前記第1の主位相の前記プリチャージ位相中に、ノードAを前記第1の電位において維持するように、かつ前記第1の主位相の前記捕捉位相中に、前記ノードAを前記第1の中間電位に駆動するように、及び
前記第2の主位相の前記プリチャージ位相中に、ノードAを前記第3の電位において維持するように、かつ前記第2の主位相の前記捕捉位相中に、ノードAを前記第2の中間電位に駆動するように構成されている、請求項1~10のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項12】
前記電気ノードの各々は、集積回路のポートにガルバニック結合又は接続されており、これらのポートの各々は、チップパッケージのパッドに接続されている、請求項1~11のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項13】
ノードAは、接触及び/又はホバー検出のために使用される、請求項1~12のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項14】
ノードBは、中距離位置及びジェスチャ検出のために使用される、請求項1~13のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項15】
アナログデジタル変換器は、前記捕捉位相中にサンプリングされるように構成されている、請求項1~14のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項16】
前記センサシステムは、タッチパネル上又は前面又は近傍にある少なくとも1つの物体の位置を検出するように設計されている、請求項1~15のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項17】
前記第1の電位と第3の電位との間の前記切り替えによって定義されるキャリア周波数は、1kHz~10000kHzである、請求項1~16のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項18】
前記システムは、1つ以上のノードAを備え、各ノードAは、タッチパネルの電極に接続されている、請求項1~17のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項19】
前記システムは、1つ以上のノードBを備え、少なくとも1つのノードBは、タッチパネルの電極に接続されている、請求項1~18のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項20】
前記システムは、1つ以上のノードAと、タッチパネルの近傍に配置された前記第2の検出システムの電極に接続される少なくとも1つのノードBと、を備える、請求項1~17のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項21】
ノードAは、2D接触及びホバー検出用の第1のマイクロコントローラの一部であり、ノードBは、3D中距離位置及びジェスチャ検出用の第2のマイクロコントローラの一部である、請求項1~17のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項22】
前記ノードA及びBは、2D接触及びホバー検出及び3D位置及びジェスチャ検出を共同で行うためのマイクロコントローラの一部である、請求項1~17のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項23】
前記センサシステムは、3D中距離位置検出、2Dホバー位置検出、及び接触位置検出の間のシームレスな遷移を可能にする、請求項22のセンサシステム。
【請求項24】
ノードAに接続された電極は、接触及び/又はホバー検出のために使用される、請求項1~17のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項25】
ノードBに接続された電極は、3D非接触位置及び/又はジェスチャ検出のために使用される、請求項1~17又は24のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項26】
第1の検出方法と第2の検出方法とを組み合わせるための方法であって、
駆動信号を電極に供給するステップであって、前記駆動信号は、基本的な捕捉サイクルの繰り返しからなる駆動シーケンスを含み、各基本的な捕捉サイクル(EAC)は、2つの連続する主位相からなる、供給するステップと、
第1の主位相中において、前記第1の主位相のプリチャージ位相中に、少なくとも1つの電極に結合されたノードAを、前記第1の主位相の前記プリチャージ位相の少なくとも所定の時間の間、第1の電位に駆動し、前記第1の主位相の捕捉位相中に、ノードAを、前記第1の主位相の前記捕捉位相の少なくとも所定の時間の間、第1の中間電位に駆動し、ノードBを、前記第1の主位相の前記プリチャージ位相の少なくとも所定の時間の間、第2の電位に駆動し、かつその後、前記第1の主位相の前記捕捉位相の少なくとも所定の時間の間、DCにおいてノードBを高インピーダンスに切り替えるステップと、
第2の主位相中において、前記第2の主位相のプリチャージ位相中に、ノードAを、前記第2の主位相の前記プリチャージ位相の少なくとも所定の時間の間、第3の電位に駆動し、前記第2の主位相の捕捉位相中に、ノードAを、前記第2の主位相の前記捕捉位相の少なくとも所定の時間の間、第2の中間電位に駆動し、ノードBを、前記第2の主位相の前記プリチャージ位相の少なくとも所定の時間の間、第4の電位に駆動し、かつその後、前記第2の主位相の前記捕捉位相の少なくとも所定の時間の間、DCにおいてノードBを高インピーダンスに切り替えるステップと、
ノードAで電気測定を実行するステップと、
ノードBで電気測定を実行するステップと、を含む、方法。
【請求項27】
ノードAを前記第1及び第2の中間電位に駆動している間、ノードA上で電気測定をそれぞれ実行するステップと、 DCにおいてノードBを高インピーダンスに切り替えた後に到達したノードB上の電位を測定するステップと、を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の中間電位は、前記第1の電位よりも低く、前記第2の中間電位は、前記第3の電位よりも高い、請求項26~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記第1の電位は、前記第2の中間電位より高く、前記第3の電位は、前記第1の中間電位よりも低い、請求項26~27のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記第1の電位は、前記第2の中間電位に等しく、前記第3の電位は、前記第1の中間電位に等しい、請求項26~27のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
