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特許7348319コンタクトデバイスおよびコンタクトデバイスを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】コンタクトデバイスおよびコンタクトデバイスを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20230912BHJP
   H01R 43/16 20060101ALI20230912BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H01R13/42 H
H01R43/16
H01R13/11 A
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022002681
(22)【出願日】2022-01-12
(65)【公開番号】P2022109887
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】10 2021 100 806.9
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト クランツライン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ライミンガー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス エットレ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ラープ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス リープル
(72)【発明者】
【氏名】マリーナ ヘルトライン
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-227751(JP,A)
【文献】特開2019-050195(JP,A)
【文献】特開2017-139213(JP,A)
【文献】特開2005-259602(JP,A)
【文献】特開2004-362973(JP,A)
【文献】特開昭60-039802(JP,A)
【文献】特開2013-251265(JP,A)
【文献】米国特許第05266056(US,A)
【文献】特開2012-195277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/10 -13/14
H01R 13/40 -13/533
H01R 43/027-43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ータ信号を伝送するためのコンタクトデバイス(10)であって、
-コンタクトハウジング(15)と、コンタクト要素(20)とを有し、
-前記コンタクトハウジング(15)は、コンタクトレセプタクル(25)と、前記コンタクトレセプタクル(25)に開いているラッチレセプタクル(30)とを有し、
-前記コンタクト要素(20)は、コンタクト本体(45)とラッチばね(50)とを有し、前記ラッチばね(50)は、固定端(65)で前記コンタクト本体(45)に接続され、ばね軸(70)に沿って延び、前記ばね軸(70)は、前記ラッチばね(50)の長手方向に沿って延び、
-前記コンタクト本体(45)は、前記コンタクトレセプタクル(25)に配置され、長手方向(x)に沿って延び、
-前記コンタクト本体(45)は、相手側コンタクトデバイス(57)の相手側コンタクト(56)に接触するように構成され、
-前記コンタクトレセプタクル(25)における前記コンタクト要素(20)の前記長手方向の変位は、停止面(90)が前記ラッチレセプタクル(30)の第1のレセプタクル側面(35)に当接することによって少なくとも部分的に阻止され、
-前記ラッチばね(50)は、少なくとも部分的に前記ラッチレセプタクル(30)に係合し、前記ばね軸(70)に対して斜めに傾斜して配置されている前記停止面(90)を自由端(75)に有し、
-前記ラッチばね(50)は、エンボス部(105)を有し、
-前記エンボス部(105)は、前記ラッチばね(50)の前記停止面(90)から所定の第1の距離(a)をおいて配置されており
-前記ラッチばね(50)は、前記エンボス部(105)と前記固定端(65)との間に前記固定端(65)から連続して前記ばね軸(70)に沿って延びる第1のばね部(110)を有し、
-前記第1のばね部(110)は、前記ばね軸(70)に沿って一定の第1の材料厚(d )を有し、
-前記ラッチばね(50)は、前記エンボス部(105)に第2の材料厚(d )を有し、前記第2の材料厚(d )は、前記第1のばね部(110)の前記第1の材料厚(d )に対して薄くなっている、コンタクトデバイス。
【請求項2】
-前記第2の材料厚(d)は、前記第1の材料厚(d)の10パーセント~98パーセントである、請求項に記載のコンタクトデバイス(10)。
【請求項3】
-前記ラッチばね(50)は、前記ばね軸(70)に沿った第1の方向に最大全長(l)を有し、
-前記第1の方向における前記エンボス部(105)と前記停止面(90)との間の前記所定の第1の距離(a)は、前記ラッチばね(50)の前記最大全長(l)の1パーセント~50パーセントである、請求項1または2に記載のコンタクトデバイス(10)。
