(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】高圧洗浄器具
(51)【国際特許分類】
F04B 1/128 20200101AFI20230912BHJP
F04B 53/22 20060101ALI20230912BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
F04B1/128
F04B53/22
B08B3/02 Z
(21)【出願番号】P 2021534988
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2018086392
(87)【国際公開番号】W WO2020126014
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】505201098
【氏名又は名称】アルフレッド ケルヒャー エスエー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト ルオフ
(72)【発明者】
【氏名】カイ トラウトワイン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ミューラー
(72)【発明者】
【氏名】ベルント ケルナー
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0350386(US,A1)
【文献】特表2002-506952(JP,A)
【文献】特開平06-170342(JP,A)
【文献】特開平07-063171(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102007006284(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第04106955(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第19607881(DE,A1)
【文献】特表平09-509602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/12-1/24
F04B 53/22
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線運動可能な少なくとも1つのピストン(36、38)を含むアキシャルピストンポンプ(30)と、
モータシャフト(44)を含むと共に、トランスミッション、ドライブシャフト(60)、及び斜板(28)を通じて前記アキシャルピストンポンプ(30)に連結される電気モータ(24)と
を備えた高圧洗浄器具において、
前記アキシャルピストンポンプ(30)が、前記モータシャフト(44)から、前記モータシャフト(44)の長手方向軸(42)に関して径方向にずれて配置されており、
前記少なくとも1つのピストン(36、38)の直線運動が、前記モータシャフト(44)の前記長手方向軸(42)と平行に方向付けられ、
前記モータシャフト(44)が、前記トランスミッション及び前記ドライブシャフト(60)と組み合わさって、U形のドライブトレインを形成すること、
前記電気モータ(24)が、前記モータシャフト(44)が回転可能に装着される軸受シールド(46)を含み、前記軸受シールド(46)が、前記ドライブシャフト(60)が回転可能に装着される支持部(70)上で保持されること、
前記支持部(70)が支持板(72)を含むこと、
前記軸受シールド(46)が、前記支持板(72)にねじ付けられること、
前記支持部(70)が、前記支持板(72)に一体に接続されると共に前記斜板(28)を周方向に包囲するハウジング部(88)を含むこと、及び
前記支持部(70)が、前記支持板(72)に一体に接続されると共に前記ドライブシャフト(60)が回転可能に装着される軸受スリーブ(92)を含むこと、
を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項2】
