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特許7348265エアロゾル発生物品を製造するための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品を製造するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/70 20200101AFI20230912BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20230912BHJP
【FI】
A24F40/70
A24F40/42
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021503547
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019068101
(87)【国際公開番号】W WO2020020603
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】18185821.8
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ローガン,アンドリュー・ロバート・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ギル,マーク
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-526381(JP,A)
【文献】国際公開第2017/051350(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055574(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)植物ベースのエアロゾル発生材料を提供するステップと、
(ii)誘導加熱可能サセプタ要素を提供するステップと、
(iii)底壁と、側壁と、開放端部にあるフランジとを備えるカップを提供するステップと、
(iv)前記カップに植物ベースのエアロゾル発生材料の層を堆積させるステップと、
(v)前記堆積させた植物ベースのエアロゾル発生材料の層上に前記誘導加熱可能サセプタ要素を配置するステップと、
(vi)ステップ(iv)のみ、又はステップ(iv)及び(v)を繰り返すステップと、
(vii)クロージャを提供し、前記クロージャを前記フランジ上に取り付けるステップと
を含む、エアロゾル発生物品を製造するための方法。
【請求項2】
ステップ(iv)が、前記植物ベースのエアロゾル発生材料を、顆粒、ペレット、細片、ストランド、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料、若しくはシート、又はそれらの組み合わせとして投与及び堆積させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記堆積させた植物ベースのエアロゾル発生材料の層を平坦化するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(ii)が、金属箔を提供するステップと、前記金属箔を切断して、1つ又は複数のリング状のサセプタ要素を形成するステップとを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カップが、前記開放端部と前記底壁との間に延びるカップ軸を備え、ステップ(vi)が、第2の誘導加熱可能サセプタ要素及び第3の誘導加熱可能サセプタ要素を、それぞれ第1の誘導加熱可能サセプタ要素及び前記第2の誘導加熱可能サセプタ要素から前記カップ軸の方向にそれぞれ等距離に、前記カップに配置するステップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(vii)が、接着又は溶接によって前記クロージャを前記フランジ上に取り付けるステップを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(vii)が、スナップフィット接続によって前記クロージャを前記フランジ上に取り付けるステップを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記カップが、前記誘導加熱可能サセプタ要素を受け入れるための位置決め部材を備え、ステップ(v)が、前記位置決め部材によって前記誘導加熱可能サセプタ要素を配置するステップを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記位置決め部材が、前記カップの内壁の周方向に連続的に延びる保持面、又は前記カップの内部の周方向に間隔を空けて配置された位置にある少なくとも2つの別個の保持面を備え、
ステップ(v)が、前記誘導加熱可能サセプタ要素を前記1つ又は複数の保持面上に配置するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記カップが、前記開放端部と前記底壁との間に延びるカップ軸と、前記カップ軸に沿った異なる位置にある前記位置決め部材のうちの少なくとも2つとを備え、前記カップ軸に沿って前記開放端部の最も近くに配置された前記位置決め部材が、他方の前記位置決め部材よりも前記カップの内壁に近い、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記カップが、前記側壁から半径方向に内側の方向に延びるストッパをさらに備える、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記側壁が、前記ストッパ及び前記位置決め部材を備える段を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数のカップを保持するためのカップ保持ユニットと、
投与された植物ベースのエアロゾル発生材料の層を前記カップに堆積させるための投与及び堆積ユニットを備える第1のステーションと、
金属箔を受け入れるための箔受け入れユニットと、前記金属箔から誘導加熱可能なサセプタ要素を切断するための切断ユニットとを備える第2のステーションであって、前記第2のステーションが、前記誘導加熱可能サセプタ要素を前記カップに配置するための配置ユニットをさらに備える、第2のステーションと、
クロージャ受け入れユニットと、前記クロージャを前記カップの前記フランジ上に取り付けるための密閉ユニットとを備える第3のステーションと
を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法によりエアロゾル発生物品を製造するための装置。
【請求項14】