各プリチャージ位相中において、第1の時間の経過後に、ノードAは、第2の時間中に、前記第1又は第3の電位に駆動され、各捕捉位相中において、ノードAは、第3の時間の経過後に、前記第2又は第1の中間電位にそれぞれ駆動される、請求項26~30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記第2の時間の経過後に、ノードAは3元状態に切り替えられる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
各プリチャージ位相中において、第4の時間の経過後に、ノードBは、第5の時間中に、前記第2又は第4の電位に駆動され、かつその後、ノードBは三元状態に切り替えられ、各捕捉位相中に、ノードBはDCにおいて高インピーダンスで維持されるように構成されている、請求項26~32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記第1の電位及び前記第2の電位は、同じであり、前記第3の電位及び前記第4の電位は、同じである、請求項26~27又は31~33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
ノードAが前記第1又は第3の電位にあるときの期間と、及びノードBが前記第2又は第4の電位にあるときの時間とが、それぞれ重複する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の主位相のプリチャージ位相中に、前記ノードAは、前記第1の電位において維持され、かつ前記第1の主位相の前記捕捉位相中に、前記ノードAは、前記第1の中間電位に駆動され、
前記第2の主位相のプリチャージ位相中に、ノードAは、前記第3の電位において維持され、前記第2の主位相の前記捕捉位相中に、前記ノードAは、前記第2の中間電位に駆動される、請求項26~35のいずれかに記載の方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連特許出願)
本出願は、2018年3月1日に出願された、共同所有された米国仮特許出願第62/637,002号、発明の名称「Method and System for Touchless Gesture Detection and Hover and Touch Detection」の優先権を主張し、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、ヒューマンデバイスインタフェース、具体的には、ジェスチャ検出、及びホバー及び接触検出のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
本出願の譲受人によって製造されたMGC3130としても知られる「GestIC(登録商標)」集積回路は、例えば、約40~250kHzの交流近距離電界を使用して、非接触ジェスチャ検出に使用される高感度の容量式感知技術である。容量式感知を使用するヒューマンマシンインターフェース(Human Machine Interface、HMI)デバイスは、導電性材料の層、例えば、銅のストライプのプリント回路基板層(printed circuit board layer、PCB)又はガラス上のインジウムスズ酸化物(indium tin oxide、ITO)などの、導電性材料の層内にしばしば形成されるセンサ電極を備える。これらの電極は、例えば、同じPCB又は別個の基板上で、ジェスチャ検出ユニットに電気的に接続される。ジェスチャ検出ユニットの測定値は、とりわけ、電極と対象との間の容量性結合に影響を与えるセンサ電極の近傍の対象物体(指/手)の位置に依存し、交流電界の歪みに依存した対象の測定信号の影響を受けやすい。ジェスチャは、それぞれのデバイスのいずれの領域にも接触することなく、検出エリアの上方で実行される。
【0004】
追加の接触検出センサデバイスは、通常、接触ポイントを正確に判定するために使用される。接触検出は一般に、3D座標、特に、3D検出システムによって提供される、垂直距離から実行され得ない。例えば、このようなシステムは、生成された電界の外乱を判定して3D位置データを生成するので、システムは、重心又は質量中心などの物体内の場所を特定する。それゆえに、判定された垂直方向の距離が、依然として0よりも大きい間に、物体の別の部分との接触が起こり得る。この目的のために、一般に、純粋な接触検出システムと3D検出システムとの間では、検出システム間の違いの性質上、多重化が使用される。米国特許出願第2016/0261250(A1)号は、のような時間多重システムの一例を開示しており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
図1は、時間多重方式で2Dスキャン及び3Dスキャンを実行する本出願の譲受人から入手可能な典型的な2D/3Dジェスチャ/接触検出システム100を示す。このようなシステムは、接触グリッド150及び4つの受信電極110~140を提供する。接触グリッドはまた、3Dモードで動作するときに送信電極として動作し得る。このようなシステムは、
図1aに示すように、例えば、12msの持続時間の多重化期間で動作してもよく、2msの時間スロットでは、2Dスキャンがアクティブであり、残りの10ms時間スロットでは、3Dスキャンがアクティブある一方、2D電極グリッド150は、3Dスキャンをサポートするために送信信号Txで駆動される。すなわち、チャネルアクセスが2Dスキャンと3Dスキャンとの間で交互になる時間多重化を実行し、2Dスキャン又は3Dスキャンのための各タイムスロットは、以下でより詳細に考察されるように、多数の基本的な捕捉サイクルを含んでいる。2Dスキャンするための2msタイムスロット中に、接触が検出された場合、システムは、接触が検出されなくなるまで2Dのみのモードになり、すなわち、接触が解除されると、2Dスキャンと3Dスキャンとの間の多重化が継続される。これは、
図9のフローチャートに示される。
【0006】
しかしながら、このような多重化は、通常、第1の接触検出の高い最大遅延を有する。システムが3Dスキャンモードにある間、2Dグリッド上の接触が検出され得ない。このような接触は、上記で説明した理由により、システムが2D接触検出モードに戻ってからしか検出され得ない。それゆえに、このソリューションでは、100%スキャン時間を有する2Dのみのシステムと比較して、第1の接触検出のために最大10msの追加の遅延を経験する。
【0007】
システムは2つの動作モードのうちの1つで動作する間は、他の動作モードのデータは捕捉されない。これは、受信信号エネルギーを直接低減する。例えば、上記の構成では、3D測定感度は、3Dのみのシステムと比較して(10ms/12ms)=83%に低減される。
【0008】