【請求項4】
-前記停止面(90)は、前記ラッチばね(50)の外縁部(95)と前記ラッチばね(50)の内縁部(100)との間で、前記長手方向(x)に対して傾斜した第2の方向(z)に延び、
-前記外縁部(95)は、前記コンタクト本体(45)と反対向きの前記自由端(75)の側に配置され、前記内縁部(100)は、前記コンタクト本体(45)に面する前記ラッチばね(50)の前記自由端(75)の側に配置され、
-前記ラッチレセプタクル(30)の前記第1のレセプタクル側面(35)と前記停止面(90)とは、互いに対して平行となる向きとなっている、請求項1からのいずれか一項に記載のコンタクトデバイス(10)。
【請求項5】
-前記停止面(90)は、前記ラッチばね(50)の外縁部(95)と前記ラッチばね(50)の内縁部(100)との間で、前記長手方向(x)に対して傾斜した第2の方向(z)に延び、
-前記外縁部(95)は、前記コンタクト本体(45)と反対向きの前記自由端(75)の側に配置され、前記内縁部(100)は、前記コンタクト本体(45)に面する前記ラッチばね(50)の前記自由端(75)の側に配置され、
-前記外縁部(95)と前記ラッチレセプタクル(30)の前記第1のレセプタクル側面(35)との間の第2の距離(b)が、前記内縁部(100)と前記第1のレセプタクル側面(35)との間の第3の距離(b)よりも短い、請求項1からのいずれか一項に記載のコンタクトデバイス(10)。
【請求項6】
-前記停止面(90)は、打抜きプロセスによって製造され、
-前記停止面(90)は、切断部(130)と破断部(135)とを有し、
-前記切断部(130)は、前記外縁部(95)に隣接し、前記コンタクト本体(45)に向かって前記第2の方向(z)に延び、
-前記破断部(135)は、前記内縁部(100)と前記切断部(130)との間で前記第2の方向(z)に延び、
-前記切断部(130)において、前記ラッチばね(50)のシートメタル材料(150)が、前記外縁部(95)から前記内縁部(100)まで前記第2の方向(z)に切断され、前記破断部(135)において、前記ラッチばね(50)の前記シートメタル材料が前記内縁部(100)に向かって破断されている、請求項またはに記載のコンタクトデバイス(10)。
【請求項7】
-前記ラッチばね(50)は、前記コンタクト本体(45)と反対向きの側に配置されている外面(80)と、前記コンタクト本体(45)に面する側に配置されている内面(85)とを有し、
-前記エンボス部(105)は、前記外面(80)にエンボスされ、
-前記内面(85)は、平面状である、請求項1からのいずれか一項に記載のコンタクトデバイス(10)。
【請求項8】
-前記ラッチばね(50)は、第1の側面(120)と、前記長手方向(x)に対して傾斜した第3の方向(y)において前記第1の側面(120)とは反対側に配置されている第2の側面(125)とを有し、
-前記第1の側面(120)と前記第2の側面(125)とは各々、前記外面(80)を前記内面(85)に接続し、
-前記エンボス部(105)は、前記第1の側面(120)と前記第2の側面(125)との間で前記ラッチばね(50)の最大方向長さ(qの15パーセント~98パーセントにわたって延び、
-前記エンボス部(105)は、前記第1の側面(120)と前記第2の側面(125)との間に連続して形成されており、
-前記エンボス部(105)は、前記第1の側面(120)と前記第2の側面(125)との間にセグメント化して形成されており、
-前記第1の側面(120)と前記第2の側面(125)との間における前記第1のばね部(110)の前記第1の材料厚(d)は、前記第3の方向において一定である、請求項に記載のコンタクトデバイス(10)。
【請求項9】
-前記ラッチばね(50)は板状であり、前記ばね軸(70)は、前記ラッチばね(50)の断面形状内で延びるように配置され、かつ/または、
-前記エンボス部(105)は、スロット状であり、半縦断面においてV字状または部分円形または半円形である、請求項1からのいずれか一項に記載のコンタクトデバイス(10)。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載のコンタクトデバイス(10)を製造する方法であって、
-前記コンタクト要素(20)のブランク(140)が、薄肉材料(150)から切り抜かれ,
-前記ラッチばね(50)の前記材料(150)が前記自由端(75)の方向に押されるように、前記エンボス部(105)が、前記ラッチばね(50)の前記自由端(75)から前記所定の第1の距離(a)をおいて形成され、
-前記ブランク(140)は、折り曲げられて前記コンタクト要素(20)を形成し、
-前記コンタクトハウジング(15)が設けられ、
-前記コンタクト要素(20)は、前記コンタクトレセプタクル(25)に押し込まれ、
-前記ラッチばね(50)は、前記コンタクトハウジング(15)に対する前記コンタクト要素(20)の端位置で前記ラッチレセプタクル(30)に係合する、方法。
【請求項11】
-前記エンボス部(105)は、パンチ(160)を使用して前記ブランク(140)の第1の面(80)から前記ラッチばね(50)にエンボスされ、
-前記ブランク(140)は、前記第1の面(80)とは反対側にある第2の面(85)で平面状のダイ(155)に置かれ、前記ブランク(140)が前記第2の面(85)で隆起することを防ぐ、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
