(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】負荷に給電するための装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/533 20060101AFI20230912BHJP
B63J 3/04 20060101ALI20230912BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H01R13/533 B
B63J3/04
H01R13/52 B
(21)【出願番号】P 2021562039
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2020061272
(87)【国際公開番号】W WO2020216818
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】202019102347.3
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ショーン マカスキル
(72)【発明者】
【氏名】ロブ ダフ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン タイリング
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102009006982(DE,A1)
【文献】米国特許第05385480(US,A)
【文献】米国特許第05306999(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0332525(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0031721(US,A1)
【文献】特開平09-063688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
B63J 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に給電するための装置(1)であって
、固定供給源からの電力によっ
て、アーム(3)であって第1の位置(7)と第2の位置(8)との間で可動であるとともに前記負荷の
可動電源ライン(5)への接続のための少なくとも1つのプラグ部品(4)を有するアーム(3)に接続された変位可能な台車又は滑動体(2)を備え、前記プラグ部品(4)は電源ライン(6)によって前記供給源に接続され、
前記アーム(3)の前記第1の位置(7)では前記プラグ部品(4)
を部分的に覆い、前記アーム(3)の前記第2の位置(8)では前記負荷側の電源ライン(5)への接続のために前記プラグ部品(4)を露出させる
可動カバー部品(9)が、前記アーム(3)に配置され
、
前記カバー部品(9)の動作は、特に前記カバー部品(9)と前記アーム(3)の間の機械的結合によって、前記第1の位置(7)と前記第2の位置(8)の間で前記アーム(3)の動作に結合され、
前記カバー部品(9)により前記プラグ部品(4)を部分的に覆うことは、前記プラグ部品(4)が、前記プラグ部品(4)に接続された前記負荷側の電源ライン(5)とともに、前記アーム(3)の第2の位置(8)から、前記カバー部品(9)によって前記プラグ部品(4)が部分的に覆われる前記アーム(3)の第1の位置(7)に移動可能であるようにすることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記第2の位置(8)において、前記台車又は滑動体(2)がそれに対して変位可能な固定底面(31)上に配置された作業者に前記プラグ部品(4)が容易にアクセス可能となるように、前記アーム(3)が配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記カバー部品(9)は、前記負荷から離れる方向に向けられた壁(14)及び該壁(14)に横方向に連続し、前記台車又は滑動体(2)の走行経路の方向を向き、前記アーム(3)の前記第1の位置(7)において前記プラグ部品(4)を覆う側壁(15、16)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記カバー部品(9)は、前記アーム(3)の前記第1の位置(7)においてロック又はロック解除可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記アーム(3)は、前記第1の位置(7)と前記第2の位置(8)の間で旋回可能であることを特徴とする請求項1から
4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記アーム(3)が旋回可能となる軸は、水平にかつ前記台車又は滑動体(2)の走行経路に平行に延在することを特徴とする請求項
