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特許7348314エアロゾル生成装置の電源ユニット及びカートリッジ、並びにカートリッジの種別を判定する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置の電源ユニット及びカートリッジ、並びにカートリッジの種別を判定する方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/51 20200101AFI20230912BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20230912BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20230912BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20230912BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/40
A24F40/50
A24F40/42
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021572145
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(86)【国際出願番号】 JP2020001794
(87)【国際公開番号】W WO2021149125
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】小野 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】手塚 寛
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-500898(JP,A)
【文献】特開昭59-201176(JP,A)
【文献】特開平11-213114(JP,A)
【文献】国際公開第2018/163262(WO,A1)
【文献】特開2019-010038(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0242463(US,A1)
【文献】特表2019-528710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/51
A24F 40/40
A24F 40/50
A24F 40/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
当該電源ユニットがカートリッジに接続されるとき又は接続された後に、前記カートリッジに設けられた反射部に光を発光する発光素子と、
前記反射部によって反射された前記光を受光する受光素子と、
前記受光素子が受光した光に基づき前記カートリッジの種別を判定する制御部と、
物理スイッチと、
を備え、当該電源ユニットが前記カートリッジに接続されるときに、前記物理スイッチが前記カートリッジによって押下され、
前記制御部は、前記物理スイッチが押下されたのに応じて、前記発光素子に発光を開始させる、電源ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電源ユニットにおいて、
前記カートリッジの反射部が前記電源ユニットとの接続面に設けられ、
前記反射部の部材が有する光の反射率が前記カートリッジの種別に応じて異なり、
前記受光された光の信号強度に基づき前記カートリッジの種別が判定される、電源ユニット。
【請求項3】
請求項2記載の電源ユニットにおいて、前記部材の色の明度が前記カートリッジの種別に応じて異なる、電源ユニット。
【請求項4】
請求項2又は3記載の電源ユニットにおいて、前記部材の加工態様が前記カートリッジの種別に応じて異なる、電源ユニット。
【請求項5】
請求項2から4の何れか一項記載の電源ユニットにおいて、
前記反射部において、前記部材の配置パターンが前記カートリッジの種別に応じて異なり、
前記配置パターンが、複数の反射率を有する複数の種別の前記部材の組み合わせで構成される、電源ユニット。
【請求項6】
請求項5記載の電源ユニットにおいて、前記複数の種別の部材が光の無反射部材を含む、電源ユニット。
【請求項7】
請求項5又は6記載の電源ユニットにおいて、前記制御部は、当該電源ユニットがカートリッジに接続されるときに、
第1種別の前記部材を介して前記受光素子が第1信号強度の光を受光したのに応じて、前記制御部が前記カートリッジを検知する動作を開始し、
引き続き、第2種別の前記部材を介して前記受光素子が第2信号強度の光を受けたのに応じて、前記制御部が前記動作を終了する、電源ユニット。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の電源ユニットにおいて、
前記制御部は、前記物理スイッチが前記カートリッジによって再び押下されたのに応じて、前記発光素子に発光を終了させる、電源ユニット。
【請求項9】
請求項1から7の何れか一項に記載の電源ユニットにおいて、
前記制御部は、前記カートリッジの種別が判定されたのに応じて、前記発光素子に発光を終了させる、電源ユニット。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載の電源ユニットにおいて、
前記制御部は、前記発光素子による発光が開始された後、所定の期間にわたり前記受光素子により受光されない場合に、当該電源ユニットの前記カートリッジへの接続失敗と判定して、前記発光素子に発光を終了させる、電源ユニット。
【請求項11】
請求項10に記載の電源ユニットであって、更に、報知部を備えており、
前記制御部は、前記報知部に前記接続失敗を報知させる、電源ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の電源ユニットにおいて、
前記報知部は、前記接続失敗の報知によって、当該電源ユニットの前記カートリッジへの再度の接続の操作をユーザに促す、電源ユニット。
【請求項13】
請求項1から12の何れか一項に記載の電源ユニットにおいて、
前記制御部は、前記カートリッジの種別を判定することができない場合に、前記カートリッジへの電力供給を禁止する、電源ユニット。
【請求項14】
カートリッジの種別を判定する方法であって、前記カートリッジがエアロゾル生成装置の電源ユニットに軸方向に沿って接続されるとき又は接続された後に、
前記電源ユニットの発光素子により、前記カートリッジに設けられた反射部に光を発光するステップと、
前記電源ユニットの受光素子により、前記反射部によって反射された前記光を受光するステップと、
前記受光素子が受光した光に基づき前記カートリッジの種別を判定するステップと、
を含み、前記反射部の部材が有する光の反射率が前記カートリッジの種別に応じて異なり、
当該方法が更に、前記カートリッジが前記電源ユニットに接続されるときに、前記電源ユニットが備える物理スイッチが前記カートリッジによって押下されることに応じて、前記光素子が発光を開始するステップを含む、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記部材の色及び/又は加工態様が前記カートリッジの種別に応じて異なる、方法。
【請求項16】
請求項14又は15の何れか一項記載の方法において、
前記反射部において、前記部材の配置パターンが前記カートリッジの種別に応じて異なり、
前記配置パターンが、複数の反射率を有する複数の種別からなる前記部材の組み合わせで構成される、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記部材が光の無反射部材を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル生成装置の電源ユニット及びカートリッジ、並びにカートリッジの種別を判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコやネブライザなど、ユーザに吸引される香味成分が付与された気体を生成するエアロゾル生成装置が普及している。エアロゾル生成装置には、例えば、エアロゾルを生成するためのエアロゾル源やエアロゾルに香味を付与するための香味源などの、香味成分が付与された気体の生成に寄与する要素が装着される。そして、これら要素に蓄積された内容物が気体生成の度に消費される。ユーザは、これらエアロゾル生成装置により生成された、香味成分が付与された気体を吸引する(以下、パフとも称する。)ことで、気体と共に香味を味わうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-512141
【文献】特表2017-538420
【文献】特表2012-513750
【文献】特表2015-535760
