(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】運転者状態判定装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230912BHJP
A61B 5/18 20060101ALI20230912BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20230912BHJP
A61B 5/352 20210101ALI20230912BHJP
【FI】
G08G1/16 F
A61B5/18
A61B5/16 100
A61B5/352 100
(21)【出願番号】P 2021187464
(22)【出願日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 祐介
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-039167(JP,A)
【文献】特開2016-191985(JP,A)
【文献】特開2018-205794(JP,A)
【文献】特開2016-139258(JP,A)
【文献】特開2006-011656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 30/00 - 60/00
B60K 28/00 - 28/16
B60R 16/00 - 16/08
A61B 5/00 - 5/0538
A61B 5/06 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両運転中の運転者の心拍を検出する拍動センサと、
前記運転者の周囲の照度値を検出する照度センサと、
前記照度センサにより検出した照度値と、予め設定している閾値に基づいて周囲の明るさの変化を判定する照度保持部と、
前記拍動センサによる検出結果から得られた心拍変動、及び、前記照度保持部により判定した周囲の明るさの変化に基づいて、前記運転者の自律神経の状態を判定し、判定結果に応じて当該判定結果を出力する演算処理ユニットと、を備え、
前記照度保持部は、前記照度センサにより検出した照度値が前記閾値より大きい場合を明条件、前記閾値より小さい場合を暗条件と判定し、
前記演算処理ユニットは、
前記運転者の心拍変動が増加し、かつ前記明条件から前記暗条件へ変化した後において、
前記暗条件から変化せず、かつ前記運転者の心拍変動が減少に転じた場合、外的要因により前記自律神経のうち交感神経が活性化したものと判定し、
前記暗条件から変化せず、かつ前記運転者の心拍変動が減少に転じていない場合、内的要因により前記自律神経のうち副交感神経が活性化したものと判定する、
ことを特徴とする運転者状態判定装置。
【請求項2】
前記演算処理ユニットは、
前記運転者の心拍変動が減少し、かつ前記暗条件から前記明条件へ変化した後において、
前記明条件から変化せず、かつ前記運転者の心拍変動が増加に転じた場合、前記外的要因により前記自律神経のうち
副交感神経が活性化したものと判定し、
前記明条件から変化せず、かつ前記運転者の心拍変動が増加に転じていない場合、前記内的要因により前記自律神経のうち交感神経が活性化したものと判定する、
請求項1に記載の運転者状態判定装置。
【請求項3】
前記演算処理ユニットによる判定結果に基づいて、前記運転者を含む報知対象に対して報知情報を報知する情報報知部をさらに備え、
前記演算処理ユニットは、
前記内的要因により自律神経が活性化したものと判定した場合、判定結果に対応する報知情報を前記情報報知部により報知させる、
請求項1または2に記載の運転者状態判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者状態判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の運転者の安全運転を支援する目的で、運転者に脳血流センサ、心拍センサ、呼吸センサ等を装着させて運転者の心理状態を解析する手法(例えば、特許文献1参照)や、皮膚電気活動センサを利用して運転者の状態を推定する装置(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-225647号公報
【文献】特開2009-172292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運転者は、経時的な疲労や眠気、または、ストレスや体調不良等により自律神経の状態が変化する。運転中に眠気や体調不良等が生じた場合、安全運転を十分に行うことができないおそれがあることから、自律神経状態の変化を監視することで運転者の状態を推定することが可能である。
【0005】
