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特許7348212電気回路網を過電圧又は過電流から保護するための装置組み合わせ体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】電気回路網を過電圧又は過電流から保護するための装置組み合わせ体
(51)【国際特許分類】
   H01T 4/06 20060101AFI20230912BHJP
   H01R 13/621 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H01T4/06 F
H01R13/621
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020570891
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019066773
(87)【国際公開番号】W WO2020002295
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】102018115483.6
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018118807.2
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019116242.4
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522067846
【氏名又は名称】デーン エスエー
【氏名又は名称原語表記】DEHN SE
【住所又は居所原語表記】Hans-Dehn-Strasse 1 92318 Neumarkt i.d.OPf. Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダウム リヒャルト
(72)【発明者】
【氏名】クローゼ ユリアーネ
(72)【発明者】
【氏名】ワフラー ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ハース セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュパングラー パトリック
(72)【発明者】
【氏名】バイスフロク ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】デュル ディートマー
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-517851(JP,A)
【文献】特開2012-084320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 4/06
H01R 13/621
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路網を過電圧又は過電流から保護するための装置組み合わせ体であって、
略U字形状のベース(1)と、該ベース(1)に差し込み可能又は押し込み可能な少なくとも1つのプラグインモジュール(2)とを備え、
前記ベース(1)は、各回路網に接続するための接続端子(3)を有するとともに、該接続端子(3)に接続され、前記プラグインモジュール(2)の相手プラグイン接触子又は接触舌片(5)と対応して係合するように補完するプラグイン接触子(500)を有し、
前記プラグインモジュール(2)は、1つ又は複数の雷保護用及び/又は過電圧保護用アレスタを収容するハウジングを有し、前記相手プラグイン接触子又は接触舌片(5)は前記ハウジングの床側を貫通している装置組み合わせ体において、
前記プラグイン接触子(500)と前記相手プラグイン接触子又は接触舌片(5)の位置及び距離を変化させるための手段が設けられ、
前記プラグインモジュール(2)と前記ベース(1)との間に閉状態の耐サージ電流電気接続がなされた動作位置から、前記プラグイン接触子(500)と前記相手プラグイン接触子又は接触舌片(5)とが必要電気的分離距離が確保され、かつ、必要沿面距離及び空間距離が確保される絶縁及び係合解除位置に配置されるが、前記プラグインモジュール(2)は前記ベース(1)に保持又は固定されたままであるアイドル位置を選択することができることを特徴とする装置組み合わせ体。
【請求項2】
前記プラグインモジュール(2)は回転可能又は旋回可能に構成されており、この旋回移動又は回転移動により前記動作位置と前記アイドル位置との間の選択を行うことができることを特徴とする請求項1記載の装置組み合わせ体。
【請求項3】
