(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/79 20180101AFI20230912BHJP
F24F 11/65 20180101ALI20230912BHJP
F24F 11/50 20180101ALI20230912BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20230912BHJP
F24F 120/12 20180101ALN20230912BHJP
F24F 120/14 20180101ALN20230912BHJP
【FI】
F24F11/79
F24F11/65
F24F11/50
F24F11/74
F24F120:12
F24F120:14
(21)【出願番号】P 2021140415
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2022-08-02
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薄田 健太
(72)【発明者】
【氏名】下沢 一仁
(72)【発明者】
【氏名】大石 剛久
(72)【発明者】
【氏名】新開 優美
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-220405(JP,A)
【文献】特開2007-139239(JP,A)
【文献】特開2011-169536(JP,A)
【文献】特開2015-114031(JP,A)
【文献】特開2018-128155(JP,A)
【文献】特開2019-032154(JP,A)
【文献】特開2023-096034(JP,A)
【文献】国際公開第2018/189952(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/024422(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内ユニットを備え、
前記室内ユニットは、
室内に吹き出される空調空気の風向を調整する風向板と、
前記室内における生体の位置を検知するレーダーと、
第1の制御モードにおいて、前記検知される生体の位置を前記レーダーにより追跡しながら、前記検知される生体の位置に向かう方向に向く第1の動作又は前記検知される生体の位置を避けた方向に向く第2の動作の少なくともいずれか一方の動作を行うように、前記風向板を制御する制御部と、
を有し、
前記第1の制御モードは、前記レーダーで複数の生体が検知される場合、前記複数の生体のうち最も前記室内ユニットに近い前記生体に対して前記第1の動作又は前記第2の動作の少なくともいずれか一方の動作を行
い、
前記レーダーは、前記室内における生体の動きを検知し、
前記制御部は、前記レーダーを使用せずに前記風向板を制御する第2の制御モードにおいて、前記検知される動きが前記レーダーの使用のオンを指令する動きである場合、制御モードを前記第2の制御モードから前記第1の制御モードに遷移させる
空気調和装置。
【請求項2】
前記室内ユニットは、操作端末からの指令を受信する受信部をさらに有し、
前記制御部は、前記第1の制御モードにおいて、第1の運転モードの指令が受信される場合、前記第1の動作を行うように前記風向板を制御し、第2の運転モードの指令が受信される場合、前記第2の動作を行うように前記風向板を制御する
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記室内ユニットに指令を送信する操作端末をさらに備え、
前記操作端末は、前記レーダーの使用のオン・オフを指令するボタンを有する
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第2の制御モードにおいて、前記レーダーの使用のオンの指令が受信される場合、制御モードを前記第2の制御モードから前記第1の制御モードに遷移させる
請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記室内ユニットに指令を送信する操作端末をさらに備え、
前記室内ユニットは、前記指令を受信する受信部をさらに有し、
前記レーダーは、前記操作端末を操作する生体を検知する
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記レーダーは、前記室内におけるジェスチャーをした生体と前記ジェスチャーとを検知する
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1の制御モードにおいて、運転に関する第1のモードが指示される場合、前記検知される生体の位置を第1の位置範囲で追跡しながら前記第1の動作と前記第2の動作とのいずれかを行うように前記風向板を制御し、運転に関する第2のモードが指示される場合、前記検知される生体の位置を前記第1の位置範囲より狭い第2の位置範囲で追跡しながら前記第1の動作と前記第2の動作とのいずれかを行うように前記風向板を制御する
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記室内ユニットは、
前記室内に吹き出される空調空気の流路の一部に挿入され前記流路の一部の開口率を変更する閉じ位置と前記挿入が解除される開き位置とで切り替え可能に構成された通風部材をさらに備え、
前記第1のモードは、前記通風部材を前記閉じ位置に切り替えて前記室内に空調空気を吹き出させる無風感モードを含まず、
前記第2のモードは、前記無風感モードを含む
請求項
7に記載の空気調和装置。
【請求項9】
熱交換器と、
前記熱交換器で熱交換された空調空気を吹き出し口へ送付するファンと、
をさらに備え、
前記制御部は、前記レーダーで検知される生体までの距離に応じて前記ファンの回転数を変更する
請求項1から
8のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内ユニット及び室外ユニットを有する空気調和装置では、室内ユニットは、吸い込み口を介して室内から吸い込んだ空気に対して熱交換等の空気調和処理を行い、空気調和処理が施された空調空気を室内に向けて吹き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室内に存在する生体は、室内を移動することがある。このとき、室内ユニットからの空調空気の吹き出され方が固定的であると、室内に存在する生体が不快に感じることがある。
【0005】
本発明の実施形態は、室内に存在する生体の快適性を動的に向上できる空気調和装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和装置は、室内ユニットを有する。室内ユニットは、風向板とレーダーと制御部とを有する。風向板は、室内に吹き出される空調空気の風向を調整する。レーダーは、前記室内における生体の位置を連続的に検知する。制御部は、第1の制御モードにおいて、前記検知される生体の位置を追跡しながら、前記検知される生体の位置に向かう方向に向く第1の動作と前記検知される生体の位置を避けた方向に向く第2の動作とのいずれかを行うように、前記風向板を制御する。
【0007】
前記室内ユニットは、操作端末からの指令を受信する受信部をさらに有する。前記制御部は、前記第1の制御モードにおいて、第1の運転モードの指令が受信される場合、前記第1の動作を行うように前記風向板を制御し、第2の運転モードの指令が受信される場合、前記第2の動作を行うように前記風向板を制御する。
【0008】
前記室内ユニットに指令を送信する操作端末をさらに有する。前記操作端末は、前記レーダーの使用のオン・オフを指令するボタンを有する。
【0009】
前記制御部は、前記レーダーを使用せずに前記風向板を制御する第2の制御モードにおいて、前記レーダーの使用のオンの指令が受信される場合、制御モードを前記第2の制御モードから前記第1の制御モードに遷移させる。
【0010】
前記レーダーは、前記室内における生体の動きを検知する。前記制御部は、前記レーダーを使用せずに前記風向板を制御する第2の制御モードにおいて、前記検知される動きが前記レーダーの使用のオンを指令する動きである場合、制御モードを前記第2の制御モードから前記第1の制御モードに遷移させる。
【0011】
前記制御部は、前記レーダーで複数の生体が検知される場合、前記複数の生体のうち所定の条件を満たす生体を特定し、前記第1の制御モードにおいて、前記特定された生体の位置に向かう方向に向く前記第1の動作と前記特定された生体の位置を避けた方向に向く前記第2の動作とのいずれかを行うように前記風向板を制御する。
【0012】
前記所定の条件は、前記複数の生体のうち最も前記室内ユニットに近いこと、及び前記複数の生体のうち最も移動量が多いことのすくなくとも1つを含む。
【0013】
前記室内ユニットに指令を送信する操作端末をさらに有する。前記室内ユニットは、前記指令を受信する受信部をさらに有する。前記レーダーは、前記操作端末を操作する生体を検知する。前記所定の条件は、前記操作端末を操作した生体であることを含む。
【0014】
前記レーダーは、前記室内におけるジェスチャーをした生体と前記ジェスチャーとを検知する。前記所定の条件は、前記検知されるジェスチャーが前記レーダーの使用のオンを指令するジェスチャーである場合における前記ジェスチャーをした生体であることを含む。