また、多重化は、3Dスキャンのノイズ抑制能力も低減する。データを捕捉する際のタイミングの連続性の欠如は、ノイズのみで、信号がない周波数でのエネルギーを抑制するためのデジタルフィルタ、例えばローパスフィルタなどの能力を大幅に低減する。
図19は、デジタルフィルタリングのみを考慮した場合の、キャリア周波数fTx=100kHzの場合の3D GestIC(登録商標)のシングルトーンノイズに対する感受性を示す。サンプリング周波数を2
*fTx=200kHzとし、1kHzにダウンサンプリングしたと仮定する。1kHzでの12個のサンプルのうち2個が周期的に廃棄され、パンクチャリングパターンPP=[001111111111]に反映される。下のプロットは、上のプロットをキャリア周波数付近で拡大したものである。本発明者らは、ノイズに対する感受性が著しく増加することを観察し、キャリア周波数付近では(画像には示されていないが、その奇数倍ほど)最も顕著であり、時間多重化を行った場合に、キャリア周波数から1kHz以上離れていても、-60dBを明確に超える新たなサイドピークが発生する。ノイズ抑制能力の低減は、ノイズ環境における検出範囲の低減を直接示唆する。
【0009】
更に、2Dスキャンではノイズ抑制能力が低減される。3Dスキャンの検出範囲及びノイズ耐性を最大化するために、3Dスキャン時間は、12msから10msまで最大化され、2Dについては、2ミリ秒のスキャン時間のみしか残らない。このスキャン時間は、単に初期の接触を検出するのに十分であるが、ノイズ耐性があるホバー位置追跡を実行するには十分ではない。
【発明の概要】
【0010】
ホバー検出、すなわち、近距離(5cm未満)検出及び1本以上の指の追跡、及び中距離又は「3D」(5cmから20cmまでの)位置追跡及びジェスチャ検出を含む、多指2D接触検出用の容量式感知システムに対する必要性が存在する。
【0011】
一実施形態によれば、センサシステムは、第1の検出システムと第2の検出システムとを組み合わせ得、センサシステムが、第1の検出システム及び第2の検出システムの電極に駆動信号を供給するように構成され、駆動信号が、基本的な捕捉サイクルの繰り返しからなる駆動シーケンスを含み、各基本的な捕捉サイクルが、2つの連続する主位相を含み、第1の主位相中において、センサシステムが、第1の主位相のプリチャージ位相中に、第1の検出システムの少なくとも1つの電極と結合されたノードAを、第1の主位相のプリチャージ位相の少なくとも一部の時間の間、第1の電位に駆動するとともに、第1の主位相の捕捉位相中に、ノードAを、第1の主位相の捕捉位相の少なくとも一部の時間の間、第1の中間電位に駆動し、及び第2の検出システムの少なくとも1つの電極と結合されたノードBを、第1の主位相のプリチャージ位相の少なくとも一部の時間の間、第2の電位に駆動し、かつその後の第1の主位相の捕捉位相の少なくとも一部の時間の間、DCにおいてノードBを高インピーダンスに切り替えるように構成されており、第2の主位相中において、センサシステムが、第2の主位相のプリチャージ位相中に、ノードAを、第2の主位相のプリチャージ位相の少なくとも一部の時間の間、第3の電位に駆動するとともに、第2の主位相の捕捉位相中に、ノードAを、第2の主位相の捕捉位相の少なくとも一部の時間の間、第2の中間電位に駆動し、及びノードBを、第2の主位相のプリチャージ位相の少なくとも一部の時間の間、第4の電位に駆動し、かつその後、第2の主位相の捕捉位相の少なくとも一部の時間の間に、DCにおいてノードBを高インピーダンスに切り替えるように構成され、第1の検出システムが、ノードA上で電気測定を実行するように更に構成され、第2の検出システムが、ノードB上で電気測定を実行するように更に構成されている。
【0012】
更なる実施形態によれば、第1の検出方法と第2の検出方法とを組み合わせる方法は、駆動信号を電極に供給することであって、駆動信号が、基本的な捕捉サイクルの繰り返しからなる駆動シーケンスを含み、各基本的な捕捉サイクル(EAC)が、2つの連続する主位相からなる、供給することと、第1の主位相中において、第1の主位相のプリチャージ位相中に、少なくとも1つの電極に結合されたノードAを、第1の主位相のプリチャージ位相の少なくとも一部の時間の間、第1の電位に駆動し、第1の主位相の捕捉位相中に、ノードAを、第1の主位相の捕捉位相の少なくとも一部の時間の間、第1の中間電位に駆動し、ノードBを、第1の主位相のプリチャージ位相の少なくとも一部の時間の間、第2の電位に駆動し、かつその後、第1の主位相の捕捉位相の少なくとも一部の時間の間、DCにおいてノードBを高インピーダンスに切り替えることと、第2の主位相中において、第2の主位相のプリチャージ位相中に、ノードAを、第2の主位相のプリチャージ位相の少なくとも一部の時間の間、第3の電位に駆動し、及び第2の主位相の捕捉位相中に、ノードAを、第2の主位相の捕捉位相の少なくとも一部の時間の間、第2の中間電位に駆動し、ノードBを、第2の主位相のプリチャージ位相の少なくとも一部の時間の間、第4の電位に駆動し、かつその後、第2の主位相の捕捉位相の少なくとも一部の時間の間、DCにおいてノードBを高インピーダンスに切り替えることと、ノードAで電気測定を実行することと、ノードBで電気測定を実行することと、を含む。
【0013】
上述のセンサシステム又は方法の別の実施形態によれば、第1の検出システムが、ノードAを第1及び第2の中間電位にそれぞれ駆動しながら、ノードA上で電気測定を実行するように更に構成され、第2の検出システムが、ノードBをDCにおいて高インピーダンスに切り替えた後に到達したノードB上の電位を測定するように更に構成され得る。上述のセンサシステム又は方法の別の実施形態によれば、第1の中間電位が、第1の電位よりも低くなり得、第2の中間電位が、第3の電位よりも高くなり得る。上述のセンサシステム又は方法の別の実施形態によれば、第1の電位が、第2の中間電位より高くなり得、第3の電位が、第1の中間電位よりも低くなり得る。上述のセンサシステム又は方法の別の実施形態によれば、第1の電位が、第2の中間電位に等しくなり得、第3の電位が、第1の中間電位に等しくなり得る。上述のセンサシステム又は方法の別の実施形態によれば、センサシステムが、各プリチャージ位相中に、第1の時間の経過後、ノードAを、第2の時間中、第1又は第3の電位に駆動するように、及び各捕捉位相中に、ノードAを、第3の時間の経過後に、第2又は第1の中間電位に駆動するように、それぞれ構成され得る。上述のセンサシステム又は方法の別の実施形態によれば、センサシステムは、第2の時間の経過後に、ノードAを3元状態に切り替えるように構成され得る。上述のセンサシステム又は方法の別の実施形態によれば、センサシステムが、第4の時間の経過後の各プリチャージ位相中に、ノードBを、第2又は第4の電位に、第5の時間中に駆動し、かつその後にノードBを三元状態に切り替え、各捕捉位相中に、ノードBをDCにおいて高インピーダンスで維持するように構成され得る。上述のセンサシステム又は方法の別の実施形態によれば、第1の電位及び第2の電位が、同じであり、第3の電位及び第4の電位が、同じであり得る。