(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】EUVリソグラフィ用接着層
(51)【国際特許分類】
   H01L  21/027       20060101AFI20230912BHJP        
   G03F   7/20        20060101ALI20230912BHJP        
   G03F   7/11        20060101ALI20230912BHJP        
   G03F   7/40        20060101ALI20230912BHJP        
【FI】
H01L21/30 563 
G03F7/20 503 
G03F7/20 521 
G03F7/11 503 
G03F7/40 521 
G03F7/11 
(21)【出願番号】P 2020567988
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(86)【国際出願番号】 US2019036791
(87)【国際公開番号】W WO2019241402
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-05-19
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500499508
【氏名又は名称】ブルーワー  サイエンス  アイ  エヌ  シー.
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東  秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋  史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【氏名又は名称】蜂谷  浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西  浩史
(72)【発明者】
【氏名】チャコ,  アンドレア  エム.
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナマーシー,  バンダナ
(72)【発明者】
【氏名】リアン,  イーチェン
(72)【発明者】
【氏名】リー,  ハオ
(72)【発明者】
【氏名】グランマン,  ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ゲレロ,  ダグラス  ジェイ.
【審査官】右▲高▼  孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-108781(JP,A)      
【文献】特開2017-181639(JP,A)      
【文献】国際公開第2016/208300(WO,A1)    
【文献】国際公開第2015/030060(WO,A1)    
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L    21/027
G03F      7/20
G03F      7/11
G03F      7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  構造体を形成する方法であって、
  基板を準備する工程であって、前記基板が
、その上に1つ以上の中間層を含
み、前記1つ以上の中間層が、スピンオンカーボン層、ハードマスク層、または、前記スピンオンカーボン層および前記スピンオンカーボン層上の前記ハードマスク層の両方を含み、前記ハードマスク層が、シラン、シロキサン、シルセスキオキサン、酸窒化シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、および、非晶質シリコンの1つ以上を含む、工程と、
  
前記スピンオンカーボン層上または前記ハードマスク層上に組成物をスピンコートする工程であって、前記組成物が、ビニルモノマー、アクリルモノマー、スチレンモノマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される繰り返しモノマーを含むポリマーを含み、前記ビニルモノマーが、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記アクリルモノマーが、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と、
            
  前記組成物をベークして接着層を形成する工程であって、前記接着層が、単分子層よりも大きいが9nm未満である平均厚さと、100wt%とした前記接着層の合計重量に対して、約0.001wt%未満の金属含有量とを有する工程と、
  前記接着層上にフォトレジスト層を形成する工程と、
  前記フォトレジスト層の少なくとも一部をEUV放射にさらす工程と、を有する方法。
【請求項2】
  前記基板が、シリコン、SiGe、SiO
2、Si
3N
4、SiON、アルミニウム、タングステン、タングステンシリサイド、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、窒化タンタル、Ti
3N
4、ハフニウム、HfO
2、ルテニウム、リン化インジウム、サンゴ、ブラックダイヤモンド、ガラス、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
  前記接着層が、約0wt%の金属含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
  前記ポリマーが、カルボン酸部分を有する発色団、アルキルカルボン酸、芳香族カルボン酸、カルボン酸部分を有するエーテル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される部分でグラフトされた繰り返しビニルモノマーを
さらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
  前記組成物が、カルボン酸部分を有する発色団、アルキルカルボン酸、芳香族カルボン酸、カルボン酸部分を有するエーテル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される部分を有する化合物をさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
  前記フォトレジスト層が、金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
  前記フォトレジスト層が、金属を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
  前記フォトレジスト層をEUV放射にさらす工程が、約5mJ/cm
2~約100mJ/cm
2の線量で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
  前記フォトレジスト層をEUV放射にさらす工程の後に、前記フォトレジスト層にパターンを形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
  前記パターンを前記接着層
、前記
1つ以上の中間層、および前記基板に転写する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項11】
  前記フォトレジスト層にパターンを形成する工程が、前記フォトレジスト層を現像液と接触させて、前記フォトレジスト層の一部を除去する工程を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
  前記パターンを転写する工程が、前記接着層、
前記1つ以上の中間層、および前記基板をエッチングする工程を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
  前記パターンが、約40nm未満のハーフピッチの解像度を有する、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
  前記
1つ以上の中間層が
前記ハードマスク層
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
  前記1つ以上の中間層が、
さらに前記スピンオンカーボン層
を含み、前記ハードマスク層
が前記スピンオンカーボン層
上にある、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
  前記1つ以上の中間層が、
前記スピンオンカーボン層
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項17】
  構造体を形成する方法であって、
  基板を準備する工程であって、前記基板が
、その上に1つ以上の中間層を含
み、前記1つ以上の中間層が、スピンオンカーボン層、ハードマスク層、または、前記スピンオンカーボン層および前記スピンオンカーボン層上の前記ハードマスク層の両方を含み、前記ハードマスク層が、シラン、シロキサン、シルセスキオキサン、酸窒化シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、および、非晶質シリコンの1つ以上を含む、工程と、
  
前記スピンオンカーボン層上または前記ハードマスク層上に組成物をスピンコートする工程であって、前記組成物が、ビニルモノマー、アクリルモノマー、スチレンモノマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される繰り返しモノマーを含むポリマーを含み、前記ビニルモノマーが、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記アクリルモノマーが、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と、
            
