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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】低挿入力コンタクトおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/03 20060101AFI20230912BHJP
   C10M 103/06 20060101ALI20230912BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20230912BHJP
   C10N 40/14 20060101ALN20230912BHJP
   C10N 10/04 20060101ALN20230912BHJP
【FI】
H01R13/03 A
C10M103/06 C
C10N30:06
C10N40:14
C10N10:04
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021147482
(22)【出願日】2021-09-10
(65)【公開番号】P2022046454
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】17/016705
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】マージョリー ケー メイヤーズ
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-503961(JP,A)
【文献】特表2002-531925(JP,A)
【文献】特開2012-011737(JP,A)
【文献】特開2014-175196(JP,A)
【文献】特開昭61-230095(JP,A)
【文献】特開2022-045813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/03-13/11
C10M 103/06
C10N 30/06
C10N 40/14
C10N 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低挿入力コンタクトであって、
前記低挿入力コンタクトは、
- 本体と、
- 前記低挿入力コンタクトの嵌合端部において前記本体から延びるばねビームと、を備え、

前記ばねビームは、相手側コンタクトに嵌合電気接続するように構成されている嵌合界面を有し、

前記ばねビームは、
前記嵌合界面まで延びる導電性基層と、
前記導電性基層に設けられるニッケル被覆層と、
前記ニッケル被覆層に設けられ、前記嵌合端部の前記嵌合界面に設けられている銀被覆層と、
前記嵌合端部の前記嵌合界面における前記銀被覆層に固体潤滑剤を直接形成する硫化銀表面層であって、前記嵌合端部の前記嵌合界面に、前記低挿入力コンタクトの表面を画定する薄膜を形成し、前記薄膜は制御された厚さを有する、硫化銀表面層と、
を含むとともに、
前記硫化銀表面層は、前記銀被覆層の化学処理によって形成されており、

前記硫化銀表面層は前記嵌合界面に制御された着色を有し、
前記硫化銀表面層の前記着色は、赤から紫のような可視色スペクトル、黄色、緑色、青色のいずれかである、
低挿入力コンタクト。
【請求項2】
前記硫化銀表面層は前記銀被覆層に直接、かつ能動的に形成されている、
請求項1に記載の低挿入力コンタクト。
【請求項3】
前記硫化銀表面層は、前記銀被覆層の摩擦係数と比較して、前記低挿入力コンタクトの前記表面の摩擦係数を低下させる、
請求項1に記載の低挿入力コンタクト。
【請求項4】
前記硫化銀表面層は、前記銀被覆層に直接形成された追加の薄膜である、
請求項1に記載の低挿入力コンタクト。
【請求項5】
前記硫化銀表面層は前記銀被覆層の潤滑性薄膜である、
請求項1に記載の低挿入力コンタクト。
【請求項6】
前記硫化銀表面層は制御された厚さを有する、
請求項1に記載の低挿入力コンタクト。
【請求項7】
前記硫化銀表面層は、前記嵌合界面において前記相手側コンタクトに嵌合するように構成されている、
請求項1に記載の低挿入力コンタクト。
【請求項8】
前記嵌合端部の表面領域全体が、前記硫化銀表面層によって覆われている、
請求項1に記載の低挿入力コンタクト。
【請求項9】
前記硫化銀表面層の厚さは、前記銀被覆層よりも薄く、かつ前記ニッケル被覆層よりも薄い、
請求項1からのいずれか一項に記載の低挿入力コンタクト。
【請求項10】
前記導電性基層は銅基層または銅合金基層の一方である、
請求項1に記載の低挿入力コンタクト。
【請求項11】
前記硫化銀表面層は前記低挿入力コンタクトの表面領域全体を覆う、
請求項1に記載の低挿入力コンタクト。
【請求項12】
前記ばねビームは第1のばねビームであり、
前記低挿入力コンタクトは、前記本体から延びる第2のばねビームをさらに備え、
前記相手側コンタクトを受け入れるように構成されている前記第1のばねビームと前記第2のばねビームとの間にソケットが形成され、

前記第2のばねビームは、