【0015】
前記制御部は、前記第1の制御モードにおいて、運転に関する第1のモードが指示される場合、前記検知される生体の位置を第1の位置範囲で追跡しながら前記第1の動作と前記第2の動作とのいずれかを行うように前記風向板を制御し、運転に関する第2のモードが指示される場合、前記検知される生体の位置を前記第1の位置範囲より狭い第2の位置範囲で追跡しながら前記第1の動作と前記第2の動作とのいずれかを行うように前記風向板を制御する。
【0016】
前記室内ユニットは、前記室内に吹き出される空調空気の流路の一部に挿入され前記流路の一部の開口率を変更する閉じ位置と前記挿入が解除される開き位置とで切り替え可能に構成された通風部材をさらに備える。前記第1のモードは、前記通風部材を前記閉じ位置に切り替えて前記室内に空調空気を吹き出させる無風感モードを含まず、前記第2のモードは、前記無風感モードを含む。
【0017】
前記空気調和装置は、熱交換器と、前記熱交換器で熱交換された空調空気を吹き出し口へ送付するファンとをさらに有する。前記制御部は、前記レーダーで検知される生体までの距離に応じて前記ファンの回転数を変更する。
【0018】
以上の空気調和装置によれば、例えば、レーダーが、室内における生体の位置を連続的に検知し、制御部が、第1の制御モードにおいて、検知される生体の位置を追跡しながら、第1の動作と第2の動作とのいずれかを行うように、風向板を制御する。第1の動作では、風向が検知される生体の位置に向かう方向になるように風向板が制御される。第2の動作では、風向が検知される生体の位置を避けた方向になるように風向板が制御される。これにより、室内に存在する生体が室内を移動する場合に、室内ユニットからの空調空気の吹き出され方を生体の移動に応じて動的に変更できるので、室内に存在する生体の快適性を動的に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る空気調和装置の概略構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態における室内ユニットの構成を示す断面図。
【
図3】実施形態における室内ユニットの構成及び動作を示す断面図。
【
図4】実施形態における室内ユニットの構成及び動作を示す斜視図。
【
図5】実施形態における室内ユニットの構成及び動作を示す断面図。
【
図6】実施形態における通風部材の構成を示す斜視図。
【
図7】実施形態における通風部材の動作を示す断面図。
【
図8】実施形態に係る空気調和装置のレーダーの動作を示す図。
【
図9】実施形態に係る空気調和装置のレーダーで検知される情報を示す図。
【
図10】実施形態における操作端末の外観構成を示す斜視図。
【
図11】実施形態に係る空気調和装置の制御モードを示す状態遷移図。
【
図12】実施形態に係る空気調和装置の室内ユニットの風当て制御を示す上面図。
【
図13】実施形態に係る空気調和装置の室内ユニットの風当て制御を示す側面図。
【
図14】実施形態に係る空気調和装置の室内ユニットの風避け制御を示す上面図。
【
図15】実施形態に係る空気調和装置の室内ユニットの風避け制御を示す側面図。
【
図16】実施形態の変形例に係る空気調和装置のレーダーを用いたロックオン制御を示す上面図。
【
図17】実施形態の変形例に係る空気調和装置のレーダーを用いたロックオン制御を示す上面図。
【
図18】実施形態の他の変形例に係る空気調和装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る空気調和装置の実施形態について説明する。
【0021】
(実施形態)
実施形態にかかる空気調和装置は、
図1に示すように、構成され得る。
図1は、空気調和装置の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
空気調和装置1は、操作端末94a、室内ユニット10、及び室外ユニット100を有する。室内ユニット10は、室内RM内に配され、室外ユニット100は、室外に配される。操作端末94aは、室内RMに存在する生体CRから操作指示を受け付け、受け付けられた操作指示に応じて、室内ユニット10に指令を送信する。生体CRは、例えば人である。操作端末94aは、例えばリモートコントローラである。
【0023】
室内ユニット10は、レーダー2、制御部3、風向板4、風向板5を有する。制御部3は、操作端末94aから受信された指令に応じて、空気調和処理を行うとともに、レーダー2を用いた制御を行う。制御部3は、制御モードとして、レーダー制御モード(第1の制御モード)と通常制御モード(第2の制御モード)とを有する。レーダー制御モードは、レーダー2を用いた制御を行うためのモードである。通常制御モードは、レーダー2を用いない通常の制御を行うためのモードである。
【0024】
レーダー制御モードにおいて、レーダー2は、制御部3による制御の下、室内RMにおける生体CRの位置を連続的に検知する。制御部3は、検知される生体CRの位置を追跡しながら、検知される生体CRの位置に向かう方向に向く第1の動作と検知される生体CRの位置を避けた方向に向く第2の動作とのいずれかを行うように、風向板4,5を制御する。
【0025】
これにより、室内RMに存在する生体CRが室内RMを移動する場合に、室内ユニット10からの空調空気の吹き出され方を生体CRの移動に応じて動的に変更できるので、室内RMに存在する生体CRの快適性を動的に向上できる。
【0026】
具体的には、室内ユニット10は、吸い込み口を介して室内RMから吸い込んだ空気に対して空気調和処理を行い、空気調和処理が施された空調空気を室内RMに向けて吹き出す。空気調和処理は、例えば、吸熱処理、加熱処理、除湿処理、加湿処理、送風処理、空気清浄処理を含む。吸熱処理、加熱処理、除湿処理、加湿処理、送風処理、空気清浄処理は、それぞれ、空気調和装置1の運転モード(主運転モード)としての、冷房運転モード、暖房運転モード、除湿運転モード、加湿運転モード、送風運転モード、空気清浄運転モードに対応する。
【0027】
なお、主運転モードは、制御モード(レーダー制御モード、通常制御モード)と任意に組み合わせ可能である。空気調和装置1は、レーダー制御モードにおいて、冷房運転モード、暖房運転モード、除湿運転モード、加湿運転モード、送風運転モード、空気清浄運転モードのいずれも取り得る。通常制御モードについても同様である。
【0028】
空気調和処理において、加湿処理は、省略されてもよい。このとき、空気調和装置1の運転モードとして、加湿運転モードは、省略されてもよい。
【0029】
空気調和装置1は、補助運転モードとして、無風感モードオン(第1のモード)、無風感モードオフ(第2のモード)を有する。補助運転モードは、制御モード(レーダー制御モード、通常制御モード)と任意に組み合わせ可能であり、主運転モードと任意に組み合わせ可能である。無風感モードオンでは、室内ユニット10から空調空気を吹き出す際に2種類の流速の風を混在させることで広範囲に拡散する乱流を発生させ自然の風(いわゆる、無風感の風)を発生させる。
【0030】
空気調和装置1は、運転モードとして、自動運転モードを有してもよい。空気調和装置1は、温度センサ(図示せず)で室内RMの温度を検知する。空気調和装置1は、自動運転モードにおいて、検知温度が設定温度より高ければ、暖房運転モードで動作し、検知温度が設定温度より低ければ、暖房運転モードで動作する。
【0031】
空気清浄処理は、様々な方式が適用可能であり、電気集塵方式が適用されてもよいし、ファン方式が適用されてもよい。電気集塵方式では、ほこりを帯電させた空気をフィルタに通し、反対極性に帯電させたフィルタにほこりを吸着させることで、空気中からほこりが除去される。ファン方式では、HEPAフィルタなどの目の細かいフィルタに空気を通し、フィルタでほこりがろ過されることで、空気中からほこりが除去される。あるいは、空気清浄処理は、空気中にイオンを放出する方式が適用されてもよいし、紫外線(UV)を空気調和装置1の筐体内部に照射して除菌する方式が適用されてもよい。
【0032】
空気調和装置1において、室内ユニット10は、レーダー2、制御部3、風向板4、風向板5に加えて、ファン23、熱交換器22、通風部材6、受信装置94を有する。制御部3は、制御装置80、駆動回路81、駆動回路82、駆動回路83、ファンモータ84、風向板モータ85、風向板モータ86、切替モータ87を含む。室外ユニット100は、ファン123、熱交換器122、四方弁124、圧縮機125、制御部103を有する。制御部103は、制御装置180、駆動回路181、駆動回路182、駆動回路183、ファンモータ184、切替モータ185、モータ186を含む。
【0033】
室内ユニット10において、ファン23は、熱交換器22付近に配される。ファン23は、室内ユニット10の吸い込み口を介して室内RMから吸い込んだ空気を熱交換器22へ導くとともに、熱交換器22で熱交換された空調空気を室内ユニット10の吹き出し口へ導く。制御部3は、駆動回路81でファンモータ84を駆動し、ファン23を回転軸周りに回転させる。制御部3は、ファン23の回転数を変更可能である。
【0034】