  前記組成物をベークして接着層を形成する工程であって、前記接着層が、非導電性であり、単分子層よりも大きいが9nm未満の平均厚さを有する工程と、
  前記接着層上にフォトレジスト層を形成する工程と、
  前記フォトレジスト層の少なくとも一部をEUV放射にさらす工程と、を有する方法。
【請求項18】
  前記基板が、シリコン、SiGe、SiO
2、Si
3N
4、SiON、アルミニウム、タングステン、タングステンシリサイド、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、窒化タンタル、Ti
3N
4、ハフニウム、HfO
2、ルテニウム、リン化インジウム、サンゴ、ブラックダイヤモンド、ガラス、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
  前記ポリマーが、カルボン酸部分を有する発色団、アルキルカルボン酸、芳香族カルボン酸、カルボン酸部分を有するエーテル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される部分でグラフトされた繰り返しビニルモノマーを
さらに含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項20】
  前記組成物が、カルボン酸部分を有する発色団、アルキルカルボン酸、芳香族カルボン酸、カルボン酸部分を有するエーテル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される部分を有する化合物をさらに含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項21】
  前記フォトレジスト層が、金属を含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項22】
  前記フォトレジスト層が、金属を含まない、請求項
17に記載の方法。
【請求項23】
  前記フォトレジスト層をEUV放射にさらす工程が、約5mJ/cm
2~約100mJ/cm
2の線量で行われる、請求項
17に記載の方法。
【請求項24】
  前記フォトレジスト層をEUV放射にさらす工程の後に、前記フォトレジスト層にパターンを形成することをさらに含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項25】
  前記パターンを前記接着層、
前記1つ以上の中間層、および前記基板に転写する工程をさらに含む、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
  前記パターンが、約40nm未満のハーフピッチの解像度を有する、請求項
24に記載の方法。
【請求項27】
  前記
1つ以上の中間層が
前記ハードマスク層である、請求項
17に記載の方法。
【請求項28】
  前記1つ以上の中間層が、
さらに前記スピンオンカーボン層
を含み、前記ハードマスク層
が前記スピンオンカーボン層
上にある、請求項
27に記載の方法。
【請求項29】
  前記1つ以上の中間層が、
前記スピンオンカーボン層
を含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項30】
  前記フォトレジスト層が金属酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
         【請求項31】
  前記フォトレジスト層が金属酸化物を含む、請求項17に記載の方法。
         【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
関連出願
  本願は、2018年7月13日提出の、ADHESION  LAYERS  FOR  EUV  LITHOGRAPHY(EUVリソグラフィ用接着層)と題した米国特許仮出願第62/684,359号の優先権の利益を主張するものであり、その全体を参照して本明細書に援用する。
【0002】
発明の分野
  本発明は、一般に、EUV(極紫外線)リソグラフィを使用してマイクロ電子構造体を作製する方法に関する。
【0003】
先行技術の説明
  半導体産業がムーアの法則に従い続けるにつれて、絶えず小さくなっていく機構サイズに対する需要は、パターン倒れを防ぐために、より薄いフィルムを使用することを必要とする。より薄いフィルムは、パターンを基板に転写するために、ハードマスクを使用することを必要とするであろう。極紫外線(EUV)露光は、7nmノード以上の必要な臨界寸法(CD)ターゲットを達成するための単一露光リソグラフィの選択方法となることが期待されている。残念ながら、EUVリソグラフィは、強力な放射線源の欠如、確率論的効果、および接着の問題を含む多くの問題によって妨げられてきた。
【0004】
  カーボン含有層、シリコン含有層、およびフォトレジストを含有する従来の3層スタックはしばしば、フォトレジストとシリコン下地層との間で接着不良が生じる。この接着不良はしばしば、特に、より低い限界寸法(CD)において、パターン化されたレジストの著しい倒れをもたらす。
【0005】
  1つのアプローチとしては、その比較的高いカーボン含有量により、フォトレジストに対してより良好な接着性を提供するスピンオンシリコンハードマスクを適用することであった。接着性の改善に対する1つの重要な妥協としては、シリコンハードマスク(Si-HM)層におけるより低いシリコン含有量の結果としてのCF4エッチング率の大幅な減少である。
【発明の概要】
【0006】
  本発明は、広く、構造体を形成する方法を提供し、該方法は、表面上に1つ以上の中間層を任意的に含む基板を提供することを含む。接着層は、基板上に、または存在する場合には、1つ以上の中間層上に形成される。接着層は、単分子層よりも厚いが9nm未満の平均厚さと、100wt%とした接着層の合計重量に対して、約0.001wt%未満の金属含有量とを有する。フォトレジスト層は、接着層上に形成され、フォトレジスト層の少なくとも一部は、EUV放射にさらされる。
【0007】
  別の実施形態では、本発明は、構造体を形成する方法を提供し、該方法は、表面上に1つ以上の中間層を任意的に含む基板を提供することを含む。接着層は、基板上に、または存在する場合には、1つ以上の中間層上に形成される。接着層は、非導電性であり、単分子層よりも大きいが9nm未満の平均厚さを有する。フォトレジスト層は、前記接着層上に形成され、フォトレジスト層の少なくとも一部は、EUV放射にさらされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
            【
図1】
図1は、実施例2の母液2のHPLC特性化を示すグラフである。
 