前記切断ユニットが、前記金属箔からリング状のサセプタ要素を打ち抜くように構成された打ち抜きユニットを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記密閉ユニットが、前記クロージャと前記カップの前記フランジとの間に接着剤の層を塗布するための接着剤アプリケータを備える、請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記カップ保持ユニットが、前記第1、第2、及び第3のステーションの間で前記カップを移動するための輸送ユニットを備える、請求項13~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記カップ保持ユニットが、スライドトレイを備える、請求項13~16のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、エアロゾル発生物品に関し、より具体的には、エアロゾル発生物品を加熱してユーザが吸入するためのエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生デバイスと共に使用するためのエアロゾル発生物品に関する。本開示の実施形態は、詳細には、エアロゾル発生物品を製造するための方法及び/又はエアロゾル発生物品を製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、エアロゾル発生材料を燃やすのではなく加熱して吸入用のエアロゾルを生成するデバイスが、消費者に人気になってきている。
【0003】
そのようなデバイスは、いくつかの異なる手法のうちの1つを使用して、エアロゾル発生材料に熱を供給することができる。そのような手法の1つは、誘導加熱システムを用いるエアロゾル発生デバイスを提供することであり、このエアロゾル発生デバイスには、エアロゾル発生材料を含むエアロゾル発生物品をユーザが着脱可能に挿入することができる。そのようなデバイスでは、誘導コイルがデバイスに設けられ、誘導加熱可能サセプタがエアロゾル発生物品に通常設けられる。ユーザがデバイスを作動させると、電気エネルギーが誘導コイルに供給され、これにより交流電磁場が発生する。サセプタがこの電磁場と結合して熱を発生し、この熱が、例えば伝導によって、エアロゾル発生材料に伝達され、エアロゾル発生材料が加熱されると蒸気又はエアロゾルが発生する。
【0004】
ユーザがエアロゾル発生デバイスに挿入できるエアロゾル発生物品の形態でエアロゾル発生材料を提供することが便利であることがある。したがって、エアロゾル発生物品の製造を容易にする方法及び装置を提供することが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、
(i)植物ベースのエアロゾル発生材料を提供するステップと、
(ii)誘導加熱可能サセプタ要素を提供するステップと、
(iii)底壁と、側壁と、開放端部にあるフランジとを備えるカップを提供するステップと、
(iv)植物ベースのエアロゾル発生材料の層をカップに堆積させるステップと、
(v)堆積させた植物ベースのエアロゾル発生材料の層上に誘導加熱可能サセプタ要素を配置するステップと、
(vi)任意で、ステップ(iv)のみ、又はステップ(iv)及び(v)を繰り返すステップと、
(vii)クロージャを提供し、クロージャをフランジ上に取り付けるステップと
を含む、エアロゾル発生物品を製造するための方法が提供される。
【0006】
本開示は、植物ベースのエアロゾル発生材料と誘導加熱可能サセプタ要素とを備えるエアロゾル発生物品を製造するための便利な方法を提供し、特に、これにより、エアロゾル発生物品の大量生産が容易になる。
【0007】
エアロゾル発生物品は、植物ベースのエアロゾル発生材料を燃やすことなくエアロゾル発生材料を加熱して、植物ベースのエアロゾル発生材料の少なくとも1種の成分を揮発させ、それにより、冷却され凝縮してエアロゾル発生デバイスのユーザが吸入するためのエアロゾルを形成する蒸気を発生させるためのエアロゾル発生デバイスで使用するためのものである。
【0008】
一般論として、蒸気とは、その臨界温度よりも低い温度で気相である物質であり、これは、温度を下げることなく圧力を高めることにより、蒸気を液体に凝縮させ得ることを意味する一方、エアロゾルとは、空気中又は別のガス中の微細な固体粒子又は液滴の浮遊物である。ただし、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザによる吸入のために発生される吸入可能媒体の形態に関して交換可能に使用され得ることに留意されたい。
【0009】
誘導加熱可能サセプタ要素を使用することにより、植物ベースのエアロゾル発生材料を加熱するための便利で効果的且つエネルギー効率の良い仕方が提供される。エアロゾル発生物品がエアロゾル発生デバイスに配置され、交流の電磁場に曝露されると、エネルギーが電磁エネルギーから熱エネルギーに変換される渦電流及び磁気ヒステリシス損失により、誘導加熱可能サセプタ要素で熱が発生する。誘導加熱可能サセプタ要素で発生した熱は植物ベースのエアロゾル発生材料に伝達され、そこで加熱されて蒸気が発生し、蒸気が冷却され凝縮して、所望の特性を備えたエアロゾルを形成する。
【0010】
誘導加熱可能サセプタ要素は、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼及びそれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅などのうちの1種又は複数種を含み得るが、これらに限定されない。
【0011】
誘導加熱可能サセプタ要素は、実質的に平面の誘導加熱可能サセプタ要素を備えることができ、また実質的にリング状の誘導加熱可能サセプタ要素を備えることができる。
【0012】
カップは紙製カップであってもよく、成形紙製カップであってもよい。紙製カップは安価で、製造が簡単で、堆肥にでき、高温での使用でも安全である。紙製カップは、自立する成形形態を有してもよい。これにより、カップが自身の形状を維持でき、エアロゾル発生物品の製造中のカップの取り扱いが容易になり得る。
【0013】
カップ及び/又はクロージャは、タバコ及び/又はフレーバーをさらに含有し得る。タバコ及び/又はフレーバーは、紙の風味を改善又は覆い隠し、より心地よい風味を与え得る。フレーバーは、タバコ、果物、植物、ナッツ、花などとすることができる。タバコ及び/又はフレーバーは、紙の成分として含有されてもよい。タバコは、紙に埋め込まれてもよいし、コーティング又は層状化などによってその上に塗布されてもよい。タバコは、粒子、フレーク、葉の断片、条片、層、及びそれらの組み合わせの形態とすることができる。
【0014】