前記嵌合界面まで延びる導電性基層と、
前記導電性基層に設けられるニッケル被覆層と、
前記ニッケル被覆層に設けられ、前記嵌合端部の前記嵌合界面に設けられている銀被覆層と、
前記嵌合端部の前記嵌合界面において前記銀被覆層に固体潤滑剤を直接形成する硫化銀表面層であって、前記嵌合端部の前記嵌合界面に、前記低挿入力コンタクトの表面を画定する薄膜を形成し、前記薄膜は制御された厚さを有する、硫化銀表面層と、
を含む、請求項1に記載の低挿入力コンタクト。
【請求項13】
低挿入力コンタクトであって、
前記低挿入力コンタクトは、
- 本体と、
- 前記低挿入力コンタクトの嵌合端部において前記本体から延びるばねビームと、を備え、
前記ばねビームは、相手側コンタクトに嵌合電気接続するように構成されている嵌合界面を有し、
前記ばねビームは、
前記嵌合界面まで延び、銅基層または銅合金基層である導電性基層、
前記導電性基層に直接設けられ、前記嵌合端部の前記嵌合界面に設けられているニッケル被覆層、
前記ニッケル被覆層に直接設けられ、前記嵌合端部の前記嵌合界面に設けられている銀被覆層、および
前記銀被覆層に直接設けられている硫化銀表面層であって、前記嵌合端部の前記嵌合界面に、前記低挿入力コンタクトの表面を画定する固体潤滑剤薄膜を形成する硫化銀表面層を含むとともに、

前記硫化銀表面層は前記嵌合界面に制御された着色を有し、
前記硫化銀表面層の前記着色は、赤から紫のような可視色スペクトル、黄色、緑色、青色のいずれかである、
低挿入力コンタクト。
【請求項14】
低挿入力コンタクトの製造方法であって、
前記製造方法は、
前記低挿入力コンタクトの嵌合端部にばねビームを備える導電性基層を設けることを含み、前記ばねビームは、相手側コンタクトに嵌合電気接続するように構成されている、前記嵌合端部の嵌合界面を含むとともに、

前記製造方法は、
前記ばねビームの前記嵌合界面において前記導電性基層に銀被覆層を施すことと、
硫化銀表面層を前記銀被覆層に直接形成して、前記ばねビームの前記嵌合界面に、前記低挿入力コンタクトの表面を画定する固体潤滑剤薄膜を画定すること、を含み、
前記固体潤滑剤薄膜は、制御された厚さの硫化銀材料を前記ばねビームの前記嵌合界面に有し、

前記硫化銀表面層を形成することは、前記銀被覆層を化学的に処理して、前記嵌合界面に制御された着色を有する前記硫化銀表面層を前記銀被覆層に形成することを含み、
前記硫化銀表面層の前記着色は、赤から紫のような可視色スペクトル、黄色、緑色、青色のいずれかである、
方法。
【請求項15】
前記硫化銀表面層は、前記銀被覆層の化学処理によって形成されている、
請求項13に記載の低挿入力コンタクト。
【請求項16】
前記硫化銀表面層を形成することは、化学処理により前記銀被覆層を処理して前記銀被覆層に均一な色の薄膜を実現することを含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記銀被覆層を施すことは、前記導電性基層に前記銀被覆層をめっきすることを含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記硫化銀表面層を形成することは、前記銀被覆層を薬槽で処理することを含む、
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により主題が本明細書に完全に組み込まれている、2019年8月30日に出願した、「低挿入力コンタクトおよび製造方法」と題する米国出願第16/557,009号の一部継続出願であり、その優先権を主張するものである。
【0002】
本明細書の主題は、一般に、低挿入力コンタクトに関する。
【背景技術】
【0003】
コンタクトは様々な用途で使用される。コンタクトは、一般的に、回路基板または相手側電気コネクタなどの相手側部品に嵌合界面(mating interface)において嵌合される。嵌合中、コンタクトは相手側部品に対してワイピングされることがあり、嵌合界面におけるコンタクトと相手側部品との摩擦が問題になる場合がある。例えば、多数のコンタクトを同時に嵌合させるときに、コンタクトの各々の摩擦によって、相手側部品に嵌合するための嵌合力が大きくなる。嵌合界面におけるコンタクトの材料の摩擦係数は、コンタクトを相手側部品に嵌合させるのに必要な嵌合力を決定する。
【0004】
嵌合力を低減させるために、いくつかの既知のシステムは、コンタクトに潤滑剤を使用する。しかしながら、潤滑剤は汚く、塗布しにくいことがあり、時間と共に埃やごみがたまるため、潤滑剤の使用はあまり望ましくない。潤滑剤は、相手側部品とのコンタクトの導電性に影響を与えるため、ある用途では潤滑剤を使用できないことがある。嵌合後に潤滑剤を拭き取ると、コンタクトを再び嵌合させることが困難になる場合がある。潤滑剤は高温で不安定になり得るため、ある用途では使用できないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