5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記アーム(3)は、前記第2の位置(8)において、略水平に、ただし、水平に対して少なくとも30度未満、特に20度未満の角度で配置されることを特徴とする請求項
5又は
6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記アーム(3)は、前記第1の位置において、略鉛直に、ただし、水平に対して少なくとも60度超、特に70度超の角度で配置されることを特徴とする請求項
5から
7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記カバー部品(9)は、前記アームの旋回軸に平行な軸に関して前記アーム(3)に対して旋回可能なフラップ(13)の形態であり、前記軸は前記プラグ部品(4)から前記アーム(3)の自由端に向かう方向に離隔して配置されることを特徴とする請求項
5から
8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記第1の位置(7)にある前記アーム(3)の鉛直位置において、前記フラップ(13)も鉛直旋回位置にあることを特徴とする請求項
9に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記アーム(3)の前記第2の位置(8)において、前記フラップ(13)は鉛直旋回位置にあることを特徴とする請求項
9又は
10に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記アーム(3)及び前記フラップ(13)は、前記フラップ(13)が、前記アーム(3)の前記第2の位置(8)において固定底面(31)上に支持されるような構成であることを特徴とする請求項
9から
11のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記カバー部品(9)は、前記負荷から離れる方向に向けられた壁(14)及び該壁(14)に横方向に連続し、前記台車又は滑動体(2)の走行経路の方向を向き、前記アーム(3)の前記第1の位置(7)において前記プラグ部品(4)を覆う側壁(15、16)を有し、
前記フラップ(13)の、前記負荷から離れる方向を向く前記壁(14)及び該壁(14)に連続する前記側壁(15、16)は、前記アーム(3)の前記第2の位置(8)において前記アーム(3)に略鉛直に配置されることを特徴とする請求項
9から
12のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記フラップ(13)は、前記第1の位置(7)と前記第2の位置(8)の間で前記アーム(3)の旋回動作によって同時に旋回されるような態様で、レバー機構(17)によって前記アーム(3)に結合されることを特徴とする請求項
9から
13のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記アーム(3)は板状構成であり、前記アーム(3)に沿って延在するケーブル通路(20)が前記アーム(3)に配置され、前記ケーブル通路(20)において前記少なくとも1本の供給源側の電源ライン(6)が前記アーム(3)の領域に配置され、前記ケーブル通路(20)は、少なくとも前記台車又は滑動体(2)に対する前記アーム(3)の旋回接続の領域において旋回方向に屈曲可能に柔軟な構成であることを特徴とする請求項
9から
14のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項16】
ハウジング(21)が前記アーム(3)の自由端の領域に配置され、前記ハウジング(21)内に前記供給源側の電源ライン(6)が渡され、該供給源側の電源ライン(6)は前記ハウジング(21)上で前記負荷に向かう方向に突出するプラグ部品(4)にガイドされることを特徴とする請求項1から
15のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項17】
前記アーム(3)の前記第1の位置(7)における前記カバー部品(9)は、前記負荷から離れる方向に向けられた面、前記台車又は滑動体(2)の走行経路の方向を向く面、及び前記ハウジングとともに前記台車又は滑動体(2)から離れる方向を向く面において、前記ハウジング(21)によって終端することを特徴とする請求項
16に記載の装置(1)。
【請求項18】
前記カバー部品(9)は、フラップ(13)の形態であり、前記ハウジング(21)に旋回可能に装着されたことを特徴とする請求項
16又は
17に記載の装置(1)。
【請求項19】
前記固定供給源と前記台車又は滑動体(2)との間の領域における前記供給源側の電源ライン(6)は、少なくとも1つのエネルギーガイドチェーン(23)内に引き回され、該エネルギーガイドチェーン(23)は前記供給源に対して固定配置された第1の接続部及び前記台車又は滑動体(2)において配置された第2の接続部(24)を有し、前記電源ライン(6)が前記エネルギーガイドチェーン(23)から少なくとも1本のケーブル通路(25)によって可動な前記アーム(3)に向けてガイドされることを特徴とする請求項1から