カップは実質的に円筒形であり得る。側壁は実質的に円筒形であり得る。底壁は実質的に円形であり得る。クロージャは実質的に円形であり得る。実質的に円形の断面を有する円筒形のカップは、エアロゾル発生物品の製造中のカップの取り扱いを容易にし得る。結果として得られるエアロゾル発生物品の円筒形の形態は、実質的に円形の断面と併せて、複数のエアロゾル発生物品の包装を容易にし得る、及び/又はエアロゾル発生デバイスの対応する形状の加熱区画へのエアロゾル発生物品の挿入を容易にし得る。円筒形の形態は、エアロゾル発生材料の均一な加熱を維持しながら、いくつかの同一のサセプタ要素の挿入を可能にする。したがって、システムの有効性を確保しながら、製造の複雑さが軽減される。
【0015】
フランジは側壁から外側に延び得る。よって、フランジはカップの開放端部を横切って延びておらず、これにより、植物ベースのエアロゾル発生材料及び誘導加熱可能サセプタ要素は、ステップ(iv)、(v)、及び任意でステップ(vi)中にカップに容易に配置され得る。側壁が実質的に円筒形である実施形態では、フランジは実質的に円形のリップを備え得る。
【0016】
カップの底壁は多孔質であってもよいし、穿孔されていてもよい。例えば、底壁は、空気が底壁を通して流れることを可能にする多孔質である材料を含み得る。代替的又は追加的に、底壁は、1つ又は複数の開口部又は穿孔を備え得る。後者の場合、空気が底壁を通って流れることを可能にするために開口部又は穿孔が必要とされるように、底壁は、それ自体が空気に耐性がある材料を含み得る。多孔質である又は穿孔された底壁を設けることにより、好都合なことに、エアロゾル発生物品を通る空気の流れが促進され、それにより、エアロゾルを発生して、例えばエアロゾル発生デバイスのマウスピースを介して、ユーザに運ぶことが最適化される。
【0017】
クロージャは多孔質であってもよいし、穿孔されていてもよい。例えば、クロージャは、空気がクロージャを通して流れることを可能にする多孔質構造を有する材料を含み得る。代替的又は追加的に、クロージャは、1つ又は複数の開口部又は穿孔を備え得る。後者の場合、空気がクロージャを通って流れることを可能にするために開口部又は穿孔が必要とされるように、クロージャは、それ自体が空気に耐性がある材料を含み得る。植物ベースのエアロゾル発生材料をカップに保持することに加えて、多孔質である又は穿孔されたクロージャは、好都合なことに、エアロゾル発生物品を通る空気の流れが促進され、それにより、エアロゾルを発生して、例えばエアロゾル発生デバイスのマウスピースを介して、ユーザに運ぶことが最適化される。
【0018】
「耐空気性」とは、保管中に必ずしも酸素に対してバリアである必要はないが、使用中に少なくとも空気及び蒸気を流さない材料を意味する。
【0019】
ステップ(iv)は、植物ベースのエアロゾル発生材料を、顆粒、ペレット、細片、ストランド、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料、若しくはシート、又はそれらの組み合わせとして投与及び堆積させるステップを含み得る。植物ベースのエアロゾル発生材料を投与するステップは、植物ベースのエアロゾル発生材料を計量するステップを含み得る。これにより、エアロゾル発生材料の正確な投与が確保され、そしてエアロゾル発生デバイスでのエアロゾル発生物品の使用中に、所望の特性を有するエアロゾルが確実に発生される。
【0020】
本方法は、堆積させた植物ベースのエアロゾル発生材料の層を平坦化するステップをさらに含み得る。堆積させたエアロゾル発生材料の層を平坦化するステップは、ステップ(iv)の後に実行されてもよく、ステップ(v)の前に実行されていてもよい。堆積させたエアロゾル発生材料の層を平坦化することにより、特にエアロゾル発生材料が粉末状又は砕かれた形態の場合、ステップ(v)において誘導加熱可能サセプタ要素を堆積させた層上に配置することを助け得る。
【0021】
ステップ(ii)は、金属箔を提供するステップを含み得、金属箔を、例えば切断部材で切断して、1つ又は複数のリング状のサセプタ要素を形成するステップを含み得る。サセプタ要素を形成するために金属箔及び切断部材を使用することにより、エアロゾル発生物品の大量生産が容易になり得る。切断には、打ち抜き、レーザ切断、プラズマ切断、ウォータージェット切断、又はエッチング(例えば、フォトエッチング又は化学エッチング)が含まれ得る。
【0022】
カップは、開放端部と底壁との間に延びるカップ軸を備えることができ、ステップ(vi)は、第2の誘導加熱可能サセプタ要素及び第3の誘導加熱可能サセプタ要素を、それぞれ第1の誘導加熱可能サセプタ要素及び第2の誘導加熱可能サセプタ要素からカップ軸の方向にそれぞれ等距離に、カップに配置するステップを含み得る。これにより、誘導加熱可能サセプタ要素が植物ベースのエアロゾル発生材料全体に均一に分布し、そして、エアロゾル発生デバイスでのエアロゾル発生物品の使用中に誘導加熱可能サセプタ要素から植物ベースのエアロゾル発生材料への熱の均一な伝達が確保される。
【0023】
ステップ(vii)は、接着又は溶接によってクロージャをフランジ上に取り付けるステップを含み得る。ステップ(vii)は、スナップフィット接続によってクロージャをフランジ上に取り付けるステップを含み得る。クロージャはフランジにしっかりと確実に取り付けることができ、それによりエアロゾル発生材料及び誘導加熱可能サセプタ要素がカップに保持されることが確保され、エアロゾル発生物品の大量生産が容易になる。
【0024】
カップは、誘導加熱可能サセプタ要素を受け入れるための位置決め部材を備え得る。ステップ(v)は、位置決め部材によって誘導加熱可能サセプタ要素を配置するステップを含み得る。誘導加熱可能サセプタ要素は、カップ内のエアロゾル発生材料に対して所定の位置に容易且つ確実に配置でき、それにより、エアロゾル発生材料の均一な加熱を確実に達成できる。位置決め部材を使用することはまた、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生デバイス装置での使用中に、誘導加熱可能サセプタ要素が電磁場と結合するように正しく配置されることを確保し、それにより、最大の発熱量が誘導加熱可能サセプタ要素で達成されることが確保されるのに役立つ。
【0025】
位置決め部材は、カップの内壁の周方向に連続的に延び得る保持面を備え得る。この構成により、誘導加熱可能サセプタ要素はその周辺で確実に支持される。位置決め部材は、カップ内の周方向に間隔を空けて配置された位置に、少なくとも2つ、好ましくは3つ以上の別々の保持面を備え得る。この構成により、誘導加熱可能サセプタ要素の周辺は個別の周縁位置で支持され、それによりエアロゾル発生材料と誘導加熱可能サセプタ要素とのその周辺での接触面積が増加し、エアロゾル発生材料への熱伝達量が最大になる。
【0026】
ステップ(v)は、誘導加熱可能サセプタ要素を1つ又は複数の保持面上に配置するステップを含み得る。
【0027】