-前記エンボス部(105)は、前記停止面(90)が前記ばね軸(70)に対して斜めとなる向きとなるように形成されている、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記薄肉材料(150)は、シートメタル材料であり、
-前記エンボス部(105)は、前記エンボス部(105)と前記停止面(90)との間の前記ラッチばね(50)の前記シートメタル材料(150)が前記外縁部(95)の方向に押されるように、前記ラッチばね(50)に形成されている、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
-前記コンタクト要素(20)が曲げられている間、前記ラッチばね(50)の板状の基本形状が維持されることで、前記ラッチばね(50)は曲げ動作後に矩形の外形を有するようになっている、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
コンタクトデバイス(10)を製造する方法であって、
前記コンタクトデバイス(10)は、
-コンタクトハウジング(15)と、コンタクト要素(20)とを有し、
-前記コンタクトハウジング(15)は、コンタクトレセプタクル(25)と、前記コンタクトレセプタクル(25)に開いているラッチレセプタクル(30)とを有し、
-前記コンタクト要素(20)は、コンタクト本体(45)とラッチばね(50)とを有し、前記ラッチばね(50)は、固定端(65)で前記コンタクト本体(45)に接続され、ばね軸(70)に沿って延び、
-前記コンタクト要素(20)のブランク(140)が、シートメタル材料(150)から切り抜かれ、
-エンボス部(105)が、前記ラッチばね(50)の自由端(75)から所定の第1の距離(a)をおいて形成され、
-前記エンボス部(105)は、パンチ(160)を使用して前記ブランク(140)の第1の面(80)から前記ラッチばね(50)にエンボスされ、
-前記ブランク(140)は、折り曲げられて前記コンタクト要素(20)を形成し、
-前記コンタクトハウジング(15)が設けられ、
-前記コンタクト要素(20)は、前記コンタクトレセプタクル(25)に押し込まれ、
-前記ラッチばね(50)は、前記コンタクトハウジング(15)に対する前記コンタクト要素(20)の端位置で前記ラッチレセプタクル(30)に係合し、
-前記ブランク(140)は、前記第1の面(80)とは反対側にある第2の面(85)で平面状のダイ(155)に置かれ、前記ブランク(140)が前記第2の面(85)で隆起することを防ぎ、
-前記自由端(75)に配置された前記ラッチばね(50)の停止面(90)が前記ばね軸(70)に対して斜めとなる向きとなるように、前記エンボス部(105)は、前記エンボス部(105)と前記停止面(90)との間の前記ラッチばね(50)の前記シートメタル材料(150)が前記停止面(90)の外縁部(95)の方向に押されるように、前記ラッチばね(50)に形成されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のコンタクトデバイス、および請求項11に記載のコンタクトデバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2020/0176917(A1)号は、コンタクトハウジングとコンタクト要素とを有するコンタクトデバイスであって、コンタクト要素がコンタクトハウジングに配置され、ラッチばねを有する、コンタクトデバイスを開示している。ラッチばねは、コンタクトハウジングのラッチレセプタクルに係合する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改良されたコンタクトデバイス、およびこのようなコンタクトデバイスを製造する改良された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載のコンタクトデバイス、および請求項11に記載のコンタクトデバイスを製造する方法によって実現される。有利な実施形態は、従属請求項に明記される。
【0005】
好ましくはデータ信号を伝送するための改良されたコンタクトデバイスを、コンタクトハウジングとコンタクト要素とを有し、コンタクトハウジングは、コンタクトレセプタクルと、コンタクトレセプタクルに開いているラッチレセプタクルとを有する、コンタクトデバイスによって提供できることが認識されている。コンタクト要素は、コンタクト本体とラッチばねとを有し、ラッチばねは、固定端でコンタクト本体に接続され、ばね軸に沿って延びる。
コンタクト本体は、コンタクトレセプタクルに配置され、長手方向に沿って延びる。コンタクト本体は、相手側コンタクトデバイスの相手側コンタクトに接触するように構成されている。ラッチばねは、少なくとも部分的にラッチレセプタクルに係合し、自由端に停止面を有する。ラッチばねはエンボス部をさらに有し、エンボス部は、ラッチばねの停止面から所定の第1の距離をおいて配置されている。コンタクト要素の長手方向の変位は、停止面がラッチレセプタクルの第1のレセプタクル側面に当接することによって少なくとも部分的に阻止される。
【0006】
この改良点は、エンボス部により、ラッチばねが自由端の領域で特に硬くなり、ラッチばねが自由端でコンタクト本体に向かって内側に曲がることを防ぐという利点がある。
【0007】