18のいずれか一項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に給電するための装置に関し、その位置は当初は正確に決定可能でないが固定供給源からの電力によって後に実質的に静止して固定可能となり、アームに接続された変位可能な台車又は滑動体を備え、アームは第1の位置と第2の位置との間で可動であり、負荷の電源ラインへの接続のための少なくとも1つのプラグ部品を有し、プラグ部品は電源ラインによって供給源に接続される。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、特許文献1により知られている。その装置は、港湾の船舶停泊ドックのための電源装置を伴う。ガイド装置は陸上設置型の水平変位可能な台車を有し、船舶に電力を供給するためのプラグ部品が設けられた電源ラインがそこに配置される。その場合、電源ラインは、陸上の電源グリッドに電気的に接続可能となる。アームによって鉛直方向に変位可能な電源ラインのプラグ側部分が、台車に配置される。
【0003】
水平方向に変位可能な台車又は滑動体によって、プラグ部品が設けられた電源ラインの部分は、例えば、船舶停泊ドックに沿って及びドックにおける船舶にも沿って、可変に配置可能となる。そのように、プラグ部品が設けられた電源ラインの部分は、そこでのそれぞれの船舶に必要となる船舶停泊ドックの位置まで変位可能となる。これは、特に、大きく異なるほとんどの船舶、例えば、サイズ及び構成が異なる船舶が船舶停泊ドックに入渠可能となるので有利である。それらの船舶の各々について、プラグ部品が設けられて負荷から引き込む電源ラインは、船舶停泊ドックに沿う他の位置で必要となり得る。電源ラインの供給源側の部分を収容することもできる適切なガイド装置上で変位可能な滑動体によって、その配置構成は、電源ラインの供給源側の部分が緩んで引き回されて船舶停泊ドック上で又は船舶停泊ドック内で長い距離にわたって保護されなくなることを回避する。
【0004】
供給源の電源ラインに接続されたプラグ部品の、負荷の電源ラインへの接続は、印加される高電圧に起因して、それによって引き起こされるアーク点火及び爆発の危険を伴い、それによって、人によって使用されている空間及び/又は可燃物を含む空間に高温ガスが放出し得る。特に、そのようなアーク爆発は、船舶停泊ドックの埠頭設備で作業する人及び車両などの可燃物を危険にさらすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の課題は、上記の類の負荷に給電するための装置を提供することであり、人及び可燃物に関して危険にさらされる空間を、供給源側の電源ラインのプラグ部品とそのプラグ部品に接続される負荷側の電源ラインとの間で起こり得るアーク点火の影響から実質的に保護する装置を提供することである。
【0007】
本発明によると、その課題は、変位可能な台車又は滑動体に接続された可動アーム上にカバー部品が配置されることで達成され、そのカバー部品は、アームの移動とともに可動であり、アームの第1の位置においてプラグ部品を少なくとも部分的に覆い、アームの第2の位置において負荷側の電源ラインへの接続のためのプラグ部品を露出させる。
【0008】
その移動においてアームの移動に結合されたカバー部品によって、プラグ部品と負荷側の電源ラインとの間の接続での起こり得るアーク点火に関して、例えば、船舶停泊ドックの埠頭設備上の危険にさらされる領域を遮蔽することができる。
【0009】
アームの第1の位置では、アームは、プラグ部品が負荷側の電源ラインに接続されない準備位置にあることになる。その位置のアームとともに、台車又は滑動体は、負荷が配置され、負荷に給電するための装置に負荷側の電源ラインが渡され得る位置まで変位可能となる。台車又は滑動体に接続されたアームは、その第1の位置から、カバー部品がプラグ部品を露出させる第2の位置へと移動可能となり、それに応じて、負荷側の電源ラインがプラグ部品に接続可能となる。プラグ部品への負荷側の電源ラインの接続後に、負荷側の電源ラインを有するアームは、その第2の位置から、カバー部品がプラグ部品を少なくとも部分的に覆う第1の位置へと移動可能となる。その状況において、アームは、その後に固定供給源から負荷が給電され得る準備位置となる。
【0010】
カバー部品は、第1の位置にあるアーム上で、それがプラグ部品を、負荷から離れる方向を向く方向に、好ましくは、台車又は滑動体の走行経路の2方向にも覆うように配置され得る。
【0011】
好ましくは、アームは、その第2の位置において、それに対して台車又は滑動体が変位可能な固定底面に配置された作業者にプラグ部品が容易にアクセス可能となるように配置されるので、アームは、特に、比較的大きな重量及び厚さの負荷側の電源ラインをプラグ部品に容易に接続することができる。
【0012】
カバー部品は、負荷から離れる方向に向けられた壁を有していればよく、その壁によってアームの第1の位置においてプラグ部品を覆う。さらに、カバー部品は、負荷から離れる方向を向くその壁に隣接するとともに台車又は滑動体の走行経路の方向を向く側壁を有していればよく、その側壁は、アームの第1の位置において、負荷から離れる方向を向く壁とともにプラグ部品を覆う。