カップは、開放端部と底壁との間に延びるカップ軸を備えることができ、上記位置決め部材のうちの少なくとも2つがカップ軸に沿って異なる位置にある。カップ軸に沿って開放端部の最も近くに配置された位置決め部材は、他方の位置決め部材よりもカップの内壁に近くなり得る。位置決め部材により、誘導加熱可能サセプタ要素が植物ベースのエアロゾル発生材料全体に均一に分布することが確保され、そして、エアロゾル発生デバイスでのエアロゾル発生物品の使用中に誘導加熱可能サセプタ要素から植物ベースのエアロゾル発生材料への熱の均一な伝達が確保される。
【0028】
カップは、側壁から半径方向に内側方向に延びるストッパをさらに備え得る。ストッパにより、カップ内の誘導加熱可能サセプタ要素をカップ軸に直交する方向、例えば半径方向に確実且つ正確に位置決めすることが容易になる。
【0029】
カップの側壁は、ストッパ及び位置決め部材を備える段を備え得る。これにより、簡素且つ堅牢な構造が提供される。
【0030】
カップは、開放端部と底壁との間に延びるカップ軸を備え得る。ステップ(v)は、カップ内で誘導加熱可能サセプタ要素を位置決め部材と接触させることにより、カップ内で誘導加熱可能サセプタ要素を実質的にカップ軸の方向に配置するステップを含み得る。本方法は、誘導加熱可能サセプタ要素をカップに配置した後、位置決め部材をカップから引き抜くステップをさらに含み得る。この構成では、位置決め部材はカップの一部を形成しない。したがって、カップは、位置決め部材がカップの一部を形成するカップよりも製造が簡単で安価であり得る。さらに、位置決め部材は、底壁の既存の開口部(例えば、底壁を通して空気を流せるようにすることを意図されていた開口部)を通して挿入でき、それにより、位置決め部材の挿入及び取り外しが容易になる。
【0031】
植物ベースのエアロゾル発生材料は、加熱されると蒸気及び/又はエアロゾルを発生できる任意のタイプの固体又は半固体の材料であり得る。上述のように、エアロゾル発生材料は、顆粒、ペレット、細片、ストランド、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料、若しくはシート、又はそれらの組み合わせを含み得る。植物ベースのエアロゾル発生材料はタバコを含み得る。植物ベースのエアロゾル発生材料は、好都合なことに、再構成されたタバコを含み得る。
【0032】
発泡材料は、複数の微粒子(例えば、タバコ粒子)を含み得る。タバコ粒子は、50~180μm、好ましくは60~140μm、さらに好ましくは65~125μm、よりさらに好ましくは70~110μm、特に好ましくは75~90μmの粒子サイズ(D90)を有することができ、例えば、約80μmの粒子サイズ(D90)を有し得る。体積での粒子サイズ(D90)は、Malvern Mastersizer 3000を使用したサンプルの乾式分散及びレーザ屈折率測定によって測定される。
【0033】
発泡材料は、プロピレングリコール、グリセリン、及びそれらの組み合わせなどのエアロゾル形成剤をさらに含み得る。エアロゾル形成剤は、水をさらに含むことができる。水は、発泡材料の重量の0~15重量%、例えば5~10重量%の量で含まれ得る。発泡材料は、発泡材料の総重量に基づいて、最大15重量%、好ましくは最大5重量%の量の溶媒及び/又は酸及び/又はエステルをさらに含み得る。発泡材料は、タンパク質を含まない多糖類などの発泡剤をさらに含み得る。発泡材料は、セルロースガムなどの発泡安定剤をさらに含み得る。発泡材料は、開気孔性の多孔質であってよく、発泡材料を通る空気及び/又は蒸気の流れを可能にし得る。
【0034】
植物ベースのエアロゾル発生材料は、エアロゾルフォーマを含み得る。エアロゾルフォーマは保湿剤として機能する。エアロゾルフォーマの例としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。エアロゾル発生材料は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾルフォーマ含有率を含み得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル発生材料は、乾燥重量ベースで約30%~約50%の、場合により乾燥重量ベースで約40%のエアロゾルフォーマ含有率を含み得る。
【0035】
加熱されると、植物ベースのエアロゾル発生材料は揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香味料などのフレーバー化合物を含み得る。
【0036】
ステップ(iv)、(v)、及び(vii)、並びに任意のステップ(vi)は、ターンテーブル上で実行され得る。ターンテーブルを使用することにより、植物ベースのエアロゾル発生材料及び誘導加熱可能サセプタ要素をカップに正確且つ確実に配置できる。ターンテーブルを使用することは、ステップ(vi)が実行されて、植物ベースのエアロゾル発生材料の層と誘導加熱可能サセプタ要素の層とがカップに交互に配置される実施形態において特に有利であり得る。他の可能な実施形態では、ステップ(iv)、(v)、及び(vii)、並びに任意のステップ(vi)は、リニアコンベヤ上で実行され得る。
【0037】
本開示の第2の態様によれば、
複数のカップを保持するためのカップ保持ユニットと、
投与された植物ベースのエアロゾル発生材料の層をカップに堆積させるための投与及び堆積ユニットを備える第1のステーションと、
金属箔を受け入れるための箔受け入れユニットと、金属箔から誘導加熱可能なサセプタ要素を切断するための切断ユニットとを備える第2のステーションであって、第2のステーションが、誘導加熱可能サセプタ要素をカップに配置するための配置ユニットをさらに備える、第2のステーションと、
クロージャ受け入れユニットと、クロージャをカップのフランジ上に取り付けるための密閉ユニットとを備える第3のステーションと
を備える、上で定義された方法によるエアロゾル発生物品を製造するための装置が提供される。
【0038】
このような装置を使用することは、特にカップ保持ユニットを第1、第2、及び第3のステーションの間で移動させることにより、エアロゾル発生物品の大量生産を容易にする。
【0039】
切断ユニットは、金属箔からリング状のサセプタ要素を打ち抜くための打ち抜きユニットを含み得る。打ち抜きユニットを使用することにより、大量生産に良く適したものになる。或いは、切断ユニットは、レーザ切断ユニット、プラズマ切断ユニット、ウォータージェット切断ユニット、又はエッチングユニット(例えば、フォトエッチングユニット又は化学エッチングユニット)を含み得る。
【0040】
密閉ユニットは、クロージャとカップのフランジとの間に接着剤の層を塗布するための接着剤アプリケータを備え得る。密閉ユニットは、クロージャがカップのフランジ上に確実に固定され得ることを確保する。
【0041】
カップ保持ユニットは、第1、第2、及び第3のステーションの間でカップを移動させるための輸送ユニットを備え得る。輸送ユニットは、カップ保持ユニットを第1のステーションと第2のステーションとの間で所望の回数前後に動かして、複数の植物ベースのエアロゾル発生材料の層をカップに堆積させ、複数の誘導加熱可能サセプタ要素をカップに配置するように構成され得る。