請求項1に記載の高圧洗浄器具であって、前記電気モータ(24)が、前記高圧洗浄器具の、前記モータシャフト(44)が水平に配向される水平使用位置において、前記斜板(28)及び前記アキシャルピストンポンプ(30)の上方に配置されること、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の高圧洗浄器具であって、前記支持部(70)が少なくとも部分的に金属から成ること、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の高圧洗浄器具であって、前記支持板(70)が、前記高圧洗浄器具(10)の水平使用位置において、垂直に配向されること、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の高圧洗浄器具であって、前記軸受シールド(46)が、前記支持板(72)に解放可能に接続されること、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の高圧洗浄器具であって、前記軸受シールド(46)が、前記支持板(72)上で変位可能に保持されること、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の高圧洗浄器具であって、前記ハウジング部(88)が、前記支持板(72)の、前記アキシャルピストンポンプ(30)に面した側から突出すること、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の高圧洗浄器具であって、
前記電気モータ(24)が
、少なくとも1つの空気入口開口(110)と
、少なくとも1つの空気出口開口(112)とを備えたモータハウジング(106)を含み、
前記少なくとも1つの空気入口開口(110)により冷却空気を前記モータハウジング(106)に流入させることができ、前記少なくとも1つの空気出口開口(112)により前記冷却空気を前記モータハウジング(106)から流出させることができること、及び
前記冷却空気が、前記斜板(28)を包囲する前記ハウジング部(88)に、前記空気出口開口(112)を通じて供給可能であること、
を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項9】
請求項8に記載の高圧洗浄器具であって、前記冷却空気が前記モータハウジング(106)内で方向転換可能であること、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の高圧洗浄器具であって、前記支持部(70)が、前記支持板に一体に接続される補強要素(94)を含むこと、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項11】
請求項10に記載の高圧洗浄器具であって、前記補強要素(94)が、前記支持板(72)の、前記電気モータ(24)及び前記アキシャルピストンポンプ(30)から離れる方を向いた側(98)から突出すると共に前記支持板(72)に一体に接続される環状壁(96)を含むこと、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項12】
請求項11に記載の高圧洗浄器具であって、前記環状壁(96)が前記支持板(72)から直角に突出すること、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の高圧洗浄器具であって、前記環状壁(96)がトランスミッション空間(102)を周方向に包囲し、該トランスミッション空間内に前記トランスミッションが配置されること、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項14】
請求項
13に記載の高圧洗浄器具であって、前記高圧洗浄器具(10)が、前記環状壁(96)上で保持されるトランスミッションカバー(104)を含むこと、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項15】
請求項14に記載の高圧洗浄器具であって、少なくとも1つの遮音要素(107)が、前記トランスミッションカバー(104)の、前記トランスミッション空間(102)に面した内側(105)に配置されること、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の高圧洗浄器具であって、前記支持部(70)が、前記支持部(70)を前記高圧洗浄器具(10)の外側ハウジング(12)に接続するための少なくとも1つの接続要素(114)を含むこと、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の高圧洗浄器具であって、前記トランスミッションが牽引手段トランスミッションとして構成されること、を特徴とする高圧洗浄器具。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の高圧洗浄器具であって、前記トランスミッションがベルトドライブ(26)として構成されること、を特徴とする高圧洗浄器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線運動可能な少なくとも1つのピストンを含むアキシャルピストンポンプと、モータシャフトを含むと共に、トランスミッション、ドライブシャフト、及び斜板を通じて前記アキシャルピストンポンプに連結される電気モータとを備えた高圧洗浄器具に関する。