            【
図2】
図2は、実施例2の最終配合のHPLC特性化を示すグラフである。
 
            【
図3】
図3は、実施例2からの材料の膜厚および均一性を示す画像である。
 
            【
図4】
図4は、実施例11からのリソグラフィスタックおよびリソグラフィ結果の画像である。
 
          
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の方法
  より詳細には、本発明は、EUV(すなわち、13.5nm)リソグラフィに特に適したマイクロ電子構造体を形成する方法を提供する。本発明の方法では、表面を有する基板が提供される。任意のマイクロ電子基板を利用することができる。基板は、シリコン、SiGe、SiO2、Si3N4、SiON、アルミニウム、タングステン、タングステンシリサイド、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、窒化タンタル、Ti3N4、ハフニウム、HfO2、ルテニウム、リン化インジウム、サンゴ、ブラックダイヤモンド、ガラス、またはそれらの混合物などの半導体基板であることが好ましい。任意の中間層は、処理前に基板上に形成されてもよい。基板は、平坦面を有することができ、またはトポグラフィ機構(ビアホール、トレンチ、コンタクトホール、隆起機構、ラインなど)を含むことができる。本明細書で用いられる「トポグラフィ」は、基板表面内または基板表面上の構造体の高さまたは深さを指す。
【0010】
  カーボンリッチ層は、基板または任意の中間層上に形成されてもよい。カーボンリッチ層は、任意の既知の塗布方法によって形成することができ、1つの好ましい方法としては、約1,000~約5,000rpm、好ましくは約1,250~約1,750rpmの速度で、約30~約120秒間、好ましくは約45~75秒間スピンコーティングすることである。用語「カーボンリッチ」は、100wt%とした組成物中の全固形分に対して、約50wt%を超えるカーボン、好ましくは約70wt%を超えるカーボン、より好ましくは約75~約80wt%のカーボンを含む組成物から形成される層を指す。適切なカーボンリッチ層は、スピンオンカーボン層(SOC)、非晶質カーボン層、およびカーボン平坦化層からなる群から選択される。
【0011】
  例示的なカーボンリッチ層は、一般的に、以下の任意の成分と共に、溶媒系に溶解または分散されたポリマーを損なうであろう:酸および/または塩基クエンチャ、触媒、架橋剤、および表面改質添加剤。好ましい組成物は、厚い層を形成するのに適しており、100wt%とした組成物の合計重量に対して、好ましくは約0.1wt%~約70wt%、より好ましくは約1wt%~約5wt%、さらに好ましくは約1wt%~約3wt%の固形分を有する。カーボンリッチ組成物は、塗布された後に、溶媒を蒸発させるために、約100℃~約400℃、より好ましくは約160℃~約350℃の温度に、約30秒間~約120秒間、好ましくは約45秒間~約60秒間加熱されることが好ましい。ベーク後のカーボンリッチ層の厚さは、好ましくは約10nm~約120nm、より好ましくは約20nm~約100nm、さらにより好ましくは約40nm~約60nmである。カーボンリッチ層は、化学気相堆積法(CVD)、プラズマ化学気相堆積法(PECVD)、原子層堆積法(ALD)、またはプラズマ原子層堆積法(PEALD)などの他の既知の塗布方法によって形成されてもよい。
【0012】
  ハードマスク層は、カーボンリッチ材料、基板、または任意の中間層に隣接して塗布されてもよい。ハードマスク層は、化学気相堆積法(CVD)またはプラズマ化学気相堆積法(PECVD)などの任意の既知の塗布方法によって形成することができる。別の好ましい方法としては、約1,000~約5,000rpm、好ましくは約1,250~約1,750rpmの速度で、約30~約120秒間、好ましくは約45~約75秒間スピンコーティングすることである。適切なハードマスク層は、好ましくは、シラン、シロキサン、シルセスキオキサン、酸窒化シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、非晶質シリコン、または下層に対して高いエッチングバイアスを有する任意の層からなる群から選択される高シリコン含有材料である。例示的なハードマスク層は、一般的に、以下の任意の成分と共に、溶媒系に溶解または分散されたポリマーを損なうであろう:界面活性剤、酸または塩基触媒、および架橋剤。好ましい組成物は、100wt%とした組成物の合計重量に対して、好ましくは約0.1wt%~約70wt%、より好ましくは約0.5wt%~約10wt%、さらにより好ましくは約0.5wt%~約1wt%の固形分を有するであろう。ハードマスクは、塗布後に、溶媒を蒸発させるために、好ましくは約100℃~約300℃、より好ましくは約150℃~約250℃の温度に、約30秒間~約120秒間、好ましくは約45秒間~約60秒間加熱される。ベーク後のハードマスク層の厚さは、好ましくは約5nm~約50,000nm、より好ましくは約5nm~約1,000nm、さらにより好ましくは約10nm~約30nmである。ハードマスク層は、フッ素リッチプラズマ雰囲気におけるフォトレジストのエッチング速度の少なくとも0.75倍のエッチング速度を有し、酸素リッチプラズマエッチング雰囲気におけるカーボンリッチ層の少なくとも5倍遅いエッチング速度を有するはずである。
【0013】
  いくつかの市販のハードマスク層を使用することができる。他の好ましいハードマスク層は、フェネチルトリメトキシシラン(PETMS)、2-(カルボメトキシ)エチルトリメトキシシラン(CMETMS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、エチルトリメトキシシラン(ETMS)、(3-グリシジオキシプロピル)トリエトキシシラン、および2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECHTMS)を含む群から選択されるモノマーの共重合体を含む。
【0014】
  次に、本発明による接着層を形成するのに有用な組成物を、基板、カーボンリッチ層、ハードマスク、または他の中間層に塗布して、フォトレジストの下に層を形成する。好ましくは、接着層は、ハードマスクに直接塗布される。組成物は、任意の既知の塗布方法によって塗布することができ、1つの好ましい方法としては、好ましくは約1,000~約5,000rpm、より好ましくは約1,250~約1,750rpmの速度で、好ましくは約30~約120秒間、より好ましくは約45~約75秒間、組成物をスピンコーティングすることである。次に、接着層をベークして、組成物の熱架橋を誘発し、硬化層を形成する。好ましいベーク条件は、約30秒間~約120秒間、好ましくは約45秒間~約60秒間、好ましくは約100℃~約300℃、より好ましくは約150℃~約250℃の温度を含む。
【0015】
  ベーク後の接着層の平均厚さは、単分子層よりも大きい(すなわち、分子または原子の単一層よりも大きい)が9nm未満、好ましくは約1nm~9nm、より好ましくは約2nm~約6nm、さらにより好ましくは約4nm~約5nmである。基板の表面がトポグラフィを含む場合、接着層は、好ましくは、基板のトポグラフィを実質的に覆うのに十分な厚さで塗布される。
【0016】
  本発明の接着層は、低い金属含有量を有するであろう。好ましい実施形態では、金属含有量は、100wtとした接着層の合計重量に対して、約0.005wt%未満、好ましくは約0.001wt%未満、より好ましくは約0wt%である。接着層は、非導電層であることがさらに好ましい。
【0017】
  本発明の接着層の所望の接触角は、用途に依存することが理解されるであろう。ベーク後の接着層の水接触角は、好ましくは約50°~約95°である。ネガ型現像用途では、ベーク後の接着層の接触角は、水を用いて測定した場合、好ましくは約55°~約70°である。ポジ型現像用途は、約70°~約90°のような、より高い水接触角を必要とする場合がある。水接触角は、そのための任意の従来の装置で測定することができ、VCA-3000S  Wafer  System(AST  Products、ビレリカ、マサチューセッツ州)は、この測定に適した装置の1つの例である。
【0018】
  硬化接着層は、乳酸エチル(EL)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールn-プロピルエーテル(PnP)、シクロヘキサノン、アセトン、ガンマブチロラクトン(GBL)、およびそれらの混合物などの典型的な有機溶媒に実質的に不溶であろう。したがって、剥離試験に供される場合、硬化接着層は、約5%未満、好ましくは約1%未満、より好ましくは約0%の剥離率を有するであろう。剥離試験は、最初に、硬化層の厚さを(5つの異なる位置での測定値の平均をとることによって)求めることを含む。この平均が、初期平均膜厚である。次に、溶媒(例えば、乳酸エチル)を、硬化膜上に約20秒間浸し、続いて、約3,000rpmで約30秒間スピン乾燥させ、溶媒を除去する。厚さは、偏光解析法を用いてウェハ上の5つの異なる点で再度測定し、これらの測定値の平均を求める。この平均が、最終平均膜厚である。
【0019】
  剥離量は、初期平均膜厚と最終平均膜厚の差である。剥離率は、以下の通りである。
            【数1】
          