低挿入力コンタクトが依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、低挿入力コンタクトが提供される。低挿入力コンタクトは、本体と、低挿入力コンタクトの嵌合端部(mating end)において本体から延びるばねビームとを備える。ばねビームは、相手側コンタクトに嵌合電気接続するように構成されている嵌合界面を有する。ばねビームは、嵌合界面まで延びる導電性基層を含む。銀被覆層が導電性基層に設けられている。銀被覆層は嵌合界面に設けられている。硫化銀表面層が、銀被覆層に固体潤滑剤を直接形成する。硫化銀表面層は、制御された厚さを有する薄膜を嵌合界面に形成する。
【0007】
別の実施形態において、低挿入力コンタクトが提供される。低挿入力コンタクトは、本体と、低挿入力コンタクトの嵌合端部において本体から延びるばねビームとを備える。ばねビームは、相手側コンタクトに嵌合電気接続するように構成されている嵌合界面を有する。ばねビームは、嵌合界面まで延びる導電性基層を備える。導電性基層は、銅基層または銅合金基層である。ニッケル被覆層が導電性基層に直接設けられている。ニッケル被覆層は嵌合界面に設けられている。銀被覆層がニッケル被覆層に直接設けられている。銀被覆層は嵌合界面に設けられている。硫化銀表面層が銀被覆層に直接設けられている。硫化銀表面層は、固体潤滑剤薄膜を嵌合界面に形成する。
【0008】
さらなる実施形態において、低挿入力コンタクトの製造方法が提供される。方法は、相手側コンタクトに嵌合電気接続するように構成されている嵌合界面を含むばねビームを嵌合端部に備える導電性基層を設けることを含む。方法は、嵌合界面において導電性基層に銀被覆層を施す。方法は、硫化銀表面層を銀被覆層に直接形成して、嵌合界面に固体潤滑剤薄膜を画定する。固体潤滑剤薄膜は、制御された厚さの硫化銀材料を嵌合界面に有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的な実施形態による低挿入力コンタクトを有する電気部品の概略図である。
図2】例示的な実施形態による低挿入力コンタクトの断面図である。
図3】例示的な実施形態による低挿入力コンタクトの断面図である。
図4】例示的な実施形態による低挿入力コンタクトの断面図である。
図5】例示的な実施形態による低挿入力コンタクトの製造方法のフローチャートである。
図6】例示的な実施形態による電気コネクタシステムの概略図である。
図7】例示的な実施形態による低挿入力コンタクトの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、例示的な実施形態による低挿入力コンタクト102を有する電気部品100の概略図である。電気部品100は、相手側コンタクト106を有する相手側電気部品104に嵌合するように構成されている。場合により、相手側コンタクト106は低挿入力相手側コンタクトであってよい。
【0011】
様々な実施形態において、電気部品100は、プラグコネクタ、ソケットコネクタ、カードエッジコネクタなどの電気コネクタである。他の様々な実施形態において、電気部品100は、回路カードなどのプリント回路基板である。様々な実施形態において、相手側電気部品104は、プラグコネクタ、ソケットコネクタ、カードエッジコネクタなどの電気コネクタである。他の様々な実施形態において、相手側電気部品104は、回路カードなどのプリント回路基板である。
【0012】
様々な実施形態において、コンタクト102は、ピン、ソケット、ブレード、ばねビームなどの、打ち抜いて形成されたコンタクトである。他の様々な実施形態において、コンタクト102は、プリント回路基板の回路パッドまたは回路トレースなどの、プリント回路基板の回路コンタクトである。様々な実施形態において、相手側コンタクト106は、ピン、ソケット、ブレード、ばねビームなどの、打ち抜いて形成されたコンタクトである。他の様々な実施形態において、コンタクト106は、プリント回路基板の回路パッドまたは回路トレースなどの、回路基板の回路コンタクトである。
【0013】
低挿入力コンタクト102は、コンタクト102の表面に形成された固体潤滑剤110を有する。例えば、固体潤滑剤110は、コンタクト102の嵌合端部112に薄膜として形成される。例示的な実施形態において、固体潤滑剤110は、コンタクト102の化学構造の一部である。例えば、コンタクト102は銀層を含み、固体潤滑剤110は、銀層の外側に薄膜として形成された硫化銀表面層である。固体潤滑剤110は、コンタクト102の外層または表面であり、コンタクトの表面に銀層を含むコンタクトのように、表面に固体潤滑剤110を含まないコンタクトと比較して、コンタクト102の摩擦係数を低下させる。固体潤滑剤110は、相手側コンタクト106に嵌合するときの嵌合摩擦を低減させる。
【0014】