上述のセンサシステム又は方法の別の実施形態によれば、ノードAが第1の電位又は第3の電位にあるときの期間と、ノードBが第2の電位又は第4の電位にあるときの期間とが、それぞれ重複し得る。上述のセンサシステム又は方法の別の実施形態によれば、センサシステムが、第1の主位相のプリチャージ位相中に、ノードAを第1の電位において維持するように、かつ第1の主位相の捕捉位相中に、ノードAを第1の中間電位に駆動するように、及び第2の主位相のプリチャージ位相中に、ノードAを第3の電位において維持するように、かつ第2の主位相の捕捉位相中に、ノードAを第2の中間電位に駆動するように構成され得る。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、電気ノードの各々が、集積回路のポートにガルバニック結合又は接続され、これらのポートの各々が、チップパッケージのパッドに接続される。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、ノードAは、接触及び/又はホバー検出のために使用され得る。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、ノードBは、中距離位置及び/又はジェスチャ検出のために使用され得る。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、アナログ-デジタル変換器が、捕捉位相中にサンプリングされ得る。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、センサシステムは、タッチパネル上又はタッチパネルの近傍にある少なくとも1つの物体の位置を検出するように設計され得る。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、第1の電位と第3の電位との間の切り替えによって定義されるキャリア周波数が、1kHz~1000kHzであり得る。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、システムが、1つ以上のノードAを備え得、各ノードAは、タッチパネルの電極に接続される。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、システムは、1つ以上のノードBを備え得、少なくとも1つのノードBは、タッチパネルの電極に接続される。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、システムは、1つ以上のノードAと、タッチパネルの近傍に配設された第2の検出システムの電極に接続される少なくとも1つのノードBと、を備え得る。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、ノードAが、2D接触及びホバー検出用の第1のマイクロコントローラの一部であり得、ノードBが、3D中距離位置及びジェスチャ検出用の第2のマイクロコントローラの一部であり得る。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、ノードA及びBは、2D接触及びホバー検出及び3D位置及びジェスチャ検出を共同で行うためのマイクロコントローラの一部とすることができる。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、センサシステムが、3D中距離位置検出、2Dホバー位置検出、及び接触位置検出の間のシームレスな遷移を可能にし得る。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、ノードAに接続された電極が、接触及び/又はホバー検出のために使用され得る。上記センサシステム又は方法の別の実施形態によれば、ノードBに接続された電極が、3D非接触位置及び/又はジェスチャ検出に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】時分割多重化を用いて動作する2D/3D検出システムを示す。
【
図3】特定の自己容量測定方法のタイミング図を示す。
【
図4】CVD測定で3Dのみを捕捉する場合のタイミングを示す。
【
図5】一実施形態による、自己容量を測定するための回路図を示す。
【
図6】本出願による実施形態のタイミング図を示す。
【
図6a】本出願による実施形態のタイミング図を示す。
【
図6b】
図6aに示すタイミング図による自己容量を測定するための回路図を示す。
【
図7】インターリーブされた感知のためのオーバーレイ2D及び3Dスキャンサイクルを示す、更に別の実施形態のタイミング図を示す。
【
図8】別の実施形態によって、V
VE_high及びV
VE_lowへのプリチャージが実行されるときの2Dパッド駆動シーケンスを示すタイミング。
【
図11】水平及び垂直電極(「線」)を有する2Dグリッド及び4つ以上の電極のフレームを有する実施形態を示す。
【
図12】水平及び垂直電極(「線」)を有する2Dグリッド及び4つ以上の電極のフレームを有する実施形態を示す。
【
図13】水平及び垂直電極(「線」)を有する2Dグリッドと、2Dグリッドの一方の側の近くにセグメント化された電極を有する別の実施形態を示す。
【
図14】水平及び垂直電極(「線」)を有する2Dグリッドと、2Dグリッドの一方の側の近くのセグメント化された電極と、2Dグリッドの反対側の別の電極とを有する別の実施形態を示す。
【
図15】センサ構成の様々な更なる実施形態を示す。
【
図16】センサ構成の様々な更なる実施形態を示す。
【
図17】センサ構成の様々な更なる実施形態を示す。
【
図18】センサ構成の様々な更なる実施形態を示す。
【
図19】時間多重化を行った場合と行わなかった場合のノイズ感受性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
2D接触検出システムは、長い間、標準的なヒューマンマシンインターフェース、例えば、タッチディスプレイ分野で進化してきた。このようなディスプレイの上のホバー位置追跡のための使用事例は、例えば、コンテキストメニューやタスクバーなどで、手の下に表示されたコンテキストをハイライト表示することである。例えば、そのようなインターフェースを使用するディスプレイは、一般的な情報を表示し、ユーザの手がディスプレイに近づき、既定の距離に達すると、ポップアップメニューを表示し得る。そのうえ、様々なメニューボタンの上で指をホバーさせてもよく、それらの上で指がホバーすると拡大表示され得る。実際の接触が検出されるとすぐに、それぞれのボタンがハイライトされ、色が変更され、機能の別のメニューが表示され得る。3Dジェスチャ検出のための例示的な使用事例は、メニューをナビゲートするための、又はオーディオトラックを切り替えるためのフリックジェスチャ、及びオーディオボリューム制御のための円を描くジェスチャである。このような機能に対する需要は、特に自動車市場で取り組まれてきた。