【0020】
  接着層が硬化した後、EUVフォトレジスト(すなわち、画像形成層)を接着層に塗布して、フォトレジスト層を形成することができる。任意の市販のEUVフォトレジストを利用することができる。一実施形態では、フォトレジストは、化学増幅型レジスト(CAR)である。別の実施形態では、フォトレジストは、非化学増幅型レジストである。一実施形態では、選択される非化学増幅型レジストは、チタン、亜鉛、スズ、ハフニウム、ジルコニウム、インジウム、バナジウム、コバルト、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ガリウム、シリコン、ゲルマニウム、リン、ヒ素、イットリウム、ランタン、セリウム、ルテチウム、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものなどの金属を含む。別の実施形態では、金属は、フォトレジスト組成物中の金属酸化物または有機金属化合物の一部として提供される。適切なEUVフォトレジストの例としては、JSR、TOK、Sumitomo、Shin  Etsu、FujiFilm、Inpria、Irresistible  Materials、およびZeonを含む供給業者から入手可能なものが挙げられる。特に好ましい実施形態では、上述のような金属含有フォトレジストは、本発明の接着層および中間層としてのスピンオンカーボン層と組み合わせて使用される。
【0021】
  別の実施形態では、選択されるフォトレジストは、金属を含まない(すなわち、本質的に金属を含まない、または好ましくは完全に金属を含まない)。より詳細には、利用されるフォトレジスト組成物および形成される最終的なフォトレジスト層はそれぞれ、100wt%としたフォトレジスト組成物または層の合計重量に対して、約0.5wt%未満の金属、好ましくは約0.1wt%未満の金属、より好ましくは約0wt%の金属を含む。
【0022】
  フォトレジストの種類にかかわらず、フォトレジスト層は、任意の従来の方法によって形成することができ、1つの好ましい方法としては、約350rpm~約4,000rpm(好ましくは約1,000rpm~約2,500rpm)の速度で、約10秒間~約60秒間(好ましくは約10秒間~約30秒間)フォトレジスト組成物をスピンコートすることである。次に、フォトレジスト層は、少なくとも約45℃、好ましくは約80℃~約250℃、より好ましくは約100℃~約150℃の温度で、約20秒間~約30分間、より好ましくは約30秒間~約20分間、任意的に塗布後ベーク(「PAB」)される。ベーク後のフォトレジスト層の厚さは、典型的には、約5nm~約200nm、好ましくは約10nm~約50nm、より好ましくは約20nm~約40nmであろう。
【0023】
  フォトレジスト層は、その後、約5mJ/cm2~約100mJ/cm2、好ましくは約10mJ/cm2~約80 mJ/cm2、より好ましくは約20mJ/cm2~約60mJ/cm2の線量のEUV放射への露光によりパターン化される。より具体的には、フォトレジスト層は、フォトレジスト層の表面上方に配置されたマスクを使用して露光される。マスクは、EUV放射がマスクから反射し、フォトレジスト層の表面に接触することができるように設計された領域を有する。マスクの残りの部分は、放射が特定の領域でフォトレジスト層の表面に接触するのを防止するために光を吸収するように設計される。当業者であれば、反射部分および吸収部分の配置が、フォトレジスト層、および最終的には基板または任意の中間層に形成される所望のパターンに基づいて設計されることを容易に理解するであろう。
【0024】
  EUV露光後、フォトレジスト層は、少なくとも約45℃、好ましくは約80℃~約250℃、より好ましくは約100℃~約150℃の温度で、約20秒間~約30分間、より好ましくは約30秒間~約20分間、露光後ベーク(「PEB」)に供される。
【0025】
  次に、フォトレジスト層を現像液と接触させてパターンを形成する。使用されるフォトレジストがポジ型であるかネガ型であるかに応じて、現像液は、フォトレジスト層の露光部分を除去するか、またはフォトレジスト層の未露光部分を除去してパターンを形成するであろう。次に、パターンは、接着層、任意の存在する中間層(例えば、ハードマスク層、スピンオンカーボン層、Si含有ハードマスク+スピンオンカーボン層の組み合わせなど)、および最後に基板に転写される。このパターン転写は、プラズマエッチング(例えば、CF4エッチング液、O2エッチング液)またはウェットエッチングまたは現像処理を介して行うことができる。パターンがエッチングによってフォトレジスト層から基板に転写される実施形態では、典型的なEUVフォトレジスト(例えば、有機、金属酸化物、または有機金属フォトレジスト)に対する接着層のエッチング速度は、少なくとも約1×、好ましくは約1.5×~約2×であることが好ましい。
【0026】
  一実施形態では、利用される接着層は、現像液可溶性であり得る。本明細書で用いられる「現像液可溶性」または「ウェット現像可能」は、EUV放射に露光された接着層の部分が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)現像液などの従来の水性現像液で実質的に除去され得ることを意味する。フォトレジスト層の露光部分の下の接着層の露光部分は、フォトレジスト層が除去されるにつれて現像液によって除去され、フォトレジスト層およびフォトレジストの下の層に所望のパターンが形成される。パターンは、ビアホール、トレンチ、ライン、空間、ピラーなどであり、最終的には、エッチングまたはイオン注入プロセスを用いて基板に転写されるであろう。好ましくは、接着層の露光部分の少なくとも約95%は、現像液によって除去され、より好ましくは少なくとも約99%、さらにより好ましくは約100%が除去されるであろう。適切な現像液は、有機または無機アルカリ性溶液、例えば、TMAHであるが、これに限定されず、好ましくは0.26N以下の濃度のTMAHの水溶液を含む。好ましくは、0.26N  TMAH現像液中の接着層の溶解速度は、約100nm/s~約1,000nm/s、さらにより好ましくは500nm/s~約1,000nm/sであろう。次に、従来のエッチング、金属化等をパターン化されたスタックに対して行い、デバイス製造を完成させることができる。
【0027】
  パターン転写がエッチングによって行われるか、現像によって行われるかにかかわらず、結果として得られる機構は、高い解像度を有する。例えば、本発明の方法では、約40nm未満のハーフピッチ、好ましくは30nm未満のハーフピッチの解像度を達成することができる。有利には、本発明の接着層はまた、最終的な機構の倒れマージンを改善する。倒れマージンは、線量からサイズまでの線量範囲、および構造体が静止している線量である。
【0028】
本発明の組成物
  本発明の組成物は、溶媒系に分散または溶解されたポリマーまたは小分子および任意の架橋剤を含む。本発明の組成物はまた、界面活性剤、酸、酸触媒、塩基、塩基触媒、ポリマー、触媒、添加剤、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものなどの任意の成分を含有してもよい。接着層の組成物は、使用されるフォトレジストと適合するように選択されるべきであることが理解されるであろう。
【0029】
  適切なポリマーおよび/または小分子には、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸、スチレン、ビニル、エポキシ、ノボラック、シラン、シアヌレート、分子性ガラス、およびそれらの混合物のポリマーおよび小分子が含まれる。特に好ましいポリマーは、ビニルモノマー、アクリルモノマー、およびスチレンモノマーを含む群から選択されるモノマーを含む。ビニルモノマーは、好ましくはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。架橋剤を使用する場合、アクリルモノマーは、好ましくは、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(HPPA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPM)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、tert-ブチルメタクリレート、およびそれらの混合物からなる群より選択されるアミノプラスト反応性モノマーである。1つの特に好ましいポリマーは、グリシジルメタクリレートとヒドロキシプロピルメタクリレートとの共重合体である:
            【化1】
          
