(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】使い捨て着用物品の吸収性コアの製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20230912BHJP
A61F 13/532 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
A61F13/15 321
A61F13/15 390
A61F13/532 200
(21)【出願番号】P 2021513532
(86)(22)【出願日】2020-03-14
(86)【国際出願番号】 JP2020011312
(87)【国際公開番号】W WO2020209006
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2019074625
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】100102060
【氏名又は名称】山村 喜信
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】弁理士法人山村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅林 豊志
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-516191(JP,A)
【文献】特開平07-150456(JP,A)
【文献】特開2013-046663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て着用物品の吸収性コア(C)の製造方法であって、
粉砕された繊維(F)を供給する供給装置(3)と、
前記繊維(F)を外周部(10)に吸着して積繊する第1エリア(α1)が設けられた第1ドラム(1)と、
前記繊維(F)を外周部(20)に吸着して積繊し、前記第1エリア(α1)よりも小さい第2エリア(α2)が設けられた第2ドラム(2)とを用い、
前記第2エリア(α2)において前記供給装置(3)からの前記繊維(F)を積繊させて前記第2ドラム(2)上に厚肉部(C2)を形成する工程と、
前記厚肉部(C2)を前記第1エリア(α1)の所定の位置に配置する工程と、
前記厚肉部(C2)が前記第1エリア(α1)上に配置された状態で前記厚肉部(C2)の周囲において前記供給装置(3)からの前記繊維(F)を積繊させて前記第1ドラム(1)上の前記第1エリア(α1)に薄肉部(C1)を形成する工程とを
備え、
ここにおいて、
前記第1エリア(α1)に前記繊維(F)が積繊されていない状態で、前記第2ドラム(2)上の前記厚肉部(C2)が前記第1ドラム(1)の前記第1エリア(α1)に吸着されて配置される、製造方法。
【請求項2】
使い捨て着用物品の吸収性コア(C)の製造方法であって、
粉砕された繊維(F)を供給する供給装置(3)と、
前記繊維(F)を外周部(10)に吸着して積繊する第1エリア(α1)が設けられた第1ドラム(1)と、
前記繊維(F)を外周部(20)に吸着して積繊し、前記第1エリア(α1)よりも小さい第2エリア(α2)が設けられた第2ドラム(2)とを用い、
前記第2エリア(α2)において前記供給装置(3)からの前記繊維(F)を積繊させて前記第2ドラム(2)上に厚肉部(C2)を形成する工程と、
前記第1エリア(α1)のうちの繊維(F)の積繊が阻害される阻害エリア(α3)以外のエリアに前記厚肉部(C2)よりも低坪量の薄肉部(C1)を前記第1ドラム(1)上に形成する工程と、
前記第2ドラム(2)上の前記厚肉部(C2)を前記第1ドラム(1)の前記阻害エリア(α3)に配置して、前記厚肉部(C2)を前記薄肉部(C1)に嵌合させる工程とを備える、製造方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2ドラム(2)上で前記厚肉部(C2)を形成する工程において、前記第1ドラム(1)の前記阻害エリア(α3)の平面形状に一致するように前記厚肉部(C2)が形成される、製造方法。