接触子間距離を変化させ、前記動作位置から前記アイドル位置へ位置を変化させるために、前記プラグインモジュール(2)又はそのハウジングと前記ベース(1)との間に空気圧又は油圧により作動可能なラム、パッド又はレバーを設けたことを特徴とする請求項1記載の装置組み合わせ体。
【請求項4】
前記プラグイン接触子と前記相手プラグイン接触子とを確実に電気プラグイン接続させるため及び接触子分離により所定の絶縁を行うために、回転動作を縦方向動作に変換するためのスピンドル(6)を、前記プラグインモジュール(2)を前記ベース(1)に接近及び離反させて各位置に保持することができるように前記ベース(1)と前記プラグインモジュール(2)との間に設けたことを特徴とする請求項1記載の装置組み合わせ体。
【請求項5】
前記スピンドル(6)は、前記プラグインモジュール(2)に回転可能に取り付けられ、該プラグインモジュールの上側(20)からアクセス可能であり、前記ベース(1)に、前記スピンドル(6)を補完するねじ穴を設けたことを特徴とする請求項4記載の装置組み合わせ体。
【請求項6】
前記プラグインモジュール(2)の、前記U字形状のベース(1)に対向する側面(20)の少なくとも一方は、前記U字形状のベース(1)の少なくとも一方の側壁(100)の案内突出部又は案内レール(8)を補完する案内溝部(7)を有し、
前記案内突出部又は案内レール(8)は、前記側壁(100)に弾性的に取付け又は挿入されており、前記プラグインモジュール(2)が前記ベースの床部(101)に接近又は前記ベースの床部(101)から上方に離反する際には前記側壁(100)側に変位し、前記プラグインモジュール(2)の前記案内溝部(7)に対して合致位置に到達した際には該溝部(7)に入り込み、
前記案内突出部又は案内レール(8)の変位は前記ベース(1)の視認窓(9)で確認可能であることを特徴とする請求項4又は5に記載の装置組み合わせ体。
【請求項7】
前記プラグインモジュール(2)が前記案内突出部又は案内レール(8)が前記案内溝部(7)に入り込むことによって定まる前記ベース(1)内の位置に到達すると接触子分離がなされることを特徴とする請求項6記載の装置組み合わせ体。
【請求項8】
前記案内溝部(7)及び前記案内突出部又は案内レール(8)を用いて前記プラグインモジュール(2)を前記U字形状のベース(1)に横方向に押し込むことができ、その後、接触させるために、前記スピンドル(6)を用いて前記プラグインモジュール(2)を前記ベースの床部(101)に接近させることができることを特徴とする請求項6又は7に記載の装置組み合わせ体。
【請求項9】
前記横方向の押し込み動作は、その範囲が、前記ベース(1)に設けられた固定式の又は解除可能な停止部材(10)によって定められていることを特徴とする請求項8記載の装置組み合わせ体。
【請求項10】
前記停止部材(10)は、前記ベース(1)に挿入可能な境界側壁として形成されていることを特徴とする請求項9記載の装置組み合わせ体。
【請求項11】
前記境界側壁は、その上側に、前記プラグインモジュール(2)の前記ベース(1)側への上からの導入を容易にするためのセンタリング傾斜部(11)を有することを特徴とする請求項10記載の装置組み合わせ体。
【請求項12】
前記ベース(1)に第1視認窓(9)を前記プラグインモジュール(2)の差し込み方向に形成し、前記ベース(1)に第2視認窓(90)を前記プラグインモジュール(2)の押し込み方向に形成したことを特徴とする請求項6及び11記載の装置組み合わせ体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の、電気回路網を過電圧又は過電流から保護するための装置組み合わせ体であって、略U字形状のベースと、該ベースに差し込み可能又は押し込み可能な少なくとも1つのプラグインモジュールとを備え、ベースは、各回路網に接続するための接続端子を有するとともに、該接続端子に接続され、プラグインモジュールの相手プラグイン接触子又は接触舌片を補完するプラグイン接触子を有し、プラグインモジュールは、1つ又は複数の雷保護用及び/又は過電圧保護用アレスタを収容するハウジングを有し、相手プラグイン接触子又は接触舌片はハウジングの床側を貫通している装置組み合わせ体に関する。
【背景技術】
【0002】
ベースと、該ベースに収容され、実際の過電圧保護用アレスタ要素を収容するプラグイン部とからなる装置組み合わせ体として構成された過電圧保護用アレスタは、何年も前から先行技術に見られる。
【0003】
ベースとプラグイン部品とからなる公知の装置組み合わせ体の構成は、あらゆる動作条件において長時間にわたって確実な電気プラグイン接続を確保できるものでなくてはならない。さらに、メンテナンスの際、又は故障が生じた際には、プラグイン部を可能であれば工具を要することなく取り外して、新たなものと交換できなくてはならない。
【0004】