図2は、例示的な実施形態による低挿入力コンタクト102の断面図である。コンタクト102は導電性基層120を含み、導電性基層120に設けられた少なくとも1つのバリア被覆層122、124を含むことができ、コンタクト102の表面に硫化銀表面層130を含む。例示的な実施形態において、硫化銀表面層130は被覆層124に直接設けられているが、導電性基層120が銀基層であるときのような他の様々な実施形態においては、硫化銀表面層130を導電性基層120に直接設けてもよい。バリア被覆層122、124は、コンタクト102の特性を強化するように設けられる。例えば、バリア被覆層122、124は、耐腐食性を提供し、はんだ付け性を向上させ、導電性を向上させ、コンタクト102の動作温度を上昇させるなど熱特性を向上させることができる。硫化銀表面層130は、コンタクト102の固体潤滑剤110を形成して、コンタクト102の潤滑性を高める。硫化銀表面層130は、相手側コンタクト106(図1に示す)との挿入力または嵌合力を低減させる。硫化銀表面層130は、コンタクト102の耐久性を高めることができる。
【0015】
例示的な実施形態において、導電性基層120は銅基層または銅合金基層である。導電性基層120は、鋼基層、アルミニウム基層、銀基層などの別の金属基層であってもよい。内側被覆層122はニッケル被覆層である。しかしながら、代替実施形態において、内側被覆層122は、ニッケル被覆層以外の別の種類のバリア被覆層であってもよい。外側被覆層124は銀被覆層である。硫化銀表面層130は、固体潤滑剤110を銀被覆層124に直接形成する。代替実施形態において、コンタクト102は追加の層を含むことができる。他の様々な実施形態において、コンタクト102をニッケル被覆層122なしで設けることができ、より正確に言えば、銀被覆層124を導電性基層120に直接設けることができる。
【0016】
被覆層122、124は、コンタクト102の嵌合端部112(図1に示す)に設けられる。場合により、コンタクト102を、嵌合端部112などにおいて選択的に被覆し、コンタクト102の他の部分を被覆しなくてもよい。他の様々な実施形態において、嵌合端部112に加えて他の部分を被覆してもよい。様々な実施形態において、コンタクト102全体が被覆される。様々な実施形態において、被覆層122、124は、めっきプロセスまたはめっき前プロセスによってコンタクト102に設けられる。代替実施形態において、被覆層122、124を他のプロセスによって設けてもよい。
【0017】
例示的な実施形態において、硫化銀表面層130は、嵌合端部112においてコンタクト102の嵌合界面114に設けられる。硫化銀表面層130を、被覆層122、124の制御された領域に選択的に形成することができる。他の様々な実施形態において、硫化銀表面層130を被覆層124全体に形成してもよい。様々な実施形態において、硫化銀表面層130は、嵌合界面114などにおいて嵌合端部112に選択的に形成され、嵌合端部112の他の領域には硫化銀表面層130がなくてもよい。他の様々な実施形態において、嵌合端部112は硫化銀表面層130によって完全に覆われる。他の様々な実施形態において、嵌合端部112に加えて他の部分に硫化銀表面層130が形成されていてもよい。様々な実施形態において、硫化銀表面層130をコンタクト102全体に形成してもよい。
【0018】
例示的な実施形態において、硫化銀表面層130は、銀被覆層124に直接、かつ能動的(actively)に形成される。硫化銀表面層130を、銀被覆層124の表面原子を硫化銀に変えることによって形成することができる。例えば、硫化銀表面層130は、銀被覆層124を化学処理してコンタクト102の表面に硫化銀を形成することによって形成される。銀被覆層124を制御された変色プロセスによって変色させて、銀被覆層124に硫化銀表面層130を形成することができる。例示的な実施形態において、硫化銀表面層130は無害の化学処理プロセスによって形成されるが、代替実施形態においては、硫化銀表面層130を他の化学処理プロセスによって形成してもよい。場合により、化学処理は、硫化物を含まない化学処理であってもよい。硫化銀表面層130は、制御された厚さを有する、コンタクト102の表面の薄膜として形成される。例えば、硫化銀表面層は、銀被覆層124に均一にむらなく作られる。場合により、硫化銀表面層130は、銀被覆層124において一定の厚さを有することができる。例示的な実施形態において、硫化銀表面層130の制御された厚さはコンタクト機能を有する(contact functional)。コンタクト機能を有するとは、電気コンタクトが相手側コンタクトに嵌合するための嵌合界面を画定する、意図した用途のために機能するのに十分であることと定義される。硫化銀表面層130は、硫化銀表面層130によってコンタクト102と相手側コンタクトとの間に電気接続の問題が生じないときにコンタクト機能を有する。様々な実施形態において、硫化銀表面層130は、視認のために均一な着色(ある色の範囲内など)を有するように形成される。着色は、赤から紫のような可視色スペクトルであってよい。場合により、着色は、黄色の範囲内で均一に着色されても、緑色の範囲内で均一に着色されても、青色の範囲内で均一に着色されても、または別の色の範囲内で均一に着色されてもよい。例示的な実施形態において、コンタクト102は、コンタクト102の表面に形成された硫化銀の均一な厚さに対応する均一な着色を実現するように処理される。
【0019】