【請求項4】
請求項2もしくは3において、
前記第1ドラム(1)上で前記薄肉部(C1)を形成する工程において、前記阻害エリア(α3)には前記繊維(F)が積繊されない、製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項において、
前記薄肉部(C1)を形成する工程において、前記薄肉部(C1)が第1ドラム(1)の外周部(10)に沿って連続的に形成されて連続した前記吸収性コア(C)が形成される、製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項において、
前記厚肉部(C2)の表面が前記薄肉部(C1)の表面よりも突出した状態に前記吸収性コア(C)が形成される、製造方法。
【請求項7】
使い捨て着用物品の吸収性コア(C)の製造装置であって、
前記粉砕された繊維(F)を供給する供給装置(3)と、
前記繊維(F)を外周部(10)に吸着して積繊する第1エリア(α1)が設けられた第1ドラム(1)と、
前記繊維(F)を外周部(20)に吸着して積繊し、前記第1エリア(α1)よりも小さい第2エリア(α2)が設けられた第2ドラム(2)と、
前記供給装置(3)から前記繊維(F)を前記第1ドラム(1)の前記外周部(10)に導く第1ダクト(31)と、
前記供給装置(3)から前記繊維(F)を前記第2ドラム(2)の前記外周部(20)に導く第2ダクト(32)と、
前記第1ダクト部(31)と第2ダクト部(32)との間において、前記厚肉部(C2)を介して前記第1ドラム(1)と前記第2ドラム(2)とが互いに接し、前記第2エリア(α2)において積繊された前記厚肉部(C2)を前記第2ドラム(2)から前記第1ドラム(1)上の前記薄肉部(C1)が形成されていないエリアに受け渡すポイント(P)とを
備え、
ここにおいて、
繊維(F)の積繊が阻害される阻害エリア(α3)以外の前記第1エリア(α1)に前記薄肉部(C1)が前記第1ドラム(1)上に積繊され、かつ、前記阻害エリア(α3)に前記繊維(F)の積繊されていない状態で、前記第2ドラム(2)上に積繊された前記厚肉部(C2)が前記第2ドラム(2)から前記第1ドラム(1)の前記阻害エリア(α3)に受け渡されるように、前記ポイント(P)において前記厚肉部(C2)を介して前記第1ドラム(1)に第2ドラム(2)が接する、製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨て着用物品の吸収性コア(core)の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、おむつ等の吸収性物品において、吸収性コアの一部に厚みの異なる領域を形成する方法として、2つの積繊ドラム(drum)を用いて、一方の積繊ドラムで第1の吸収層を形成し、他方の積繊ドラムで第1の吸収層よりも面積の小さい第2の吸収層を形成し、これら2つの吸収層を重ね合わせることで、一部に厚みの大きい部位を有する吸収性コアを製造していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
しかし、前記従来の方法では2つの吸収層は単に重なっているだけであり、吸収性物品の輸送中や吸収性物品を使用する際に、2つの吸収層の位置がズレ易い。
【0005】
本発明の目的は、厚みの異なる部分を有する吸収性コアについて、厚みの異なる部分のズレを生じさせない吸収性コアの製造方法および装置を提供することである。
【0006】
吸収性コアの第1の製造方法は、
粉砕された繊維Fを供給する供給装置3と、
前記繊維を外周部10に吸着して積繊する第1エリア(area)α1が設けられた第1ドラム1と、
前記繊維を外周部20に吸着して積繊し、前記第1エリアα1よりも小さい第2エリアα2が設けられた第2ドラム2とを用い、
前記第2エリアα2において前記供給装置3からの前記繊維Fを積繊させて前記第2ドラム2上に厚肉部C2を形成する工程と、
前記厚肉部C2を前記第1エリアα1の所定の位置に配置する工程と、