熱交換器22は、種々の構成をとり得る。例えば、熱交換器22は、複数のフィンとそれらに接続される冷媒回路(図示せず)とを含む。複数のフィンは、その近くを冷媒回路が通り、冷媒回路に熱的に接触する。熱交換器22は、室内RMから吸い込まれた空気に対して冷媒と熱交換させる。
【0035】
室外ユニット100において、ファン123は、熱交換器122付近に配される。ファン123は、制御部103による制御に応じて、回転する。これにより、ファン123は、外気を吸い込み熱交換器122へ導くとともに、熱交換器122で熱交換された外気を室外ユニット100外へ排出する。制御部103は、駆動回路181でファンモータ184を駆動し、ファン123を回転軸周りに回転させる。制御部3は、制御部103を介して、ファン123の回転数を変更可能である。
【0036】
熱交換器122は、種々の構成をとり得る。例えば、熱交換器122は、複数のフィンとそれらに接続される冷媒回路とを含む。複数のフィンは、その近くを冷媒回路が通り、冷媒回路に熱的に接触する。熱交換器122は、外気に対して冷媒と熱交換させる。
【0037】
四方弁124は、冷媒回路内に配される。四方弁124は、制御部103による制御に応じて、冷媒回路における冷媒の流路を冷房側と暖房側とで切り替え可能である。制御部103は、駆動回路182で切替モータ185を駆動し、四方弁124を冷房側と暖房側とで切り替え可能である。制御部3は、制御部103を介して、四方弁124を冷房側と暖房側とで切り替え可能である。
【0038】
圧縮機125は、冷媒回路内に配される。圧縮機125は、制御部3による制御に応じて、冷媒を圧縮して冷媒回路内に送り出す。制御部103は、駆動回路183でモータ186を駆動し、圧縮機125に冷媒の圧縮のサイクル動作を行わせる。制御部3は、制御部103を介して、圧縮機125のサイクル数(単位時間当たりの圧縮サイクルの実行回数)を変更可能である。
【0039】
例えば、空気調和装置1は、制御部3及び制御部103により、冷房運転モードにおいて、四方弁124を冷房側に切り替える。熱交換器22で吸熱処理を行い、室内RMの空気から冷媒に熱を吸収させ、吸熱された空調空気を室内RMへ吹き出す。熱交換器122で放熱処理を行い、冷媒に吸収された熱を外気へ放出させる。
【0040】
あるいは、空気調和装置1は、制御部3及び制御部103により、暖房運転モードにおいて、四方弁124を暖房側に切り替える。熱交換器122で吸熱処理を行い、外気から冷媒に熱を吸収させる。熱交換器22で加熱処理を行い、冷媒に吸収された熱で室内RMの空気を加熱し、加熱された空調空気を室内RMへ吹き出す。
【0041】
風向板4,5は、それぞれ、室内RMに吹き出される空調空気の風向を調整する。風向とは、風の向きを意味する。本明細書では、制御部3は直接的に風向板4,5が向く方向を制御するが、風向板4,5が向く方向と室内ユニット10の吹き出し口から吹き出された直後の風の向き(風向)とは、おおむね一致するものとして扱う。すなわち、風向板4,5は、その向きで風向を調整可能であり、制御部3は、風向板4,5の向きを制御することで、風向を制御可能である。なお、複数の風向板4,5は、それぞれ個別にその向きを制御することができる。これにより、室内ユニット10の吹き出し口全体から風向が一方向にそろえられた風を吹き出すこともできるし、室内ユニット10の吹き出し口のうち複数の風向板4,5等で区画される2以上の領域からそれぞれ風向が異なる2以上の風を吹き出すこともできる。
【0042】
風向板4は、閉じ位置と開き位置とで切り替え可能である。風向板4は、閉じ位置に切り替えられた状態で、吹き出し口を閉塞する。風向板4は、開き位置に切り替えられた状態で、吹き出し口を開口する。吹き出し口が開口された状態で、風向板4,5は、室内RMに吹き出される空調空気の風向を調整する。風向板4は、空調空気の風向を上下方向に調整する。風向板5は、空調空気の風向を左右方向に調整する。
【0043】
例えば、風向板4,5は、
図2~
図4に示すように構成され得る。
図2は、室内ユニット10の構成を示す断面図であり、風向板4が閉じ位置にある状態を示す。
図3は、室内ユニット10の構成及び動作を示す断面図であり、風向板4が開き位置にある状態を示す。
図4は、室内ユニット10の構成及び動作を示す斜視図であり、風向板4が開き位置にある状態を示す。以下では、室内ユニット10の長手方向をX方向とし、室内ユニット10の高さ方向をZ方向とし、X方向及びZ方向に垂直な方向をY方向とする。
【0044】
室内ユニット10は、
図2~
図4に示すように、
図1に示す構成に加えて、筐体21及びフィルタ24をさらに有する。
【0045】
筐体21は、X方向に延びた略直方体状に形成される。なお、筐体21は、他の形状に形成されてもよい。筐体21は、例えば、室内RMの壁等に架けられる。筐体21は、上面21aと、下面21bとを有する。上面21aは、筐体21の上方向の端部またはその近傍に設けられ、略上方向に向く。下面21bは、筐体21の下方向の端部またはその近傍に設けられ、略下方向に向く。
【0046】
筐体21に、通風路31、吸い込み口32、及び吹き出し口33が設けられる。通風路31は、筐体21の内部に設けられる。吸い込み口32は、例えば、筐体21の上面21aに開口する。吹き出し口33は、例えば、筐体21の下面21bに開口する。吸い込み口32及び吹き出し口33は、筐体21の他の部分に開口してもよい。
【0047】
室内ユニット10は、通風路31に風を通すことができる。風は、空気のような気体の流れである。吸い込み口32は、通風路31の一方の端に設けられ、通風路31を室内ユニット10の外部に連通する。吹き出し口33は、通風路31の他方の端に設けられ、通風路31を室内ユニット10の外部に連通する。言い換えると、通風路31は、筐体21の内部において、吸い込み口32と吹き出し口33との間に設けられる。
【0048】
熱交換器22は、通風路31に設けられる。熱交換器22は、通風路31において周囲の気体と熱交換を行う。これにより、熱交換器22は、冷房運転時に通風路31を流れる風を冷却し、暖房運転時に通風路31を流れる風を加熱する。
【0049】
ファン23は、通風路31に設けられる。ファン23は、X方向に延びる回転軸Axfまわりに回転することで、通風路31において吸い込み口32から吹き出し口33へ風を送る。これにより、室内ユニット10は、吸い込み口32から室内の空気を通風路31へ吸い込み、吹き出し口33から通風路31の空気(風)を吹き出す。このため、本明細書では、通風路31において吸い込み口32に近い側を上流、吹き出し口33に近い側を下流と称する。
【0050】
ファン23は、熱交換器22の下流に位置する。このため、ファン23が風を生じさせると、吸い込み口32から吸い込まれた空気が熱交換器22のフィンを通過する。これにより、通風路31を流れる空気が熱交換器22と熱交換を行う。
【0051】
フィルタ24は、吸い込み口32、または通風路31における吸い込み口32の近傍に設けられる。フィルタ24は、熱交換器22の上流に位置する。フィルタ24は、筐体21の内部から吸い込み口32を覆う。フィルタ24は、例えば、吸い込み口32から吸い込まれた空気を濾過し、当該空気中の塵埃を捕捉する。
【0052】
風向板4は、複数の風向板25A,25Bを含んでもよい。複数の風向板25A,25Bは、それぞれ、空調空気の風向を上下方向に調整する部材であり、上下ルーバーとも呼ばれる。風向板25Aは、空調空気の流路C1を形成し、風向板25Bは、空調空気の流路C2を形成する。複数の風向板25A,25Bは、それぞれ、軸部41と板部42とを有する。
【0053】
軸部41は、X方向に延びる略円柱状に形成される。軸部41は、X方向に延びる回転軸Axlまわりに回転可能に筐体21に支持される。なお、複数の風向板25A,25Bはそれぞれ、個別の回転軸Axlを有する。板部42は、軸部41から回転軸Axlと略直交する方向に突出する。板部42は、X方向に延びる略矩形の板状に形成される。
【0054】
風向板25Aは、回転軸Axlによって支持され、駆動回路82によって風向板モータ85が制御され、閉じ位置Pc1と開き位置Po1との間で移動可能である。風向板25Bは、回転軸Axlによって支持され、駆動回路82によって風向板モータ85が制御され、閉じ位置Pc2と開き位置Po2との間で移動可能である。
【0055】
図2に示すように、風向板25Aは、閉じ位置Pc1に切り替えられた状態で、流路C1の出口となる通風口C1を閉塞する。風向板25Bは、閉じ位置Pc1に切り替えられた状態で、第2の流路の出口となる通風口C2を閉塞する。通風口C1及び通風口C2は、室内ユニット10の吹き出し口33を形成する。
【0056】
図3及び
図4に示すように、風向板25Aは、開き位置Po1に切り替えられた状態で、通風口C1を開口する。風向板25Bは、開き位置Po1に切り替えられた状態で、通風口C2を開口する。
【0057】
開き位置Po1は、風向板25A,25Bが吹き出し口33の一部を開放する種々の位置を含む。例えば、開き位置Po1は、
図3のように風向板25A,25Bが略水平方向に向く位置と、風向板25A,25Bが下方に向く位置と、これら二つの位置の間の複数の位置とを含む。すなわち、風向板25A,25Bは、略水平方向に向く位置と、下方に向く位置との間で回動可能である。
【0058】