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザに対し十分な吸引体験を提供しつつ要素の有効活用を図ることが望ましく、そのためには、要素がエアロゾル生成装置に装着される際に要素の種別を判定可能とするのがよい。例えば、特許文献3では、吸煙物品上に印刷された識別情報を検出して吸引物品を他の物品と区別する。しかしながら、このような検出手法は、印字状態に依存することも多い。つまり、吸煙物品上に識別情報を鮮明に印刷する必要があり、また、識別情報を誤認識することなく読み取るための高精度な処理が必要であった。そこで、本開示は、要素及びエアロゾル生成装置の機構を工夫し、要素がエアロゾル生成装置に装着される際に要素の種別を容易に判定可能とすることを目的の1つとする。また、種別に応じてエアロゾル生成装置の動作を制御可能とすることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、第1観点によれば、エアロゾル生成装置の電源ユニットが提供される。かかる電源ユニットは、当該電源ユニットがカートリッジに接続されるとき又は接続された後に、カートリッジに設けられた反射部に光を発光する発光素子と、反射部によって反射された光を受光する受光素子と、受光素子が受光した光に基づきカートリッジの種別を判定する制御部と、を備える。
【0006】
かかるエアロゾル生成装置の電源ユニットによれば、例えば特定の印字情報を正確に読み取るための素子を配置するのと比べて、カートリッジの種別を簡易、安価、かつ高精度に判定することができる。また、種別に応じてエアロゾル生成装置の動作を制御可能とすることができる。これにより、ユーザに対し十分な吸引体験を提供することができる。
【0007】
第2観点の電源ユニットは、第1観点の電源ユニットにおいて、カートリッジの反射部が電源ユニットとの接続面に設けられ、反射部の部材が有する光の反射率がカートリッジの種別に応じて異なり、受光された光の信号強度に基づきカートリッジの種別が判定される。
【0008】
第3観点の電源ユニットは、第2観点の電源ユニットにおいて、部材の色の明度がカートリッジの種別に応じて異なってよい。
【0009】
第4観点の電源ユニットは、第2観点又は第3観点の電源ユニットにおいて、部材の加工態様がカートリッジの種別に応じて異なってよい。
【0010】
第5観点の電源ユニットは、第2観点から第4観点の何れかの電源ユニットにおいて、反射部において、部材の配置パターンがカートリッジの種別に応じて異なり、配置パターンが、複数の反射率を有する複数の種別の部材の組み合わせで構成されてよい。
【0011】
第6観点の電源ユニットは、第5観点の電源ユニットにおいて、複数の種別の部材が光の無反射部材を含んでよい。
【0012】
第7観点の電源ユニットは、第5観点又は第6観点の電源ユニットにおいて、制御部は、当該電源ユニットがカートリッジに接続されるときに、第1種別の部材を介して受光素子が第1信号強度の光を受光したのに応じて、制御部がカートリッジを検知する動作を開始し、引き続き、第2種別の部材を介して受光素子が第2信号強度の光を受けたのに応じて、制御部が当該動作を終了してよい。
【0013】
第8観点の電源ユニットは、第1観点から第7観点の何れかの電源ユニットであって、更に、物理スイッチを備えており、当該電源ユニットがカートリッジに接続されるときに、物理スイッチがカートリッジによって押下され、制御部は、物理スイッチが押下されたのに応じて、発光素子に発光を開始させてよい。
【0014】
第9観点の電源ユニットは、第8観点の電源ユニットにおいて、制御部は、物理スイッチがカートリッジによって再び押下されたのに応じて、発光素子に発光を終了させてよい。
【0015】
第10観点の電源ユニットは、第1観点から第8観点の何れかの電源ユニットにおいて、制御部は、カートリッジの種別が判定されたのに応じて、発光素子に発光を終了させてよい。
【0016】
第11観点の電源ユニットは、第1観点から第7観点の何れかの電源ユニットにおいて、制御部は、発光素子による発光が開始された後、所定の期間にわたり受光素子により受光されない場合に、当該電源ユニットのカートリッジへの接続失敗と判定して、発光素子に発光を終了させてよい。
【0017】
第12観点の電源ユニットは、第11観点の電源ユニットであって、更に、報知部を備えており、制御部は、報知部に接続失敗を報知させてよい。
【0018】
第13観点の電源ユニットは、第12観点の電源ユニットにおいて、報知部は、接続失敗の報知によって、当該電源ユニットのカートリッジへの再度の接続の操作をユーザに促してよい。
【0019】
第14観点の電源ユニットは、第1観点から第13観点の何れかの電源ユニットにおいて、制御部は、カートリッジの種別を判定することができない場合に、カートリッジへの電力供給を禁止してよい。
【0020】
また、第15観点によれば、エアロゾル生成装置のカートリッジが提供される。かかるカートリッジは、当該カートリッジの種別に応じて異なる部材が設けられる反射部を備え、当該カートリッジがエアロゾル生成装置の電源ユニットに接続されるとき又は接続された後に、電源ユニットの発光素子から発光された光を反射部が反射して、電源ユニットの受光素子に受光させ、受光素子によって受光された光に基づき種別が判定される。
【0021】
かかるエアロゾル生成装置のカートリッジによれば、例えば特定の印字情報を正確に読み取るための素子を配置するのと比べて、カートリッジの種別が簡易、安価、かつ高精度に判定されることができる。また、種別に応じてエアロゾル生成装置の動作を制御可能とすることができる。これにより、ユーザに対し十分な吸引体験を提供することができる。
【0022】
第16観点のカートリッジは、第15観点のカートリッジにおいて、エアロゾル生成装置が、軸方向に沿って電源ユニットに組み付けられる、カートリッジを保持するためのカートリッジケースを備え、軸方向から見て、当該カートリッジの断面が凹形状を有し、カートリッジケースの空洞部の一部の断面の凸形状に対応し、当該カートリッジの断面が、カートリッジケースの空洞部の一部の断面に周方向に位置合わせされて、軸方向に沿ってカートリッジケースの空洞部に挿入されてよい。
【0023】
更に、第17観点によれば、カートリッジの種別を判定する方法が提供される。かかる方法は、カートリッジがエアロゾル生成装置の電源ユニットに軸方向に沿って接続されるとき又は接続された後に、電源ユニットの発光素子により、カートリッジに設けられた反射部に光を発光するステップと、電源ユニットの受光素子により、反射部によって反射された光を受光するステップと、受光素子が受光した光に基づきカートリッジの種別を判定するステップと、を含み、反射部の部材が有する光の反射率がカートリッジの種別に応じて異なる。
【0024】
かかる方法によれば、例えば特定の印字情報を正確に読み取るための素子を配置するのと比べて、カートリッジの種別を簡易、安価、かつ高精度に判定することができる。また、種別に応じてエアロゾル生成装置の動作を制御可能とすることができる。これにより、ユーザに対し十分な吸引体験を提供することができる。
【0025】
第18観点の方法は、第17観点の方法において、部材の色及び/又は加工態様がカートリッジの種別に応じて異なってよい。
【0026】
第19観点の方法は、第17観点又は第18観点の方法において、反射部において、部材の配置パターンがカートリッジの種別に応じて異なり、配置パターンが、複数の反射率を有する複数の種別からなる部材の組み合わせで構成されてよい。
【0027】
第20観点の方法は、第19観点の方法において、部材が光の無反射部材を含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】エアロゾル生成装置の斜視図である。
図2図1のエアロゾル生成装置の他の斜視図である。
図3図1のエアロゾル生成装置の断面図である。
図4】一実施形態の電源ユニットの斜視図である。
図5】一実施形態の電源ユニットのブロック図である。
図6】エアロゾル生成装置の分解図である。
図7】一実施形態の電源ユニットに設けたフォトセンサ及びカートリッジの概略動作を示す。
図8A】一実施形態の電源ユニットの概略斜視図である。
図8B図8Aの電源ユニットを軸方向から見た平面図である。
図9A】一実施形態のカートリッジを軸方向から見た平面図の一例である。
図9B】一実施形態のカートリッジを軸方向から見た平面図の一例である。
図10A】一実施形態のカートリッジを軸方向から見た平面図の一例である。
図10B】一実施形態のカートリッジを軸方向から見た平面図の一例である。
図11】一実施形態によるカートリッジの種別の判定動作を示すフロー図である。
図12A】一実施形態のカートリッジを軸方向から見た平面図の変形例である。
図12B】一実施形態のカートリッジを軸方向から見た平面図の変形例である。
図12C】一実施形態のカートリッジを軸方向から見た平面図の変形例である。
図13A】変形例のカートリッジケース27を軸方向から見た断面図である。
図13B】変形例のカートリッジ200を軸方向から見た断面図である。
図14】物理スイッチを設けた電源ユニットの変形例である。
