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特許7348338LiDARセンサのための試験システムおよびLiDARセンサを試験するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】LiDARセンサのための試験システムおよびLiDARセンサを試験するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
G01S7/497
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022039324
(22)【出願日】2022-03-14
(65)【公開番号】P2022141613
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】10 2021 106 218.7
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506012213
【氏名又は名称】ディスペース ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】dSPACE GmbH
【住所又は居所原語表記】Rathenaustr.26,D-33102 Paderborn, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】グレゴア ズィーファース
(72)【発明者】
【氏名】フランク シュッテ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ハーゲマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ラハマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ユンゲヴェルター
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/059568(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0019154(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LiDARセンサ(10)のための試験装置(1)であって、
前記試験装置(1)は、トリガ検出器(12)と、前記トリガ検出器(12)に接続されかつ信号生成ユニット(16)を有する信号発生器(14)と、を有し、
前記トリガ検出器(12)により、試験されるべきLiDARセンサ(10)のトリガ信号(TS)を受信したことに応答して、所定の合成的に生成された光学信号(RTS)が、前記信号生成ユニット(16)によって出力されるように、前記信号発生器(14)は制御され、
前記信号生成ユニット(16)は、所定数のピクセル(16b)を備えた表示面(16a)を有し、
前記信号発生器(14)は、同じ強度(I)を有する複数のピクセル(16b)を1つのクラスタ(18)に集約するように構成されており、
強度(I)に応じて複数のクラスタ(18)が形成される、
試験装置(1)。
【請求項2】
前記信号発生器(14)は、複数のプリント基板(20a,20b,20c)を有し、前記複数のプリント基板(20a,20b,20c)上に、それぞれ、複数のデジタル-アナログ変換器(22a~22n,24a~n,26a~n)が配置されており、
前記複数のデジタル-アナログ変換器(22a~22n,24a~n,26a~n)の各々は、複数のクロスポイントスイッチ(28a~n,30a~n,32a~n)の入力部に接続されている、
請求項1記載の試験装置
【請求項3】
前記複数のクロスポイントスイッチ(28a~n,30a~n,32a~n)のそれぞれの出力部は、前記信号生成ユニット(16)の発光素子(36a~z,37a,41a)を制御する発光素子ドライバ(34a~z,35a,39a)に接続されている、
請求項2記載の試験装置
【請求項4】
前記複数のプリント基板(20a,20b,20c)のうちのそれぞれのプリント基板(20a,20b,20c)の前記信号生成ユニット(16)のそれぞれの発光素子(36a~z,37a,41a)は、前記表示面(16a)のうちの、前記それぞれの発光素子(36a~z,37a,41a)に対応付けられたピクセル(16b)に、光導波路(38a,38b,38c,38d)を介して接続されている、
請求項3記載の試験装置
【請求項5】