開き位置Po1に位置する風向板25A,25Bは、当該風向板25A,25Bの向きにより、吹き出し口33から放出された風の上下方向(+Z方向・-Z方向)における向きを調整する。すなわち、
図3のように風向板25A,25Bが略水平方向に向くことで、室内ユニット10は略水平方向に風を放出する。一方、風向板25A,25Bが下方に向くことで、室内ユニット10は下方向に風を放出する。
【0059】
風向板5は、回転軸Ax2(図示せず)によって支持され、駆動回路82によって風向板モータ86が制御され、-X側端の開き位置と+X側端の開き位置との間で移動可能である。
【0060】
風向板5は、複数の風向板29-1~29-k,29-(k+1)~29-2kを含んでもよい。複数の風向板29-1~29-k,29-(k+1)~29-2kは、それぞれ、空調空気の風向を左右方向(-X方向・+X方向)に調整する部材であり、左右ルーバーとも呼ばれる。なお、-X側の風向板29-1~29-kと+X側の風向板29-(k+1)~29-2kとは、その向きが制御部3により独立に制御可能であってもよい。
【0061】
-X側の風向板29-1~29-kは、共通の回転軸Ax2に連結され、駆動回路82によって風向板モータ86が制御され、-X側端の開き位置と+X側端の開き位置との間で一括して移動可能であってもよい。+X側の風向板29-(k+1)~29-2kは、共通の回転軸Ax2に連結され、駆動回路82によって風向板モータ86が制御され、-X側端の開き位置と+X側端の開き位置との間で一括して移動可能であってもよい。
【0062】
図1に示す通風部材6は、閉じ位置と開き位置とで切り替え可能である。通風部材6は、閉じ位置に切り替えられた状態で、室内RMに吹き出される空調空気の流路の一部に挿入され流路の一部の開口率を変更する。通風部材6は、開き位置に切り替えられた状態で、流路の一部への挿入が解除され(例えば、流路の一部から退避され)、流路の一部の開口率がもとに戻される。
【0063】
空気調和装置1において、制御部3は、補助運転モードとしての無風感モードオンになると、通風部材6を閉じ位置に切り替える。通風部材6は、閉じ位置に切り替えられた状態で、第1の流路に選択的に挿入され第1の流路の開口率を変更する。第2の流路の開口率は元のまま維持される。制御部3は、補助運転モードとしての無風感モードオンが解除されると(無風感モードオフになると)、通風部材6を開き位置に切り替える。通風部材6は、開き位置に切り替えられた状態で、第1の流路から退避され、第1の流路の開口率がもとに戻される。
【0064】
例えば、通風部材6は、
図3~
図6に示すように構成され得る。
図3は、室内ユニット10の構成及び動作を示す断面図であり、通風部材6が開き位置にある状態を示す。
図4は、室内ユニット10の構成及び動作を示す斜視図であり、通風部材6が開き位置にある状態を示す。
図5は、室内ユニット10の構成及び動作を示す断面図であり、通風部材6が閉じ位置にある状態を示す。
図6は、通風部材6の構成を示す斜視図である。
【0065】
図3及び
図4に示すように、通風部材6は、開き位置Po2に切り替えられた状態で、吹き出し口33の近傍に設けられた筐体21の窪み21cに収容される。窪み21cは、通風路31の一部を形成する筐体21の内面21dから窪んでいる。開き位置Po2に位置する通風部材6は、窪み21cに収容されることで、通風路C1を流れる風を妨げることを抑制される。
【0066】
図5に示すように、通風部材6は、閉じ位置Pc2に切り替えられた状態で、流路C1選択的に挿入され流路C1の開口率を変更する。流路C1の開口率は、通風部材6が挿入される前に比べて小さくなる。通風部材6は、
図6に示すように、複数の通風口56が配列された通風部材26Aを含む。通風部材26Aは、軸部51によって支持され、駆動回路83によって切替モータ87が制御され、閉じ位置Pc2と開き位置Po2との間で移動可能である。そして、閉じ位置Pc2に移動した場合に、
図7に示すように、ファン23によって通風路31内を移動する風は通風口56を通り、風W2aに変化する。
【0067】
一方、流路C2を形成する吹き出し口33には、通風部材が設けられない。流路C2の開口率は、元のまま維持されている。つまり、流路C2から放出される風は、通風部材を通過しない風W1a(層流)となる。その結果、流路C1に設けられた通風部材26Aを通過する風W2aと通風部材が設けられない流路C2を通過した風W1aが隣接して形成されることになる。
【0068】
この場合、流路C1の開口率が小さくなったことに応じて、風W2aは、流速が早い。このため、風W2aは、風W1aを引き込む。これにより、風W1aが風W2aに当たる。また、乱流に遷移した風W2aは拡散することで、当該風W2aに隣接して流れる風W1aに当たる。このように、流速や状態(層流または乱流)が異なる風W1a及び風W2aは、隣り合って流れることで、互いに当たる。すなわち、通風部材を通過しない風W1aと、通風部材26A(通風口56)を通過した風W2aとが互いに干渉する。
【0069】
風W1aと風W2aとが互いに当たることで、例えば、風W1a及び風W2aの塊が砕かれ、乱流である風W2aが風W1aに運ばれる。風W1a及び風W2aは、このような種々の相互作用を生じて、広範囲に拡散する乱流Wsを発生させる。その結果、室内ユニット10から放出される乱流Wsは、吹き出し口33から放出された直後の風よりも自然の風(いわゆる、無風感の風)に近い状態になる。
【0070】
図1に示すレーダー2は、室内RMにおける生体CRの位置及び速度を検知可能である。レーダー2は、ミリ波レーダー、マイクロ波レーダーなどのドップラーレーダである。レーダー2は、送信部2a、受信部2b、信号処理部2cを有する。レーダー2は、ミリ波・マイクロ波などの電波を信号処理部2cで生成して送信部2aから生体CRに送信し、その反射波を受信部2bで受信して信号処理部2cへ渡す。レーダー2は、室内ユニット10における任意の位置に設けられるが、室内RMにおける生体CRの位置及び速度を検知しやすい位置に設けられることが望ましい。レーダー2は、
図2~
図5に破線で示すように、筐体21の+Y側の部分におけるX方向中央近傍の位置に埋め込まれていてもよい。
【0071】
レーダー2は、信号処理部2cで送信波・受信波の位相差などから、
図8に示すように、生体CRの位置を検知可能である。
図8は、レーダーの動作を示す図である。
図8では、検知される生体CRの位置が点で示されている。
【0072】
レーダー2は、制御部3による制御に応じて、対象空間及び対象空間内の生体CRの位置を検知する。レーダー2は、生体CRに対して連続的に電波を送受信し、生体CRの位置を連続的に検知し、検知結果を制御部3へ連続的に供給する。
【0073】
例えば、レーダー2は、長さL1、幅W1、面積L1×W1を有する室内RMを検知する。制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、
図9(a)に示すように、長さL1、幅W1、面積L1×W1を有する室内RMを対象空間として特定し、空間の識別子SP1を割り当てる。
図9は、レーダー2で検知される情報を示す図であり、
図9(a)は、レーダー2で検知される空間に関する情報を示し、
図9(b)は、レーダー2で検知される生体CRに関する情報を示す。
【0074】
制御部3は、対象空間SP1内に座標を設定する。レーダー2は、空間の高さをさらに含めた形で対象空間を検知してもよい。この場合、対象空間の体積も検知できる。
図8では、特定された対象空間が長方形で示され、横方向座標及び縦方向座標が示されている。レーダー2は、制御部3による制御に応じて、対象空間SP1内の生体CRの位置を検知する。レーダー2は、2つの生体CRのそれぞれについて、距離、水平角度、垂直角度を検知する。
【0075】
制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、
図9(b)に示すように、2つの生体CRに、それぞれ、生体の識別子ID1,ID2を割り当てる。制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、ID1の生体CRの距離D1、水平角度θ1、垂直角度α1を特定し、ID2の生体CRの距離D2、水平角度θ2、垂直角度α2を特定する。
【0076】
制御部3は、2つの生体CRの距離、水平角度、垂直角度を対象空間内の座標(横方向座標及び縦方向座標)に変換する。制御部3は、
図8に点で示すように、2つの生体CRがその座標に存在すると把握する。制御部3は、2つの生体CRのそれぞれについて、移動した場合でも、時間的に連続する検知結果に対して空間的に近い座標が同じ識別子に対応すると判断する。
【0077】
レーダー2で1つの生体CRが検知される場合、制御部3は、検知された生体CRにロックオンする。レーダー2で複数の生体CRが検知される場合、制御部3は、所定の条件により、複数の生体CRのうち1つの生体CRを選択し、選択された生体CRにロックオンする。制御部3は、レーダー2の連続的な検知結果に応じて、ロックオンした生体CRの位置を連続的に認識できる。これにより、制御部3は、ロックオンした生体CRを追跡できる。
【0078】