【0042】
カップ保持ユニットはスライドトレイを備えてもよい。カップは、スライドトレイによって第1のステーション、第2のステーション、及び第3のステーションの間で容易に移動され得る。
【0043】
カップ保持ユニットはターンテーブルを備えていてもよい。カップ保持ユニットは、リニアコンベヤによって移動されるトレイを備えてもよい。
【0044】
装置は、カップ保持ユニット、第1のステーション、第2のステーション、及び第3のステーションのうちの1つ又は複数の動作を制御するように構成され得るコントローラを備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】植物ベースのエアロゾル発生材料と複数のリング状の誘導加熱可能サセプタ要素とを備えるカップの第1の例を含むエアロゾル発生物品の概略的な断面側面図である。
図2】リング状の誘導加熱可能サセプタ要素のうちの1つの平面図である。
図3a】カップの第2の例の平面図である。
図3b図3aの線A-Aに沿った断面図である。
図3c図3a及び図3bのカップの側面図である。
図3d図3a~図3cのカップの斜視図である。
図4a】カップとクロージャとの間のスナップフィット接続の第1の例を示す、図1に示したものと同様のエアロゾル発生物品の概略的な断面側面図である。
図4b】カップとクロージャとの間のスナップフィット接続の第1の例を示す、図1に示したものと同様のエアロゾル発生物品の概略的な断面側面図である。
図5a】カップとクロージャとの間のスナップフィット接続の第2の例を示す、図1に示したものと同様のエアロゾル発生物品の概略的な断面側面図である。
図5b】カップとクロージャとの間のスナップフィット接続の第2の例を示す、図1に示したものと同様のエアロゾル発生物品の概略的な断面側面図である。
図6】エアロゾル発生物品を製造するための方法のステップを示すフローチャートである。
図7a】それぞれ、カップの側壁の内面の周りに連続的に延びる位置決め部材を備えるカップの概略的な断面側面図及び概略的な平面図である。
図7b】それぞれ、カップの側壁の内面の周りに連続的に延びる位置決め部材を備えるカップの概略的な断面側面図及び概略的な平面図である。
図8a図7a及び図7bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図8b図7a及び図7bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図8c図7a及び図7bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図8d図7a及び図7bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図8e図7a及び図7bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図8f図7a及び図7bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図8g図7a及び図7bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図8h図7a及び図7bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図9a】カップの側壁の内面の周りの個別の周方向の位置にある位置決め部材を備えるカップの概略的な平面図である。
図9b】植物ベースのエアロゾル発生材料及び誘導加熱可能サセプタ要素でカップを満たす前の、それぞれ図9aの線A-A及び線B-Bに沿った概略的な断面図である。
図9c】植物ベースのエアロゾル発生材料及び誘導加熱可能サセプタ要素でカップを満たす前の、それぞれ図9aの線A-A及び線B-Bに沿った概略的な断面図である。
図10a】植物ベースのエアロゾル発生材料及び誘導加熱可能サセプタ要素でカップを満たした後の、それぞれ図9aの線A-A及び線B-Bに沿った概略的な断面図である。
図10b】植物ベースのエアロゾル発生材料及び誘導加熱可能サセプタ要素でカップを満たした後の、それぞれ図9aの線A-A及び線B-Bに沿った概略的な断面図である。
図11a】それぞれ、取り外し可能な位置決め部材を備えるカップの概略的な断面側面図及び概略的な平面図である。
図11b】それぞれ、取り外し可能な位置決め部材を備えるカップの概略的な断面側面図及び概略的な平面図である。
図12a図11a及び図11bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図12b図11a及び図11bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図12c図11a及び図11bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図12d図11a及び図11bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図12e図11a及び図11bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図12f図11a及び図11bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図12g図11a及び図11bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図12h図11a及び図11bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図12i図11a及び図11bのカップを使用してエアロゾル発生物品を製造するための方法の例の概略図である。
図13図6の方法にしたがってエアロゾル発生物品を製造するための装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、例示のみを目的として、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明する。
【0047】
始めに図1及び図2を参照すると、電磁場発生器(例えば、誘導コイルを備える誘導加熱システム)を備えるエアロゾル発生デバイスと共に使用するためのエアロゾル発生物品1の第1の例が示されている。エアロゾル発生物品1は、実質的に円形の底壁12と、実質的に円筒形の側壁14と、カップ10の開放端部16にあるフランジ20に取り付けられた実質的に円形のクロージャ18によって密閉された実質的に円形の開放端部16とを有する円筒形カップ10の第1の例を含む。
【0048】