さらなる実施形態において、ラッチばねは、エンボス部と固定端との間に第1のばね部を有する。第1のばね部は、ばね軸に沿って一定の第1の材料厚を有する。ラッチばねは、エンボス部に第2の材料厚を有し、第2の材料厚は、第1のばね部の第1の材料厚に対して薄くなっている。この改良点は、ラッチばねの隆起をなくすことができるため、ラッチばねが特に小型で平坦になるという利点を有する。
【0008】
さらなる実施形態において、第2の材料厚は、第1の材料厚の10パーセント~98パーセントである。第2の材料厚は、第1の材料厚の50パーセント~98パーセントであることが有利である。この範囲の第2の材料厚は、特に、第1に、自由端の領域においてラッチばねを補強するのに適しており、第2に、第2の材料厚によるラッチばねの過度の弱化をなくすのに適している。
【0009】
さらなる実施形態において、ラッチばねは、ばね軸に沿った第1の方向に最大全長(maximum total extent)を有し、第1の方向におけるエンボス部と停止面との間の所定の第1の距離は、ラッチばねの最大全長の1パーセント~50パーセント、好ましくは1パーセント~30パーセント、特に1パーセント~15パーセント、有利には3パーセント~50パーセント、好ましくは3パーセント~30パーセント、特に3パーセント~15パーセントである。
【0010】
この改良点は、エンボス部が停止面に直接隣接せず、したがって、停止面を支持するのに十分な材料が固定端に面する側の後部に配置されているという利点を有する。その結果、ラッチばねに力を導入するときに、力に関して不利な停止面への負荷を防ぐことができる。
【0011】
さらなる実施形態において、停止面は、ラッチばねの外縁部とラッチばねの内縁部との間で、長手方向に対して傾斜した第2の方向に延びる。外縁部は、コンタクト本体と反対向きのラッチばねの自由端の側に配置され、内縁部は、コンタクト本体に面するラッチばねの自由端の側に配置されている。自由端に面する第1のレセプタクル側面と停止面とは、互いに対して平行となる向きとなっている。この改良点は、停止面が第1のレセプタクル側面に当接するときに、効果的な力の導入が保証されるという利点を有する。
【0012】
さらなる実施形態において、停止面は、ラッチばねの外縁部とラッチばねの内縁部との間で、長手方向に対して傾斜した第2の方向に延びる。外縁部は、コンタクト本体と反対向きの自由端の側に配置され、内縁部は、コンタクト本体に面するラッチばねの自由端の側に配置されている。外縁部と、自由端に面する第1のレセプタクル側面との間の第2の距離が、内縁部と第1のレセプタクル側面との間の第3の距離よりも短い。この改良点は、ラッチばねに力が導入されたときに、斜めに配置された停止面によって、ラッチばねがコンタクト本体から押し離され、その結果、コンタクトハウジングが、ラッチレセプタクルの第1のレセプタクル側面で破損することを防ぐことができ、または、コンタクトハウジングは、かなり大きい力によってしか破損しないという利点を有する。
【0013】
さらなる実施形態において、停止面は、打抜きプロセスによって製造される。停止面は、切断部と破断部とを有し、切断部は、外縁部に隣接し、コンタクト本体に向かって第2の方向に延びる。破断部は、内縁部と切断部との間で第2の方向に延びる。切断部において、ラッチばねのシートメタル材料が、外縁部から内縁部まで第2の方向に切断され、破断部において、ラッチばねのシートメタル材料が内縁部に向かって破断されている。この改良点は、外縁部が、特に規定された方法で形成され、その結果、ラッチばねに力が導入されたときに、第1のレセプタクル側面に特に容易に押し込まれるという利点を有する。これにより、停止面が、コンタクト本体の方向の内側へ第2の方向に望ましくなく滑ることを確実に防ぐ。
内縁部は、打抜きにより破断部に隣接するため、外縁部よりも鋭利でないので、ラッチばねは、特に内縁部が唯一の縁部として第1のレセプタクル側面に当接する場合に、第1のレセプタクル側面で滑ることを防ぐことができる。
【0014】
さらなる実施形態において、ラッチばねは、コンタクト本体と反対向きの側に配置されている外面と、コンタクト本体に面する側に配置されている内面とを有する。エンボス部は外面にエンボスされている。内面は平面状であることが好ましい。この改良点は、外縁部が特に鋭利であり、ばね軸に沿った平面状の内面により、エンボス部の材料厚が確実に薄くなるという利点を有する。
【0015】
さらなる実施形態において、ラッチばねは、第1の側面と、長手方向に対して傾斜した第3の方向において第1の側面とは反対側に配置されている第2の側面とを有する。第1の側面と第2の側面とは各々、外面を内面に接続する。エンボス部は、第1の側面と第2の側面との間でラッチばねの最大横方向長さ(maximum transverse extent)の少なくとも50パーセント~98パーセントにわたって延びる。エンボス部は、第1の側面と第2の側面との間に連続して形成されていることが好ましい。エンボス部は、第1の側面と第2の側面との間にセグメント化して形成されていることが好ましい。第1の側面と第2の側面との間における第1のばね部の第1の材料厚は、第3の方向において一定であることが好ましい。この改良点は、ラッチばねが特に平坦であり、ラッチばねのために必要な設置スペースが特に小さいという利点を有する。
【0016】