図15】他の実施形態の電源ユニットのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について説明する。添付図面において、同一又は類似の要素には同一又は類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一又は類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。更に、図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0030】
なお、本開示の実施形態において、エアロゾル生成装置には電子たばこやネブライザが含まれるが、これらに限定されない。つまり、エアロゾル生成装置は、ユーザが吸引するエアロゾル又は香味が付与されたエアロゾルを生成するための様々な吸引装置を含み得る。また、生成される吸引成分源は、エアロゾル以外にも不可視の蒸気も含み得る。
【0031】
(1)エアロゾル生成装置の構成
図1から図5は、電源ユニット10が装着されたエアロゾル生成装置1を示している。図1及び図2はエアロゾル生成装置1の斜視図であり、図3はエアロゾル生成装置1の断面図である。また、図4はエアロゾル生成装置1が備える電源ユニット10の斜視図であり、図5は電源ユニット10の構成例を示すブロック図である。
【0032】
エアロゾル生成装置1は、燃焼を伴うことなく香味をユーザに吸引させるための器具であり、所定方向(以下、長手方向Aと称する。)に沿って延びる棒形状を有する。エアロゾル生成装置1は、図1及び図2に示されるように、長手方向Aに沿って電源ユニット10と、カートリッジ・ユニット20と、カプセル・ユニット30と、がこの順に設けられる。カートリッジ・ユニット20は、電源ユニット10に対して着脱可能であり、カプセル・ユニット30は、カートリッジ・ユニット20に対して着脱可能である。言い換えると、カートリッジ・ユニット20及びカプセル・ユニット30は、相互に交換可能である。
【0033】
(1-1)電源ユニット
本実施形態の電源ユニット10は、図3及び図4に示されるように、円筒状の電源ユニットケース11の内部に電源12、充電器13、制御部50、各種センサ等を収容する。電源12は、充電可能な二次電池、電気二重層キャパシタ等であり、好ましくは、リチウムイオン電池である。
【0034】
電源ユニットケース11の長手方向Aの一端側(カートリッジ・ユニット20側)に位置するトップ部11aには、放電端子41が設けられる。放電端子41は、トップ部11aの上面からカートリッジ・ユニット20に向かって突出するように設けられ、カートリッジ・ユニット20の負荷21と電気的に接続可能に構成される。
【0035】
また、トップ部11aの上面には、放電端子41の近傍に、カートリッジ・ユニット20の負荷21に空気を供給する空気供給部42が設けられている。本実施形態の電源ユニット10は、後述するように、トップ部11aの上面には、更に、一対の発光素子171及び受光素子172を備えるフォトセンサ17を備える。
【0036】
トップ部11aは、接続キャップ(不図示)によってキャップされている。接続キャップは、長手方向Aに沿って電源ユニット10がカートリッジ・ユニット20と接続する接続面を形成する。接続キャップは、シリコーン樹脂よりも軟らかく、かつ弾性を有する樹脂材料により形成され、放電端子41、空気供給部42、フォトセンサ17は各先端側が接続キャップからカートリッジ・ユニット20に向かって突出している。
【0037】
電源ユニットケース11の長手方向の他端側(カートリッジ・ユニット20と反対側)に位置するボトム部11bには、電源12を充電可能な外部電源(不図示)と電気的に接続可能な充電端子43が設けられる。充電端子43は、ボトム部11bの側面に設けられ、USB端子、microUSB端子、Lightning端子の少なくとも1つが接続可能である。
【0038】
なお、充電端子43は、外部電源から送電される電力を非接触で受電可能な受電部であってもよい。このような場合、充電端子43(受電部)は、受電コイルから構成されていてもよい。非接触による電力伝送(Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよい。また、充電端子43は、外部電源から送電される電力を無接点で受電可能な受電部であってもよい。別の一例として、充電端子43は、USB端子、microUSB端子、Lightning端子の少なくとも1つが接続可能であり、且つ上述した受電部を有してもよい。
【0039】
すなわち、電源ユニット10は、放電端子41と充電端子43とが別体に構成され、且つ、長手方向Aにおいて離間して配置されるので、充電端子43には、放電端子41を介した電源12の放電が可能な状態で、外部電源60を電気的に接続することができるように構成される。
【0040】
また、電源ユニットケース11には、ユーザが操作可能な操作部14が、トップ部11aの側面に充電端子43とは反対側を向くように設けられる。より詳しくは、操作部14と充電端子43は、操作部14と充電端子43を結ぶ直線と長手方向Aにおける電源ユニット10の中心の軸線Lの交点について点対称の関係にある。操作部14は、ボタン式のスイッチ、タッチパネル等から構成され、ユーザの使用意思を反映して制御部50及び各種センサを起動/遮断する際等に利用される。操作部14の近傍には、制御部50及びパフ動作を検出する吸気センサ15が設けられている。
【0041】
充電器13は、充電端子43に近接して配置され、充電端子43から電源12へ入力される充電電力を制御する。充電器13は、充電端子43に接続される充電ケーブルに搭載された交流を直流に変換するインバータ61等からの直流を大きさの異なる直流に変換するコンバータ、電圧計、電流計、プロセッサ等を含む。
【0042】
制御部50は、図5に示されるように、操作部14、パフ(吸気)動作を検出する吸気センサ15、電源12の電圧を測定する電圧センサ16、フォトセンサ17等の各種センサ装置、及びパフ動作の回数又は負荷21への通電時間等を記憶するメモリ18に接続され、エアロゾル生成装置1の各種の動作制御を行う。吸気センサ15は、コンデンサマイクロフォンや圧力センサ等から構成されていてもよい。フォトセンサ17は、発光素子171及び受光素子172を含んで構成されるのがよいがこれに限定されない。
【0043】
制御部50は、具体的にはプロセッサ(コンピュータ)である。このプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路である。制御部50の詳細については後述する。
【0044】
また、電源ユニットケース11には、内部に外気を取り込む空気取込口(不図示)が設けられている。なお、空気取込口は、操作部14の周囲に設けられていてもよく、充電端子43の周囲に設けられていてもよい。
【0045】
(1-2)カートリッジ・ユニット
カートリッジ・ユニット20は、図3に示されるように、円筒状のカートリッジケース27の内部に、エアロゾル源22を貯留するリザーバ23と、エアロゾル源22を霧化する電気的な負荷21と、リザーバ23から負荷21へエアロゾル源を引き込むウィック24と、エアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルがカプセル・ユニット30に向かって流れるエアロゾル流路25と、カプセル・ユニット30の一部を収容することができるエンドキャップ26と、を備える。
【0046】
ここでは、リザーバ23と、負荷21と、ウィック24と、エアロゾル流路25と、を具備する部材をカートリッジ200として構成することができる。カートリッジ200は、その一方の端部を電源ユニット10に接続し、他方の端部をエンドキャップ26に接続することができる。
【0047】
リザーバ23は、エアロゾル流路25の周囲を囲むように区画形成され、エアロゾル源22を貯留する。リザーバ23には、樹脂ウェブや綿等の多孔体が収容され、且つ、エアロゾル源22が多孔体に含浸されていてもよい。エアロゾル源22は、グリセリン、プロピレングリコール、水などの液体を含む。
【0048】
ウィック24は、リザーバ23から毛管現象を利用してエアロゾル源22を負荷21へ引き込む液保持部材であって、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成される。
【0049】
負荷21は、電源12から放電端子41を介して供給される電力によって燃焼を伴わずにエアロゾル源22を霧化する。負荷21は、所定ピッチで巻き回される電熱線(コイル)によって構成されている。なお、負荷21は、エアロゾル源22を霧化してエアロゾルを発生可能な素子であればよく、例えば、発熱素子、又は超音波発生器である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。
【0050】
エアロゾル流路25は、負荷21の下流側であって、電源ユニット10の軸線L上に沿って設けられる。
【0051】
エンドキャップ26は、カプセル・ユニット30の一部を収容するカートリッジ収容部26aと、エアロゾル流路25とカートリッジ収容部26aとを連通させる連通路26bと、を備える。