円筒形カップ10は、通常、紙製カップであり、例えば自立する成形形態を有する成形紙製カップである。底壁12は、通気性であり、図示の実施形態では、複数の開口部又は穿孔22を備える。いくつかの実施形態では、カップ10が製造される紙(又は他の材料)は、開口部又は穿孔22を必要とせずに空気が底壁12を通して流れることを可能にする多孔質構造を有し得る。
【0049】
カップ10は、植物ベースのエアロゾル発生材料24、例えば、1.7mm未満のふるい分けされた粒子サイズを有する粉末又は砕かれた形態を有する固体又は半固体の材料を収容する。植物ベースのエアロゾル発生材料24はまた、保湿剤として機能するグリセリン又はプロピレングリコールなどのエアロゾルフォーマを含む。通常、植物ベースのエアロゾル発生材料24は、乾燥重量ベースで約30%~約50%の、場合により乾燥重量ベースで約40%のエアロゾルフォーマ含有率を含み得る。加熱されると、植物ベースのエアロゾル発生材料24は、場合によりニコチン又はタバコ香味料などのフレーバー化合物を含む揮発性化合物を放出する。
【0050】
カップ10はまた、複数のリング状の誘導加熱可能サセプタ要素26を収容する。誘導加熱可能サセプタ要素26は、底壁12と開放端部16との間に延び、円筒形カップ10の内側にカップ軸に対して同軸に配置され、カップ軸に沿って軸方向に間隔を空けて配置される。エアロゾル発生デバイスにおいて物品1の使用中に、誘導加熱可能サセプタ要素26の近傍に交流の電磁場が印加されると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失によって電磁誘導加熱可能サセプタ要素26において熱が発生し、この熱は電磁誘導加熱可能サセプタ要素26から隣接する植物ベースのエアロゾル発生材料24に伝達されて、植物ベースのエアロゾル発生材料24を燃やすことなく加熱し、それにより、冷却されて凝縮する蒸気が発生して、ユーザによる吸入用のエアロゾルが形成される。誘導加熱可能サセプタ要素26は、実質的にその全面にわたって、植物ベースのエアロゾル発生材料24と接触し、これにより、誘導加熱可能サセプタ要素26から植物ベースのエアロゾル発生材料24に直接的に、したがって効率的に、熱を伝達することが可能になる。
【0051】
開放端部16にあるクロージャ18は、植物ベースのエアロゾル発生材料24及び誘導加熱可能サセプタ要素26をカップ10の内部に保持する。エアロゾル発生デバイスでのエアロゾル発生物品1の使用中に植物ベースのエアロゾル発生材料24の加熱により発生した蒸気又はエアロゾルが円筒形のカップ10から流出できるように、クロージャ18は通気性である必要があることが当業者には理解されよう。図1に示す例では、フランジ20は、外向きに延びる円形リップ28を備え、クロージャ18は、接着剤又は溶接によって、例えば超音波溶接技法又はホットプレスを使用して、円形リップ28に取り付けられる。
【0052】
次に図3a~図3cを参照すると、図1に関連して上で説明したカップ10と同様の円筒形のカップ110の第2の例が示されており、対応する要素は同じ参照番号を使用して示されている。
【0053】
図3a及び図3bから最もよく分かるように、底壁12は、中央開口部32を中心として配置された複数の周方向に間隔を空けて配置された周辺開口部30を備える。周辺開口部30は実質的に円形であり、直径は通常0.5mm~1mmである。中央開口部32もまた実質的に円形であり、周辺開口部よりも大きな直径を有し、通常1.2mm~2.5mmである。
【0054】
次に図4a及び図4bを参照すると、図1及び図2に関連して上で説明したエアロゾル発生物品1と同様のエアロゾル発生物品2の第2の例が示されており、対応する要素は同じ参照番号を使用して示されている。植物ベースのエアロゾル発生材料24及び誘導加熱可能サセプタ要素26は、図4a及び図4bには示されていないことに留意されたい。
【0055】
エアロゾル発生物品2は、スナップフィットコネクタ34を有するクロージャ18を備える。スナップフィットコネクタ34は、周方向に延びるフック36を備え、フランジ20が図4bに示すようにしっかりと配置され得る周方向の陥凹部38を形成する。フック36は、クロージャ18がカップ軸の方向に、図4aに示される位置から図4bに示される位置に移動されるときにフランジ20を越えて摺動することを可能にするテーパー面40を備える。開放端部16及び/又はフック36に近接するカップ10の側壁14は、クロージャ18がフランジ20に押し付けられるときに曲がった後に一方又は両方の構成要素が元の位置に戻り、それにより、フランジ20が、図4bに示すように、周方向の陥凹部38に収容され、しっかりと保持され得ることが当業者には理解されよう。
【0056】
次に図5a及び図5bを参照すると、図1図2図4a、及び図4bに関連して上で説明したエアロゾル発生物品1、2と同様のエアロゾル発生物品3の第3の例が示され、対応する要素は同じ参照番号を使用して示されている。植物ベースのエアロゾル発生材料24及び誘導加熱可能サセプタ要素26は、図5a及び図5bには示されていないことにここでも留意されたい。
【0057】
エアロゾル発生物品3は、半径方向に内側の方向に突出し、スナップフィットコネクタ42を形成するフランジ20を有するカップ210を備える。より詳細には、スナップフィットコネクタ42は、上部周方向フランジ部分44及び下部周方向フランジ部分46を備え、これらは、クロージャ18の周囲が図5bに示すようにしっかりと保持され得る周方向の陥凹部48をそれらの間に画定する。上部周方向フランジ部分44は、クロージャ18が図5aに示す位置から図5bに示す周方向の陥凹部48内に移動することを容易にするテーパー面50を備える。特に、開放端部16に近接するカップ210の側壁14が、クロージャ18がテーパー面50に押し付けられるときに、半径方向外側に曲がるようにされ得ることと、上部周方向フランジ部分44もまた、外側及び/又は下側に変形された後に両方の構成要素が元の位置に戻り、それにより、クロージャ18の周辺が、図5bに示すように周方向の陥凹部48に収容されることを可能にし得ることとが当業者には理解されよう。
【0058】
次に図6を参照すると、エアロゾル発生物品、例えば、図1及び図2に関連して上で説明したエアロゾル発生物品1の第1の例を製造するための方法の例が示されている。
【0059】
第1のステップS1、第2のステップS2、及び第3のステップS3において、本方法は、それぞれ、植物ベースのエアロゾル発生材料24を提供するステップと、誘導加熱可能サセプタ要素26を提供するステップと、底壁12と側壁14と開放端部16にあるフランジ20とを備えるカップ10、110、210を提供するステップとを含む。ステップS2の誘導加熱可能サセプタ要素26は、好ましくは、連続するサセプタ要素、好ましくは金属箔、最も好ましくはアルミホイルを打ち抜いて、図1及び図2に関連して上で説明したように1つ又は複数のリング状のサセプタ要素26を形成するステップによって提供される。
【0060】
