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特許7348248コンタクト要素をコネクタのハウジングに取り付けるための固定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】コンタクト要素をコネクタのハウジングに取り付けるための固定装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20230912BHJP
   H01R 13/533 20060101ALN20230912BHJP
【FI】
H01R13/42 Z
H01R13/533 D
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021164420
(22)【出願日】2021-10-06
(65)【公開番号】P2022063241
(43)【公開日】2022-04-21
【審査請求日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】10 2020 126 541.7
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ヴァルター グレゴール
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング バレス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター ゼンガー
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ イェッター
(72)【発明者】
【氏名】マルティン リスティング
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ コスマルスキー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュミット
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ニッケル
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-146182(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0212950(US,A1)
【文献】特開2018-190727(JP,A)
【文献】特開2010-062053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクト要素(40)をコネクタ(200)のハウジング(20)に取り付けるための固定装置(100)であって、
前記固定装置(100)は、
- 少なくとも1つの前記コンタクト要素(40)を受け入れるように構成されているコ
ンタクト要素レセプタクル(24)を含む前記ハウジング(20)と、
- クランプ方向(K)を向くクランプ力(110)により、前記少なくとも1つのコン
タクト要素(40)を前記コンタクト要素レセプタクル(24)にクランプするように構成されているクランプ装置(10)と、を備え、
前記コンタクト要素(40)は、前記クランプ装置(10)とは反対の側で、前記クランプ力(110)に対して傾斜した向きの偏向面(27)を含む支持面(25)に少なくとも部分的に置かれ、
前記偏向面(27)は、前記コンタクト要素(40)に作用する前記クランプ力(110)を、少なくとも成分に関して、前記クランプ力(110)を横断する方向に偏向させるように構成されており、
前記支持面(25)は、互いに離間した複数のリブ(26)を含む、
固定装置(100)。
【請求項2】
前記クランプ装置(10)は、クランプ本体(11)と、前記クランプ本体(11)に対して摺動方向(V)に沿って摺動することのできるスライド(12)とを備え、
前記クランプ本体(11)および前記スライド(12)は、前記スライド(12)が前記摺動方向(V)に沿って摺動するときに、前記クランプ本体(11)を前記クランプ方向(K)に沿って前記コンタクト要素(40)に押し付けるように構成されている、
請求項1に記載の固定装置(100)。
【請求項3】
前記クランプ本体(11)と前記スライド(12)とは、前記摺動方向(V)に対して傾斜して延びる傾斜面(13)によって相互作用する、
請求項2に記載の固定装置(100)。
【請求項4】
前記偏向面(27)は前記摺動方向(V)に平行に延びている、
請求項2または3に記載の固定装置(100)。
【請求項5】