また、レーダー2は、生体CRの複数個所の位置をそれぞれ検知できる。制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、空間的に近接する複数の検知位置の集まり毎に生体の識別子を割り当ててもよい。
図8の場合、制御部3は、2つの生体CRのそれぞれについて、複数の検知位置の集まりにおける複数の検知位置間の位置関係を特定する。これにより、制御部3は、2つの生体CRのそれぞれについて、その姿勢(例えば、床に座った姿勢、椅子に座った姿勢、立った姿勢、寝た姿勢、うずくまった姿勢など)を把握できる。
【0079】
また、レーダー2は、
図8に示すように、信号処理部2cで送信波・受信波の周波数差(又は、波長差)などから、ドップラー効果により、生体CRの速度を検知可能である。
【0080】
図8の場合、レーダー2は、2つの生体CRのそれぞれについて、速度をさらに検知する。制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、
図9(b)に示すように、ID1の生体CRの速度v1、D1の生体CRの速度v2を特定する。
図8では、制御部3で特定された各生体CRの速度が線の長さで示されている。
【0081】
図1に示す受信装置94は、操作端末94aから指令を受信する。受信装置94は、受信された指令を制御部3へ供給する。例えば、操作端末94aは、
図10に示すように、レーダーの使用のオン・オフを指令するボタンを有してもよい。
図10は、操作端末94aの外観構成を示す斜視図であり、操作端末94aがリモートコントローラである場合の構成を例示する。
【0082】
操作端末94aは、生体CRによる操作に適した形状及び寸法を有し、略直方体状の外観を有する。操作端末94aは、その操作面上に複数のボタン及び画面949を有する。複数のボタンは、例えば、レーダーボタン941、冷房ボタン942、暖房ボタン943、空清ボタン944、温度設定ボタン945、除湿ボタン946、無風感ボタン947、停止ボタン948を含む。
【0083】
操作端末94aは、レーダーボタン941、冷房ボタン942、暖房ボタン943、空清ボタン944、除湿ボタン946、無風感ボタン947、停止ボタン948が押されると、その押下を検知する。操作端末94aは、温度設定ボタン945について、△ボタン又は▽ボタンの押下を検知する。操作端末94aは、押下を検知すると、押下されたボタンに応じた指令の情報を画面949に表示するとともに、押下されたボタンに応じた指令を示す信号(例えば、赤外線信号又は無線信号)をその端部から送信する。
【0084】
操作端末94aがレーダー2の使用のオンを指令するボタンの押下(例えば、レーダーボタン941の押し)を検知すると、レーダー2の使用のオンの指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信される。受信装置94は、レーダー2の使用のオンの指令が受信されると、その指令を制御部3へ供給する。
【0085】
操作端末94aがレーダー2の使用のオフを指令するボタンの押下(例えば、停止ボタン948の押し又はレーダーボタン941の再押し)を検知すると、レーダー2の使用のオフの指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信される。受信装置94は、レーダー2の使用のオフの指令が受信されると、その指令を制御部3へ供給する。
【0086】
制御部3は、室内ユニット10を統括的に制御する。制御部3は、制御モードとして、
図11に示すように、レーダー制御モード及び通常制御モードを有する。
図11は、空気調和装置1の制御モードを示す状態遷移図である。
【0087】
空気調和装置1の停止中において、操作端末94aがレーダー2の使用のオンを指令するボタンの押下(例えば、レーダーボタン941の押し)を検知すると、レーダー2の使用のオンの指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信される。制御部3は、レーダー2の使用のオンの指令を受けると、レーダー2の使用のオンの指令に応じて、制御モードを「停止」からレーダー制御モードへ遷移させる。
【0088】
空気調和装置1の停止中において、操作端末94aが通常運転のボタン(例えば、冷房ボタン942、暖房ボタン943、空清ボタン944、除湿ボタン946)の押下を検知すると、通常運転の指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信される。制御部3は、通常運転の指令を受けると、通常運転の指令に応じて、制御モードを「停止」から通常制御モードへ遷移させる。
【0089】
通常制御モードにおいて、操作端末94aがレーダー2の使用のオンを指令するボタンの押下(例えば、レーダーボタン941の押し)を検知すると、レーダー2の使用のオンの指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信される。制御部3は、レーダー2の使用のオンの指令を受けると、レーダー2の使用のオンの指令に応じて、制御モードを通常制御モードからレーダー制御モードへ遷移させる。
【0090】
レーダー制御モードにおいて、操作端末94aがレーダー2の使用オフ及び通常運転オンを指令するボタンの押下(例えば、レーダーボタン941の再押し)を検知すると、レーダー2の使用オフ及び通常運転オンの指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信される。制御部3は、レーダー2の使用オフ及び通常運転オンの指令を受けると、レーダー2の使用オフ及び通常運転オンの指令に応じて、制御モードをレーダー制御モードから通常制御モードへ遷移させる。
【0091】
レーダー制御モードにおいて、操作端末94aがレーダー2の使用オフ及び運転停止のボタンの押下(例えば、停止ボタン948の押し)を検知すると、レーダー2の使用オフ及び運転停止の指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信される。制御部3は、レーダー2の使用オフ及び運転停止の指令に応じて、制御モードをレーダー制御モードから「停止」へ遷移させる。
【0092】
通常制御モードにおいて、操作端末94aが運転停止のボタンの押下(例えば、停止ボタン948の押し)を検知すると、運転停止の指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信される。制御部3は、運転停止の指令に応じて、制御モードを通常制御モードから「停止」へ遷移させる。
【0093】
制御部3は、レーダー制御モードにおいて、レーダー2から検知結果を連続的に受ける。制御部3は、レーダー制御モードにおいて、室内RMにおける生体CRの位置を追跡しながら、第1の動作と第2の動作とのいずれかを行うように、風向板4,5を制御する。第1の動作は、風向板4,5が生体CRの位置に向かう方向に向く動作である。風向板4,5が第1の動作を行うようにする制御部3による制御は、風当て制御とも呼ばれる。第2の動作は、風向板4,5が生体CRの位置を避けた方向に向く動作である。風向板4,5が第2の動作を行うようにする制御部3による制御は、風避け制御とも呼ばれる。
【0094】
なお、レーダー制御モードにおいて制御部3が風向板4,5に対して第1の動作と第2の動作とのいずれを行うように制御するかについては、予め、操作端末94aを通じて制御部3に設定されていてもよい。
【0095】
風向板4,5が第1の動作を行うようにする制御部3による制御(風当て制御)は、例えば、
図12及び
図13に示すように行われる。
図12は、空気調和装置の室内ユニットの風当て制御を示す上面図であり、
図13は、空気調和装置の室内ユニットの風当て制御を示す側面図である。
図12(a)~
図12(d)は、XY上面視における風当て制御の時間的な推移を例示する。
図13(a)~
図13(d)は、YZ側面視における風当て制御の時間的な推移を例示する。
【0096】
図12(a)、
図13(a)に示すように、操作端末94aが生体CRにより操作され、例えば、レーダーボタン941が押される。これに応じて、レーダー2の使用のオンの指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信され、室内ユニット10の受信装置94で受信される。室内ユニット10の制御部3は、制御モードをレーダー制御モードにする。
【0097】
なお、冷房ボタン942がさらに押されてもよい。これに応じて、冷房運転の指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信され、室内ユニット10の受信装置94で受信される。室内ユニット10の制御部3は、レーダー制御モードを維持しながら、その運転モードを冷房運転モードにする。
【0098】
図12(b)、
図13(b)に示すように、室内ユニット10の制御部3は、制御モードがレーダー制御モードになったことに応じて、レーダー2で室内RMの生体CRの位置を検知する。制御部3は、レーダー2で室内RMにおける1つの生体CRが検知されたことを認識し、追跡対象として生体CRにロックオンする。レーダー2は、
図12(b)に示すように、室内RMにおける-X側且つY方向中央付近の平面位置P12bに生体CRがいることを検知する。また、レーダー2は、