【0052】
(1-3)カプセル・ユニット
カプセル・ユニット30は、カートリッジ・ユニット20側の端部がカートリッジ・ユニット20のエンドキャップ26に設けられたカートリッジ収容部26aに着脱可能に収容される。カプセル・ユニット30は、カートリッジ・ユニット20側とは反対側の端部が、ユーザの吸口32となっている。なお、吸口32は、カプセル・ユニット30と一体不可分に構成される場合に限らず、カプセル・ユニット30と着脱可能に構成されてもよい。このように吸口32を電源ユニット10とカートリッジ・ユニット20とは別体に構成することで、吸口32を衛生的に保つことができる。
【0053】
カプセル・ユニット30は、負荷21によってエアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルを香味源31に通すことによってエアロゾルに香味を付与する。香味源31を構成する原料片としては、刻みたばこ、たばこ原料を粒状に成形した成形体を用いることができる。香味源31は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源31には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0054】
エアロゾル生成装置1は、エアロゾル源22と香味源31と負荷21とによって、香味が付加されたエアロゾルを発生させることができる。つまり、エアロゾル源22と香味源31は、エアロゾルを発生させるエアロゾル生成源と言うことができる。
【0055】
エアロゾル生成装置1に用いられるエアロゾル生成源の構成は、エアロゾル源22と香味源31とが別体になっている構成の他、エアロゾル源22と香味源31とが一体的に形成されている構成、香味源31が省略されて香味源31に含まれ得る物質がエアロゾル源22に付加された構成、香味源31の代わりに薬剤等がエアロゾル源22に付加された構成等であってもよい。
【0056】
このように構成されたエアロゾル生成装置1では、図3中、矢印Bで示されるように、電源ユニットケース11に設けられた取込口(不図示)から流入した空気が、空気供給部42からカートリッジ・ユニット20の負荷21付近を通過する。負荷21は、ウィック24によってリザーバ23から引き込まれたエアロゾル源22を霧化する。霧化されて発生したエアロゾルは、取込口から流入した空気と共にエアロゾル流路25を流れ、連通路26bを介してカプセル・ユニット30に供給される。カプセル・ユニット30に供給されたエアロゾルは、香味源31を通過することで香味が付与され、吸口32に供給される。
【0057】
(1-4)電源ユニットの制御部
次に制御部50の構成について、図5を参照して具体的に説明する。制御部50は、エアロゾル生成要求検出部51と、操作検出部52と、電力制御部53と、報知制御部54と、カートリッジ検知判定部55と、を備える。
【0058】
エアロゾル生成要求検出部51は、吸気センサ15の出力結果に基づいてエアロゾル生成の要求を検出する。吸気センサ15は、吸口32を通じたユーザの吸引により生じた電源ユニット10内の圧力変化の値を出力するよう構成されている。吸気センサ15は、例えば、取込口から吸口32に向けて吸引される空気の流量(すなわち、ユーザのパフ動作)に応じて変化する気圧に応じた出力値(例えば、電圧値又は電流値)を出力する圧力センサである。
【0059】
操作検出部52は、ユーザによる操作部14の操作を検出する。
電力制御部53は、エアロゾル生成要求検出部51がエアロゾル生成の要求を検出した際に放電端子41を介した電源12の放電を制御する。一例では、電力制御部53は、負荷21によってエアロゾル源が霧化されることで生成されるエアロゾルの量が所望範囲に収まり、つまり、電源12から負荷21に供給される電力量が一定範囲となるように制御する。
【0060】
より詳しくは、電力制御部53は、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御、又はPFM(Pulse Frequency Modulation:パルス周波数変調)制御によって制御してもよい。電圧センサ16の出力結果を用いてもよい。
【0061】
また、電力制御部53は、充電端子43と外部電源60との電気的な接続を検出し、充電端子43を介した電源12の充電を制御する。
【0062】
報知制御部54は、各種情報を報知するように報知部45を制御する。例えば、報知制御部54は、カプセル・ユニット30の交換タイミングの検出に応じて、カプセル・ユニット30の交換タイミングを報知するように報知部45を制御する。報知制御部54は、メモリ18に記憶されたパフ動作の回数又は負荷21への累積通電時間に基づいて、カプセル・ユニット30の交換タイミングを報知する。報知制御部54は、カプセル・ユニット30の交換タイミングの報知に限らず、カートリッジ20の交換タイミングの報知、電源12の交換タイミング、電源12の充電タイミング、動作時のエラー等を報知してもよい。
【0063】
なお、エアロゾル生成装置1には、各種情報を報知する報知部45が設けられ、報知制御部54と協働する。報知部45は、発光素子によって構成されていてもよく、振動素子によって構成されていてもよく、音出力素子によって構成されていてもよい。また、報知部45は、発光素子、振動素子及び音出力素子のうち、2以上の素子の組合せであってもよい。報知部45は、電源ユニット10、カートリッジ・ユニット20、及びカプセル・ユニット30のいずれに設けられてもよいが、電源ユニット10に設けられることが好ましい。例えば、操作部14の周囲が透光性を有し、LED等の発光素子によって発光するように構成される。
【0064】
カートリッジ検知判定部55は、後述するように、電源ユニット10とカートリッジ200とが接続されるときに、カートリッジ200に設けられた反射部220を介して、発光素子171から発光された光を受光素子172が受光することによって、フォトセンサ17にカートリッジ200を検知させる。また、カートリッジ検知判定部55は、カートリッジ200の検知の結果に基づいて、接続されたカートリッジ200の種別を判定する。
【0065】
(2)エアロゾル生成装置の組立方法
エアロゾル生成装置1の組立方法について説明する。図6は、エアロゾル生成装置1の分解図である。図示されるように、エアロゾル生成装置1は、電源ユニット10と、カートリッジケース27と、カートリッジ200と、エンドキャップ26と、カプセル・ユニット(カプセル)30と、を組み立てることで構成される。
【0066】
最初に、電源ユニット10に、カートリッジ・ユニット20のカートリッジケース27を組み付ける(手順A)。具体的には、軸線Lに沿って、電源ユニット10の第1回転接続部110にカートリッジケース27の内側を差し込み、その後に、電源ユニット10に対しカートリッジケース27を、軸線Lの回りに相対回転させる。
【0067】
その結果、電源ユニット10とカートリッジケース27とは、軸方向及び周方向での位置決めがなされた状態で、互いに組み付けられる。なお、電源ユニット10に対してカートリッジケース27を取り外す際は、この動作と逆の動作を行えばよい。
【0068】
続いて、カートリッジケース27内にカートリッジ200を挿入する(手順B)。具体的には、カートリッジ200の底面に設けられた接続電極部210をカートリッジケース27側に向けた状態で、カートリッジケース27内の空洞にカートリッジ200を挿入する。これにより、カートリッジ200が電源ユニット10に組み付けられる。
【0069】
より詳しくは、電源ユニット10の放電端子41とカートリッジ200の接続電極部210とが接触により接続される。この接続電極部210を介し、負荷21の電熱線に通電可能となる。また、電源ユニット10の接続面と、カートリッジ200の電極面と、カートリッジケース27とによって、電源ユニット10とカートリッジ200の間にバッファ空間が画成される。
【0070】
なお、カートリッジ200が電源ユニット10に接続されるときに、電源ユニット10の接続面に対してカートリッジ200の電極面が周方向に位置合わせされるように、カートリッジケース27の空洞の内壁に位置合わせ用のガイド(不図示)が設けられている。
【0071】
次に、エンドキャップ26をカートリッジケース27に第2回転接続部260によって組み付ける(手順C)。具体的には、エンドキャップ26の雄ねじ部分をカートリッジケース27の内壁に設けた雌ねじ部分に螺着させる。この状態で、エンドキャップ26を締め付けると、カートリッジ200は、電源ユニット10側に向けて軸方向に押し付けられた状態でカートリッジケース27内に保持される。
【0072】
より詳しくは、エンドキャップ26がカートリッジ200と当接する面には、カートリッジ200を、電源ユニット10に対し軸線L回りに回転させる滑り止め部材261が設けられている。滑り止め部材261は、エンドキャップ26がカートリッジケース27に接続される途中で、カートリッジ200の底面に当接する。そして、滑り止め部材261がカートリッジ200に当接した状態で、カートリッジ200がエンドキャップ26と共に軸線L回りに回転可能となる。