しかしながら、自律神経状態の変化は、眠気や体調不良等の内的要因だけでなく、運転者周囲の環境変化等の外的要因により生じる場合がある。例えば、車両がトンネルに入って周囲が暗くなり、自律神経における副交感神経が活性化して眠気が生じても、車両がトンネルを出ると周囲が明るくなって交感神経が活性化し運転者の眠気が解消することがある。従来、運転者の自律神経状態の変化を推定する場合、内的要因が生じたか否かを判定するばかりで、外的要因による自律神経状態の変化については考慮しておらず、運転者の自律神経状態の変化を精度良く判定する点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、運転中の運転者の自律神経状態の変化が内的要因か、外的要因かを切り分けて判定することができる運転者状態判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る運転者状態判定装置は、車両運転中の運転者の心拍を検出する拍動センサと、前記運転者の周囲の照度値を検出する照度センサと、前記照度センサにより検出した照度値と、予め設定している閾値に基づいて周囲の明るさの変化を判定する照度保持部と、前記拍動センサによる検出結果から得られた心拍変動、及び、前記照度保持部により判定した周囲の明るさの変化に基づいて、前記運転者の自律神経の状態を判定し、判定結果に応じて当該判定結果を出力する演算処理ユニットと、を備え、前記照度保持部は、前記照度センサにより検出した照度値が前記閾値より大きい場合を明条件、前記閾値より小さい場合を暗条件と判定し、前記演算処理ユニットは、前記運転者の心拍変動が増加し、かつ前記明条件から前記暗条件へ変化した後において、前記暗条件から変化せず、かつ前記運転者の心拍変動が減少に転じた場合、外的要因により前記自律神経のうち交感神経が活性化したものと判定し、前記暗条件から変化せず、かつ前記運転者の心拍変動が減少に転じていない場合、内的要因により前記自律神経のうち副交感神経が活性化したものと判定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る運転者状態判定装置によれば、運転中の運転者の自律神経状態の変化が内的要因か、外的要因かを切り分けて判定することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る運転者状態判定装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、車両に搭載された運転者状態判定装置の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3(A)は、運転者状態判定装置で利用する心電波形と心拍間隔の模式図、
図3(B)は、運転者状態判定装置で利用する心拍変動の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、心拍変動の自己相関性を利用したポアンカレプロットの一例を示す模式図である。
【
図5】
図5(A)は、ポアンカレプロットによるプロットの分散評価の指標の一例を示す模式図、
図5(B)は、ポアンカレプロットによるプロットの集中評価の指標の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、認知課題中の明条件と暗条件におけるL/T値の変化例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、照度変化に対するL/T値の変化の一例を示す模式図である。
【
図8A】
図8Aは、運転者状態判定装置に実行される運転者状態判定処理の一例を示すフローチャート図である(その1)。
【
図8B】
図8Bは、運転者状態判定装置に実行される運転者状態判定処理の一例を示すフローチャート図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る運転者状態判定装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。以下の実施形態における構成要素には、いわゆる当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、以下の実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0011】
[実施形態]
本実施形態における運転者状態判定装置1は、例えば、自動車等の車両に搭載され、拍動センサ及び照度センサを利用し、運転中の運転者の自律神経の状態を判定するものである。自律神経は、一般的に、人体の内臓や血管等の動きをコントロールし、体内環境を整える神経であり、交感神経と副交感神経の2つの神経から成り立っている。交感神経は、「起きているときの神経、緊張しているときの神経」、副交感神経は、「寝ているときの神経、リラックスしているときの神経」を司っている。この2つの神経は、一つの器官に対して互いに相反する働きをする。本実施形態の運転者状態判定装置1は、