図13(b)に示すように、生体CRが床に座った姿勢であることを検知する。レーダー2は、検知結果を制御部3へ供給する。
図12(b)に示すように、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、XY上面視で、風向板5が平面位置P12bに向かう方向を向くように制御し、一点鎖線の矢印で示すように空調空気を吹き出させる。
図13(b)に示すように、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、YZ側面視で、風向板4が生体CRの姿勢に応じた高さ位置(例えば、生体CRの顔の位置)P13bに向かう方向を向くように制御し、一点鎖線の矢印で示すように空調空気を吹き出させる。なお、空調空気を吹き出す高さ位置は、例えば、胴体や足元等、任意の位置に設定可能である。一点鎖線の矢印は、主流となる空調空気の流れを示す。これにより、室内ユニット10から吹き出される風が生体CRに当たるように、その風向が制御され得る。
【0099】
図12(c)、
図13(c)に示すように、室内ユニット10の制御部3は、
図12(b)、
図13(b)に引き続き、レーダー2で室内RMの生体CRの位置を検知する。レーダー2は、
図12(c)に示すように、室内RMにおけるX方向中央且つY方向中央付近の平面位置P12cに生体CRがいることを検知する。また、レーダー2は、
図13(c)に示すように、生体CRが椅子に座った姿勢であることを検知する。レーダー2は、検知結果を制御部3へ供給する。
図12(c)に示すように、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、XY上面視で、風向板5が平面位置P12cに向かう方向を向くように制御し、一点鎖線の矢印で示すように空調空気を吹き出させる。
図13(c)に示すように、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、YZ側面視で、風向板4が生体CRの姿勢に応じた高さ位置(例えば、生体CRの顔の位置)P13cに向かう方向を向くように制御し、一点鎖線の矢印で示すように空調空気を吹き出させる。これにより、ロックオンされた生体CRが追跡されながら、室内ユニット10から吹き出される風が生体CRに当たるように、その風向が制御され得る。
【0100】
図12(d)、
図13(d)に示すように、室内ユニット10の制御部3は、
図12(c)、
図13(c)に引き続き、レーダー2で室内RMの生体CRの位置を検知する。レーダー2は、
図12(d)に示すように、室内RMにおける+X側且つ+Y側の平面位置P12dに生体CRがいることを検知する。また、レーダー2は、
図13(d)に示すように、生体CRが立った姿勢であることを検知する。レーダー2は、検知結果を制御部3へ供給する。
図12(d)に示すように、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、XY上面視で、風向板5が平面位置P12dに向かう方向を向くように制御し、一点鎖線の矢印で示すように空調空気を吹き出させる。
図13(d)に示すように、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、YZ側面視で、風向板4が生体CRの姿勢に応じた高さ位置(例えば、生体CRの顔の位置)P13dに向かう方向を向くように制御し、一点鎖線の矢印で示すように空調空気を吹き出させる。これにより、ロックオンされた生体CRが追跡されながら、室内ユニット10から吹き出される風が生体CRに当たるように、その風向が制御され得る。
【0101】
風向板4,5が第2の動作を行うようにする制御部3による制御(風避け制御)は、例えば、
図14及び
図15に示すように行われる。
図14は、空気調和装置の室内ユニットの風避け制御を示す上面図であり、
図15は、空気調和装置の室内ユニットの風避け制御を示す側面図である。
図14(a)~
図14(d)は、XY上面視における風避け制御の時間的な推移を例示する。
図15(a)~
図15(d)は、YZ側面視における風避け制御の時間的な推移を例示する。
【0102】
図14(a)、
図15(a)に示すように、操作端末94aが生体CRにより操作され、例えば、レーダーボタン941が押される。これに応じて、レーダー2の使用のオンの指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信され、室内ユニット10の受信装置94で受信される。室内ユニット10の制御部3は、制御モードをレーダー制御モードにする。
【0103】
なお、冷房ボタン942がさらに押されてもよい。これに応じて、冷房運転の指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信され、室内ユニット10の受信装置94で受信される。室内ユニット10の制御部3は、レーダー制御モードを維持しながら、その運転モードを冷房運転モードにする。
【0104】
図14(b)、
図15(b)に示すように、室内ユニット10の制御部3は、制御モードがレーダー制御モードになったことに応じて、レーダー2で室内RMの生体CRの位置を検知する。制御部3は、レーダー2で室内RMにおける1つの生体CRが検知されたことを認識し、追跡対象として生体CRにロックオンする。レーダー2は、
図14(b)に示すように、室内RMにおける-X側且つY方向中央付近の平面位置P12bに生体CRがいることを検知する。また、レーダー2は、
図15(b)に示すように、生体CRが床に座った姿勢であることを検知する。レーダー2は、検知結果を制御部3へ供給する。
図14(b)に示すように、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、XY上面視で、風向板5が平面位置P12bを避けた方向(例えば、+X方向)を向くように制御し、一点鎖線の矢印で示すように空調空気を吹き出させる。
図15(b)に示すように、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、YZ側面視で、風向板4が生体CRの姿勢に応じた高さ位置(例えば、生体CRの顔の位置)P13bを避けた方向(例えば、+Z側の方向)を向くように制御し、一点鎖線の矢印で示すように空調空気を吹き出させる。一点鎖線の矢印は、主流となる空調空気の流れを示す。これにより、室内ユニット10から吹き出される風が生体CRに当たらないように、その風向が制御され得る。
【0105】
図14(c)、
図15(c)に示すように、室内ユニット10の制御部3は、
図14(b)、
図15(b)に引き続き、レーダー2で室内RMの生体CRの位置を検知する。レーダー2は、
図14(c)に示すように、室内RMにおけるX方向中央且つY方向中央付近の平面位置P12cに生体CRがいることを検知する。また、レーダー2は、
図15(c)に示すように、生体CRが椅子に座った姿勢であることを検知する。レーダー2は、検知結果を制御部3へ供給する。
図14(c)に示すように、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、XY上面視で、風向板5が平面位置P12cを避けた方向を向くように(例えば、+X側の風向板5が+X方向を向き、-X側の風向板5が-X方向を向くように)制御し、一点鎖線の矢印で示すように空調空気を吹き出させる。
図15(c)に示すように、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、YZ側面視で、風向板4が生体CRの姿勢に応じた高さ位置(例えば、生体CRの顔の位置)P13cを避けた方向(例えば、+Z側の方向)を向くように制御し、一点鎖線の矢印で示すように空調空気を吹き出させる。これにより、ロックオンされた生体CRが追跡されながら、室内ユニット10から吹き出される風が生体CRに当たらないように、その風向が制御され得る。
【0106】
図14(d)、
図15(d)に示すように、室内ユニット10の制御部3は、
図14(c)、
図15(c)に引き続き、レーダー2で室内RMの生体CRの位置を検知する。レーダー2は、
図14(d)に示すように、室内RMにおける+X側且つ+Y側の平面位置P12dに生体CRがいることを検知する。また、レーダー2は、
図15(d)に示すように、生体CRが立った姿勢であることを検知する。レーダー2は、検知結果を制御部3へ供給する。
図14(d)に示すように、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、XY上面視で、風向板5が平面位置P12dを避けた方向(例えば、-X方向)を向くように制御し、一点鎖線の矢印で示すように空調空気を吹き出させる。
図15(d)に示すように、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、YZ側面視で、風向板4が生体CRの姿勢に応じた高さ位置(例えば、生体CRの顔の位置)P13dを避けた方向(-Z方向)を向くように制御し、一点鎖線の矢印で示すように空調空気を吹き出させる。これにより、ロックオンされた生体CRが追跡されながら、室内ユニット10から吹き出される風が生体CRに当たらないように、その風向が制御され得る。
【0107】