硫化銀表面層130は、硫黄ベースの生成物を銀被覆層124と化学的に反応させて、コンタクト102の表面に硫化銀を化学的に形成することによって形成される。硫化銀表面層130を、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)などの他のプロセスによって形成してもよい。固体潤滑剤110はコンタクト102の一部を形成する。様々な実施形態において、硫化銀表面層130を銀被覆層124に化学的に結合することができる。そのため、硫化銀表面層130は、コンタクト102の外面に塗布されるグリースまたは液体潤滑剤などの他の潤滑剤と比較して、摩耗しにくく剥離しにくい。したがって、硫化銀表面層130は、多くの嵌合サイクル(例えば、潤滑剤が塗布される場合よりもはるかに多くの嵌合サイクル)の間、耐久性がある。例示的な実施形態において、硫化銀表面層130は導電性であり、コンタクト102の効率的な嵌合界面を提供する。例示的な実施形態において、硫化銀表面層130は、コンタクトのワイピング中などに変位可能であり、コンタクト102と相手側コンタクトとの電気接続を可能にする。
【0020】
図3は、例示的な実施形態による低挿入力コンタクト302の断面図である。低挿入力コンタクト302を、コンタクト102(図1に示す)の代わりに電気部品100(図1に示す)と共に使用することができる。
【0021】
コンタクト302は、導電性基層320と、導電性基層320に直接設けられた銀被覆層324と、銀被覆層324に直接設けられた硫化銀表面層330とを含む。例示的な実施形態において、導電性基層320は銅基層または銅合金基層である。導電性基層320は、鋼基層、アルミニウム基層、銀基層などの別の金属基層であってもよい。被覆層324は銀被覆層である。硫化銀表面層330は、コンタクト302の表面に固体潤滑剤310を形成して、コンタクト302の潤滑性を高める。硫化銀表面層330は、相手側コンタクト106(図1に示す)との挿入力または嵌合力を低減させる。被覆層324および硫化銀表面層330は、コンタクト302の嵌合端部312に設けられる。他の様々な実施形態において、嵌合端部312に加えて他の部分を被覆してもよい。様々な実施形態において、コンタクト302全体が被覆される。
【0022】
例示的な実施形態において、硫化銀表面層330は、嵌合端部312においてコンタクト302の嵌合界面314に設けられる。硫化銀表面層330を、被覆層324の制御された領域に選択的に形成することができる。他の様々な実施形態において、硫化銀表面層330は、被覆層324全体に形成されて被覆層324全体を覆うことができる。様々な実施形態において、硫化銀表面層330は、嵌合界面314などにおいて嵌合端部312に選択的に形成され、嵌合端部312の他の領域には硫化銀表面層330がない。他の様々な実施形態において、嵌合端部312は硫化銀表面層330によって完全に覆われる。他の様々な実施形態において、嵌合端部312に加えて他の部分に硫化銀表面層330が形成されていてもよい。様々な実施形態において、硫化銀表面層330をコンタクト302全体に形成してもよい。
【0023】
例示的な実施形態において、硫化銀表面層330は銀被覆層324に直接、かつ能動的に形成される。例えば、硫化銀表面層330は、銀被覆層324を化学処理してコンタクト302の表面に硫化銀を形成することによって形成される。銀被覆層324を制御された変色プロセスによって変色させて、銀被覆層324に硫化銀表面層330を形成することができる。例示的な実施形態において、硫化銀表面層330は無害の化学処理プロセスによって形成されるが、代替実施形態においては、硫化銀表面層330を他の化学処理プロセスによって形成してもよい。硫化銀表面層330は、制御された厚さを有する、コンタクト302の表面の薄膜として形成される。例えば、硫化銀表面層は銀被覆層324に均一にむらなく作られる。場合により、硫化銀表面層330は、銀被覆層324において一定の厚さを有する。例示的な実施形態において、硫化銀表面層330の制御された厚さはコンタクト機能を有する。様々な実施形態において、硫化銀表面層330は、視認のために均一な着色(ある色の範囲内など)を有するように形成される。例示的な実施形態において、コンタクト302は、コンタクト302の表面に形成された硫化銀の均一な厚さに対応する均一な着色を実現するように処理される。
【0024】
硫化銀表面層330は、硫黄ベースの生成物を銀被覆層324と化学的に反応させて、コンタクト302の表面に硫化銀を化学的に形成することによって形成される。そのため、固体潤滑剤310はコンタクト302の一部を形成する。様々な実施形態において、硫化銀表面層330を銀被覆層324に化学的に結合することができる。そのため、硫化銀表面層330は、コンタクト302の外面に塗布されるグリースまたは液体潤滑剤などの潤滑剤と比較して、摩耗しにくく剥離しにくい。したがって、硫化銀表面層330は、多くの嵌合サイクル(例えば、潤滑剤が塗布される場合よりもはるかに多くの嵌合サイクル)の間、耐久性がある。例示的な実施形態において、硫化銀表面層330は導電性であり、コンタクト302の効率的な嵌合界面を提供する。例示的な実施形態において、硫化銀表面層330は、コンタクトのワイピング中などに変位可能であり、コンタクト302と相手側コンタクトとの電気接続を可能にする。