第4のステップS4では、植物ベースのエアロゾル発生材料24の層がカップ10、110、210に堆積される。植物ベースのエアロゾル発生材料24の層は、通常、上記のように粉末又は砕かれた形態をしており、堆積された層に所定の量(例えば、質量)のエアロゾル発生材料24が確実に含まれるように、カップ10、110、210に投入(例えば計量)及び堆積される。いくつかの実施形態では、堆積された層におけるエアロゾル発生材料24の質量は、40mg~60mg、例えば約50mgであり得る。任意のステップにおいて、本方法は、堆積させた植物ベースのエアロゾル発生材料12の層を平坦化するステップを含み得る。平坦化は、エアロゾル発生材料12の圧縮を避けるために、堆積させた植物ベースのエアロゾル発生材料12の層を押さずに実行するのが理想的である。
【0061】
第5のステップS5において、ステップS2で提供される誘導加熱可能サセプタ要素26は、ステップS4でカップに堆積された植物ベースのエアロゾル発生材料24の層上に配置される。
【0062】
任意のステップS6において、植物ベースのエアロゾル発生材料24のさらなる層がカップ10に投入されて堆積されてもよく(すなわち、ステップS4のみが繰り返され得る)、又は植物ベースのエアロゾル発生材料24のさらなる層がカップ10に投入されて堆積され、そして誘導加熱可能サセプタ要素26が植物ベースのエアロゾル発生材料24のさらなる層上に配置されてもよい(すなわち、ステップS4及びS5の両方が所望の回数繰り返されて、植物ベースのエアロゾル発生材料24と誘導加熱可能サセプタ要素26との交互の複数の層が提供され得る)。
【0063】
最後のステップS7において、クロージャ18が提供され、クロージャ18は、例えば、図1図3に関連して上で説明したようにフランジ20上にクロージャ18を接着若しくは溶接することによって、又は図4及び図5に関連して上で説明したようにスナップフィット接続によって、フランジ20に取り付けられる。
【0064】
次に図7a及び図7bを参照すると、側壁14が、複数の段54a~cを備える階段状の内面52を有するカップ310の例が示されている。
【0065】
段54a~cは、カップ310の内壁58の周方向に連続的に延びる複数の半径方向に延びる保持面56a~cを画定する。保持面56a~cは、図8a~図8hに関連して後述するように、誘導加熱可能サセプタ要素26をカップ310内で、カップ軸に沿って軸方向に配置するための位置決め部材56として機能する。内面52の階段状の構成により、カップ軸に沿って開放端部16の最も近くに配置された保持面56cは、その下方にある保持面56a、56bよりも側壁14に近い。同様に、保持面56bは、その下方にある保持面56aよりも側壁14に近い。一実施形態では、保持面56a~cは、均一な距離で間隔を空けて配置される。
【0066】
段54a~cはまた、カップ310の内壁58の周方向に連続的に延びる複数の軸方向に延びる当接面60a~cを画定する。当接面60a~cは、図8a~図8hに関連して後述するように、誘導加熱可能サセプタ要素26をカップ310内で、例えばカップ軸に同軸となるように、半径方向に配置するためのストッパ60として機能する。内面52の階段状の構成により、カップ軸に沿って開放端部16の最も近くに配置された当接面60cは、その下方にある当接面60a、60bよりも側壁14に近い。同様に、当接面60bは、その下方にある当接面60aよりも側壁14に近い。
【0067】
次に図8a~図8hを参照すると、植物ベースのエアロゾル発生材料24の第1の層24aが、図8aに示すように、また上記のステップS4にしたがって、カップ310に投入され堆積される。次に、第1の誘導加熱可能サセプタ要素26aは、図8bに示されるように、また上記のステップS5にしたがって、堆積された植物ベースのエアロゾル発生材料24aの第1の層24a上に配置される。誘導加熱可能サセプタ要素26aは保持面56a及び当接面60aと接触し、それによりカップ310の内部の所定の軸方向及び半径方向の位置に配置される。
【0068】
次に、植物ベースのエアロゾル発生材料24b~dのさらなる層及びさらなる誘導加熱可能サセプタ要素26b~cが、上記のステップS6にしたがって、図8c~図8gに示すように、カップ310に配置される。
【0069】
特に、植物ベースのエアロゾル発生材料24の第2の層24bが、図8cに示すようにカップ310に投入及び堆積され、次いで、第2の誘導加熱可能サセプタ要素26bが、図8dに示すように保持面56b及び当接面60bと接触してカップ310に配置される。第2の誘導加熱可能サセプタ要素26bは、各面56b、60bに接触できるように、第1の誘導加熱可能サセプタ要素26aよりも大きな外径を有する。
【0070】
次に、植物ベースのエアロゾル発生材料24の第3の層24cが、図8eに示すようにカップ310に投入及び堆積され、次に、第3の誘導加熱可能サセプタ要素26cが、図8fに示すように保持面56c及び当接面60cに接触してカップ310に配置される。第3の誘導加熱可能サセプタ要素26cは、各面56c、60cと接触できるように、第1の誘導加熱可能サセプタ要素26a及び第2の誘導加熱可能サセプタ要素26bよりも大きい外径を有する。
【0071】
次に、図8gに示すように、カップ310が植物ベースのエアロゾル発生材料24及び誘導加熱可能サセプタ要素26で完全に満たされるように、植物ベースのエアロゾル発生材料24の最後の第4の層24dがカップ310に投入及び堆積される。次に、クロージャ18は、上記のステップS7にしたがってフランジ20に取り付けられて、植物ベースのエアロゾル発生材料24及び誘導加熱可能サセプタ要素26をカップ310の内部に固定し、それによりエアロゾル発生物品を形成する。
【0072】
次に図9a~図9c、図10及び図10bを参照すると、カップ内部の周方向に間隔を空けて配置された位置に複数の階段状セグメント62を備えるカップ410の例が示されている。各階段状セグメント62は、複数の段64a~cを備える。
【0073】
段64a~cは、図8a~図8hに関連して上で説明したように及び図10a及び図10bに示すように、誘導加熱可能サセプタ要素26a~cをカップ410内でカップ軸に沿って軸方向に配置するための位置決め部材66として機能する、複数の半径方向に延びる保持面66a~cを画定する。段64a~cはまた、図8a~図8hに関連して上で説明したように及び図10a及び図10bに示すように、誘導加熱可能サセプタ要素26a~cをカップ410内に半径方向に配置するためのストッパ68として機能する複数の軸方向に延びる当接面68a~cを画定する。
【0074】