また、測定や検査のために、プラグイン部をベースから取り外して、その後再度取り付ける必要がある場合もある。
【0005】
ベースとプラグイン部とからなるすでに公知の装置組み合わせ体は、プラグイン部を対応するU字形状のベースの開口部に上から規則的に押し込み、その後ラッチ留め位置に移行させるという前提を基に構成されている。
【0006】
しかしながら、組立条件によっては、必ずしもプラグイン部に上から自由にアクセスできるとは限らず、したがって、原則として、プラグイン部をベースに横方向に押し込むこともできる必要がある。
【0007】
さらに、プラグイン部を、厳密に言えば該プラグイン部をベースから完全に取り外すことなく、絶縁位置に移行させることができることが求められる場合もある。
【0008】
原則として、電気機械、電気システム及び電気装置の動作信頼性にとって、正確な電力供給を永続的に行うことが最も重要である。システムの停止を防止するために、又は電気回路網又は電気回路網に接続された電気機器への損傷のリスクを抑えるために、過電圧又は過電流により生じる回路網及び電気機器への損傷を永続的に防止しなくてはならない。
【0009】
公知の過電圧保護用アレスタは、過電圧又は過負荷が生じた際に作動状態となり、過渡過電圧の消散又は欠陥回路の切り替えを行うことができる。
【0010】
導入部で述べたように、過電圧保護用アレスタは、ベースが下部を形成し、プラグインモジュールが上部を形成するプラグイン装置組み合わせ体として実施されることが多い。
【0011】
故障又は過負荷が生じた際、電気回路網に通常流れる電流よりも数倍高いサージ電流又は短絡電流が短時間流れることがある。高い短絡電流は強い磁力を生じさせ、このような磁力は、場合によっては実過電圧要素をベース部から押し出してしまうことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの問題を解決するために、プラグイン接触子及び相手プラグイン接触子又は接触舌片を、差し込み状態において、これらの間でフォースフィットだけでなくフォームフィットも達成されるように構成することができる。しかしながら、このような場合、プラグインモジュールをベースから引き抜く際の大きな力が問題となる。
【0013】
これに関して、DE102008017423A1では、過電圧保護用アレスタを、ベース部及びプラグ部の従来の外形寸法は維持したまま、電気接続に必要なプラグイン接続をベース部との間に有する切り離し可能なプラグ部が形成され、厳しい動作条件下で該プラグ部がベース部から切り離されないようにすることができるように発展させることが提案されており、このような過電圧保護用アレスタにおいては、視覚的又は光学的手段によってプラグ部の嵌合を確認することが可能であると考えられる。
【0014】
同文献では、溝状の相手開口に対応する回転ロックとして形成された固定装置が提案されており、この固定装置は、ドライバーで解除可能な、操作が簡単な回転ロックとしてベース部に設けられており、ベース部とプラグ部との間でフォームフィット接続を行ってこれらをロックするものである。
【0015】
このベース部とプラグ部の間の回転ロックとして形成された固定装置により、プラグ部がベース部から抜けてしまうような事態が避けられ、さらに、ベース部のプラグソケットとこれに対応するプラグ部のピンとの間の接触接続部の強固な嵌合が確実なものとなる。この接触接続部の強固な嵌合は、ロック位置において、固定装置がベース部とプラグ部とに同時に係合してこれら2つの要素間を確実にフォームフィットさせることで達成される。回転ロックの作動については、該ロックの頭部に工具を収容するのに適したプロファイルが含まれている。
【0016】
確かに、DE102008017423A1による回転ロックを用いた解決策は、停止機能が達成される結果としてプラグイン部をベース部に固定することができるが、このロック位置が得られるのは、プラグイン部がベース部に対して所定の端位置にあるときのみである。また、引き抜くための力も高いままである。この概要を説明した先行技術の解決策では、プラグイン部がベース部に横方向に押し込まれる可能性がない。プラグイン部を完全に取り外すことなく絶縁を行うこともできない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記に鑑み、本発明の目的は、電気回路網を過電圧又は過電流から保護するための装置組み合わせ体であって、U字形状のベースと、該ベースに差し込み可能又は押し込み可能な少なくとも1つのプラグインモジュールとを備え、プラグインモジュールがベース内にある状態のまま所定の絶縁を可能にし、原則として、プラグインモジュールを、U字形状のベースに完全に差し込まれた状態だけでなく部分的に差し込まれた状態でも略所望の位置で固定することができるさらに発展させた装置組み合わせ体を特定することである。