【0073】
ここでは、エンドキャップ26を回転させることによりエンドキャップ26をねじ込むと、カートリッジ200は、電源ユニット10に対し軸線L回りに所定の範囲内で回転する。この際に、後述するように、本実施形態によるカートリッジ200の判定動作が実行される。カートリッジ200が所定の範囲内で回転する結果、カートリッジ200の係合凹部(不図示)と、電源ユニット10の係合凸部(不図示)とが位置合わせされて、カートリッジ200と電源ユニット10とが係合する構成となっている。
【0074】
カートリッジ200と電源ユニット10とが係合されると、カートリッジ200は電源ユニット10に対する周方向の移動が規制される。つまり、エンドキャップ26の滑り止め部材261とカートリッジ200との間に作用する摩擦力のために、カートリッジ200がエンドキャップ26に連れ回らない構成となっている。
【0075】
更に、エンドキャップ26の滑り止め部材261は、エンドキャップ26がカートリッジケース27に螺着した状態で、カートリッジ200を電源ユニット10に向かって押圧している。これにより、カートリッジ200が電源ユニット10に対して固定される。
【0076】
最後に、エンドキャップ26にカプセル・ユニット30が差し込まれる(手順D)。具体的には、メッシュ状の開口部310をエンドキャップ26に向けた状態で、エンドキャップ26内にカプセル・ユニット30を嵌合させる。以上により、エアロゾル生成装置1の組み立てが完了する。
【0077】
(3)カートリッジの種別の判定
図7から図11を参照して、本実施形態により、電源ユニット10に接続されるカートリッジ200の種別の判定について説明する。図7は、フォトセンサ17とカートリッジ200の反射部220の動作を示した概略図である。図8Aは、当該フォトセンサ17を備えた本実施形態の電源ユニット10の概略斜視図であり、図8Bは、電源ユニット10を軸方向にカートリッジ200側から見た平面図である。また、図9Aから図10Bは、本実施形態の電源ユニット10に接続されるカートリッジ200を軸方向から見た平面図の一例である。そして、図11は、このような電源ユニット10及びカートリッジ200を用いて、カートリッジ200の種別を判定する方法を示すフロー図である。
【0078】
本実施形態によれば、制御部50によるカートリッジ200の種別の判定は、所定の信号強度で発光素子171から光を発光すること、カートリッジ200に設けられた反射部220を介して(すなわち、発光素子171から照射された光を反射部220が反射して)、受光素子172が受光すること、及び、受光した光の信号強度を測定することによって実行される。
【0079】
(3-1)電源ユニットに設けられるフォトセンサ
フォトセンサ17が電源ユニット10に設けられる。具体的には、図7に示されるように、フォトセンサ17は一対の発光素子171と受光素子172とを備え、電源ユニット10の接続面80(前述の接続キャップ)に設けられている。一例では、フォトセンサ17の発光素子171はGaAs赤外線発光ダイオードで構成され、受光素子172はフォトトランジスタ(フォトIC)で構成されるのがよい。
【0080】
発光素子171及び受光素子172は、照射される光信号の伝搬方向に沿って直列に配列される。発光素子171は、フォトセンサ17が発光の開始の指示を受けたのに応じて、予め規定された信号強度の光を、所定の角度で照射するよう発光を行う。次いで、フォトセンサ17の近傍において光の照射方向の位置をカートリッジ200が通過する。その際に、カートリッジ200の反射部220は、発光素子171からの光を、受光素子172に向けて所定の反射率(例えば、80%)で反射する。そして、反射された光を受光素子172が受光することにより、フォトセンサ17はカートリッジ200の通過を検知する。
【0081】
より詳しくは、本実施形態では、電源ユニット10がカートリッジ200に接続されるときに、フォトセンサ17がカートリッジ200を検知するように構成される。具体的には、前述のとおり、電源ユニット10がカートリッジ200に接続されるときに、カートリッジ200は、電源ユニット10に対して軸線Lの回りに所定の範囲内で回転する(図6:手順C)。この際、にカートリッジ200に設けられた反射部220の部材がフォトセンサ17の近傍の照射方向の位置を移動することにより、前述のようにカートリッジ200の通過が検知される。
【0082】
図8A及び図8Bに示されるように、フォトセンサ17は、電源ユニット10のカートリッジ200との接続面80に設けられている。フォトセンサ17は、接続面80の周縁部近傍において、放電端子41及び空気供給部42と重複しない領域に配置されている。また、点線で示される一対の発光素子171及び受光素子172は、接続面80上において周方向に沿って直列に配列されている。接続面80において、軸線Lからフォトセンサ17までの径方向の距離は、発光素子171及び受光素子172の配列に沿って反射部220が移動できるように、カートリッジ200の電極面上における軸線Lから反射部220(より詳しくは、反射部220の部材)までの径方向の距離と関連付けられる。
【0083】
このように、本実施形態では、フォトセンサ17は、消耗品であるカートリッジ200上ではなく、電源ユニット10上に設けられる。すなわち、フォトセンサ17をカートリッジ200側に設けるのに比べて、フォトセンサ17に関して発生するコスト(例えば、初期コスト及び/又はランニングコスト)を削減することができる。また、フォトセンサ17が電源ユニット10に設けられる結果、フォトセンサ17は、カートリッジ200の負荷21やリザーバ23の位置から離れて配置されることになり、熱や液漏れ等の影響を受けにくく、安定的に動作可能となる。そして、故障のリスクを低減することができる。
【0084】
また、フォトセンサ17は、カートリッジ200に設けられる反射部220の位置に合うように接続面80に設置されればよく、例えば特定の印字情報を正確に読み取るための素子を配置するのと比べて、配置が容易であると共に安価に実現できる。更に、カートリッジ200の表面に反射部220が設置されればよく、例えば情報を印字する必要がないので、カートリッジ200の素材に拘わらず安価にカートリッジ200の検知を実現できる。
【0085】
なお、フォトセンサ17の接続面80上における配置位置、一対の発光素子171及び受光素子172の配置関係及び形状は図示したものに限定されないことが当業者にとって理解される。また、発光素子171及び受光素子172は一対に限らず、複数対有してもよく、つまり、電源ユニット10は複数のフォトセンサ17を備えてもよい。また、フォトセンサ17は、必ずしも、一対の発光素子171及び受光素子172を1つの部材として構成し、或いは1つの筐体に収容することなく、別個の部材として構成し、個別に配置可能であることが当業者によって理解される。
【0086】
(3-2)カートリッジに設けられる反射部
図9A及び図9B、並びに図10A及び図10Bに示されるように、照射された光を反射するための反射部220がカートリッジ200の電極面280上に設けられている。反射部220は、1つ以上の部材(図示される例では2つの部材221,221)を含んで形成される。例えば、反射部220の部材は光吸収部材で形成されるのがよい。また、電極面280には、電源ユニット10側の一対の放電端子41と接触して通電するために、一対の接続電極部210が設けられている。
【0087】
反射部220は、電極面280のうち、接続電極部210が占有している領域と重複しない任意の領域に設けられている。図示される例では、電極面280の中心(軸線L)に関して対向する2つの反射部領域AR,ARが設けられており、反射部領域ARに1つの部材221と、反射部領域ARに1つの部材221とが配置されている。なお、部材221,221は、反射部領域AR,ARの全部に配置される必要はなく、任意の位置に配置されるのでもよい。電極面280上において、軸線Lから部材221,221までの径方向の距離は、電源ユニット10の接続面80における軸線Lからフォトセンサ17までの径方向の距離と関連付けられる。
【0088】
本実施形態では、カートリッジ200の種別を判定するために、反射部220の部材は、カートリッジ200の種別に応じて光の反射率(又は光の吸収率)が異なる要素が採用される。一例では、色の明度は光の鏡面反射の反射率に関係することが当業者には知られており、部材の色の明度がカートリッジ200の種別に応じて異なるように構成するのがよい。具体的には、種別「ミント風味カートリッジ」の場合は光の明度を低く抑えるよう部材の色を黒にして(図9A)、受光素子172で受光される単位面積あたりの信号強度(又は受光率)を相対的に小さくする(例えば10%)。また、種別「コーヒー風味カートリッジ」の場合は光の明度を高くするよう部材の色を白にして(図9B)、受光素子172で受光される単位面積あたりの信号強度(又は受光率)を相対的に大きくする(例えば90%)。
【0089】