さらなる実施形態において、ラッチばねは板状であり、ばね軸は、ラッチばねの断面形状内で延びるように配置されている。この改良点は、簡単なシートメタル材料から特に費用効率の高い方法でコンタクト要素を製造できるという利点を有する。加えて、または代わりに、エンボス部は、少なくとも部分的に、三角形および/または部分円形および/または半円形の外形を有するスロット状である。この改良点は、停止面がばね軸に対して斜めに傾斜する向きとなるようにラッチばねを変形させるのに特に適している。
【0017】
上記のコンタクトデバイスを、薄肉材料、特にシートメタル材料から切り抜かれた、例えば打ち抜かれたコンタクト要素のブランクによって製造することができる。ラッチばねの材料が自由端の方向に押されるように、エンボス部が、ラッチばねの自由端から所定の第1の距離をおいて形成されている。ブランクは折り曲げられてコンタクト要素を形成し、コンタクトハウジングが設けられる。コンタクト要素はコンタクトレセプタクルに押し込まれ、ラッチばねは、コンタクトハウジングに対するコンタクト要素の端位置でラッチレセプタクルに係合する。
【0018】
この方法は、停止面がばね軸に対して斜めに傾斜する向きとなり、さらにラッチばねが自由端の領域で補強されるという利点を有する。
【0019】
エンボス部は、パンチを使用してブランクの第1の面からラッチばねにエンボスされ、ブランクは、第1の面とは反対側にあるブランクの第2の面で平面状のダイに置かれ、エンボス部が第1の面にエンボスされたときにブランクが第2の側で隆起することを防ぐ。これにより、コンタクト要素が折り曲げられた後に内面を形成する第2の面が平面状であることが保証される。これにより、エンボス部がラッチばねにエンボスされたときに、材料が確実にダイの方向ではなく、停止面の方向に押されるため、このようなエンボス動作によって、停止面の向きおよび構成を特に正確に構成できることがさらに保証される。
【0020】
さらなる実施形態において、エンボス部は、エンボス部と停止面との間のラッチばねのシートメタル材料が外縁部の方向に押されるように、ラッチばねに形成されている。その結果、外縁部は、内縁部に対してばね軸に沿って変位する。
【0021】
さらなる実施形態において、コンタクト要素が曲げられている間、ラッチばねの板状の基本形状が維持することで、ラッチばねは曲げ動作後に矩形の外形を有するようになっている。この改良点は、特に、コンタクト要素の特に小さい構成について必要であり、したがって、データ伝送に適したコンタクト要素を製造するのに特に適している。
【0022】
以下で、図面を参照しながら、本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施形態によるコンタクトデバイスの半縦断面図である。
図2図1に示したコンタクトデバイスにおいて、図1でAとして表示した部分の詳細図である。
図3図2に示すラッチばねの観察方向Bからの、図1および図2に示したラッチばねの平面図である。
図4図2に示したコンタクトデバイスの断面図において、図2でCとして表示した部分の拡大詳細図である。
図5】力Fの作用下にある、図2に示したコンタクトデバイスの断面図において、図2でCとして表示した部分の拡大詳細図である。
図6】第1の方法ステップ中における、ラッチばねを通る図3に示した断面D-Dに沿った断面図である。
図7】第2の方法ステップ中における、図3に示したラッチばねを通る図3で示した断面D-Dに沿った断面図である。
図8】第2の実施形態によるコンタクトデバイスの、図1に示す詳細Aを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の図で、座標系を参照する。座標系は、x軸(長手方向)、y軸(横方向)、およびz軸(垂直方向)を有する。座標系は、例として、右手系として構成され、理解を容易にする役割を果たす。
【0025】
図1は、第1の実施形態によるコンタクトデバイス10の半縦断面図である。
【0026】
コンタクトデバイス10は、例えば、データ信号を伝送するように構成されている。コンタクトデバイス10は、例えば、コンタクトハウジング15とコンタクト要素20とを有する。コンタクトハウジング15は、コンタクトハウジング15の第1の開口部79と第2の開口部84との間で長手方向に延びるコンタクトレセプタクル25を有する。コンタクトレセプタクル25は、例として、実質的にコンタクトハウジング15の全長にわたって長手方向に延びる。コンタクトハウジング15は、ラッチレセプタクル30をさらに有する。
【0027】
図1の例として、ラッチレセプタクル30は、垂直方向に延び、コンタクトレセプタクル25の上方に配置されている。ラッチレセプタクル30は、コンタクトレセプタクル25に開いている。ラッチレセプタクル30は、第1のレセプタクル側面35と、x方向において反対側に位置する第2のレセプタクル側面40とによってx方向に境界付けられている。第1のレセプタクル側面35と第2のレセプタクル側面40とは、コンタクトレセプタクル25に隣接する。
【0028】
コンタクト要素20は、コンタクト本体45とラッチばね50とを有する。コンタクト本体45は、その主伸長方向において略長手方向に延びる。コンタクト本体45は、例えば、相手側コンタクトレセプタクル55(図1に破線で示す)または差込コンタクト(図1に示さない)を有することができる。相手側コンタクトレセプタクル55は、例えば、相手側コンタクトデバイス57の相手側コンタクト56を受け入れて、相手側コンタクト56とコンタクト本体45との間に電気的接触を確立するように機能する。例として、相手側コンタクト56を、第1の開口部79を介してコンタクト要素20の相手側コンタクトレセプタクル55に挿入することができる。