図1に示すように、照度センサ2と、拍動センサ3と、演算処理ユニット4と、情報報知部5とを含んで構成される。
【0012】
照度センサ2は、公知の照度センサであり、例えば、
図2に示す車両100内のダッシュボード101等に配置され、車両100の外部を含む運転者の周囲の明るさを検出する。照度センサ2は、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタ等の受光素子(不図示)で構成され、当該受光素子に入射された光を電流値に変換して演算処理ユニット4に出力する。演算処理ユニット4は、照度センサ2から出力された電流値を照度値に変換して保持する。演算処理ユニット4は、例えば、照度値と共に、当該照度値の検出時間(検出時刻)を保持する。
【0013】
拍動センサ3は、例えば公知の心電センサで構成される。心電センサは、人間等の心臓の電気的な活動状態を取得するものであり、電気生理学的検査に多用されている。拍動センサ3は、運転者の皮膚に直接接触するように、例えば、車両100内のステアリング102等に配置され、車両運転中にステアリング102を握る運転者の心電を検出する。拍動センサ3は、人間の心臓の動き(拍動)における一拍毎の時間(心拍間隔)を検出できるものであればよく、時間分解能の高い心拍センサであってもよい。心拍センサは、電波を用いたドップラー効果による非接触検出を行うものであってもよいし、圧電素子による心拍鼓動を検出するものであってもよい。拍動センサ3が心電センサである場合に、当該拍動センサ3から出力される心電波形と心拍間隔の一例を
図3の(A)に示す。心電波形は、横軸に時間(秒)、縦軸に電圧(mV)の大きさを示したものであり、P波、QRS波、T波の各波で構成される。心拍の拍動は、交感神経と副交感神経の両支配を受けており、自律神経の状態として心拍変動が用いられる。心拍変動は、例えば、
図3の(A)に示す心電波形において、最も電圧値が高くなるR波の間隔の変動を意味する。このR波の間隔をRRI(R-R Interval)としたとき、当該RRIは、心臓が一拍動作するのに係る時間(心拍間隔)を示す。連続したRRIをプロットしたものが、
図3の(B)に示す心拍変動である。演算処理ユニット4は、拍動センサ3から出力された電圧値を心拍変動に変換して保持する。
【0014】
演算処理ユニット4は、拍動センサ3による検出結果から得られた心拍変動、及び、後述する照度保持部12により判定した周囲の明るさの変化に基づいて、運転者の自律神経の状態を判定し、判定結果に応じて当該判定結果を出力する。演算処理ユニット4は、運転者状態判定装置1における各種処理機能を実現する処理回路(不図示)を有する。処理回路は、例えば、プロセッサによって実現される。プロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路を意味する。演算処理ユニット4は、例えば、不図示の記憶回路(記憶部)から読み出したプログラムを実行することにより、各処理機能を実現する。演算処理ユニット4は、心拍変動演算部10と、心拍ゆらぎ解析部11と、照度保持部12と、状態判定部13と、判定結果保持部14とを含んで構成される。心拍変動演算部10、心拍ゆらぎ解析部11、照度保持部12、状態判定部13、及び判定結果保持部14は、全てがハードウェアで構成されていてもよいし、一部がハードウェアで構成され、他の一部がソフトウェアで構成されていてもよい。
【0015】
心拍変動演算部10は、拍動センサ3により検出される心電波形から心拍間隔を読み取り、心拍間隔の変化から心拍変動を算出する。連続した心電波形の場合、続けてRRIを取得することにより、心電を検出している経時時間と、経時時間内の心拍間隔の変化を捉えることができる。心拍変動は、呼吸もしくは血圧変動等の自律神経活動によるゆらぎによって、一定の値を取らないのが正常である。薬物等で自律神経活動を抑え込んだり、ストレスや体調不良等によって自律神経活動が低下するとゆらぎは消失し、一定の値に近づく。心拍変動演算部10は、心電センサ以外を用いて心拍を算出した場合にも、上記手法に基づき心拍変動を算出する。
【0016】
心拍ゆらぎ解析部11は、心拍変動演算部10で求めた心拍変動より、所定区間における心拍ゆらぎを解析する。解析する手法として、心拍変動の自己相関性を利用したポアンカレプロット(
図4参照)を用いる。ポアンカレプロットとは、横軸に、ある時刻のRRI(n番目)、縦軸に、次の時刻のRRI(n+1番目)をプロットしたものである。緊張やストレス等により心拍変動が小さい(ゆらぎが小さい)所定区間ではプロットされる点群は集中し、逆にリラックスして心拍変動が大きい(ゆらぎが大きい)とプロットされる点群は分散する。例えば、基礎疾患を持たない健常者のポアンカレプロットは、直線RRI(n+1)=RRI(n)を長軸とした楕円状に分布する。このとき、点群の集中と分散を評価する方法として、楕円を構成する長軸と短軸方向への分布の標準偏差をそれぞれL、TとしたときのL/T値を用いる。