前記偏向面(27)は、前記コンタクト要素レセプタクル(24)の2つの垂直内面(29)を互いに接続する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の固定装置(100)。
【請求項6】
前記偏向面(27)は、前記クランプ方向(K)に対して10~80度の角度(127)を有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の固定装置(100)。
【請求項7】
前記摺動方向(V)は、前記コンタクト要素(40)が前記コンタクト要素レセプタクル(24)に差し込まれるプラグイン方向(E)に平行に延びている、
請求項2から4のいずれか一項に記載の固定装置(100)。
【請求項8】
前記偏向面(27)は、前記コンタクト要素(40)が前記コンタクト要素レセプタクル(24)に差し込まれるプラグイン方向(E)に平行に延びている、
請求項1から7のいずれか一項に記載の固定装置(100)。
【請求項9】
前記クランプ装置(10)が前記コンタクト要素レセプタクル(24)に挿入される挿入方向(F)が、前記コンタクト要素(40)が前記コンタクト要素レセプタクル(24)に差し込まれるプラグイン方向(E)に平行である、
請求項1から8のいずれか一項に記載の固定装置(100)。
【請求項10】
前記クランプ装置(10)は、前記コンタクト要素(40)を前記プラグイン方向(E)に沿ってさらに固定するように構成されている、
請求項7から9のいずれか一項に記載の固定装置(100)。
【請求項11】
前記スライド(12)が前記クランプ本体(11)に対して摺動するときに、前記クランプ本体(11)は、前記ハウジング(20)に対して回転する、
請求項2から4、7のいずれか一項に記載の固定装置(100)。
【請求項12】
横方向(Q)に測定された前記クランプ装置(10)の幅(310)が、前記コンタクト要素(40)の幅(340)に対応する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の固定装置(100)。
【請求項13】
前記コネクタ(200)が相手側コネクタに接続される差込方向(S)が、前記プラグイン方向(E)に平行に延びている、
請求項7から10のいずれか一項に記載の固定装置(100)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の固定装置(100)と、
コンタクト要素(40)と
を備える電気コネクタであって、
前記コンタクト要素(40)は、前記クランプ装置(10)の領域においてケーブル(79)の導体(78)を少なくとも3面で囲む、
電気コネクタ。
【請求項15】
前記クランプ装置(10)のクランプ本体(11)が、前記コンタクト要素(40)のレセプタクル(45)内に突出する押圧要素(54)を含む、
請求項14に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクト要素をコネクタのハウジングに取り付けるための固定装置に関する。このような固定装置は、例えば自動車分野において、振動によるコンタクト要素の相対運動が、長期間にわたって既存の被覆を除去することにより境界抵抗(transition resistance)を増加させることから、そのような相対運動を防ぐために使用される。それぞれの高電流により、境界抵抗が増加して、融解または火災などの損傷につながるおそれがある。
【背景技術】
【0002】
既知の解決策は、通常、操作が複雑で自動化が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、簡単な方法でコンタクト要素をハウジングに取り付けることができる解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これは、本発明により、コンタクト要素をコネクタのハウジングに取り付けるための固定装置であって、少なくとも1つのコンタクト要素を受け入れるように構成されているコンタクト要素レセプタクルを含むハウジングを備え、固定装置は、クランプ方向を向くクランプ力により、少なくとも1つのコンタクト要素をコンタクト要素レセプタクルにクランプするように構成されているクランプ装置を備え、コンタクト要素は、クランプ装置とは反対の側で、クランプ力に対して傾斜した向きの偏向面(deflection surface)を含む支持面に少なくとも部分的に置かれ、偏向面は、コンタクト要素に作用するクランプ力を、少なくとも成分に関して(component-wise)、クランプ力を横断する方向(transverse to the clamping force)に偏向させるように構成されている、固定装置によって解決される。