前記厚肉部C2が前記第1エリアα1上に配置された状態で前記厚肉部C2の周囲において前記供給装置3からの前記繊維Fを積繊させて前記第1ドラム1上の前記第1エリアα1に薄肉部C1を形成する工程とを備える。
【0007】
この方法においては、第2ドラム2上で積繊された厚肉部C2が第1ドラム1上に転写された後に、第1ドラム1上において薄肉部C1が積繊される。そのため、薄肉部C1が厚肉部C2の周囲に積繊され、薄肉部C1と厚肉部C2とが互いに位置ズレしにくい。
【0008】
吸収性コアの第2の製造方法は、
粉砕された繊維Fを供給する供給装置3と、
前記繊維Fを外周部10に吸着して積繊する第1エリアα1が設けられた第1ドラム1と、
前記繊維Fを外周部20に吸着して積繊し、前記第1エリアα1よりも小さい第2エリアα2が設けられた第2ドラム2とを用い、
前記第2エリアα2において前記供給装置3からの前記繊維Fを積繊させて前記第2ドラム2上に厚肉部C2を形成する工程と、
前記第1エリアα1のうちの繊維Fの積繊が阻害される阻害エリアα3以外のエリアに前記厚肉部C2よりも低坪量の薄肉部C1を前記第1ドラム1上に形成する工程と、
前記第2ドラム2上の前記厚肉部C2を前記第1ドラム1の前記阻害エリアα3に配置して、前記厚肉部C2を前記薄肉部C1に嵌合させる工程とを備える。
【0009】
この方法においては、薄肉部C1が第1ドラム1上に形成され、薄肉部C1が形成されていない阻害エリアα3に第2ドラム2上の厚肉部C2が転写されて、厚肉部C2が薄肉部C1に嵌合する。そのため、薄肉部C1が厚肉部C2の周囲に配置され、薄肉部C1と厚肉部C2とが互いに位置ズレしにくい。
【0010】
一方、本発明装置は、粉砕された繊維Fを供給する供給装置3と、
前記繊維Fを外周部10に吸着して積繊する第1エリアα1で薄肉部C1を形成する第1ドラム1と、
前記繊維Fを外周部20に吸着して積繊し、前記第1エリアα1よりも小さい第2エリアα2で厚肉部C2を形成する第2ドラム2と、
前記供給装置3から前記繊維Fを前記第1ドラム1の前記外周部10に導く第1ダクト部31と、
前記供給装置3から前記繊維Fを前記第2ドラム2の前記外周部20に導く第2ダクト部32と、
前記第1ダクト(duct)部31と前記第2ダクト部32との間において、前記厚肉部C2を介して前記第1ドラム1と前記第2ドラム2とが互いに接し、前記第2エリアα2において積繊された前記厚肉部C2を前記第2ドラム2から前記第1ドラム1上の前記薄肉部C1が形成されていないエリアに受け渡すポイントPとを備える。
【0011】
本発明装置によれば、第2ドラム2上で形成した厚肉部C2を薄肉部C1が形成されていない第1ドラム1上に配置する。そのため、薄肉部C1が厚肉部C2の周囲に積繊された状態となり、薄肉部C1と厚肉部C2とが互いに位置ズレしにくい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1Aは本製造装置および方法の実施例1を示す概念的な側面図、
図1Bはドラムのエリアを示す展開図、
図1Cは吸収性コアの斜視図である。
【
図2】
図2Aは本製造装置および方法の実施例2を示す概念的な側面図、
図2Bはドラムのエリアを示す展開図、
図2Cは吸収性コアの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明方法において、好ましくは、前記第1エリアα1に前記繊維Fが積繊されていない状態で、前記第2ドラム2上の前記厚肉部C2が前記第1ドラム1の前記第1エリアα1に吸着されて配置される。
【0014】
この場合、第2ドラム2上の厚肉部C2が第1ドラム1の第1エリアα1に吸着されるので、厚肉部C2が更に位置ズレしにくくなる。
【0015】
第2の発明方法において、好ましくは、前記第2ドラム2上で前記厚肉部C2を形成する工程において、前記第1ドラム1の前記阻害エリアα3の平面形状に一致するように前記厚肉部C2が形成される。
【0016】
この場合、阻害エリアα3に形状が一致する厚肉部C2を阻害エリアα3に転写することができる。
【0017】
第2の発明方法において、前記第1ドラム1上で前記薄肉部C1を形成する工程において、前記阻害エリアα3には前記繊維Fが積繊されなくてもよい。