【背景技術】
【0002】
その種類の高圧洗浄器具が、DE 10 2007 006 284 A1から既知である。この高圧洗浄器具は、洗浄液、好ましくは水を加圧することができるアキシャルピストンポンプを含む。アキシャルピストンポンプは、斜板によって往復直線運動可能な複数のピストンを含む。斜板は、電気モータに遊星トランスミッションを通じて連結される。既知の高圧洗浄器具の場合、電気モータ、遊星トランスミッション、斜板、及びアキシャルピストンポンプは、高圧洗浄器具の長手方向において前後に配置される。既知の高圧洗浄器具は、少なからぬ長さを有する。
【0003】
電気モータが、複数のピストンを含むポンプに、クランクシャフトドライブを通じて連結される高圧洗浄器具であって、ピストンの行程運動がモータシャフトに対して直角に方向付けられる高圧洗浄器具が、US 5 230 471 A、DE 699 25 901 T2、及びEP 0 636 425 A1から既知である。その種類の構成は構造的に複雑であり、大幅な製造費用に結び付く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】DE 10 2007 006 284 A1
【文献】US 5 230 471 A
【文献】DE 699 25 901 T2
【文献】EP 0 636 425 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、冒頭で述べた種類の高圧洗浄器具を、コンパクトな設計を有すると共に費用効果的なやり方で製造可能であるように更に展開することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明によれば、一般的なタイプの高圧洗浄器具において、前記アキシャルピストンポンプが、前記モータシャフトから、前記モータシャフトの長手方向軸に関して径方向にずれて配置されており、前記少なくとも1つのピストンの直線運動が、前記モータシャフトの前記長手方向軸と平行に方向付けられ、前記モータシャフトが、前記トランスミッション及び前記ドライブシャフトと組み合わさって、U形のドライブトレインを形成する、という点で達成される。
【0007】
本発明による前記高圧洗浄器具では、前記アキシャルピストンポンプは前記モータシャフトから径方向にずれて配置され、前記少なくとも1つのピストンの直線運動は前記モータシャフトと平行に走る。前記斜板は、前記モータシャフトと平行に配向されるドライブシャフトに接続され、前記モータシャフトは、前記トランスミッション及び前記ドライブシャフトと組み合わさって、U形のドライブトレインを形成する。前記モータシャフトにより、前記U形のドライブトレインの第1脚部が形成され、前記モータシャフトに前記トランスミッションを通じて連結される前記ドライブシャフトにより、前記U形のドライブトレインの第2脚部が形成される。従って、前記モータシャフト及び前記ドライブシャフトは、前記トランスミッションから同じ方向に突出する。
【0008】
前記モータシャフトは、好ましくは、前記ドライブシャフトよりも長くなるように形成される。
【0009】
本発明による前記構成により、前記高圧洗浄器具の長さを低減し、前記高圧洗浄器具にコンパクトな設計を与えることが可能になる。前記アキシャルピストンポンプの前記ピストンは、前記斜板により駆動されて往復直線運動を行い、前記直線運動は、前記モータシャフトと平行に方向付けられる。従って、前記高圧洗浄器具の長さだけでなく幅をも比較的小さく抑えることができる。前記アキシャルピストンポンプ及び前記斜板を使用することにより、更に、前記高圧洗浄器具の製造費用を比較的低く抑えることが可能になる。というのも、これらの構成要素は、費用効果的なやり方で大量に製造することができるからである。
【0010】
前記電気モータが、前記高圧洗浄器具の、前記モータシャフトが水平に配向される水平使用位置において、前記斜板及び前記アキシャルピストンポンプの上方に配置されると好ましい。
【0011】
本発明の有利な実施形態において、前記電気モータは、前記モータシャフトが回転可能に装着される軸受シールドを含み、前記軸受シールドは、前記ドライブシャフトが回転可能に装着される支持部上で保持される。前記斜板の駆動及びそれによる前記アキシャルピストンポンプの前記少なくとも1つのピストンの駆動は、前記モータシャフトに前記トランスミッションを通じて連結される前記ドライブシャフトを通じて行われる。前記ドライブシャフト、及び前記電気モータの軸受シールドは、前記高圧洗浄器具に高い機械的安定性を与える支持部上で保持される。
【0012】