図5の(A)に示すように、L/T値が大きければ、楕円は長軸方向に伸びており、点群は分散する。一方、
図5の(B)に示すように、L/T値が小さければ、正円に近づき点群は集中する。そこで、L/T値が大きい場合には心拍変動が大きく、L/T値が小さい場合には心拍変動が小さくなる。心拍ゆらぎ解析部11は、算出したL/T値を状態判定部13に出力する。なお、ポアンカレプロットを用いる場合、ポアンカレプロットを構成する所定区間は、例えば、1分、3分等の任意の時間としているが、照度センサ2が検出した照度値が一定である区間としてもよい。
【0017】
照度保持部12は、照度センサ2によって検出された照度値を保持する。また、照度保持部12は、運転者の車両運転中における時刻、及び、その時刻に照度センサ2により検出された平均照度値を保持する。また、照度保持部12は、予め設定している閾値と、照度センサ2により検出した照度値に基づいて周囲の明るさを判定する。照度保持部12は、照度センサ2により検出した照度値が閾値より大きい場合は、周囲の明るさが明るいと判定する(明条件)。一方、照度保持部12は、照度センサ2により検出した照度値が閾値より小さい場合は、周囲の明るさが暗いと判定する(暗条件)。なお、照度保持部12は、照度センサ2により検出した照度値と閾値とを比較して同一であると判定した場合、周囲の明るさが変化していないと判定する。照度保持部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0018】
状態判定部13は、心拍ゆらぎ解析部11により算出されたL/T値と、照度保持部12により判定された周囲の明るさとを用いて、運転者の自律神経状態の変化が外的要因によるものか、内的要因によるものかを判定する。また、状態判定部13は、運転者の自律神経状態の変化が内的要因による場合、ストレスや体調不良によるものか、眠気やリラックスによるものかを判定する。
【0019】
外的要因による影響、例えば運転者周囲の環境変化のうち照度の明暗による影響は、以下の(1)、(2)の二種類が存在する。
(1)照度変化の直後に生じる自律神経状態の変化:運転者の周囲の照度変化によって自律神経の状態が変化する。一般的に、明るくなると自律神経のうち交感神経が活性化し、暗くなると自律神経のうち副交感神経が活性化する。
(2)照度環境における運転中の自律神経状態の変化:運転中において運転者の周囲が明るいと自律神経のうち副交感神経が活性化し、暗いと自律神経のうち交感神経が活性化する。
上記(1)、(2)は一見相反するが、(1)については単純に周囲の明るさの変化によって生じる人体の反応を示しており、(2)については、車両の運転中という高度な活動状態下において、周囲が明るいと見えやすく、暗いと見えにくくなり、それがストレスとして顕在することを示している。
【0020】
上記(2)について、認知課題中のL/T値と照度条件の関係を
図6に示す。図示のグラフは、横軸に照度条件、縦軸にL/T値を表している。図示のグラフは、二人の被験者A,Bが、2つの認知課題、例えば、ディスプレイに表示された画像群から一つだけ異なる画像を見つける探索課題と、数字を読み上げていき2つ前の数字を口頭で答える2-back課題とを同時に行ったときの照度条件に対するL/T値の変化を表す。明条件と比較して暗条件では、いずれの被験者A,BもL/T値が減少しており、ストレスや緊張等の内的要因による交感神経の活性が起きているものと推定される。つまり、運転者の周囲が明るいと副交感神経が活性化し、暗いと交換神経が活性化する。また、個人差によってL/T値の絶対値は異なるが、L/T値の減少度合は略同一であることから、運転者が運転する度にL/T値を保存し蓄積することで、相対的な比較をすることなくL/T値が減少したか否かを判定することができる。
【0021】
上記(1)について、照度環境の変化に対するL/T値の変化を
図7に示す。なお、図示例では、運転時にかかる運転者のストレスや苛立ち、眠気等の影響を無視したものである。
図7に示す区間A(明条件)から区間B(暗条件)に照度環境が変化するときには、暗くなるという変化に対して運転者の自律神経のうち副交感神経が活性化し、その後、区間Bでは暗条件が継続するので、自律神経のうち交感神経が活性化する。一方、
図7に示す区間B(暗条件)から区間C(明条件)に照度環境が変化すると、明るくなるという変化に対して運転者の自律神経のうち交感神経が活性化し、その後、区間Cでは明条件が継続するので、自律神経のうち副交感神経が活性化する。
【0022】
判定結果保持部14は、状態判定部13で判定した運転者の自律神経の状態を判定した判定結果に対応する情報の保持を行なう。判定結果保持部14は、例えば、運転者の日常の運転時に取得されるL/T値の平均値、分散値と、上述した閾値を保持するROM(Read Only Memory)と、運転当日に取得されるL/T値と照度値を予め指定した所定区間ごとに保持するRAMとで構成される。