それぞれのプリント基板(20a,20b,20c)の発光素子(36a~z,37a,41a)の数は、前記デジタル-アナログ変換器(22a~22n,24a~n,26a~n)の数よりも多く、
前記デジタル-アナログ変換器(22a~22n,24a~n,26a~n)と、前記発光素子(36a~z,37a,41a)の前記発光素子ドライバ(34a~z,35a,39a)と、の間に配置された前記クロスポイントスイッチ(28a~n,30a~n,32a~n)は、前記デジタル-アナログ変換器(22a~22n,24a~n,26a~n)と、前記発光素子(36a~z,37a,41a)と、の間の、座標毎の接続を提供するように構成されている、
請求項3または4記載の試験装置
【請求項6】
れぞれのプリント基板(20a,20b,20c)上に配置された前記複数のデジタル-アナログ変換器(22a~22n,24a~n,26a~n)は、前記それぞれのプリント基板(20a,20b,20c)の上または外側に配置された集積回路(40a,40b,40c)によって制御可能である、
請求項2から5までのいずれか1項記載の試験装置
【請求項7】
前記集積回路(40a,40b,40c)は、前記複数のデジタル-アナログ変換器(22a~22n,24a~n,26a~n)のうちのそれぞれのデジタル-アナログ変換器(22a~22n,24a~n,26a~n)の入力部に接続されている、
請求項6記載の試験装置
【請求項8】
同じ強度(I)を有する複数のピクセル(16b)からなる集約されたクラスタ(18)は、前記試験されるべきLiDARセンサ(10)の1回の測定サイクル内で前記表示面(16a)上に表示されるオブジェクト(42a,42b,42c)の形状および/または時間遅延から独立しており
前記クラスタ(18)に集約された前記ピクセル(16b)を、複数のプリント基板(20a,20b,20c)の発光素子(36a~z,37a,41a)に対応付けることができる、
請求項2から4までのいずれか1項記載の試験装置
【請求項9】
クロスポイントスイッチ(28a~n,30a~n,32a~n)のそれぞれの入力部は、前記クロスポイントスイッチ(28a~n,30a~n,32a~n)の複数の出力部に接続可能であり、
それぞれのデジタル-アナログ変換器(22a~22n,24a~n,26a~n)は、それぞれの発光素子(36a~z,37a,41a)を制御するように構成されている、
請求項2から8までのいずれか1項記載の試験装置
【請求項10】
前記信号生成ユニット(16)の前記表示面(16a)上で生成されるそれぞれのクラスタ(18)を、前記試験されるべきLiDARセンサ(10)の測定サイクル毎に、前記信号生成ユニット(16)の前記表示面(16a)上でのそれぞれのクラスタ(18)のサイズおよび位置に関して適合させることができる、
請求項1から9までのいずれか1項記載の試験装置
【請求項11】
前記信号生成ユニット(16)の前記表示面(16a)上に表示される1つのオブジェクト(42a,42b,42c)、複数のクラスタ(18)に分割可能であり
前記信号生成ユニット(16)の前記表示面(16a)は、所定の半径で湾曲された面を有する、
請求項1から10までのいずれか1項記載の試験装置
【請求項12】
1回の測定サイクルにおいて前記信号生成ユニット(16)の前記表示面(16a)上に表示され、かつそれぞれ異なる強度(I)を有し、かつ相前後して位置する、オーバーラップしているオブジェクト(42a,42b,42c)同士、1つのクラスタ(18)に集約可能であり
前記オブジェクト(42a,42b,42c)同士の間に存在する間隔は、前記ピクセル(16b)を所定の期間スイッチオフすることによって表現可能である、
請求項1から11までのいずれか1項記載の試験装置
【請求項13】
前記信号生成ユニット(16)の前記表示面(16a)のピクセル解像度および/または表現可能な強度階調数は、少なくとも、前記LiDARセンサ(10)のピクセル解像度および/または検出可能な強度階調数に対応する、
請求項1から12までのいずれか1項記載の試験装置
【請求項14】
LiDARセンサ(10)を試験するための方法であって、前記方法は、
トリガ検出器(12)と、前記トリガ検出器(12)に接続されかつ信号生成ユニット(16)を有する信号発生器(14)と、を提供するステップ(S1)と、
所定数のピクセル(16b)を備えた、前記信号生成ユニット(16)の表示面(16a)を提供するステップ(S2)と、
前記トリガ検出器(12)により、試験されるべきLiDARセンサ(10)の信号を受信したことに応答して、所定の合成的に生成された光学信号が、前記信号発生器(14)の前記信号生成ユニット(16)によって出力されるように、前記信号発生器(14)を制御するステップ(S3)と、