【0005】
偏向面により、自動クランプがクランプ力の方向に行われるだけでなく、さらにクランプ力を横断する方向にも行われるため、2方向への固定が簡単な方法で得られる。
【0006】
クランプ装置は、クランプ本体と、クランプ本体に対して摺動方向に沿って摺動することのできるスライドとを備えることができ、クランプ本体およびスライドは、スライドが摺動方向に沿って摺動するときに、クランプ本体をクランプ方向に沿ってコンタクト要素に押し付けるように構成されている。その後、コンタクト要素を偏向面に押し付けることができる。このような構成は組立てが容易であり得る。
【0007】
自動クランプを生じさせるために、クランプ本体とスライドとは、摺動方向に対して傾斜して延びる傾斜面によって相互作用することができる。傾斜面を、クランプ本体またはスライドに配置することができる。さらに、2つの傾斜面が存在し、一方をクランプ本体に配置し、もう一方をスライドに配置することができる。
【0008】
偏向面は摺動方向に平行に延びることができる。その結果、クランププロセス中に、ハウジングおよびクランプ装置に対するコンタクト要素の運動を防ぐまたは低減させることができる。
【0009】
特に省スペースの構成において、偏向面はコンタクト要素レセプタクルの2つの垂直内面を互いに接続することができる。偏向面を、コンタクト要素レセプタクルの内縁部に配置することができる。
【0010】
偏向面は、クランプ方向に対して10~80度の角度を有することができる。特に、角度は20~70度、具体的には30~60度であってよい。角度が小さいほど、コンタクト要素が偏向面で摺動しやすくなるが、それによって生じる力の成分も小さくなる。
【0011】
簡単な組立てのために、摺動方向は、コンタクト要素がコンタクト要素レセプタクルに差し込まれるプラグイン方向に平行に延びることができる。
【0012】
偏向面がプラグイン方向に平行に延びている場合、コンタクト要素レセプタクルにおけるコンタクト要素の相対運動を防ぐまたは低減させることができる。
【0013】
簡単な組立てを可能にするさらなる構成において、クランプ装置がコンタクト要素レセプタクルに挿入される挿入方向が、プラグイン方向に平行であってよい。
【0014】
ハウジングおよびクランプ本体は、規定された経路に沿って互いに対して案内するための、相互作用するガイド要素を有することができる。ガイド要素は、特に、軸カム、ストリップ、溝などの突出部を含むことができる。
【0015】
同様に、クランプ本体およびスライドは、相互作用するガイド要素を含むことができる。ここでも、規定された経路に沿って案内するためにこれを使用することができ、操作を容易にすることができる。
【0016】
有利な構成において、コンタクト要素をプラグイン方向に沿ってさらに固定するように、クランプ装置を構成することができる。その結果、固定、具体的にはクランプをプラグイン方向に沿って可能にすることもでき、振動をさらに減衰させることができる。これを実現するために、クランプ装置は、プラグイン方向に沿って固定するための固定面を含むことができる。固定面は、プラグイン方向に対して垂直に延びることができる。
【0017】
スライドがクランプ本体に対して摺動するときに、クランプ本体は、少なくともハウジングにおけるクランプ本体の一端位置で、ハウジングに対して、および/またはクランプ本体に対して回転することができる。回転によって、例えば、並進運動の場合よりもクランプ中の摩擦を減らすことができる。このような回転を実現するために、クランプ本体およびハウジングは回転軸受を含むことができる。さらに、クランプ本体およびスライドは回転軸受を含むことができる。回転軸受は、特に、例えば軸カムまたは円筒穴に存在し得る円筒形の内面または外面であってよい。回転軸受を、ガイド要素によって、例えば溝によって形成してもよい。
【0018】
クランプ装置を、さらなる要素によってハウジングに固定することができる。これにより、クランプ装置にさらなる固定要素が存在する必要ないため、クランプ装置の設計を簡単にすることができる。特に、シール要素などの既存の要素が、固定のために使用され、その後、二重機能を果たすことができる。特に、挿入方向と反対方向に固定して、クランプ装置が滑り出るまたは飛び出ることを防ぐことができる。
【0019】
一構成において、横方向に測定されたクランプ装置の幅が、コンタクト要素の幅に対応していてよい。その結果、コンタクト要素は高電流を伝え、同時に良好なクランプ効果をもたらすことができる。幅方向は、摺動方向に垂直かつクランプ方向に垂直に延びることができる。幅が少し(例えば、10または20パーセント)異なる場合も、同様の効果が得られる。