前記支持部が、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、金属、例えばアルミニウム合金から成ると好ましい。
【0013】
本発明の有利な実施形態において、前記支持部は支持板を含む。前記支持板は、前記高圧洗浄器具の特にコンパクトな設計を可能にする。
【0014】
前記支持板が、前記高圧洗浄器具の水平使用位置において、垂直に配向されると有利である。
【0015】
前記電気モータの前記軸受シールドが、前記支持板に解放可能に接続されると好ましい。
【0016】
特に、前記軸受シールドが前記支持板上で変位可能に保持されるようにしてもよい。前記軸受シールドが変位可能であることにより、前記高圧洗浄器具の組立て時に前記軸受シールドを調節することが可能になる。
【0017】
前記軸受シールドが、前記支持板上で、垂直方向に変位可能であるように保持されると好ましい。
【0018】
前記軸受シールドが、前記支持板にねじ付けられると好ましい。ここで、前記支持板が、接続ねじが通過する長尺穴を含むと好ましい。前記接続ねじを解放することにより、前記軸受シールド、及びこれと共に前記高圧洗浄器具の前記電気モータ全体を、前記支持板に対して変位させることができる。
【0019】
前記長尺穴が、前記高圧洗浄器具の水平使用位置において、垂直方向に延びると有利である。
【0020】
本発明による前記高圧洗浄器具の有利な実施形態において、前記支持部が、前記支持板に一体に接続されると共に前記斜板を周方向に包囲するハウジング部を含むことにより、特にコンパクトかつ高機械抵抗の構成が達成される。前記支持板を前記ハウジング部に一体に接続することにより、前記支持部に特に高い機械抵抗が与えられる。
【0021】
前記ハウジング部は、例えばシリンダジャケットの形態に構成されてもよく、シリンダ軸は、前記モータシャフトと平行に配向されると好ましい。
【0022】
前記斜板を周方向に包囲する前記ハウジング部が、前記支持板の、前記アキシャルピストンポンプに面した側から突出すると好ましい。
【0023】
前記電気モータが、冷却空気を前記モータハウジングに流入させることができる少なくとも1つの空気入口開口と、前記冷却空気を前記モータハウジングから流出させることができる少なくとも1つの空気出口開口とを備えたモータハウジングを含み、前記冷却空気は、前記斜板を包囲する前記ハウジング部に、前記空気出口開口を介して供給可能であると好ましい。前記冷却空気は、まず、前記電気モータを冷却するために前記モータハウジングを流通し、その後、前記斜板を包囲する前記ハウジング部の周りを流れることができる結果、このハウジング部も前記冷却空気により冷却することができる。
【0024】
前記冷却空気が、前記モータハウジング内で特に90°だけ方向転換可能であると好ましい。
【0025】
前記支持部が、前記支持板に一体に接続されると共に前記ドライブシャフトが回転可能に装着される軸受スリーブを含むと有利である。ここで、前記軸受スリーブが、前記斜板をも周方向に包囲する前記ハウジング部により包囲されると好ましい。
【0026】
本発明の有利な実施形態では、前記支持部が、前記支持板に一体に接続される補強要素を含むことにより、前記支持部の特に高い剛性が達成される。
【0027】
前記補強要素は、例えば補強リブの形態に構成することができる。
【0028】
前記支持部の最大可能な剛性に鑑みて、前記補強要素が、前記支持板の、前記電気モータ及び前記アキシャルピストンポンプから離れる方を向いた側から突出すると共に前記支持板に一体に接続される環状壁を含むと特に有利である。前記環状壁は、前記支持板から突出すると共にこの支持板に非常に高い剛性を与えるカラーのやり方で構成することができる。
【0029】
前記環状壁の少なくとも部分領域が、前記支持板の縁に一体になるように隣接すると好ましい。
【0030】
本発明の有利な実施形態において、前記環状壁は前記支持板から直角に突出する。
【0031】
前記環状壁がトランスミッション空間を周方向に包囲し、このトランスミッション空間内に前記トランスミッションが配置されると有利である。
【0032】
前記高圧洗浄器具は、前記環状壁上で保持されるトランスミッションカバーを含むと好ましい。
【0033】
本発明の有利な実施形態において、前記トランスミッションカバーは、前記環状壁及び前記支持板と組み合わさって、前記トランスミッションを収容する前記トランスミッション空間を規定する。
【0034】
遮音要素、例えば遮音マットが、前記カバーの、前記トランスミッション空間に面した内側に配置されると好ましい。
【0035】
本発明の有利な実施形態において、前記支持部は、前記支持部を前記高圧洗浄器具の外側ハウジングに接続するための接続要素を含む。
【0036】