【0030】
  この実施形態では、グリシジルメタクリレートは、モノマー単位の少なくとも約30モルパーセント、より好ましくはモノマー単位の40モルパーセントを含むはずである。ポリマーの数平均分子量(Mn)は、好ましくは約2,000~約30,000g/mol、より好ましくは約10,000~約25,000g/molである。ポリマーの重量平均分子量(Mw)範囲は、好ましくは約5,000~100,000g/mol、より好ましくは約30,000~約70,000g/molである。ポリマーは、好ましくは、100wt%とした組成物中の固形分の合計重量に対して、約50wt%~約90wt%、好ましくは約60wt%~約80wt%のレベルで組成物中に存在する。
【0031】
  小分子を使用する場合、1つの特に好ましい小分子は、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート(TEPIC-S、Nissan  Chemical  America  Corporationから入手可能)である。小分子は、好ましくは、100wt%とした組成物中の固形分の合計重量に対して、約40wt%~約90wt%、好ましくは約60wt%~約80wt%のレベルで組成物中に存在する。
【0032】
  一実施形態では、ビニルモノマーを含むポリマーまたは小分子は、官能化カルボン酸部分でグラフトされる。適切な部分としては、9-アントラセンカルボン酸などの発色団;酢酸および酪酸などのアルキル(好ましくはC
1~C
8、より好ましくはC
1~C
4)カルボン酸;安息香酸、4-シアノ安息香酸、および4-ヒドロキシ安息香酸などの芳香族カルボン酸;グリコール酸エーテルなどのエーテル;およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーは、触媒の存在下で、溶媒中でポリマーを官能化カルボン酸と反応させることによって官能化される。適切な反応触媒としては、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(BTEAC)およびテトラブチルホスホニウムブロミドが挙げられるが、これらに限定されない。反応中、カルボン酸官能基は、ポリマーのエポキシ基とグラフトする。好ましくは、ポリマー活性部位は、約20%~約100%グラフトされ、より好ましくは約40%~約100%グラフトされる。グラフトされたポリマーの例を以下に示すが、モノマー比は、例示的である。
            