【0018】
本発明の目的は請求項1の特徴組み合わせによって達成され、従属請求項には少なくとも好適な構成及び発展形態を示す。
【0019】
かくして、本発明は、電気回路網を過電圧又は過電流から保護するための装置組み合わせ体から出発する。ここでは、過渡過電圧だけでなく短時間過電圧も含まれる。
【0020】
この装置組み合わせ体は、略U字形状のベースと、該ベースに差し込み可能又は押し込み可能な少なくとも1つのプラグインモジュールとを備えるが、略U字形状のベース自体は公知である。ベースは、各回路網に接続する接続端子を有するとともに、該接続端子に接続されたプラグイン接触子を有する。
【0021】
プラグイン接触子は、プラグインモジュールの相手プラグイン接触子又は接触舌片を補完するものである。
【0022】
プラグインモジュールは、1つ又は複数の雷保護用及び/又は過電圧保護用アレスタを収容するハウジングを有する。相手プラグイン接触子又は接触舌片は、確実にベースのプラグイン接触子に接続できるようにハウジングの底側を貫通している。
【0023】
プラグインモジュール内の要素はスイッチとスパークギャップとの組み合わせ体から構成することもでき、この場合、ヒューズを用いずに装置組み合わせ体を動作させることもできる。
【0024】
本発明によれば、プラグイン接触子と相手プラグイン接触子又は接触舌片の位置及び距離を変更するための手段が設けられる。
【0025】
この手段により、動作位置で閉状態の耐サージ電流電気接続がなされた状態から、プラグイン接触子と相手プラグイン接触子又は接触舌片とが絶縁/係合解除位置に配置されるアイドル位置を選択することが可能になる。この絶縁・係合解除位置では、必要電気的分離距離が確保されている。同時に、必要沿面距離及び空間距離も確実に得られる。しかしながら、該アイドル位置への到達時、プラグインモジュールはベースに保持又は固定されたままである。
【0026】
必要であれば、アイドル位置から、プラグインモジュールを、非常に小さな機械的力を加えることで取り外し、交換、測定又は検査を行うことができる。アイドル位置では電気接触接続がすでに解除されているため、このように非常に小さな力でプラグインモジュールを完全に取り外すことができる。この取り外し作業は工具を使わずに行うことができる。
【0027】
本発明の一実施形態では、プラグインモジュールは、その中心軸回りに回転又は旋回させることができる。
【0028】
該実施形態では、この旋回移動又は回転移動によって動作位置とアイドル位置との間の選択を行うことができる。動作位置が選択されているとき、プラグインモジュールの相手プラグイン接触子又は接触舌片は、これに対応するように構成されたベースのプラグイン接触子と係合している。ここでは、接触子の構成、すなわち、接触子の形状は、サージ電流が生じた際に生じる電磁力が各接触要素間の接触力を増加させる向きとなるようなものにすることができる。動作位置への移行時とは反対方向の回転移動又は旋回移動によってアイドル位置へ移行すると、厳密に言えばこの過程において上述のような分離距離並びに必要沿面距離及び空間距離が得られると、接触接続が解除可能になる。
【0029】
アイドル位置では、当該プラグインモジュールはベースに機械的に固定されたままであるが、小さな力を加えることで取り外すことができる。プラグインモジュールのハウジングの構成によって、上方向に取り外したり、ベースから横方向に押し出すことによって取り外したりすることができる。
【0030】
本発明の他の構成は、接触子間の距離を変化させるために、すなわち、動作位置とアイドル位置との間の選択を行うために、プラグインモジュール又はそのハウジングとベースとの間に空気圧又は油圧によって作動されるラム、対応する空気圧又は油圧によって作動されるパッド、又は関連するレバーを設けることを基に構成される。例えば、プラグインモジュールとベースとの間に空気圧によって作動可能なパッドを配設する場合、該パッドに圧力を加えることにより、プラグインモジュールとベースとの間に力を作用させることができ、その結果、プラグインモジュールがベースから離反し、想定アイドル位置に到達するまである程度上昇する。パッド、ラム又は対応するレバーに対する加圧が持続する間は、プラグインモジュールがベース内に戻ってしまうことがなく、作動中の機器において対応する作業が行われている間の電気安全性のレベルが向上し、作業安全性が向上する。
【0031】
本発明によれば、付加的な実施形態において、U字形状のベースとプラグインモジュールとの間に回転動作を縦方向動作に変換するためのスピンドルが設けられる。
【0032】
これは、プラグインモジュールをU字形状のベースに対して接近及び離反させて各位置に保持することができる点で有利である。
【0033】