次に図11a及び図11bを参照すると、図12a~図12iに示すように、誘導加熱可能サセプタ要素26をカップ510内に配置するための取り外し可能な位置決め部材70を使用するカップ510の例が示されている。位置決め部材70は、エアロゾル発生デバイスでのエアロゾル発生物品の使用中に底壁12を通る空気の流れを促進することを意図されている底壁12の開口部22を通って軸方向に延びるピン72を備える。図示の例では、ピン72の72a~cの3つの周方向アレイが、各アレイ72a~cのピン72の端部がカップ510内の異なる軸方向及び半径方向の位置に配置されるように、底壁12の開口部22を通して挿入される。図示の例では、各アレイ72a~cは、図11bから最もよく分かるように4つのピン72を備えるが、実際には、各アレイは、2つ以上のピン72を備え得る。
【0075】
ピン72が底壁12の開口部22を通して挿入された後に、植物ベースのエアロゾル発生材料24の第1の層24aが、図12aに示すように、また上記のステップS4にしたがって、カップ310に投入され、堆積される。次に、第1の誘導加熱可能サセプタ要素26aは、図8bに示されるように、また上記のステップS5にしたがって、堆積された植物ベースのエアロゾル発生材料26の第1の層24a上に配置される。誘導加熱可能サセプタ要素28aは、第1のアレイ72aのピン72の端部と、第2のアレイ72bのピン72の側面とに接触する。第1のアレイ72aのピン72の端部は保持面として機能し、第2のアレイ72bのピン72の側面は当接面として機能し、それにより第1の誘導加熱可能サセプタ要素26aをカップ510内の所定の軸方向及び半径方向の位置に配置する。
【0076】
次に、植物ベースのエアロゾル発生材料24b~dのさらなる層及びさらなる誘導加熱可能サセプタ要素26b~cが、上記のステップS6にしたがって、図12c~図12gに示すように、カップ510内に配置される。本方法は、上記の図8c~図8gに関連して説明した方法と同様であり、これ以上詳細には説明しない。
【0077】
図12gに示すように植物ベースのエアロゾル発生材料24の最後の第4の層24dがカップ510に投入及び堆積された後に、クロージャ18は、植物ベースのエアロゾル発生材料24及び誘導加熱可能サセプタ要素26をカップ510内に固定するために、上で説明したステップS7にしたがって、フランジ20に取り付けられる。最後に、ピン72の周方向アレイ72a~cが、図12iに示すように、底壁12の開口部22から引き抜かれて、エアロゾル発生物品を形成する。
【0078】
次に図13を参照すると、上記の方法を実行するための装置80の概略図が示されている。装置80は、複数のカップを保持するためのカップ保持ユニット82と、第1~第3のステーション84、86、88とを備える。カップ保持ユニット82は、図13に概略的に示されているように、スライドトレイと、スライドトレイを第1のステーション84、第2のステーション86、及び第3のステーション88の間で移動させるための輸送ユニット(図示せず)とを備え得る。
【0079】
第1のステーション84は、カップ保持ユニット82が保持するカップに投与された植物ベースのエアロゾル発生材料24の層を堆積させるための投与及び堆積ユニットを備える。第2のステーション86は、金属箔を受け入れるための箔受け入れユニットと、上記のように金属箔を打ち抜いてリング状の誘導加熱可能サセプタ要素26を形成するための切断ユニット、例えば打ち抜きユニットとを備える。第2のステーション86はまた、カップ保持ユニット82が保持するカップにリング状の誘導加熱可能サセプタ要素26を配置するための配置ユニットを備える。第3のステーション88は、クロージャ受け入れユニットと、クロージャ18とカップのフランジ20との間に接着剤の層を塗布して、クロージャ18をカップのフランジ20上に取り付けることができるようにするための接着剤アプリケータなどの密閉ユニットとを備える。
【0080】
装置80は、輸送ユニットの動作を制御し、それにより、第1のステーション84、第2のステーション86、及び第3のステーション88の間のスライドトレイの動きを制御するように構成されたコントローラ(図示せず)を備える。コントローラはまた、第1のステーション84、第2のステーション86、及び第3のステーション88の動作を制御するように構成される。
【0081】
動作中、カップを装填されたカップ保持ユニット82は、植物ベースのエアロゾル発生材料24の第1の層が上記のステップS4にしたがってカップに投入及び堆積され得るように、輸送ユニットによって第1のステーション84に配置される。次に、カップ保持ユニット82は、誘導加熱可能サセプタ要素26が上記のステップS5にしたがってカップに配置され得るように、コントローラの操作下で輸送ユニットによって第2のステーション86に移動される。カップ保持ユニット82は、必要に応じて、植物ベースのエアロゾル発生材料24の第2の層が上記のステップS4にしたがってカップに投入及び堆積され得るように、コントローラの作用下で輸送ユニットによって第1のステーション84に戻される。カップ保持ユニット82は、コントローラの作用下で輸送ユニットによって第1のステーション84と第2のステーション86との間を所望の回数前後に移動されて、所望の層数の植物ベースのエアロゾル発生材料24の層と所望の層数の誘導加熱可能サセプタ要素26の層とをカップに提供する。最後に、カップ保持ユニット82は、コントローラの作用下で輸送ユニットによって第3のステーション88に移動され、そこで、クロージャ18がカップ保持ユニット82にあるカップのそれぞれのフランジ20上に取り付けられて、それにより、カップ保持ユニット82から後に取り外され得る複数のエアロゾル発生物品を提供する。
【0082】
以上の段落では例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対する様々な修正がなされ得ることを理解されたい。したがって、特許請求の範囲は、上述した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0083】
本明細書で特段の断りのない限り又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、すべての可能な変形形態における上述した特徴の任意の組み合わせが本開示によって包含される。
【0084】
文脈上、明らかに別段の要請のない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、「含む」、「含んでいる」などの語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包括的に、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されたい。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図8f
図8g
図8h
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図11a
図11b
図12a
図12b
図12c
図12d
図12e
図12f
図12g
図12h
図12i
図13