【0023】
情報報知部5は、演算処理ユニット4による判定結果に基づいて、運転者を含む報知対象に対して報知情報を報知する。情報報知部5は、演算処理ユニット4の状態判定部13から判定結果が入力されると、報知対象である運転者に対して警告等を行い、運転者の安全運転を支援する。報知情報は、運転者に対する注意喚起や警告を行うものである。報知対象は、原則として運転者であるが、運転者以外のものであってもよい。情報報知部5は、予め車両に搭載されている装置(例えば、ナビゲーションモニタ等)を利用するものであってもよいし、車両に追加されるものであってもよい。情報報知部5は、例えば音や音声を出力する音声出力装置であり、運転者に向けて警告音等を発生するものであってもよい。また、情報報知部5は、例えば文字やアイコン等を表示するメータディスプレイ、ナビゲーションモニタやヘッドアップディスプレイ等であり、運転者に向けて警告表示を行うものであってもよい。また、情報報知部5は、シート等に配置され、振動を発生する装置であってもよく、着座した状態の運転者に対して振動による警告を行うものであってもよい。また、情報報知部5は、原則として、運転者に対して報知情報を報知するが、単独で車外通信機能により外部装置に報知情報の報知する構成であってもよいし、運転者及び外部の両者への報知を同時に行う構成であってもよい。ここで外部装置は、運転者または運転者以外の者(例えば家族)が所有するスマートフォン等を含む携帯端末であってもよい。
【0024】
次に、演算処理ユニット4にて実行される運転者状態判定のアルゴリズムについて
図8A、
図8Bを参照して説明する。
【0025】
図8Aにおいて、ステップS1では、状態判定部13は、心拍ゆらぎ解析部11で算出された複数のL/T値のうち、前後する所定区間に対応するL/T値を比較する。
【0026】
ステップS2では、状態判定部13は、ステップS1で比較した結果からL/T値が増加したか否かを判定する。この判定の結果、L/T値が増加した場合は、ステップS3へ進む一方、L/T値が増加していない場合、
図8BのステップS20へ進む。
【0027】
ステップS3では、照度保持部12は、照度センサ2により検出した照度値と、予め設定された閾値とに基づいて周囲の明るさの変化を判定する。照度保持部12は、照度センサ2により検出した照度値が閾値より大きい場合を明条件、閾値より小さい場合を暗条件と判定する。なお、照度センサ2により検出した照度値と閾値とが同一であった場合、例えば、照度保持部12が保持している複数の照度値から検出時間が異なる照度値を抽出して、当該照度値と閾値とを比較するように構成してもよい。検出時間が異なる照度値は、例えば、閾値と同一であった照度値の検出時間に対して、前の検出時間の照度値、または、後の検出時間の照度値としてもよい。
【0028】
ステップS4では、状態判定部13は、ステップS3での判定結果から、周囲の明るさが明条件→暗条件に変化したか否かを判定する。この判定の結果、明条件→暗条件に変化した場合、ステップS5へ進む一方、明条件→暗条件に変化していない場合、ステップS12へ進む。
【0029】
ステップS5では、状態判定部13は、L/T値が増加し、かつ明条件→暗条件に変化した場合、環境変化、すなわち外的要因により自律神経状態の変化が生じた可能性があると判定する。この自律神経状態の変化は、例えば、上記(1)で説明したように、暗くなるという変化に対して運転者の自律神経のうち副交感神経が活性化したものと推定される。
【0030】
ステップS6では、状態判定部13は、フラグをONする。
【0031】
ステップS7では、状態判定部13は、心拍ゆらぎ解析部11で算出された複数のL/T値のうち、フラグON後の3つの所定区間に対応するL/T値を比較する。
【0032】
ステップS8では、照度保持部12は、照度センサ2により検出した照度値と、予め設定された閾値とに基づいて周囲の明るさの変化を判定する。照度保持部12は、照度センサ2により検出した照度値が閾値より大きい場合を明条件、閾値より小さい場合を暗条件と判定する。なお、照度センサ2により検出した照度値と閾値とが同一であった場合、ステップS3と同様とする。ステップS8の判定の結果、暗条件から変化しなかった場合、ステップS9へ進む一方、周囲の明るさが暗条件から明条件に変化した場合は、状態判定部13はフラグをリセットして(ステップS13)、ステップS1に戻る。
【0033】
ステップS9では、状態判定部13は、ステップS7で比較した結果からL/T値が減少に転じたか否かを判定し、L/T値が減少に転じた場合、フラグをリセットして(ステップS10)、ステップS11へ進む。一方、L/T値が減少に転じていない場合、状態判定部13は、フラグをリセットして(ステップS14)、ステップS15へ進む。
【0034】