これにより、プラグイン接触子と相手プラグイン接触子とを確実に電気プラグイン接続させることができるとともに、接触子分離により所定の絶縁を行うことができる。
【0034】
絶縁が必要なとき、プラグインモジュールがU字形状のベースから出るようにスピンドルを回転させる。これは、プラグイン接触子と相手プラグイン接触子又は接触舌片との間に十分な分離距離が得られるまで行われる。当該分離又は絶縁位置への到達時、スピンドルは、ベースの床部に設けられ、そのねじ部がスピンドルのねじ部を補完するように構成されたねじ穴に係合した状態のままである。
【0035】
スピンドルをさらに移動させれば、スピンドルの当該端部がねじ穴から外れ、何ら力を加えることなくプラグインモジュールをベースから容易に取り外すことができる。
【0036】
本発明によれば、スピンドルは、プラグインモジュールに回転可能に取り付けられ、該プラグインモジュールの上側からアクセス可能であり、スピンドルを補完する上述のねじ穴はベースに設けられる。
【0037】
代替形態として、スピンドルをベースに回転可能に取り付け、該スピンドルを補完するねじ穴をプラグインモジュールの床部、すなわち、プラグインモジュールの底面に配置することもできる。
【0038】
本発明によれば、プラグインモジュールのU字形状のベースに対向する側面の少なくとも一方は、該U字形状のベースの少なくとも一方の側壁の案内突出部又は案内レールを補完する案内溝部を有する。
【0039】
ここでの側壁とは、プラグインモジュールが押し込まれた際に該プラグインモジュールに対向する側壁である。
【0040】
本発明によれば、案内突出部又は案内レールは側壁に弾性的に取付け又は挿入されており、したがって、該案内突出部又は案内レールは、プラグインモジュールがベースの床部側に又はベースの床部から上方に移動する際には側壁側に変位し、プラグインモジュールの案内溝部に対して合致位置に到達した際には該溝部に入り込む。この合致位置は、プラグインモジュールをベースに対して絶縁させるための必要分離距離と一致することが好ましい。
【0041】
本発明によれば、案内突出部又は案内レールの変位はベースの視認窓で確認することができる。
【0042】
好ましくは工具を用いて行われるスピンドルの回転動作によりプラグインモジュールが解除方向に変位するとき、これに対応するプラグインモジュールのベースに対する縦方向移動により、弾性的に予圧された、弾性的に取り付けられた案内レールが対応するプラグインモジュールの溝部に入り込み、これにより、顕著な停止作用が得られる。この入り込む瞬間は、視認窓で、例えば案内レールの移動による色の変化により確認することができる。この場合、技術者又はシステムオペレータは、プラグインモジュールが絶縁状態であることを容易に確かめられる。
【0043】
回転動作及びこれに伴う縦方向移動をスピンドルがねじ穴から外れるまで続けると、最終的にプラグイン部をベースから取り外すことができる。プラグインモジュールをベースに挿入する工程は逆の順序で行われる。
【0044】
プラグインモジュールが、案内突出部又は案内レールが案内溝部に入り込むことによって定まるベース内の位置に到達すると所望の接触子分離がなされる。
【0045】
本発明によれば、プラグインモジュールを、案内溝部及び案内突出部又は案内レールを用いてU字形状のベースに横方向に押し込んだ後、接触させるために、スピンドルを用いてベースの床部側に移動させることもできる。
【0046】
これを発展させるために、この横方向の押し込み動作に対して、ベース内又はベース上に配設された固定式の又は解除可能な停止部材によって範囲を定めることができる。この停止部材の作用により、プラグインモジュールを接触させるためにベースの床部側に移動させる前に、プラグイン接触子と相手プラグイン接触子との間の所望の正しい位置を確実に達成することができる。
【0047】
この1つ又は複数の停止部材は、ベースに押し込み可能な境界側壁として構成され、各境界側壁は、一構成として、その上側に、プラグインモジュールのベース側への上からの導入を容易にするためのセンター傾斜部を有する。
【0048】
本発明の一構成として、第1視認窓をプラグインモジュールの差し込み方向に形成するとともに、第2視認窓をプラグインモジュールの押し込み方向に形成することができ、これにより、プラグインモジュールの絶縁状態が達成されたか否かを端部側からもある程度確認することができる。
【0049】
プラグインモジュールの床側に、U字形状のベース部の床部から上方に、すなわち、プラグインモジュール側に延びる案内突起又は案内凸部を補完する案内凹部を設けることもできる。これは、プラグインモジュールをベースに挿入する際に斜めになったり傾斜したりしないようにするためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