前記信号発生器(14)により、同じ強度(I)を有する複数のピクセル(16b)を1つのクラスタ(18)に集約するステップ(S4)と、
を有し、
強度(I)に応じて複数のクラスタ(18)が形成される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LiDARセンサのための試験システムに関する。
【0002】
本発明はさらに、LiDARセンサを試験するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
LiDAR(light detection and ranging[光による検知と測距]の略称)光測定システムは、さらなる用途に加えて、光学的に距離および速度を測定するために使用される。LiDAR光測定システムは、光を放出し、その光がオブジェクトで反射された後、LiDAR光測定システムに戻ってくるまでの所要時間を測定する。既知の光速から、LiDAR光測定システムからオブジェクトまでの距離が算出される。
【0004】
LiDAR光測定システムの用途分野の例は、光学的な距離測定のためのモバイル機器および自動車用途分野のための、すなわち運転者支援システムおよび自動運転のための、ならびに航空宇宙用途のためのLiDAR光測定システムである。
【0005】
独国特許出願公開第102007057372号明細書は、トリガユニットを有するLiDARセンサのための試験システムを開示しており、同試験システムによれば、試験されるべきLiDARセンサからの信号を受信したことに応答して、所定の合成的に生成または記録された光学信号が信号発生器の信号生成ユニットによって出力されるように、信号発生器が制御される。
【0006】
独国特許出願公開第102017110790号明細書は、LiDAR光受信センサを有するLiDAR光測定システムのためのシミュレーション装置を開示しており、同シミュレーション装置では、LiDAR光受信センサの平面に光送信機が設けられており、LiDAR光受信センサの平面に、上記の光送信機に隣接してさらなる光送信機が配置されており、コンピュータが、LiDAR光受信センサの作動と、光送信機および/またはさらなる光送信機を介して光信号を放出するための期間と、を監視し、光送信機またはさらなる光送信機からの光信号の信号入力を記録する。
【0007】
信号発生器を使用してLiDARセンサを試験する際の問題は、信号発生器の信号生成ユニットのピクセル解像度が従前から非常に低いことである。したがって、それぞれ異なる距離およびそれぞれ異なる強度を有する複数のオブジェクトを有する複雑なシーンを、細部に忠実にシミュレートすることは不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、細部に忠実なシミュレーションを可能にすると同時に、ハードウェアリソースの効率的な利用を可能にするように、LiDARセンサを試験するための既存の装置および方法を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を有するLiDARセンサのための試験システムによって解決される。
【0010】
上記の課題は、本発明によればさらに、請求項14に記載の特徴を有するLiDARセンサを試験するための方法によって解決される。
【0011】
本発明は、LiDARセンサのための試験システムに関する。当該試験システムは、トリガ検出器と、トリガ検出器に接続された信号発生器と、を含む。
【0012】
トリガ検出器により、試験されるべきLiDARセンサのトリガ信号を受信したことに応答して、所定の合成的に生成された光学信号が、とりわけトリガ信号の合成的に生成された反射が、信号発生器の信号生成ユニットによって出力されるように、信号発生器が制御される。
【0013】
信号生成ユニットは、所定数のピクセルを備えた表示面を有する。信号発生器は、同じ強度の複数のピクセルを1つのクラスタに集約するようにさらに構成されている。
【0014】
本発明はさらに、LiDARセンサを試験するための方法に関する。本方法は、トリガ検出器と、トリガ検出器に接続された信号発生器と、を提供するステップを含む。
【0015】
本方法は、所定数のピクセルを備えた、信号発生器の信号生成ユニットの表示面を提供するステップをさらに含む。
【0016】
本方法は、トリガ検出器により、試験されるべきLiDARセンサの信号を受信したことに応答して、所定の合成的に生成された光学信号が、とりわけLiDARセンサ信号の合成的に生成された反射が、信号発生器の信号生成ユニットによって出力されるように、信号発生器を制御するステップをさらに含む。