これに加えて、又はこれに替えて、他の例では、形状加工した部材を採用して、カートリッジ200の種別に応じて光の拡散反射(乱反射)の反射率が異なるような加工態様とするのがよい。具体的には、種別「ミント風味カートリッジ」の場合は、部材を極めて細かく(ざらざらとした)加工して(図10A)、光の乱反射率を高めて受光素子で受光する信号強度(又は受光率)を相対的に小さくする(例えば10%)。また、種別「コーヒー風味カートリッジ」の場合は荒く加工して(図10B)、光の乱反射率を低くして受光素子で受光する信号強度(又は受光率)を相対的に大きくする(例えば90%)。
【0090】
上記以外にも、カートリッジ200の種別に応じて、フォトセンサ17の受光素子172が受け取る光の信号強度が異なって調整されるように、部材221の形状及び/又は素材を異なる任意のものとしてもよい。つまり、前述の例では、種別「ミント風味カートリッジ」の場合の反射部220の部材は、光の信号強度が相対的に小さく(例えば10%)になるように構成され、種別「コーヒー風味カートリッジ」の場合の反射部220の部材は、光の信号強度が相対的に大きく(例えば90%)になるように構成されるのであれば任意の構成でよい。
【0091】
前述のように、カートリッジ200の種別に応じて光の反射率が異なるように反射部の部材を構成することにより、制御部50のカートリッジ検知判定部55は、カートリッジ200の種別を判定することが可能となる。つまり、カートリッジ検知判定部55は、受光素子172で受光した光の(単位面積あたりの)信号強度に応じてカートリッジ200の種別を判定するように構成される。
【0092】
このように、本実施形態では、カートリッジ200の反射部220の構成、特に部材221の構造をその種別に応じて異なるものとする。すなわち、反射部220と電源ユニット10のフォトセンサ17との協働によるカートリッジ200の種別の判定の動作を容易にし、判定の精度を向上させることができる。また、光の信号強度を測定することでカートリッジ200の種別を判定することができるので、種別に関する情報をリフィルの表面に印字してこれを認識する場合と比べて、カートリッジ200の種別の判定が容易となる。
【0093】
なお、反射部220及び部材221の電極面280上における配置位置、反射部領域の面積、配置関係及び個数、各部材の配置関係、個数及び形状は図示したものに限定されないことが当業者にとって理解される。
【0094】
(3-3)カートリッジの種別の判定動作
図11には、カートリッジ200の種別の判定に関する一連の動作が示される。一連の動作は、カートリッジ200がエアロゾル生成装置1の電源ユニット10に軸線Lの方向に沿って接続されるときに、主に、カートリッジ検知判定部55及び報知制御部54が、フォトセンサ17、メモリ18、及び報知部45と協働することによって実行される。
【0095】
最初に、ステップS10において、カートリッジ200の挿入が検出される。具体的には、カートリッジケース27が電源ユニット10に組み付けられた状態(図6:手順A)で、カートリッジ200がカートリッジケース27内に挿入され、電源ユニット10に接触された(図6:手順B)ことが検出される。より詳しくは、カートリッジ検知判定部55は、電源ユニット10の放電端子41とカートリッジ200の接続電極部210とが接触され、負荷21の電熱線に通電可能となったことを検出すればよい。なお、カートリッジ200は、電源ユニット10の接続面80に対して電極面280が周方向に位置合わせされてカートリッジケース27に挿入されるよう、カートリッジケース27によってガイドされる。
【0096】
ステップS10でカートリッジ200の挿入を検出したのに応じて、ステップS20において、フォトセンサ17が活性化される。具体的には、フォトセンサ17の発光素子171が光の照射による発光状態となる。より詳しくは、電源ユニット10がカートリッジ200に接続されたことを契機として、制御部50は発光素子171に発光させるのがよく、同時に、受光素子172が受光待機状態とするのがよい。
【0097】
次いで、ステップS30において、カートリッジ検知判定部55により、カートリッジ200に設けられた反射部220の検知が開始される。これにより、エンドキャップ26が締め付けられ、カートリッジ200が電源ユニット10に対し軸線Lの回りに所定の距離にわたり回転する間に(図6:手順C)、カートリッジ検知判定部55は、フォトセンサ17に反射部220を検知させる。
【0098】
なお、ステップS20のフォトセンサ17の活性化の動作の実行と、ステップS30の反射部220の検知の開始動作の実行とは、同一のタイミングとしても、別個のタイミングとしてもよい。(ステップS20の実行とは異なる特定のトリガに応じてステップS30の動作を実行する例は、変更例において後述する。)
【0099】
そして、ステップS40において、電源ユニット10に対してカートリッジ200が所定の距離(又は角度)だけ回転している間に、反射部220がフォトセンサ17の近傍を移動することで、反射部220が反射した光を受光素子172が受光したかが判定される。
【0100】
発光素子172による受光が検知された場合(S40:Yes)、ステップS50において光の信号強度が測定される。ここで測定される光の信号強度は、受光素子172が受光した単位面積あたりの光の信号強度であり、これにより、発光素子171が発光した光の信号強度に対する相対的な光の受光率が決定される。一例では、信号強度の測定は、カートリッジ200が電源ユニット10に対して所定の距離の回転を終えるまで繰り返し継続してもよい。
【0101】
ステップS50で光の信号強度が特定されたのに応じて、次いで、ステップS60において、ステップS50で測定された光の信号強度に基づいて、カートリッジ200の種別が判定される。前述のとおり、反射部220における光の反射率はカートリッジ200の種別に応じて異なっているので、カートリッジ検知判定部55は、受光素子172が受光した光の信号強度に応じてカートリッジ200の種別を判定することができる。
【0102】
なお、カートリッジ200の種別の判定のための規則が予め規定されており、一例では、カートリッジ200の種別毎に、信号強度の値がレンジで関連付けられてもよい。規則は、例えばテーブル形式でメモリ18に予め格納されるのがよい。すなわち、本実施形態では、受光素子172が受光した光の信号強度が特定されさえすれば、カートリッジ検知判定部55は、その信号強度がどのレンジ内にあるかによって容易にカートリッジ200の種別を判定することができる。なお、メモリに格納されるのは、信号強度の値のレンジに限定されず、他にも、カートリッジ200の反射部220の部材が有する反射率等を格納してもよい。
【0103】
次いで、ステップS70において、発光素子171による発光が終了する。具体的には、ステップS60においてカートリッジ200の種別を判定したのに応じて、カートリッジ検知判定部55は、フォトセンサ17に、発光素子171による発光を終了させるよう非活性化する。
【0104】
このように、発光素子171による発光の終了のタイミングを、カートリッジ200の種別の判定終了時に限定することにより、フォトセンサ17の発光制御を自動化することができる。これにより、発光に伴う消費電力を削減することができる。なお、発光の終了は、カートリッジ200が所定の距離にわたり回転したとき等、任意のタイミングでもよい。
【0105】
引き続き、ステップS80において、ステップS60でのカートリッジ200の種別の判定の結果が正常であったかを判定する。例えば、カートリッジ200が第三者による模倣品であるような場合には、種別の判定の結果が正常ではない場合がある。より詳しくは、カートリッジ検知判定部55は、メモリ18に予め格納されている規則に基づいて実際にカートリッジ200の種別が判定されたか、つまり、種別が一意に特定されたかについて更に判定する。
【0106】
そして、カートリッジ200の種別が正常に判定されない場合(S80:No)には、ステップS85において、カートリッジ検知判定部55は、電力制御部53と協働して、接続されているカートリッジ200の負荷21への電力供給を禁止する。
【0107】
前述のとおり、電源ユニット10にカートリッジ200が接続されているものの、その種別が判定できない場合、そのカートリッジ200は模倣品である、或いは不良品である可能性が高い。このようなカートリッジ200に電力供給を行うと、エアロゾル生成装置1が故障することも想定される。このような故障を未然に防ぐためにも、カートリッジ200の負荷21への電力供給を禁止するのがよい。
【0108】
他方、カートリッジ200の種別が正常に判定された場合(S80:Yes)は、引き続きステップS90において、当該種別に応じて、メモリ18に格納されているプロファイル情報の設定が行われる。例えば、カートリッジ検知判定部55は、カートリッジ200の種別に応じた加熱プロファイルの設定、及び寿命管理用の設定を行うのがよい。これにより、カートリッジ200の種別に応じてエアロゾル生成装置1の動作を個別に制御することができ、ユーザに対し十分な吸引体験を提供しつつカートリッジの有効活用を図ることができる。
【0109】