【0013】
プラグ部品は、その第1の位置にあるアームにロック可能である。
【0014】
カバー部品の移動は、第1の位置と第2の位置との間のアームの移動に、特に、カバー部品とアームの間の機械的結合によって結合され得る。
【0015】
本発明の好適な実施形態では、アームはその第1の位置と第2の位置との間で旋回可能であり、旋回軸は水平かつ台車又は滑動体の走行経路に平行に配置され得る。
【0016】
台車又は滑動体は、例えば、埠頭の固定底面においてシャフト内に配置可能であり、それにより、台車又は滑動体に接続されたアームはその第2の位置において略水平に、ただし、水平に対して少なくとも30度未満、特に、20度未満の角度で配置可能となり、それにより、作業者は容易にプラグ部品に到達することができる。
【0017】
構成が港湾の船舶停泊ドックにおける船舶のための電源装置を伴う場合、台車又は滑動体に接続されたアームはまた、その第2の位置において、作業者が容易に到達できる埠頭上の高さにおいて、略水平に、ただし、水平に対して少なくとも30度未満、特に20度未満の角度で配置可能となるように、台車又は滑動体は船舶側において岸壁に装着されるガイド装置に好適に配置される。
【0018】
アームは、その第2の位置から第1の位置に旋回上昇可能であり、それにより、プラグ部品はアームの第2の位置の場合よりも高く配置される。アームは、その第1の位置において、水平に対して60度超、特に70度超の角度で配置可能である。その位置において、台車又は滑動体は、アームとともに、水平にかつ台車又は滑動体の走行経路に垂直に延在する比較的小さな空間しか占有しない。したがって、台車又は滑動体は、第1の位置にあるアームとともに、固定底面、例えば、埠頭上で比較的小さな空間しか占有せず、これは、そこにある車両及び人の移動の自由度をほとんど制限しない。
【0019】
本発明の好適な実施形態では、カバー部品は、アームの旋回軸に平行な軸に関してアームに対して旋回可能なフラップの形態であればよく、その軸はプラグ部品からアームの自由端に向かう方向への空間に配置される。
【0020】
第1の位置にあるアームの好ましくは略鉛直な位置において、フラップも鉛直旋回位置となり得る。そして、フラップの、負荷から離れる方向を向く壁及び台車又は滑動体の走行方向を向く側壁も、鉛直に延在し得る。
【0021】
アームの旋回動作に結合されているフラップの旋回動作によって、フラップは、アームの旋回動作において、第1の位置から第2の位置へとアームから離れるように旋回可能であり、それにより、アームの第2の位置においてプラグ部品が露出される。フラップも、第2の位置にあるアームに対して鉛直位置となり得る。
【0022】
アーム及びフラップは、アームから離れる方向に旋回されたアームの第2の位置において、フラップが固定底面、例えば、船舶停泊ドックの埠頭に支持されるような構造のものであればよい。
【0023】
フラップは、好ましくは負荷から略直角に離れる方向を向く壁、及び当該壁に横方向に隣接して台車又は滑動体の走行方向を向く側壁を有していればよく、好ましくは略矩形である。そして、フラップは、危険にさらされる空間を、プラグ部品と負荷側の電源ラインとの間の接続領域におけるアーク爆発の影響から、負荷から離れる方向にかつ横方向に保護することができる。港湾の埠頭に停泊される船舶への給電のための本発明による装置を用いる場合、このフラップの構成によって、その配置構成は、埠頭に向かって台車又は滑動体の走行経路に垂直にかつ走行経路の両方向に保護を与える。
【0024】
フラップの、負荷から離れる方向を向く壁及び任意選択的に側壁は、アームの第2の位置においてアームに略垂直に配置され得る。
【0025】
フラップは、第1の位置と第2の位置との間でアームの旋回動作によって同時に旋回されるような態様で、レバー機構によってアームに結合され得る。
【0026】
その目的のため、レバー機構はリンクロッドを有していてもよく、そのリンクロッドは、その端部領域の一方において、フラップに旋回可能に配置され、他方の端部領域において、台車又は滑動体に固定接続されて負荷から離れる方向を向くレバーアームに旋回可能に配置される。
【0027】
アームに沿って延在するケーブル通路がアーム上又はアーム内に配置されてもよく、ケーブル通路は少なくとも1つの電源ラインがアームの領域に配置される。
【0028】
アームは板状構成であればよく、ケーブル通路はアーム上に配置される。
【0029】
特に、各ケーブル通路は、アームの2つの長手面の一方の領域に配置され得る。
【0030】
ケーブル通路は、少なくとも台車又は滑動体に対するアームの旋回接続の領域において旋回方向に屈曲可能に柔軟な構成である。
【0031】
アームの自由端の領域にハウジングがあってもよく、供給源側の電源ラインがハウジング内に渡され、ハウジングにおいて負荷に向かう方向に突出するプラグ部品にガイドされる。ケーブル通路は、ハウジングで終端することになる。
【0032】