以下に、本発明について、次の図面を用いて実施例を参照しながらより詳細に説明する。
【0051】
図1-3】プラグインモジュールをベースに右側から横方向に押し込む動作の手順を示す。
図4】底面及び該底面に見られるスピンドルを示したプラグインモジュールの斜視図である。
図5-7】プラグインモジュールを左側からベース側に押し込む動作を示した図である。
図8-10】プラグインモジュールをベース側に上から差し込む動作に関する図であり、図9に絶縁位置を示し、図10に接続位置を示す。
図11】ねじ穴60を備えたベースの上面斜視図である。
図12】ベースと、該ベースに固定可能であり、軸線回りに回転可能又は旋回可能なプラグインモジュールとからなる装置組み合わせ体の断面図であり、該組み合わせ体が閉状態の接触接続がなされた動作位置にある状態を示しており、矢印は、アイドル位置、すなわち、絶縁/係合解除位置に到達するために必要な回転移動又は旋回移動の方向を表す。
図13】ベースとプラグインモジュールの関連要素間の接触子距離を変化させるため、すなわち、動作位置からアイドル位置方向に移行させるための油圧作動可能な手段を備えた、本発明の教示による他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
電気回路網を過電圧又は過電流から保護するための図示の装置組み合わせ体は、ベース1と、該ベースに差し込み可能又は押し込み可能な少なくとも1つのプラグインモジュール2とを基に構成されている。
【0053】
ベース1は、図示しない各回路網に接続するための接続端子3を有する。
【0054】
ベース内には、前記接続端子に接続され、当該ベース1の床領域のスロット状の開口部4の背後及び/又は下方に配置されたプラグイン接触子も備える。
【0055】
ベース1内のプラグイン接触子は、プラグインモジュール2の相手プラグイン接触子を補完するものであり、プラグインモジュール2の相手プラグイン接触子は接触舌片5として構成されている。
【0056】
プラグインモジュール2は、内部に1つ又は複数の雷保護用及び/又は過電圧保護用アレスタを収容するハウジングを備えている。
【0057】
各図から分かるように、接触舌片5は、プラグインモジュール2の側部又は側方床部を貫通している。
【0058】
スピンドル6(図4参照)は、ベース1とプラグインモジュール2との間で作用するものであり、該スピンドルの回転方向に応じてプラグインモジュール2をベース1に対して接近及び離反させて各位置に保持することができるように回転運動を縦方向運動に変換する役割を果たす。
【0059】
これにより、プラグイン接触子と相手プラグイン接触子とを確実に電気プラグイン接続させることができるとともに、これらの接触子を分離させることで所定の絶縁を行うことができる。
【0060】
これに関して、スピンドル6は、プラグインモジュール2に回転可能に取り付けられており、プラグインモジュール2の上側20からアクセス可能である。また、該スピンドルは、その上側に、工具を収容するためのねじ頭又は多角形頭部などの頭部形成体21を有することもできる。
【0061】
図11によれば、ベースのU字形の両腕部間の領域、すなわち、ベースの床部101には、スピンドル6を補完するねじ穴60が設けられている。
【0062】
尚、本実施例にかかる形態は、頭部21を備えたスピンドル6をプラグイン部2に形成し、関連するねじ穴をベース1に設けることを基に構成されている。これは、原則として、本発明の基本概念から逸脱することなく運動学的に逆転させてもよい。
【0063】
プラグインモジュール2の側面22の少なくとも一方は案内溝部7を有する。
【0064】
図示の例では、2つの案内溝部7が両側壁に相対的に配置されている。
【0065】
案内溝部7は、ベース1の側壁100の領域に弾性的に取り付けられた案内レール8を補完するものである。
【0066】
側壁100に弾性的に取付け又は挿入された案内突出部又は案内レール8により、プラグインモジュール2がベースの床部101側に又はベースの床部101から離反して上方に移動する際に、案内レール8を側壁100側に変位させて少なくとも部分的に該側壁100に侵入させることができる。プラグインモジュール2の案内溝部7との合致位置に到達すると、各案内レール8は対応する溝7に入りこむ。これにより、プラグインモジュール2がベース1に対して保持され、このとき、ベース1の視認位置9で案内レール8の位置の変化を確認すことができる。
【0067】
プラグインモジュール2が案内レール8が各案内溝部7に入り込むことによって定まるベース1内の位置に到達すると、接触子5がベース内の接触子に対して絶縁位置に配置される。すなわち、接触子分離が達成される。図2図6及び図9にこの状態を示している。
【0068】