前記接続要素は、例えば、前記高圧洗浄器具の前記外側ハウジング上に配置された支持ピンが沈み込む凹部として構成してもよい。
【0037】
本発明による前記高圧洗浄器具の前記トランスミッションは、例えば平歯車トランスミッションの形態に構成してもよい。
【0038】
前記高圧洗浄器具の前記トランスミッションが、例えばチェーンドライブの形態の牽引手段トランスミッションとして構成されると有利である。
【0039】
本発明の有利な実施形態において、前記トランスミッションはベルトドライブとして構成される。第1プーリが前記モータシャフトに回転不能に接続され、第2プーリが前記ドライブシャフトに回転不能に接続され、ベルト、好ましくは鋸歯状ベルトが前記2つのプーリの周りに巻き付いてもよい。
【0040】
更なる説明のため、図面と共に、本発明の有利な実施形態を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】高圧洗浄器具の外側ハウジングの第1ハウジング殻が隠れている、高圧洗浄器具の側面図。
【
図2】
図1の高圧洗浄器具のモータポンプユニットの略側面図。
【
図3】トランスミッションカバーが隠れている、
図2の矢印Aの方向におけるモータポンプユニットの図。
【
図4】
図3の線4‐4に沿った、モータポンプユニットの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明による高圧洗浄器具の有利な実施形態を概略的に図示する。高圧洗浄器具を、全体として参照符号10を付して表す。高圧洗浄器具は、第1ハウジング殻14と第2ハウジング殻とを備えた外側ハウジング12を含む。
図1において第2ハウジング殻は隠れており、より良好な概観を達成するため、この第2ハウジング殻は図示しない。外側ハウジング12は、モータポンプユニット16を包囲するのであり、高圧洗浄器具10を、図示した水平使用位置において、据付表面22上に設置することができる2つの支持足部18、20を含む。
【0043】
モータポンプユニット16は、トランスミッション及び斜板28を通じてアキシャルピストンポンプ30を駆動する電気モータ24を含み、トランスミッションは、図示した実施形態ではベルトドライブ26として構成される。アキシャルピストンポンプ30は、液体入口32及び液体出口34を含む。液体入口32に、液体供給管路、好ましくは供給ホースを接続することができる。液体供給管路を通じてアキシャルピストンポンプ30に、加圧されるべき洗浄液、好ましくは水を供給することができる。液体出口34に、液体排出管路、好ましくは圧力ホースを接続することができる。アキシャルピストンポンプ30により加圧される洗浄液は、液体排出管路を通じて排出することができる。これにより、洗浄すべき物体に加圧洗浄液を差し向けることが可能になる。
【0044】
図示した実施形態において、アキシャルピストンポンプ30は、合計で3つの、同一に構成されたピストンを含む。より良好な概観を達成するために、
図4には第1ピストン36及び第2ピストン38のみを描く。その種類のアキシャルピストンポンプは、当業者にはそれ自体既知である。従って、この種類のアキシャルピストンポンプには目下、詳細な記載は不要である。ピストン36、38は各々、斜板28により駆動されてそれぞれ往復直線運動をするのであり、その影響下に液体入口32により液体を吸引し、加圧し、その後液体出口34を介して排出することができる。この目的で、それ自体既知のやり方で、アキシャルピストンポンプ30は、各々のピストン36、38が沈み込む、それ自体既知のポンプチャンバと、液体をポンプチャンバに送りポンプチャンバから排出することができる適切な入口弁及び出口弁とを含む。
【0045】
ピストン36、38の直線運動を
図4に左右矢印40により示す。この直線運動は、アキシャルピストンポンプ30及び斜板28の上方に配置される電気モータ24のモータシャフト44の長手方向軸42と平行に走る。長手方向軸42に関して、アキシャルピストンポンプ30はモータシャフト44から径方向にずれて配置される。
【0046】
モータシャフト44は、軸受シールド46及び更なる軸受部48上に回転可能に装着される。モータシャフト44の第1端部分50が、更なる軸受部48の、軸受シールド46から離れる方を向いた側で更なる軸受部48から突出すると共に、ファンホイール52に回転不能に接続される。モータシャフト44の第2端部分54が、軸受シールド46の、更なる軸受部48から離れる方を向いた側で軸受シールド46から突出すると共に、ベルトドライブ26の第1プーリ56に回転不能に接続される。ベルトドライブ26の第2プーリ58が、ドライブシャフト60に回転不能に接続され、ドライブシャフトの長手方向軸62は、モータシャフト44の長手方向軸42と平行に配向される。ドライブシャフト60は、斜板28に回転不能に接続される。ベルト64が第1プーリ56及び第2プーリ58の周りに巻き付く結果、モータシャフト44の運動が、第1プーリ56、ベルト64、及び第2プーリ58を介してドライブシャフト60に、そしてそこから斜板28に伝達され、アキシャルピストンポンプ30のピストン36、38は、この斜板の、ドライブシャフト60から離れる方を向いた端面66に弾力的に当接し、斜板28により駆動されて前述の往復直線運動をする。