【0018】
本発明方法において、前記薄肉部C1を形成する工程において、前記薄肉部C1が前記第1ドラム1の外周部10に沿って連続的に形成されて連続した前記吸収性コアCが形成されてもよい。
【0019】
この場合、連続した吸収性コアCは個々の着用物品の単位に切断される。
【0020】
本発明方法においては、前記厚肉部C2の表面が前記薄肉部C1の表面よりも突出した状態に前記吸収性コアCが形成される。
【0021】
本発明装置を第1の発明方法に適用した場合、前記薄肉部C1が前記第1ドラム1上に積繊されていない状態で、前記第2ドラム2上に積繊された前記厚肉部C2が前記第2ドラム2から前記第1ドラム1に受け渡されるように、前記ポイントPにおいて前記厚肉部C2を介して前記第1ドラム1に第2ドラム2が接する。
【0022】
一方、本発明装置を第2の発明方法に適用した場合、繊維Fの積繊が阻害される阻害エリアα3以外の前記第1エリアα1に前記薄肉部C1が前記第1ドラム1上に積繊され、かつ、前記阻害エリアα3に前記繊維Fが積繊されていない状態で、前記第2ドラム2上に積繊された前記厚肉部C2が前記第2ドラム2から前記第1ドラム1の前記阻害エリアα3に受け渡されるように、前記ポイントPにおいて前記厚肉部C2を介して前記第1ドラム1に第2ドラム2が接する。
【0023】
1つの前記各実施態様または下記の実施例に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様または他の実施例において同一または類似な形で、および/または他の実施態様または実施例の特徴と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【0024】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかし、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
なお、本明細書中のカタカナ表記の一部には、その意味をより明瞭にするために英単語を()で併記している。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
本製造装置により製造される吸収性コアは、たとえば使い捨てパンツやオムツの他に失禁パッドなどのコアとして用いられ、例えば平面視で砂時計型の形状を有していてもよい。
【0026】
図1は実施例1を示す。
図1に示すように、本製造装置は供給装置3、第1および第2ドラム1,2などを備える。
【0027】
供給装置3は筒状のケース30と解繊機33とを備える。解繊機33は上流から供給されるパルプ(pulp)を繊維状に解繊(粉砕)してフラッフパルプ(繊維)を生成する。フラッフパルプ(fluff pulp)はケース30内に充満すると共に、第1および第2ダクト部31,32を通って積繊ドラム1,2の吸引室(図示せず)が負圧に設定されていることにより、積繊ドラム1,2の外周部10,20上に積繊される。このような解繊および積繊は周知の技術であり、たとえば、JP2009-112438Aに開示されている。
なお、吸収性コアを構成する素材として、いわゆるSAPと呼ばれる高い吸収能力を持つ高分子化合物の粒状物(高吸水性ポリマー粒子)が添加されてもよい。
【0028】
第1および第2ドラム1,2は略円筒状で、周知のように複数のセグメント(図示せず)で形成されている。第1および第2ドラム1,2は第1および第2ダクト部31,32に対応して設けられている。これらのドラム1,2は、周方向Rに連続的に回転しながら供給装置3から供給された繊維Fをドラム1,2の外周部10,20から内側の吸引室(図示せず)に向かって吸引することで、繊維Fを所定の第1または第2エリアα1,α2の外周部10,20に連続的に積繊する。
【0029】
吸引室はドラム1,2の周方向Rの所定の吸引区間T1に配置され、吸引室内が負圧となるように、図示しない負圧源に連なっている。各吸引室はドラム1,2の外周部10,20の内周側に接近して配置されており、したがって、吸引区間T1において、ドラム1,2には繊維が積繊されると共に吸着保持される。