具体的には、カートリッジ200の種別に応じて負荷21の加熱温度を制御することにより、カートリッジ200の種別により適した量の香味成分を付与して、ユーザにデリバリすることができる。また、カートリッジ200毎に吸引回数を管理することにより、ユーザによってカートリッジ200が取り替えられた場合であっても、カートリッジ200毎の寿命を適切なタイミングで通知することができる。
【0110】
なお、前述のステップS40において、メモリ18に予め設定されている所定の期間にわたり受光素子172が受光せずにカートリッジ200が検知されなかった場合には(S40:No)、カートリッジ200は電源ユニット10への接続に失敗したものと判定される。この場合は、ステップS75において、カートリッジ検知判定部55は、発光素子171に発光を終了させるのがよい。すなわち、カートリッジ200が検知されない場合でも、発光を自動停止させることにより、発光に伴う消費電力を削減することができる。
【0111】
ステップS75に引き続き、ステップS95において、カートリッジ200の電源ユニット10への接続の失敗を報知部45に報知させる。具体的には、カートリッジ検知判定部55は、報知制御部54と協働して、報知部45の発光素子、振動素子、及び音出力素子等の任意の組み合わせを通じて、接続の失敗があった旨をユーザに提示する。特に、電源ユニット10とカートリッジ200との接続を一旦解除し、再度接続の操作を行う旨をユーザに促すように提示するのがよい。
【0112】
このように、本実施形態では、電源ユニット10上に設けたフォトセンサ17を使用して、カートリッジ200に設けた反射部220と協働してカートリッジ200を検知することにより、カートリッジ200の種別を容易に判定することができる。すなわち、コストを削減しつつ、カートリッジの種別を高精度に判定する手法を提供することができる。
【0113】
(4)変形例
(変形例1)
前述の説明においては、反射部220の部材221は、カートリッジ200の種別に応じて光の反射率が異なるように構成するものとした。本変形例では、電極面280において反射部220が有する複数の部材222の配置パターンがカートリッジ200の種別に応じて異なるように構成してもよい。例えば、図12Aから図12Cそれぞれ示されるように、当該配置パターンは、複数の反射率を有する複数の種別の部材222の組み合わせで構成されてもよい。
【0114】
図12Aの例では、反射部220は5つの円形の部材222~222の組み合わせによる配置パターンで構成される。一例では、部材222の光の反射率は90%、部材222の光の反射率は70%、部材222の光の反射率は50%、部材222の光の反射率は30%、及び部材222の光の反射率は10%であるような配置パターンである。各部材222~222は光の反射率が異なるので、受光を検知する期間(図11:S40)にわたり受光素子172は複数の信号強度の光を受光することになる。
【0115】
すなわち、カートリッジ200が電源ユニット10に対し所定の距離にわたり回転する間(図6:手順C)に受光素子172が受光した光の信号強度のパターンの記録と、予め定義されメモリ18に格納された規則とをカートリッジ検知判定部55が照合する。ここでの規則は、前述の例では、“反射率が90%、70%、50%、30%、そして10%の光をこの順に受光部172が受光すること”である。このようなパターン照合により、カートリッジ200の種別が判定される。すなわち、光の信号強度のパターンを多様化することができるので、判定可能なカートリッジ200の種別の数を増やすことができる。
【0116】
図12Bの例では、複数の種別の部材が光の無反射部材を含むような配置パターンで構成される。無反射部材は光の反射率が0%の素材で形成される。一例では、部材221の光の反射率は90%であり、配置領域の内部に無反射部材である円形の部材222が2つ配置される。つまり、受光を検知する期間(図11のステップS40)において、部材221で反射された光を受光素子172が受光する途中に、部材222によって反射されることなく受光しない2つ期間を有するように、受光素子172での受光有無が切り替わることになる。
【0117】
すなわち、カートリッジ200が電源ユニット10に対し所定の距離にわたり回転する間(図6:手順C)に受光素子172が受光する/しないの切り替えパターンの記録と、予め定義されメモリ18に格納された規則とをカートリッジ検知判定部55が照合する。ここでの規則は、前述の例では、“受光の有、無、有、無、有の順序で受光部172が光を検知すること”である。このようなパターン照合により、カートリッジ200の種別が判定される。すなわち、光の信号強度のパターンを多様化することができるので、判定可能なカートリッジ200の種別の数を増やすことができる。なお、更なる変更例として、部材221と部材222の反射率を逆にして、部材221を無反射部材とし、部材221を反射部材(例えば反射率90%)とするように、受光素子172での受光有無の切り替えパターンが特定されてもよい。
【0118】
図12Cの例では、図12Aの5つの円形の部材222~222の両端の円形の部材222,222図12Bの円形の無反射部材222とした配置パターンで構成される。図12Cの例のように、無反射部材222のような特定の部材を反射部220に含めることにより、特に、カートリッジ検知判定部55がカートリッジ200を検知及び判定する動作を開始及び終了させるための契機を与えることができる。つまり、図12Cの例では、図11のステップS30において、一方の無反射部材222のために光が受光されないことを契機にしてカートリッジ検知判定部55がカートリッジ200の検知を開始するのがよい。同様に、他方の無反射部材222のために光が再度受光されないことを契機にしてカートリッジ検知判定部55がカートリッジ200の検知を終了するのがよい。
【0119】
ここでは、カートリッジ検知判定部55にカートリッジ200の検知の契機を与えるための部材は、2つの無反射部材222に限定されないことが当業者には理解される。つまり、カートリッジ検知判定部55は、反射部220の第1種別の部材を介して受光素子172が第1信号強度の光を受光したのに応じて、カートリッジ200の検知の動作を開始させるのがよい。また、第2種別の部材を介して受光素子172が第2信号強度の光を受けたのに応じて、カートリッジ200の検知の動作を終了させるのがよい。
【0120】
そして、2つの無反射部材222の間に配置される3つの部材2222,2223,222の配置パターンに基づく受光素子172での光の信号強度のパターンの記録にしたがい、予め定義されメモリ18に格納された規則をカートリッジ検知判定部55と照合する。ここでの規則は、前述の例では、“反射率が70%、50%、そして30%の光をこの順に受光部172が受光すること”である。このようなパターン照合により、カートリッジ200の種別が判定される。
【0121】
これにより、光の信号強度のパターンを多様化することができるので、判定可能なカートリッジ200の種別の数を増やすことができる。また、カートリッジ検知判定部55によるカートリッジ200の検知の開始及び終了の契機を与えることにより、前述した図11のステップS20におけるカートリッジ200の検知のタイミングを更に限定できる。すなわち、誤検知を防止して、カートリッジ200の種別の判定の精度を向上させることができる。
上記に加え、反射部領域AR1,2は、図10A及び図10Bに図示される以外にも、電極面280において電極接続部210以外の領域全体そのもの(所定の光の反射率を有する。)としてもよい。
【0122】
(変形例2)
前述の説明においては、フォトセンサ17の一対の発光素子171及び受光素子172は、電源ユニット10のカートリッジ200との接続面80から周方向に突出するように設けられるものとした。これ以外にも、一対の発光素子171及び受光素子172が接続面の下となるように配置されてもよく、この場合、反射部220が移動するための溝が接続面80に設けられてもよい。より詳しくは、接続面80から下方に延びる溝が電源ユニット10の接続面80に設けられており、当該溝の側面にフォトセンサ17(一対の発光素子171及び受光素子172)が対向して設けられてもよい。そして、電源ユニット10にカートリッジ200を接続させる時に、カートリッジ200に設けられた反射部220が溝内又はその近傍を移動し、フォトセンサで照射された光を反射して、フォトセンサに戻す。そして、受光した光の信号強度を測定することに基づいて、カートリッジの種別を判定することができる。
【0123】
(変形例3)
前述の説明においては、フォトセンサ17の一対の発光素子171及び受光素子172は、電源ユニット10のカートリッジ200との接続面80から突出するように設けられるものとした。これ以外にも、フォトセンサ17は、カートリッジケース27の内周面に設けてもよい。この場合、カートリッジ200の反射部220は、カートリッジ200の電極面280ではなく、カートリッジ200の外周面に位置合わせして配置される。つまり、カートリッジ200の反射部220は、カートリッジケース27の内周面に対向するように、カートリッジ200の外周面上に、軸方向に沿ってフォトセンサ17と位置合わせされて配置される。これにより、電源ユニット10に対してカートリッジ200が回転を開始するときに(図6:手順C)、フォトセンサ17と反射部220とが協働して、カートリッジ200が検知される。