【0029】
コンタクト本体45は、接続部60をさらに有することができ、接続部60は、例として、ラッチばね50に対して長手方向にずれて配置されている。接続部60は、コンタクト要素20をデータケーブルの電気導体に電気的に接続するように機能する。例えば、電気導体を、接続部60に圧着または溶接することができる。
【0030】
コンタクト本体45の接続部60とx方向に反対向きの側かつ第1の開口部79に面する側で、例として、ラッチばね50は、固定端65によってコンタクト本体45に接続されている。ラッチばね50は、ばね軸70に沿って延びる。ばね軸70は、x軸に対して、またはxy面に対して斜めに傾斜して配置されている。ラッチばね50は、コンタクトレセプタクル25からラッチレセプタクル30に突出する。ラッチばね50とラッチレセプタクル30とは、長手方向に略同じ長さを有することができる。
【0031】
組立時に、コンタクト要素20は、好ましくはコンタクト本体45の端側が第1の開口部79においてコンタクトハウジング15の突起144に当たって停止するまで、第2の開口部84を介してコンタクトレセプタクル25に挿入される。
【0032】
図2は、図1に示したコンタクトデバイス10において、図1でAとして表示した部分の詳細を示す。
【0033】
ラッチばね50は、コンタクトハウジング15におけるコンタクト要素20の端位置でラッチレセプタクル30に突出する。ラッチばね50は、固定端65からばね軸70に沿って略直線状に延びる。ラッチばね50は、例えば板状である。ラッチばね50は、長手方向において固定端65とは反対側に位置する自由端75で終端する。ラッチばね50は、コンタクト本体45と反対向きの側に外面80を有し、コンタクト本体45に面する側に内面85を有する。外面80は、略平面状である。同様に、内面85は略平面状である。ラッチばね50は、自由端75に停止面90を有する。停止面90は、外面80を内面85に接続する。この場合、停止面90は、外縁部95で外面80に垂直方向に隣接する。停止面90は、内縁部100で内面85に隣接する。停止面90は、ばね軸70に対して斜めに傾斜した平面において完全に延びることが好ましい。
【0034】
ラッチばね50は、外面80にエンボス部105をさらに有する。エンボス部105は、停止面90、特に外縁部95から所定の第1の距離をおいて配置されている。
【0035】
エンボス部105は、スロット状であり、その主伸長方向においてばね軸70に対して略横方向に、したがって略y方向に延びる。エンボス部105は、例として、半縦断面において三角形の外形を有する。エンボス部105の異なる外形も可能である。
【0036】
エンボス部105は、ラッチばね50を、ばね軸70に沿って第1のばね部110と第2のばね部115とに分割する。第1のばね部110は、ばね軸70に沿って固定端65とエンボス部105との間に延びる。第2のばね部115は、ばね軸70に沿って停止面90とエンボス部105との間に延びる。第1のばね部110において、ラッチばね50は、内面85と外面80との間に第1の材料厚dを実質的に有する。第1の材料厚dは、第1のばね部110にわたって略一定である。
【0037】
内面85とエンボス部105との間の第2の最小材料厚dは、第1の材料厚dに対して薄くなっている。特に、第2の最小材料厚dは、第1の材料厚dの10パーセント~98パーセントである。エンボス部105から停止面90までの第3の材料厚dは、第2のばね部115において減少し得る。
【0038】
ラッチばね50は、固定端65と外縁部95との間にばね軸70に沿った最大全長lを有する。ばね軸70に対して平行な方向におけるエンボス部105と停止面90との間、特にエンボス部105と外縁部95との間の所定の第1の距離が、ラッチばね50の最大全長lの1パーセント~50パーセント、好ましくは1パーセント~30パーセント、特に1パーセント~15パーセント、有利には3パーセント~50パーセント、好ましくは3パーセント~30パーセント、特に3パーセント~15パーセントであると特に有利である。
【0039】
実施形態において、停止面90は、コンタクト要素20がコンタクトハウジング15に取り付けられている状態で、第1のレセプタクル側面35に対して斜めに傾斜して配置されている。ここで、例として、固定端65は、第2のレセプタクル側面40に面するラッチばね50の長手方向側に配置されている。停止面90は、例えば、外縁部95と第1のレセプタクル側面35との間の長手方向の第2の距離bが、内縁部100と第1のレセプタクル側面35が延びる平面との間の長手方向の第3の距離bよりもかなり短くなるように、ばね軸70に対して斜めとなる向きとなっている。
【0040】
第2の開口部84を介したコンタクト要素20の長手方向の引抜きまたは取出しは、停止面90が第1のレセプタクル側面35に当たって停止することによって防止される。この場合、外縁部95は、最初に第1のレセプタクル側面35に物理的に接触する。
【0041】
図3は、図2に示すラッチばね50の観察方向Bからの、ラッチばね50の平面図である。
【0042】
ラッチばね50は略板状であり、平面図において略矩形の構成を有する。ラッチばね50は、第1の側面120と、横方向(y方向)において第1の側面120とは反対側に配置されている第2の側面125とを有する。第1の側面120と第2の側面125とは各々、ばね軸70に沿って延びる。この場合、第1の側面120と第2の側面125とを、ばね軸70に対して平行にとなる向きにすることができる。第1の側面120と第2の側面125とは各々、ラッチばね50の外面80を内面85に接続する。ラッチばね50の自由端75で、第1の側面120と第2の側面125とは各々、停止面90に横方向に突き当たる。