【化2】
          
【0033】
  別の実施形態では、ポリマーまたは小分子は、官能化カルボン酸部分と物理的に混合される。適切な部分としては、9-アントラセンカルボン酸などの発色団;酢酸および酪酸などのアルキル(好ましくはC1~C8、より好ましくはC1~C4)カルボン酸;安息香酸、4-シアノ安息香酸、および4-ヒドロキシ安息香酸などの芳香族カルボン酸;グリコール酸エーテルなどのエーテル;およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
  好ましい架橋剤は、ビニルエーテル架橋剤、アミノプラスト、エポキシ、およびそれらの混合物からなる群から選択される。市販のビニルエーテルの例としては、商標名VECTomer(商標)(アルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)で販売されているものが挙げられる。市販のアミノプラストの例としては、Powderlink(登録商標)、Cymel(登録商標)303、およびCymel(登録商標)1170の名称で販売されているものが挙げられる。Cymel(登録商標)1170は、以下の構造を有する:
            【化3】
          
【0035】
  適切なエポキシの例としては、Huntsman  Advanced  MaterialsからAraldite(登録商標)(例えば、MY720四官能性エポキシ樹脂)の名称で入手可能なものが挙げられる。
【0036】
  利用する場合、架橋剤は、好ましくは、100wt%とした組成物中の固形分の合計重量に対して、約10wt%~約50wt%、好ましくは約25wt%~約45wt%のレベルで組成物中に存在する。
【0037】
  いくつかの実施形態では、触媒が利用される。好ましくは、触媒は、接着層組成物中に単に混合される。好ましい触媒としては、5-スルホサリチル酸、第四級アンモニウムブロックトリフリック酸(K-Pure  TAG2689の名称で販売されているものなど)、スルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸)、スルホネート(例えば、ピリジニウムp-トルエンスルホネート、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、ピリジニウム3-ニトロベンゼンスルホネート)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるものが含まれるが、これらに限定されない。触媒は、100wt%とした組成物中の固形分の合計重量に対して、約0.01wt%~約0.05wt%、好ましくは約0.01wt%~約0.02wt%のレベルで組成物中に存在するはずである。
【0038】
  いくつかの実施形態では、PAGが利用される。好ましくは、PAGは、ポリマーまたは小分子に付着せず、代わりに単に接着層組成物に混合される。好ましいPAGとしては、オニウム塩(例えば、TPSノナフラートなどのトリフェニルスルホニウムパーフルオロスルホン酸、TPSトリフラート、およびトリス(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ-1-ブタンスルホネート(アルキル置換TPSノナフラート)などの置換形態、すべてシグマアルドリッチ社から入手可能);オキシム-スルホネート(例えば、CIBAによってCGI(登録商標)という名称で販売されているもの);トリアジン(例えば、みどり化学株式会社から入手可能であるTAZ-108(登録商標));およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。PAGは、100wt%とした組成物中の固形分の合計重量に対して、約0.001wt%~約0.030wt%、好ましくは約0.005wt%~約0.015wt%のレベルで組成物中に存在するはずである。
【0039】
  別の実施形態では、接着層組成物は、PAGなどの酸発生剤を実質的に含まない。すなわち、接着層組成物は、100wt%とした組成物中の固形分の合計重量に対して、約0.001wt%未満のPAG、および好ましくは約0wt%のPAGを含むであろう。
【0040】
  いくつかの実施形態では、添加剤が利用される。好ましくは、添加剤は、接着層組成物に単に混合される。好ましい添加剤としては、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)、界面活性剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。添加剤は、100重量%とした組成物中の固形分の合計重量に対して、約0wt%~約0.1wt%、好ましくは約0.01wt%~約0.05wt%のレベルで組成物中に存在するはずである。
【0041】
  好ましい実施形態では、接着層組成物は、本質的に金属を含まない。すなわち、組成物の金属含有量は、100wt%とした組成物中の固形分の合計重量に対して、約0.005wt%未満、好ましくは約0.001wt%未満、より好ましくは約0wt%である。
【0042】
  別の好ましい実施形態では、接着層組成物は、本質的にシリコンを含まない。すなわち、組成物のシリコン含有量は、100wt%とした組成物中の固形分の合計重量に対して、約1wt%未満、好ましくは約0.5wt%未満、より好ましくは約0.1wt%未満、さらにより好ましくは約0wt%である。
【0043】
  好ましい溶媒系は、PGMEA、PGME、PnP、EL、シクロヘキサノン、GBL、メチルイソブチルカルビノール、PGEE、およびそれらの混合物からなる群より選択される溶媒を含む。好ましくは、溶媒系は、約70℃~約200℃、より好ましくは約100℃~約150℃の沸点を有する。溶媒系は、100wt%とした組成物の合計重量に対して、好ましくは約98wt%~約99.99wt%、より好ましくは約99wt%~99.9wt%、さらにより好ましくは約99.3wt%~約99.8wt%のレベルで利用される。接着層を形成するために使用される組成物は、100重量%とした組成物の合計重量に対して、好ましくは約0.1wt%~約1wt%の固形分、より好ましくは約0.1wt%~約0.8wt%の固形分、さらに好ましくは約0.1wt%~約0.5wt%の固形分を含むであろう。
【0044】
  上記成分を溶媒系中で共に混合することにより、接着層組成物が形成される。さらに、任意の成分(例えば、界面活性剤)もまた、同時に溶媒系中に分散される。
【0045】
  本発明の方法において接着層として使用することができる他の組成物は、米国特許第8,257,910号および第8,895,230号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に援用する。
【0046】
実施例
実施例1
酢酸グラフトポリマーの合成および配合
  この実施例では、1.9グラムの氷酢酸(Spectrum  Chemical  Mfg.  Corp.、ガーデナ、カリフォルニア州)および15グラムのグリシジルメタクリレートおよびヒドロキシプロピルメタクリレート(GMA-HPMA)コポリマー(PGME中20%、大阪、日本)を、丸底フラスコ内に測り取り、撹拌を開始した。撹拌しながら、0.18グラムの塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(BTEAC)を添加した。次に、2.8グラムのPGME(KMG  Electronic  Chemicals、フォートワース、テキサス州)を添加し、これを用いて側面をリンスした。丸底フラスコに凝縮器およびN2供給口を取り付けた。反応物を110℃に16時間加熱して、母液1を生成した。
【0047】
  母液1(0.532グラム)、0.3グラムのCymel(登録商標)1170、0.02グラムの5-スルホサリチル酸(5-SSA、King  Industries  Speciality  Chemicals、ノーウォーク、コネチカット州)、0.03グラムの1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE、Hereaus、ヴァンダリア、オハイオ州)、および0.009グラムのTPS-C1を、74.73グラムのPGME(KMG  Electronic  Chemicals、フォートワース、テキサス州)および174.37gのPGMEA(KMG  Electronic  Chemicals、フォートワース、テキサス州)に溶解し、混合ホイール上で数時間混合した。