【0016】
上で考察されるように、独立型2D接触/ホバー検出用の既存のソリューション、例えばmaXTouch(登録商標)チップや、独立型3D中距離検出用の他の既存のソリューション、例えば、Microchip Technology Inc製のMGC3xxx GestICチップ(登録商標)がある。これらのシステムは、容量性感知を用いる。これらは、繰り返し電気刺激を発生させ、感知電極で測定された量に対するその影響を測定する。この量は、感知電極の容量性環境の変化によって、特に、この環境内の指又は手に対する位置依存容量によって振幅変調される。この刺激の繰り返し周波数はキャリア周波数と呼ばれ、典型的には40kHz~250kHzの範囲である。この刺激と平行して、容量性センサシステムは、典型的には、例えば、入力ポートスイッチ、増幅器、アナログデジタル変換器(ADC)、又は他のフロントエンドタイミングに関して、直接測定可能であるか否かを問わず、同様に周期的なデジタル及び/又はアナログ駆動及び制御シーケンスを実行するように構成される。この一組の同時周期的な刺激及びシーケンスの1つの期間が、基本的な捕捉サイクル(EAC)として示され、すなわちEAC自体は非周期的なシーケンスである。
【0017】
maXTouch(登録商標)コントローラを使用した接触検出、特に第1の接触検出は、典型的には、測定中に感知電極がいわゆる仮想アース(VE:Virtual Earth)電位に駆動される自己容量測定を実行することで行われる。センサの複数の電極は、そのような自己容量測定に同時に使用され得る。更に、現在感知されていない電極が、感知された電極と同じ方式で駆動され得るため、「駆動シールド」と呼ばれる測定データに対する相互容量効果を抑制することができる。
【0018】
図2は、切り替えユニット240、積分器220及び関連するADC230からなる回路を有するセンサ電極の自己容量測定のための例示的な構成を示す。パッド215及びその接続されたセンサ電極210は、S0が開いている間、スイッチS1がV
ddに、又はスイッチS2が接地に閉じることのいずれかによってプリチャージされ、また、S0が開いている間に、スイッチSintが閉じられて集積コンデンサCintをディスチャージする。次いで、捕捉位相の間、全てのスイッチが開かれ、次いで、S0が閉じられる。これにより、パッド215及びその接続された電極210は、仮想アース電位V
VEに駆動され、Cintは、センサ電極210に又はセンサ電極210から移動する電荷を積分する。この手順は、センサ電極210を反対の電位、接地又はVddにプリチャージし、異なる仮想アース電位を使用して繰り返され得る。
【0019】
図3は、本質的にそれぞれがプリチャージ位相及び捕捉位相を備え得る2つの主位相からなる自己容量EAC中のパッド電圧、すなわち刺激、のタイミングを概略的に示す。したがって、一実施形態によれば、EAC内には、パッドが所望の電位に駆動される2つのプリチャージ位相P1、P2と、パッドが他の電位、仮想アース電位V
VE_high又はV
VE_lowに駆動され、パッドに流れる電荷の量が測定される2つの捕捉位相Q1、Q2とがある。これは、例えば、
図2に示す回路によって、又はそれぞれのドライバ回路の電流測定によって達成され得る。これはまた、サブ位相P1_A1、P1_A2及びP1_A3を含むプリチャージ位相P1、サブ位相Q1_A1及びQ1_A2を含む捕捉位相Q1、サブ位相P2_A1、P2_A2及びP2_A3を含むプリチャージ位相P2、サブ位相Q2_A1及びQ2_A2を含む捕捉位相Q2で表1にまとめられる。更に、表1では、サブ位相P1_A2内のプリチャージ電圧V
ddをV
PC,highに、サブ位相P2_A2のプリチャージ電圧Vss又は接地をV
PC,lowに一般化する。センサ電極が接続され得る各パッドは、電気回路の電気ノードにガルバニック接続される。本発明者らは、仮想アース測定のための駆動シーケンスで駆動される電気ノードを、タイプAのノード、又はノードAと呼ぶ。当該技術分野において既知であるように、電気ノードは回路図内の任意の物理的なポイントを形成するとは見なされず、本質的にはガルバニックに結合されるものを指す。
【0020】
駆動シーケンスは、全ての2Dグリッド電極、すなわち
図1のグリッド150の水平電極及び垂直電極に対して本質的に同じである。しかしながら、典型的には、2D電極のサブセットのみが感知される。典型的には、電極のサブセットは、交互のサイクルの後に各電極が少なくとも1回は感知されるような、交互方式で感知される。ここで、「感知される」又は「感知」とは、それぞれ位相Q1及びQ2中に、2D電極に流れる、又は2D電極から流れる電荷の量を測定することを意味する。
【0021】
【0022】
各位相又はサブ位相は、
図3に示すように、EACにおけるタイムスロットに対応する。まず、位相P1中に、接続された受信電極を有するノードA上の受信パッドは、V
PC、high=V
ddに駆動され、次いで、いわゆる電荷積分位相Q1中に、V
VE_lowに駆動され、次いで、ノードA上のパッドは、位相P2中に、V
PC,low=V
ssに駆動され、次いで、別の電荷積分位相Q2中にV
VE_highに駆動される。位相P1及びQ1は、機能性に影響を及ぼすことなく位相P2及びQ2とともにスワップされ得る。パッド、又はより正確には接続された電気ノードは、表1にリストされた駆動状態P1_A2、Q1_A2、P2_A2、及びP2_A3が、各対応するタイムスロット内で、少なくとも一定時間維持される限り、任意の時間、三元状態に置かれ得る。位相P1_A1、Q1_A1、P2_A1及びQ2_A1中のノードの状態、すなわち、ノードが駆動されているか、ハイインピーダンスに設定されているか、又は三元状態に設定されているかは、捕捉位相中に測定された値に影響を与えないため、「無関係」とマークされる。
【0023】
3D測定のために、Microchip Technology Inc製のMGC3140 GestIC(登録商標)コントローラは、いわゆる容量性分圧(Capacitive Voltage Division、CVD)測定を使用して、自己容量及び相互容量を組み合わせた測定を実行し、本出願の譲受人によって公開され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Application Note AN1478も参照されたい。Rx感知電極上で自己容量測定が行われる間、Txパッドに接続された隣接するいわゆるTx電極上では、CVD捕捉位相中に電位が変更される。
図4は、本質的に第2の刺激を表すTxパッド電圧、Rx(感知)パッド電圧、及びEAC中の内部コンデンサ上の電圧のタイミング図を概略的に示す。仮想アース測定と同様に、センサ電極が接続され得る各パッドは、電気回路の電気ノードにガルバニック接続される。本発明者らは、CVD測定のための駆動シーケンスで駆動される電気ノードをタイプBのノード、又はノードBと呼ぶ。CVD Rxパッドと電極に接続可能なノードB上の1つのEACの駆動シーケンスは、表1の「CVD-ノードB」の列にもリストされる。本質的に、このシーケンスは、ノードBに接続されたパッドを、2つの電圧V