【0043】
ラッチばね50は、横方向に第1の最大横方向長さqを有する。エンボス部105が、第1の最大方向長さqの少なくとも15パーセント~98パーセントである少なくとも1つの第2の最大方向長さqを有すると特に有利である。エンボス部105は、第1の側面120と第2の側面125との間の外面80にわたって完全に横方向に、外面80で連続して延びていてもよい(図3に破線で示す)。エンボス部105は、第1の側面120と第2の側面125との間の外面80にわたって横方向にセグメント化されて外面80で延び、エンボス部105が、y方向に互いに離間し隣接して配置されている複数の部分から形成されるようになっていてもよい。
【0044】
図4は、図2に示したコンタクトデバイス10の断面図において、図2でCとして表示した部分の拡大詳細図である。
【0045】
コンタクト要素20を、打抜きプロセスによって平面状のブランク140から製造することができる。打抜きプロセス中に、停止面90がブランク140から打ち抜かれる。停止面90の切断方向は、例えば、外面80から内面85に向かって延びる。この結果、打抜き動作中、停止面90は切断部130と破断部135とを有する。切断部130は、垂直方向において外縁部95に、したがって外面80に直接隣接する。破断部135は、コンタクト本体45に面する停止面90の側に配置され、内縁部100と切断部130との間で垂直方向に延びる。
切断部130とは対照的に、破断部135は、打抜きプロセス中にラッチばね50のシートメタル材料150が破断されることを特徴としているため、ラッチばね50のシートメタル材料150が切断され、かつ対応する切断跡が停止面90で識別可能である切断部130とはかなり異なる。切断部130は、その切断構造により、破断部135よりも粗さがかなり低いため、その幾何形状が特に明確である。切断部130により、外縁部95は内縁部100よりも鋭利である。
【0046】
図5は、力Fの作用下にある、図2に示したコンタクトデバイス10の断面図において、図2でCとして表示した部分の拡大詳細図である。以下で、図1図5を共に参照する。
【0047】
コンタクト要素20は、コンタクトハウジング15において周方向に保持されている。差込方向Sとは反対に延びる長手方向において、コンタクト要素20の端側は、コンタクトハウジング15の第1の開口部79で突起144にぶつかる。
【0048】
x軸に対して平行に延びる差込方向Sにおいて、相手側コンタクト56は、例えば、力Fにより相手側コンタクトレセプタクル55に挿入される。代わりに、データケーブルを引くことによって、力Fをコンタクト要素20に導入してもよい。力Fは、例えば、x軸(図1参照)に対して略平行に、第1の開口部79から第2の開口部84に向けられる。コンタクト要素20に作用する力Fは、停止面90およびコンタクトハウジング15の関連する第1のレセプタクル側面35に支持され、コンタクトハウジング15に導入される。その結果、コンタクトレセプタクル25におけるコンタクト要素20の位置が実質的に固定される。
【0049】
力Fがラッチばね50に導入されると、力導入動作の開始時に、停止面90は外縁部95において第1のレセプタクル側面35に当接する(図4参照)。内縁部100は、第1のレセプタクル側面35から距離をおいて配置されている。
【0050】
力Fが増加するにつれて、外縁部95は第1のレセプタクル側面35に押し込まれる。このプロセスにおいて、外縁部95は、第1のレセプタクル側面35においてコンタクトハウジング15の材料に切り込む(図5参照)。停止面90は、x軸に対して、かつ力Fに対して斜めとなる向きとなっているため、支持力Fzを発生させ、この支持力Fは、z方向に作用し、コンタクト本体45から離れる方を向く。支持力Fは、切断部130において、停止面90が、コンタクト本体45から離れてコンタクトハウジング15のシートメタル材料150に貫入し、コンタクトハウジング15のシートメタル材料150への貫入が進むにつれて、内縁部100とコンタクト本体45との間の第4の最小距離wが増加するという効果を有する(図1および図5参照)。
最初に外縁部95で物理的に接触し、停止面90が第1のレセプタクル側面35で外側にスライドすることにより、ラッチばね50は、第1のレセプタクル側面35においてコンタクトハウジング15とz方向に特に大きい重なりを有し、結果として、ラッチばね50により支持される力Fが特に大きくなる。ここで、重なりとは、ラッチばね50と第1のレセプタクル側面35とが、x方向において、例えばyz面として構成された突出面に突出することにより、ラッチばね50、特に停止面90と第1のレセプタクル側面35とが突出面において重なることを意味するものと理解される。
【0051】
さらに、停止面90が第1のレセプタクル側面35で滑ることを防ぐ。加えて、第1のレセプタクル側面35で支持できる最大可能力Fは、結果として特に大きくなる。
【0052】
さらに、エンボス部105は、停止面90でラッチばね50を補強することで、プロセス中にコンタクトハウジング15が第1のレセプタクル側面35で破損することなく、力Fを第1のレセプタクル側面35に特に効果的に導入できるようになっている。
【0053】