【0048】
実施例2
酪酸グラフトポリマーの合成および配合
  この手順では、2.79グラムの酪酸(シグマアルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)および15グラムのGMA-HPMA共重合体(PGME中20%)を丸底フラスコ内に測り取り、撹拌を開始した。撹拌しながら、0.18グラムのBTEACを添加した。5.34グラムのPGMEを添加し、これを用いて側面をリンスした。丸底フラスコに凝縮器およびN2供給口を取り付けた。反応物を110℃に16時間加熱して、母液2を生成した。
【0049】
  次に、0.549グラムの母液2、0.3グラムのCymel(登録商標)1170、0.02グラムの5-SSA、0.03グラムのTHPE、および0.009グラムのTPS-C1を、74.72グラムのPGMEおよび174.37グラムのPGMEAに溶解し、混合ホイール上で数時間混合した。
【0050】
実施例3
2-(2-メトキシエトキシ)酢酸グラフトポリマーの合成および配合
  この実施例では、2.79グラムの2-(2-メトキシエトキシ)酢酸(シグマアルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)および15グラムのGMA-HPMA共重合体(PGME中20%)を丸底フラスコ内に測り取り、撹拌を開始した。撹拌しながら、0.18グラムのBTEACを添加し、その後、9.49グラムのPGMEを添加し、これを用いて側面をリンスした。丸底フラスコに凝縮器およびN2供給口を取り付けた。反応物を110℃に16時間加熱して、母液3を生成した。
【0051】
  次に、0.534グラムの母液3、0.3グラムのCymel(登録商標)1170、0.02グラムの5-SSA、0.03グラムのTHPE、および0.009グラムのTPS-C1を、74.73グラムのPGMEおよび174.37グラムのPGMEAに溶解し、混合ホイール上で数時間混合した。
【0052】
実施例4
2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]の合成と配合
酢酸グラフトポリマー
  この手順では、5.65グラムの2-(2-メトキシエトキシ)酢酸(シグマアルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)および15グラムのGMA-HPMA共重合体(PGME中20%)を丸底フラスコ内に測り取り、撹拌を開始した。撹拌しながら、0.18グラムのBTEACを添加し、その後、13.48グラムのPGMEを添加し、これを使用して側面をリンスした。丸底フラスコに凝縮器およびN2供給口を取り付けた。反応物を110℃に16時間加熱して、母液4を生成した。
【0053】
  次に、0.59グラムの母液4、0.3グラムのCymel(登録商標)1170、0.02グラムの5-SSA、0.03グラムのTHPE、および0.01グラムのTPS-C1を、74.7グラムのPGMEおよび174.3グラムのPGMEAに溶解し、混合ホイール上で数時間混合した。
【0054】
実施例5
9-アントラセンカルボン酸グラフトポリマーの合成と配合
  この実施例では、3.28グラムの9-アントラセンカルボン酸(PCAS  Canada、ケベック州)および34.26グラムのGMA-HPMA共重合体(PGME中20%)を丸底フラスコ内に測り取り、撹拌を開始した。撹拌しながら、0.08グラムのBTEACを添加し、その後、2.33グラムのPGMEを添加し、これを使用して側面をリンスした。丸底フラスコに凝縮器およびN2供給口を取り付けた。反応物を116℃に24時間加熱して、母液5を生成した。
【0055】
  次に、0.30グラムの母液5、0.18グラムのCymel(登録商標)1170、0.003グラムの5-SSA、0.02グラムのTHPE、および0.01グラムのTPS-C1を、74.85グラムのPGMEおよび174.65グラムのPGMEAに溶解し、混合ホイール上で数時間混合した。
【0056】
実施例6
スチレン-グリシジルメタクリレートポリマーの合成と配合
  この実施例では、20.46グラムのグリシジルメタクリレート(シグマアルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)、60グラムのスチレン(シグマアルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)、および0.234グラムのAIBN(Charkit、ノーウォーク、コネチカット州)を、丸底フラスコ内に測り取り、窒素でパージした。反応物を80℃に2時間加熱した。メタノール中に沈殿させることによって反応物を急冷し、固体を集めて母液6を生成した。
【0057】
  次に、4.09グラムの母液6および0.007グラムのTAG2689(King  Industries、ノーウォーク、コネチカット州)を、14.96グラムのPGME(KMG  Electronic  Chemicals、フォートワース、テキサス州)および130.95グラムのPGMEA(KMG  Electronic  Chemicals、フォートワース、テキサス州)に溶解し、混合ホイール上で数時間混合した。
【0058】
実施例7
高分子の合成と配合
  この手順において、17.288グラムのトリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート(TEPIC-S、Nissan  Chemical  America  Corp.、東京、日本)、0.242グラムの臭化テトロブチルホスホニウム(日産化学株式会社、東京、日本)、5.176グラムの4-シアノ安息香酸(三京化成株式会社、大阪、日本)、および15.544グラムの4-ヒドロキシ安息香酸(三京化成株式会社、大阪、日本)を、丸底フラスコ内に測り取り、46.65グラムのPGME(KMG  Electronic  Chemicals、フォートワース、テキサス州)に溶解した。反応物を撹拌しながら116℃に18時間加熱して、母液7を生成した。
【0059】
  次に、0.196グラムの母液7、0.098グラムのCymel(登録商標)1170(Heraeus、ヴァンダリア、オハイオ州)、および0.006グラムのピリジニウムパラトルエンスルホネート(Millipore  Sigma、ダルムシュタット、ドイツ)を、19.94グラムのPGME(KMG  Electronic  Chemicals、フォートワース、テキサス州)および79.760グラムのPGMEA(KMG  Electronic  Chemicals、フォートワース、テキサス州)に溶解し、混合ホイール上で数時間混合した。
【0060】
実施例8
エステルポリマーの合成および配合
  この実施例では、10.28グラムのMA-DGIC(四国、徳島、日本)、5.106グラムのフマル酸(テート&ライル、ベッドフォードパーク、イリノイ州)、0.200グラムのヒドロキノン(シグマアルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)、および0.414グラムの塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(アルファ・エイサー社)を丸底フラスコ内に測り取り、64.00グラムのPGME(KMG  Electronic  Chemicals、フォートワース、テキサス州)に溶解した。反応物を110℃に8時間加熱して、母液8を生成した。
【0061】
  次に、0.1395グラムの母液8、0.0349グラムのPowderlink(登録商標)(Heraeus、ヴァンダリア、オハイオ州)、および0.0007グラムの5-スルホサリチル酸(5-SSA、King  Industries  Specialty  Chemicals、ノーウォーク、コネチカット州)を、69.877グラムのPGME(KMG  Electronic  Chemicals、フォートワース、テキサス州)および29.947グラムのPGMEA(KMG  Electronic  Chemicals、フォートワース、テキサス州)に溶解し、混合ホイール上で数時間混合した。
【0062】
実施例9
材料特性化
  ポリマーを、厚い移動相またはTHF移動相を使用してMWおよび多分散性、およびHPLCについて特徴化した。結果を表1に示す。配合もまた、HPLCによっても特徴化された。
図1は、実施例2で合成した母液のHPLCを示し、
図2は、実施例2からの最終配合のHPLCを示す。
 