カバー部品は、アームの第1の位置において、負荷から離れる方向に向けられた面、台車又は滑動体の走行経路の方向を向く面、及びハウジングとともに台車又は滑動体から離れる方向を向く面において、ハウジングによって終端し得る。そのようにして、アームの第1の位置にあるハウジングを有するカバー部品は、負荷から離れる方向を向く方向、台車又は滑動体の走行経路の横方向、及びアームにおける台車又は滑動体から離れる方向を向く方向に、プラグ部品のための実質的に閉じたカバーを形成する。したがって、アーク点火によって発生する高温ガスを、危険にさらされていない空間に逸らすことができる。
【0033】
フラップの形態のカバー部品は、ハウジングに旋回可能に装着され得る。
【0034】
供給源側の電源ラインは、少なくとも1つのエネルギーガイドチェーン内において固定供給源と台車又は滑動体との間の領域に引き回されることになり、エネルギーガイドチェーンは供給源に対して固定配置された第1の接続部及び台車又は滑動体において配置された第2の接続部を有し、電源ラインがそのエネルギーガイドチェーンから少なくとも1本のケーブル通路によって可動アームに渡される。
【0035】
エネルギーガイドチェーンは、第1の接続部に接続された第1のラン及び第2の接続部に接続された第2のランを有していてもよく、両ランは方向転換領域によって相互に接続されている。2本のランは、下側ランが好ましくは第1の接続部に接続されるとともに上側ランが好ましくは第2の接続部に接続された状態で、相互に重なり合う関係で配置可能である。
【0036】
エネルギーガイドチェーンは、特にチャネル形状のガイド装置内に配置され得る。エネルギーガイドチェーンを有するガイド装置は、港湾の埠頭に接岸する船舶のために本発明による装置を用いる場合、船舶に面する岸壁面に配置され得る。
【0037】
あるいは、エネルギーガイドチェーンを有するガイド装置はまた、それに対して台車又は滑動体が変位可能な固定底部、例えば、港湾の埠頭設備に設けられたシャフト内に配置され得る。ガイド装置はまた、固定底部、例えば、港湾の埠頭設備上に配置され得る。
【0038】
本発明の実施形態を、図面を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】負荷に給電するための装置に対する端面図を示し、台車又は滑動体に接続されるプラグ部品を有するアームがその第2の位置、破線で示される第1の位置、及び中間位置に配置される。
【
図2】
図1に示す負荷に給電するための装置の斜視図を示し、台車又は滑動体に接続されたアームはその第2の位置にある。
【
図3】
図1に示す負荷に給電するための装置の斜視図を示し、台車又は滑動体に接続されたアームはその第1の位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図面から分かるように、その位置が当初は正確には決定可能でないが後に実質的に静止して固定可能となる負荷又は電力消費機器(不図示)に給電するための装置1は、旋回可能なアーム3に接続された変位可能な台車又は滑動体2を含む。アームは負荷の電源ライン5への接続のために少なくとも1つのプラグ部品4を有し、プラグ部品4は固定供給源(不図示)に電源ライン6によって接続される。
【0041】
特に
図1から分かるように、台車又は滑動体2に接続されたアームは、第1の位置7と第2の位置8との間で旋回可能である。アーム3の旋回動作とともに旋回可能であり、その旋回動作がアーム3の旋回動作に結合されたカバー部品9がその自由端の領域においてアーム3に配置され、より具体的には、アーム3の第1の位置7においてカバー部品9がプラグ部品4を少なくとも部分的に覆い、アーム3の第2の位置8においてカバー部品9が負荷側の電源ライン5への接続のためにプラグ部品4を露出させるような態様で、配置される。
【0042】
台車又は滑動体2は、
図1の図面の平面に垂直に両方向に変位可能である。台車又は滑動体2に接続されたアーム3が旋回可能な軸は、台車又は滑動体2の走行経路に平行に配置される。図面からも分かるように、アーム3は、その第1の位置7では略鉛直に配置され、その第2の位置8では略水平に配置される。
【0043】
図1に示すような旋回可能なアーム3の中間位置では、負荷側の電源ライン5は、図面の簡明化のために図示されていない。
【0044】
ここで検討される実施形態では、アーム3は、台車又は滑動体2のフード状カバー11をヒンジ状に係合する油圧ドライブ10、及び自由端と逆側の端部領域においてアーム3上に配置されたフォーク状脚部12によって、旋回可能となる。
【0045】
カバー部品9は、アーム3の旋回軸に平行な軸に関してアーム3に対して旋回可能なフラップ13の形態であり、その軸はアーム3の自由端に向かう方向にプラグ部品4から離隔して配置される。図面から分かるように、フラップ13は、負荷から離れる方向を向く略矩形の壁14、及び壁14に隣接するとともに台車又は滑動体2の走行経路の方向を向く略矩形の側壁15、16を有する。したがって、フラップは、図面に示すように、船舶(負荷)がそこに接岸されるための埠頭設備である空間において、危険にさらされる領域を、プラグ部品4と負荷側の電源ライン5との間の接続領域で起こり得るアーク爆発の影響から、負荷から離れる方向にかつ横方向に保護することができる。