図6は、第1の方法ステップ中における、ラッチばね50を通る図3に示した断面D-Dに沿った断面図である。図7は、図1に示したコンタクト要素20を製造するための第2の方法ステップ中における、図3に示したラッチばね50を通る図3で示した断面D-Dに沿った断面図である。
【0054】
第1の方法ステップ(図6参照)において、ブランク140が、平面状のシートメタル材料、例えば薄肉の金属板150から、工具145によって打ち抜かれる。この場合、ラッチばね50の外面80が、工具に面し、かつ打抜き工具が最初に物理的に接触して最初にシートメタル材料150に貫入する第1の面に形成され、内面85が、工具145と反対向きの第2の面に配置されるように、シートメタル材料150が切断される。
【0055】
打抜き動作中、工具145はシートメタル材料150を貫くように動いて切り離し、例えば、シートメタル材料150からコンタクト本体45とラッチばね50とを作り出す。その際、工具145は、最初に停止面90の切断部130を切断し、その後、打抜きの際の慣例通りに、工具145がシートメタル材料150を完全に貫入する直前に、シートメタル材料150を破断するまたは引き裂くことによって、破断部135を形成する。
【0056】
第1の方法ステップに続く第2の方法ステップ(図7参照)において、切り抜かれたブランク140がダイ155に置かれる。ダイ155の上側は平面状である。ラッチばね50の外面80は、パンチ160に面する第1の面に配置されている。ブランク140は、第1の面とは反対側に位置し、かつラッチばね50の内面85を形成することになる第2の面によって、ダイ155に当接する。エンボス部105は、パンチ160を使用してラッチばね50の外面80にエンボスされる。
エンボス部105がラッチばね50にエンボスされると、ラッチばね50のシートメタル材料150は、停止面90の方向に長手方向に押される(図7において長手方向に延びる矢印によって示される)ため、停止面90は、塑性変形し、ばね軸70に対して略90°の傾斜から斜めに傾斜して形成される。このプロセスにおいて、停止面90は、ダイ155と反対向きの第1の面で、特に切断部130でさらに長手方向に変位する。その結果、停止面90は、ばね軸70に対して傾斜する。
【0057】
第2の方法ステップに続く第3の方法ステップにおいて、ブランク140は、コンタクト本体45に面するラッチばね50の外面80にエンボス部105が配置されるように折り曲げられる。この場合、ラッチばね50は折り曲げられないため、ばね軸70は、ラッチばね50内で、特に断面積内で、好ましくは断面積の中央で延びる。
【0058】
図8は、第2の実施形態によるコンタクトデバイス10の、図1に示す詳細Aを示す。
【0059】
コンタクトデバイス10は、図1図7に示すコンタクトデバイス10と略同一の形態である。以下で、図8に示すコンタクトデバイスと図1図7に示すコンタクトデバイス10との相違のみを説明する。
【0060】
ラッチばね50は、保持部165をさらに有する。保持部165は、第1の側面120に横方向に隣接し、xy面に延びる板状である。保持部165は、長手方向において停止面90を越えて突出する。この場合、保持部165は、ばね軸70に沿って固定端65と反対向きの方向に延びる。
【0061】
組立状態で、ラッチばね50は、停止面90によりラッチレセプタクル30に係合するが、保持部165はコンタクトレセプタクル25に残る。この場合、保持部165は、コンタクト本体45と反対向きの第3の側面170により、コンタクトハウジング15の内縁部175に当接することができる。内縁部175は、第1のレセプタクル側面35とコンタクトレセプタクル25との間の移行部によって形成されている。第3の側面170は、コンタクトハウジング15の内面にも当接することができる。この場合、第3の側面170とコンタクトハウジング15との接触により、ラッチばね50が、コンタクトハウジング15の材料に貫入するときに、コンタクト本体45から外側に旋回しすぎること、または外側に押されすぎることを防ぐ結果、コンタクトハウジング15の過負荷が回避される。
【符号の説明】
【0062】
10 コンタクトデバイス
15 コンタクトハウジング
20 コンタクト要素
25 コンタクトレセプタクル
30 ラッチレセプタクル
35 第1のレセプタクル側面
40 第2のレセプタクル側面
45 コンタクト本体
50 ラッチばね
55 相手側コンタクトレセプタクル
56 相手側コンタクト
57 相手側コンタクトデバイス
60 接続部
65 (ラッチばねの)固定端
70 ばね軸
75 (ラッチばねの)自由端
79 第1の開口部
80 外面
84 第2の開口部
85 内面
90 停止面
95 (自由端におけるラッチばねの)外縁部
100 (自由端におけるラッチばねの)内縁部
105 エンボス部
110 第1のばね部
115 第2のばね部
120 第1の側面
125 第2の側面
130 切断部
135 破断部
140 ブランク
144 突起
145 工具
150 (シートメタル)材料
155 ダイ
160 パンチ
165 保持部
170 第3の側面
175 コンタクトハウジングの内縁部
第1の材料厚
第2の材料厚
第3の材料厚
l 全長
第1の最大方向長さ
第2の最大方向長さ
F 力
支持力
S 差込方向
x 長手方向
y 第3の方向
z 第2の方向
a 第1の距離
第2の距離
第3の距離
w 第4の距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8