【0063】
【0064】
  膜厚は、M2000エリプソメータを用いて測定された。
図3は、実施例2で配合した材料の膜厚プロファイルを示す。
 
【0065】
実施例10
リソグラフィ結果
  実施例5からの材料を、1,241rpmで30秒間スピンコーティングし、205℃で60秒間ベークすることによって、ハードマスク(実験的なグラフトシルセスキオキサンハードマスク、ブルーワーサイエンス、ローラ、ミズーリ州)上にスピンコーティングして、5nmの膜を形成した。次に、レジスト(JSR  J3030、JSR  Microから入手可能)を、1,931rpmで26秒間スピンコーティングすることによってコーティングし、次いで130℃で60秒間ベークして30nmの被膜を形成した。次に、表2に示すパラメータを用いてレジストを露光した。使用したレジストおよび画像形成プロセスもまた、表2に示す。NXE3300 EUVスキャナ(ASMLから入手可能)を画像形成工程に使用し、Pro  Zトラック(東京エレクトロン株式会社(TEL)から入手可能)をウェハプロセスに使用した。表3は、レジストの下のSOCおよびHMのみを使用したリソグラフィ品質(表3の上半分)と、レジストの下に本発明の接着層を添加したSOCおよびHM(表3の下半分)との比較を示す。接着層の使用は、プロセスウィンドウを著しく広げた。
【0066】
【0067】
【0068】
  表3は、実施例5からの材料についての線量-焦点マトリックスを示す。x軸(すなわち、上の見出し)は、線量(mJ/cm2)を示し、y軸(すなわち、左端の列)は、焦点範囲(μm)を示す。「ブリッジング」および「倒れ」はそれぞれ、セル内のドットまたは水平線で表され、一方、セル内の垂直線は、ターゲットCD範囲の10%以内であったものを表す。表3の下の凡例を参照されたい。数字を有するが、塗りつぶしまたは陰影がないセル(すなわち、白い背景を有する数字)は、ブリッジングまたは倒れを有さないサンプルを表す。言い換えれば、機構およびサイズは理想的であった。数字のない白色のセルは、試験を行わなかった点を表す。黒色の背景を有するセルは、試験マトリックスの外側にあった。
【0069】
  表3に記載される結果によって示されるように、本発明のEUV下層を含まないが他の点では同一のプロセスと比較して、本発明のEUV下層が使用される場合、プロセスウィンドウは、2倍以上であった(数字はあるが陰影または塗りつぶしのないセルを参照)。
【0070】
実施例11
スピンオンカーボン層に塗布される下地層
  高温スピンオンカーボン材料を二つのシリコンウェハに適用した。実施例5からの材料を、ウェハのうちの1つの上のスピンオンカーボン材料上にスピンコーティングした。Inpriaからの金属含有EUVフォトレジストを、両ウェハ上にコーティングし、EUVリソグラフィを用いて両ウェハをパターン化した。
図4に示すように、実施例5からの下地層を用いたプロセス(右側の画像)では、ラインブリッジングまたは倒れは見られなかったが、下地層を用いないプロセス(左側の画像)では、12nmの機構サイズに対してブリッジングまたはライン倒れが見られた。