【0025】
図4は、例示的な実施形態による低挿入力コンタクト402の断面図である。低挿入力コンタクト402を、コンタクト102(図1に示す)の代わりに電気部品100(図1に示す)と共に使用することができる。
【0026】
コンタクト402は、銀基層420と、銀基層420に直接設けられた硫化銀表面層430とを含む。例示的な実施形態において、基層420は銀基層または銀合金基層である。硫化銀表面層430は、コンタクト402の表面に固体潤滑剤410を形成して、コンタクト402の潤滑性を高める。硫化銀表面層430は、相手側コンタクト106(図1に示す)との挿入力または嵌合力を低減させる。例示的な実施形態において、硫化銀表面層430は、嵌合端部412においてコンタクト402の嵌合界面414に設けられる。硫化銀表面層430は、基層420に選択的に形成されてもよく、または基層420全体に形成されて基層420全体を覆ってもよい。
【0027】
例示的な実施形態において、硫化銀表面層430は銀基層420に直接、かつ能動的に形成される。例えば、硫化銀表面層430は、銀基層420を化学処理してコンタクト402の表面に硫化銀を形成することによって形成される。銀基層420を制御された変色プロセスによって変色させて、表面に硫化銀表面層430を形成することができる。例示的な実施形態において、硫化銀表面層430は無害の化学処理プロセスによって形成されるが、代替実施形態においては、硫化銀表面層430を他の化学処理プロセスによって形成してもよい。硫化銀表面層430は、制御された厚さを有する、コンタクト402の表面の薄膜として形成される。例えば、硫化銀表面層は銀基層420に均一にむらなく作られる。硫化銀表面層430は、硫黄ベースの生成物を銀基層420と化学的に反応させて、コンタクト402の表面に硫化銀を化学的に形成することによって形成される。
【0028】
図5は、例示的な実施形態による低挿入力コンタクトの製造方法500を示すフローチャートである。方法500は、502において、導電性基層を設けるステップを含む。導電性基層は、相手側コンタクトに嵌合電気接続するように構成されている嵌合界面を含む嵌合端部を含む。導電性基層は銅基層または銅合金基層であってよい。
【0029】
方法500は、504において、ニッケル被覆層を導電性基層に施すステップを含む。ニッケル被覆層を導電性基層に直接めっきすることによって、ニッケル被覆層を施すことができる。しかしながら、代替実施形態において、めっき以外の他の被覆プロセスによってニッケル被覆層を施してもよい。ニッケル被覆層を、嵌合端部などにおいて導電性基層に選択的に施し、導電性基層の他の部分を被覆しないまま残すことができる。
【0030】
方法500は、506において、銀被覆層をニッケル被覆層および導電性基層に施すステップを含む。銀被覆層をニッケル被覆層に直接めっきすることによって、銀被覆層を施すことができる。しかしながら、代替実施形態において、めっき以外の他の被覆プロセスによって銀被覆層を施してもよい。銀被覆層を、嵌合端部などにおいてニッケル被覆層および導電性基層に選択的に施し、他の部分を被覆しないまま残すことができる。
【0031】
方法500は、508において、硫化銀表面層を銀被覆層に直接形成して、嵌合界面に固体潤滑剤薄膜を画定するステップを含む。様々な実施形態において、硫化銀表面層は、固体潤滑剤薄膜が嵌合界面において制御された厚さを有するように形成される。固体潤滑剤薄膜を、一定の厚さを有するように形成することができる。様々な実施形態において、硫化銀表面層は、無害の化学処理により銀被覆層を化学的に処理することによって形成される。化学処理により銀被覆層を処理して銀被覆層に均一な色の薄膜を実現することによって、硫化銀表面層を形成することができる。銀被覆層を薬槽で処理することによって、硫化銀表面層を形成することができる。様々な実施形態において、銀被覆層の変色を制御することによって、硫化銀表面層を形成することができる。
【0032】
図6は、例示的な実施形態による電気コネクタシステムの概略図である。図示の実施形態において、電気部品100および相手側電気部品104のコンタクト102、106はいずれも低挿入力コンタクトである。例示的な実施形態において、電気部品100はプラグコネクタであり、相手側電気部品104はソケットコネクタである。コンタクト102は、ブレードコンタクトまたはタブコンタクトである。コンタクト106は、コンタクト102に対して圧縮されてコンタクト間に電気接続を形成するように構成されている圧縮コンタクトである。コンタクト106は、嵌合時に圧縮されてもよい。様々な実施形態において、コンタクト106は、嵌合プロセス中に、例えば、コンタクト102に沿ったコンタクトのワイピング(contact wipe)中に圧縮されてもよい。コンタクト102は、コンタクト106の相手側コンタクトを形成する。
【0033】