【0020】
コネクタが相手側コネクタに接続される差込方向が、プラグイン方向に平行に延びている場合、組立てが簡単になり得る。
【0021】
電気コネクタは、本発明による固定装置と、コンタクト要素とを備えることができ、コンタクト要素は、クランプ装置の領域においてケーブルの導体を少なくとも3面で囲む。
【0022】
特に、コンタクト要素は、クランプ装置の領域にU字形断面を有することができる。このような構成により、特に簡単な導体の取付けを可能にすることができる。U字形断面は、ベースと、ベースから垂直に突出する2本の脚とを有することができる。安全な接続を確立するために、導体がU字形断面全体に沿ってコンタクト要素に接続、特に溶接されていることが有利である。
【0023】
有利な構成において、クランプ装置、特にクランプ本体は、U字の脚のみに係合する。これにより、コンタクト要素に加わる機械的応力が小さくなり、変形が少なくなり得る。
【0024】
コンタクト要素の簡単な移動を可能にするために、コンタクト要素の縁部または隆起部を偏向面に置くことができる。
【0025】
コンタクト要素を偏向面で摺動しやすくすることができるように、少なくともコンタクト要素が偏向面に当接する領域に、丸い縁部が存在してもよい。
【0026】
簡単な組立てのために、コンタクト要素はケーブルのレセプタクルを形成することができる。
【0027】
クランプ装置は、クランプ方向に沿ってのみ、コンタクト要素にクランプ力を加えることができる。このような構成は、製造が容易であり得る。偏向面により、コンタクト要素に対して横方向のクランプを、特に自動的に生じさせることができる。
【0028】
クランプ本体は、コンタクト要素のレセプタクル内に突出する押圧要素を含むことができる。押圧要素は、端位置でコンタクト要素に当接するか、またはコンタクト要素の直前で終端することができる。このような押圧要素は、特に、追加のクランプ効果を生み出すため、長期使用時に発生する材料の疲労を補うことができる。したがって、このようなクランプ装置は、より安全である。
【0029】
コンタクト要素レセプタクルを非対称に構成することができる。さらに、クランプ状態で、力の流れが非対称であってよい。これによって、より高いクランプ力を生じさせることができる。特に、単一の偏向面のみがコンタクト要素レセプタクルに存在していてよい。これにより、簡単な挿入を可能にすることができる。
【0030】
クランプ力がコンタクト要素に導入される力導入点から偏向面までの接続線が、クランプ方向に平行に延びることができる。その場合、力の流れは一直線に延びることができ、相対運動を防ぐことができる。特に、レセプタクルの脚はクランプ方向に平行に延びることができる。
【0031】
偏向面の角度を、コンタクト要素の横摺動(lateral sliding)に合わせて設定することができる。角度は、材料の組合せ、表面特性、粘着係数、および幾何形状に応じて選択することができる。角度は、特に、静摩擦により摺動がない接着角度よりも小さいか、またはクランプ本体が偏向面に押し込まれる自動ロックの角度よりも小さくなるように選択することができる。
【0032】
支持面を、離間した複数のリブを含むように形成することができる。その結果、支持面をより小さくすることができ、関連する摩擦を最小限に抑えることができる。これにより、摺動を簡単にすることができる。
【0033】
簡単な接触のために、偏向面は、支持面を越えてコンタクト要素の方向に突出することができる。
【0034】
固定装置は、捕捉によって生じる振動を防ぐまたは低減させるように機能する。したがって、固定装置を、振動保護アセンブリまたはクランプアセンブリと呼ぶこともできる。
【0035】
以下で、図面を参照しながら、本発明を、有利な構成に基づいて例として、より詳細に説明する。図示する有利なさらなる発展および構成は、それぞれ互いに独立しており、応用においてこれがどのように必要であるかに応じて、希望通りに互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】固定装置の第1の実施形態の概略斜視図である。
図2図1の実施形態の概略断面図である。
図3】固定装置のさらなる実施形態の概略部分断面斜視図である。
図4】クランプ本体およびスライドの概略斜視図である。
図5図3の固定装置の概略斜視図である。
図6図4のクランプ本体およびスライドを異なる方向から見た概略斜視図である。
図7】コンタクト要素レセプタクルの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