一方、各ドラム1,2にはドラムの外周部10,20が吸引室に対峙しない非吸引区画T2が設けられている。
【0030】
第1ドラム1の第1エリアα1は、本例の場合、第1ドラム1の周方向Rに連なっている。一方、第2ドラム2の第2エリアα2は第2ドラム2の周方向Rに一定間隔で断続的に設けられている。各エリアα1,α2の部分は、通常、積繊凹部となっている。これらの凹部やドラムの基本的ないし具体的構造は周知で例えば特許第2,541,558号、同4,312,112号、同3,153,060号などに開示されている。
【0031】
図1Bに示すように、第2エリアα2は第1エリアα1に包含されるように設けられている。例えば、本例の場合、断続的に設けられた第2エリアα2は、連続的に設けられた第1エリアα1に対し、周方向Rおよび幅方向Dの双方に小さく、かつ、包含されるように設けられている。
図1Aの第2ドラム2において、第2エリアα2以外の外周部20の領域は繊維Fの積繊が阻害される阻害エリアα4である。
なお、第1エリアα1は平面に展開した形状が例えば砂時計型で、かつ、不連続であってもよい。
【0032】
【0033】
図1Aの第1および第2ダクト部31,32は供給装置3のケース30に連なり、それぞれ、供給装置3から繊維Fを第1ドラム1の外周部10および第2ドラム2の外周部20に導く。第1および第2ダクト部31,32末端には、それぞれ、第1および第2ドラム1,2の外周部10,20の一部が臨んでいる。
【0034】
各ドラム10,20の吸引区間T1の少なくとも一部は各ダクト部31,32末端の開口に臨んでいる。なお、各ダクト部の末端にはドラムに沿って延びるドーム(dome)31D,32Dが形成されていてもよい。
【0035】
厚肉部C2は薄肉部C1よりも嵩高で厚さが大きい。このような薄肉部C1および厚肉部C2の厚さの相違は、例えば吸引室の負圧の大きさや吸着期間を相違させることにより得られる。
【0036】
第1ドラム1と第2ドラム2とは、受け渡しのポイントPにおいて、厚肉部C2を介して互いに接している。ポイントPにおいて、第1ドラム1は吸引区間T1に設定され、一方、第2ドラム2は非吸引区間T2に設定されている。
なお、第1ドラム1と第2ドラム2とは厚肉部C2を介して接していなくても、第2ドラム2から第1ドラム1に厚肉部C2を渡すことができる程度に接近していてもよい。
【0037】
第1ドラム1の下流には、薄肉部C1と厚肉部C2で形成された吸収性コアCを搬送するための第1ウェブ(web)W1(キャリアウェブ(carrier web))を搬送する第1搬送部41が設けられている。この第1搬送部41の更に下流には吸収性コアCを第1ウェブW1との間で挟む第2ウェブW2を搬送する第2搬送部42が設けられている。なお、第1搬送部41は第1ウェブW1と第1ドラム1とで吸収性コアCを挟むように、第1ドラム1に沿って第1ウェブW1を搬送する。
【0038】
各搬送部41,42は案内ローラ(roller)の他、ウェブを巻き出す巻出ローラや一対のウェブに挟まれた吸収性コアCを搬送し切断するアンビルロール(anvil roll)を備えていてもよい。なお、ウェブは吸水性および透水性を備えていてもよい。
【0039】
前述の受け渡しポイントPは、第1ダクト部31と第2ダクト部32との間に設けられ、厚肉部C2を介して第1ドラム1と第2ドラム2とが互いに接し、第2エリアα2において積繊された厚肉部C2を第2ドラム2から第1ドラム1上の薄肉部C1が形成されていないエリアに受け渡すポイントである。
【0040】
つぎに、吸収性コアCの製造方法について説明する。
【0041】
まず、第2ドラム2が吸引区間T1において第2ダクト部32に臨むと、供給装置3で生成された繊維Fが第2エリアα2に積繊され、これにより、第2ドラム2上の外周部20に一定間隔で厚肉部C2が吸着された状態で受け渡しポイントPまで搬送される。
【0042】
受け渡しポイントPでは、厚肉部C2が第2ドラム2から第1ドラム1の第1エリアα1上に転写される。すなわち、ポイントPでは第2ドラム2が非吸引区間T2に設定されており、一方、第1ドラム1が吸引区間T1に設定されている。