ステップS11では、状態判定部13は、L/T値が増加し、かつ周囲の明るさが明条件→暗条件に変化した後において、暗条件から変化せず、かつL/T値が減少に転じた場合、外的要因により自律神経のうち交感神経が活性化したものと判定し、ステップS1へ戻る。
【0035】
ステップS12では、状態判定部13は、L/T値が増加し、かつ周囲の明るさが明条件→暗条件に変化していない場合、内的要因、例えばリラックス等が要因となり、運転者の自律神経状態の変化が生じた可能性があると判定し、ステップS1へ戻る。
【0036】
ステップS15では、状態判定部13は、L/T値が増加し、かつ周囲の明るさが明条件→暗条件に変化した後において、暗条件から変化せず、かつL/T値が減少に転じていない場合、内的要因により、運転者の自律神経のうち交感神経が活性化したものと判定し、ステップS1へ戻る。言い換えると、状態判定部13は、L/T値が増加し、かつ明条件から暗条件に変化した後において、暗条件から変化せず、かつL/T値が減少に転じていない場合、内的要因により自律神経状態の変化が生じたものと判定する。
【0037】
図8Bにおいて、ステップS20では、状態判定部13は、
図8AのステップS1で比較した結果からL/T値が減少したか否かを判定する。この判定の結果、L/T値が減少した場合は、ステップS21へ進む一方、L/T値が減少していない場合、
図8AのステップS1へ戻る。
【0038】
ステップS21では、照度保持部12は、照度センサ2により検出した照度値と、予め設定された閾値とに基づいて周囲の明るさの変化を判定する。照度保持部12は、照度センサ2により検出した照度値が閾値より大きい場合を明条件、閾値より小さい場合を暗条件と判定する。なお、照度センサ2により検出した照度値と閾値とが同一であった場合、ステップS3と同様とする。
【0039】
ステップS22では、状態判定部13は、ステップS21での判定結果から、周囲の明るさが暗条件→明条件に変化したか否かを判定する。この判定の結果、暗条件→明条件に変化した場合、ステップS23へ進む一方、暗条件→明条件に変化していない場合、ステップS30へ進む。
【0040】
ステップS23では、状態判定部13は、L/T値が減少し、かつ暗条件→明条件に変化した場合、環境変化、すなわち外的要因により自律神経状態の変化が生じた可能性があると判定する。この自律神経状態の変化は、例えば、上記(1)で説明したように、明るくなるという変化に対して運転者の自律神経のうち交感神経が活性化したものと推定される。
【0041】
ステップS24では、状態判定部13は、フラグをONする。
【0042】
ステップS25では、状態判定部13は、心拍ゆらぎ解析部11で算出された複数のL/T値のうち、フラグON後の3つの所定区間に対応するL/T値を比較する。
【0043】
ステップS26では、照度保持部12は、照度センサ2により検出した照度値と、予め設定された閾値とに基づいて周囲の明るさの変化を判定する。照度保持部12は、照度センサ2により検出した照度値が閾値より大きい場合を明条件、閾値より小さい場合を暗条件と判定する。なお、照度センサ2により検出した照度値と閾値とが同一であった場合、ステップS3と同様とする。ステップS26の判定の結果、明条件から変化しなかった場合は、ステップS27へ進む一方、周囲の明るさが明条件から暗条件に変化した場合、状態判定部13はフラグをリセットして(ステップS31)、ステップS1に戻る。
【0044】
ステップS27では、状態判定部13は、ステップS25で比較した結果からL/T値が増加に転じたか否かを判定し、L/T値が増加に転じた場合、フラグをリセットして(ステップS28)、ステップS29へ進む。一方、L/T値が増加に転じていない場合、状態判定部13は、フラグをリセットして(ステップS32)、ステップS33へ進む。
【0045】
ステップS29では、状態判定部13は、L/T値が減少し、かつ周囲の明るさが暗条件→明条件に変化した後において、明条件から変化せず、かつL/T値が増加に転じた場合、外的要因により自律神経のうち副交感神経が活性化したものと判定し、ステップS1へ戻る。
【0046】
ステップS30では、状態判定部13は、L/T値が減少し、かつ周囲の明るさが暗条件→明条件に変化していない場合、内的要因、例えばストレスや体調不良等が要因となり、運転者の自律神経状態の変化が生じた可能性があると判定する。
【0047】
ステップS33では、状態判定部13は、L/T値が減少し、かつ周囲の明るさが暗条件→明条件に変化した後において、明条件から変化せず、かつL/T値が増加に転じていない場合、内的要因により、運転者の自律神経のうち交感神経が活性化したものと判定し、ステップS34へ進む。言い換えると、状態判定部13は、L/T値が減少し、かつ暗条件→明条件に変化した後において、明条件から変化せず、かつL/T値が増加に転じていない場合、内的要因により自律神経状態の変化が生じたものと判定する。