【0017】
本方法は、信号発生器により、同じ強度の複数のピクセルを1つのクラスタに集約するステップをさらに含む。
【0018】
本発明の1つの着想は、表示面のLiDAR Over-the-Air(OTA)ピクセル、すなわちOTA試験システムのエミッタまたは光送信ユニットに、複数の異なる強度を動的に対応付けること、すなわち、それらを複数の異なる強度のグループに集約することである。これにより、1つの制御チップにつき、存在している強度素子の数、すなわちデジタル-アナログ変換器の数よりも多数のピクセル数を接続することが可能となる。
【0019】
まさにこの強度素子の数、とりわけ強度素子の制御は、LiDAR Over-the-Air試験システムを実装する際における制限要因となっている。LiDAR OTAピクセルを、同じ強度を有するグループに動的に集約することにより、システム全体の集積密度を格段に向上させることが可能となると同時に、コストを節約することも可能となる。
【0020】
比較的高い解像度要件と、多数の表示されるべきオブジェクトと、を有する領域を、多数のピクセルによって個々に制御可能に表示することができる(例えば、自動車、木々、人々を伴っている道路の縁部)。したがって、利用可能な強度リソースをこのような領域に動的に割り当てることができる。
【0021】
その場合、比較的低い解像度要件を有する領域、例えば、トラックトレーラの構造体のような同一の反射挙動を有する比較的大きな領域、または到達する光量子が少ないことに起因してセンサがもはやその強度に関して互いに区別することができないほど遠く離れたオブジェクトからの反射は、低減された解像度で表示される。この解像度要件をシーン毎に十分な変化率で適合させることが可能であり、すなわち、試験システムのLiDARピクセルを動的に集約することが可能である。
【0022】
したがって、クラスタまたはピクセル集約クラスタ(PAC)は、部分画像領域を統合するものである。この部分領域内では、同じ距離を有するピクセルに対して統一的な強度を生成することができ、1つのシーン内の他の距離に対するピクセルの強度を変更することができる(例えば、相前後して位置する部分的に覆われたオブジェクトに対して)。さらに、部分領域のピクセルの各々を、それぞれの距離毎に選択的にスイッチオフしたままにして、それぞれ異なる距離に対してそれぞれ異なるオブジェクト形状を保証することができる。
【0023】
本発明のさらなる実施形態は、さらなる従属請求項と図面を参照する以下の説明との対象である。
【0024】
本発明の好ましい発展形態によれば、信号発生器は、複数のプリント基板を有し、複数のプリント基板上に、それぞれ、複数のデジタル-アナログ変換器が配置されており、複数のデジタル-アナログ変換器の各々は、複数のクロスポイントスイッチの入力部に接続されている。
【0025】
デジタル-アナログ変換器をそれぞれのプリント基板のクロスポイントスイッチに接続することにより、有利には、1つの制御チップにつき、存在している強度要素の数、すなわちデジタル-アナログ変換器の数よりも多数のピクセルを接続させることが可能となる。
【0026】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、複数のクロスポイントスイッチのそれぞれの出力部は、信号生成ユニットの発光素子、とりわけ発光ダイオードまたはレーザダイオードを制御する発光素子ドライバに接続されている。
【0027】
これにより、それぞれのクロスポイントスイッチは、有利には、複数の発光素子ドライバを制御することが可能となる。
【0028】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、複数のプリント基板のうちのそれぞれのプリント基板の信号生成ユニットのそれぞれの発光素子は、表示面のうちの、当該それぞれの発光素子に対応付けられたピクセルに、光導波路を介して接続されている。
【0029】
これにより、プリント基板上の発光素子を、有利には、発光素子ドライバの可能な限り近くに配置することが可能となる。
【0030】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、それぞれのプリント基板の発光素子の数は、デジタル-アナログ変換器の数よりも多く、デジタル-アナログ変換器と発光素子の発光素子ドライバとの間に配置されたクロスポイントスイッチは、デジタル-アナログ変換器と発光素子との間の動的に調整可能な、座標毎の接続を提供するように構成されている。