【0047】
特に
図4から分かるように、モータシャフト44はベルトドライブ26及びドライブシャフト60と組み合わさってU形のドライブトレインを形成し、電気モータ24は、このドライブトレインを通じて、ピストン36及び38に往復直線運動させる斜板28に接続される。モータシャフト44は、ドライブシャフト60よりも長くなるように形成され、U形のドライブトレインの第1脚部を形成する。ドライブシャフト60は、U形のドライブトレインの第2脚部を形成し、ベルトドライブを通じてモータシャフト44に連結される。
【0048】
アキシャルピストンポンプ30が、モータシャフト22から、長手方向軸42に関して径方向にずれて配置されると共に、ピストン36、38の直線運動がモータシャフト44の長手方向軸と平行に方向付けられるような電気モータ24の固定は、本実施形態ではアルミニウム合金から成る、剛に構成された支持部70の影響を受ける。本実施形態において、電気モータ24は、高圧洗浄器具が水平使用位置を取ると、支持部70によってアキシャルピストンポンプ30及び斜板28の上方に配置される。
【0049】
支持部70は、図示した高圧洗浄器具10の水平使用位置において垂直に配向される支持板72を含む。このことは、特に
図3及び
図4から明らかである。電気モータ24の軸受シールド46は支持板72上で、垂直方向において変位可能であるように保持される。これを目的として、支持板72は、中央開口76、及び中央開口76の両側に配置された長尺穴78、80、82、84を含む支持フランジ74を形成し、前記穴を各々、軸受シールド46を支持板72にねじ付ける接続ねじ86が通過する。
【0050】
モータシャフト44の第2端部分54は、支持フランジ74の中央開口76を通過し、上述の第1プーリ56を支承する。
【0051】
支持板72に加えて、支持部70は、斜板28を周方向に包囲すると共に支持板72に一体に接続される円筒形のハウジングジャケット90を形成するハウジング部88を形成する。
【0052】
更に、支持部70は、ドライブシャフト60が回転可能に装着されると共に斜板28のようにハウジングジャケット90により包囲される軸受スリーブ92を含む。軸受スリーブ92も支持板72に一体に接続される。
【0053】
支持部70は、支持板72に一体に接続されると共に前記支持部の剛性を付加的に補強する補強要素94をも含む。図示した実施形態では、補強要素94は、支持板72の、電気モータ24及びアキシャルピストンポンプ30から離れる方を向いた後側98から、カラーのやり方で突出する環状壁96として構成される。環状壁96は、支持板72に一体になるように隣接する。
【0054】
支持部70は、高い機械抵抗、主として高い剛性を有する。このことは特に、支持板72が環状壁96及びハウジング部88と組み合わさり、環状壁96及びハウジング部88と、軸受スリーブ92とが支持板72に一体に接続されることにより達成される。
【0055】
環状壁96は、ベルトドライブ26が中に配置されるトランスミッション空間102を包囲する。トランスミッション空間は、環状壁96上で解放可能に保持されるトランスミッションカバー104により背面を被覆される。
図3では、より良好な概観を達成するため、ハウジングカバー104は隠れている。遮音要素107が、トランスミッションカバー104の、トランスミッション空間102に面した内側105に配置される。
【0056】
電気モータ24は、支持板72及び軸受シールド46から離れる方を向いたその端面108に、空気入口開口110を含むモータハウジング106を含み、この空気入口開口を通じて、ファンホイール52の影響下に冷却空気をモータハウジング106内へと吸い込むことができる。その後、冷却空気はモータハウジング106を流通することができ、冷却空気は、90°だけ方向転換され、空気出口開口112を介してモータハウジング106を出る。空気出口開口112は、冷却空気により冷却されるハウジング部88の直上に配置される。
【0057】
支持部70を外側ハウジング12上に固定するために、支持部70は、外側ハウジング12の支持ピンが沈み込むことができる凹部114の形態の複数の接続要素を含む。
【0058】
高圧洗浄器具10は、非常に高い機械的安定性を有する一方で、非常にコンパクトな設計と、比較的低い製造費用とを特徴としている。