この接触子分離位置から、頭部21を備えたスピンドル6を使って回転動作を縦方向移動に変換することができる。このとき、プラグインモジュール2は、ベース1に引き込まれ、該ベース1にある程度螺合される。U字形状のベース1に対するプラグインモジュール2の端位置では、所望の電気接触安全性及び確実な機械的固定が達成される。
【0069】
図3の矢示回転方向と反対の方向への移動の際、プラグインモジュール2は、何ら力を加えることなく再度U字形状のベース1の外方へ移動することができる。
【0070】
図3図7及び図10に示した完全接触接続がなされると、視認窓9の表示が、例えば最初の緑色(絶縁状態)から赤色(プラグインモジュール接触状態)に変化する。
【0071】
プラグインモジュール2をベース1に右側から、厳密に言えば案内溝部7と弾性案内レール8とを用いて、押し込む場合の手順を図1図3に示す。
【0072】
プラグインモジュール2を横方向に押し込む動作に対して、ベース1に配設又は挿入された固定式の又は解除可能な停止部材10によって範囲を定めることができる。プラグインモジュール2の上からの挿入を容易にするために(図8図10参照)、ベースの両側に挿入された停止部材10は傾斜面11を有することができ、これにより、プラグインモジュール2を上からより容易に差し込むことができるようになる。
【0073】
各停止部材10は、ベースに挿入可能な境界側壁として構成することができる。
【0074】
図1に示したプラグインモジュール2を横方向に押し込む動作は、図1の矢示方向に停止部材10の所まで行われる。
【0075】
その後、スピンドル6を回転させることで(図3参照)、プラグインモジュール2をベースに電気的及び機械的に完全固定することができる。
【0076】
プラグインモジュール2の押し込み移動は、図5図7に示すように、左側からでも適切に行うことができる。
【0077】
代替態様として、各プラグインモジュール2は、従来通りプラグイン部1に上から挿入することもできる。
【0078】
この場合、まず、図9に示すように、上からのプラグイン作業は、ベース1の弾性案内レール8がプラグインモジュール2の案内溝部7に係合するまで行われる。このとき、視認窓9では絶縁位置を確認することができる。
【0079】
続いて、スピンドルを回転させて、プラグインモジュール2をベース1にさらに接近させる。このとき、弾性案内レール9が対応する側壁100のセットバック部に押し込まれるため、プラグインモジュール2の螺合移動は、確実な電気接続が確立される完全終端位置に到達するまで行われる。これに関連して、視認窓9の表示が変化する。
【0080】
視認窓9はベース1の少なくとも1つの付加的な端部側視認窓90によって補助されており、この場合、いかなる状況においても、プラグインモジュールが電気絶縁状態であるか否か、又は、ベースに対して所望の接触接続がなされているか否かを確認することができる。
【0081】
図12は、ベース1と、該ベース1に固定可能であり、軸線回りに回転可能又は旋回可能なプラグインモジュール2とからなる装置組み合わせ体の断面図であり、該組み合わせ体が、最初の態様として、ばね接触子として構成されたプラグイン接触子500と接触舌片5との間に閉接触動作がなされた動作位置にある状態を図示しており、矢印は、アイドル位置、すなわち、絶縁/係合解除位置に到達するために必要な回転移動又は旋回移動の方向を表している。
【0082】
絶縁/係合解除位置に到達すると、ラッチ留め固定が行われる。この固定は、プラグイン部2、具体的にはそのハウジングに設けられたラッチ留め凹部100と、ベースにガイド可能に設けられた、弾性的に取り付けられたラッチ留め凸部101とによって達成される。プラグイン接触子と相手プラグイン接触子が絶縁/係合解除位置に到達したか該位置から離れたかをスイッチ装置102により検出することができ、これを電気通信手段に送信してもよい。付加的なスイッチ102がベースの下部領域に設けられており、これは動作位置を示す。
【0083】
図13は、本発明の教示による他の実施形態を示す図であり、例えば油圧によって作動させることができるシリンダ200を備えている。
【0084】
シリンダ200が後退位置にあるとき、プラグイン部2は、ベース内、厳密に言えば動作位置に配置されている。
【0085】
シリンダ200を進出させた状態(図13に矢印及び破線で示す)では、プラグイン部1が上昇するため、プラグイン接触子500と接触舌片5とが係合解除される。
【0086】
この絶縁/係合解除位置では、再度、プラグイン部2が、該プラグイン部に設けられた又は形成された凹部100とラッチ留め凸部101とによって固定される。この実施例においても、動作位置への到達と絶縁/係合解除位置への到達の違いがわかるようにするためにポジションスイッチ102を設けることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13