【0031】
これにより、表示面上で複数のピクセルをクラスタに集約することが可能となる。
【0032】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、それぞれのプリント基板上に配置された複数のデジタル-アナログ変換器は、それぞれのプリント基板の上または外側に配置された集積回路、とりわけFPGAによって制御可能である。
【0033】
これにより、FPGAは、有利には、信号生成ユニットの表示面上でピクセルをクラスタに集約することを制御する。
【0034】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、集積回路、とりわけFPGAは、複数のデジタル-アナログ変換器のうちのそれぞれのデジタル-アナログ変換器の入力部に接続されている。
【0035】
これにより、FPGAによって有利には、それぞれのプリント基板の全てのデジタル-アナログ変換器を個々に制御することが可能となる。
【0036】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、同じ強度のピクセルからなる集約されたクラスタは、試験されるべきLiDARセンサの1回の測定サイクル内で表示面上に表示されるオブジェクトの形状および/または時間遅延とは無関係であり、クラスタに集約されたピクセルを、複数のプリント基板の発光素子に対応付けることができる。
【0037】
これにより、集約されたクラスタを、表示面上に表示されるオブジェクトに柔軟に適合させることが可能となる。
【0038】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、クロスポイントスイッチのそれぞれの入力部は、当該クロスポイントスイッチの複数の出力部に接続可能であり、それぞれのデジタル-アナログ変換器は、それぞれの発光素子を制御するように構成されている。
【0039】
これによって有利には、複数の発光素子または対応するピクセルを、対応するデジタル-アナログ変換器によってクラスタに集約することが可能となる。
【0040】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、信号生成ユニットの表示面上で生成されるそれぞれのクラスタを、試験されるべきLiDARセンサの測定サイクル毎に、信号生成ユニットの表示面上でのそれぞれのクラスタのサイズおよび位置に関して適合させることができる。
【0041】
これにより、表示面上に表示されるクラスタを、フレーム毎に、シミュレートされたシーンのその時々の変化に適合させることが可能となる。
【0042】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、信号生成ユニットの表示面上に表示される1つのオブジェクトを、複数のクラスタに分割することができ、信号生成ユニットの表示面は、所定の半径で湾曲された面を有する。
【0043】
PACは、基本的に、オブジェクトの形状との関連性を有していない。むしろ、-解像度要件に応じて-同じ距離で同じ強度も有するピクセル同士が統合される。PACは、例えば距離の違いによって区別される、これらのグループのいくつかを統合することもできる。これらのグループ同士は、ピクセルのオン/オフスイッチによって距離方向に関して区別される。
【0044】
表示面の湾曲は、有利には、改善されたオブジェクトシミュレーション、または現実のシーンに対応するオブジェクトシミュレーションを可能にする。
【0045】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、1回の測定サイクルにおいて信号生成ユニットの表示面上に表示され、かつそれぞれ異なる強度を有し、かつ相前後して位置する、オーバーラップしているオブジェクト同士を、1つのクラスタに集約することができ、オブジェクト同士の間に存在する間隔は、ピクセルを所定の期間スイッチオフすることによって表現可能である。
【0046】
これによって有利には、相前後して位置するオブジェクト同士を、二次元の表示面上に表示することが可能となる。
【0047】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、信号生成ユニットの表示面のピクセル解像度および/または表現可能な強度階調数は、少なくとも、LiDARセンサのピクセル解像度および/または検出可能な強度階調数に対応する。
【0048】