したがって、第2ドラム2上の厚肉部C2が第1ドラム1の第1エリアα1に配置される。
【0043】
なお、本例の場合、第1エリアα1に繊維Fが積繊されていない状態で厚肉部C2が第1エリアα1に吸着されて配置される(転写される)。
【0044】
厚肉部C2を受け取った第1ドラム1の部位は周方向Rに回転して第1ダクト部31に臨むと、供給装置3で生成された繊維Fが第1エリアα1に積繊され、これにより厚肉部C2の周囲の部位などに連続した薄肉部C1が生成される。この際、第1エリアα1における厚肉部C2の部位にも繊維Fが若干積繊されてもよい。
【0045】
なお、本例の場合、薄肉部C1を形成する工程において、薄肉部C1が第1ドラム1の外周部10に沿って連続した吸収性コアCが形成される。
【0046】
こうして、
図1Cに示す吸収性コアCが第1ドラム1の外周部10に形成される。形成された吸収性コアCは第1ダクト部31のドーム31Dから出ると非吸引区間T2において第1搬送部41に案内された第1ウェブW1上に転写され搬送される。
【0047】
その後、第2搬送部42により搬送された第2ウェブW2と第1ウェブW1との間に吸収性コアCが挟まれた後、吸収性コアCは個々の着用物品の単位に切断される。
なお、
図1Cに示すように、吸収性コアCにおいて厚肉部C2の表面は薄肉部C1の表面よりも突出した状態に形成される。
【0048】
図2は実施例2を示す。
この実施例2については、実施例1と異なる部分について主に説明する。
【0049】
本例の場合、第1ドラム1には第1エリアα1の他に繊維Fの積繊が阻害される阻害エリアα3が設けられている。阻害エリアα3は例えば負圧による吸引が弱くなるように外周部10のメッシュ(mesh)の空孔率が小さく設定されてもよい。第1ドラム1と第2ドラム2とは、以下のような状態で受け渡しポイントPにおいて接する。
【0050】
すなわち、繊維Fの積繊が阻害される阻害エリアα3以外の第1エリアα1に薄肉部C1が第1ドラム1上に積繊され、かつ、阻害エリアα3に繊維Fが積繊されていない状態で、第2ドラム2上に積繊された厚肉部C2が第2ドラム2から第1ドラム1の阻害エリアα3に受け渡されるように、両ドラムが前記ポイントPで接する。
【0051】
つぎに、吸収性コアCの製造方法について説明する。
【0052】
まず、第1ドラム1は第1エリアα1のうちの繊維Fの積繊が阻害される阻害エリアα3以外のエリアに厚肉部C2よりも低坪量の薄肉部C1を第1ドラム1上に形成する。この際、阻害エリアα3には繊維Fが積繊されなくてもよい。
【0053】
一方、第2ドラム2は供給装置3からの繊維Fを第2エリアα2に積繊させて厚肉部C2を形成する。この際、第1ドラム1の阻害エリアα3の平面形状に一致するように厚肉部C2が第2ドラム2上で形成される。
【0054】
その後、受け渡しポイントPにおいて、第2ドラム2上の厚肉部C2が第1ドラム1の阻害エリアα3に配置され、厚肉部C2が薄肉部C1に嵌合される。こうして、
図2Cの吸収性コアCが生成され前述の実施例1と同様に一対のウェブW1,W2に挟まれた連続した吸収性コアCが生成される。
【0055】
以上のとおり、図面を参照しながら実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
例えば、各ダクト部31,32は別々の解繊機に連なっていてもよい。
また、吸収性コアCは周方向Rに不連続な状態でドラム上に形成されてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は使い捨て着用物品の吸収性コアの製造に利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1:第1ドラム 10:外周部
2:第2ドラム 20:外周部
3:供給装置 31:第1ダクト部 32:第2ダクト部 31D,32D:ドーム
41:第1搬送部 42:第2搬送部
C:吸収性コア C1:薄肉部 C2:厚肉部 D:幅方向
F:繊維 R:周方向
T1:吸引区間 T2:非吸引区間
α1:第1エリア α2:第2エリア α3:阻害エリア