様々な実施形態において、コンタクト106は、打ち抜いて形成されたコンタクトである。例示的な実施形態において、コンタクト106は、コンタクト106に対して偏向可能な1つまたは複数のばねビーム150を含む。例示的な実施形態において、コンタクト106は、コンタクト102の上部および下部に係合するように構成されている対のばねビーム150を有する分割ビームコンタクトまたは音叉コンタクトなどのソケットコンタクトである。コンタクト106は、コンタクト102を受け入れる第1のばねビーム150と第2のばねビーム150との間にソケットを形成する。各ばねビーム150は、ばねビーム150の本体152と遠位端154との間で湾曲している。例えば、ばねビーム150は嵌合界面156で湾曲していてよい。図示の実施形態において、嵌合界面156は、コンタクト106の刃先などのばねビーム150の縁部に沿っていてよい。あるいは、嵌合界面156はコンタクト106が形成された側にあってもよい。
【0034】
例示的な実施形態において、コンタクト106は、コンタクト106の表面に形成された固体潤滑剤160を有する低挿入力コンタクトである。例えば、固体潤滑剤160は、コンタクト106の嵌合端部162において薄膜として形成される。例示的な実施形態において、固体潤滑剤160はコンタクト106の構造の一部である。例えば、コンタクト106は銀層を含み、固体潤滑剤160は、銀層の外側に薄膜として形成された硫化銀表面層である。固体潤滑剤160は、コンタクト106の外層または表面であり、コンタクトの表面に銀層を含むコンタクトのように、表面に固体潤滑剤160を含まないコンタクトと比較して、コンタクト106の摩擦係数を低下させる。固体潤滑剤160は、相手側コンタクト106に嵌合するときの嵌合摩擦を低減させる。様々な実施形態において、固体潤滑剤160を、コンタクトの上部、下部、側部などのコンタクト106全体を覆うように設けてもよい。本体152および/またはばねビーム150が固体潤滑剤160によって覆われていてもよい。固体潤滑剤160は嵌合界面156に設けられる。
【0035】
図7は、例示的な実施形態による低挿入力コンタクト106の断面図である。コンタクト106は導電性基層170を含み、導電性基層170に設けられた少なくとも1つのバリア被覆層172、174を含むことができ、コンタクト106の表面に硫化銀表面層180を含む。例示的な実施形態において、硫化銀表面層180は被覆層174に直接設けられているが、導電性基層170が銀基層であるときのような他の様々な実施形態においては、硫化銀表面層180を導電性基層170に直接設けてもよい。バリア被覆層172、174は、コンタクト106の特性を強化するように設けられる。例えば、バリア被覆層172、174は、耐腐食性を提供し、はんだ付け性を向上させ、導電性を向上させ、コンタクト106の動作温度を上昇させるなど熱特性を向上させることができる。硫化銀表面層180は、コンタクト106の固体潤滑剤160を形成して、コンタクト106の潤滑性を高める。硫化銀表面層180は、相手側コンタクト106(図1に示す)との挿入力または嵌合力を低減させる。硫化銀表面層180は、コンタクト106の耐久性を高めることができる。
【0036】
例示的な実施形態において、導電性基層170は銅基層または銅合金基層である。導電性基層170は、鋼基層、アルミニウム基層、銀基層などの別の金属基層であってもよい。内側被覆層172はニッケル被覆層である。しかしながら、代替実施形態において、内側被覆層172は、ニッケル被覆層以外の別の種類のバリア被覆層であってもよい。外側被覆層174は銀被覆層である。硫化銀表面層180は、固体潤滑剤160を銀被覆層174に直接形成する。代替実施形態において、コンタクト106は追加の層を含むことができる。他の様々な実施形態において、コンタクト106をニッケル被覆層172なしで設けることができ、より正確に言えば、銀被覆層174を導電性基層170に直接設けることができる。
【0037】
被覆層172、174は、コンタクト106の嵌合端部162(図1に示す)に設けられる。場合により、コンタクト106を、嵌合端部162などにおいて選択的に被覆し、コンタクト106の他の部分を被覆しなくてもよい。他の様々な実施形態において、嵌合端部162に加えて他の部分を被覆してもよい。様々な実施形態において、コンタクト106全体が被覆される。様々な実施形態において、被覆層172、174は、めっきプロセスまたはめっき前プロセスによってコンタクト106に設けられる。代替実施形態において、被覆層172、174を他のプロセスによって設けてもよい。
【0038】
例示的な実施形態において、硫化銀表面層180は、嵌合端部162においてコンタクト106の嵌合界面156に設けられる。硫化銀表面層180を、被覆層172、174の制御された領域に選択的に形成することができる。他の様々な実施形態において、硫化銀表面層180を被覆層174全体に形成してもよい。様々な実施形態において、硫化銀表面層180は、嵌合界面156などにおいて嵌合端部162に選択的に形成され、嵌合端部162の他の領域には硫化銀表面層180がない。他の様々な実施形態において、嵌合端部162は硫化銀表面層180によって完全に覆われる。他の様々な実施形態において、嵌合端部162に加えて他の部分に硫化銀表面層180が形成されていてもよい。様々な実施形態において、硫化銀表面層180をコンタクト106全体に形成してもよい。