これにより、シミュレートされるべきシーンを、LiDARセンサによってサポートされるフルピクセル解像度で、かつ/または表現可能な強度階調で、表示面上に表示することが可能となる。
【0049】
本明細書に記載されたLiDARセンサのための試験システムの特徴は、LiDARセンサを試験するための方法にも適用可能であり、その逆もまた同様である。
【0050】
図面の簡単な説明
本発明およびその利点をより良好に理解するために、添付の図面に関連して以下の説明が参照される。
【0051】
以下では、本発明を、図面の概略図に示されている例示的な実施形態に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明の好ましい実施形態によるLiDARセンサのための試験システムの概略図である。
図2】本発明の好ましい実施形態によるLiDARセンサのための試験システムの一部の概略図である。
図3】本発明の好ましい実施形態による信号生成ユニットの表示面の概略図である。
図4】本発明の好ましい実施形態によるLiDARセンサを試験するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
別段の指示がない限り、同じ参照符号は、各図の同じ要素を指している。
【0054】
図1に示されている試験システムは、トリガ検出器12と、トリガ検出器12に接続された信号発生器14と、を含み、トリガ検出器12により、試験されるべきLiDARセンサ10のトリガ信号TSを受信したことに応答して、所定の合成的に生成された光学信号RTSが、とりわけトリガ信号TSの合成的に生成された反射が、信号発生器14の信号生成ユニット16によって出力されるように、信号発生器14が制御される。
【0055】
LiDARセンサ12は、フラッシュLiDARとして構成されている。代替的に、LiDARセンサ12は、例えば機械式に走査するLiDARによって構成されていてもよい。
【0056】
信号生成ユニット16は、所定数のピクセル16bを備えた表示面16aを有する。さらに、信号発生器14は、同じ強度Iの複数のピクセル16bを1つのクラスタ18に集約するように構成されている。合成されたシーンは、コンピューティングデバイス、例えばPCによって信号発生器14に供給される。
【0057】
信号発生器14は、複数のプリント基板20a,20b,20cを有し、これらの複数のプリント基板20a,20b,20c上に、それぞれ、複数のデジタル-アナログ変換器22a~22n,24a~n,26a~nが配置されている。複数のデジタル-アナログ変換器22a~22n,24a~n,26a~nの各々は、複数のクロスポイントスイッチ28a~n,30a~n,32a~nの入力部に接続されている。
【0058】
複数のクロスポイントスイッチ28a~n,30a~n,32a~nのそれぞれの出力部は、信号生成ユニット16の発光素子36a~z,37a,41a、とりわけ発光ダイオードまたはレーザダイオードを制御する発光素子ドライバ34a~z,35a,39aに接続されている。
【0059】
複数のプリント基板のうちのそれぞれのプリント基板20a,20b,20cの信号生成ユニット16のそれぞれの発光素子36a~z,37a,41aは、表示面16aのうちの、当該それぞれの発光素子36a~z,37a,41aに対応付けられたピクセル16bに、光導波路38a,38b,38c,38dを介して接続されている。
【0060】
図2は、本発明の好ましい実施形態によるLiDARセンサのための試験システムの一部の概略図を示す。
【0061】
プリント基板20aの発光素子36a~zの数は、デジタル-アナログ変換器22a~22nの数よりも多い。デジタル-アナログ変換器22a~22nと発光素子36a~zの発光素子ドライバ34a~zとの間に配置されたクロスポイントスイッチ28a~nは、デジタル-アナログ変換器22a~22nと発光素子36a~zとの間の動的に調整可能な、座標毎の接続を提供するようにさらに構成されている。
【0062】
プリント基板20a上に配置された複数のデジタル-アナログ変換器22a~22nは、プリント基板20aの外側に配置された集積回路40a、とりわけフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)によって制御可能である。
【0063】
代替的に、プリント基板20a上に配置された複数のデジタル-アナログ変換器22a~22nは、例えばプリント基板20a上に配置された集積回路40a、とりわけFPGAによって制御可能であってもよい。
【0064】