【0048】
ステップS34では、状態判定部13は、ステップS33の判定結果に基づいて、情報報知部5に対して当該判定結果に対応する報知情報を出力し、当該報知情報を情報報知部5により報知させて、
図8AのステップS1へ戻る。報知情報は、情報報知部5が車両100に搭載されたディスプレイである場合、例えば、運転者に対して停車して休憩するように促す表示情報となる。本実施形態における内的要因は、リラックス等である場合と、ストレスや体調不良等である場合とで分けられているが、報知情報は同一の内容であってもよいし、互いに異なる内容であってもよい。
【0049】
本実施形態では、外的要因による自律神経状態の変化であれば、その後、L/T値の傾向が(増加→減少または減少→増加)逆転するため、変化の起点時にフラグを立て(ON)、フラグON後の3つの所定区間に対応するL/T値を比較する。その比較結果から、L/T値の変化が当初傾向より逆転すれば、外的要因による自律神経状態の変化と判定し、そうでなければ内的要因による自律神経状態の変化と判定する。一方、フラグON後の3つの所定区間に対応するL/T値を比較した後、周囲の明るさが変化していない場合、フラグをリセットしてステップS1へ戻る。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る運転者状態判定装置1は、運転中の運転者の心拍を検出する拍動センサ3と、運転者周囲の照度値を検出する照度センサ2と、拍動センサ3の検出結果から得られた心拍変動、及び、照度保持部12により判定した周囲の明るさの変化に基づいて、運転者の自律神経の状態を判定する演算処理ユニット4とを備える。演算処理ユニット4は、運転者の心拍変動が増加し、かつ周囲の明るさが明条件から暗条件へ変化した後において、暗条件から変化せず、かつ運転者の心拍変動が減少に転じた場合、外的要因により自律神経のうち交感神経が活性化したものと判定する。一方、暗条件から変化せず、かつ運転者の心拍変動が減少に転じていない場合、内的要因により自律神経のうち副交感神経が活性化したものと判定する。
【0051】
上記構成により、L/T値が増加し、かつ照度値が減少(明条件→暗条件)すると、環境変化すなわち外的要因により自律神経状態の変化が生じることから、当該条件に該当するか否かを判定することで、外的要因による運転者の自律神経状態の変化を精度良く判定することができる。また、L/T値が増加し、かつ照度値が変化せず、または、増加(暗条件→明条件)すると、リラックス等の内的要因により自律神経状態の変化が生じることから、当該条件に該当するか否かを判定することで、内的要因による運転者の自律神経状態の変化を精度良く判定することができる。つまり、運転者の自律神経状態の変化が外的要因なのか、内的要因なのかを切り分けて精度よく判定することができる。また、演算処理ユニット4を車両100に搭載されたECU(Engine Control Unit)に適用し拍動センサを追加するだけで装置を構成することができ、高スペックのECUを使うことなく、コストアップを抑制することができる。また、ウエアラブル端末に搭載された心拍センサ等を利用することも可能であり、当該端末を利用することで運転者が身体にセンサを装着する煩わしさを解消することができる。
【0052】
また、運転者状態判定装置1は、運転者のL/T値が減少し、かつ照度値が増加(暗条件→明条件)した後において、照度値が変化せず(明条件→明条件)、かつ運転者のL/T値が増加に転じた場合、外的要因により自律神経のうち副交感神経が活性化したものと判定する。これにより、運転者の自律神経状態の変化が外的要因により生じたものと容易に判定することができる。
【0053】
また、運転者状態判定装置1は、運転者のL/T値が減少し、かつ照度値が増加(暗条件→明条件)した後において、照度値が変化せず(明条件→明条件)、かつ運転者のL/値が増加に転じていない場合、内的要因により自律神経のうち交感神経が活性化したものと判定する。これにより、運転者の自律神経状態の変化が内的要因により生じたものと容易に判定することができる。
【0054】
また、運転者状態判定装置1は、演算処理ユニット4による判定結果に基づいて、運転者を含む報知対象に対して報知情報を報知する情報報知部5をさらに備える。演算処理ユニット4は、内的要因により自律神経状態が変化したと判定した場合、判定結果に対応する報知情報を情報報知部5により報知させる。これにより、運転者の自律神経状態の変化がストレス、体調不良等の内的要因によるものと推定され、情報報知部5が運転者に対して停車して休憩するように促す報知を行うことで、運転者の安全運転を効果的に支援することができる。
【0055】
また、運転者状態判定装置1は、演算処理ユニット4が、外的要因による自律神経状態の変化であると判定した場合、情報報知部5による報知を行わない。これにより、例えばトンネルの出入りによる自律神経状態の変化で運転者への報知が行われず、運転者の煩わしさを抑制することができる。運転者にとっては、内的要因による自律神経状態の変化が知りたいためである。