コンタクト要素40をコネクタ200のハウジング20に取り付けるための固定装置100の第1の実施形態が、図1および図2に示されている。第2の実施形態は、図3図6に示されているが、第1の実施形態との違いはほんのわずかである。したがって、これらの実施形態の両方に関する一般的な原理を説明する。
【0038】
固定装置100はハウジング20を備え、ハウジング20は、少なくとも1つのコンタクト要素40を受け入れるように構成されているコンタクト要素レセプタクル24を含む。
【0039】
コンタクト要素40は、相手側コネクタの相手側コンタクト要素(詳細には図示せず)に接続することができる差込部(plugging section)44を含む。図示の差込部44は、フラットコンタクトを差し込むことができるソケットとして構成されている。
【0040】
さらに、コンタクト要素40は、ケーブル79の導体78に接続される接続部42を含む。このために、コンタクト要素40は、導体78のレセプタクル45を含む。図示の例では、レセプタクル45は、ベース46と2本の脚48とを含むU字形断面を有し、これらの脚48は、縁部47によってベース46に接続され、ベース46に垂直に延びている。したがって、レセプタクル45は、導体78を3面で囲む直角の受入チャネルを形成する。
【0041】
コンタクト要素40は薄板金から形成されている。ベース46および脚48は、それぞれ平坦に形成されている。縁部47は、摺動しやすくするために丸く形成されている。
【0042】
導体78は、コンタクト要素40に溶接される。これは、例えば、電流によって行うことができ、導体78とコンタクト要素40との間の抵抗の増大により、融解およびそれによる融着が生じる。特に、コンタクト要素40を、U字形断面全体に沿って導体78に接続することができる。
【0043】
コネクタ200は、コネクタ200を相手側コネクタ(詳細には示さず)にロックするように構成されているロック機構230をさらに含む。シール要素210が、シールのために前側にさらに存在する。後側のシール要素(より詳細には示さず)は、特にケーブル79に対して、同様にシールのために使用される。
【0044】
固定装置100は、クランプ方向Kを向くクランプ力110により、少なくとも1つのコンタクト要素40をコンタクト要素レセプタクル24にクランプするように構成されているクランプ装置10をさらに備える。
【0045】
クランプ状態において、コンタクト要素40は、クランプ装置10とは反対の側で、クランプ力110に対して傾斜した向きの偏向面27を含む支持面25においてハウジング20に少なくとも部分的に置かれている。偏向面27は、コンタクト要素40に作用するクランプ力110を、少なくとも成分に関して、クランプ力110およびクランプ方向Kを横断する方向に偏向させるように構成されている。その結果、コンタクト要素40は、コンタクト要素レセプタクル24に2つの空間方向でクランプされ、耐振動性を有して取り付けられる。
【0046】
クランプ装置10は、クランプ本体11と、クランプ本体11に対して摺動方向Vに沿って摺動することのできるスライド12とを備える。クランプ本体11およびスライド12は、スライド12が摺動方向Vに沿って摺動するときに、クランプ本体11をクランプ方向Kに沿ってコンタクト要素40に押し付けるように構成されている。
【0047】
クランプ装置10をコンタクト要素40と共に広げることによってコンタクト要素レセプタクル24に捕捉させるために、クランプ本体11とスライド12とは、摺動方向Vに対して傾斜して延びる、クランプ本体11およびスライド12の傾斜面13によって相互作用する。
【0048】
固定装置100の使用は、以下のとおりである。
【0049】
最初に、コンタクト要素40が、プラグイン方向Eに沿ってコンタクト要素レセプタクル24に差し込まれる。
【0050】
その後、クランプ装置10が、挿入方向F(この場合、プラグイン方向Eに平行に延びる)に沿ってコンタクト要素レセプタクル24に挿入される。このステップで、クランプ本体11がスライド12によって押される。ここでは、クランプ本体11の摺動面59が、スライドの相手側摺動面69に接触している。クランプ装置10がハウジング20の装着位置に到達すると、摺動面59と相手側摺動面69とは互いに自動的に解放され、外れるようになる。
【0051】
その後、スライド12は、クランプ本体11に対して摺動方向Vに沿って摺動する。図示の例では、簡単な組立てを可能にするために、摺動方向はプラグイン方向Eおよび挿入方向Fに平行である。傾斜面13により、クランプ装置10は、摺動方向Vに垂直に延びるクランプ方向Kに広がり、クランプ力110により、コンタクト要素40を支持面25に対してクランプ方向Kに沿ってクランプする。支持面25は、互いに離間した複数のリブ26を含むように形成されている。