【0039】
例示的な実施形態において、硫化銀表面層180は、銀被覆層174に直接、かつ能動的に形成される。硫化銀表面層180を、銀被覆層174の表面原子を硫化銀に変えることによって形成することができる。例えば、硫化銀表面層180は、銀被覆層174を化学処理してコンタクト106の表面に硫化銀を形成することによって形成される。銀被覆層174を制御された変色プロセスによって変色させて、銀被覆層174に硫化銀表面層180を形成することができる。例示的な実施形態において、硫化銀表面層180は無害の化学処理プロセスによって形成されるが、代替実施形態においては、硫化銀表面層180を他の化学処理プロセスによって形成してもよい。硫化銀表面層180は、制御された厚さを有する、コンタクト106の表面の薄膜として形成される。例えば、硫化銀表面層は、銀被覆層174に均一にむらなく作られる。場合により、硫化銀表面層180は、銀被覆層174において一定の厚さを有することができる。例示的な実施形態において、硫化銀表面層180の制御された厚さはコンタクト機能(contact functional)を有する。コンタクト機能を有するとは、電気コンタクトが相手側コンタクトに嵌合するための嵌合界面を画定する、意図した用途のために機能するのに十分であることと定義される。硫化銀表面層180は、硫化銀表面層180によってコンタクト106と相手側コンタクトとの間に電気接続の問題が生じないときにコンタクト機能を有する。様々な実施形態において、硫化銀表面層180は、視認のために均一な着色(ある色の範囲内など)を有するように形成される。着色は、赤から紫のような可視色スペクトルであってよい。場合により、着色は、黄色の範囲内で均一に着色されても、緑色の範囲内で均一に着色されても、青色の範囲内で均一に着色されても、または別の色の範囲内で均一に着色されてもよい。例示的な実施形態において、コンタクト106は、コンタクト106の表面に形成された硫化銀の均一な厚さに対応する均一な着色を実現するように処理される。
【0040】
硫化銀表面層180は、硫黄ベースの生成物を銀被覆層174と化学的に反応させて、コンタクト106の表面に硫化銀を化学的に形成することによって形成される。硫化銀表面層180を、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)などの他のプロセスによって形成してもよい。固体潤滑剤160はコンタクト106の一部を形成する。様々な実施形態において、硫化銀表面層180を銀被覆層174に化学的に結合することができる。そのため、硫化銀表面層180は、コンタクト106の外面に塗布されるグリースまたは液体潤滑剤などの他の潤滑剤と比較して、摩耗しにくく剥離しにくい。したがって、硫化銀表面層180は、多くの嵌合サイクル(例えば、潤滑剤が塗布される場合よりもはるかに多くの嵌合サイクル)の間、耐久性がある。例示的な実施形態において、硫化銀表面層180は導電性であり、コンタクト106の効率的な嵌合界面を提供する。例示的な実施形態において、硫化銀表面層180は、コンタクトのワイピング中などに変位可能であり、コンタクト106と相手側のコンタクト102との電気接続を可能にする。
【0041】
上記説明は例示的なものであって限定的なものではないことを理解されたい。例えば、上記の実施形態(および/またはその態様)を互いに組み合わせて使用することができる。加えて、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の教示に特定の状態または材料を適合させるように多くの変更を行うことができる。本明細書に記載の寸法、材料の種類、様々な部品の向き、および様々な部品の数および位置は、ある実施形態のパラメータを規定するためのものであり、決して限定的なものではなく、例示的な実施形態に過ぎない。当業者には、上記説明を読むことで、特許請求の範囲の趣旨および範囲内の多くの他の実施形態および変更形態が明らかになろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲の等価物の完全な範囲と共に参照して決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「含む」および「であって」という用語は、それぞれ「備える」および「ここで」という用語に相当する平易な表現として使用されている。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は単に標識として使用され、その対象に数値的要件を課すものではない。さらに、以下の特許請求の範囲の限定は、その限定が、「するための手段」という表現と、それに続くさらなる構造がない機能の記述とを明示的に使用しない限り、または使用するまでは、ミーンズプラスファンクション形式で書かれているものではなく、米国特許法第112条第6項に基づいて解釈されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7