なお、制御部3には、風避け制御における避ける方向を任意に設定可能である。風避け制御は、風向が生体CRの位置を左右方向に避けた方向になるような制御であってもよいし、風向が生体CRの位置を上下方向に避けた方向になるような制御であってもよいし、風向が生体CRの位置を上下左右方向に避けた方向になるような制御であってもよい。
【0108】
以上のように、本実施形態では、空気調和装置1において、レーダー2が、室内RMにおける生体CRの位置を連続的に検知する。制御部3は、レーダー制御モードにおいて、検知される生体CRの位置を追跡しながら、第1の動作と第2の動作とのいずれかを行うように、風向板4,5を制御する。すなわち、生体CRが移動した場合でも、生体CRの現在の位置に応じて、風向板4,5を制御する。第1の動作では、風向が検知される生体CRの位置に向かう方向になるように風向板4,5が制御される。第2の動作では、風向が検知される生体の位置を避けた方向になるように風向板4,5が制御される。これにより、室内RMに存在する生体CRが室内RMを移動する場合に、室内ユニット10からの空調空気の吹き出され方を生体CRの移動に応じて動的に変更できるので、室内RMに存在する生体CRの快適性を動的に向上できる。
【0109】
なお、実施形態では、室内ユニット10が1つのレーダー2を有する場合を例示しているが、室内ユニット10は複数のレーダーを有してもよい。この場合、室内ユニット10は複数のレーダーで生体CRの位置を検知するので、位置検出の精度を容易に向上できる。
【0110】
なお、レーダー制御モードにおいて制御部3が風向板4,5に対して第1の動作と第2の動作とのいずれを行うように制御するかについては、操作端末94aで指定されていてもよい。操作端末94aに、風当て制御又は風避け制御を選択するためのボタンが設けられ、操作端末94aがそのボタンの押下を検知した際に風当て制御又は風避け制御の指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信されてもよい。あるいは、操作端末94aに、風当て制御又は風避け制御を選択するためのボタン操作方法(例えば、複数のボタンの同時押しなど)が設けられ、操作端末94aがそのボタン操作方法の実行を検知した際に風当て制御又は風避け制御の指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信されてもよい。制御部3は、風当て制御の指令及び風避け制御の指令のうち受信された指令に応じて、第1の動作と第2の動作とのいずれを行うように制御するかを決定できる。これにより、レーダー制御モードにおいて、検知される生体CRの位置を追跡しながら、生体CRから指定された風向制御を行うことができるので、室内RMに存在する生体CRの快適性を動的に向上できる。
【0111】
あるいは、レーダー制御モードにおいて制御部3が風向板4,5に対して第1の動作と第2の動作とのいずれを行うように制御するかについては、生体CRの移動速度及び移動方向に応じて決められてもよい。例えば、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、生体CRがレーダー2に対して所定の速度以上で近づいてきた場合に風当て制御をオンにしてもよいし、生体CRがレーダー2に対して所定の速度以上で離れていった場合に風避け制御をオンにしてもよい。これにより、レーダー制御モードにおいて、検知される生体CRの位置を追跡しながら、生体CRの移動の仕方に応じた風向制御を行うことができるので、室内RMに存在する生体CRの快適性を動的に向上できる。
【0112】
あるいは、レーダー制御モードにおいて制御部3が風向板4,5に対して第1の動作と第2の動作とのいずれを行うように制御するかについては、運転モードごとに予め決められていてもよい。
【0113】
レーダー制御モードにおいて、操作端末94aが第1の運転モードを指令するボタンの押下を検知すると、第1の運転モードの指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信される。受信装置94は、第1の運転モードの指令が受信されると、その指令を制御部3へ供給する。第1の運転モードは、例えば、冷房運転、暖房運転、送風運転である。レーダー制御モードにおいて、操作端末94aが第2の運転モードを指令するボタンの押下を検知すると、第2の運転モードの指令が操作端末94aから室内ユニット10に送信される。受信装置94は、第2の運転モードの指令が受信されると、その指令を制御部3へ供給する。第2の運転モードは、例えば、除湿運転、加湿運転、空気清浄運転である。制御部3は、レーダー制御モードにおいて、第1の運転モードの指令が受信される場合、第1の動作を行うように風向板4,5を制御する。制御部3は、レーダー制御モードにおいて、第2の運転モードの指令が受信される場合、第2の動作を行うように風向板4,5を制御する。これにより、レーダー制御モードにおいて、検知される生体CRの位置を追跡しながら、運転モードに応じた風向制御を行うことができるので、室内RMに存在する生体CRの快適性を動的に向上できる。
【0114】
あるいは、レーダー制御モードにおいて、制御部3は、補助運転モードに応じて、レーダー2による追跡する位置範囲を変更してもよい。制御部3は、レーダー制御モードにおいて、補助運転モードとしての無風感モードオンの指令を受けていない場合、実施形態と同様に、室内RM(第1の位置範囲)を対象空間SP1として、対象空間SP1内で生体CRの位置(及び速度)を検知する。これにより、制御部3は、対象空間SP1内で生体CRにロックオンして追跡しながら、風当て制御又は風避け制御等の制御を行うことができる。
【0115】
一方、操作端末94aで無風感ボタン947の押下を検知すると、無風感モードオンの指令が操作端末94aから室内ユニット10へ送信される。制御部3は、レーダー制御モードにおいて、補助運転モードとしての無風感モードオンの指令を受けると、室内RMにおける室内ユニット10に近い空間(第2の位置範囲)を対象空間として特定する。無風感モードオンでは、室内ユニット10から吹き出される風が遠くまで届きにくいことを考慮すると、室内ユニット10に近い空間を対象空間とすることが適切である。例えば、制御部3は、
図12(a)における室内RMの-Y側半分の部分エリアを対象空間として特定し、
図9(a)に示すように、長さL2(<L1)、幅W2(<W1)、面積L2×W2(<L1×W1)を有する空間の識別子SP2を割り当てる。そして、制御部3は、実施形態と同様に、対象空間SP2内で生体CRの位置(及び速度)を連続的に検知する。これにより、制御部3は、無風感モードオンであることを考慮しより狭い対象空間SP2内で生体CRにロックオンして追跡しながら、風当て制御又は風避け制御等の制御を行うことができる。
【0116】
また、レーダー制御モードにおいて、制御部3は、レーダー2で検知される生体CRまでの距離に応じてファン23の回転数を変更してもよい。制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、生体CRが遠くにいるほど、風を強くするようファン23の回転数を上げてもよい。
【0117】
例えば、風当て制御について、
図12(b)、
図13(b)に示す場合、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、レーダー2から水平位置P12bまでのXY距離とレーダー2のZ高さからの位置P13bの差分とに応じて、生体CRまでの距離を求める。制御部3は、求められた距離に応じた回転数でファン23を回転させ、一点鎖線の矢印の長さで示されるような風量で空調空気を吹き出させる。
図12(c)、
図13(c)に示す場合、
図12(d)、
図13(d)に示す場合についても同様である。
【0118】
あるいは、風避け制御について、
図14(b)、
図14(b)に示す場合、制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、レーダー2から水平位置P12bまでのXY距離とレーダー2のZ高さからの位置P13bの差分とに応じて、生体CRまでの距離を求める。制御部3は、求められた距離に応じた回転数でファン23を回転させ、一点鎖線の矢印の長さで示されるような風量で空調空気を吹き出させる。
図14(c)、
図14(c)に示す場合、
図14(d)、
図14(d)に示す場合についても同様である。
【0119】
これにより、レーダー制御モードにおいて、検知される生体CRの位置を追跡しながら、生体CRまでの距離に応じた風量制御を行うことができるので、室内RMに存在する生体CRの快適性を動的に向上できる。
【0120】
また、レーダー制御モードにおいて、制御部3は、レーダー2で複数の生体CRが検知される場合に、複数の生体CRのうち所定の条件を満たす生体CRを特定し、特定された生体CRにロックオンして、風当て制御又は風避け制御などの制御を行ってもよい。このとき、所定の条件は、
図16又は
図17に示すような条件であってもよい。
図16及び
図17は、それぞれ、実施形態の変形例に係る空気調和装置1のレーダー2を用いたロックオン制御を示す上面図である。
【0121】