B、highとV
B,lowで交互にプリチャージすることと、次いでパッドを直流(DC)で高インピーダンスに、すなわちパッドを駆動しないように設定することからなる。
図4の例では、V
B、high=V
dd及びV
B、low=V
ssである。DCにおける高インピーダンスの1つの実現方法としては、パッドを容量性リアクタンス、例えばADCのサンプルコンデンサに接続することである。DCでのパッドの高インピーダンスを設定することは、位相Q1_B及びQ2_B中の少なくとも一部の時間の間に行われる。別の実施形態によれば、ノードは、Q1_B及びQ2_Bと中のいくつかのタイムスロットの間に、3元状態にされ得るか、又は例えば切断され得る。
【0024】
複数のノードA及びノードBが実装されてもよく、システムに応じて、それらは並列又は連続して評価され得る。例えば、3D検出システムは、
図11~18に示すように、電極110~140、180を有する4つ以上のセンサ電極を使用し得る。これらの電極は、様々な実施形態により、連続的に又は並列に評価され得る。
【0025】
図5は、ユニット310及び関連するADC230を用いたCVD自己容量測定のための主な構成を示し、切り替えユニット310のスイッチS
apertureが開かれている、すなわちスイッチオフされ、自己容量C
sを有するセンサ電極210は、V
dd又は接地のいずれかにプリチャージされ、切り替えADC230の内部保持コンデンサC
Holdは、切り替えユニット310のそれぞれのスイッチをV
dd及び接地に閉じることによって、センサ電極210がV
ddにプリチャージされているとき、及びその逆のときに、反対側の電位、すなわち接地にプリチャージされる。次いで、プリチャージ後、切り替えユニット310の全てのスイッチが開かれ、開口スイッチS
apertureが閉じられる。したがって、V
s=-V
Holdを保持しなければならず、それゆえに、この式を満たすためにC
sとC
Holdとの間で電荷が移動する。次いで、V
HoldはADC230によって測定される。
【0026】
2D感知及び3D感知のこれら2つのシステムが独立して動作され得ると仮定して、所望のセンサレイアウトの例を
図11から
図14に示す。
【0027】
図11及び12は、2D接触及びホバー位置検出のための、例えば透明なインジウムスズ酸化物(ITO)製の水平及び垂直導電線又は電極の2Dグリッド170を有する標準的な矩形タッチパネルを示す。
図11は、接触位置検出及び様々な実施形態による近接及び3D接触検出のために、接触グリッドの使用され得る方法を更に示す。
図11は、時間多重化430を有する2D接触検出回路410及び3Dジェスチャ検出回路420を更に示す。2D感知時中には、3Dフレーム電極110、120、130、140は、一定の電位に設定される。3D感知時中には、接触コントローラ410は、1組の2Dグリッド電極170を3D刺激に切り替える。この組は、
図11に示すような列のみからなることができる。しかしながら、他の実施形態では、列のみ、特定の列と行との組み合わせ、又は全ての列と行の電極を選択し得る。
【0028】
図12は、一実施形態により、このグリッド170を評価回路190と接続するためにn本の線が使用されることを示す。このタッチパネルの周囲には、タッチパネルの表面から例えば10cmまで、タッチパネルの上方にある物体の位置を検出するための4つのフレーム電極110~140が配設される。感度及び検出範囲がより低いため、2D接触検出システムは、典型的には、フレーム電極がどのように駆動されるかを問わず、このレイアウトの2D電極グリッド170で動作することができるであろう。しかしながら、フレーム電極110~140を用いたより感度の高い3D感知は、2Dセンサグリッド170がTx刺激を提供するように機能し得る場合に非常に効果的であろう。対照例として、2Dグリッド170が接地電位又はDCに設定されていると仮定すると、実際に対象とされた指同様の効果を3D測定値に与えるであろうし、2Dグリッド170によるこの影響は、測定値に対する指の効果を部分的又は完全に隠すであろう。
図12のセンサレイアウトの例では、左右のフレーム電極140、120は、x方向の手の位置を検出するために優勢に使用され、上部及び下部電極110、130は、y方向の手の位置を検出するために優勢に使用されるであろう。3Dフレーム電極に対する駆動シーケンスが、表1の右列(「CVD-ノードB」)にリストされる。2Dグリッド電極の駆動は、表1の「仮想アース-ノードA」にリストされるように、全ての2Dグリッド電極に対して本質的に同じであり、2Dグリッド電極のサブセットが駆動され、感知されている一方で、残りの2Dグリッド電極は、単に駆動されるだけではなく、感知されない、又は一定の電位上に置かれる。
【0029】
図13は、2Dグリッド170の1つの縁部に沿って配設された4つのGestIC(登録商標)電極110a、120a、130a及び140aを有するアプローチを示しており、これにより、x方向においてより良好な3D位置合わせが可能であるが、y方向では可能でない。
【0030】
図14は、2Dグリッド170の一方の縁部に沿って配設された4つのGestIC(登録商標)電極110a~140aと、2Dグリッド170の別の縁部に沿って配設された別のGestIC(登録商標)電極180を有するアプローチを示す。
【0031】
3D感知中に、刺激を提供するために2Dグリッド170を使用することが望ましいという事実にもかかわらず、上述した独立型のソリューションでは、同時に互いに近接して容易に操作され得ない。両方のソリューションは、容量性感知を実行し、そのようなシステムの電気環境への影響は、典型的には範囲が限られるが、システムが互いに近接して操作されるとすぐに、それらは同じ物理チャネルを使用していると考えられ得る。これは更に、システムが共同で動作するように適切に構成されていない限り、各々が他方のシステムをノイズ源として認識していることを意味し、これにより性能を悪化させたり、完全に崩壊させたりする可能性がある。
【0032】
この問題に対する既存のソリューションは、背景技術のセクションで考察されるように、2D接触感知用と3D中距離感知用の2つのシステムを並列に実装し、これら2つのシステムが、時間多重化でチャネルリソースを共有するという点、すなわち、実際には2つのシステムのうちの1つだけが同時に感知するという点で協力することである。これは、応答時間、感度、ノイズ耐性、及び電磁気放射に関して、システムの各々に対する性能の妥協である。
【0033】