クロスポイントスイッチ28a~nのそれぞれの入力部は、当該クロスポイントスイッチ28a~nの複数の出力部に接続可能である。
【0065】
それぞれのデジタル-アナログ変換器22a~22nは、それぞれの発光素子36a~zを制御するように構成されている。
【0066】
どのピクセルをどの時点にどの強度でアクティブにすべきかの制御は、集積回路、とりわけFPGAにおいて実施される。コンピューティングデバイスによって生成された環境シミュレーションの対応するデジタル信号は、まず始めに、アナログ信号に変換され、次いで、発光素子ドライバ34a~zのための入力信号として使用される。
【0067】
本発明は、存在しているセンサピクセルの数と同数のそれぞれ異なる強度値を使用する必要は、全くないという見解に基づいている。ピクセル壁または表示面16aの目標は、LiDARセンサ10が実際の使用において観察する点群を模倣することである。
【0068】
点群を、達成されるべきシミュレーション結果であるとみなすと、限られた数のそれぞれ異なる強度値のみをマッピングするだけでよいという見解が得られる。
【0069】
クラスタ18またはピクセル集約クラスタは、1つの強度クラスタに所属する複数の発光素子36a~zによって定義される。
【0070】
したがって、大域的に見ると、それぞれのクラスタ18毎の複数のデジタル-アナログ変換器22a~22nは、同一の強度値を供給することができる。その場合、このことは、理論的には表示面全体が1つの大きなクラスタ18になる可能性があるという結果になる。
【0071】
しかしながら、クラスタ18は、オブジェクトの形状とは何の関係もなくてよい。所属する発光素子は、どこに位置していてもよく、シーンが提供される際に同じ時点に同じ強度値を有しているだけでよい。
【0072】
信号生成ユニット16は、集約されたピクセルの強度値を距離毎に変化させることができるように構成されている。距離に対してピクセルをサブセレクトするために、ピクセルイネーブル信号が設けられている。クラスタ18は、環境シミュレーションのシーン毎またはフレーム毎に新しく定義される。
【0073】
ある時点では、すなわちセンサからある間隔のところでは、デジタル-アナログ変換器チャネルと同数の強度しか得られないが、その強度は、任意に選択可能である。全体としてわずかな強度しか利用できない場合でも、基本的にはこれで十分である。
【0074】
特定の領域をより高解像度で解像することができ、すなわち1つのピクセル領域当たりの強度をより大きくし、その際に他の領域をより低解像度で解像すると、有利である。この対応関係は、シーン毎に動的に変更可能である。
【0075】
図3は、本発明の好ましい実施形態による信号生成ユニットの表示面の概略図を示す。
【0076】
同じ強度Iのピクセル16bからなる集約されたクラスタ18は、試験されるべきLiDARセンサ10の1回の測定サイクル内で表示面16a上に表示されるオブジェクト42a,42b,42cの形状および/または時間遅延とは無関係である。
【0077】
さらに、クラスタ18に集約されたピクセル16bを、複数のプリント基板20a,20b,20cの発光素子36a~z,37a,41aに対応付けることができる。信号生成ユニット16の表示面16a上で生成されるそれぞれのクラスタ18を、試験されるべきLiDARセンサ10の測定サイクル毎に、信号生成ユニット16の表示面16a上でのそれぞれのクラスタ18のサイズおよび位置に関して適合させることができる。
【0078】
信号生成ユニット16の表示面16a上に表示される1つのオブジェクト42a,42b,42cを、複数のクラスタ18に分割することができる。
【0079】
信号生成ユニット16の表示面16aは、好ましくは平坦な表面を有する。代替的に、信号生成ユニット16の表示面16aは、所定の半径で湾曲された面を有していてもよい。
【0080】
1回の測定サイクルにおいて信号生成ユニット16の表示面16a上に表示され、かつそれぞれ異なる強度Iを有し、かつ相前後して位置する、オーバーラップしているオブジェクト42a,42b,42c同士を、1つのクラスタ18に集約することができる。オブジェクト42a,42b,42c同士の間に存在する間隔は、ピクセル16bを所定の期間スイッチオフすることによって表現可能である。
【0081】
信号生成ユニット16の表示面16aのピクセル解像度および/または表現可能な強度階調数は、少なくとも、LiDARセンサ10のピクセル解像度および/または検出可能な強度階調数に対応する。
【0082】