【0056】
[変形例]
上記実施形態では、運転者の自律神経状態の変化をポアンカレプロットのL/T値を基に判定しているが、心拍間隔の標準偏差(SDNN)や連続した心拍間隔の差の二乗平均平方根(RMSSD)等を利用した時間領域解析手法、他の方法と併用する方法であってもよい。これにより、運転者の自律神経状態の変化をより精度よく判定することができる。
【0057】
また、上記実施形態では、車両に対して照度センサ2を配置する構成であるが、車両周囲の明るさに応じて自動的にヘッドライトを点灯/消灯させるオートライト機能を構成する照度センサを用いて照度値を取得する構成であってもよい。この場合、新たに照度センサを設ける必要がなく、コストアップを抑制することができる。
【0058】
また、上記実施形態では、
図8AのステップS12及び
図8BのステップS30では、状態判定部13が、内的要因による運転者の自律神経状態の変化が生じた可能性があると判定し、そのままステップS1に戻っているが、これに限定されるものではない。例えば、状態判定部13は、ステップS12及びステップS30での可能性の判定結果を累積保持しておき、判定要素に加えてもよい。例えば、上記可能性があると判定した回数をカウントしておき、その累積回数が閾値を超過したときには、内的要因による運転者の自律神経状態の変化として判定する。
【0059】
また、上記実施形態では、
図8AのステップS7、
図8BのステップS25において、状態判定部13は、心拍ゆらぎ解析部11で算出された複数のL/T値のうち、フラグON後の3つの所定区間に対応するL/T値を比較しているが、これに限定されるものではない。L/T値の変化を確認する所定区間は、3つだけはなく、3つ以外の任意の区間数としてもよい。また、
図8AのステップS3,S8、
図8BのステップS21,S26では、照度保持部12は、照度センサ2により検出した照度値と、予め設定された閾値とに基づいて周囲の明るさの変化を判定しているが、これに限定されるものではない。例えば、ステップS3,S21では、状態判定部13が、ステップS1で比較した所定区間と同一区間の照度値を比較する構成であってもよい。この場合、状態判定部13は、照度保持部12より、同一区間に対応する時刻の平均照度値をそれぞれ読み出す。また、ステップS8,S26では、状態判定部13が、ステップS7で比較した3つの所定区間と同一区間の照度値を比較し、照度値が変化したか否かを判定する構成であってもよい。この場合、状態判定部13は、照度保持部12より、同一区間に対応する時刻の平均照度値をそれぞれ読み出す。
【0060】
また、上記実施形態では、心拍ゆらぎを解析する手段としては、心拍の時系列変化を波とみなし、それを周波数領域解析する手法もあるが、本発明については適さないと考える。その理由は、解析に用いる離散フーリエ変換が一定数以上のデータを必要とするため、1分などの短い時間の解析には適していないためである。照度の変化は、昼・夕・夜等の時間変化だけでなく、トンネルなどの一時的な変化でも起こるため、その変化を捉えるためには短い区間での解析が必要となる。
【0061】
また、上記実施形態では、本発明を運転者状態判定装置1に適用した場合について説明したが、運転者状態判定システムに適用しても、上述した効果を得ることが可能である。
【0062】
また、上記実施形態では、演算処理ユニット4は、単一のプロセッサによって各処理機能が実現されるものとして説明したがこれに限らない。演算処理ユニット4は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて各プロセッサがプログラムを実行することにより各処理機能が実現されてもよい。また、演算処理ユニット4が有する処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、演算処理ユニット4が有する処理機能は、その全部又は任意の一部をプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジック等によるハードウェアとして実現してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、運転者状態判定装置1は、自動車等の車両に適用されているが、これに限定されず、例えば車両以外の船舶や航空機等に適用してもよい。
【0064】
以上で説明したプロセッサによって実行されるプログラムは、記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 運転者状態判定装置
2 照度センサ
3 拍動センサ
4 演算処理ユニット
5 情報報知部
10 心拍変動演算部
11 心拍ゆらぎ解析部
12 照度保持部
13 状態判定部
14 判定結果保持部
100 車両