【0124】
(変形例4)
前述の説明においては、カートリッジ200がカートリッジケース27に挿入されて電源ユニット10に接続されるときに(図6:手順B)、電源ユニット10の接続面80に対してカートリッジ200の電極面280が周方向に位置合わせされるものとした。このような位置合わせの精度を向上させるために、本変形例では、図13A及び図13Bに示すように、更に、カートリッジ200と、カートリッジ200を保持するカートリッジケース27の空洞部とに、位置合わせのための機構を設けてもよい。
【0125】
図13Aは、変形例のカートリッジケース27’を軸方向から見た断面図である。また、図13Bは、変形例のカートリッジ200’を軸方向から見た断面図である。カートリッジケース27’は、空洞部の内壁の一部に、軸方向に沿って、対向する2つの凸部27c,27cを備えている。凸部27c,27cが配置される内壁内の位置は、軸方向に沿って、電源ユニット10と反対側のエンドキャップ26付近(つまり、カプセル・ユニット30の挿入口付近)に設けるのがよい。
【0126】
また、カートリッジ200’は、軸方向に沿って、対向する2つの凹部200c,200cを備えている。軸方向から見て、カートリッジ200’の断面は凹形状を有するように形成され、カートリッジケース27’の断面の上記凸形状に対応する。そして、カートリッジ200’の挿入時には、カートリッジ200’の断面が、カートリッジケース27’の断面に周方向に位置合わせされることになる。
【0127】
これにより、カートリッジ200’がカートリッジケース27’に挿入されるときに(図6:手順B)、確実に周方向に位置合わせすることができる。すなわち、電源ユニット10の接続面80に対してカートリッジ200’の電極面280が周方向に更に確実に位置合わせでき、後続のフォトセンサ17の発光素子171による発光の開始時(図11:S20)の位置をより正確に位置合わせすることができる。
【0128】
(変形例5)
前述の説明においては、発光素子171による発光の開始は、電源ユニット10の接続面80に対し、カートリッジ200の電極面280が周方向に位置合わせされてカートリッジケース27に挿入されたタイミングとした(図11:S20)。本変形例では、これ以外にも、図14に示されるように、物理スイッチを用いて開始のタイミングが特定されるように構成してもよい。
【0129】
図14は、物理スイッチ19を設けた電源ユニット10の変形例の概略斜視図である。フォトセンサ17、放電端子41、及び空気供給部42と同様に、物理スイッチ19が、接続面80上に軸線Lの方向に沿って突出するように設けられる。物理スイッチ19は、電源ユニット10に対してカートリッジ200が回転を開始した(図6:手順C)直後に押下されるように、接続面80上の位置に配置されるのがよい。
【0130】
物理スイッチ19が押下されたことは、カートリッジ検知判定部55によって特定可能であればよい。そして、図11のステップS20では、物理スイッチ19が押下されたのに応じて、カートリッジ検知判定部55が発光素子171に発光させるのがよい。具体的には、カートリッジ検知判定部55は、電源ユニット10がカートリッジ200に接続されるときに当該物理スイッチ19がカートリッジ200によって押下されたことを判定し、これを契機として、発光素子171に発光させるように構成するのがよい。
【0131】
なお、電源ユニット10の物理スイッチ19に対応して、物理スイッチ19を押下するための突起をカートリッジ200に設けるのがよい。これにより、フォトセンサ17を活性化させる開始のタイミングを制限することができるので、発光に伴う消費電力を更に削減することができる。
【0132】
同様に、物理スイッチ19が電源ユニット10に具備される場合に、発光素子171が発光した後、物理スイッチ19が再び押下されたのに応じて、カートリッジ検知判定部55が発光素子171による発光を終了させてもよい。具体的には、電源ユニット10に対してカートリッジ200が回転するときに、物理スイッチ19がカートリッジ200の突起によって再度押下されるように構成してもよい。
【0133】
発光を終了させるための物理スイッチは、発光素子171に発光させるための物理スイッチ19と同一でも別個でもよい。これらが別個のものとする場合は、カートリッジ200と電源ユニット10とが係合する(図6:手順C)直前に、物理スイッチ19がカートリッジ200によって再度押下されるように、物理スイッチ19は接続面80上の位置に配置されるのがよい。これにより、フォトセンサ17を活性化させる終了のタイミングを制限できるので、発光に伴う消費電力を更に削減することができる。
【0134】
(変形例6)
前述の説明においては、発光素子171による発光の開始は、電源ユニット10の接続面80に対し、カートリッジ200の電極面280が周方向に位置合わせされてカートリッジケース27に挿入されたタイミングとした(図11:S20)。変形例では、これ以外にも、発光素子171による発光の開始は、カートリッジ200が電源ユニット10に接続された後、ユーザによる操作部14の押下を受けたのに応じて動作するように制御されてもよい。つまり、カートリッジ200が電源ユニット10に接続された後、ユーザがパフ動作を行うために操作部14を押下したタイミングで、制御部50は、発光素子171に発光を開始させ、そして、カートリッジの判別のための一連の動作を実行するように動作してもよい。
【0135】
<他の実施形態>
本開示の他の実施形態について図15を参照して説明する。図15は、本開示の他の実施形態におけるエアロゾル生成装置1の電源ユニット10aの構成例を示すブロック図である。電源ユニット10aは、制御部50aと、フォトセンサ17aと、メモリ18aとを備える。
【0136】
フォトセンサ17a及びメモリ18aは、例えば、図5に示した本開示の一実施形態におけるフォトセンサ17及びメモリ18にそれぞれ相当する。また、制御部50aは、例えば、図5に示した本開示の一実施形態における制御部50の一部に相当する。特にカートリッジ検知判定部55aは、例えば、図5に示した本開示の一実施形態におけるカートリッジ検知判定部55に相当する。
【0137】
フォトセンサ17aは、一対の発光素子及び受光素子を備える。そして、制御部50aは、電源ユニット10aがカートリッジ200に接続するとき又は接続された後に、カートリッジ200に設けられた反射部220を介して、発光素子171から発光された光を受光素子172が受光することによって、フォトセンサ17aにカートリッジ200を検知させ、検知の結果に基づいてカートリッジ200の種別を判定するように構成される。
【0138】
上述の説明において、幾らかの実施形態に係るエアロゾル生成装置の電源ユニット及びカートリッジ、並びにカートリッジの種別を判定する方法が図面を参照して説明された。本開示は、プロセッサにより実行されると、当該プロセッサに、カートリッジの種別を判定する方法を実行させるプログラム、又は当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体としても実施され得ることが理解される。
【0139】
また、これまで説明してきた本開示の実施形態及びその変更例は例示にすぎず、本開示の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、実施形態の変更、追加、改良等を適宜行うことができることが理解されるべきである。本開示の範囲は、上述した実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されるべきである。
【符号の説明】
【0140】
1・・・エアロゾル生成装置、10,10a・・・電源ユニット、11・・・電源ユニットケース、110・・・第1回転接続部、12・・・電源、14・・・操作部、15・・・吸気センサ、16・・・電圧センサ、17,17a・・・フォトセンサ、171・・・発光素子、172・・・受光素子、18,18a・・・メモリ、19・・・物理スイッチ、45・・・報知部、50,50a・・・制御部、51・・・エアロゾル生成要求検出部、52・・・操作検出部、53・・・電力制御部、54・・・報知制御部、55,55a・・・カートリッジ検知判定部、80・・・接続面、20・・・カートリッジ・ユニット、27,27’・・・カートリッジケース、27c,27c・・・凸部、200,200’・・・カートリッジ、200c,200c・・・凹部、260・・・第2回転接続部、210・・・接続電極部、220・・・反射部、221(221,221),222(2221~6)…反射部の部材、222…無反射部材、280・・・電極面、反射部領域・・・AR,AR、26・・・エンドキャップ、261・・・滑り止め部材、30・・・カプセル・ユニット、310・・・開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14
図15