【0046】
第1の位置にあるアーム3の鉛直位置では、フラップ13もその鉛直旋回位置にあり、負荷から離れる方向を向く壁14及び台車又は滑動体2の走行経路の方向を向くフラップ13の側壁15、16も、鉛直に延在する。特に
図1から分かるように、フラップ13は、第1の位置7と第2の位置8との間のアーム3の旋回移動によってフラップ13も同時に旋回されるような態様で、レバー機構17によってアーム3に結合される。レバー機構17はリンクロッド18を有し、リンクロッド18は、その端部領域の一方においてフラップ13に旋回可能に配置され、他方の端部領域において、台車又は滑動体2に固定接続されて負荷から離れる方向を向くレバーアーム19に旋回可能に配置される。
【0047】
特に
図2及び3が示すように、アーム3は板状構成であり、各ケーブル通路20は、板状アーム3の2つの長手面の一方の領域に配置され、電源ライン6の領域がアームに向けて各々配置される。
【0048】
特に
図2及び3から分かるように、2つのケーブル通路20は、アーム3の旋回方向において屈曲可能に柔軟な構成である。
【0049】
ハウジング21がアーム3の自由端の領域に配置され、電源ライン6のケーブル通路20の端部及びその中に配置される領域が、ハウジング21上で負荷に向かう方向に突出するプラグ部品4にガイドされる。
【0050】
フラップ13は、ハウジング21に旋回可能に装着される。
図3に示すように、フラップ13は、アーム3の第1の位置7で、負荷から離れる方向を向く面、台車又は滑動体2の走行経路の方向を向く面、ハウジング21とともに台車又は滑動体2から離れる方向を向く面において、ハウジング21によって終端する。起こり得るアーク点火の場合に発生する高温ガスがそこを介して上記方向に放出可能となる顕著な中間空間は、それらの面においてフラップ13とハウジング21の間には存在しない。したがって、アーク点火によって生成されるそのような高温ガスを、危険にさらされていない空間に、本例では、岸壁22と船舶(不図示)の間に逸らすことができる。なお、本例では、船舶は、緩衝物(不図示)によって、台車又は滑動体2及びそのガイド装置がその船舶に接触しないような距離まで岸壁22から離隔される。
【0051】
供給源側の電源ライン6は、エネルギーガイドチェーン23において固定供給源と台車又は滑動体2との間の領域に引き回され、エネルギーガイドチェーン23は供給源に対して固定配置された第1の接続部(不図示)及び台車又は滑動体2に配置された第2の接続部24を有し、エネルギーガイドチェーン23から電源ライン6が少なくとも1本のケーブル通路25によって旋回可能なアーム3に向けて渡される。エネルギーガイドチェーン23は、第1の接続部に接続された下側ラン26及び第2の接続部24に接続された上側ラン27を有し、両ランは方向転換領域によって相互に接続される。エネルギーガイドチェーン23はガイドチャネル28内に配置され、ガイドチャネル28はまた、第2の接続部24に接続された台車又は滑動体2をローラ上で台車又は滑動体の走行経路に沿ってガイドする。ガイドチャネルは、岸壁22においてブラケット30上に固定配置される。
【0052】
岸壁22に平行に固定され、岸壁22に配置された台車又は滑動体2を有するガイドチャネル28によって、アーム3の旋回軸は埠頭の底面31に関して比較的低くなり、それにより、第2の略水平な位置において、プラグ部品4を有するアーム3は埠頭上の作業者に容易にアクセス可能となる。アーム3の第2の位置8では、フラップ13は、埠頭の底面31上の1以上の支持要素32によって支持される。プラグ部品4は作業者によって負荷側の電源ライン5に接続可能であり、その接続はロック機構33によってロック可能である。負荷側の電源ライン5は、ロック機構を解放することによって、アーム3の第2の位置8における負荷に対する給電の終了後に、プラグ部品4から同様に解放可能である。
【0053】
さらに、ロック装置(不図示)がアーム3及びフラップ13に設けられ、それにより、プラグ部品4とそのプラグ部品4に接続される負荷側の電源ライン5との間でのアーク爆発の場合にフラップが爆発の圧力によって旋回して開放され得ないように、フラップ13はアーム3の第1の位置7においてアームにロックされ得る。
【符号の説明】
【0054】
1 装置
2 滑動体
3 アーム
4 プラグ部品
5 電源ライン
6 電源ライン
7 第1の位置
8 第2の位置
9 カバー部品
10 油圧ドライブ
11 カバー
12 脚部
13 フラップ
14 壁
15 側壁
16 側壁
17 レバー機構
18 リンクロッド
19 レバーアーム
20 ケーブル通路
21 ハウジング
22 岸壁
23 エネルギーガイドチェーン
24 第2の接続部
25 ケーブル通路
26 下側ラン
27 上側ラン
28 ガイドチャネル
29 ローラ
30 ブラケット
31 底面
32 支持要素
33 ロック機構