様々な実施形態によれば、2D仮想アース自己容量感知の場合、チップパッドを介して2D電極グリッドの1つ以上の感知電極に接続された電気ノードは、捕捉位相中に駆動され、ノードの電位を、より高いレベルからより低いレベル(位相Q1)に変化させるか、又は逆(位相Q2)もまた同様である。この電気ノード及びその接続された電極を駆動することは、
図4の「3D Tx」に参照されるように、フレーム電極上での3D GestIC(登録商標)測定のためのTx刺激として利用され得る。したがって、2D及び3D感知のためのキャリア周波数を整合させる必要がある。現在感知されていない2D電極は、依然として同じ刺激で駆動されて得るので、それにより、2Dグリッド170によって励起される電界であって、3Dフレーム電極測定値に影響を与えている電界が、2Dグリッド170の2D電極うちのどれが一度に感知されているかに依存しないようにする。これは、3D測定が2Dグリッドの外観、すなわち2D電極がどのように駆動されるかによってのみ影響を受け、2D内部信号評価によっては影響を受けないため、3Dフレーム電極測定データの評価が2D感知とは完全に独立して取り扱われ得るという利点を有する。更に、現在感知されていない電極を駆動することにより、駆動電極間の相互容量の影響を抑制するという上述の効果も得られる。
【0034】
このアプローチでは、2Dグリッド電極上の自己容量測定は、最大100%の時間で実行され得るので、すなわち、最先端のソリューションと同様に、時間多重化3D感知によって制限されず、第1の接触検出に追加の遅延はもはや存在しない。
【0035】
結果として得られる駆動及び感知シーケンスの第1の例が、
図6のタイミング図に示され、これはまた、様々なタイミング位相及び1つのEACの注釈をも示す。
【0036】
信号「2D mXT自己容量-ノードA」は、
図3のように、2Dのみの接触感知システムと同じ方式で駆動され得る。同時に、3D測定は、例えば、信号「2D mXT自己容量」がTx刺激として利用される捕捉位相Q1及びQ2の終了時に、電位を測定することによって得ることができる。
【0037】
図15は、水平及び垂直導電性センサ線又は電極の2Dグリッド、及び周囲に3D Rxフレーム電極110~140を有する標準的な矩形タッチパネル170を示す。電極の各々は、それ自体が電気回路520内の電気ノードに接続されるパッド510にガルバニックに接続される。
【0038】
図16は、水平及び垂直導電センサ線又は電極の2Dグリッドを有する標準的な矩形タッチパネル170を示し、その一部は、タイプA又はタイプBの電気ノードに恒久的に接続され、いくつかの、例えば電極530、540及び560は、タイプA又はタイプBのノード間でそれぞれのマルチプレクサ570に多重化され得る。図示されるように、利用可能な電極のいずれかが、2D又は3D検出回路のうちの1つに恒久的に割り当てられ得る。例えば、
図15の電極110~140に類似したフレームを形成するために、電極540の代わりに、電極580が3D検出回路に可変的に割り当てられ得る。アプリケーションの特定の要件に従って、任意の好適な、固定され、構成可能で、又は混合された構成が可能である。
【0039】
図17は、別の実施態様である、水平及び垂直導電性センサ線又は電極の2Dグリッド、及び周囲に3D Rxコーナ電極610、620、630、640を有する標準的な矩形タッチパネル170を示す。
【0040】
図18は、標準容量性接触ボタン650及び標準容量性スライダ電極構成660及び3D Rxフレーム電極110~140を示す。
【0041】
図10は、a)例えば、2D電極グリッドからの測定データからの自己容量ホバー検出とともに、フレーム電極からの測定データを使用する、GestIC(登録商標)中間範囲位置及びジェスチャ検出と、b)2D電極グリッドの接触が検出される限りアクティブである純粋な接触及びホバー検出モードと、を切り替えるための可能な状態図を示す。後者のモードへの切り替えは、初期接触の検出にのみ必要であり、場合によっては任意の種類の較正スキャンに必要とされる。
【0042】
代替的な実施形態では、1つ以上の接触が検出されている間に、3D測定が実行される。例えば、それらは、2D電極グリッド上で自己容量測定を行う間に実行され、これは、例えば、反復方式で、かつ相互容量測定を用いて交互に生じ得る。
【0043】
プリチャージサブ位相P1_A2及びP1_B2、及び同様にP2_A2及びP2_B2は、同じ開始時間及び/又は同じ停止時間を有することができるが、これは必須ではない。例えば、
図6では、P1_A2がP1_B2よりも前に開始するのが見え、P1_B2の開始は、3D Rxパッド信号がV
ddにジャンプしたときであり、それからP1_A2とP1_B2は、
図6に示されるようにP1_B2が終了するか、又はP1_A2が終了するまで(
図6では見ることはできない)、一定時間重複する。以下では、提案されるアプローチの非好適な変異型が、それらの利点及び欠点とともに提示される。
【0044】
インターリーブされた感知:
表1は、2D仮想アース(ノードA)及び3D CVD測定(ノードB)のためのEACの異なる位相又はタイムスロットを示す。この好適なアプローチでは、様々な実施形態によれば、2D感知及び3D感知の両方が、位相Q1及びQ2中に発生する。代替的に、「2D mXT自己容量」信号が、これらの3D CVD測定のための刺激のみを提供するだけの3D感知、すなわち、位相Q1及びQ2中には2D線を感知しないような3D感知にも、これらの2つの位相が使用され得る。その代わりに、2D感知は、延長位相P1_A1とP2_A1中に生じ得る。これは、
図7の代替タイミング図に示される。時間的に2D及び3D測定のために捕捉位相を分離した場合、現在感知されていない電極上の信号は、電流測定をサポートするために選択され得る。例えば、3D感知用のパッドは、
図7に示されるように、2D捕捉位相中に一定の電位に設定されてもよく、又は2D電極用のパッド(
図7には示されていない)と同じ電位に駆動され得る。このアプローチは、2D自己容量測定に使用されていない間に、3D感知のためにTx刺激によって、2Dグリッドが駆動されるEAC内で2D及び3D測定をインターリーブするものとして解釈され得る。潜在的な欠点は、刺激のこの追加部分が、
図6の好適なアプローチと比較して、全体的な電力消費及び電磁放射を増加させることであり得る。
【0045】
このインターリーブ感知ソリューションの更なる潜在的な欠点は、1)アナログ-デジタル変換:2D/ホバー測定と3D GestIC(登録商標)のためのサンプリング時間インスタンスがインターリーブされることであり得る。すなわち、2D/ホバー測定及び3D測定のためのADCタイミングのいずれかを個別に制御する必要があり、又は全てのADCの共通タイミングについては、全ての結果として得られるデジタルサンプルが廃棄される必要があり、すなわち、3D GestIC(登録商標)測定サンプルを維持しながら2D/ホバー測定サンプルを廃棄する必要があり、逆もまた同様である。後者は、ADC変換速度要件の約2倍であろう。しかしながら、最先端のシステムがEMC制約に起因して典型的に40~50kHzで動作することを考慮すると、得られる最大サンプリング周波数は依然として200kHzにしかならないであろう。