図16(a)の場合、制御部3は、レーダー2の使用オンの指令が操作端末94aから受信装置94で受信されると、レーダー2で室内RMの複数の生体CR1~CR3の位置と操作端末94aの位置とを検知する。制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、複数の生体CR1~CR3のうち操作端末94aに空間的に最も近い生体が生体CR1であると特定し、生体CR1にロックオンする。これ以降、
図16(b)に示すように、制御部3は、生体CR1を追跡しながら、風当て制御などの制御を行う。
【0122】
図16(c)の場合、制御部3は、レーダー2の使用オンの指令が操作端末94aから受信装置94で受信されると、レーダー2で室内RMの複数の生体CR1~CR3の位置と複数の生体CR1~CR3までの距離とを検知する。制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、複数の生体CR1~CR3のうちレーダー2(又は室内ユニット10)に空間的に最も近い生体が生体CR2であると特定し、生体CR2にロックオンする。これ以降、
図16(d)に示すように、制御部3は、生体CR2を追跡しながら、風当て制御などの制御を行う。
【0123】
あるいは、制御部3には、レーダー2の使用オンの指令に相当するレーダー2の所定の検知パターンが予め登録されている。制御部3は、レーダー2で室内における生体のジェスチャーを検知し、検知されるジェスチャーのパターンが所定の検知パターンに一致するか判断し、一致すれば、レーダー2の使用オンが指令されたと特定できる。これに応じて、制御部3は、制御モードをレーダー制御モードに遷移させることができる。これにより、生体CRが操作端末94aの操作に不慣れな場合でも、レーダー2の使用オンを指令することができる。
【0124】
図17(a)の場合、制御部3は、レーダー2の使用オンのジェスチャーによる指令がレーダー2で検知されると、レーダー2でジェスチャーを行った生体CR1の位置を検知する。制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、ジェスチャーを行った生体CR1にロックオンする。これ以降、
図17(b)に示すように、制御部3は、生体CR1を追跡しながら、風当て制御などの制御を行う。
【0125】
図17(c)の場合、制御部3は、レーダー2の使用オンの指令が操作端末94aから受信装置94で受信されると、レーダー2で室内RMの複数の生体CR1~CR3の位置と複数の生体CR1~CR3の運動量とを検知する。運動量は、単位時間当たりの移動量、又は、検知した瞬間の移動速度であってもよい。
図17(c)では、各生体CR1~CR3の運動量を、破線で示す位置から実線で示す位置までの距離(破線の矢印で示すような所定時間における移動距離)で示している。制御部3は、レーダー2の検知結果に応じて、複数の生体CR1~CR3のうちに最も運動量が多い生体が生体CR3であると特定し、生体CR3にロックオンする。これ以降、
図17(d)に示すように、制御部3は、生体CR3を追跡しながら、風当て制御などの制御を行う。なお、制御部3は、
図17(c)に例示する制御以外に、レーダー2の検知結果に応じて、レーダー2に近づいてくる生体のうち一番運動量が多い生体にロックオンするように制御してもよい。
【0126】
また、レーダー制御モードにおいて、制御部3は、レーダー2で検知される生体CRの数に応じて圧縮機125(
図1参照)のサイクル数を変更してもよい。
【0127】
例えば、風当て制御について、
図12(a)に示す場合、レーダー2の使用オンの指令が操作端末94aから受信装置94で受信されると、制御部3は、レーダー2で室内RMに1つの生体CRがいると検知し、空調負荷がLD1であると特定する。制御部3は、空調負荷がLD1であることに応じて、制御部103を介して圧縮機125のサイクル数がCY1になるように圧縮機125を制御する。また、制御部3は、制御モードをレーダー制御モードにし、これ以降、実施形態と同様の制御を行う。
【0128】
なお、空気調和装置1は、モードとして、主運転モード(冷房運転モード、暖房運転モード、除湿運転モード、加湿運転モード、送風運転モード、空気清浄運転モード)、制御モード(レーダー制御モード、通常制御モード)、補助運転モード(無風感モードオン、無風感モードオフ)、急速モード(ファンの回転数、圧縮機のサイクル数のいずれかまたは両方を高めるモード)を有する。空気調和装置1は、急速モードを制御モード、主運転モード、補助運転モードと任意に組み合わせ可能である。例えば、空気調和装置1は、冷房運転モード×レーダー制御モード(風避け制御オン)×無風感モードオフ×急速モードオンの場合、風を避けつつ、室内RMの温度を通常より速い速度で上げるように制御する。また、空気調和装置1は、冷房運転モード×レーダー制御モード(風当て制御オン)×無風感モードオフ×急速モードオンの場合、ロックオンした生体CRを選択的に冷やすように制御する。
【0129】
また、
図16(a)に示す場合、レーダー2の使用オンの指令が操作端末94aから受信装置94で受信されると、制御部3は、レーダー2で室内RMに3つの生体CR1~CR3がいると検知し、空調負荷がLD2(>LD1)であると特定する。制御部3は、空調負荷がLD2であることに応じて、制御部103を介して圧縮機125のサイクル数がCY2(>CY1)になるように圧縮機125を制御する。また、制御部3は、制御モードをレーダー制御モードにし、これ以降、上記と同様の制御を行う。
【0130】
なお、制御部3は、
図16及び
図17で例示されるようなロックオン制御において、赤ちゃん等の小動物を検知した場合は、小動物をロックオン対象から外してもよい。
【0131】
また、室内ユニット10に指令を送る操作端末194aは、
図18に示すような携帯情報端末が兼用されてもよい。携帯情報端末は、例えば、スマートフォンやパーソナルコンピュータなどである。
図18は、実施形態の他の変形例に係る空気調和装置201の構成を示す図である。空気調和装置201は、操作端末94a(
図1参照)に代えて操作端末194aを有し、アクセスポイント200、ネットワークNT及びサーバーSVをさらに有する。室内ユニット10、アクセスポイント200及びサーバーSVは、ネットワークNTを介して互いに通信可能に接続される。ネットワークNTは、広域通信可能な通信回線であり、有線通信回線及び/又は無線通信回線を用いることができる。操作端末194a及びアクセスポイント200は、Wi-fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの無線通信回線を介して互いに通信可能に接続される。
【0132】
操作端末194aは、予め、操作端末94aに対応する指令を生成するためのアプリケーションプログラムAPがサーバーSVからネットワークNT経由でダウンロードされインストールされている。操作端末194aは、生体CRからアプリケーションプログラムAPの起動命令を受けると、アプリケーションプログラムAPを起動させ、操作端末94aにおける複数のボタンに相当する複数のボタンオブジェクトを画面上に表示させる。複数のボタンオブジェクトは、図示しないが、例えば、レーダーボタンオブジェクト、冷房ボタンオブジェクト、暖房ボタンオブジェクト、空清ボタンオブジェクト、温度設定ボタンオブジェクト、除湿ボタンオブジェクト、無風感ボタンオブジェクト、停止ボタンオブジェクトを含む。
【0133】
操作端末194aがレーダー2の使用のオンを指令するボタンの押下(例えば、レーダーボタンオブジェクトの押し)を検知すると、レーダー2の使用のオンの指令が操作端末194aからアクセスポイント200及びネットワークNT経由でサーバーSVへ送信される。サーバーSVは、レーダー2の使用のオンの指令をネットワークNT経由で室内ユニット10に送信する。室内ユニット10は、レーダー2の使用のオンの指令が受信されると、その指令を制御部3へ供給する。これに応じて、制御部3は、制御モードをレーダー制御モードに遷移させる。
【0134】
操作端末194aがレーダー2の使用のオフを指令するボタンの押下(例えば、停止ボタンオブジェクトの押し又はレーダーボタンオブジェクトの再押し)を検知すると、レーダー2の使用のオフの指令が操作端末194aからアクセスポイント200及びネットワークNT経由でサーバーSVへ送信される。サーバーSVは、レーダー2の使用のオフの指令をネットワークNT経由で室内ユニット10に送信する。室内ユニット10は、レーダー2の使用のオフの指令が受信されると、その指令を制御部3へ供給する。これに応じて、制御部3は、制御モードをレーダー制御モードから通常制御モードに遷移させ得る。
【0135】
この空気調和装置201では、アクセスポイント200が室外にある場合も、操作端末194aから指令を送信可能である。例えば、室内ユニット10の制御モードを遠隔操作でレーダー制御モードに遷移させたりレーダー制御モードから通常制御モードに遷移させたりすることができる。
【0136】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0137】
1,201 空気調和装置、 2 レーダー、 3 制御部、 4,5 風向板、 6 通風部材、 10 室内ユニット、 22 熱交換器、 23 ファン、 94a,194a 操作端末、 125 圧縮機