距離毎またはクラスタ18毎に、それぞれ異なる強度を生成することができる。1つのプリント基板によって制御することができる表示面16aのピクセル領域は、黒色のフレームとして示されている。ターゲットとして右側手前の画像領域にいる歩行者と、複数のプリント基板にわたるターゲットのオーバーラップと、を例にして、機能方法を見て取ることができる。
【0083】
頭は、中高強度を有し、体は、高強度を有し、脚は、中強度を有し、手は、低強度を有する。これらの強度は、ターゲット表面の反射率とセンサまでの距離とに関連している。
【0084】
トラックも、上方のガラス張りの運転台を金属製の高反射率を有するトラックの残りの部分から区画可能にすることにより、画像領域内の位置に応じて良好に表示することができる。
【0085】
トラックの下方の部分は、同じ強度のクラスタ18であり、2つのプリント基板にわたって延在している。
【0086】
オブジェクトのシミュレートされた距離の画像化は、ピクセルによって放射される信号の時間遅延によって実施される。すなわち、1つのシーン内に、それぞれ異なる間隔を有する複数のオブジェクトが生じることができ、これらの間隔は、ピクセル壁16aによってそれぞれ異なる時点に表示される。
【0087】
複数の異なる距離の間で強度値をさらに変化させることができるか、またはイネーブル信号によってピクセルをスイッチオフすることができる。クロスポイントスイッチ28a~n,30a~n,32a~nの長いスイッチング時間に起因して、クラスタ18の変更は、センサ10のそれぞれの測定サイクルの後にのみ実施可能である。すなわち、この制約の枠内で、センサ10までそれぞれ異なる距離を有する相前後して位置するオブジェクト同士も、同一のピクセル16bによって表示することができる。
【0088】
図4は、本発明の好ましい実施形態によるLiDARセンサを試験するための方法のフローチャートを示す。
【0089】
本方法は、トリガ検出器12と、トリガ検出器12に接続された信号発生器14と、を提供するステップS1を含む。
【0090】
本方法は、所定数のピクセル16bを備えた、信号発生器14の信号生成ユニット16の表示面16aを提供するステップS2をさらに含む。
【0091】
本方法は、トリガ検出器12により、試験されるべきLiDARセンサ10の信号を受信したことに応答して、コンピューティングデバイスによって合成的に生成された所定の光学信号が、とりわけLiDARセンサ信号の合成的に生成された反射が、信号発生器14の信号生成ユニット16によって出力されるように、信号発生器14を制御するステップS3をさらに含む。
【0092】
本方法は、信号発生器14により、同じ強度Iの複数のピクセル16bを1つのクラスタ18に集約するステップS4をさらに含む。
【0093】
本明細書において特定の実施形態について例示および説明したが、当業者には、多数の代替および/または同等の実装形態が存在することが理解される。例示的な実施形態は、単なる例に過ぎず、範囲、適用可能性、または構成を何らかの方法で制限するために使用されるのではないことに留意すべきである。
【0094】
むしろ、前述した概要および詳細な説明は、少なくとも1つの例示的な実施形態を実施するための便利な手引きを当業者に提供するものであり、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的な均等物から逸脱することなく、機能の範囲および要素の配置における種々の変更を行ってもよいことを理解すべきである。
【0095】
一般に、本願は、本明細書に提示された実施形態の修正形態、適合形態、または変形形態を網羅することを意図している。
【0096】
LiDARセンサは、例えば、機械式に回転して走査するLiDARによって構成可能である。この場合、信号生成ユニット16の表示面16aは、LiDARセンサ10の周囲に360°の角度で配置されるであろう。
【符号の説明】
【0097】
1 試験システム
10 LiDARセンサ
12 トリガ検出器
14 信号発生器
16 信号生成ユニット
18 クラスタ
16a 表示面
16b ピクセル
20a,20b,20c プリント基板
22a~n デジタル-アナログ変換器
24a~n デジタル-アナログ変換器
26a~n デジタル-アナログ変換器
28a~n クロスポイントスイッチ
30a~n クロスポイントスイッチ
32a~n クロスポイントスイッチ
34a~z,35a,39a 発光素子ドライバ
36a~z,37a,41a 発光素子
38a,38b,38c,38d 光導波路
40a,40b,40c 集積回路
42a,42b,42c オブジェクト
I 強度
RTS 光学信号
S1~S4 方法ステップ
TS トリガ信号
図1
図2
図3
図4