【0052】
クランプ方向Kに対して傾斜して延びる偏向面27により、コンタクト要素40は、クランプ方向Kに対して横方向かつ摺動方向Vに対して横方向に延びる横方向Qで、コンタクト要素レセプタクル24に第2の方向でクランプされる。偏向面27がクランプ方向Kに対して有する角度127は、自動ロックが発生するのではなく、コンタクト要素40を偏向面27に沿って摺動しやすくすることができるように選択される。図示の例では、角度127は約20~30度である。
【0053】
クランプ装置10がクランプ力110をクランプ方向Kに沿ってコンタクト要素40に伝達する力導入点49が、偏向面27の真上にある。コンタクト要素40の脚48は、力導入点49から偏向面27までクランプ方向Kに平行に延びている。
【0054】
摺動方向Vは、差込方向Sに平行である。これにより、容易な組立てが可能になる。
【0055】
クランプ中にコンタクト要素40が摺動方向Vに沿って移動することを防ぐために、偏向面27は摺動方向Vに平行に延びている。
【0056】
偏向面27は、コンタクト要素レセプタクル24の2つの垂直内面29を互いに接続する。偏向面27は、コンタクト要素レセプタクル24の内縁部28に沿って延びている。図示の例では、単一の偏向面27のみが存在するため、コンタクト要素レセプタクル24は非対称である。対応する力の流れも同様に非対称である。
【0057】
クランプ装置10は、クランプ本体11に固定面56を含み、この固定面56により、コンタクト要素40をプラグイン方向Eに沿ってコンタクト要素レセプタクル24にさらに固定する。ここでは、固定面56は、コンタクト要素40の差込部44の後ろに係合する。
【0058】
図示の実施形態において、スライド12がクランプ本体11に対して摺動するときに、クランプ本体11は、ハウジング20に対して、および/またはクランプ本体11に対して回転する。このために、回転軸受34がクランプ本体11およびスライド12に存在する。回転軸受34は、例えば、軸カム51、53の一部としてクランプ本体11に形成されている。
【0059】
例えば図3に見られるように、横方向Qで測定されたクランプ装置10の幅310は、クランプ本体11の幅311によって現在規定されており、コンタクト要素40の幅340に対応する。これにより、良好なクランプ効果を有する幅広のコンタクト40を使用することが可能になる。
【0060】
図3図6による実施形態は、特に、クランプ本体11が、コンタクト要素40のレセプタクル45内に突出する押圧要素54を含む点で、図1および図2による実施形態とは異なる。長期使用、例えば、数年にわたる使用の場合に、これらの押圧要素54は、クランプ本体11の材料疲労の場合でも十分なクランプ力110が伝達されることを保証することができる。このために、新しい状態で押圧要素54に存在する押圧面58が、導体78に接触して、または導体78よりわずかに上方に配置されている。
【0061】
高圧(high pressure)を発生させることができるように、クランプ面55が、平坦な垂直補強要素57によって、クランプ本体11の残りの部分に支持されている。これらの補強要素57の平面は、クランプ方向Kに平行かつ横方向Qに平行に延びている。
【0062】
クランプ本体11とスライド12を互いに対して、およびハウジング20に対して案内するために、経路に沿った、案内された規定の動きを可能にするガイド要素31、33が設けられている。
【0063】
クランプ装置10を、さらなる要素、特に後方シール要素によって、挿入方向Fと反対方向でハウジング20に固定することができる。
【符号の説明】
【0064】
10 クランプ装置
11 クランプ本体
12 スライド
13 傾斜面
20 ハウジング
24 コンタクト要素レセプタクル
25 支持面
26 リブ
27 偏向面
28 内縁部
29 内面
31 ガイド要素
33 ガイド要素
34 回転軸受
40 コンタクト要素
41 クランプ部
44 差込部
45 レセプタクル
46 ベース
47 縁部
48 脚
49 力導入点
51 軸カム
53 軸カム
54 押圧要素
55 クランプ面
56 固定面
57 補強要素
58 押圧面
59 摺動面
69 相手側摺動面
78 導体
79 ケーブル
100 固定装置
110 クランプ力
127 角度
200 コネクタ
210 前側のシール要素
230 ロック機構
310 クランプ装置の幅
311 クランプ本体の幅
340 コンタクト要素の幅
K クランプ方向
E プラグイン方向
S 差込方向
Q 横方向
V 摺動方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7