【0046】
2)信号沈降時間:インターリーブされた測定により、好適なアプローチや同じキャリア周波数で動作する2D/3Dのみのシステムと比較して、信号沈降のために利用可能な時間が低減される。これは、ITO電極やより高い動作周波数を用いる、より大きなディスプレイに関連することになるであろう。しかしながら、より高いキャリア周波数は、現在、EMC制約及びその結果として得られる最先端のアプローチのための動作周波数の選択(約40~50kHz)を考慮すると、現在のところ想定されていない。
【0047】
V
VE_high及びV
VE_lowへのプリチャージを用いた2D VE自己容量測定:プリチャージ位相P1_A2とP2_A2中に、2D感知ノードを、V
PC,high=V
dd及びV
PC,low=V
ssへそれぞれ駆動する代わりに、それらが他の電位にも駆動され得る。また、例えば
図8に示すように、例えば、位相P1とP2中に電位がそれぞれ一定となる場合、それらは、V
PC,high=V
VE_high及びV
PC,low=V
VE_lowに駆動され得る。ノードは、それぞれの先行する捕捉位相中に既にこれらの電圧に駆動されているため、アクティブな駆動は必要でなくてもよく、パッドは代替的に三元状態に設定され得る。これは、
図6aに更に例示される。
図6bは、このような測定のための例示的なシステム構成を示す。この実施形態では、積分器は、反転入力がセンサ電極720に結合され、非反転入力がV
VE_high又はV
VE_lowのいずれかに選択的に結合され得るように、積分器として構成された演算増幅器710を備える。
【0048】
-2D CVD自己容量測定:位相Q1及びQ2中に2Dセンサノードを能動的に駆動する代わりに、代替的なアプローチは、3D CVDセンサノードと同様に、それらをDCで高インピーダンスに設定することである。更に、位相P1_A2とP2_A2中にパッドが駆動されるプリチャージ電位は、それぞれ、より良好な感度のためにVdd及びVssとして選択され得る。
【0049】
2Dの自己容量測定のための感知線の数を制限する一方で、3Dの中距離測定を同時に実行することにより、例えば、限られた数のアナログ受信チャネルのために、2つ以上の2D感知線が、感知される同じ電気ノードに短絡され得る。隣接する線を接続するとき、ホバーの位置決めは、例えば、2本又は3本の線のみを接続するときには、十分な精度で依然として可能であるべきである。極端な場合として、全ての水平、全ての垂直、又は全ての2D感知線は、単一の2D感知ノードに接続されるであろう。当然ながら、これでは、もはや2D位置推定を実行するおとができなくなり、アプローチ及び(第1の)接触検出のみを実行することとなる。また、電極グリッド170の容量性負荷は、信号駆動のために困難となり得るであろう。
【0050】
様々な実施形態は、最先端の時分割多重化ソリューションと比較して多くの利点をもたらす。
【0051】
2Dの第1の接触応答時間は、純粋な2D接触検出システムの場合と同様に短いままであり、すなわち、第1の接触検出に対するいかなる追加の遅延も存在しないであろう。2Dスキャンは、例えば10msのうち2ms中にしか実行できない最先端のアプローチとは対照的に、提案されたソリューションでは、もはやそのような制限はない。第1の接触応答時間は、ユーザエクスペリエンス及びマーケティングの両方にとって重要度の高い機能であり、これは大きなセールスポイントとなる。
【0052】
最先端のソリューションでは、2D測定時間は非常に限定されており、信頼できる第1の接触検出をもたらせばそれだけで十分である。提案されたソリューションでは、時間多重に起因する時間制限はもはや存在せず、したがって、2D信号のSNRがかなり役立ち、例えば、近距離ホバー検出が可能となるであろう。例えば、GestIC(登録商標)を用いた中距離位置推定と同時2Dホバー検出とを併用することで、中距離(より粗い解像度)から近距離(より精細な解像度)への段階的な移行が可能になる。
【0053】
電磁放射は、顧客にとって非常に重要である。最先端アプローチ及び提案されたアプローチの両方で、時間の電気刺激100%が存在する。しかし、提案されたアプローチでのみ、この刺激により利用可能なアナログ情報は、時間の100%で2D及び3D感知の両方にアクセス可能である。例えば、最先端のアプローチでは、83%のみである。逆に、これは、提案されたアプローチでは、刺激信号の振幅を低下させ放射を低減する一方で、依然として、最先端技術と同じSNRをもたらすことを意味する。
【0054】
3D測定のための改善されたノイズ耐性:デジタルローパスフィルタは通常、定期的な期間でサンプリングされた入力値を想定する。最先端の時間多重化システムのように、サンプルが欠落するとフィルタリング性能が低下する。提案されたアプローチでは、データ捕捉は中断されず、したがって、デジタルフィルタのノイズ抑制は、
図19の時間多重化を行わない場合と同等である。
【0055】
全体的な感知システムの簡素化I:高レベルのアルゴリズムでは、捕捉されたデータは、それぞれ2Dのみ、又は3Dのみのシステムで得られたかのように見えるため、アルゴリズムの進歩はより簡単に、より幅広い製品範囲に分配することができる。2D/3Dのみのシステムと提案されるアプローチとの差別化は陳腐化するであろう。これにより、より短い開発サイクルが可能になる。
【0056】
全体的な感知システムの簡素化II:容量性感知のための典型的なシステムは、電流におけるノイズレベルが高すぎると、別のキャリア周波数に切り替えることができる適応周波数選択アルゴリズムを採用する。提案されたアプローチでは、2Dシステム及び3Dシステムの両方が同じキャリア周波数で動作するため、最良の又は良好なキャリア周波数を見つけるための1つのアルゴリズムインスタンスのみが必要とされる。
【0057】
提案されるアプローチは、2D及び3D位置及びジェスチャ検出のためのmaXTouch(登録商標)シリコンを提供する。更に、このようなソリューションは、例えば、6ビットのデジタル-アナログ変換器を使用して、マルチレベル仮想アース電位をサポートすることができ、これは、位相Q1_A1、Q2_A1(また場合によってはP1_A1及びP2_A1)中の駆動信号の形状を、電磁放射を低減するためにより良く最適化することができることを意味する。2Dの感知性能に関して、ノード電位が、Q1及びQ2中に、それぞれ本質的に/実質的に減少又は増加し、かつQ1_A2及びQ2_A2中に特定の停止値にノードを駆動することによって提供されるように、最終的に定義された値に達することのみが重要である。
【0058】
2D電極グリッドの電極は、GestIC電極と同じ電気回路に接続され得、又はそれらは1つ以上の他の電気回路に接続され得る。後者の場合、2つ以上の電気回路間のシグナリングリンクが確立される必要がある。